JP3257249B2 - 燃料遮断装置および燃料遮断システム - Google Patents

燃料遮断装置および燃料遮断システム

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JP3257249B2
JP3257249B2 JP11384694A JP11384694A JP3257249B2 JP 3257249 B2 JP3257249 B2 JP 3257249B2 JP 11384694 A JP11384694 A JP 11384694A JP 11384694 A JP11384694 A JP 11384694A JP 3257249 B2 JP3257249 B2 JP 3257249B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃料タンクに装着され
燃料蒸気回収機器との間で燃料蒸気の通気を行ないつつ
該燃料蒸気回収機器への燃料液の流出を遮断する燃料遮
断装置と、この燃料遮断装置を燃料タンクの複数の箇所
に装着してなる燃料遮断システムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両等の燃料タンクにおいて
は、環境保全や安全確保を図る上で、燃料液自体は勿論
のこと、その蒸気をも大気中にできるだけ放出しないこ
とが望ましい。このため、燃料タンク外部への燃料液の
流出を防止することと、燃料蒸気の通気を通したタンク
内圧の調整を図るよう、例えば特開平4−228321
号に提案されているような燃料遮断装置が燃料タンクに
装着されている。この燃料遮断装置は、燃料の流入に応
じて浮沈するフロートを備えたフロートバルブを内蔵
し、流入した燃料によりフロートが浮上することで燃料
蒸気の通気孔を閉塞し、当該通気孔からの燃料の流出を
遮断する。また、フロートが沈降している間には通気孔
は開放されているので、この間にあっては、燃料蒸気の
通気を通したタンク内圧の調整が行なわれる。
【0003】近年では、燃料タンクの設置箇所周辺のア
ンダーボデー形状に適合させつつその内容積の増加を図
るため、燃料タンク形状に工夫がなされている。例え
ば、従来は単なる方形の箱型に近いものであったが、図
5に示すように、タンク上面にアンダーボデー形状に合
わせた起伏を設けた複雑な形状の燃料タンクTが用いら
れている。そして、上面に起伏を有する形状の燃料タン
クTであると、燃料蒸気が集まる箇所もその起伏に応じ
て複数存在するため、その各場所に燃料遮断装置100
を装着することが行なわれている。そして、装着された
各燃料遮断装置100の燃料蒸気通気ポートは、配管が
集約されてキャニスタ等の燃料蒸気回収機器に接続され
ている。
【0004】その一方で、燃料タンクT内に溜まる燃料
蒸気は、周辺温度等により燃料蒸発量が変動することか
ら、燃料タンクTの内圧はキャニスタ側の圧力に対して
正圧となったり負圧となったりする。つまり、両圧力の
差圧は正負に変動する。よって、燃料タンクTの内圧調
整には、燃料タンクTとキャニスタとの間で双方向の通
気を図る必要があるので、燃料タンクTの各場所に装着
された燃料遮断装置100の燃料蒸気通気ポートからの
配管を集約した下流に、図6に示すような双方向弁20
0を設けることが行なわれていた。
【0005】図6に示すように、双方向弁200は、ケ
ース本体202内を上弁室203と下弁室204とに区
画する仕切壁206を有しており、次のようにして組み
立てられる。まず、仕切壁206の上方からチェック弁
210を上弁室203内に組み込んで収納し、蓋体21
2で封止する。次いで、仕切壁206の下方からダイヤ
フラム弁220を下弁室204内に組み込んで収納し、
蓋体222で封止する。つまり、仕切壁206の両側か
ら弁の組み込みが行なわれる。
【0006】この構成により、燃料タンクTの内圧が上
昇して、タンク側接続口TPが大気圧より所定圧以上高
くなると、図示しない通路を介してダイヤフラム弁22
0の弁本体224への圧力が上昇する。よって、弁本体
224はばね226に抗して着座面228から離れるこ
とにより開いて、燃料タンクTからキャニスタへ燃料蒸
気を逃がす。
【0007】一方、燃料タンクTの内圧が低下して結果
的にキャニスタ接続口CPの圧力が増加しタンク側接続
口TPとキャニスタ接続口CPとの差圧が所定以上にな
ると、チェック弁210の弁本体214への圧力が上昇
する。よって、弁本体214がばね受け部材217を介
してばね216に抗して着座面218から離れることに
より開いて、キャニスタから燃料タンクへ燃料蒸気を戻
す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たように双方向弁200と複数の燃料遮断装置100と
を併用しただけでは、次のような問題がある。燃料タン
クTの各場所に装着された燃料遮断装置100の燃料蒸
気通気ポートと双方向弁200とを接続する配管は、車
両の軽量化や配管の取り回しの都合から、その有効径の
小さい配管とされている。そして、この小径の配管を通
して複数の燃料遮断装置100から双方向弁200のタ
ンク側接続口TPに燃料タンクTの内圧が伝わる。ま
た、双方向弁200は、不用意な脱落や振動の伝播を回
避するために、燃料タンクTから離れた車両ボディーに
固定されている。
【0009】ところで、タンク内の燃料液面と当該装着
箇所におけるタンク起伏で囲まれた部分の容積は、燃料
補給或いは消費による燃料液面の変動により一律ではな
くしかも各装着箇所でもタンク起伏により異なるため、
各燃料遮断装置100から小径の配管を通して双方向弁
200に伝わる圧力も一律ではない。従って、双方向弁
200の手前で各配管は集約されるとはいえ、配管が小
径で双方向弁200までの距離があることから、双方向
弁200に配管を通して伝わる圧力は、燃料タンク内の
圧力変動を越えて変動することがある。よって、双方向
弁200においてハンチングが起き、燃料タンクTの内
圧の調整精度が低下する虞がある。
【0010】もっとも、双方向弁200のタンク側接続
口TPと一つの燃料遮断装置100の燃料蒸気通気ポー
トとを一体化しそのほかの燃料遮断装置100の燃料蒸
