JP3256441B2 - ケーブルの絶縁劣化診断方法 - Google Patents

ケーブルの絶縁劣化診断方法

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JP3256441B2
JP3256441B2 JP20739796A JP20739796A JP3256441B2 JP 3256441 B2 JP3256441 B2 JP 3256441B2 JP 20739796 A JP20739796 A JP 20739796A JP 20739796 A JP20739796 A JP 20739796A JP 3256441 B2 JP3256441 B2 JP 3256441B2
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竜太郎 山本
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Tokyo Electric Power Co Inc
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  • Testing Of Short-Circuits, Discontinuities, Leakage, Or Incorrect Line Connections (AREA)
  • Testing Relating To Insulation (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ケーブルの絶縁劣
化、特に水トリー劣化の診断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル(C
Vケーブル)などのゴム・プラスチック絶縁ケーブルの
耐電圧寿命特性を決定する主要な絶縁劣化現象の一つと
して、水トリー劣化がある。この水トリー劣化を診断す
る絶縁測定技術については従来から多くの方法が提案さ
れてきており、近年では、6.6kVCVケーブルに対
して交流印加時の直流成分電流を検出する直流分法や、
交流電圧に直流低電圧を重畳して印加した場合の直流成
分電流を検出する直流重畳法などが開発されている。し
かし、ケーブルの使用電圧階級が高くなるとより軽微な
劣化状態を検出する必要があり、上述の従来方法では2
2kV級以上CVケーブルの信頼性の高い劣化診断は困
難であった。
【0003】この22kV級以上CVケーブルの水トリ
ー劣化を検出できる絶縁劣化診断方法としては、交流課
電を用いた残留電荷測定(単に残留電荷測定と略称され
る場合がある)が提案されている。この方法では、まず
最初に試料ケーブルに直流課電を行い、その後に接地
(電極間を短絡)して直流印加電圧を除去し、さらにそ
の後に交流電圧を印加して、この交流課電時に、試料絶
縁体に流れる電流の中から直流電荷成分(残留電荷)の
みを検出して、これを劣化信号に用いる。
【0004】この方法は現在開発途上にあり、印加電圧
の大きさや電圧印加方法の詳細については明確に規定さ
れていない。おおむね、直流印加電圧の大きさは従来の
直流もれ電流測定と同程度(22kVケーブルの場合は
30kV)であり、直流課電・接地後の交流印加電圧の
大きさはケーブルの対地使用電圧程度(22kVケーブ
ルの場合は12.7kV)が採用されている。交流電圧
の印加方法としては、電圧を約30秒以内程度で零から
所定の値(22kVケーブルの場合は12.7kV)ま
で昇圧して、その後所定の電圧を1分間程度印加した後
に零まで降圧する。また、交流昇圧開始から課電経過約
1分後までに観測された残留電荷の増加分が劣化判定に
用いられている。
【0005】水トリー劣化絶縁体の残留電荷の発生機構
は以下のように説明される。すなわち、絶縁体中に水ト
リーが存在していると、直流課電によって水トリー部と
健全絶縁体の界面に空間電荷が蓄積される。直流課電後
に接地して直流印加電圧を除去すると、絶縁体内部には
空間電荷が残留しており、これが自己の形成する直流電
界(空間電荷電界)によって移動を開始し、最終的には
