JP3031247B2 - ねじ込み式鋼管杭 - Google Patents

ねじ込み式鋼管杭

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JP3031247B2 JP8143898A JP14389896A JP3031247B2 JP 3031247 B2 JP3031247 B2 JP 3031247B2 JP 8143898 A JP8143898 A JP 8143898A JP 14389896 A JP14389896 A JP 14389896A JP 3031247 B2 JP3031247 B2 JP 3031247B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ねじ込み式鋼管杭
に係り、さらに詳しくは、鋼管の先端部に螺旋状に形成
した螺旋状板を取付けると共に、この螺旋状板の上方に
螺旋状に形成した螺旋状翼を取付けて鋼管杭を構成し、
この鋼管杭に回転力を与えてねじ作用によって地中に押
し込み、無排土で地中に埋設するようにしたねじ込み式
鋼管杭に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼管の先端部や側面に螺旋翼などを取付
けた鋼管杭に、地上に設置した駆動装置により回転力を
与えることにより、ねじの作用で地中に埋設するように
したねじ込み式鋼管杭は従来から多数提案されており、
その一部は小径の杭を対象としたものではあるが実用化
されている。以下、従来のこの種のねじ込み式鋼管杭の
一例について説明する。
【0003】特開昭61−98818号公報に記載され
た回転圧入式鋼管杭は、鋼製円筒体の下部に、上下方向
に延長する押込用傾斜前面を有する刃を設けると共に、
その傾斜前面の下端部から円筒体回転方向の後方に向っ
て斜めに上昇する傾斜ブレードを固定して環状のドリル
ヘッドを構成し、そのドリルヘッドの上端部に鋼管杭の
下端部を取付けたものである(従来技術1)。
【0004】また、特公平5−42524号公報に記載
された杭は、先端を先鋭に形成した杭体の先端部に螺旋
状の掘鑿羽根又は掘鑿螺子を設け、後端に先端部に設け
られた螺旋状の掘鑿羽根又は掘鑿螺子のねじピッチより
も間隔の狭いねじピッチに形成した填圧羽根又は填圧螺
子を設けたものである(従来技術2)。これら従来技術
1及び2に示す傾斜ブレード等は、施工に際してねじと
して機能すると共に、大きな地盤支持力を得るための支
持体として機能も備えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来技術1は、鋼製円
筒体の先端部に蓋がないため大きな地盤支持力を得るこ
とができないという大きな問題をもっている。また、傾
斜ブレードの幅が狭く、鋼製円筒体の先端部の内外に僅
かに突出する構造のため、傾斜ブレードを大きな地盤支
持力の支持体として期待することはできない。一方、地
盤支持力を増大させるために傾斜ブレードの幅を広げる
と、地盤反力の作用により杭本体との付け根部に大きな
曲げモーメントが生じ、これが鋼管杭に伝達されて大き
な曲げ応力を発生する。また、従来技術1は、傾斜ブレ
ード付き鋼製円筒体を製作してからこれを鋼管の先端部
に固着するため、コストの増嵩は避けられない。
【0006】さらに、従来技術1においては、傾斜ブレ
ードが鋼管の下端部に1か所だけしか設けられていな
い、いわゆる一段翼であるため、鋼管杭のねじ込み施工
時において、鋼管杭を下方に押し込む力が比較的弱い。
このため、鋼管杭の先端部が硬い地層に達すると、から
廻りすることがある。
【0007】また、従来技術2においては、この技術を
外径が比較的大きい鋼管杭に適用する場合は鋼管に過大
な曲げ応力が発生するため、杭体と掘鑿羽根等の結合部
は掘鑿羽根等と同等以上の強度が要求される。このた
め、図12に示すように、掘鑿羽根等22に開先加工を
施して全断面溶け込み溶接24により強固に結合するこ
とが必要であり、厚さが大きくなると溶接費用が非常に
高くなる。また、外径が比較的大きい杭体に適用する場
合は、掘鑿羽根等の杭体への付け根部に大きな曲げ応力
