JP3254754B2 - 磁気検知マーカーとの存在判定システム - Google Patents

磁気検知マーカーとの存在判定システム

Info

Publication number
JP3254754B2
JP3254754B2 JP27023292A JP27023292A JP3254754B2 JP 3254754 B2 JP3254754 B2 JP 3254754B2 JP 27023292 A JP27023292 A JP 27023292A JP 27023292 A JP27023292 A JP 27023292A JP 3254754 B2 JP3254754 B2 JP 3254754B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
marker
coating film
binder
detection marker
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP27023292A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06119565A (ja
Inventor
渉 末永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP27023292A priority Critical patent/JP3254754B2/ja
Publication of JPH06119565A publication Critical patent/JPH06119565A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3254754B2 publication Critical patent/JP3254754B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、対象物を遠隔で検知す
る磁気検知マーカーに関し、さらに詳しくは、監視が必
要な物品が商品梱包後に商品とともに混載されているか
否かの識別を行うために用いられる、磁性塗料を用いた
磁気検知マーカーに関する。
【0002】
【従来の技術】物品を遠隔で識別または検知する方法と
して、空港等で利用されている金属検知器、または百貨
店やスーパーマーケット等の大型店や図書館等の公共施
設から物品が無断で持ち出される被害を防止するための
盗難防止システムが使用されている。
【0003】金属検知器は、身に付けている金属類の磁
気的性質または渦電流による磁界変化を検知する磁気シ
ステムである。また、盗難防止システムは、物品にソフ
ト磁性材を用いたラベルを貼り付けておき、物品が質問
領域を通過する際に貼り付けたラベルのソフト磁性材に
よって磁界変化を生起し、この磁気変化を検知する磁気
システムである。これらはいずれも基本的な原理が同様
であり、1934年仏国特許第763681号明細書に
最初に開示された電子物品監視装置の考えに基づいてい
る。
【0004】磁気システムのマーカーに使用するソフト
磁性材としては、最近、システムの感度および信頼性の
向上のために、特開昭58−39396号公報、特開昭
59−161794号公報には非晶質金属を用いること
が記載されており、特開昭53−10300号公報には
非対称的形状の強磁性材料からなりマーカーを小さくす
るよう工夫がなされた磁束コレクタマーカーが記載され
ている。さらに、特開昭63−83899号公報、特開
平1−217594号公報には、磁束コレクタマーカー
の改良が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したマーカーは盗
難防止の保険的色彩が強く、マーカーの単価が高く、非
晶質金属ストライプまたはストライプをエッチングした
ものを紙またはフィルムを基材とする少なくとも2枚の
テープの間に把持されているのが一般的であり、複雑な
製造工程を有する。さらに、厚さも200μm以上であ
り、前述の用途を考えた場合、監視が必要な物品である
説明書等にそれ貼付すると、かさばり折り曲げることも
できなかった。本発明が解決しようとする課題は、製造
コストが安く、加工性に優れた、可撓性のある物品に適
用できる磁性層を用いた磁気検知マーカーを提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するために、物品監視用の磁気システムにおいて交番