気通気ポートを配管を通して接続すれば、双方向弁20
0を各燃料遮断装置100に近づけ、配管を短くでき
る。よって、双方向弁200に配管を通して伝わる圧力
の変動を燃料タンク内の圧力変動にある程度近似させる
ことができるが、次のような別個の問題がある。つま
り、双方向弁200はタンク側接続口TPと燃料蒸気通
気ポートとが一体化した筒状体でいわゆる片持ち保持さ
れることになるので、双方向弁200が振動しやすくな
り、配管の接続の信頼性の低下をもたらし好ましくな
い。或いは双方向弁200を支柱等で別途保持する必要
が生じ煩雑である。このため、双方向弁200のタンク
側接続口TPと一つの燃料遮断装置100の燃料蒸気通
気ポートとを単に一体化することは、現実的ではない。
【0011】本発明は、上記問題点を解決するためにな
され、複数の燃料遮断装置を用いた場合の燃料タンク内
圧の調整精度を向上させることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに請求項1記載の燃料遮断装置の採用した手段は、燃
料タンクに装着され、該燃料タンクと燃料蒸気回収機器
との間で燃料蒸気の通気を行ないつつ該燃料蒸気回収機
器への燃料液の流出を遮断する燃料遮断装置であって、
ケース本体内に、前記燃料タンク内の燃料蒸気および燃
料液が流入可能な下室と、前記燃料蒸気回収機器と接続
される燃料蒸気通気ポートを有する上室と、該上室と前
記下室との間に上部区画壁および下部区画壁とで区画形
成された中間室とを備え、前記上室内には、前記燃料蒸
気通気ポートと前記上部区画壁に空けられた上部連通孔
との間において、該上部連通孔の圧力と前記燃料蒸気通
気ポートの圧力の差に応じて双方向に通気を行なう双方
向弁を有し、前記中間室には、外部機器との間で通気を
行なうための中間室接続ポートを有し、前記下室内に
は、下室への燃料の流入に応じて浮沈し、流入した燃料
により浮上することで、前記下部区画壁に空けられた下
部連通孔を閉塞するフロートバルブを収納してなること
をその要旨とする。
【0013】請求項2記載の燃料遮断装置は、前記ケー
ス本体は、一端が開口した有底の筒状体であり、前記双
方向弁は、前記上部区画壁に向けた付勢力を受けて当該
上部区画壁に着座して前記上部連通孔を閉塞する第1弁
体を有し、該第1弁体を挟んだ圧力の均衡に応じて開弁
して前記上部連通孔を開放する正圧弁機構と、該正圧弁
機構の第1弁体に向けた付勢力を前記上部連通孔側から
受けて当該第1弁体に着座して前記第1弁体に空けられ
た弁体連通孔を閉塞する第2弁体を有し、該第2弁体を
挟んだ圧力の均衡に応じて開弁して前記弁体連通孔を開
放する負圧弁機構とから構成された双方向弁であり、前
記上部区画壁および下部区画壁は、前記上室、中間室、
下室が前記有底側からこの順に区画形成されるよう、前
記ケース本体内に気密に封止されている。
【0014】請求項3記載の燃料遮断システムの採用し
た手段は、燃料タンクの複数の箇所に、該燃料タンクと
燃料蒸気回収機器との間で燃料蒸気通気ポートを通して
燃料蒸気の通気を行ないつつ該燃料蒸気回収機器への燃
料液の流出を遮断する燃料遮断装置を装着し、前記複数
の箇所の各燃料遮断装置により前記燃料蒸気の通気と燃
料液の流出遮断を行なう燃料遮断システムであって、前
記燃料タンクの複数の箇所に装着される少なくとも一つ
の燃料遮断装置を請求項1又は請求項2いずれか記載の
燃料遮断装置とし、該請求項1又は請求項2いずれか記
載の燃料遮断装置の中間室の中間室接続ポートと、他の
燃料遮断装置の前記燃料蒸気通気ポートとを接続し、該
請求項1又は請求項2いずれか記載の燃料遮断装置の燃
料蒸気通気ポートを前記燃料蒸気回収機器に接続してな
ることをその要旨とする。
【0015】
【作用】上記構成を有する請求項1記載の燃料遮断装置
では、下室に燃料液が流入するとフロートバルブが浮上
するので、このフロートバルブにより下部区画壁の下部
連通孔を閉塞する。よって、この下部連通孔を通した中
間室、延いては中間室上方の上室、並びに燃料蒸気回収
機器への燃料の流出を遮断する。
【0016】その一方で、下室にフロートバルブが沈降
している間には下室に燃料蒸気が流入し、その燃料蒸気
は下室と中間室を区画する下部区画壁に空けられた下部
連通孔を経て中間室にも流入する。よって、この中間室
の圧力はこの燃料遮断装置が装着された箇所の燃料タン
ク内圧を燃料液面の高低に拘らず反映した圧力となる。
この中間室の有する中間室接続ポートには外部機器とし
て他の燃料遮断装置における燃料蒸気通気ポートを配管
を介して接続することが可能なので、このように配管し
た場合は、中間室には他の燃料遮断装置が装着された箇
所の燃料タンク内圧が伝わる。
【0017】中間室は配管とは異なり所定の内容積を有
することから、この燃料遮断装置が装着された箇所の燃
料タンク内圧と他の燃料遮断装置が装着された箇所の燃
料タンク内圧に差があっても、中間室により上記の両圧
力の差圧が速やかに解消される。そして、差圧解消後の
圧力、即ち中間室の圧力には燃料タンク全体としての内
圧変動がほぼ反映する。しかも、この燃料遮断装置と他
の燃料遮断装置とは同一の燃料タンクに装着されること
から、両燃料遮断装置間の配管距離も短くなる。よっ
て、この中間室と上室とを区画する上部区画壁に空けら
れた上部連通孔の圧力、即ち中間室の圧力は小径の配管
やその距離に起因する圧力変動が抑制された圧力とな
る。
【0018】そして、上室内の双方向弁は、燃料蒸気通
気ポートから燃料蒸気回収機器側の圧力を上部区画壁の
上部連通孔を通して中間室の圧力を受け、その差圧に応
じて燃料蒸気通気ポートと上部区画壁の上部連通孔との
間を双方向に通気する。この場合、中間室の圧力は小径
の配管やその距離に起因する圧力変動が抑制された圧力
なので、双方向弁のハンチングの発生頻度は低下する。
【0019】請求項2記載の燃料遮断装置では、上部区
画壁によりケース本体の有底側に区画形成された上室内
において、その双方向弁を構成する第1弁機構の第1弁
体が上部区画壁に向けた付勢力を受けてこの上部区画壁
に着座している場合には、上部区画壁の上部連通孔を第
1弁体により閉塞状態におく。よって、上部連通孔の圧
