JP3257218B2 - ばね用鋼の製造方法 - Google Patents

ばね用鋼の製造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はばね用鋼の製造方法に
関し、詳しくは連続鋳造法を用いたばね用鋼の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ばね用鋼の製造方法として、溶鋼を鋳造
した上圧延加工を施して鋼片,次いで線材となし、更に
2次加工として切削加工又は伸線処理としての冷間引抜
加工を施して所望の太さの線ないし棒材とする方法が実
施されている。
【0003】而してコイルばねの場合、その後得られた
線材ないし棒材を加熱処理,コイリング加工,焼入・焼
戻処理等を行ってコイルばね製品とする。
【0004】ところでばね用鋼(例えばSUP7材)の
製造のための上記鋳造工程において、溶鋼を水冷鋳型に
注入し、凝固させつつこれを鋳型より連続的に引き抜く
連続鋳造が検討されている。
【0005】ところが含有C%の多いばね用鋼の場合、
鋳造法としてかかる連続鋳造法を採用した場合、鋳片中
心部にCが濃化偏析し易い問題があり、このことから前
記伸線処理としての冷間引抜加工を施したとき、図5に
示すように破断面100がカップ状を成すカッピー割れ
と称する割れを起す問題が生じていた。
【0006】鋼片中心部におけるCの濃化偏析に起因し
て、中心部に残留オーステナイトが発生し、これが上記
冷間引抜加工に際してマルテンサイトに変態して中心部
硬化を起し、このためダイス通過時に内部に大きな応力
が発生してクラックを発生せしめ、これを起点として割
れが進行し、場合によって破断に到ってしまうのであ
る。
【0007】このカッピー割れと称する破断は上記冷間
引抜加工に際して生ずるものであり、従って2次加工と
して上記の如き切削加工を採用した場合にはこうした問
題は特に生じない。しかしながら切削加工の場合、材料
の歩留りが悪いといった問題がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題
を解決するためになされたものであり、その要旨は、溶
鋼を水冷鋳型に注入し、凝固させつつこれを鋳型より連
続的に引き抜く連続鋳造法によって鋳片を製造するに際
し、該鋳片を断面円形状に鋳造するとともに、中心部の
溶鋼が完全凝固する前の且つ中心固相率が0.40〜
0.80の位置において該鋳片をフラットロールにて軽
圧下処理し、しかる後鋳片を圧延加工した後冷間引抜加
工を施して所望太さの線ないし棒材を得ることにある。
【0009】
【作用及び発明の効果】連続鋳造に際して鋳片の中心部
における偏析を抑制する手段として、鋳型から出た鋳片
に対して軽圧下処理を施す方法は公知である。
【0010】鋳片中心部においてCが濃化偏析する現象
は、溶鋼の凝固が外周部から中心部に向かって進行する
ことに起因して生ずるものと考えられており、特に中心
部に残った液相が最終凝固する際にCの濃化偏析が生ず
るものと考えられている。
【0011】上記軽圧下処理は、鋳片中心部を一定量押
し潰すことによって、最終的に残った中心部の液相の凝
固時の偏析を抑制するものである。
【0012】しかしながら、従来連続鋳造が行われてい
るのはC%が少ない、即ち偏析の程度の少ない材料であ
って、このため中心部に対する押潰し量(中心部の変形
量)も少なくてすむものであった。
【0013】しかるに含有C%の多いばね用鋼の場合、
中心部におけるCの濃化が顕著であり、これに応じて中
心部に対する変形(押潰し変形)も多くしなければなら
なくなる。
【0014】このことは、鋳片に対する圧下量が多くな
ることを意味するものであり、而して圧下量が多くなれ
ば鋳片に発生する応力も大きくなり、ひいては鋳片内部
における割れの問題を引き起こす。
【0015】従ってばね用鋼の場合、鋳片に圧下に基づ
く割れを発生させず、しかも偏析を抑えるために充分に
中心部を変形(押潰し変形)させることが必要となる。
しかるに従来そのための技術が確立されておらず、従っ
て連続鋳造によってばね用鋼を良好に製造する方法が確
立されていないのが実情であった。
【0016】ここにおいて本発明者は、連続鋳造に際し
て中心偏析を防止するための条件を見出すべく研究を行
った結果、鋳片を断面円形状に鋳造した上、これを中心
固相率0.40〜0.80(望ましくは0.60〜0.
65)の位置でフラットロールによる軽圧下処理を行っ
たときに圧下に起因する割れを生じず、しかも後の引抜
加工時のカッピー割れの原因となる中心偏析を抑制でき
ることを見出した。
【0017】本発明はこのような知見の下になされたも
のである。ここで中心固相率とは次のことを意味する。
即ち連続鋳造に際して、溶鋼は図4に示しているように
完全液相領域A、液相と固相とが混じり合った固液混合
領域Bを経て完全凝固領域Cへと移行する。本発明にお
いて、中心固相率とは鋳片の中心部における固相の占め
る比率である。
【0018】本発明者は、連続鋳造に際してロール圧下
による中心偏析防止のための条件を見出すべく、図2
(B)に示しているように断面4角形状の中空の鋳片D
(350mm角)に対する軽圧下試験と、断面円形状の
中空の鋳片E(350mmφ)に対する軽圧下試験をフ
ラットロールを用いて行い、図3(イ)〜(ハ)に示す
結果を得た。
【0019】図3(イ)において横軸は鋳片に対する圧
下率(減面率)、縦軸は中心の空洞部の体積減少率を指
数で示したものである。一方図3(ロ)及び図3(ハ)
は、圧下率を変化させた場合に発生するX軸方向(軸直
角方向)及びZ軸方向(軸方向)の応力の大きさをそれ
ぞれ示している。
【0020】これらの結果は、中心部における同じ体積
変化率を得るのに必要な圧下率(減面率)は、断面円形
の鋳片Eと断面4角形の鋳片Dとで著しく異なっている
こと、即ち断面円形の鋳片Eの方が断面4角形の鋳片D
に対し著しく少なくてすむことを示している。
【0021】また鋳片に生ずる応力については、中心部
における体積変化率を同じとした場合、図3(ロ),
(ハ)の結果から、断面円形の鋳片Eの方が断面4角形
の鋳片Dに比べて著しく小さいことが判る。
【0022】即ちこれらの結果から、鋳片を断面円形に
鋳造し且つフラットロールを用いて軽圧下を行った場合
において、少ない圧下率で、また発生する応力を小さく
抑えつつ、中心部を効率的に体積減少させ得ることが判
る。
【0023】本発明は、かかる知見の下に鋳片を断面円
形状に鋳造した上、これをフラットロールを用いて軽圧
下処理し、しかる後鋳片より圧延加工線材を得、更にこ
れを冷間引抜加工して伸線するものである。
【0024】本発明は、上記フラットロールによる軽圧
下を固相率0.40〜0.80の位置で行うものであ
る。この範囲にて軽圧下を行うことによって良好な結果
がもたらされることが確認されているが、これは中心固
相率が0.8よりも高い位置で圧下処理を行っても、こ
の段階では中心部の液相が流動性をほぼ喪失しているた
め軽圧下による充分な効果が得られないからであり、ま
た0.2より小さい位置では逆に液相の占める率が高す
ぎ、流動性が高すぎて同じく軽圧下による充分な効果が
得られないからである。
【0025】本発明において、軽圧下は応力の増大、割
れを防止しつつ中心部におけるCの濃化偏析を防止する
目的で行われるもので、この意味で圧下率は1〜5%と
するのが望ましい。
【0026】
【実施例】次に本発明の実施例を以下に詳述する。C含
有量0.6%のSUP7材を、鋳片の断面形状が円形
状、太さが350mmφ、引抜速度0.4m/分の条件
で連続鋳造した。
【0027】その際中心固相率(fs)0.60の位置
において、又は0.65の位置においてフラットロール
を用いて軽圧下処理した(圧下量は片側10mm、両側
で20mm)。
【0028】この鋳片より、図1に示しているように1
53mm×153mmの断面4角形状の鋼片を得、X,
Y方向に沿って断面のC量を分析した。尚、分析試料は
4mmφのドリルを用いて切粉を得、これを分析用試料
とした。
【0029】また比較のために上記軽圧下処理を行わな
かったものについても同様にしてC量を分析した。その
結果が図1に示してある。これらの結果から、中心固相
率0.60又は0.65の位置で軽圧下処理を行ったも
のについてはCの中心偏析が良好に抑制されていること
が判る。
【0030】次に鋼片から圧延加工にて線材コイルを
得、更にこれを減面率15%の条件で冷間引抜加工し、
得られた伸線材について超音波探傷法により内部クラッ
クの有無を調べたところ、軽圧下処理を行ったものにつ
いては目立ったクラックは認められなかったのに比べ、
軽圧下処理を行わなかったものについてはカッピー割れ
の原因となるクラックの発生が認められた。
【0031】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範
囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例において得られた鋼片の断面
のC量の分析結果を、軽圧下を行わなかった場合との比
較において示す図である。
【図2】本発明における軽圧下処理の効果を確認するた
めの試験の方法を示す図である。
【図3】同試験にて得られた結果を示す図である。
【図4】本発明において軽圧下を行う位置を説明するた
めの説明図である。
【図5】連続鋳造法を用いてばね用鋼を製造した場合の
問題点の説明図である。
【符号の説明】
A 完全液相領域 B 固液混合領域 C 完全凝固領域 D 断面円形状鋳片 E 断面4角形状鋳片
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−337510(JP,A) 特開 平3−155441(JP,A) 特開 平7−108358(JP,A) 特開 平4−17948(JP,A) 特開 昭50−85523(JP,A) 特開 平3−110001(JP,A) 特開 平6−184697(JP,A) 特開 平3−226337(JP,A) 特開 平5−177245(JP,A) 特開 平2−84237(JP,A) 特開 昭63−215353(JP,A) 特開 平3−198964(JP,A) 特開 平5−192743(JP,A) 特開 平1−162551(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/128 350 B22D 11/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶鋼を水冷鋳型に注入し、凝固させつつ
    これを鋳型より連続的に引き抜く連続鋳造法によって鋳
    片を製造するに際し、該鋳片を断面円形状に鋳造すると
    ともに、中心部の溶鋼が完全凝固する前の且つ中心固相
    率が0.40〜0.80の位置において該鋳片をフラッ
    トロールにて軽圧下処理し、しかる後鋳片を圧延加工し
    た後冷間引抜加工を施して所望太さの線ないし棒材を得
    ることを特徴とするばね用鋼の製造方法。
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