が発生する。
【0008】さらに、上段の掘鑿羽根等のピッチは下段
の掘鑿羽根等のピッチより小さいために、鋼管杭のねじ
込み施工時において、上段の掘鑿羽根等には鋼管杭を下
方に押し込む力は発生せず、上方に引く抜く力が発生し
てしまう。このため、硬い地盤に到達すると一段翼の場
合よりもさらにから回りしてしまい、深くねじ込み施工
することができない。なお、鋼管外周面の下方から上方
まで連続した螺旋翼を取付けた鋼管杭も提案されている
が、このような構造では、螺旋翼に挾まれた土砂を上方
に押し上げて螺旋翼の上下に空隙が発生するため、大き
な周面摩擦力を得ることができない。
【0009】本発明は、上記従来技術の問題に鑑みて、
以下の課題を解決することを目的としたものである。 (1)螺旋状板及び螺旋状翼を利用して大きな地盤支持
力が得られること。 (2)螺旋状板及び螺旋状翼から伝達される曲げモーメ
ントにより、鋼管に過大な曲げ応力を発生させないこ
と。 (3)螺旋状板と螺旋状翼とにより鋼管杭を強固な地層
までねじ込んで埋設できること。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明に係るねじ込み式鋼管杭は、先端部を螺旋
状に切り欠いた鋼管と、直径が鋼管の直径より大きいほ
ぼ円形の鋼板を鋼管の先端部の下面形状に対応した形状
に曲げ加工した螺旋状板と、ドーナツ状の鋼板を1か所
若しくは数個所で切断して螺旋状に曲げ加工し螺旋状翼
とを有し、螺旋状板を鋼管の先端部に取付けると共に、
螺旋状板の上方において鋼管の外周面に螺旋状翼を取付
けたものである。
【0011】(2)上記(1)のねじ込み式鋼管杭にお
いて、螺旋状板の両端部の食い違いによって形成された
開口部のうち鋼管に囲まれた部分を閉塞部材によって閉
塞した。
【0012】(3)上記(1)又は(2)のねじ込み式
鋼管杭において、鋼管の先端部に、低強度溶接手段又は
ヒンジ手段により螺旋状板を取付けた。 (4)また、上記(1),(2)又は(3)のねじ込み
式鋼管杭において、鋼管の外周面に、低強度溶接手段に
より螺旋状翼を取付けた。
【0013】
【発明の実施の形態】
実施形態1 図1は本発明に係るねじ込み式鋼管杭の実施形態1の斜
視図、図2はその平面図である。図において、1はねじ
込み式鋼管杭(以下単に鋼管杭という)、2はこの鋼管
杭1を構成する鋼管、10は鋼管2の先端部に取付けら
れた螺旋状板、20は螺旋状板10の上方において、鋼
管2の外周面に取付けた螺旋状翼である。
【0014】鋼管2の先端部には、図2に示すように、
螺旋状に切き欠かれた取付部3が設けられており、この
取付部3を形成する段部3aの高さhは、鋼管杭1を埋
設する地盤の状態、鋼管2の外径などによって異なる
が、一般にh=0.2〜0.8D(Dは鋼管の外径)程
度であることが望ましい。螺旋状板10は、図3に示す
ように、鋼管2の外径Dより大きい外径D1 (例えば、
1 =2D)の円形鋼板又は楕円形鋼板の中心を通る線
の一部を切断し、鋼管2の取付部3の下面形状に対応し
た形状に曲げ加工して構成したものである。なお、螺旋
状板10の大きさは、鋼管杭1を埋設する地盤の状態、
鋼管2の外径などによって異なるが、一般に鋼管2の外
径の1.5〜3倍程度が望ましい。このような螺旋状板
10は、鋼管2の先端部の取付部3の下面に当接され、
溶接等により鋼管2に取付けられる。
【0015】なお、この螺旋状板10は、図4に示すよ
うに、円形鋼板又は楕円形鋼板の中心部に穴10aを設
け、この穴10aから外周部まで切断すれば、螺旋状板
10の曲げ加工が容易で、より正確な形状に形成するこ
とができる。なお、この穴10aは、曲げ加工終了後鋼
板等で閉塞することが望ましい。また、螺旋状板10
は、円形鋼板又は楕円形鋼板を複数の片に分割し、それ
ぞれの片を曲げ加工したのち各片を溶接により接合して
鋼管2の先端部に取付けてもよく、あるいはそれぞれの
片を曲げ加工して鋼管2の先端部に取付けたのち、隣接
する片を溶接により接合してもよい。
【0016】螺旋状翼20は、螺旋状板10の外径より
大きいか、ほぼ等しいか、又は若干小さいドーナツ状の
