JPH1037182A - ねじ込み式鋼管杭 - Google Patents

ねじ込み式鋼管杭

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JPH1037182A
JPH1037182A JP19302396A JP19302396A JPH1037182A JP H1037182 A JPH1037182 A JP H1037182A JP 19302396 A JP19302396 A JP 19302396A JP 19302396 A JP19302396 A JP 19302396A JP H1037182 A JPH1037182 A JP H1037182A
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JP
Japan
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steel pipe
wing
pipe pile
blades
outer diameter
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Pending
Application number
JP19302396A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Shinohara
敏雄 篠原
Hisatoshi Shimaoka
久壽 島岡
Takashi Okamoto
隆 岡本
Masahiro Hayashi
正宏 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 下段翼と上段翼により鋼管杭を強固な地層ま
でねじ込んで埋設することができ、また、下段翼と上段
翼により大きな支持力が得られ、下段翼と上段翼から伝
達される曲げモーメントにより鋼管に過大な曲げ応力が
生ずることがなく、製作が容易で加工費を低減できるね
じ込み式鋼管杭を得ること。 【解決手段】 鋼管2の先端部に固着してその開口部を
閉塞する円板状の鋼製底板3と、外径が鋼管2の外径よ
り大きいドーナツ状鋼板を複数個に分割した扇形状平板
を鋼管2の先端部又はその近傍の外周面に同方向、同角
度で傾斜して取付けた下段翼10a,10bと、外径が
鋼管2の外径より大きいドーナツ状鋼管を少なくとも1
か所で切断し、螺旋状に折曲げ加工して下段翼10a,
10bより上方において鋼管2の外周面に取付けた上段
翼、又はドーナツ状鋼板を複数個に分割した扇形状平板
を下段翼10a,10bより上方において鋼管2の外周
面に下段翼10a,10bと同方向に傾斜して取付けた
上段翼20a,20bとを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ねじ込み式鋼管杭
に係り、さらに詳しくは、鋼管の先端部に複数の下段翼
を傾斜して取付けると共に、この下段翼の上方に上段翼
を取付けて鋼管杭を構成し、この鋼管杭に回転力を与え
てねじ作用によって地中に押し込み、無排土で地中に埋
設するようにしたねじ込み式鋼管杭に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】鋼管の先端部や側面に螺旋翼などを取付
けた鋼管杭に、地上に設置した施工装置により回転力を
与えることにより、ねじの作用で地中に埋設するように
したねじ込み式鋼管杭は従来から多数提案されており、
その一部は小径の杭を対象としたものではあるが実用化
されている。以下、従来のこの種のねじ込み式鋼管杭の
一例について説明する。
【0003】特開平7−292666号公報に記載され
た鋼管杭は、一枚の長さが半巻きで、外径が杭本体の
1.5〜3倍程度である一対のラセン翼を、鋼管杭の下
端部外周面の同じ高さ位置でラセン方向を同じにして互
いに相対的に複数枚不連続に固定したものである(従来
技術1)。
【0004】また、実公平4−19080号公報に記載
