JP3255040B2 - 翼付きねじ込み鋼管杭 - Google Patents

翼付きねじ込み鋼管杭

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JP3255040B2
JP3255040B2 JP26058096A JP26058096A JP3255040B2 JP 3255040 B2 JP3255040 B2 JP 3255040B2 JP 26058096 A JP26058096 A JP 26058096A JP 26058096 A JP26058096 A JP 26058096A JP 3255040 B2 JP3255040 B2 JP 3255040B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、翼付きねじ込み鋼
管杭に係り、さらに詳しくは、鋼管の先端部に複数の扇
形状平板からなる翼を取付けた鋼管杭に回転力を与える
ことにより、無排土で地中に埋設することのできる翼付
きねじ込み鋼管杭に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼管の先端部や側面に螺旋翼などを取付
けた鋼管杭に、地上に設置した駆動装置により回転力を
与えることにより、ねじの作用で地中に埋設するように
したねじ込み式鋼管杭は従来から多数提案されており、
その一部は小径の杭を対象としたものではあるが実用化
されている。以下、従来のこの種ねじ込み式鋼管杭の一
例について説明する。
【0003】特公平2−62648号公報に記載された
鋼管杭の埋設工法は、鋼管製の杭本体の下端に底板を固
設し、該底板に掘削刃を設けると共に、杭本体の下端部
外周面に杭本体の外径のほぼ2倍強の外径を有する翼幅
の大きな杭ネジ込み用の螺旋翼を、ほぼ一巻きにわたり
突設した鋼管杭を、軟弱地盤にネジ込むように回転させ
ながら地中に押圧し、下端の掘削刃によって杭本体先端
の土砂を掘削軟化させて、杭側面の未掘削土砂中に螺旋
翼を食い込ませて、土の耐力を反力として杭体を回転推
進しつつ、掘削軟化した土砂を杭側面に押出し圧縮し、
無排土で地中に杭体をネジ込んでゆくようにしたもので
ある(従来技術1)。
【0004】また、特開平7−292666号公報に記
載された鋼管杭は、一枚の長さが半巻きで、外径が杭本
体の1.5〜3倍程度である一対のラセン翼を、鋼管杭
の下端部外周面の同じ高さ位置でラセン方向を同じにし
て互いに相対的に複数枚不連続に固定したものである
(従来技術2)。
【0005】さらに、特開昭61−98818号公報に
記載された回転圧入式鋼管杭は、鋼製円筒体の下部に、
上下方向に延長する押込用傾斜前面を有する刃を設ける
と共に、その傾斜前面の下端部から円筒体回転方向の後
方に向って斜めに上昇する傾斜ブレードを固定して環状
のドリルヘッドを構成し、そのドリルヘッドの上端部に
鋼管杭の下端部を取付けたものである(従来技術3)。
これら従来技術1〜3に示す螺旋翼又は傾斜ブレード
は、施工に際してねじとして機能すると共に、地盤支持
力を得るための支持体として機能も備えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来技術1の鋼管杭
は、鋼管製の杭本体の下端に底板を、また外周面に杭本
体の外径のほぼ2倍強の外径を有する螺旋翼を取付けた
もので、これらは鋼管杭に上載構造物の荷重が作用した
ときに広い面積をもつ支持体として機能し、大きな支持
力を得ることができる。しかしながら、以下の理由から
製作コストが高いという問題がある。 (1)底板と螺旋翼の両者を溶接により杭本体に取付け
る必要がある。 (2)螺旋翼を形成するために鋼板の曲げ加工が必要で
ある。 (3)螺旋翼と杭本体にはそれぞれ製作時に寸法誤差が
発生するため、杭本体に螺旋翼を取付ける時間と手間が
かかる。