消滅する。
【0006】この空間電荷の移動・減衰に伴い、接地
(短絡)を保っている場合には、時間とともに指数関数
的に減衰する直流電流(逆吸収電流と称す)I(t)が
接地回路に流れる。また、接地を開放した場合には、時
間とともにある一定値に飽和するように直流電圧(残留
電圧と称す)V(t)が開放された電極間に回復してく
る。この逆吸収電流I(t)と残留電圧V(t)の発生
は、直流課電後の接地という外部印加電圧の急変に対す
る絶縁体内部の空間電荷の応答遅れに原因しており、こ
の様な余効現象を電荷として表したものが残留電荷であ
る。
【0007】従って、残留電荷Q(t)と逆吸収電流I
(t)の関係は数1で表され、また残留電荷Q(t)と
残留電圧V(t)の関係は数2で表される。つまり、数
1と数2は同一の余効現象を各々接地(短絡)回路と電
極間開放回路で観測した場合に対応し、数1、数2の残
留電荷Q(t)は基本的には同じ値になる。
【0008】
【数1】
【0009】
【数2】
【0010】ここに、I(t)は短絡回路に流れる逆吸
収電流、V(t)は電極を開放した場合の残留電圧、C
xは試料絶縁体の静電容量、tは測定時間である。この
直流課電・接地後に回復してくる残留電荷も水トリー劣
化信号の判定量に利用できる。しかし、水トリー劣化部
の空間電荷の移動・消滅に要する時間が著しく長いの
で、外部回路に観測される残留電荷の回復してくる時間
(以下、緩和時間と称す)が著しく遅くなり、測定時間
が短いと大きな信号量が得られず、結果、水トリー劣化
以外の要因による類似信号との区別が難しい問題があっ
た。
【0011】ところが、残留電荷測定中に交流電圧を印
加すると、劣化部に存在していた空間電荷の移動速度が
速められて、劣化に原因する残留電荷を短時間で顕在化
させられるとの知見が得られた。これが、交流課電を用
いた残留電荷測定であり、直流課電・接地後の残留電荷
測定中に交流課電を行い、交流課電期間中に回復した残
留電荷を劣化診断の判定量に用いる。
【0012】交流課電下で残留電荷を測定する方法とし
ては、数1と数2に対応する二つの方法がある。図1は
これら測定方法の原理図を示したものであり、いずれも
交流印加電源1と試料2を接続する試験回路中に直流電
荷(残留電荷)検出回路3を挿入する。これら測定回路
を直流信号検出として見た場合には、交流印加電源1の
内部インピーダンスは零として取り扱える。
【0013】図1(a)は第1の残留電荷測定方法を示
すものであり、残留電荷を直流電流信号(逆吸収電流)
s(t)として検出する。検出回路の基本構成として
は交流バイパス用の大容量のコンデンサCsと検出抵抗
sが並列に接続される。直流電流成分Is(t)は検出
抵抗Rsによって直流電圧成分V´s(t)として検出さ
れ、逆吸収電流Is(t)の数3の時間積分から残留電
荷Qi(t)が求められる。
【0014】
【数3】
【0015】ここに、Is(t)は直流電流成分、tは
測定時間、V´s(t)は検出抵抗Rsの電位差である。
この方法において検出抵抗Rsを無限小にすれば、直流
電流成分Is(t)は数1に示した逆吸収電流I(t)
に等しくなる。従って、検出された残留電荷Qi(t)
は真の残留電荷Q(t)に等しくなる。しかし、実際の
電流測定においては、有限の大きさの検出抵抗Rsを挿
入する必要があり、また、大きな検出信号V´s(t)
を得るためには検出抵抗Rsを大きな値に選定するする
必要がある。この場合、検出される残留電荷Qi(t)
は測定回路の応答時定数τs=(Cx+Cs)Rs≒Css
の影響を受けて、測定値Qi(t)の短時間側では真値
Q(t)に追従できず、残留電荷Q(t)が変歪して検
出される。実験室での短尺ケーブルの測定においては試
料の静電容量Cxが小さいために大きなコンデンサCs
用いないで済むが、実線路の長尺ケーブルの場合にはコ
ンデンサCsとして例えば数100μF程度の大きな静
電容量を必要とされるので、電荷検出感度を上げるため
に検出抵抗Rsを10kΩ程度の値に選択すると、この
応答遅れ問題は無視出来なくなる。つまり、この測定方
法は、急変する電荷の測定には適さない。