された基礎杭は、鋼管製の杭本体の開口した下端に掘削
刃を突設すると共に、杭本体の下端より杭本体の直径の
1/2〜2倍の距離を隔てた上方位置及びそれより所要
距離隔てた上方位置の杭本体の外周面に、それぞれ杭本
体の外径のほぼ2倍の外径を有する翼幅の大きな同一径
の螺旋翼をほぼ一巻きにわたり突設したものである(従
来技術2)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来技術1の鋼管杭
は、工事完了後上載建造物の重量や地震により鉛直力が
作用すると、ラセン翼には翼面下の地盤から強い反力を
受ける。その結果、ラセン翼の付け根部分に大きな曲げ
モーメントが生じ、ラセン翼が鋼管の外周面に強固に固
着されているために、この曲げモーメントが鋼管に伝達
されて許容値を超える大きな曲げ応力が発生する。この
曲げ応力は、従来技術1の明細書に記載されているよう
に、鋼管の外径が100〜200mm程度の小さい鋼管
杭であれば実用上大きな問題にはならない。しかし、広
く使用されている外径が500〜600mmの鋼管杭で
は、設計上大きな問題となる。
【0006】ラセン翼の外径は、従来技術1において
は、施工上あるいは地盤支持力上、鋼管径の2倍程度が
よいとされている。ここで、鋼管径200mmの鋼管杭
と、600mmの鋼管杭とを比較する。いま、それぞれ
のラセン翼の外径を鋼管径の2倍である400mm、1
200mmとすると、ラセン翼の幅((ラセン翼外径−
鋼管外径)/2)は、それぞれ100mm、300mm
となる。ラセン翼に作用する単位面積当りの地盤反力が
同じとすると、ラセン翼の付け根に作用する単位周長当
りの曲げモーメントは、ラセン翼の幅のほぼ2乗に比例
するので、外径600mmの鋼管杭では、外径200m
mの鋼管杭に比べて約9倍の大きさになり、このため、
ラセン翼は大変厚い鋼板が要求される。発明者の試算に
よれば、外径600mmの鋼管杭の場合、設計上40m
m以上の厚さが必要になる。このように厚さが厚くなる
と、平鋼板をラセン状に曲げ加工するのがきわめて面倒
であり、高価になる。
【0007】また、ラセン翼で大きな地盤支持力を得る
ためには、鋼管とラセン翼の結合部はラセン翼と同等以
上の強度が要求される。そのため、図14に示すよう
に、ラセン翼22に開先加工23を施して全断面溶け込
み溶接24により剛接合することが必要であり、厚さが
大きくなると溶接費用が非常に高くなる。
【0008】一方、鋼管のラセン翼の付け根付近には、
前述のようにラセン翼から曲げモーメントが伝達され、
曲げ応力が発生する。鋼管に伝達される曲げモーメント
は外径寸法によって異なるが、ラセン翼の付け根部の曲
げモーメントの5〜10割程度の値になる。例えば、外
径600mmの鋼管の場合、設計上40mm以上の厚さ
が必要なラセン翼の曲げモーメント値の5〜10割の曲
げモーメントが付け根付近の鋼管に発生する。外径60
0mmの鋼管杭の場合、一般に使用されている鋼管の肉
厚は9〜12mm程度であり、ラセン翼の曲げモーメン
トによって生ずる鋼管の曲げ応力は、設計許容曲げ応力
を大きく超過することになる。これに対処するため、ラ
セン翼の付け根付近の鋼管の厚さを、一般の厚さの2〜
3倍に増やすことも考えられるが、そのためにはコスト
が著しく増加し、実用上設計不可能にならざるを得な
い。
【0009】また、従来技術1の鋼管杭はラセン翼の厚
さが厚いため、地中にねじ込む際のくい込み部(ラセン
翼の先端部)の抵抗が大きくなり、このためねじ込みに
大きなトルクを必要とし、施工装置を大型化しなければ
ならない。さらに、従来技術1の鋼管杭は、ラセン翼が
鋼管の下端部に1か所だけしか設けられていない、いわ
ゆる一段翼であるため、鋼管杭のねじ込み施工時におい
て、鋼管杭を下方に押し込む力が不足し、鋼管杭の先端
部が硬い地層に達すると、から回りして貫入できないこ
とがある。
【0010】次に、従来技術2の基礎杭においては、下
方の螺旋翼(下段翼)が1枚翼であるため地盤へくい込