鋼板の1か所を切断し、螺旋状板10の形状に対応した
形状に曲げ加工したものである。そして、螺旋状板10
の上方において、螺旋状板10の傾斜線の延長線上、つ
まり、仮想ピッチ上の鋼管2の外周面に、溶接により取
付けたものである。この場合、螺旋状板10と螺旋状翼
20との間隔は、0.5〜5D(但し、Dは鋼管2の外
径)程度が望ましい。
【0017】なお、螺旋状翼20は、上述のようにドー
ナツ状の鋼板の1か所を切断して曲げ加工してもよい
が、例えば、ドーナツ状の鋼板を2か所又は3か所以上
で切断し、各片をそれぞれ上述の仮想ピッチに対応して
曲げ加工し、鋼管2の外周面に取付けるようにしてもよ
い。また、螺旋状翼20を螺旋状板10の上方に1つ設
けた場合を示したが、2つ以上設けてもよい。
【0018】上記のように構成した鋼管杭1は、例えば
図12に示すように、ベースマシン30に搭載したオー
ガー31に連結され、オーガー31によって回転されて
螺旋状板10と螺旋状翼20のねじ作用により地中にね
じ込まれ、埋設される。このとき、螺旋状翼10の端部
の食い違いによって形成された開口部11が小さいの
で、鋼管2内には土砂はほとんど侵入しない。
【0019】実施形態2 本実施形態は、実施形態1において、螺旋状板10の両
端部の食い違いによって形成された開口部11のうち、
鋼管2に囲まれた部分を、図5に示すように、鋼板等か
らなる閉塞部材12によって閉塞し、併せて螺旋状板1
0の両端部を剛接合したものである。
【0020】上記のように構成した実施形態1に係る鋼
管杭1は、螺旋状板10が鋼管1の下部開口部の大部分
を閉塞すると共に、螺旋状板10及び螺旋状翼20は鋼
管2の外周面から大きく突出しているため、地中へのね
じ込み施工時においては、螺旋状板10は、その下方の
地盤へ食い込んで鋼管杭1をねじ込む機能と、鋼管杭1
の下方の土砂を鋼管2の周囲に押出し、かつこれを圧縮
する機能とを有し、螺旋状翼20は、鋼管杭1を下方に
押込む機能を有する。
【0021】また、施工後において、上載建造物等によ
る鉛直荷重を支持する杭として機能するときは、螺旋状
板10は、鋼管2の下端開口部を閉塞する底板としての
部分と、鋼管2の外周から突出した部分を合わせた全面
積が支持体として機能し、さらに鋼管2の外周面から突
出した螺旋状翼20も地盤支持力を得ることができる。
【0022】このように、螺旋状板10は、鋼管2の外
周に突出して地盤へ食い込む機能と、鋼管先端部の開口
部を閉塞する底板としての機能との両機能を備えてお
り、先端部を閉塞した鋼管杭の地盤支持力は、閉塞面積
に比例することが知られている。よって、例えば、螺旋
状板10の外径を鋼管2の外径の2倍にすると、螺旋状
板10の面積は、これがない場合の4倍の面積となり、
非常に大きな地盤支持力が得られる。
【0023】また、実施形態2に示すように、螺旋状板
10の両端部の食い違いによって形成された開口部11
のうち、鋼管2に囲まれた部分を閉塞板12で閉塞する
ことにより、鋼管2内への土砂の侵入を防止できるの
で、鋼管杭1の先端部の下方にあるすべての土砂は、鋼
管杭1の側方に押し出しされ、圧縮されて密度の高い土
砂になるため、鋼管杭1の周面摩擦による地盤支持力を
大きくすることができる。
【0024】ところで、螺旋状板10によって大きな地
盤反力を受けるためには、螺旋状板10は高い剛性が要
求される。例えば、鋼管2の外径が500mm、螺旋状
板10の外径が1000mmの場合、螺旋状板10に
は、地盤反力により大きな曲げモーメントが発生するた
め、設計上、厚さ40mm程度の鋼板を用いることが要
求され、この曲げモーメントは鋼管2に伝達されて鋼管
2に大きな曲げ応力が生ずることになる。
【0025】しかしながら、螺旋状板10は、図6に示
すように、鋼管2の先端部の内側から外側に亘って連続
しているため、螺旋状板10の鋼管2の外側の部分に対
する地盤反力による曲げモーメントM1 ,M4 と、内側
の部分に対する曲げモーメントM2 ,M3 が、鋼管2と
螺旋状板10との結合部において打消し合い、結果とし
て、鋼管2の螺旋状板10の結合部近傍には、両者の差
の小さい曲げモーメントM1 −M2 及びM4 −M3 が伝
達されるだけなので、鋼管2には過大な曲げ応力は生じ
ない。また、実施形態2に示すように、螺旋状板10の
両端部を剛接合した場合は、螺旋状板10の剛性が向上
すると共に、対向する外側の部分同志及び内側の部分同
志で互いに曲げモーメントを打消し合ってバランスする
ため、鋼管2との接合部には曲げモーメントはほとんど
作用しない。
【0026】このように、鋼管の外周面に傾斜ブレード
などを取付ける従来技術で問題になった鋼管に生じる過
大な曲げ応力を、本発明は螺旋状板10により大幅に軽
減することができる。一方、螺旋状翼20は螺旋状板1
0ほど大きな地盤支持力は分担しない。このため、螺旋
状翼20から鋼管2に伝達される曲げモーメントは小さ
く、大きな問題にはならない。
【0027】また、鋼管2の外径と螺旋状板10の外径
との関係や地盤反力の分布状態によっては、螺旋状板1
0の鋼管2の内側と外側に加えられる曲げモーメントに
大きなアンバランスが生じ、この曲げモーメントの差の
曲げモーメントが鋼管2に加えられ、鋼管2に大きな曲
げ応力が発生することも考えられる。さらに、螺旋状板
10に加えられる曲げモーメントが前述のように打消し
合った場合でも、螺旋状板10が比較的薄肉のときは、
全体が曲げ変形することも考えられる。このような場合
は、鋼管2と螺旋状板10の接合部には、二次的な曲げ
モーメントが作用する。
【0028】このような場合、図13に示すように、鋼
管2の先端部と螺旋状板10とを剛接合すると、従来技
術と同様の問題が生じるので、図7に示すように、鋼管
2の先端部(取付部3)に、例えば隅肉溶接の如く全断
面に溶け込まない簡略な溶接13、あるいは鋼管2の材
質より降伏強度の小さい溶接材料を用いた全断面溶け込
み溶接(以下両者を合わせて低強度溶接手段という)に
より螺旋状板10を取付け、鋼管2の曲げ応力が許容値
に達する前に故意に溶接部を降伏(塑性化)させてしま
い、鋼管2にそれ以上の曲げモーメントが伝達されない
ようにしてもよい。
【0029】溶接材料などの鋼材は、図8に示すよう
に、降伏後も相当変形するまで破壊を生じないという性
質があり、そのため、螺旋状板10は、溶接部の降伏後
においても鋼管2の先端部から脱落することはない。ま
た、溶接部が降伏しても、螺旋状板10は、地盤反力を
受ける支持体として健全に機能することができる。
【0030】また、上述の溶接に代えて、図9に示すよ
うに、鋼管2の外周面の下端部に、ブロック状の複数の
鋼片15を溶接して取付けると共に、螺旋状板10の上
面に、これら各鋼片15に対向し、かつその周囲を取り
囲むようにコ字状の鋼板16を溶接して配置し、鋼板1
6を鋼片15にそれぞれ嵌合して(以下ヒンジ手段14
という)、螺旋状板10を鋼管2の先端部に取付けるよ
うにしてもよい。
【0031】このようにして螺旋状板10が取付けられ
た鋼管杭1は、鉛直力とせん断力は伝達できる構造であ
るため、ねじ込みによる鋼管杭1の埋設施工性及び上載
建造物完成後の支持機能上なんら問題はない。また、螺
旋状板10に生じた曲げモーメントは、鋼管2には伝達
されないので、鋼管2に曲げ応力が発生することはな
い。
【0032】一方、螺旋状翼20には、通常、大きな曲
げモーメントは作用しない。しかし、地中へのねじ込み
時に、大きな押し込み力を得るために螺旋状翼20の外
径を、螺旋状板10のそれより大きくすることがある。
こように場合には、鋼管杭1に上載建造物などによる鉛
直荷重により、螺旋状板10と同様に大きな曲げモーメ
ントを受けることがある。このような場合は、螺旋状翼
20を鋼管2に前述の低強度溶接手段により結合して、
螺旋状翼20に一定以上の曲げモーメントが加えられる
と降伏(塑性化)するようにすれば、螺旋状翼20から
鋼管2に伝達される曲げモーメントを許容値以内に抑え
ることができる。
【0033】図10は、鋼管杭1を地中にねじ込んで埋
設する際、螺旋状板10及び螺旋状翼20の端部が変形
するのを防止するため、これらの回転方向側の端部に、
補強用鋼板17を取付けたものである。また、図11
は、鋼管杭1のねじ込み効率を向上するために、螺旋状
板10の回転方向側の端部に、螺旋状板10の掘削を補
助するための掘削刃18を取付けたものである。この掘
削刃18は螺旋状板10と螺旋状翼20の両者に取付け
てもよい。なお、これら補強用鋼板17及び掘削刃18
は、本発明に必須のものではない。
【0034】図12は本発明に係る鋼管杭1を地中に埋
設する場合の施工試験の一例を示すもので、鋼管杭1を
構成する鋼管2の寸法は、外径:500mm、肉厚:1
4mm、長さ:21mであり、先端部に設けた取付部3
を形成する段部3aの高さhをh=0.25とした。ま
た、螺旋状板10は外径:1000mm、厚さ:40m
mの鋼板を曲げ加工したもの、螺旋状翼20は外径:1
200mm、厚さ25mmのドーナツ状の鋼板を曲げ加
工したものをそれぞれ用い、鋼管2への結合は、いずれ
も低強度溶接手段によった。鋼管杭1の回転力は、ベー
スマシン30に搭載したオーガー31により杭頭に伝達
した。試験場所の地盤は、地表から深さ19mまでがN
値5〜30の砂とシルトの互層、それ以深はN値60以
上の礫層で非常に硬い地盤である。試験は螺旋状翼20
を有するものと有さないものの両者について行った。強
固な地盤までは両者ともほぼ同程度の施工性であった
が、それ以深は、螺旋状翼20を有しない鋼管杭はから
回りが多く発生し、貫入が困難であった。一方、螺旋状
翼20を有する鋼管杭1は短時間でスムーズに所定の深
さまで埋設することができた。
【0035】このように、本発明に係る鋼管杭は、鋼管
杭1に回転力を与えてねじ込みにより地中に埋設する
際、螺旋状板10の鋼管2の外周面より外側へ突出した
部分及び螺旋状翼20は、ねじの作用と同様に周囲の地
盤からの反力により、鋼管杭1を下方へ推進させる機能
を備えている。また、鋼管の内側の部分は、従来技術に
示された底板と異なり螺旋状板10が一部食い違って配
置されているため、鋼管先端部の下方の地盤を掘削する
効果を有する。
【0036】以上の説明から明らかなように、本発明に
よれば、以下に記載する理由により、鋼管杭先端部の加
工費、したがって、鋼管杭の製造費を大幅に低減するこ
とができる。 (1)螺旋状板10は、鋼管杭1を推進させるためのね
じとしての機能と、底板としての機能の両機能を備えて
いるので、従来のようにこれらを別々に設ける必要がな
く、このため、材料費及び取付費を低減することができ
る。 (2)鋼管と螺旋状板10及び螺旋状翼20との結合
は、隅肉溶接の如き部分溶接でも行えるので、コストの
大きな部分を占めていた溶接費用を大幅に低減すること
ができる。
【0037】また、以下の理由により、鋼管杭1を強固
な地層までねじ込むことができる。 (1)螺旋状翼20により鋼管杭1を下方に押し込む力
が強いために、螺旋状板10が硬い地層に入ってもから
回りを防止し、又は軽減する。 (2)螺旋状翼10は、鋼管2の側方に食い込むだけで
なく、鋼管杭1の下方の地盤まで掘削していく食い込み
作用を行う。
【0038】
【発明の効果】本発明に係るねじ込み式鋼管杭によれ
ば、次のような効果を得ることができる。 (1)先端部を螺旋状に切り欠いた鋼管と、直径が鋼管
の直径より大きい円形鋼板を鋼管の先端部の下面形状に
対応した形状に曲げ加工した螺旋状板と、ドーナツ状の
鋼板を1か所又は複数か所で切断して螺旋状に曲げ加工
した螺旋状翼とを有し、螺旋状板を鋼管の先端部に取付
けると共に、螺旋状板の上方において鋼管の外周面に螺
旋状翼を取付けたので、以下のような効果が得られる。
【0039】地盤への螺旋状板のねじ込み作用及び螺旋
状翼の押し込み作用により、非常に硬い地盤でも螺旋状
板がから回りすることなく貫入することができる。ま
た、螺旋状板は、食い違い部が鋼管下方の地盤を掘削す
る効果を有するため、非常に硬い地盤にも適用すること
ができる。
【0040】螺旋状板は硬い支持層に貫入されて広い面
積で地盤反力を受け、これに螺旋状翼の支持機能が付加
されるため、大きな鉛直支持力を得ることができる。そ
して、螺旋状板に作用する曲げモーメントは、互いに打
ち消されて鋼管には両者の差の曲げモーメントが伝達さ
れるだけなので、鋼管に大きな曲げ応力が生ずることは
ない。また、螺旋状板は底板の機能を備えているため別
に底板を設ける必要がないことから、鋼管杭の製造費を
低減することができる。
【0041】(2)上記(1)の螺旋状板の両端部の食
い違いによって形成された開口部のうち鋼管に囲まれた
部分を閉塞部材で閉塞したので、螺旋状板の剛性を高め
ると共に、鋼管杭のねじ込みに際して土砂が鋼管内に侵
入することがなく、無排土で地中に埋設することができ
る。また、鋼管杭の先端部下方にある地盤は螺旋状板の
食い違い部で掘削され、鋼管杭の側方に押し出され圧縮
されて密度の高い土砂になるため、鋼管杭の周面摩擦に
よる地盤支持力を大きくすることができる。
【0042】(3)上記(1)又は(2)の鋼管の先端
部に低強度溶接手段若しくはヒンジ手段によって螺旋状
板を取付け、又螺旋状翼を低強度溶接手段により鋼管外
周面に取付けるようにしたので、鋼管杭を安価に製造で
きる。また、螺旋状板及び螺旋状翼から鋼管に伝達され
る曲げモーメントを抑制することができ、これにより、
鋼管に過大な曲げ応力が発生するのを防止することがで
きる。このため、大径(例えば600mm)の鋼管から
なるねじ込み式鋼管杭にも本発明を実施することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の斜視図である。
【図2】図1の鋼管の先端部を示す斜視図である。
【図3】図1の螺旋状板の説明図である。
【図4】螺旋状板の他の例の説明図である。
【図5】本発明の実施形態2の斜視図である。
【図6】螺旋状板に加わる地盤反力の説明図である。
【図7】螺旋状板の鋼管への結合例を示す説明図であ
る。
【図8】溶接材料などの鋼材の性質を示す線図である。
【図9】螺旋状板の鋼管への他の結合例を示す説明図で
ある。
【図10】螺旋状板及び螺旋状翼に補強用鋼板を取付け
た状態を示す斜視図である。
【図11】螺旋状板に掘削刃を取付けた状態を示す斜視
図である。
【図12】本発明に係るねじ込み式鋼管杭の施工例を示
す説明図である。
【図13】従来の螺旋翼の鋼管への結合状態を示す説明
図である。
【符号の説明】
1 鋼管杭 2 鋼管 3 取付部 10 螺旋状板 11 開口部 12 閉塞部材 13 低強度溶接(隅肉溶接) 14 ヒンジ手段 20 螺旋状翼
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島岡 久壽 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−326053(JP,A) 特開 平7−292666(JP,A) 特開 昭61−98818(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 5/56 E02D 5/28

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端部を螺旋状に切り欠いた鋼管と、 直径が前記鋼管の直径より大きいほぼ円形の鋼板を前記
    鋼管の先端部の下面形状に対応した形状に曲げ加工した
    螺旋状板と、 ドーナツ状の鋼板を1か所若しくは複数か所で切断して
    螺旋状に曲げ加工した螺旋状翼とを有し、 前記螺旋状板を前記鋼管の先端部に取付けると共に、該
    螺旋状板の上方において前記鋼管の外周面に前記螺旋状
    翼を取付けたことを特徴とするねじ込み式鋼管杭。
  2. 【請求項2】 螺旋状板の両端部の食い違いによって形
    成された開口部のうち鋼管に囲まれた部分を閉塞部材で
    閉塞したことを特徴とする請求項1記載のねじ込み式鋼
    管杭。
  3. 【請求項3】 鋼管の先端部に、低強度溶接手段又はヒ
    ンジ手段により螺旋状板を取付けたことを特徴とする請
    求項1又は2記載のねじ込み式鋼管杭。
  4. 【請求項4】 鋼管の外周面に、低強度溶接手段により
    螺旋状翼を取付けたことを特徴とする請求項1,2又は
    3記載のねじ込み式鋼管杭。
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