JP3255201B2

JP3255201B2 - 射出成形用金型

Info

Publication number: JP3255201B2
Application number: JP17049993A
Authority: JP
Inventors: 慎治長島
Original assignee: Mitsubishi Materials Corp
Current assignee: Mitsubishi Materials Corp
Priority date: 1993-07-09
Filing date: 1993-07-09
Publication date: 2002-02-12
Anticipated expiration: 2017-02-12
Also published as: JPH0724883A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、樹脂の射出成形用金型
に係わり、特に、多数個取りの金型に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、熱可塑性樹脂の射出成形に用いら
れる多数個取りの金型においては、固定型および可動型
のいずれも、受け板に固定された１つの型板に、１つの
キャビティをそれぞれ形成する複数のキャビティ入子あ
るいはコア入子を埋め込んでいた。

【０００３】１つの型板に入子を埋め込んで固定するの
は、これら入子の位置決めや、射出時にかかる高い側圧
に抗するためであるが、型板は、位置決めのために高精
度が要求され、加工コストが高くつくものである。ま
た、型板は、キャビティへの樹脂充填後の冷却に積極的
に寄与しているものではない。さらに、型板は、金型全
体の重量を大きくするが、金型は、重量が大きくなるほ
ど、精度が狂いやすくなる。何よりも、型板を設ける
と、入子間などの間隔を短くするのに限界があり、キャ
ビティの数すなわち取り数を多くできない。

【０００４】そこで、型板を設けることなく、受け板の
片面に１つのキャビティをそれぞれ形成する複数の型ブ
ロックを直接固定することが考えられる。特に偏平な製
品の成形の場合、側圧がもともとほとんどかからないの
で、側圧への対抗に関しては、型板がなくても問題はな
い。一方、受け板に対して型ブロックを正確に位置決め
することはやはり必要であるが、この位置決め手段とし
ては、まずノックピンが考えられる。しかし、ノックピ
ンによる位置決めでは精度を出しにくい。すなわち、ノ
ックピンを嵌める孔は、通常フライス加工によるのであ
るが、フライス加工では、十分な精度を出しにくい。す
なわち、複数ある孔の加工に要求されるのは、その位置
および径の精度であるが、この精度を出すのは面倒であ
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来の
金型では、受け板に固定された１つの型板に、１つのキ
ャビティをそれぞれ形成する複数のキャビティ入子ある
いはコア入子を埋め込んでいたため、コスト、冷却およ
び精度の点で不利であるとともに、取り数を多くできな
い問題があった。これに対して、特に偏平な製品の成形
の場合には、型板を設けることなく、受け板の片面に１
つのキャビティをそれぞれ形成する複数の型ブロックを
固定することが考えられるが、受け板に対する型ブロッ
クの位置決めをノックピンにより行うとすると、十分な
高精度を出しにくい問題が生じる。

【０００６】本発明は、このような問題点を解決しよう
とするもので、受け板の片面に１つのキャビティをそれ
ぞれ形成する複数の型ブロックを固定する射出成形用金
型において、受け板に対して複数の型ブロックを高精度
で位置決めできるようにすることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の射出成形用金型
は、前記目的を達成するために、互いに開閉し型閉時に
相互間に複数のキャビティを形成する固定型および可動
型を備え、これら固定型および可動型は、それぞれ受け
板の片面に１つのキャビティを各々形成する複数の各固
定側及び可動側型ブロックを固定してなるとともに、こ
れら型ブロック間を中空にしてなり、前記固定型の型ブ
ロックは、前記受け板の片面に縦横に形成された凸条を
型ブロックの側面に突き当てて位置決めし、かつ前記固
定側型ブロックにゲートブッシュを設けるとともに、こ
のゲートブッシュの先端は、前記キャビティへのゲート
となっており、このゲートはバルブピンにより開閉され
るものである。