む力が不足し、そのため硬い地層には貫入できないこと
がある。また、杭本体の先端部が開口しているため、大
きな地盤支持力が得られない。さらに、鋼管の径が大き
くなると、下方の螺旋翼から鋼管に伝達される曲げモー
メントが大きくなり、鋼管に許容値を超えた大きな曲げ
応力が発生する。また、螺旋翼の曲げ加工がきわめて面
倒で加工費が高くなる等、多くの問題がある。
【0011】本発明は、上記従来技術の問題に鑑みて、
以下の課題を解決することを目的としたものである。 (1)下段翼と上段翼により鋼管杭を強固な地層までね
じ込んで埋設できること。 (2)下段翼及び上段翼を利用して大きな地盤支持力が
得られること。 (3)下段翼及び上段翼から伝達される曲げモーメント
により、鋼管に過大な曲げ応力を発生させないこと。 (4)ねじ込み時のトルクが小さいこと。 (5)下段翼を含めた鋼管杭先端部近傍の加工が容易
で、加工費が安いこと。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明に係るねじ込み式鋼管杭は、鋼管の先端部
に固着してその開口部を閉塞する円板状の鋼製底板と、
外径が前記鋼管の外径より大きいドーナツ状鋼板を複数
個に分割した扇形状平板を前記鋼管の先端部又はその近
傍の外周面に同方向、同角度で傾斜して取付けた下段翼
と、外径が前記鋼管の外径より大きいドーナツ状鋼板を
少なくとも1か所で切断し、螺旋状に折曲げ加工して前
記下段翼より上方において前記鋼管の外周面に取付けた
上段翼、又はドーナツ状鋼板を複数個に分割した扇形状
平板を前記下段翼より上方において前記鋼管の外周面に
下段翼と同方向にそれぞれ傾斜して取付けた上段翼とを
備えたものである。
【0013】(2)上記(1)の下段翼又は下段翼と上
段翼を、低強度溶接手段により鋼管の外周面に取付け
た。 (3)上記(1)又は(2)の下段翼又は下段翼と上段
翼のくい込み部の上面に傾斜面を設けた。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施形態1 図1は本発明に係るねじ込み式鋼管杭の実施形態1の斜
視図、図2はそのA−A断面図である。図において、1
はねじ込み式鋼管杭(以下単に鋼管杭という)、2はこ
の鋼管杭1を構成する鋼管、3は鋼管2の先端部に溶接
により固着されて開口部を閉塞した円板状の鋼製底板で
ある。10a,10bは鋼管2の先端部又はその近傍の
外周面に同方向、同角度で傾斜して取付けられた下段
翼、20a,20bは下段翼10a,10bの上方にお
いて、鋼管2の外周面に取付けられた上段翼である。
【0015】下段翼10a,10bは、図3に示すよう
に、その外径D1 が鋼管2の外径Dより大きく(例え
ば、D1 =2D)、内径D2 が鋼管2の外径Dとほぼ等
しいドーナツ状の鋼板を中心部から2分割し、内径側を
鋼管2の傾斜外周面に対応した形状に形成した扇形状平
板を、鋼管2の先端部又はその近傍の外周面に溶接等に
より同方向、同角度で傾斜して取付けたものである。こ
の下段翼10a,10bの大きさは、鋼管杭1を埋設す
る地盤の状態、鋼管2の外径及び下段翼10a,10b
の数などによって異なるが、一般に鋼管2の外径の1.
5〜2.5倍程度が望ましい。
【0016】この場合、下段翼10a,10bは鋼管2
の先端部から離れるほど、鋼管2の先端部下方の地盤の
乱れが少なくなるため地盤支持力が大きくなるが、先端
部下方の地盤の側方誘導機能が働らかなくなるため、貫
入性が低下し、地盤支持力も低下する。このようなこと
から、下段翼10a,10bは、鋼管2の下端部から鋼
管2の外径Dに相当する高さ(0〜1.0D)までの領
域内に取付けることが望ましい。
【0017】また、下段翼10a,10bの傾斜角度、
換言すれば個々の下段翼10a又は10bの鋼管2への
取付部の最下位から最上位までの高さhは、鋼管杭1を
埋設する地盤の状態、鋼管2の外径D、及び下段翼10
a,10bの数などによって異なるが、一般にh=0.