力である中間室の圧力が増加すれば、この増加した圧力
が第1弁体の受けている付勢力に抗して第1弁体を上部
区画壁から離間させて第1弁機構を開弁し、上部連通孔
を開放する。このため、下室から下部区画壁の下部連通
孔を経て中間室に流入した燃料蒸気は、上部連通孔から
上室を経て燃料蒸気通気ポートに通気される。この際、
第2弁機構の第2弁体にも上部連通孔における増加した
圧力が作用するが、その作用する向きは第2弁体に上部
連通孔側から第1弁体に向けて作用する付勢力の向きと
同方向なので、第2弁機構は閉弁したままである。
【0020】この場合、中間室の中間室接続ポートに他
の燃料遮断装置における燃料蒸気通気ポートが接続され
ていれば、燃料蒸気はこの他の燃料遮断装置からも中間
室を経て本燃料遮断装置の燃料蒸気通気ポートに通気さ
れる。
【0021】一方、第2弁機構の第2弁体は第1弁体に
向けて上部連通孔側から付勢力を受けて第1弁体に着座
している場合には、第1弁体に空けられた弁体連通孔を
閉塞状態におく。よって、燃料蒸気通気ポートの圧力が
増加すれば、この増加した圧力が第2弁体の受けている
付勢力に抗して第2弁体を第1弁体から離間させて第2
弁機構を開弁し、弁体連通孔を開放する。このため、燃
料蒸気通気ポートから上室に流入した燃料蒸気は、第1
弁体の弁体連通孔,上部区画壁の上部連通孔,中間室お
よび下部区画壁の下部連通孔を経て下室に通気される。
この際、第1弁機構の第1弁体にも燃料蒸気通気ポート
における増加した圧力が作用するが、その作用する向き
は第1弁体に上部区画壁に向けて作用する付勢力と同方
向なので、第1弁機構は閉弁したままである。
【0022】この場合、中間室の中間室接続ポートに他
の燃料遮断装置における燃料蒸気通気ポートが接続され
ていれば、燃料蒸気は中間室を経てこの他の燃料遮断装
置にも通気される。
【0023】また、このようにして燃料蒸気の双方向通
気と燃料液の流出遮断を行なう請求項2記載の燃料遮断
装置では、ケース本体の有底側に第1弁機構と第2弁機
構とから構成される双方向弁のケース本体の開口からの
組み込み,上部区画壁のケース本体内への開口からの気
密封止,下部区画壁のケース本体内への開口からの気密
封止,フロートバルブの下室への開口からの収納で、そ
の組み付けが完了する。よって、ケース本体の開口を通
した一方向からの組み付けを必要とするに過ぎないとと
もに、双方向弁を収納する上室の気密をケース本体内へ
の上部区画壁の気密封止だけにより行なう。
【0024】請求項3記載の燃料遮断システムでは、燃
料タンクの複数の箇所に装着される少なくとも一つの燃
料遮断装置における中間室で各燃料遮断装置それぞれの
タンク圧力の差圧を速やかに解消する。そして、この速
やかな差圧解消と配管の短距離化を通して、燃料蒸気回
収機器とそれぞれの燃料遮断装置との間の双方向通気を
ハンチングさせることなく行なう。しかも、複数の燃料
遮断装置の一つを中間室と双方向弁を備えるものとすれ
ばよい。
【0025】
【実施例】次に、本発明に係る燃料遮断装置と燃料遮断
システムの好適な実施例について、図面に基づき説明す
る。実施例の燃料遮断装置10は、その断面図である図
1に示すように、略円筒状のケース本体12内に、後述
の双方向弁20および燃料遮断弁機構70を総て収納し
て備える。また、実施例の燃料遮断システムは、図5に
示す3つの燃料遮断装置のうち、その一つを実施例の燃
料遮断装置10として備え、他の二つは既存の燃料遮断
装置100(特開平4−228321号参照)、即ち従
来の燃料遮断装置である。
【0026】図1に示すように、燃料遮断装置10のケ
ース本体12は、その下端を開口した有底の筒状筐体と
して耐油性の樹脂(例えば、ポリアセタールやナイロン
等)から一体成形され、その中央外壁はフランジ部13
とされている。そして、図示しない燃料タンクの上端壁
とこのフランジ部13との間にパッキン14を介在させ
て、受け板16により燃料タンクに固定される。このよ
うに燃料タンクに固定されると、フランジ部13より下
部は燃料タンク内に位置し、フランジ部13の上部は燃
料タンクから露出することになる。この燃料タンクから
露出する部分に双方向弁20と中間室80が位置し、燃
料タンク内に位置する部分に燃料遮断弁機構70が組み
込まれる。
【0027】また、ケース本体12におけるフランジ部
13上部の円筒部側壁には、図示しないキャニスタと接
続される燃料蒸気通気ポート18と中間室80に連通し
た中間室ポート19が形成されている。更に、フランジ
部13の下部側壁には燃料タンク内の燃料およびその蒸
気(ベーパ)が流入する複数のベーパ孔22が空けられ
ている。
【0028】そして、ケース本体12の内周壁には、有
底側から上部固着段部15と下部固着段部15aが形成
されており、各段部には、上部区画壁板28と下部区画
壁板28aが超音波溶着により封着されている。なお、
これら区画壁の超音波溶着の実施工程については後述す
る。この上部区画壁板28と下部区画壁板28aによ
り、ケース本体12内部は、有底側から双方向弁室24
と中間室80と下部フロート室26とに気密に区画され
ている。よって、ケース本体12は、その内部の開口に
相当する上部固着段部15と下部固着段部15aにおい
て、上部区画壁板28と下部区画壁板28aにより気密
に閉塞されている。この上部区画壁板28および下部区
画壁板28aは、ケース本体12と同様に上記樹脂から
形成されており、その外周縁形状はケース本体12の該
当する固着段部(上部固着段部15又は下部固着段部1
5a)に嵌合・密着する形状とされている。また、ケー
ス本体12の下端開口17には、これを閉塞する上記樹
脂製の蓋体29が係合・固定されている。
【0029】次に、このケース本体12に収納して組み
付けられる構成部材および各構成部材で構成される双方
向弁20および燃料遮断機構について説明する。
【0030】まず、ケース本体12の双方向弁室24に
収納される弁機構(正圧弁機構30,負圧弁機構50)
について説明する。ここで、正圧弁機構30は、後述す
るフロートが浮上していないときに燃料タンク内圧が上
昇した場合、タンク内の燃料蒸気をキャニスタに排出し
てタンク内圧を調整するためのものである。負圧弁機構