【0016】図1(b)は交流課電下で残留電荷を測定
する第2の方法を示したものである。この方法は上述の
第1の方法の応答遅れ問題を改良するために本発明者ら
が発明したものであり、基本的には数1に示した接地開
放後の残留電圧測定を応用している。検出回路の基本構
成としては、交流バイパス用の大容量のコンデンサC s
のみとして検出抵抗Rsを取り除き、試料絶縁体内部で
の空間電荷の移動・消滅に伴って試料電極表面に現れて
くる直流電荷(残留電荷)Qv(t)を交流バイパス用
コンデンサCsに蓄積させて、この交流バイパス用コン
デンサCsの電極間に現れる直流電圧成分Vs(t)を検
出し、数4から残留電荷Q(t)を算出する。
【0017】
【数4】
【0018】ここにCxは試料の静電容量、Csは交流バ
イパス用コンデンサの静電容量(Cs>>Cx)である。
この第2の方法は、測定期間中に電荷が漏洩すると測定
される残留電荷Qv(t)は真の残留電荷Q(t)より
も小さくなる。従って、電圧Vs(t)の測定には電荷
の漏洩を避けるために内部インピーダンスが非常に高い
直流電圧計を必要とし、また、長時間の連続測定には適
さない。しかし、交流バイパス用コンデンサの静電容量
sが大きいので、数分程度の短時間測定においては電
荷の漏洩は殆ど問題にならず、また、第1の方法で問題
になる測定回路の応答遅れは原理的に存在しないので残
留電荷Q(t)の急変が正確に検出される。さらに、電
荷を一旦微分した電流信号として検出する第1の方法に
比較すると、電荷を微分することなく電圧信号として直
接検出するので、原理的に高感度測定が容易に行える。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上述の第
2の方法を用いて、劣化状況の異なる多数の6.6kV
〜22kVCVケーブルの交流課電下における残留電荷
の回復過程を詳細に測定した。結果、水トリー劣化によ
って交流破壊電圧が著しく低下した試料ケーブルの場合
には、交流電圧を零から所定の値まで昇圧を完了するま
での短時間(数秒以内)で残留電荷が急増し、昇圧完了
後には交流電圧を連続課電していても電荷が殆ど増大し
ない結果を得た。即ち、破壊電圧の明確な低下を伴う劣
化ケーブルに観測される残留電荷の緩和時間は極めて短
く、1秒程度の時間領域では交流電圧印加と殆ど同時に
印加電圧の大きさに対応した残留電荷が回復し尽くして
しまうことが判明した。以後、この様な電荷を緩和時間
の短い残留電荷Q0と記述する。
【0020】一方、劣化が軽微で交流破壊電圧の低下が
著しくないケーブルの場合にも、交流昇圧開始から課電
完了までの期間中に時間とともにゆっくりと回復してく
る残留電荷が検出された。以後、このような電荷を緩和
時間の長い残留電荷QEと記述する。また、劣化とは無
関係要因による誤差電荷に関する確認実験を行った結果
においても、著しく吸水したテープ巻直線接続部から緩
和時間の長い残留電荷QEの発生が確認され、さらにケ
ーブルの気中終端部においても高湿度条件下では表面の
帯電電荷に原因する緩和時間が著しく長い残留電荷QE
の発生が確認された。
【0021】以上の説明のように、交流課電を用いた残
留電荷測定による劣化診断においては、交流電圧の昇圧
過程にのみ回復する緩和時間の短い残留電荷Q0の検出
が重要になる。しかし、実際の測定結果には誤差要因に
なる緩和時間の長い残留電荷QEが優勢に存在してお
り、信頼性の高い劣化診断を行うためには誤差電荷QE
の除去が重要課題になる。
【0022】本発明はこのような問題点を解決するため
になされたものであり、交流課電を用いた残留電荷測定
による劣化診断方法において、劣化とは無関係要因によ
る類似信号の区別を容易にして、高感度かつ信頼性の高
い水トリー劣化診断手法を提供することを目的としてい
る。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明のケーブルの絶縁
劣化診断方法は、ケーブル絶縁体に直流電圧を印加した
後に接地し、その後に交流電圧を印加して全流電荷を測
定する絶縁劣化診断方法において、交流電圧を零から所