1〜0.5D程度であることが望ましい。
【0018】上段翼20a,20bは、鋼管2の外径D
より大きく下段翼10a,10bの外径Dとほぼ等しい
か、又は若干大きい外径(1.0〜1.3D程度)のド
ーナツ状の鋼板を、下段翼10a,10bの場合と同様
に中心部から2等分し、内径側を下段翼10a,10b
の傾斜に対応した鋼管外周面の形状に整合させた扇形状
平板によって構成したものである。そして、この扇形状
平板を下段翼10a,10bの上方において、下段翼1
0a,10bの傾斜線の延長線、つまり、仮想ピッチ上
の鋼管2の外周面に、溶接により取付けたものである。
この場合、下段翼10a,10bと上段翼20a,20
bとの間隔Hは、H=0.5〜10.0D(但し、Dは
鋼管2の外径)程度が望ましい。
【0019】なお、上段翼20a,20dは、上述のよ
うに、下段翼10a,10bと同様の状態で鋼管2に取
付けてもよいが、一方の端部を互に溶接して一体化して
もよく、あるいはドーナツ状の鋼板を複数か所で切断し
て前述の仮想ピッチに対応させてそれぞれ曲げ加工し、
又はドーナツ状の鋼板を複数個に分割した扇形状平板に
よって形成してもよい。
【0020】上記のように構成した鋼管杭1は、例えば
図13に示すように、施工装置であるベースマシン30
に搭載したオーガー31に連結され、オーガー31によ
って回転されて下段翼10a,10bと上段翼20a,
20bのねじ作用により地中にねじ込まれ、埋設され
る。このとき、鋼管2の先端開口部は鋼製底板3で閉塞
されているので鋼管2内には土砂は侵入しない。
【0021】実施形態2 本実施形態は、図4に示すように、ドーナツ状の鋼板か
らなり1か所が切断された1枚の上段翼20を、下段翼
10a,10bの傾斜に合わせて曲げ加工して構成し、
下段翼10a,10bの仮想ピッチ上において鋼管2の
外周面に溶接により取付けたものである。本実施形態に
係る鋼管杭1の施工方法及び作用、効果は実施形態1の
場合と同様である。
【0022】実施形態3 図5は本発明の実施形態3の斜視図、図6は図5のB−
B断面図である。本実施形態においては、鋼管2の先端
部又はその近傍の外周面に、鋼管2の外径より大きい外
径のドーナツ状の鋼板を3等分した扇形状平板からなる
下段翼10a,10b,10cを溶接等により傾斜して
取付けると共に、その上方に、実施例2の上段翼20に
準じた構造の上段翼20を溶接により鋼管2の外周面に
取付けて、鋼管杭1を構成したもである。なお、上記の
上段翼20に代えて、実施形態1の上段翼20a,20
bに準じてドーナツ状の鋼板を複数等分した扇形状平板
からなる上段翼を、下段10a〜10cの仮想ピッチに
合わせて、鋼管2の外周面に傾斜して取付けてもよい。
本実施形態に係る鋼管杭1も、実施形態1,2の場合と
同様にして地中にねじ込まれ、埋設される。
【0023】上記のように構成した実施形態1〜3に係
る鋼管杭1は、先端開口部が鋼製底板3で閉塞され、下
段翼10a,10b及び上段翼20又は20a,20b
(以下特別の場合を除き、上段翼20a,20bと記
す)は鋼管2の外周面から大きく突出しているため、地
中へのねじ込み施工時においては、下段翼10a,10
bは、その下方の地盤へ食い込んで鋼管杭1をねじ込む
機能と、鋼管杭1の下方の土砂を鋼管2の側方へ誘導
し、かつこれを圧縮する機能を有し、上段翼20a,2
0bは、鋼管杭1を下方に押込む機能を有する。
【0024】また、施工後において、上載建造物等によ
る鉛直荷重を支持する杭として機能するときは、鋼管2
の下端開口部を閉塞する鋼製底板3と、下段翼10a,
10bの、鋼管2の外周から突出した部分とを合わせた
全面積が支持体として機能し、さらに、鋼管2の外周面
から突出した上段翼20a,20bも地盤支持力を得る
ことができる。
【0025】このように、下段翼10a,10bは、鋼
管2の外周に突出して地盤へ食い込む機能と、支持体と
しての機能との両機能を備えている。先端部を閉塞した
鋼管杭の地盤支持力は、閉塞面積に比例することが知ら
れており、例えば、下段翼10a,10bの外径を鋼管
2の外径の2倍にすると、下段翼の面積は、これがない
場合の4倍の面積となり、非常に大きな地盤支持力が得
られる。
【0026】ところで、下段翼10a,10bによって