50は、燃料タンク内圧が低下したとき、タンク内にキ
ャニスタから燃料蒸気を導入してタンク内圧を調整する
ためのものである。つまり、この正圧弁機構30と負圧
弁機構50とで、キャニスタと燃料タンクとの間の双方
向弁20を構成し、両弁機構によりタンク内圧が調整さ
れる。
【0031】正圧弁機構30は、図1およびその分解図
である図2に示すように、双方向弁室24の上端面に形
成された突起25にその下方から組み付けられた正圧用
スプリング31と、この正圧用スプリング31により下
方に付勢される上記樹脂製のバルブ受け体32と、この
バルブ受け体32に嵌合・固定された正圧バルブ体34
とを備える。正圧バルブ体34は、カップ状をなした嵌
合胴体部35の開口縁部に平板環状のシール片36を連
設して形成されている。そして、この嵌合胴体部35の
周壁に設けた環状突起37とシール片36の厚肉根本部
38との間にバルブ受け体32の下端面中央の凹部33
における開口縁部の内側環状突起39が嵌り込み、かつ
正圧バルブ体34の嵌合胴体部35がバルブ受け体32
の凹部33に嵌り込ようにして、正圧バルブ体34はバ
ルブ受け体32に嵌合・固定される。
【0032】よって、正圧バルブ体34は、正圧用スプ
リング31の付勢力をバルブ受け体32を介して受け、
正圧用スプリング31に抗してバルブ受け体32ごと双
方向弁室24内で上下動自在となる。そして、この正圧
バルブ体34は、上部区画壁板28に対しては、近接離
間するよう移動する。なお、正圧バルブ体34は、ニト
リルゴム,フッ素ゴム等から形成される。
【0033】正圧バルブ体34に対向することになる上
部区画壁板28の中央には、中間室80に連通する貫通
孔40が空けられており、これを取り囲むように上部区
画壁板28上面にスプリング受け段部41が形成されて
いる(図2参照)。また、上部区画壁板28上面には、
貫通孔40と同心に正圧側シール突起42が環状に形成
されている。従って、正圧バルブ体34は、正圧用スプ
リング31の付勢力を上部区画壁板28に向けて受け、
シール片36を上部区画壁板28上面の正圧側シール突
起42に押し付けて貫通孔40を閉塞する。
【0034】このため、正圧弁機構30は、正圧バルブ
体34を挟んだ双方向弁室24の圧力(燃料蒸気通気ポ
ート18を介して伝わるキャニスタ側圧力),正圧用ス
プリング31の付勢力で定まる圧力および中間室80に
おける圧力の均衡を通して開閉することになる。つま
り、正圧バルブ体34が下方に押し下げられてシール片
36が正圧側シール突起42に着座することで、正圧弁
機構30は双方向弁室24、即ちキャニスタと中間室8
0との間を閉弁する。なお、後述するように下部区画壁
板28aにはその中央に貫通孔45が空けられているの
で、中間室80にはこの貫通孔45を通して燃料蒸気が
流入する。よって、中間室80の圧力は、燃料タンク内
圧に該当する。
【0035】一方、上部区画壁板28の貫通孔40を通
して正圧バルブ体34下面の受圧する燃料タンク内圧が
増加して双方向弁室24におけるキャニスタ側圧力より
大きくなり、この燃料タンク内圧に基づく力が正圧用ス
プリング31の付勢力に勝ると、正圧バルブ体34が正
圧用スプリング31に抗して押し上げられる。このた
め、正圧バルブ体34のシール片36が正圧側シール突
起42から離間して正圧弁機構30は開弁状態となり、
双方向弁室24と中間室80とは貫通孔40を介して連
通する。こうして正圧弁機構30は、中間室80におけ
る貫通孔40の圧力と燃料蒸気通気ポート18のキャニ
スタ側圧力との差圧が所定値となると開弁し、ベーパ孔
22→下部フロート室26→貫通孔45→中間室80→
貫通孔40→双方向弁室24→燃料蒸気通気ポート18
の順に燃料タンク内の燃料蒸気をキャニスタに通気す
る。そして、燃料遮断装置10は、この通気を通して燃
料タンク内圧を降圧調整する。
【0036】負圧弁機構50は、図1および図2に示す
ように、上記した正圧弁機構30の正圧バルブ体34に
おける嵌合胴体部35の底面板部43およびその中央の
連通孔44とともに弁機能を果たすものであり、次のよ
うな構成を備える。この負圧弁機構50は、上記樹脂製
の負圧バルブ体52と、この負圧バルブ体52を上向き
に付勢する負圧用スプリング53とを備える。負圧バル
ブ体52の下端には、平板環状の鍔体54が形成されて
おり、鍔体54の周縁には底面板部43に向けて突出し
た負圧側シール突起54aが環状に形成されている。ま
た、負圧バルブ体52の下端は、負圧用スプリング53
の取着用突起55とされており、負圧バルブ体52の上
端は、バルブ受け体32の中央に空けられた案内孔56
に隙間を持って挿入される挿入筒部57とされている。
【0037】図3の斜視図に示すように、バルブ受け体
32の案内孔56はその周囲の4ケ所に形成された抜止
片58により異形形状の孔とされている。一方、負圧バ
ルブ体52における挿入筒部57の上端には、案内孔5
6の抜止片58と係合する抜止係合片59が形成されて
いる。よって、抜止片58と抜止係合片59との係合に
より、負圧バルブ体52は、挿入筒部57が案内孔56
に挿入された状態で不用意に案内孔56から抜け出るこ
となく、その鍔体54を正圧バルブ体34と上部区画壁
板28との間に位置させる。なお、挿入筒部57の上端
には、案内孔56に挿入筒部57を挿入して抜止片58
と抜止係合片59との係合を図る際に、抜止係合片59
同士を近づけるためのスリット60が形成されている。
【0038】また、負圧用スプリング53は、ある程度
圧縮した状態で負圧バルブ体52の鍔体54と上部区画
壁板28とで挟まれるよう、負圧バルブ体52の取着用
突起55と上部区画壁板28のスプリング受け段部41
との間に配置され、負圧バルブ体52に上向きの付勢力
を与える。よって、負圧バルブ体52は、負圧用スプリ
ング53の付勢力を正圧バルブ体34に向けて貫通孔4
0側から受け、この負圧用スプリング53に抗して正圧
バルブ体34に対して近接離間するよう上下動する。そ
して、負圧バルブ体52は、負圧用スプリング53の付
勢力を受けて鍔体54の負圧側シール突起54aを正圧
バルブ体34の底面板部43に押し付け、正圧バルブ体
34の連通孔44を閉塞する。なお、案内孔56や連通