磁界に応答する磁性材料の材料特性の主要因について根
本から鋭意検討した結果、基材上に設けた磁性層の保磁
力および体積が主要因であることを見いだし、本発明に
至った。
【0007】すなわち、本発明は上記課題を解決するた
めに、質問領域内にあるマーカーが、入射した交番磁界
に対して遠隔検出可能な磁化変化を発生させる、電子物
品監視装置に用いられる磁気検知マーカーにおいて、前
記マーカーが、結合剤中に磁気的に軟質な磁性粉が分散
され形成された乾燥塗膜を有するものであることを特徴
とする磁気検知マーカー、及び、当該磁気検知マーカー
に対して、所定周波数の正弦波信号を交番磁界として加
え、その加えられた交番磁界に起因する該磁気検知マー
カーから発生する磁束の変化を出力信号として検出し、
該出力信号中の特定周波数成分の有無より、該磁気検知
マーカーの存在の有無を判定することを特徴とする磁気
検知マーカーの存在判定システムを提供する。
【0008】本発明のマーカーは、上記した通り、結合
剤中に磁気的に軟質な磁性粉が分散され形成された乾燥
塗膜を必須構成として有していればよい。以下、図面を
用いて、本発明について詳しく説明する。
【0009】図1に、本発明の印刷型磁気検知マーカー
の一例を示した。この印刷型磁気検知マーカーは、乾燥
した時に塗膜を形成しうる、磁気的に軟質な磁性粉が分
散した結合剤を監視が必要な物品に塗布して乾燥させる
ことにより、乾燥塗膜たるマーカーが物品上に設けられ
る。以下、この乾燥塗膜を磁性層という。本発明におい
ては、この磁性層がマーカーに相当する。
【0010】このマーカーは、監視が必要な物品を構成
する基材上に磁性層を設けることにより作製できる。磁
性層は、例えば、基材上に、磁気的に軟質な磁性粉を結
合剤とともに分散してなる磁性塗料を印刷し、5000
〜10000ガウスの磁場強度をもつ永久磁石またはソ
レノイド磁石により、磁性粉が一方向に配向した状態と
なる様に磁場配向処理を施したあと乾燥させることによ
って形成できる。このとき、磁性層をカレンダー処理し
てもかまわない。このような磁場配向処理およびカレン
ダー処理は、塗膜密度が向上し透磁率が高くなるので、
これらの処理を施すことが望ましい。
【0011】磁性塗料の印刷方法としては、例えば、グ
ラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷などが挙
げられる。勿論、マーカーとなる磁性層は、ベタ塗りの
連続塗膜であっても、文字や模様等を示す塗膜であって
もよいが、前者の形態が好ましい。
【0012】本発明の印刷型磁気検知マーカーで使用す
る基材は、監視が必要な物品を構成する材料であり、例
えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンナフタレート、
ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、
ポリカーボネート、ナイロン、ポリスチレン、エチレン
酢酸ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体等からな
るプラスチックフィルムもしくはシート;紙、含浸紙;
これらの各材料からなる複合体を使用でき、これら以外
の材料であっても、監視が必要な物品がそれ自体で必要
な強度、構成等を有していれば、特に制限なく使用でき
る。上記した監視が必要な物品としては、より具体的に
は、例えば化粧品、薬品、菓子等の説明書や能書などが
挙げられる。
【0013】前記基材上に、磁気的に軟質の磁性粉を結
合剤とともに分散してなる磁性塗料を印刷してなる磁性
層は、初透磁率が高く、微少な交番磁界で磁束ができる
だけ変化するように保磁力が低い方が望ましい。磁気的
に軟質であるとは、高透磁性で低保磁力ということであ
る。したがって、磁性粉の透磁率は101オーダー以上
が好ましく、保磁力は25エルステッド以下(0は含ま
ない)が望ましい。
【0014】前記磁性層の厚さは、5〜30μmの範囲
が好ましく、特に10〜20μmの範囲にあることが望
ましく、大きさとしては、幅10〜30mm、長さ10〜
50mmの範囲が好ましい。
【0015】前記磁性層に用いられる磁性粉としては、
例えば、Ni−Fe−α(αはMo,Cu,Mn,N
b,Taの少なくても1種類を含んでいる系)のような
Ni−Fe系;Fe−Al−Si−α(αはCr、T
i、Cuの少なくとも1種類を含んでいる系)のような