大きな地盤反力を受けるためには、下段翼10a,10
bは高い剛性が要求される。例えば、鋼管2の外径が5
00mm、下段翼10a,10bの外径が1000mm
の場合、下段翼10a,10bには、地盤反力により大
きな曲げモーメントが発生するため、設計上、厚さ30
〜40mm程度の鋼板を用いることが要求され、この曲
げモーメントは鋼管2に伝達されて鋼管2に大きな曲げ
応力が生ずることになる。
【0027】一方、上段翼20a,20bには下段翼1
0a,10bほど大きな地盤支持力は期待できず、限ら
れた地盤支持力しか得られない。しかし、上段翼20
a,20bは下段翼10a,10bほど厚くないため
(例えば、20〜25mm程度)、上段翼20a,20
bから鋼管2に伝達される曲げモーメントは小さく、大
きな問題にはならない。
【0028】このような場合、図14に示すように、鋼
管2の外周面と下段翼10a,10bとを剛接合する
と、従来技術1,2と同様の問題が生じるので、図7に
示すように、下段翼10a,10bを例えば隅肉溶接の
如く全断面に溶け込まない簡略な溶接13により鋼管2
の外周面に取付け、あるいは鋼管2の材質よりも降伏強
度の小さい溶接材料(例えば、降伏点20kgf/mm
2 以下)を用いた全断面溶け込み溶接(以下両者を合わ
せて低強度溶接手段という)により下段翼10a,10
bを取付け、鋼管2の曲げ応力が許容値に達する前に故
意に溶接部を降伏(塑性化)させてしまい、鋼管2にそ
れ以上の曲げモーメントが伝達されないようにしてもよ
い。
【0029】溶接材料などの鋼材は、図8に示すよう
に、降伏後も相当変形するまで破壊を生じないという性
質があり、そのため、下段翼10a,10bは、溶接部
の降伏後においても鋼管2の先端部から脱落することは
ない。また、溶接部が降伏しても、下段翼10a,10
bは、地盤反力を受ける支持体として健全に機能するこ
とができる。
【0030】このようにして下段翼10a,10bが取
付けられた鋼管杭1は、鉛直力とせん断力は伝達できる
構造であるため、ねじ込みによる鋼管杭1の埋設施工性
及び上載建造物完成後の支持機能上なんら問題はない。
また、下段翼10a,10bに生じた曲げモーメント
は、鋼管2には伝達されないので、鋼管2に曲げ応力が
発生することはない。
【0031】一方、上段翼20a,20bには、通常、
大きな曲げモーメントは作用しない。しかし、地中への
ねじ込み時に、大きな押し込み力を得るために上段翼2
0a,20bの外径を、下段翼10a,10bのそれよ
り大きくすることがある。こように場合には、鋼管杭1
に上載建造物などによる鉛直荷重により、下段翼10
a,10bと同様に大きな曲げモーメントを受けること
がある。このような場合は、上段翼20a,20bを鋼
管2に前述の低強度溶接手段により結合して、上段翼2
0a,20bに一定以上の曲げモーメントが加えられる
と降伏(塑性化)するようにすれば、上段翼20a,2
0bから鋼管2に伝達される曲げモーメントを抑えるこ
とができる。
【0032】実施形態4 ところで、鋼管2の外径が大きくなると、前述のように
下段翼10a,10bの外径も大になり、これに伴って
下段翼10a,10bの厚さも厚くなる。この結果、例
えば、図13に示すようなベースマシン30で鋼管杭1
を地中にねじ込む際、下段翼10a,10bの回転方向
側の端部に地盤による大きな抵抗が加わり、トルクが弱
いと回転不能になって地中に貫入できないことがある。
このため、ベースマシン30を大型化しなければならな
いという問題が生じる。本実施形態は、このような問題
を解決するために、図9及び図10に示すように、下段
翼10a,10bのくい込み部(回転方向側の端部)の
上面を鋭角に切除して傾斜面11を設け、これにより端
部に加わる地盤の抵抗を軽減し、地中に貫入し易くして
トルクの低減をはかったものである。また、図11の例
では、下段翼10a,10bのくい込み部に、下段翼1
0a,10bの掘削を補助するための掘削刃12を取付
けたものである。
【0033】実施形態5 図12は、本発明の実施形態5を示すもので、鋼管杭1
を地中にねじ込んで埋設する際、下段翼10a,10b
の端部が変形するのを防止するため、下段翼10a,1
0bのくい込み部に、補強用鋼板14を取付けたもので
ある。
【0034】図13は本発明に係る鋼管杭1を地中に埋
設する場合の施工試験の一例を示すもので、鋼管杭1を
構成する鋼管2の寸法は、外径:500mm、肉厚:1
4mm、長さ:21mであり、先端部には厚さ30m
m、外径485mmの鋼製底板3を溶接して固着した。
また、下段翼10a,10bは外径:1000mm、厚
さ:40mmのドーナツ状の鋼板を2分割して鋼管2の
先端部から500mm上方に取付け、上段翼20a,2
0bは外径:1200mm、厚さ25mmのドーナツ状
の鋼板を2分割して下段翼10a,10bの下端部から
3m上方に取付けた。なお下段翼10a,10b、下段
翼20a,20bの鋼管2への取付けは、いずれも低強
度溶接手段によった。鋼管杭1の回転力は、ベースマシ
ン30に搭載したオーガー31により杭頭に伝達した。
試験場所の地盤は、地表から深さ19mまでがN値5〜
30の砂とシルトの互層、それ以深はN値60以上の礫
層で非常に硬い地盤である。この施工試験の結果、鋼管
杭1は短時間でスムーズに所定の深さまで埋設すること
ができた。
【0035】このように、本発明に係る鋼管杭は、鋼管
杭1に回転力を与えてねじ込みにより地中に埋設する
際、複数の下段翼10a,10b及び上段翼20a,2
0bは、ねじの作用と同様に周囲の地盤からの反力によ
り、鋼管杭1を下方へ推進させる機能を備えており、ま
た、下段翼10a,10bは互いに食い違って配置され
ているため、鋼管先端部の下方の地盤を掘削する効果を
有する。そして、下段翼10a,10bは2個又は3個
に分割されているため、1個の場合に比べて地盤に食い
込む力が大きい。
【0036】また、本発明に係る鋼管杭1は、鋼管2の
下部開口部を閉塞する鋼製底板3と下段翼10a,10
bの全面積とにより大きな地盤支持力を得ることがで
き、さらに上段翼20a,20bによる地盤支持力も得
られる。さらに、鋼管杭1の下方にある土砂は、下段翼
10a,10bにより側方に押出されて圧縮され、密度
の高い土砂となり、下段翼10a,10bと鋼製底杭3
による支持力に加えて、周面摩擦による大きな支持力が
得られる。なお、実施形態1〜5及び上述の説明では、
下段翼10a,10bを2個又は3個とした場合を示し
たが、下段翼10a,10bは2個以上であればよい。
また、上段翼20a,20bも1個又は2個の場合を示
したが、3個以上であってもよい。
【0037】本発明によれば、以下の理由により、鋼管
杭1を強固な地層までねじ込むことができる。 (1)上段翼20a,20bにより鋼管杭1を下方に押
し込む力が強いために、下段翼10a,10bが硬い地
層に入ってもから回りを防止し、又は軽減する。 (2)下段翼10a,10bは、鋼管2の側方に食い込
むだけでなく、鋼管杭1の下方の地盤まで掘削して側方
に押出す作用を行う。 (3)下段翼10a,10bは複数個に分割されてお
り、鋼管杭1の下方の地盤に食い込む部分が分割数だけ
確保できるので、食い込み力が大きくなる。
【0038】
【発明の効果】本発明に係るねじ込み式鋼管杭によれ
ば、次のような効果を得ることができる。 (1)鋼管の先端部に固着してその開口部を閉塞する円
板状の鋼製底板と、外径が前記鋼管の外径より大きいド
ーナツ状鋼板を複数個に分割した扇形状平板を前記鋼管
の先端部又はその近傍の外周面に同方向、同角度で傾斜
して取付けた下段翼と、外径が前記鋼管の外径より大き
いドーナツ状鋼板を少なくとも1か所で切断し、螺旋状
に折曲げ加工して前記下段翼より上方において前記鋼管
の外周面に取付けた上段翼、又はドーナツ状鋼板を複数
個に分割した扇形状平板を前記下段翼より上方において
前記鋼管の外周面に下段翼と同方向にそれぞれ傾斜して
取付けた上段翼とによって構成したので、以下のような
効果が得られる。
【0039】地盤への下段翼のねじ込み作用及び上段翼
の押し込み作用により、非常に硬い地盤でもから回りす
ることなく貫入することができる。また、複数に分割さ
れた下段翼は、鋼管杭先端部の地盤に食い込む部分が複
数のため、非常に硬い地盤にも適用することができる。
また、下段翼と鋼製鋼板は硬い支持層に貫入されて広い
面積で地盤反力を受け、これに上段翼の支持機能が付加
されるため、大きな鉛直支持力を得ることができる。さ
らに、下段翼は扇形状平板の鋼板を用いているため曲げ