【０００８】

【作用】本発明の射出成形用金型では、受け板の片面
に、型板を設けることなく、複数の型ブロックをそれぞ
れ固定し、これら型ブロック間は中空のままにするが、
特に固定型では、受け板の片面に縦横に形成された凸条
を型ブロックの側面に突き当てることにより、受け板に
対して複数の型ブロックを位置決めする。受け板の片面
の縦横の凸条は、例えば平面研削盤により一度に形成す
るが、これにより、凸条の位置精度を高くでき、型ブロ
ックの位置決めを高精度にできる。また、成形時には、
固定型と可動型とを型閉すると、それらの対応する型ブ
ロック間にそれぞれ１つのキャビティが形成され、これ
らキャビティに樹脂が充填される。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の射出成形用金型の一実施例に
ついて、図面を参照しながら説明する。本実施例の金型
は、図４に示すようなテープ用のリールフランジ１を成
形するものである。このリールフランジ１は、偏平な円
板である。図１から図３において、11は固定型、12は可
動型で、これら固定型11および可動型12は、図２におけ
る図示上下方向に互いに開閉するものであり、型閉時に
相互間にリールフランジ１の形状のキャビティ13を形成
するものである。そして、本金型は、16個取りであり、
固定型11および可動型12間に16個のキャビティ13が形成
される。なお、以下の説明において、上下の表現は、図
２の図示に従う。

【００１０】前記固定型11は、固定側受け板16の上面
に、射出成形機の固定側プラテンに取り付けられる固定
側取り付け板17が固定されているとともに、これら固定
側受け板16および固定側取り付け板17間にマニホールド
18が設けられている。そして、前記固定側取り付け板17
には、射出成形機のノズルが接続されるスプルーブッシ
ュ19が固定されており、このスプルーブッシュ19の内部
はスプルー20となっている。また、前記マニホールド18
は、ヒーターを内蔵しているとともに、前記スプルー20
を16個の各キャビティ13に連通させる分岐路であるラン
ナー21が内部に形成されている。また、各キャビティ13
にそれぞれ臨ませて、バルブケーシング22が設けられて
いる。これらバルブケーシング22は、上部が固定型受け
板16とマニホールド18とにより挟まれて固定されてい
る。そして、各バルブケーシング22には、バルブピン23
が上下摺動自在に内蔵してある。これらバルブピン23
は、それぞれマニホールド18を貫通し、固定側取り付け
板17に設けられた油圧シリンダー24により駆動されるも
のである。

【００１１】また、前記固定側受け板16の下面両側に
は、固定側側ブロック26がそれぞれ固定されている。こ
れら固定側側ブロック26間において、固定側受け板16の
下面はほぼ正方形をなしている。そして、この固定側受
け板16の下面に、ほぼ円柱形状の固定側型ブロック27が
縦４列、横４列に並べて固定されている。この固定は、
可動型側12から複数のボルト28を締めることによってい
る。また、固定側受け板16の下面には、複数の凸条29が
縦横に並べて形成されている。これら凸条29の形成は、
平面研削盤による。一方、前記固定側型ブロック27の側
面には、互いに90°ずつ離れた計４つの平面部31が形成
されている。そして、これら平面部31が前記凸条29にそ
れぞれ面接触状態で突き当てられて、固定側受け板16に
対し複数の固定側型ブロック27が位置決めされている。
これら各固定側型ブロック27は、互いに固定した上型ブ
ロック部材32と下型ブロック部材33とこれらを貫通する
ゲートブッシュ34とからなっている。このゲートブッシ
ュ34の先端は、前記キャビティ13へのゲート35となって
いるが、このゲート35は、前記バルブピン23により開閉
されるものである。なお、前記両型ブロック部材32，33
は、ノックピン36により互いに位置決めされており、バ
ルブケーシング22は、上型ブロック部材32に対しノック
ピン37により位置決めされている。また、前記固定側受
け板16内および固定側型ブロック27内には、冷却水通路
38，39が形成されている。

【００１２】前記可動型12は、可動側受け板41の下面に
スペーサーブロック42を介して可動側取り付け板43が固
定されている。この可動側取り付け板43は、射出成形機
の可動側プラテンに取り付けられるものである。そし
て、これら可動側受け板41と可動側取り付け板43との間
には、射出成形機の突き出しロッドにより押される突き
出し板44が上下に可動に設けられている。この突き出し
板44には突き出しピン45が固定されている。