Fe−Al−Si系;Fe−Si−B−α(αはNb、
Cr、Ni、Cu、Znの少なくとも1種類を含んでい
る系)のようなFe−Si−B系;Co−Fe−Si−
B系、Co−Zr−Nb系、Co−Zr−Ta系のよう
なアモルファス合金系;Fe−Co系、Fe−Co−S
i−Al系、Fe−(Al、Ga)−(Si、Ge)
系、Fe−Ga−Si−Ru系のようなFe系などの従
来公知の低保磁力の軟質磁性材料からなる合金粉末を挙
げられる。これらの軟質磁性粉末の製造方法は公知であ
り、本発明においては公知の方法に従って製造したもの
を用いることができる。
【0016】前記磁性層を形成する磁性塗料に使用する
結合剤としては、例えば、塩化ビニル・酢酸ビニル共重
合体、塩化ビニルおよび酢酸ビニルとビニルアルコー
ル、無水マレイン酸またはアクリル酸との共重合体、塩
化ビニル・酢酸ビニリデン共重合体、塩化ビニル・アク
リロニトリル共重合体、スルホン酸基・アミノ基などの
極性基を有する塩化ビニル系共重合体のような塩化ビニ
ル系共重合体;ニトロセルロースのようなセルロース誘
導体;ポリビニルアセタール樹脂;アクリル樹脂;ポリ
ビニルブチラール樹脂;エポキシ樹脂;フェノキシ樹
脂;ポリウレタン樹脂;ポリエステルポリウレタン樹
脂;スルホン酸基などの極性基を有するポリウレタン樹
脂、ポリカーボネートポリウレタン系樹脂などが挙げら
れる。結合剤として用いる樹脂は、単独で使用すること
もできるが、塩化ビニル系樹脂とポリウレタン系樹脂、
セルロース誘導体とポリウレタン系樹脂のように2種類
以上の樹脂を組み合わせて使用することもできる。
【0017】前記磁性塗料中の結合剤の使用量は、磁性
粉100重量部当たり15〜30重量部の範囲が好まし
い。
【0018】また、前記磁性塗料に用いる分散剤として
は、例えば、レシチン、高級アルコール、界面活性剤等
を挙げることができる。これらの分散剤の使用量は、磁
性粉100重量部当たり0.5〜3.0重量部の範囲が
好ましい。
【0019】以上の磁性粉、結合剤および分散剤を各種
の混練・分散機を用いて分散して磁性塗料を作製する。
混練・分散にあたっては、二本ロール、三本ロールなど
のロール型混練機、ボール型回転ミル、サンドミル等の
分散機に、上述の各成分をすべて同時に、あるいは個々
順次投入する。
【0020】また、本発明のマーカーには、上記印刷型
の様に磁性層を監視する物品に直接設けた型のマーカー
のみならず、監視が必要な物品を構成する基材とは別の
基材上に予め磁性層を設けた、磁性層以外の層をも有す
る多層構造のマーカーも含まれる。この様なものとして
は、例えば貼合型と転写型がある。
【0021】図2に、本発明の貼合型磁気検知マーカー
の一例を示した。このマーカーは、磁性層、基材及び接
着剤層がこの順に積層された構造を有しており、例えば
基材の一方の面に磁性層を設け、他方の面に接着剤層を
設けることによって作製することができる。
【0022】貼合型磁気磁気検知マーカーを得る際に使
用する基材としては、印刷型磁気検知マーカーの説明時
において、監視が必要な物品を構成する基材として例示
したものがいずれも使用できる。
【0023】前記基材に磁性層を設けマーカーを得る方
法としては、前記印刷型磁気検知マーカーを得る際の、
監視が必要な物品上に磁性層を設けるのと同じ手法が採
用できる。
【0024】前記磁性塗料の塗布方法としては、例え
ば、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコ
ート、押し出しコート、エアーナイフコート、スクイズ
コート、含侵コート、リバースロールコート、トランス
ファーロールコート、グラビアコート、キスコート、キ
ャストコート、スプレイコート等が挙げられる。
【0025】前記磁性層の厚さは、5〜30μmの範囲
が好ましく、特に10〜20μmの範囲にあることが望
ましい。
【0026】本発明の貼合型磁気検知マーカーは、監視
が必要な物品でない基材の一方の面に磁性層を設け、他
方の面に接着剤層を設け、必要に応じてその接着剤層を
剥離性基材で被覆してやることにより製造される。この
型のマーカーは、マーカーの前記接着剤層を監視が必要
な物品に貼付すれば使用できる。
【0027】前記接着剤層に使用する接着剤としては、
感熱性接着剤、感圧性接着剤層の何れでもよい。しかし
ながら、貼合型マーカーの場合には、常温において粘着
性を有する粘着剤ワニスを用いることが好ましい。 前
記接着剤層を形成するには、前記磁性塗料と同様に公知