定の値まで、劣化と無関係な緩和時間の長い残留電荷が
回復するよりも短い時間で昇圧した後に電圧を保持する
ことなく直ちに零まで降下させて、この交流短時間課電
による残留電荷の増加分ΔQを測定する操作を連続して
2回繰り返して行い、第1回目の交流課電による残留電
荷の増加分をΔQ1とし、第2回目の交流課電による残
留電荷の増加分をΔQ2とし、ΔQ1からΔQ2を差し
引いた電荷Q0=ΔQ1−ΔQ2を劣化判定量に用いる
ことを特徴とする。
【0024】
【作用】従来の交流課電を用いた残留電荷測定において
は、交流電圧の印加方法として、交流電圧を零から所定
の値までに昇圧し、その後所定の電圧を連続印加し、交
流昇圧開始から約1分後までの残留電荷の増加分を劣化
判定に用いている。しかし、前述の実験結果にて説明の
ように、交流昇圧後に電圧を保持していると、劣化とは
無関係要因による緩和時間の長い残留電荷QEがゆっく
りと回復してくる場合があり、従来の交流電圧昇圧開始
1分後程度経過した残留電圧測定結果を劣化判定に用い
ると、健全なケーブルを劣化発生と誤判定する可能性が
強くなる。
【0025】このような誤差電荷の影響を避けるために
は、交流電圧の昇圧時間をできるだけ短くして、昇圧完
了時点で検出される残留電荷を劣化判定に用いる方法が
考えられる。しかし、電圧の昇圧時間の短縮には限度が
あり、また、昇圧を速めて短時間の残留電荷測定を行う
場合には、電圧昇圧時にパルス性の電源ノイズが発生す
ると真の残留電荷と区別しにくい問題も発生する。
【0026】一方、水トリー劣化の著しい絶縁体に観測
される残留電荷の場合には、数秒以内の交流電圧昇圧期
間中にほぼ全ての電荷が出尽くしており、このような緩
和時間の短い残留電荷Q0の測定に対しては、昇圧完了
後に電圧を保持している必要性は殆どない。すなわち、
緩和時間の短い残留電荷Q0を検出する場合には、交流
昇圧完了後に電圧を保持することなく直ちに電圧を降下
させても問題は生じない。また、この電圧昇降期間中に
パルス性の電源ノイズが発生した場合においても、電圧
昇圧直前と電圧降圧直後の直流電荷の大きさを測定さえ
すれば、それらの差から交流課電による残留電荷の増加
分を検出できる。つまり、交流の昇降圧をできるだけ短
時間で行い、かつ、交流電圧昇降前後の電荷の大きさの
差ΔQを正確に測定しておけば、劣化と無関係な残留電
荷QEの影響を低減しつつ、劣化に関係する緩和時間の
短い残留電荷Q0を検出できることになる。
【0027】しかし、上述の短時間の交流電圧昇降操作
による残留電荷測定を行っても、劣化と無関係な残留電
荷QEを完全には除去できない。そこで、上述の交流電
圧昇降操作による残留電荷測定を全く同様に2回繰り返
して実施した場合を考える。第1回目の交流昇降操作に
よって得られた残留電荷の増加分ΔQ1には、緩和時間
の短い残留電荷Q0と緩和時間の長い残留電荷QEによ
る成分が含まれている。一方、緩和時間の短い残留電荷
Q0は第1回目の交流課電時に出尽くしている(緩和が
完了している)ので、第2回目の交流昇降操作によって
得られた残留電荷の増加分ΔQ2には劣化と無関係な残
留電荷QEのみしか存在しない。
【0028】ここに、残留電荷の増加分ΔQ1と残留電
荷の増加分ΔQ2の測定時間は同じであり、かつ、劣化
と無関係な残留電荷QEの緩和時間に比して充分短いこ
とを考慮すると、残留電荷の増加分ΔQ1と残留電荷の
増加分ΔQ2中に含まれる劣化と無関係な残留電荷QE
の大きさはほぼ等しくなる。そこで、第1回目の測定結
果から第2回目の測定結果を差し引くと、ΔQ1−ΔQ
2=Q0+QE−QE=Q0になり、劣化に関係のある
緩和時間の短い残留電荷Q0のみが得られることにな
る。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を図示の実施態様
を参照しつつ説明する。図2は本発明を実施するための
測定回路のブロック図である。図において、1は静電容
量がCxなる試料ケーブルであり、2は直流電圧VDC
発生する直流課電装置である。これら試料ケーブル1と
直流課電装置2の低圧側は接地Eに接続される。3は交