孔44は、負圧バルブ体52が円滑に上下動できる径の
孔とされている。
【0039】このため、負圧弁機構50は、図1に示す
ように正圧弁機構30の閉弁状態において、負圧バルブ
体52を挟んだ双方向弁室24の圧力(燃料蒸気通気ポ
ート18を介して伝わるキャニスタ側圧力)と、負圧用
スプリング53の付勢力で定まる圧力および中間室80
における圧力(燃料タンク内圧)との均衡を通して開閉
することになる。つまり、負圧バルブ体52が上方に押
し上げられて負圧側シール突起54aが底面板部43に
着座することで、負圧弁機構50は双方向弁室24、即
ちキャニスタと中間室80との間を閉弁する。
【0040】一方、上部区画壁板28の貫通孔40を通
して負圧バルブ体52の鍔体54下面の受圧する燃料タ
ンク内圧が低下して相対的に双方向弁室24におけるキ
ャニスタ側圧力が高くなり、その差圧に基づく力が負圧
用スプリング53の付勢力に勝ると、負圧バルブ体52
が負圧用スプリング53に抗して押し下げられる。この
ため、負圧バルブ体52の負圧側シール突起54aが正
圧バルブ体34の底面板部43から離間して負圧弁機構
50は開弁状態となり、双方向弁室24と中間室80と
は連通孔44および貫通孔40を介して連通する。こう
して負圧弁機構50は、燃料タンク内圧が低下してキャ
ニスタ側圧力との差圧(負の差圧)が所定値となると開
弁し、燃料蒸気通気ポート18→双方向弁室24→連通
孔44と案内孔56→貫通孔40→中間室80→貫通孔
45→下部フロート室26→ベーパ孔22の順に、キャ
ニスタから燃料タンク内に燃料蒸気を通気する。そし
て、燃料遮断装置10は、この通気を通して燃料タンク
内圧を昇圧調整する。つまり、燃料遮断装置10は、正
圧弁機構30と負圧弁機構50とからなる双方向弁20
により、キャニスタと燃料タンクとの間において、燃料
蒸気を双方向に通気し、燃料タンク内圧を所定の圧力に
調整する。
【0041】また、図1および図2,図3に示すよう
に、上部区画壁板28の上面には、等間隔に4つの二股
支持脚61がバルブ受け体32を取り囲むよう立設され
ている。そして、隣合う二股支持脚61の間に、平板円
弧状の係合円弧片62が掛け渡し設けられている。よっ
て、各係合円弧片62は、4本の二股支持脚61により
上部区画壁板28上面から所定距離を隔てて保持され、
上部区画壁板28の上面における正圧バルブ体34のバ
ルブ受け体32の上下ストロークを制限する。一方、バ
ルブ受け体32の外周壁周縁には、この係合円弧片62
と係合する係合環状体63が形成されている。この場
合、係合環状体63の外径と二股支持脚61の内側湾曲
部内径は、上部区画壁板28の上面におけるバルブ受け
体32の上下動を阻害しないよう、定められている。な
お、バルブ受け体32の上部区画壁板28上面への組み
込みに際しては、二股支持脚61の股部の拡張を通して
各係合円弧片62は押し広げられるので、バルブ受け体
32の上部区画壁板28上面への組み込みに支障はな
い。
【0042】次に、ケース本体12の下部フロート室2
6に収納される燃料遮断弁機構70について、図1に戻
って説明する。この燃料遮断弁機構70は、車両の急旋
回等により燃料タンクの液面が変動した際にあっても、
燃料の不用意なキャニスタへの流入を回避するためのも
のである。
【0043】この燃料遮断弁機構70は、下部フロート
室26内において燃料タンクの液面の変動に応じて浮沈
する上記樹脂製のメインフロート71と、このメインフ
ロート71を上向きに付勢するスプリング72と、メイ
ンフロート71とその上端で係合しメインフロート71
に対して上下動可能なサブフロート73とを備え、二段
フロート弁として構成されている。なお、このスプリン
グ72は、メインフロート71の見かけ比重を低下させ
るために使用される。そして、下部フロート室26への
燃料流入がないときには、スプリング72は、メインフ
ロート71がその自重により蓋体29に接するまで圧縮
されるよう、そのバネ荷重が設計されている。
【0044】メインフロート71の先端は閉塞したメイ
ンバルブ突起74とされており、内部にはスプリング7
2を収納するスプリング収納室75が形成されている。
また、その外周面には、メインフロート71が下部フロ
ート室26に組み込まれた場合、ケース本体12の内周
面と所定のクリアランスを持つよう形成された案内片7
6を等間隔に備える。
【0045】サブフロート73の先端は、メインフロー
ト71とともに下部フロート室26において浮上した際
に下部区画壁板28aの貫通孔45の内周テーパ面に密
着するサブバルブ突起77とされている。また、当該突
起の中央には、メインフロート71が浮上した際にメイ
ンバルブ突起74により閉塞される貫通孔78が空けら
れている。なお、貫通孔45の上端は、座ぐり穴46と
されている。
【0046】従って、下部フロート室26内に燃料が流
入してメインフロート71が浮上すると、まずメインフ
ロート71のメインバルブ突起74がサブフロート73
の貫通孔78を閉塞し、それ以降は、メインフロート7
1とサブフロート73とが一体となって浮上する。そし
て、貫通孔78が閉塞された状態でサブフロート73の
サブバルブ突起77が上部区画壁板28の貫通孔40に
進入して密着し、下部区画壁板28aの貫通孔45は閉
塞される。よって、この燃料遮断弁機構70は、上記一
連の動作により貫通孔45を通した燃料のキャニスタへ
の流入を回避する。なお、メインフロート71は、案内
片76により下部フロート室26内を案内されることか
ら、サブバルブ突起77の貫通孔40への進入は、精度
よくなされる。
【0047】また、下部フロート室26から燃料がタン
ク内に流出した場合には、まず最初にメインフロート7
1が沈んで貫通孔78が開放され、次いでメインバルブ
突起74もメインフロート71とともに沈んで貫通孔4
5からサブバルブ突起77が離れる。なお、貫通孔78
が開放された時点から、上記した双方向弁20による燃
料蒸気の通気並びに燃料タンク内圧の調整が開始され
る。
【0048】次に、上記した正圧弁機構30と負圧弁機
構50とからなる双方向弁20および燃料遮断弁機構7
0をケース本体12に組み付ける作業について、順次説
明する。