の塗布方法により、例えば、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニ
ル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/
酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/プロピオン酸共重合
体、ゴム系樹脂、アクリル共重合体樹脂、シアノアクリ
レート樹脂、セルロース系樹脂、アイオノマー樹脂、ポ
リオレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリルブタジエン樹
脂、天然ゴム、ロジン等を必要に応じて可塑材、助剤等
を添加して適宜用いることができ、通常5〜30μmの
厚さに形成する。そして、剥離性基材で前記接着剤層を
被覆するとか、あるいは前記磁性層上に剥離処理を施さ
れた保護層を設けておいて従来の粘着テープ同様のロー
ル状に巻回して使用に供すればよい。
【0028】図3に、本発明の転写型磁気検知マーカー
の一例を示した。このマーカーは、磁性層と接着剤層と
がこの順に積層された構造を有しており、例えば剥離性
基材上に磁性層及び接着剤層をこの順に積層することに
より作製できる。
【0029】転写型磁気検知マーカーを得る際に使用す
る剥離性基材としては、例えば、ポリエチレンフィル
ム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィ
ルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタ
レートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ナイロン
フィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン酢酸ビニル
共重合体フィルム、エチレンビニルアルコール共重合体
フィルムなど用いることができる。
【0030】転写型磁気検知マーカーの磁性層を形成す
る際に用いる磁性塗料としては、前記印刷型磁気検知マ
ーカーを得る際に用いることができるものがいずれも使
用できる。
【0031】前記剥離性基材に磁性層を設けマーカーを
得る方法としては、前記印刷型磁気検知マーカーを得る
際の、監視が必要な物品上に磁性層を設けるのと同じ手
法が採用できる。磁性塗料の塗布方法としては、上記し
た方法がいずれも採用できる。
【0032】前記磁性層の厚さは、5〜30μmの範囲
が好ましく、特に10〜20μmの範囲にあることが望
ましい。
【0033】本発明の転写型磁気検知マーカーを使用す
る際に、監視が必要な物品に磁性層を転写させるため
に、前記磁性層上に接着剤層を設ける。ここで用いる接
着剤としては、上記した貼合型マーカーの接着剤層を形
成する際にもちいることができる接着剤がいずれも使用
できるが、転写型のマーカーの場合には、熱溶融して接
着性を発現するホットメルト接着剤ワニスを用いること
が好ましい。この接着剤層は、通常5〜10μmの厚さ
に形成する。
【0034】本発明の貼合型または転写型磁気検知マー
カーを監視が必要な物品に貼り合わせる方法としては、
例えば監視が必要な物品と、貼合型磁気検知マーカーま
たは転写型磁気検知マーカーを、加圧して接着させる。
この際には、必要に応じて加熱してもよい。貼合型磁気
検知マーカーは、通常剥離性基材を剥離したあと、監視
が必要な物品に、接着剤層を加圧して接着させて使用
し、転写型磁気検知マーカーは通常加熱したあと、接着
剤層を監視が必要な物品に加圧して接着させから剥離性
基材を剥離して使用する。
【0035】具体的には、金属ロールまたはゴムロール
の一対を対向させて設置し、一方のロールを加熱してお
いて、貼合型磁気検知マーカーまたは転写型磁気検知マ
ーカー側に接触させ、ロール間の圧力とロールの熱によ
り加熱および加圧を行うか、あるいは熱プレスを用いて
行うとよい。加熱および加圧の条件は使用する材料によ
っても異なるが、一例を挙げると、温度は100〜30
0℃、圧力は熱ロール方式では約10kg/cm2、熱プレ
ス方式では10kg/cm2前後、速度としては50m/分
くらいが適当である。
【0036】なお、図示していないが、本発明の各磁気
検知マーカーは、その磁性層上に別の基材を積層するこ
とによりその磁性層を隠蔽し、意匠性・着色を付与して
外観上の問題を解決することができる。また、磁性層が