【0007】いま、外径が500mmの鋼管の場合につ
いて考えると、螺旋翼の厚さは発明者らの試算によれば
40程度になる。このように厚い鋼板を曲げ加工するに
は多額の費用がかかるばかりでなく、螺旋翼の高さ方向
と径方向に大きな誤差が生ずることは避けられない。ま
た、鋼管には通常0.5〜1.0%の外径誤差が発生す
ると共に、若干楕円形状になるため、鋼管の外周に螺旋
翼を取付ける作業に困難が伴う。さらに、鋼管の外周面
と螺旋翼の内周との間に大きな隙間が生じるため、良好
な溶接ができないばかりでなく、溶接に長時間を要す
る。
【0008】従来技術2の鋼管杭は、大きな支持力を得
るためには底板を設けることが必要であり、従来技術1
で指摘した(1)の問題がある。また、従来技術2の明
細書によれば、この発明は外径が100〜200mm程
度の小径の鋼管杭を対象としており、この技術を外径が
500mm程度の鋼管杭に適用する場合は、前述の従来
技術1の場合と同様の問題が生じる。すなわち、たとえ
半巻きのラセン翼であれ、曲げ加工に高い費用を要する
ばかりでなく、製作誤差のために鋼管への設置と溶接作
業に多くの時間と手間を要する。
【0009】また、従来技術1及び2の共通の問題とし
て、螺旋翼から鋼管に大きな曲げモーメントが伝達され
るという問題がある。すなわち、鋼管杭に大きな鉛直荷
重が作用すると、螺旋翼に大きな地盤反力が作用し、こ
れによって螺旋翼に生じた曲げモーメントが鋼管に伝達
され、螺旋翼のつけ根付近の鋼管が座屈を生じるという
問題がある。鋼管の外径が200mm程度と小さい場合
は、螺旋翼の外径も小さいので発生する曲げモーメント
も小さく、あまり問題にならないが、鋼管の外径が50
0mm程度になると、実務上、設計で対応できないよう
な曲げモーメントが発生することが多い。
【0010】従来技術3は、鋼製円筒体の先端部に蓋が
ないため、土砂が鋼管内に侵入して大きな地盤支持力を
得ることができないという大きな問題をもっている。ま
た、傾斜ブレードの幅が狭く、鋼製円筒体の先端部の内
外に僅かに突出する構造のため、傾斜ブレードを大きな
地盤支持力の支持体として期待することはできない。さ
らに、従来技術3は、傾斜ブレード付き鋼製円筒体を製
作してからこれを鋼管の先端部に固着するため、コスト
の増嵩は避けられない。
【0011】本発明は、上記従来技術の問題に鑑みて、
以下の課題を解決することを目的としたものである。 (1)翼を利用して大きな地盤支持力が得られること。 (2)翼から伝達される曲げモーメントにより、鋼管に
過大な曲げ応力を発生させないこと。 (3)鋼管杭を強固な地層までねじ込みにより埋設でき
ること。 (4)製造が容易で、製造コストを低減できること。
【0012】
【課題を解決するための手段】(1)本発明に係る翼付
きねじ込み鋼管杭は、先端部をほぼ螺旋状に切欠いて取
付部が形成された鋼管と、 半径が前記鋼管の半径
1.5〜2.5倍程度で、内角の総和がほぼ360°に
なるように形成された2個又は3個の扇形状平板とを有
し、これら扇形状平板を隣接する縁部同士を前記取付部
で当接させてほぼ螺旋状の翼を形成するように前記鋼管
の取付部に結合したものである。
【0013】(2)また、本発明に係る翼付きねじ込み
鋼管杭は、先端部をほぼ螺旋状に切欠いて取付部が形成
された鋼管と、半径が前記鋼管の半径の1.5〜2.5
倍程度で、内角の総和が320°〜400°になるよう
に形成された2個又は3個の扇形状平板とを有し、これ
ら扇形状平板をほぼ螺旋状の翼を形成するように前記鋼
管の取付部に結合したものである。
【0014】(3)上記(1)又は(2)の鋼管に設け
た螺旋状の取付部の鋼管の1回転によって生じる段差
を、鋼管の外径の0.1〜0.4倍とした。
【0015】(4)また、上記(1)又は(2)の鋼管
の先端部に設けた取付部に、低強度溶接手段により扇形
状平板を取付けた。
【0016】
【発明の実施の形態】