【0049】まず、図2を用いて説明する。双方向弁2
0や燃料遮断弁機構70の組み付けに先立っては、既述
したように正圧バルブ体34とバルブ受け体32とを嵌
合・固定して両者を一体化する。次いで、負圧バルブ体
52を、抜止片58と抜止係合片59との係合を経て、
鍔体54が底面板部43の下方に位置するようバルブ受
け体32に一体化する。続いて、負圧用スプリング53
を上部区画壁板28のスプリング受け段部41に配置
し、負圧バルブ体52および正圧バルブ体34の一体化
済みのバルブ受け体32を、上部区画壁板28の各係合
円弧片62が取り囲む領域に押し込む。この際、係合円
弧片62は、バルブ受け体32の係合環状体63が通過
する間の二股支持脚61の股部の拡張を通して押し広げ
られ、係合円弧片62の通過の後にはこの係合環状体6
3と係合し、バルブ受け体32の上下ストロークを制限
する。このため、負圧弁機構50を構成する負圧バルブ
体52,負圧用スプリング53と、正圧弁機構30のバ
ルブ受け体32,正圧バルブ体34とは、上部区画壁板
28に一体化され、正圧弁機構30,負圧弁機構50の
サブアッシーが完了する。
【0050】こうして、正負の弁機構のサブアッシーが
完了すると、バルブ受け体32や負圧バルブ体52等は
上部区画壁板28から離れることはない。よって、バル
ブ受け体32が下方にくるようサブアッシー物を裏返し
ても、その後の組み付けになんらの支障はないととも
に、その取扱いが容易となる。なお、バルブ受け体32
の係合円弧片62への押し込みがなされると、負圧用ス
プリング53はその上端部が負圧バルブ体52の取着用
突起55に嵌り込むことになる。
【0051】正負の弁機構のサブアッシー完了後には、
ケース本体12の下端開口17が上を向くよう所定の図
示しない治具にケース本体12をセットし、上記サブア
ッシー物を上から組み付けられるように準備する。次い
で、ケース本体12の下端開口17を通じて、双方向弁
室24側の突起25に正圧用スプリング31を位置決め
して入れ込む(図1参照)。次に、上記サブアッシー物
を下端開口17からケース本体12内の有底側まで挿入
して、当該サブアッシー物の上部区画壁板28をケース
本体12の上部固着段部15に嵌め込み、図示しない超
音波溶着機のホーンにより、上部区画壁板28を上部固
着段部15に気密に超音波溶着する。こうして、ケース
本体12の双方向弁室24内に、正圧弁機構30,負圧
弁機構50が収納して組み付けられる。なお、ケース本
体12を横向きとしたり双方向弁室24側を上にしたり
して、上記作業を行なってもよいことは勿論である。
【0052】このように、上部区画壁板28が溶着され
た後には、正圧用スプリング31に正圧弁機構30のバ
ルブ受け体32が付勢されて、正圧バルブ体34のシー
ル片36は上部区画壁板28上面の正圧側シール突起4
2に着座する。なお、負圧弁機構50の鍔体54におけ
る負圧側シール突起54aは、上記したサブアッシーの
間に負圧用スプリング53により正圧バルブ体34の底
面板部43に着座する。
【0053】燃料遮断弁機構70の組み付けに当たって
は、上部区画壁板28のケース本体12への超音波溶着
後に、まず、下部区画壁板28aを下端開口17からケ
ース本体12内に挿入して、下部区画壁板28aをケー
ス本体12の下部固着段部15aに嵌め込み、図示しな
い超音波溶着機のホーンにより、下部区画壁板28aを
下部固着段部15aに気密に超音波溶着する。次いで、
メインバルブ突起74と係合済みのメインフロート71
をケース本体12の下端開口17を通じて下部フロート
室26内に挿入する。続いて、スプリング72をスプリ
ング収納室75に入れた後、蓋体29をケース本体12
の下端開口17にかぶせて係合・固定すれば、下部フロ
ート室26内への燃料遮断弁機構70の組み付けが完了
する。
【0054】こうして組み付けが完了した燃料遮断装置
10は、図5に示す燃料タンクTの起伏部の一箇所に下
部フロート室26がタンク内に位置するよう装着され、
他の二箇所の起伏部には従来の燃料遮断装置100を装
着される。そして、図示するように、二つの従来の燃料
遮断装置100の燃料蒸気通気ポートを配管で集約した
後に本実施例の燃料遮断装置10における中間室ポート
19に接続し、燃料遮断装置10の燃料蒸気通気ポート
18をキャニスタに配管接続すると、実施例の燃料遮断
システムが完成する。
【0055】この燃料遮断システムでは、燃料遮断装置
10の中間室80における中間室ポート19に他の二つ
の従来の燃料遮断装置100の燃料蒸気通気ポートを配
管を介して接続している。このため、実施例の燃料遮断
装置10およびこれを用いた燃料遮断システムでは、燃
料遮断装置10の備える双方向弁20により双方向の燃
料蒸気の通気を、燃料遮断装置10だけではなく、中間
室80およびその中間室ポート19を通して他の二つの
燃料遮断装置100にも行ない、総ての燃料遮断装置の
装着箇所でタンク内圧の調整を行なう。そして、このよ
うな双方向の燃料蒸気の通気を、所定の内容積を有する
中間室80において、各燃料遮断装置が装着された箇所
の燃料タンク内圧の差を予め速やかに解消した後の圧力
に基づき行なう。しかも、他の二つの燃料遮断装置10
0から燃料遮断装置10に至るまでの短い配管距離で、
配管から他の二つの燃料遮断装置100の圧力を伝えさ
せるに過ぎない。
【0056】この結果、実施例の燃料遮断装置10およ
びこれを用いた燃料遮断システムによれば、中間室80
の圧力を小径の配管やその距離に起因して不用意に変動
させることがなくなり、双方向弁20のハンチングの発
生頻度の低下を通して正確にタンク内圧を調整すること
ができる。また、実施例の燃料遮断装置10およびこれ
を用いた燃料遮断システムによれば、複数の燃料遮断装
置の一つを燃料遮断装置10とすればよいので、既存の
燃料遮断システムを、ハンチングがなくタンク内圧の調
整精度の高いものに容易に改造することができ、既存装
置の有効利用が図れる。更に、双方向弁20の組み込み
により部品点数が少なくなり、製造工数や組み付け工数
の低減のほか、取扱いの簡便化をもたらすことができ
る。
【0057】また、従来の燃料遮断装置100では以下
のような欠点があるのに対し、本実施例の燃料遮断装置