複数の基材間に存在する様な構造にしてもよい。
【0037】図4に、本発明の磁気検知マーカーの存在
判定システムの一例を示した。このシステムは、交番磁
界の質問領域をつくり出すための装置100と、質問領
域内に磁気検知マーカーが存在するときに生起される交
番磁界の変動を出力信号として検出するための装置20
0から構成される。
【0038】装置100は、予め決められた周波数の正
弦波信号を発生するための発信器101と、該正弦波信
号を増幅する出力増幅器102と、増幅された正弦波信
号を磁気検知マーカーに交番磁界として加えるための磁
界印加コイル103とからなる。
【0039】装置200は、磁界印加コイルと対向した
2つのピックアップコイル201と、それぞれのコイル
の出力を相反させることにより、差動増幅器202を通
して0(零)バランスにしてある。質問領域内に磁気検
知マーカーが存在するとき、2つのピックアップコイル
の出力のバランスが崩れ、差動増幅器202を通して検
出器203によって信号検出される。磁界印加コイルか
ら発信される正弦波信号は、下記の式で記述される。
【0040】
【数1】H=Hsinωt
【0041】(式中、Hは磁界を表し、ωは角周波数を
表し、tは時間を表す。)
【0042】このとき、磁気検知マーカーに起因する質
問領域内の磁束は近似的に下記の式で示され、それがピ
ックアップコイルに検出される。
【0043】
【数2】 Φ=Φ1sin(ωt−δ)+Φ2sin(3ωt)+ ……
【0044】(式中、Φは磁束を表し、δは磁気損から
くる位相のずれを表し、基本波である
【0045】
【数3】Φ1sin(ωt−δ)
【0046】と高調波成分である
【0047】
【数4】Φ2sin(3ωt)+ ……
【0048】とからなる特徴的な信号を生じる。)
【0049】したがって、ピックアップコイルに誘起さ
れる出力信号の特有な周波数成分の発生の有無を調べる
ことによって、監視が必要な物品に取り付けられた本発
明の磁気検知マーカーの有無の存在確認の判定を可能に
する。勿論、前記マーカーの存在確認のためには、上記
基本波を用いてもよいし、高調波を用いてもよい。
【0050】発信器101の周波数は50Hz〜500kH
zの範囲が望ましく、特に梱包される製品が導電性をも
つ場合は渦電流損によるノイズを発生するため、その感
度の低い帯域である50Hz〜2kHzの範囲が特に好まし
い。
【0051】さらに、磁界印加コイル内に発生する交番
磁界の強さは20エルステッド以下が好ましく、検出の
信頼性を上げるためバイアスとして静磁界を加えてもよ
い。
【0052】前述のように、本発明の磁気検知マーカー
は、仏国特許第763681号明細書、米国特許第36
31442号明細書、第3665449号明細書、第3
747086号明細書、ならびに第3790945号明
細書などに記載されている装置に準じた装置によって容
易に検出することができる。これらの特許に記載された
装置においては、通常のコイルと電源とからなる磁界発
生装置などの、適宜の磁界発生装置によって所定周波数
の交番磁界が発生させられ、質問領域に印加される。そ
のような磁界は、通常、60〜10000Hzの範囲の周
波数の交番磁界において、質問領域の強いところで約2
0エルステッドの振幅、弱いところで1エルステッド以
下の振幅を有する。この分野では信頼性を上げるための
様々な工夫がなされ、それらの工夫については本技術分
野に精通する全ての者によく知られており、ここでさら
に説明する必要するまでもない。このシステムを用いれ
ば、例えば化粧品・薬品・菓子等の説明書等が、商品梱
包後、商品とともに混載されていることの有無を確認す
る場合、開梱しないで容易に遠隔検出できる。
【0053】
【実施例】以下に、実施例と比較例を用いて、本発明を
さらに詳細に説明する。
【0054】(磁性塗料の調製例) 抗磁力10エルステッドの磁性粉である「センダスト粉
末」(粉末組成:Al15%,Si10%,Fe85
%;粉末形状:鱗片状;平均粒径:15μm)100重
量部、レシチン3重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビ
ニルアルコール共重合体「VAGH」(米国ユニオンカ
ーバイト社製)10重量部、ポリウレタンエラストマー
「T−5206」(大日本インキ化学工業(株)製)1
0重量部を加圧ニーダーにて混練し、得られた混練物に
メチルエチルケトンとトルエンとシクロヘキサノンの等
重量混合液300重量部を加え、ボールミルにて分散し