加工が不要であることなどから、鋼管杭の製造費を低減
することができる。
【0040】(2)上記(1)の下段翼又は下段翼と上
段翼を低強度溶接手段によって鋼管外周面に取付けるよ
うにしたので、下段翼及び上段翼から鋼管に伝達される
曲げモーメントを抑制することができ、これにより、鋼
管に過大な曲げ応力が発生するのを防止することができ
る。
【0041】(3)上記(1)又は(2)の下段翼又は
下段翼と上段翼のくい込み部の上面に傾斜面を設けたの
で、押込み力が増加し、鋼管杭を硬い地層まで確実に貫
入することができる。また、地盤の抵抗力を軽減できる
ので、施工装置のトルクを低減でき、これにより装置を
小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1の下段翼の説明図である。
【図4】本発明の実施形態2の斜視図である。
【図5】本発明の実施形態3の説明図である。
【図6】図5のB−B断面図である。
【図7】下段翼の鋼管への結合例を示す説明図である。
【図8】溶接材料などの鋼材の性質を示す線図である。
【図9】本発明の実施形態4の要部を示す斜視図であ
る。
【図10】図9の要部拡大図である。
【図11】実施形態4の他の例の要部を示す斜視図であ
る。
【図12】本発明の実施形態5の要部の斜視図である。
【図13】本発明に係るねじ込み式鋼管杭の施工例を示
す説明図である。
【図14】従来のラセン翼の鋼管への結合状態を示す説
明図である。
【符号の説明】
1 鋼管杭 2 鋼管 3 鋼製底板 10a〜10d 下段翼 11 傾斜面 13 低強度溶接(隅肉溶接) 20,20a,20b 上段翼
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 正宏 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼管の下部に取付けた翼を利用して地盤
    中にねじ込んで埋設するねじ込み式鋼管杭において、 鋼管の先端部に固着してその開口部を閉塞する円板状の
    鋼製底板と、 外径が前記鋼管の外径より大きいドーナツ状鋼板を複数
    個に分割した扇形状平板を前記鋼管の先端部又はその近
    傍の外周面に同方向、同角度で傾斜して取付けた下段翼
    と、 外径が前記鋼管の外径より大きいドーナツ状鋼板を少な
    くとも1か所で切断し、螺旋状に折曲げ加工して前記下
    段翼より上方において前記鋼管の外周面に取付けた上段
    翼、又はドーナツ状鋼板を複数個に分割した扇形状平板
    を前記下段翼より上方において前記鋼管の外周面に下段
    翼と同方向にそれぞれ傾斜して取付けた上段翼とを備え
    たことを特徴とするねじ込み式鋼管杭。
  2. 【請求項2】 下段翼又は下段翼と上段翼を、低強度溶
    接手段により鋼管の外周面に取付けたことを特徴とする
    請求項1記載のねじ込み式鋼管杭。
  3. 【請求項3】 下段翼又は下段翼と上段翼のくい込み部
    の上面に傾斜面を設けたことを特徴とする請求項1又は
    2記載のねじ込み式鋼管杭。
JP19302396A 1996-07-23 1996-07-23 ねじ込み式鋼管杭 Pending JPH1037182A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013067584A1 (en) * 2011-11-10 2013-05-16 Blade Pile Manufacturing Pty Ltd Improved screw pile
JP2014111883A (ja) * 2012-11-06 2014-06-19 Haruoka Foundation Co Ltd
JPWO2021157699A1 (ja) * 2020-02-07 2021-08-12

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WO2021157699A1 (ja) * 2020-02-07 2021-08-12 Jfeスチール株式会社 鋼管杭

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