実施形態1 図1は本発明に係る翼付きねじ込み鋼管杭の実施形態1
の斜視図である。図において、1は翼付きねじ込み鋼管
杭(以下単に鋼管杭という)、2はこの鋼管杭1を構成
する鋼管、11a,11bは鋼板からなり鋼管2の先端
部に結合された扇形状平板で、翼10を構成する。
【0017】鋼管2の先端部には、図2に示すように、
ほぼ螺旋状に切り欠かれた翼10の取付部3が設けられ
ており、この取付部3を形成する段部4の高さ、すなわ
ち、鋼管杭1の1回転によって生じる段差hは、鋼管杭
1を貫入する地盤の状態、鋼管2の外径などによって異
なるが、一般にh=0.1〜0.4D(Dは鋼管2の外
径)程度であることが望ましい。この段差hが0.1D
未満の場合は、鋼管杭1の1回転当りの貫入量が著しく
低下し、また、0.4Dを超えると1回転当りの貫入量
が大きくなりすぎるため、鋼管杭1を回転するためのト
ルクが過大になり、さらに、翼10で緩められる地盤の
厚さが大きくなるために、支持力が若干低下する。
【0018】翼10は図3に示すように、鋼管2の外径
Dより大きい外径D1 (例えば、D1 =2D)の円形鋼
板又は楕円形鋼板を中央から2分割した扇形状平板11
a,11bで構成したものである。なお、翼10の大き
さは、鋼管杭1を貫入する地盤の状態、鋼管2の外径な
どによって異なるが、ねじ込み施工性と支持力の大きさ
とのバランスを考慮して、鋼管2の外径Dの1.5〜
2.5倍程度が望ましい。
【0019】図4及び図5は本実施形態の他の例を示す
斜視図及び底面図である。本例は、翼10を鋼管2の外
径Dより大きい外径D1 の円形鋼板又は楕円形鋼板を3
分割した扇形状平板11a,11b,11cで構成した
ものである。
【0020】上述の翼10を構成する扇形状平板11
a,11b又は11a,11b,11c(以下11a〜
11cと記す)は、2〜3個が望ましい。個数が多いほ
ど翼10の形状は螺旋翼に近づくが、多くなると鋼管杭
1に鉛直力が作用したときに各扇形状平板11a〜11
cと鋼管2の取付部3との結合部が直線的になるため、
力学的に不安定になる。
【0021】このような扇形状平板11a〜11cは、
その端縁(扇形状平板11a〜11cが2個の場合は直
線縁、3個の場合は尖端部)を鋼管2のほぼ中心部に位
置させて取付部3上に載置し、隣接する扇形状平板11
a〜11cの縁部同士を取付部で当接して溶接等により
鋼管2の取付部3に結合され、鋼管杭1が構成される。
この場合、隣接する扇形状平板11a〜11cの当接部
近傍を溶接により接合して力学的安定性を増してもよ
い。そして、例えば図18に示すように、ベースマシン
25に搭載したオーガー26に連結され、オーガー26
によって回転されて翼10のねじ作用により地中にねじ
込まれ、埋設される。このとき、鋼管2の先端開口部の
大部分は、扇形状平板11a〜11cによって閉塞され
ているため、鋼管2内には土砂はほとんど侵入しない。
【0022】実施形態2 本実施形態は、実施形態1において、翼10を構成する
2個又は3個の扇形状平板11a〜11cの各縁部の食
い違いによって形成された開口部12のうち、鋼管2に
囲まれた部分を図6、図7に示すように、鋼板等からな
る閉塞部材13によって閉塞し、併せて各扇形部材11
a〜11cの縁部を閉塞部材13によって剛接合したも
ので、これにより、完全な土砂侵入を防止する翼10の
力学的安定性を向上させたものである。
【0023】上記のように構成した実施形態1に係る鋼
管杭1は、鋼管2の下端部に設けたほぼ螺旋状の取付部
3に2個又は3個の扇形状平板11a〜11cを溶接等
により結合して翼10を構成し、かつ、翼10を鋼管2
の外周面から大きく突設させたので、全体として螺旋翼
に近い翼10を構成することができる。その結果、地中
へのねじ込み施工時に鋼管杭1に回転力を与えると、螺
旋翼を取付けた鋼管杭と同様にスムーズに地中に貫入さ
せることができる。そして、ねじ込みにあたっては、翼