て、磁性塗料を得た。
【0055】(実施例1) 磁性塗料の調製例で得られた磁性塗料を、紙製の説明書
の表面上に幅15mm、長さ30mmの大きさで、乾燥後の
塗布厚が15μmとなるようにスクリーン印刷して、磁
界強度2000ガウスにて配向処理を施し乾燥塗膜を得
た。
【0056】次に、基本波に基づいてマーカーの存在有
無を確認するため条件を設定するために質問領域内に周
波数2kHz、磁界振幅0.5エルステッドの交番磁界を
加え、磁性塗料を塗布乾燥した説明書を20m/分の速
さで通過させたときの検知コイルにおける2kHzの出力
が最大となる位相とそのときの出力を測定し、その結果
を表1に示した。
【0057】(実施例2) 磁性塗料の調製例で得られた磁性塗料を、厚さ24μm
のポリエステルフィルム面上に、乾燥後の塗布厚が15
μmとなるよう塗布し、磁界強度2000ガウスにて配
向処理を施し乾燥塗膜を得た。さらに、ポリアミド樹脂
「トーマイド」(富士化成工業(株)製)100重量部
に、トルエンおよびイソプロピルアルコールの等重量混
合液300重量部を加え、かくはん機にて溶解後、粘着
ワニスを得た。
【0058】得られたワニスを、磁気塗膜面と反対側の
ポリエステルフィルム面上に乾燥塗布厚が5μmとなる
ように塗布乾燥し、幅15mm、長さ30mmの大きさに切
り出し、常温において粘着性を有する接着剤層を有する
本発明の貼合型磁気検知マーカーを作製した。
【0059】作製した貼合型磁気検知マーカーを説明書
に120℃にて貼り合わせて、実施例1と同様にして、
基本波に基づいてマーカーの存在有無を確認するため条
件を設定するために、検知コイルにおける2kHzの出力
が最大となる位相とそのときの出力を測定し、その結果
を表1に示した。
【0060】(実施例3) 磁性塗料の調製例で得られた磁性塗料を、厚さ24μm
の剥離性ポリエステルフィルム面上に乾燥後の塗布厚が
15μmとなるように塗布し、磁界強度2000ガウス
にて配向処理を施し乾燥塗膜を得た。
【0061】さらに、前記したものより高分子量のポリ
アミド樹脂「トーマイド」(富士化成工業(株)製)1
00重量部にトルエンとイソプロピルアルコールの等重
量混合液300重量部を加え、かくはん機にて溶解後、
熱溶融時に接着性を発現するホットメルト接着剤ワニス
を得た。
【0062】このワニスを、磁気塗膜面上に乾燥塗布厚
が5μmとなるように塗布乾燥し、幅15mm、長さ30
mmの大きさに切り出し、本発明の転写型磁気検知マーカ
ーを作製した。
【0063】作製した転写型磁気検知マーカーを説明書
に120℃にて転写し、剥離性ポリエステルフィルムを
剥離して、実施例1と同様にして、基本波に基づいてマ
ーカーの存在有無を確認するため条件を設定するため
に、検知コイルにおける2kHzの出力が最大となる位相
とそのときの出力を測定し、その結果を表1に示した。
【0064】(比較例1) 直径5mmの鉄球を説明書にニチバン社製セロハン粘着テ
ープ「セロテープ」にて添付して、実施例1と同様にし
て、基本波に基づいてマーカーの存在有無を確認するた
め条件を設定するために、検知コイルにおける2kHzの
出力が最大となる位相とそのときの出力を測定し、その
結果を表1に示した。
【0065】比較例1で示した出力は一般的に金属検出
器で検知される下限の目安であり、実施例1〜3の出力
は直径5mmの鉄球より充分に大きいことが分かる。
【0066】
【表1】
【0067】
【発明の効果】本発明の請求項1の磁気検知マーカー
は、金属リボンの代わりに、結合剤中に磁性粉が分散し
形成された乾燥塗膜を用いるので、生産コストが安く、
可撓性のある物品の存在判定、万引き防止等に使用で
き、しかも加工性と生産性に優れているという格別顕著
な効果を奏する。しかも、磁気的に軟質の磁性粉を用い
ているので、わざわざ磁化しなくともそのまま使用で
き、マーカーの利用者に大きな利便性もある。さらに金
属リボンが有していた説明書等を商品梱包後、商品とと
もに混載されていることの有無を確認する場合、開梱し
ないで容易に遠隔検出できるという効果も当然有してい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷型磁気検知マーカーの一例を示し
た模式断面図および模式平面図である。
【図2】本発明の貼合型磁気検知マーカーの一例を示し
た模式断面図である。
【図3】本発明の転写型磁気検知マーカーの一例を示し
た模式断面図である。