【００１３】また、前記可動側受け板41の上面両側に
は、型閉時に前記固定側側ブロック26に突き当たる可動
側側ブロック46がそれぞれ固定されている。これら可動
側側ブロック46間において、可動側受け板41の上面はほ
ぼ正方形をなしている。そして、この可動側受け板41の
上面に、ほぼ円柱形状の可動側型ブロック47が縦４列、
横４列に並べて固定されている。これら可動側型ブロッ
ク47は、型閉時に前記各固定側型ブロック27に突き当た
り、この固定側型ブロック27との間にそれぞれ１つの前
記キャビティ13を形成するものである。そして、前記可
動側受け板41に対する各可動側型ブロック47の固定は、
固定型側11から複数のボルト48を締めることによってい
る。また、可動側受け板41に対する各可動側型ブロック
47の位置決めは、それぞれ複数のノックピン49による。
すなわち、これらノックピン49は、可動側受け板41およ
び各可動側型ブロック47にそれぞれ形成された位置決め
孔50，51に両端側がそれぞれ嵌まっている。また、各可
動側型ブロック47は、互いに下型ブロック部材52と上型
ブロック部材53とこれらを貫通する入子54とからなって
いる。なお、前記ノックピン49は、下型ブロック部材52
と上型ブロック部材53とをも互いに位置決めしている。
また、前記突き出しピン45は、可動側受け板41および可
動側型ブロック47を貫通して、先端がキャビティ13に臨
んで位置するものである。さらに、前記可動側受け板41
内および可動側型ブロック47内には、冷却水通路55，56
が形成されている。

【００１４】また、前記固定側受け板16および固定側側
ブロック26を貫通してガイドピン61が固定されている。
一方、前記可動側受け板41および可動側側ブロック46を
貫通して、前記ガイドピン61が摺動自在に嵌合されるガ
イドブッシュ62が固定されている。さらに、前記突き出
し板44に固定されたリターンピン63が可動側受け板41お
よび可動側側ブロック46を摺動自在に貫通している。一
方、固定側側ブロック26には、型閉時に、前記リターン
ピン63を突き押すリターンピン受け64が固定されてい
る。なお、前記突き出し板44は、リターンピン63に巻装
されたスプリング65により可動側受け板41に対して常時
下方へ付勢されている。

【００１５】以上のように、固定型11および可動型12の
両方において、受け板16，41にキャビティ13を形成する
複数の型ブロック27，47がそれぞれ固定されているが、
従来のような型板はなく、型ブロック27，47間は中空に
なっている。

【００１６】つぎに、前記の構成について、その作用を
説明する。成形に際して、固定型11と可動型12とを型閉
すると、突き当たった各固定側型ブロック27と各可動側
型ブロック47との間にそれぞれ１つのキャビティ13が形
成される。そして、ゲート35を開いた状態で、射出成形
機のノズルからスプルー20へ溶融した樹脂を射出する
と、この樹脂は、マニホールド18のランナー21により分
配され、ゲート35から各キャビティ13内に充填される。
この充填後、バルブピン23がゲート35に嵌合して、この
ゲート35が閉じる。そして、キャビティ13内に充填され
た樹脂が冷却、固化するが、このとき、冷却水通路38，
39，55，56内を冷却水が流れることにより、キャビティ
13内の樹脂の冷却が促される。キャビティ13内の樹脂す
なわちリールフランジ１が十分に固化した後、型開とな
る。この型開に伴い、成形されたリールフランジ１は、
固定側型ブロック27から離れた後、突き出しピン45によ
り突き押されて、可動側型ブロック47から離れる。

【００１７】前記実施例の構成によれば、固定型11およ
び可動型12において、それぞれ受け板16，41の片面に１
つのキャビティ13を各々形成する複数の型ブロック27，
47を固定するとともに、これら型ブロック27，47間を中
空のままにして、型板をなくしたので、まずコストを低
減できる。すなわち、従来位置決めのために高精度を必
要としていた型板がないことにより、コストを低減でき
る。また、中空な型ブロック27，47間を空気が通ること
により、キャビティ13内の樹脂の冷却効果も若干向上す
る。また、金型全体の重量が減ることは、金型精度の向
上にも役立つ。なによりも、型板がないことにより、型
ブロック27，47間の間隔を詰められ、受け板16，41の面
積の制約下で、取り数を16と多くできる。さらには、従
来、キャビティ入子やコア入子の交換には、固定型およ
び可動型自体を開いて分解する必要があったが、本実施
例においては、型ブロック27，47をパーティングライン
面側からボルト28，48により受け板16，41に固定してい
るので、型ブロック27，47の交換の必要がある場合、単
に固定型11と可動型12とを互いに開いた状態で、交換作
業ができ、メインテナンスが容易になる。なお、本実施
例における成形品であるリールフランジ１は、高い立壁
のない偏平なものなので、キャビティ13への樹脂の充填
時に、高い側圧がかからず、型ブロック27，47が横に動
くようなおそれはない。

【００１８】また、特に固定型11においては、固定側受
け板16に縦横に形成した凸条29に固定側型ブロック27の
側面の平面部31を突き当てることにより、固定側受け板
16に対して複数の固定側型ブロック27を位置決めしたの
で、この位置決めの精度を高くできる。すなわち、固定
側受け板16に縦横にある凸条29は、平面研削盤で一度に
形成できるが、ピッチ送りの精度で加工精度が決まる平
面研削盤によると、凸条29の位置精度を高くでき、した
がって、固定側型ブロック27の位置決めを高精度にでき
る。そして、本金型はバルブゲート式であることによ
り、バルブピン23とゲート35との正確な芯出しが重要で
あるが、前述のように固定側型ブロック27の位置決めを
高精度にできることにより、固定側受け板16側にあるバ
ルブピン23と固定側型ブロック27側にあるゲート35とを
正確に芯出しできる。これに対して、固定型11側よりは
高精度を要求されない可動型12側では、ノックピン49を
用いてより簡便に可動側型ブロック47を位置決めしてい
る。

【００１９】なお、本発明は、前記実施例に限定される
ものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、
前記実施例では、固定型でのみ、受け板に縦横に形成し
た凸条により型ブロックを位置決めしているが、可動型
でも、同様にして受け板に縦横に形成した凸条により型
ブロックを位置決めしてもよい。また、凸条29の形成を
平面研削盤によっているが、もちろんジグ研削盤により
加工しても、高精度を得られる。さらに、成形する製品
は、リールフランジに限らず、比較的偏平な製品一般に
適用可能である。また、取り数も16に限るものではな
い。

【００２０】

【発明の効果】本発明は、互いに開閉し型閉時に相互間
に複数のキャビティを形成する固定型および可動型を備
え、これら固定型および可動型は、それぞれ受け板の片
面に１つのキャビティを各々形成する複数の各固定側及
び可動側型ブロックを固定してなるとともに、これら型
ブロック間を中空にしてなり、前記固定型の型ブロック
は、前記受け板の片面に縦横に形成された凸条を型ブロ
ックの側面に突き当てて位置決めし、かつ前記固定側型
ブロックにゲートブッシュを設けるとともに、このゲー
トブッシュの先端は、前記キャビティへのゲートとなっ
ており、このゲートはバルブピンにより開閉されるもの
で、型板をなくしたので、コストを低減でき、キャビテ
ィへの充填後の樹脂の冷却効率を上げられるとともに、
金型全体の軽量化により精度を上げられ、また、受け板
の片面の面積の制約下で取り数を多くできる。さらに、
特に固定型では、受け板の片面に縦横に形成された凸条
を型ブロックの側面に突き当てることにより、受け板に
対して複数の型ブロックを位置決めしたので、この位置
決めの精度を高くできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の射出成形用金型の一実施例を示すパー
ティングライン面の平面図である。なお、中心線より右
側は固定側、左側は可動側を示している。

【図２】同上断面図である。

【図３】同上型ブロック付近の拡大断面図である。

【図４】成形されるリールフランジの斜視図である。

【符号の説明】

11 固定型 12 可動型 13 キャビティ 16 固定型受け板（受け板）23 バルブピン 27 固定側型ブロック（型ブロック） 29 凸条34 ゲートブッシュ 35 ゲート 41 可動型受け板（受け板） 47 可動側型ブロック（型ブロック）

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】互いに開閉し型閉時に相互間に複数のキャ
ビティを形成する固定型および可動型を備え、これら固
定型および可動型は、それぞれ受け板の片面に１つのキ
ャビティを各々形成する複数の各固定側及び可動側型ブ
ロックを固定してなるとともに、これら型ブロック間を
中空にしてなり、前記固定型の型ブロックは、前記受け
板の片面に縦横に形成された凸条を型ブロックの側面に
突き当てて位置決めし、かつ前記固定側型ブロックにゲ
ートブッシュを設けるとともに、このゲートブッシュの
先端は、前記キャビティへのゲートとなっており、この
ゲートはバルブピンにより開閉されることを特徴とする
射出成形用金型。