10が下方の地盤に食い込んで鋼管杭1を地中にねじ込
む機能と、鋼管2の下方の土砂を扇形状平板11a〜1
1cの食い違い部で掘削して鋼管2の周囲に押出し、か
つこれを圧縮する機能との両機能を発揮する。
【0024】また、施工後において、上載建造物等によ
る鉛直荷重を支持する杭として機能するときは、扇形状
平板11a〜11cは、鋼管2の下端開口部を閉塞する
底板としての部分と、鋼管2の外周から突出した翼とし
ての部分とを合わせた全面積が支持体として機能し、大
きな地盤支持力を得ることができる。
【0025】このように、翼10は、鋼管2の外周に突
出して地盤へ食い込む機能と、鋼管先端部の開口部を閉
塞する底板としての機能との両機能を備えている。先端
部を閉塞した鋼管杭の地盤支持力は、閉塞面積に比例す
ることが知られているので、例えば、扇形状平板11a
〜11cの半径を鋼管2の半径の2倍にすると、翼10
の面積は、これがない場合の4倍の面積となり、非常に
大きな地盤支持力が得られる。
【0026】また、実施形態2に示すように、扇形状平
板11a〜11cの両端部の食い違いによって形成され
た開口部12のうち鋼管2に囲まれた部分を、閉塞板1
3で閉塞することにより、鋼管2内への土砂の侵入を完
全に防止できるので、鋼管杭1の先端部の下方にあるす
べての土砂は、鋼管杭1の側方に押し出しされ、圧縮さ
れて密度の高い土砂になるため、鋼管杭1の周面摩擦に
よる地盤支持力を大きくすることができる。
【0027】また、本発明に係る鋼管杭1の翼10は、
鋼管2の外周面ではなく先端部に取付ける構造であるた
め、鋼管2や翼10を構成する扇形状平板11a〜11
cの製作上の寸法誤差に影響されることがなく、扇形状
平板11a〜11cを容易かつ確実に鋼管2に接合する
ことができ、その上、従来の螺旋翼のように曲げ加工す
る必要もない。このため、外径が500mm程度の鋼管
杭の場合でも扇形状平板11a〜11cを安価に製作、
取付けることができ、全体として鋼管杭1の製造コスト
を低減することができる。
【0028】ところで、翼10によって大きな地盤反力
を受けるためには、翼10は高い剛性が要求される。例
えば、鋼管2の外径が500mm、翼10の外径が10
00mmの場合、翼10には、地盤反力により大きな曲
げモーメントが発生するため、設計上、厚さ40mm程
度の鋼板を用いることが要求され、この曲げモーメント
は鋼管2に伝達されて曲げ応力が生ずることになる。
【0029】しかしながら、翼10は、図8に示すよう
に、扇形状平板11a,11bの外側の部分に作用する
地盤反力により発生した曲げモーメントM1 ,M4 と、
内側の部分に発生した曲げモーメントM2 ,M3 が鋼管
2の先端部で互いに打消し合い、結果として、扇形状平
板11a,11bの取付部3の近傍の鋼管2には、両者
の差の小さい曲げモーメントM1 −M2 及びM4 −M3
が伝達されるだけなので、鋼管2には過大な曲げ応力は
発生しない。また、実施形態2に示すように、隣接する
扇形状平板11a〜11cの閉塞部材13で剛接合した
場合は、曲げモーメントを打消し合ってバランスするた
め、鋼管2との接合部には曲げモーメントはほとんど作
用しない。
【0030】一方、鋼管2の外径と翼10の外径との関
係や地盤反力の分布状態によっては、鋼管2の内側と外
側の翼10に加えられる曲げモーメントに大きなアンバ
ランスが生じ、この曲げモーメントの差の曲げモーメン
トが鋼管2に加えられて、鋼管2に大きな曲げ応力が発
生することも考えられる。さらに、翼10に加えられる
曲げモーメントが前述のように打消し合った場合でも、
翼10が比較的薄肉のときは、全体が曲げ変形すること
も考えられる。このような場合は、鋼管2と翼10の接
合部には、二次的な曲げモーメントが作用する。
【0031】このような場合には、図9に示すように、
鋼管2の先端部(取付部3)に、例えば隅肉溶接や部分
溶接の如く全断面に溶け込まない簡略な溶接14、ある
いは鋼管2の材質よりも降伏強度の小さい溶接材料を用
いた全断面溶け込み溶接(以下両者を合わせて低強度溶
接手段という)により扇形状平板11a〜11cを取付
け、鋼管2の曲げ応力が許容値に達する前に故意に溶接
部を降伏させてしまい、鋼管2にそれ以上の曲げモーメ
ントが伝達されないようにしてもよい。
【0032】溶接材料などの鋼材は、図10に示すよう
に、降伏後も相当変形するまで破壊を生じないという性
質があり、そのため、翼10は、溶接部の降伏後におい
ても鋼管2の先端部から脱落することはない。また、溶
接部が降伏しても鋼管2から翼10への圧縮力は確実に
伝達されるので、翼10は、地盤反力を受ける支持体と
して健全に機能することができる。
【0033】また、上述の溶接に代えて、図11に示す
ように、鋼管2の外周面の下端部に、ブロック状の複数
の鋼片16を溶接して取付けると共に、扇形状平板11
a〜11cの上面に、これら各鋼片16に対向し、かつ
その周囲を取り囲むようにコ字状の鋼板17を溶接して
配置し、鋼板17を鋼片16にそれぞれ嵌合して(以下
ヒンジ手段15という)、扇形状平板11a〜11cを
鋼管2の先端部に取付けるようにしてもよい。
【0034】このようにして翼10が取付けられた鋼管
杭1は、鉛直力とせん断力は伝達できる構造であるた
め、ねじ込みによる鋼管杭1の埋設施工性及び上載建造
物完成後の支持機能上なんら問題はない。一方、翼10
に生じた曲げモーメントは、鋼管2には伝達されないの
で、鋼管2に曲げ応力が発生することはない。
【0035】実施形態3 上記の各実施形態では、円形鋼板又は楕円形鋼板を2等
分又は3等分して内角の総和が360°の扇形状鋼板1
1a〜11cを形成し、その隣接する縁部同士を取付部
3で当接させて翼10を構成した場合を示したが、本実
施形態は、各扇形状平板11a〜11cの内角の総和を
360°より小さく、又は360°より大きく形成した
ものである。図12、図13は各扇形状平板11a〜1
1cの内角の総和を360°より小さくしたもので、扇
形状平板11aと11cとの間にはすき間18が生じ
る。また、図14、図15は各扇形状平板11a〜11
cの内角の総和を360°より大きくしたもので、扇形
状平板11aと11cとの間には重なり19が生じる。
なお、この場合、例えば、扇形状平板11cの取付けに
あったては、段部4の上部において取付部3に連続する
溝3aを設け、この溝3aに扇形状平板11cの一部を
嵌入すればよい。
【0036】発明者らが行った現場試験や数値解析など
による検討結果によれば、各扇形状平板11a〜11c
の内角の総和が320°より小さいと、鋼管杭1のねじ
込み施工の際の貫入速度が低下すると共に、支持力が低
下する。また、400°を超えると、粒径の大きい砂礫
地盤では施工性が悪くなることがわかった。このような
ことから、翼10を構成する扇形状平板11a〜11c
の内角の総和は、320°〜400°の範囲内とするこ
とが望ましい。
【0037】この場合、翼10を構成する各扇形状平板
11a〜11cの内角をすべて等しくする必要はなく、
若干異なってもよい。また、すき間18又は重なり19
は1か所に集中する必要はなく、隣接する扇形状平板1
1a〜11cの間に適宜設けてもよい。
【0038】図16は、鋼管杭1を地中にねじ込んで埋
設する際、翼10の端部が変形するのを防止するため、
扇形状平板11a,11bの回転方向側の端部に、1個
又は複数個の補強用鋼板20を取付けたものである。ま
た、図17は、鋼管杭1のねじ込み効率を向上するため
に、扇形状平板11a,11bの回転方向側の端部に、
翼10の掘削を補助するための1個又は複数個の掘削刃
21を取付けたものである。この場合、扇形状平板11
a,11bの中央部近傍に掘削刃21を取付けてもよ
い。なお、これら補強用鋼板20及び掘削刃21は、本
発明に必須のものではない。
【0039】図18は本発明に係る鋼管杭1を地中に埋
設する場合の施工試験の一例を示すもので、鋼管杭1を
構成する鋼管2の寸法は、外径D:500mm、肉厚:
14mm、長さ:45.5mであり、先端部に設けた螺
旋状の取付部の段差hをh:0.125Dとした。ま
た、翼10は外径:1000mm、厚さ:40mmの2
個の扇形状平板(内角の総和:360°)11a,11
bで構成し、低強度溶接手段により鋼管2の取付部3に
接合した。また、比較用として、1枚のドーナツ状鋼板
を曲げ加工して製作した螺旋翼(外径1000mm)
を、外径500mmの鋼管の下部外周に接合した鋼管杭
を同時に試験して、施工性と支持力を比較した。
【0040】鋼管杭の回転力は、図18に示すベースマ
シン25に搭載したオーガー26により杭頭に伝達し
た。試験場所の地盤は、地表から深さ8mまでは埋立
砂、8mから38mまでは軟弱粘性土、38m以深は細
砂の地層であった。本発明に係る鋼管杭1と比較用の鋼
管杭につき、ともに深さ44mまでねじ込み施工を行っ
た。その結果、本発明に係る鋼管杭1と比較用の鋼管杭
は、ねじ込み施工性に差はみられず、ともにスムーズに
埋立てることができた。ついで、油圧ジャッキを用いて
鉛直載荷試験を行ったが、両者の支持力は全く同じであ
った。
【0041】このように、本発明に係る鋼管杭は、鋼管
杭1に回転力を与えてねじ込みにより地中に埋設する
際、翼10の鋼管2の外周面より外側の部分は、ねじの
作用と同様に周囲の地盤からの反力により、鋼管杭1を
下方へ推進させる機能を備えている。また、鋼管2の内
側の部分は、従来技術に示された底板と異なり翼10を
構成する扇形状平板11a,11bの縁部が食い違って
配置されているため、鋼管先端部の下方の地盤を掘削す
る機能を有する。さらに、鋼管杭1は翼10の全面積に
よる大きな支持力を得ることができる。また、鋼管杭1
の下方にあるすべての土砂は鋼管2の側方に押し出され
て圧縮され、密度の高い土砂となり、鋼管杭1は翼10
の支持力に加えて周面摩擦による大きな支持力が得られ
る。
【0042】上記の説明では鋼管2の下端部に設けた螺
旋状の取付部3に、2個又は3個の扇形状平板11a〜
11cからなる翼10を接合した場合を示したが、翼1
0の上方において鋼管の外周に螺旋状翼又は平板状翼を
取付けてもよい。これにより、鋼管2を下方に推進させ
る機能及び支持機能をさらに向上させるということがで
きる。
【0043】
【発明の効果】(1)本発明に係る翼付きねじ込み鋼管
杭は、先端部をほぼ螺旋状に切欠いて取付部が形成され
た鋼管と、半径が前記鋼管の半径の1.5〜2.5倍程
度で、内角の総和がほぼ360°になるように形成され
た2個又は3個の扇形状平板とを有し、これら扇形状平
板を隣接する縁部同士を前記取付部で当接させてほぼ螺
旋状の翼を形成するように前記鋼管の取付部に結合し、 (2)または、半径が前記鋼管の半径の1.5〜2.5
倍程度で、内角の総和が320°〜400°になるよう
に形成された2個又は3個の扇形状平板とを有し、これ
ら扇形状平板をほぼ螺旋状の翼を形成するように前記鋼
管の取付部に結合するようにしたので、次のような効果
を得ることができる。
【0044】 鋼管の底板と螺旋翼の両方の機能を備
えた翼の全体が鉛直力の作用時に支持体として働くた
め、大きな支持力を得ることができる。 複数の扇形状平板を鋼管の先端部にほぼ螺旋状に配
置して構成した翼により、螺旋翼を設けた場合と同等の
ねし込み施工性が得られる。
【0045】 翼の製作に鋼板の曲げ加工が不要であ
るばかりでなく、扇形状平板と鋼管に製作上の寸法誤差
があっても、その影響を受けることなく扇形状平板を容
易かつ確実に鋼管に取付けることができる。このため、
鋼管杭の製作コストを低減することができる。 翼を鋼管の外周面でなく先端部に取付ける構造なの
で、翼に発生した曲げモーメントが鋼管に伝達されて過
大な曲げ応力を発生しにくい。
【0046】(3)上記(1)又は(2)の鋼管に設け
た取付部の鋼管の1回転によって生じる段差を鋼管の外
径の0.1〜0.4倍としたので、各扇形状平板の内角
の総和を320°〜400°としたことと相俟って、良
好なねじ込み施工性と安定した支持力を得ることができ
る。
【0047】(4)翼を構成する扇形状平板を低強度溶
接手段により鋼管に結合するようにしたので、翼に過大
な曲げモーメントが発生しても、鋼管に生ずる曲げ応力
を許容値以内に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の斜視図である。
【図2】図1の鋼管の先端部を示す斜視図である。
【図3】図1の翼を構成する扇形状平板の斜視図であ
る。
【図4】実施形態1の他の例の斜視図である。
【図5】図4の底面説明図である。
【図6】本発明の実施形態2の斜視図である。
【図7】図6の底面説明図である。
【図8】翼に加わる曲げモーメントの説明図である。
【図9】翼の鋼管への接合例を示す説明図である。
【図10】溶接材料などの鋼材の性質を示す線図であ
る。
【図11】翼の鋼管への他の接合例を示す線図である。
【図12】本発明の実施形態3の斜視図である。
【図13】図12の底面説明図である。
【図14】実施形態3の他の例の斜視図である。
【図15】図14の底面説明図である。
【図16】翼に補強用鋼板を取付けた状態を示す斜視図
である。
【図17】翼に掘削刃を取付けた状態を示す斜視図であ
る。
【図18】本発明に係る鋼管杭の施工例を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1 鋼管杭 2 鋼管 3 取付部 10 翼 11a,11b,11c 扇形状平板 12,18 開口部 13 閉塞部材 14 低強度溶接手段(隅肉溶接) 15 ヒンジ手段 19 重なり
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 正宏 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−98818(JP,A) 実開 平5−81329(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 5/56 E02D 5/72

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端部をほぼ螺旋状に切欠いて取付部が
    形成された鋼管と、 半径が前記鋼管の半径の1.5〜2.5倍程度で、内角
    の総和がほぼ360°になるように形成された2個又は
    3個の扇形状平板とを有し、 これら扇形状平板を隣接する縁部同士を前記取付部で当
    接させてほぼ螺旋状の翼を形成するように前記鋼管の取
    付部に結合したことを特徴とする翼付きねじ込み鋼管
    杭。
  2. 【請求項2】 先端部をほぼ螺旋状に切欠いて取付部が
    形成された鋼管と、 半径が前記鋼管の半径の1.5〜2.5倍程度で、内角
    の総和が320°〜400°になるように形成された2
    個又は3個の扇形状平板とを有し、 これら扇形状平板をほぼ螺旋状の翼を形成するように前
    記鋼管の取付部に結合したことを特徴とする翼付きねじ
    込み鋼管杭。
  3. 【請求項3】 鋼管に設けた螺旋状の取付部の該鋼管の
    1回転によって生じる段差を、前記鋼管の外径の0.1
    〜0.4倍としたことを特徴とする請求項1又は2記載
    の翼付きねじ込み鋼管杭。
  4. 【請求項4】 鋼管の先端部に設けた取付部に、低強度
    溶接手段により扇形状平板を結合したことを特徴とする
    請求項1又は2記載の翼付きねじ込み鋼管杭。
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