【図4】本発明の磁気検知マーカーの存在判定システム
の一例を示した模式構成図である。
【符号の説明】
1 磁性層 2 接着剤層 3 剥離紙 A 説明書等の基材 B 貼合型磁気検知マーカーの基材 C 転写型磁気検知マーカーの剥離性基材 100 装置 101 発信器 102 出力増幅器 103 磁界印加コイル 200 装置 201 ピックアップコイル 202 差動増幅器 203 検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G08B 13/24 G06K 7/08 G06K 19/06

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質問領域内にあるマーカーが、入射した交
    番磁界に対して遠隔検出可能な磁化変化を発生させる、
    電子物品監視装置に用いられる磁気検知マーカーにおい
    て、前記マーカーが、結合剤中に磁気的に軟質な磁性粉
    が分散され形成された乾燥塗膜を有するものであること
    を特徴とする磁気検知マーカー。
  2. 【請求項2】磁気的に軟質な磁性粉として、10以上
    の透磁率であってかつ保持力25エルステッド以下の磁
    性粉を用いる請求項1記載のマーカー。
  3. 【請求項3】磁性粉が分散した結合剤の乾燥塗膜が、磁
    性粉が一方向に配向した状態で結合剤に分散した乾燥塗
    膜である請求項1記載のマーカー。
  4. 【請求項4】磁性粉が分散した結合剤を、監視しようと
    する物品に塗布乾燥して乾燥塗膜を得たものである請求
    項1記載のマーカー。
  5. 【請求項5】基材上に磁性粉が分散した結合剤の乾燥塗
    膜を有してなり、監視しようとする物品に対して該乾燥
    塗膜を貼合、もしくは転写して使用される請求項1記載
    のマーカー。
  6. 【請求項6】基材の一方の面に磁性粉が分散した結合剤
    の乾燥塗膜を有し、他方の面に接着剤層を有してなり、
    監視が必要な物品に対して該乾燥塗膜を貼合して使用さ
    れる請求項5記載のマーカー。
  7. 【請求項7】剥離性基材の一方の面に磁性粉が分散した
    結合剤の乾燥塗膜と接着層とをこの順に有してなり、監
    視が必要な物品に対して該乾燥塗膜を転写して使用され
    る請求項5記載のマーカー。
  8. 【請求項8】請求項1記載の磁気検知マーカーに対し
    て、所定周波数の正弦波信号を交番磁界として加え、そ
    の加えられた交番磁界に起因する該磁気検知マーカーか
    ら発生する磁束の変化を出力信号として検出し、該出力
    信号中の特定周波数成分の有無より、該磁気検知マーカ
    ーの存在の有無を判定することを特徴とする磁気検知マ
    ーカーの存在判定システム。
JP27023292A 1992-10-08 1992-10-08 磁気検知マーカーとの存在判定システム Expired - Fee Related JP3254754B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27023292A JP3254754B2 (ja) 1992-10-08 1992-10-08 磁気検知マーカーとの存在判定システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27023292A JP3254754B2 (ja) 1992-10-08 1992-10-08 磁気検知マーカーとの存在判定システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06119565A JPH06119565A (ja) 1994-04-28
JP3254754B2 true JP3254754B2 (ja) 2002-02-12

Family

ID=17483398

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27023292A Expired - Fee Related JP3254754B2 (ja) 1992-10-08 1992-10-08 磁気検知マーカーとの存在判定システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3254754B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002222405A (ja) * 2001-01-26 2002-08-09 Toppan Forms Co Ltd 荷物用タグおよびその製法