流課電用の試験用変圧器であり、試験用変圧器3の一次
巻線側には誘導電圧調整器4が接続されており、これに
よって試験用変圧器3の二次側の出力電圧を零からVAC
までに変化させる。試験用変圧器3の二次側巻線の低圧
端子Vと接地Eとの間には電荷検出回路5が接続され
る。この電荷検出回路5は、入力部を短絡するためのス
イッチSWと交流電圧をバイパスするための大容量のコ
ンデンサCs1、ならびに、ローパスフィルタとして使用
するインダクタンスLsとコンデンサCs2、さらに残留
電荷を検出するための高入力インピーダンス電圧計VM
から構成されている。6は試料ケーブル1へ電圧印加を
行うための切り替えスイッチであり、その固定端側は試
料ケーブル1の高圧側(導体側)に接続されており、切
り替え側の接点6aは保護抵抗RCを介して直流課電装
置2に接続され、接点6bは保護抵抗RDを介して接地
Eに接続され、さらに接点6cは試験用変圧器3の二次
巻線の高圧端子Uに接続されている。なお、電荷検出回
路5のコンデンサCs1は試料ケーブル1の静電容量Cx
よりも充分大きな値に選択しておく。
【0030】図2にて、あらかじめ電荷検出回路5の入
力部をスイッチSWにて短絡した状態にしておき、まず
最初に切り替えスイッチ6を接点6a側に接続して試料
ケーブル1に直流電圧VDCを所定時間印加する。この後
に接点6bに切り替えて試料ケーブル1を接地する。次
に、接点6cに切り替えて、残留電荷測定と交流課電が
可能な回路状態にする。試験用変圧器3の巻線の直流抵
抗は殆ど零とみなせるので、以上までの操作によって、
試料ケーブル1は直流課電が完了して接地された状態に
なっている。
【0031】交流課電開始の2〜3分前に電荷検出回路
5のスイッチSWを開放し、高入力インピーダンス電圧
計VMを用いて電荷検出回路5の端子間直流電圧V
s(t)の測定を開始する。この時、スイッチSWの開
放によって試料ケーブル1の電極間は開放されたことに
なり、また同時に、直流回路として見た場合には試料ケ
ーブル1の静電容量Cxに電荷検出回路5のコンデンサ
の静電容量Cs=Cs1+Cs2が並列に接続された状態に
なっている。
【0032】従って、接地が開放された試料ケーブル1
に回復してくる残留電荷は電荷検出回路5の端子間直流
電圧Vs(t)として検出され、Vs(t)×Cs(=C
s1+Cs2)が数4に示した残留電荷の測定値Qv(t)
になり、電荷の漏洩が無視できる範囲で測定を行うので
v(t)は真の残留電荷Q(t)に等しくなる。すな
わち、スイッチSWの開放と同時に交流課電を行わない
状態で残留電荷測定が開始されたことになる。
【0033】次に、上述のスイッチSWを開放した残留
電荷測定状態下で試料ケーブル1に交流電圧を印加す
る。誘導電圧調整器4を操作して、試験用変圧器3の交
流発生電圧を零からVACまでに短時間で昇圧し、昇圧完
了後直ちに零まで降圧させる。電圧の昇降に要する時間
としては約20秒以下程度であるが、短ければ短いほど
良好な結果が得られる。
【0034】第1回目の交流課電前後における残留電荷
の増加分ΔQ1を測定した後に、第1回目と全く同様に
して第2回目の交流課電を行い、第2回目の交流課電前
後における残留電荷の増加分ΔQ2を測定する。なお、
緩和時間の長い残留電荷を正確に確認する目的で第3回
目の交流課電を行う場合もある。以上の測定完了後、Q
0=ΔQ1−ΔQ2として得られる緩和時間の短い残留
電荷Q0の大きさを劣化判定に用いる。
【0035】図3は、図2の測定回路を用いた残留電荷
測定結果例を示すものである。この測定例においては、
直流課電電圧VDCを−30kV、交流課電電圧VACを1
2.7kVとしており、第1回と第2回の交流課電の間
隔は約45秒、交流電圧の昇降時間は15秒としてい
る。また、この測定では、第3回目の交流課電を追加し
て実施しており、この第3回目の交流課電時間は緩和時
間の長い残留電荷の時間特性を観測する目的で、従来法
と同様にして昇圧完了後約1分間電圧を印加している
{図3(a)参照}。
【0036】図3(b)は6.6kV新品CVケーブル
140m長を高湿度環境下で測定した結果である。この
試料ケーブルは、通常の条件下では交流課電による残留
電荷は全く観測されないが、本例に示す高湿度下の測定
ではΔQ1に3.5nC、ΔQ2に3.0nCが観測さ
れる。また、従来法と同様に1分間の交流課電を行った
第3回目の測定結果では、1分間に約30nC以上の残
留電荷が交流課電によって増加している。この電荷はケ
ーブル終端部の帯電電荷による誤差成分である。従っ
て、従来法を用いると新品ケーブルであるにも関わらず
劣化ケーブルと判断されてしまう。一方、本発明の緩和
時間の短い残留電荷Q0=ΔQ1−ΔQ2を劣化判定量
に用いるとQ0は1nC未満になり、誤差電荷成分の影
響は殆ど現れず、通常条件での測定結果に一致する。
【0037】図3(c)は水トリー劣化によって交流破
壊電圧が50kVまでに低下した22kVCVケーブル
約15m長の測定結果である。この例では第1回目交流
課電による電荷の増大ΔQ1は8nCであるが第2回目
課電のΔQ2は1nC未満であり、Q0=ΔQ1−ΔQ
2は8nCになる。この結果は、図3(a)の新品ケー
ブルの結果よりもQ0が大きく、劣化の発生が充分に示
唆される。
【0038】これら測定結果例が示すように、従来の交
流課電時間が長い残留電荷測定手法を用いると誤差電荷
を検出する危険性が強いが、本発明の緩和時間の短い残
留電荷を劣化判定量に用いる方法を用いれば、誤差電荷
の影響が著しく低減されて、信頼性の高い劣化診断が可
能になる。
【0039】
【発明の効果】以上説明のように、本発明に関わる直流
課電・接地後の交流課電下での残留電化測定を利用した
ケーブルの絶縁劣化診断方法では、交流電圧の印加直後
に回復を完了してしまう緩和時間の短い残留電荷のみを
劣化信号に用いるので、類似の緩和時間の長い残留電荷
の除去が可能になり、信頼性の高い劣化診断を可能にす
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】交流課電下での残留電荷測定の説明図である。
【図2】本発明を実施するための測定回路図である。
【図3】本発明の劣化診断方法の実施態様である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 中 埼玉県熊谷市新堀1008番地 三菱電線工 業株式会社 熊谷製作所内 (56)参考文献 特開 昭53−10078(JP,A) 特開 平8−62280(JP,A) 特公 平6−54342(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 31/12 - 31/14 G01R 31/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーブル絶縁体に直流電圧を印加した後
    に接地し、その後に交流電圧を印加して全流電荷を測定
    する絶縁劣化診断方法において、交流電圧を零から所定
    の値まで、劣化と無関係な緩和時間の長い残留電荷が回
    復するよりも短い時間で昇圧した後に電圧を保持するこ
    となく直ちに零まで降下させて、この交流短時間課電に
    よる残留電荷の増加分ΔQを測定する操作を連続して2
    回繰り返して行い、第1回目の交流課電による残留電荷
    の増加分をΔQ1とし、第2回目の交流課電による残留
    電荷の増加分をΔQ2とし、ΔQ1からΔQ2を差し引
    いた電荷Q0=ΔQ1−ΔQ2を劣化判定量に用いるこ
    とを特徴とするケーブルの絶縁劣化診断方法。
JP20739796A 1996-08-06 1996-08-06 ケーブルの絶縁劣化診断方法 Expired - Lifetime JP3256441B2 (ja)

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JP20739796A JP3256441B2 (ja) 1996-08-06 1996-08-06 ケーブルの絶縁劣化診断方法

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