10ではそのような欠点はない。つまり、図6に示す従
来の双方向弁200と従来の燃料遮断装置100をその
接続ポートを一体にした場合では、その組み付けに当た
って、チェック弁210を上弁室203の開口を通じ
て、ダイヤフラム弁220を下弁室204の開口を通じ
てそれぞれ異なった方向から組み付ける必要がある。従
って、チェック弁210の組み付け完了の都度、弁本体
214を燃料遮断装置ごと裏返してからしかダイヤフラ
ム弁220の組み付けを行なえないため、組み付け作業
性がよくない。
【0058】また、この双方向弁200におけるシール
箇所が上弁室203の開口と下弁室204の開口の2箇
所にあるため、双方向弁200としての気密性を確保す
るために、それぞれのシール箇所において該当する蓋体
を上弁室203および下弁室204の開口に慎重に封止
する必要があり、煩雑であった。
【0059】これに対して、本実施例の燃料遮断装置1
0では、ケース本体12の下端開口17を通して一方向
から総ての構成部材の組み付けを行なうことができる。
このため、本実施例の燃料遮断装置10によれば、その
組み付け作業の簡略化と組み付け作業性の向上とを図る
ことができる。しかも、燃料遮断装置10の組み付けに
先立ち、正圧弁機構30の正圧バルブ体34,バルブ受
け体32と負圧弁機構50と上部区画壁板28とのサブ
アッシーによりこれらの一体化を行なうことができるの
で、組み付け作業の簡略化や組み付け作業性の向上をよ
り一層推進することができる。
【0060】また、上部区画壁板28の超音波溶着によ
り、双方向弁20において必要な総てのシール箇所のシ
ールが完了するとともに、シール箇所のケース本体12
外部への露出がない。このため、本実施例の燃料遮断装
置10によれば、シール性に優れた燃料遮断装置10と
することができ気密信頼性を向上させることができる。
【0061】なお、従来の燃料遮断装置と同様の効果を
奏することができるのは勿論である。即ち、本実施例の
燃料遮断装置10によれば、急旋回時や凹凸の激しい路
面或いは急斜面の走行時などのように燃料タンク内の燃
料液面が大きく変動しても、キャニスタへの不用意な燃
料流出を回避することができる。また、燃料タンク内圧
を正圧弁機構30と負圧弁機構50とからなる双方向弁
20による燃料蒸気の双方向通気を介して調整すること
ができる。
【0062】以上本発明の一実施例について説明した
が、本発明はこの様な実施例になんら限定されるもので
はなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々な
る態様で実施し得ることは勿論である。
【0063】例えば、負圧弁機構50をいわゆる傘バル
ブを用いた構成とすることもできる。即ち、図4に示す
ように、シール片36を有する正圧バルブ体34とバル
ブ受け体32に傘バルブ90をその傘部が貫通孔40と
対向するよう嵌合・固定し、傘バルブ90の傘部で塞が
れる箇所の正圧バルブ体34,バルブ受け体32に透孔
91を空ける。そして、傘バルブ90によりこの透孔9
1が開閉するよう負圧弁機構50Aを構成する。この負
圧弁機構50Aであっても、傘バルブ90の傘部を挟ん
だ双方向弁室24と中間室80との圧力の均衡に基づ
き、上記した負圧弁機構50と同様に燃料タンク内圧を
調整できる。このような構成とすることで、負圧バルブ
体52,負圧用スプリング53等が不要となりその構成
を簡略化することができる。なお、このような構成を採
った場合における傘バルブ90は、その傘部の形状やい
わゆる腰の強さにより、当該傘部を傘バルブ90自身で
正圧バルブ体34の底面板部43に向けて付勢する。
【0064】また、上記した実施例では、負圧用スプリ
ング53を負圧バルブ体52と上部区画壁板28との間
に組み込んで負圧用スプリング53を正圧バルブ体34
に向けて押し上げるよう付勢する構成としたが、これに
限るわけではない。例えば、負圧用スプリング53を正
圧弁機構30のバルブ受け体32上面と負圧バルブ体5
2の抜止係合片59との間に配置可能な径のスプリング
とし、負圧バルブ体52を正圧バルブ体34に向けて引
き上げるよう付勢する構成を採ることもできる。
【0065】更に、上記実施例では、双方向弁室24へ
の双方向弁20の組み込みをケース本体12の下端開口
17側からだけで行なえる構成について説明したが、こ
れに限るわけではない。例えば、図6に示したようなダ
イヤフラム弁220を正圧弁機構30の替わりに用い、
チェック弁210を負圧弁機構50に替えて用いた構成
とすることもできる。しかも、この場合には、ダイヤフ
ラム弁220とチェック弁210の組み込み方向が異な
るものであっても、複数の燃料遮断装置を用いた燃料遮
断システムにおけるタンク内圧の調整精度の向上をもた
らすことができるのは勿論である。
【0066】また、上記実施例では、バルブ受け体32
と上部区画壁板28とを係合円弧片62と係合環状体6
3の係合を介して一体化するよう構成したが、これに限
るわけではない。具体的に説明すると、上部区画壁板2
8を、二股支持脚61,係合円弧片62を備えないもの
として、上部固着段部15に封着してもよい。このよう
に構成しても、正圧バルブ体34と負圧バルブ体52と
のバルブとしての機能はそのまま発揮されるので、支障
はない。
【0067】また、中間室80に実施例の燃料遮断装置
10以外の燃料遮断装置100の個数分の本数の中間室
ポート19を設けるよう構成することもできる。図5の
場合には、中間室80に2本の中間室ポート19を設け
た燃料遮断装置10とすることもできる。この場合に、
図5に示したような配管途中での集約が不要で実施例の
燃料遮断装置10と他の燃料遮断装置100とを個別に
配管すればよいので、配管作業が容易となる。
【0068】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1記載の燃料
遮断装置では、双方向弁を収納する上室とフロートバル
ブを収納する下室との間に中間室を気密に区画して備
え、この中間室に、このような中間室および双方向弁を
有しない他の燃料遮断装置を配管接続することで、中間
室に他の燃料遮断装置からの圧力を伝えてその差圧を解
消するとともに、双方向弁までの配管距離を短くする。
この結果、請求項1記載の燃料遮断装置によれば、燃料
蒸気の双方向通気を行なう際の中間室の圧力を小径の配
管やその距離に起因して不用意に変動させることがない
ので、双方向弁のハンチングの発生頻度を低下させタン
ク内圧の調整精度を向上させることができる。
【0069】請求項2記載の燃料遮断装置弁によれば、
第1弁機構や第2弁機構,上部区画壁,下部区画壁等の
総ての構成部材の組み込みを、ケース本体の開口を通し
た一方向からの組み付けとすることができるので、組み
付け作業性を向上させることができる。また、請求項2
記載の燃料遮断装置弁によれば、双方向弁を収納する上
室の気密をケース本体内への上部区画壁の気密封止の一
箇所だけにより行なうので、シール箇所の低減を通して
高い気密性を確保することができる。
【0070】請求項3記載の燃料遮断システムによれ
ば、燃料遮断装置の装着箇所の一箇所に本発明の燃料遮
断装置を装着し複数の燃料遮断装置を相互に接続するだ
けで、本発明の燃料遮断装置における中間室での差圧解
消と配管の短距離化を通して、既存の燃料遮断システム
を、ハンチングがなくタンク内圧の調整精度の高いもの
に容易に改造することができ、既存装置の有効利用が図
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の燃料遮断装置10の断面図。
【図2】双方向弁20を構成する正圧弁機構30および
負圧弁機構50の構成部材の分解断面図。
【図3】正圧弁機構30を構成する上部区画壁板28と
バルブ受け体32の斜視図。
【図4】変形例の燃料遮断装置10の断面図。
【図5】燃料遮断装置を複数用いて構成される燃料遮断
システムの概略斜視図。
【図6】従来の燃料遮断装置と併用される双方向弁の断
面図。
【符号の説明】
10…燃料遮断装置 12…ケース本体 15…上部固着段部 15a…下部固着段部 17…下端開口 18…燃料蒸気通気ポート 19…中間室ポート 20…双方向弁 22…ベーパ孔 24…双方向弁室 26…下部フロート室 28…上部区画壁板 28a…下部区画壁板 29…蓋体 30…正圧弁機構 31…正圧用スプリング 32…バルブ受け体 34…正圧バルブ体 36…シール片 37…環状突起 40…貫通孔 42…正圧側シール突起 43…底面板部 44…連通孔 45…貫通孔 50…負圧弁機構 50A…負圧弁機構 52…負圧バルブ体 53…負圧用スプリング 54…鍔体 54a…負圧側シール突起 70…燃料遮断弁機構 71…メインフロート 72…スプリング 73…サブフロート 74…メインバルブ突起 75…スプリング収納室 77…サブバルブ突起 78…貫通孔 80…中間室 90…傘バルブ 91…透孔 T…燃料タンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 37/00 301 F02M 37/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料タンクに装着され、該燃料タンクと
    燃料蒸気回収機器との間で燃料蒸気の通気を行ないつつ
    該燃料蒸気回収機器への燃料液の流出を遮断する燃料遮
    断装置であって、 ケース本体内に、前記燃料タンク内の燃料蒸気および燃
    料液が流入可能な下室と、前記燃料蒸気回収機器と接続
    される燃料蒸気通気ポートを有する上室と、該上室と前
    記下室との間に上部区画壁および下部区画壁とで区画形
    成された中間室とを備え、 前記上室内には、前記燃料蒸気通気ポートと前記上部区
    画壁に空けられた上部連通孔との間において、該上部連
    通孔の圧力と前記燃料蒸気通気ポートの圧力の差に応じ
    て双方向に通気を行なう双方向弁を有し、 前記中間室には、外部機器との間で通気を行なうための
    中間室接続ポートを有し、 前記下室内には、下室への燃料の流入に応じて浮沈し、
    流入した燃料により浮上することで、前記下部区画壁に
    空けられた下部連通孔を閉塞するフロートバルブを収納
    してなる燃料遮断装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の燃料遮断装置であって、 前記ケース本体は、一端が開口した有底の筒状体であ
    り、 前記双方向弁は、前記上部区画壁に向けた付勢力を受け
    て当該上部区画壁に着座して前記上部連通孔を閉塞する
    第1弁体を有し、該第1弁体を挟んだ圧力の均衡に応じ
    て開弁して前記上部連通孔を開放する正圧弁機構と、該
    正圧弁機構の第1弁体に向けた付勢力を前記上部連通孔
    側から受けて当該第1弁体に着座して前記第1弁体に空
    けられた弁体連通孔を閉塞する第2弁体を有し、該第2
    弁体を挟んだ圧力の均衡に応じて開弁して前記弁体連通
    孔を開放する負圧弁機構とから構成された双方向弁であ
    り、 前記上部区画壁および下部区画壁は、前記上室、中間
    室、下室が前記有底側からこの順に区画形成されるよ
    う、前記ケース本体内に気密に封止されている燃料遮断
    装置。
  3. 【請求項3】 燃料タンクの複数の箇所に、該燃料タン
    クと燃料蒸気回収機器との間で燃料蒸気通気ポートを通
    して燃料蒸気の通気を行ないつつ該燃料蒸気回収機器へ
    の燃料液の流出を遮断する燃料遮断装置を装着し、前記
    複数の箇所の各燃料遮断装置により前記燃料蒸気の通気
    と燃料液の流出遮断を行なう燃料遮断システムであっ
    て、 前記燃料タンクの複数の箇所に装着される少なくとも一
    つの燃料遮断装置を請求項1又は請求項2いずれか記載
    の燃料遮断装置とし、 該請求項1又は請求項2いずれか記載の燃料遮断装置の
    中間室の中間室接続ポートと、他の燃料遮断装置の前記
    燃料蒸気通気ポートとを接続し、 該請求項1又は請求項2いずれか記載の燃料遮断装置の
    燃料蒸気通気ポートを前記燃料蒸気回収機器に接続して
    なる燃料遮断システム。
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