JP2007094621A (ja) * 2005-09-28 2007-04-12 Dainippon Printing Co Ltd 非接触icタグラベル
JP2009032054A (ja) * 2007-07-27 2009-02-12 C I Kasei Co Ltd スキミング防止カード

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06119565A (ja) 1994-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU706412B2 (en) Anti-tamper tag with theft protection
US5602527A (en) Magnetic marker for use in identification systems and an indentification system using such magnetic marker
US5331313A (en) Marker assembly for use with an electronic article surveillance system
CA1091347A (en) Magnetic recording structure
JPS6051758B2 (ja) 盗難防止用標識及びその製法
JP3372117B2 (ja) 磁気マーカー及びその製造方法
JPH01106199A (ja) 標識を埋込んだ物品
JP3254754B2 (ja) 磁気検知マーカーとの存在判定システム
US5580664A (en) Dual status thin-film eas marker having multiple magnetic layers
US5166501A (en) Financial transaction cards having tagging element capable of deactivation by application of personalizing data
JP2744042B2 (ja) マーカ
JP3355415B2 (ja) 磁気検知マーカーとその存在判定システム
JP4309065B2 (ja) 光学的記録媒体用の電子物品監視マーカー
JP3259796B2 (ja) 電子物品監視システム用マーカー
EP0604293B1 (en) Dual status thin-film EAS marker
JP3252931B2 (ja) 電子物品監視システム用マーカー
GB2350525A (en) Layered Magnetic Security Tag Film
JPH11120280A (ja) 識別システム用磁気マーカー及び識別システム
US4884063A (en) Dual status magnetic marker having magnetically biasable flux collectors for use in electronic article surveillance systems
JPH02166059A (ja) 包装材料
JPH07272132A (ja) 磁気マーカー
JP2002312735A (ja) タグ及び冊子体
JPH09205014A (ja) 識別システム用磁気マーカー及びその製造方法
JPH09315090A (ja) 磁気吸着型起立表示器具
JPS5967574A (ja) 検知用ラベル

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081130

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081130

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091130

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091130

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101130

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees