JPH11120280A - 識別システム用磁気マーカー及び識別システム - Google Patents

識別システム用磁気マーカー及び識別システム

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JPH11120280A
JPH11120280A JP9280407A JP28040797A JPH11120280A JP H11120280 A JPH11120280 A JP H11120280A JP 9280407 A JP9280407 A JP 9280407A JP 28040797 A JP28040797 A JP 28040797A JP H11120280 A JPH11120280 A JP H11120280A
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magnetic
metal
marker
magnetic field
coating film
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Application number
JP9280407A
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English (en)
Inventor
Yoshinosuke Shimamura
佳ノ助 島村
Wataru Suenaga
渉 末永
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】共振信号出力を減少させることなく、複数の共
振周波数を持ち、情報記録媒体として密度の高い識別シ
ステム用磁気マ−カ−を得る。 【解決手段】磁性金属板、または結合剤中に磁性粉を分
散して形成される非磁性支持体(C)上の乾燥塗膜(A
1)と、変動する周波数の入射交番磁界中の所定周波数
で機械的に共振して、磁束密度及び透磁率が変化する、
磁歪性を有する金属(B)が機械的に共振しうるように
積層された積層物からなり、前記金属板または乾燥塗膜
(A1)にバイアス磁界に対応する磁気パターンが磁化
された時に、前記入射交番磁界に対して、金属板または
乾燥塗膜(A1)に磁化された磁気パターンに対応して
磁束密度または透磁率が変化する所定周波数を識別信号
として発生するようにした磁気マーカーにおいて、密度
あるいはヤング率の異なる複数の金属(B)を有するこ
とを特徴とする識別システム用磁気マーカー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、識別システム用磁
気マーカー及びそれを含むシステムに関し、更に詳しく
は遠隔または非接触で照合データ等の識別情報を読み取
る磁気マーカー及びシステムに関するものであり、具体
的には万引き防止における電子物品監視システム、磁気
カード等の偽造防止、家畜管理、流通物品の管理や仕分
け、スキー用リフト券、遊園地のプリペイドカード、キ
ップ、定期券等のデータキャリア、磁気カードに利用出
来るものである。
【0002】または磁気マーカーの情報を位置等の識別
情報として用い、場所の特定・物の特定・目印などの測
量・インフラ関連のシステムにも利用できるものであ
る。
【0003】
【従来の技術】磁気マーカーを用いる物体の識別システ
ムは、物体等の識別のための検出領域(1)と、当該領
域(1)内に設けられた、周波数を掃引し、変動する周
波数を発生させる入射交番磁界発生手段(2)と、当該
領域を通過することが定められた、識別が必要な物体に
添付された識別システム用磁気マーカーであって、当該
マーカーは、バイアス磁界に対応する磁気パターンが磁
化された、磁性金属板または結合剤中に磁性粉を分散し
て形成される非磁性支持体上の乾燥塗膜(A)と、領域
(1)内の手段(2)から発生する周波数のうちの所定
周波数で機械的に共振して、磁束密度及び透磁率が変化
する、ストリップ状の磁歪性を有する金属(B)とが、
前記金属(B)が機械的に共振しうるように積層された
積層物からなり、当該領域(1)内で、磁性金属板また
は乾燥塗膜(A)に磁化された磁気パターンに対応し
て、磁束密度または透磁率が変化する所定周波数を識別
信号として発生するようにした、物体等の識別システム
用磁気マーカー(3)と、磁化手段(4)を用いて磁化
された当該マーカー(3)が検出領域(1)内で手段
(2)から発生する所定周波数で共振するのを検出し
て、識別信号として認識する手段(5)とからなる、検
出領域(1)内にマーカー(3)が存在することに応答
する、物体等の識別装置である。
【0004】上記に示される磁気マ−カ−の共振周波数
は、磁歪性を有する金属(B)に固有のものであり、そ
の共振周波数fnは金属(B)の長さ、密度、ヤング率
の3つにより以下の式1のように決定される。
【0005】
【式1】fn=n/2L・√(E/ρ) …式1
【0006】〔但し式中、nは整数、Lは金属(B)の
長さ、Eは金属(B)のヤング率、ρは金属(B)の密
度であり、nは塗膜(A)に磁化された磁気パタ−ンに
より決定できる。〕
【0007】即ち、これらEやρの物理的特性を変化さ
せることでマ−カ−の共振周波数が制御可能となる。
【0008】このfnの制御を具現化する手段として、
公知文献では、例えば特表平7−503061号公報の
10頁、あるいは特開平8−293012号公報に、
『金属(B)に負荷体を取り付け、見かけの密度ρを変
化させることでマ−カ−の共振周波数fnを制御出来
る』と述べられている。特に特開平8−293012号
公報には、磁気マ−カ−にこのような金属(B)を複数
具備共振点を増やすことが出来、この共振点の有無をo
n/off信号として処理することにより、情報記録媒
体としての記録密度を増加させることが出来る、と述べ
られている。
【0009】また、金属(B)への負荷体の取り付け方
法としては、スパッタリング法、真空蒸着法、合成樹脂
からなる塗料を塗布する方法、PETシ−トなどの負荷
体を接着させる方法などが、同公報に述べられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うにして金属(B)に負荷体を設け見かけ上の密度ρを
変化させた場合、磁歪性金属(B)の振動は非常に微小
なため、この負荷体は共振周波数fnを減少させるだけ
でなく、共振信号出力をも減少させてしまう。出力の減
少は、マ−カ−そのもの及びマーカーが添付された識別
すべき物品の検出距離の低下につながり、性能上非常に
好ましくない問題である。
【0011】しかも、マ−カ−の共振周波数fnを制御
するため、前記公報にあるような負荷体を設けることは
簡単なことでなく、磁気マ−カ−の製造上、多分に労力
を要する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するために、識別システム用磁気マーカーに関し、
見かけの密度ρを変化させるために、磁歪性を有する前
記金属(B)に負荷体を設けるのではなく、実際に密度
ρあるいはヤング率Eの異なる、複数の金属(B)を磁
気マ−カ−内に配置することにより、共振信号出力を減
少させることなく、複数の共振周波数を持ち、情報記録
媒体として密度の高い識別システム用磁気マ−カ−を得
ることが出来ることを見い出し、本発明を完成するに至
った。
【0013】即ち、本発明は、上記課題を解決するため
に、次の発明を提供する。 1. 磁性金属板、または結合剤中に磁性粉を分散して
形成される非磁性支持体上の乾燥塗膜と、変動する周波
数の入射交番磁界中の所定周波数で機械的に共振して、
磁束密度及び透磁率が変化する、磁歪性を有する高透磁
性の金属が機械的に共振しうるように積層された積層物
からなり、磁性金属板または塗膜にバイアス磁界に対応
する磁気パターンが磁化された時に、前記入射交番磁界
に対して磁束密度または透磁率が変化する所定周波数を
識別信号として発生するようにした磁気マーカーにおい
て、密度あるいはヤング率の異なる複数の磁歪性金属を
有することを特徴とする識別システム用磁気マーカー。
【0014】2. 磁性金属板または塗膜に、バイアス
磁界に対応する磁気パターンが磁化された上記1記載の
マーカー。
【0015】3. 磁気パターンが磁化された、上記2
記載のマーカーに含まれるストリップ状の磁歪性金属
が、物体等の識別のための検出領域内に設けられた、周
波数を掃引し変動する周波数を発生させる入射交番磁界
発生手段から発生する周波数のうちの所定周波数で機械
的に共振して磁束密度及び透磁率が変化する周波数を識
別信号として認識する手段からなる、検出領域内に当該
マーカーが存在することに応答する識別装置を提供する
ものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の磁気マーカーについて説
明する。このマーカーは、磁性金属板、または結合剤中
に磁性粉を分散して形成される乾燥塗膜(A)と、前記
塗膜が磁化されている状態では、変動する周波数の入射
交番磁界中の所定周波数で機械的に共振して、磁束密度
及び透磁率が変化し、それが磁化されていない状態では
前記所定周波数では共振せず、磁束密度及び透磁率が変
化しない、磁歪性を有する高透磁性の金属(B)とを、
前記金属(B)が機械的に共振し得るように積層された
積層物からなるものである。
【0017】尚、未磁化のマーカー(3)は、磁性金属
板または塗膜に、バイアス磁界に対応する磁気パターン
が磁化された状態で、識別のための装置と組み合わせて
物品等の識別に供される。未磁化状態の当該磁気マーカ
ー(3)には、磁気パターンをエンコードする磁化手段
(4)でその磁性金属板または塗膜に磁化することがで
きる。
【0018】本発明において、バイアス磁界発生要素の
一部分を形成する、所定の磁気パターンを磁化すべき媒
体は、磁性金属板、または結合剤中に磁性粉を分散して
形成される乾燥塗膜(A)である。前記金属(B)が高
調波で共振を起こすような磁気パターンをエンコードす
る場合、前記乾燥塗膜(A)の方が精度良くエンコード
できる点で、磁性金属板に比べれば、前記乾燥塗膜
(A)が好適に用いられる。
【0019】磁気パターンが磁化された状態の、磁性金
属板、または結合剤中に磁性粉を分散して形成される乾
燥塗膜(A)は、前記磁気パターンに対応するバイアス
磁界を発生する。以下、磁性金属板と前記乾燥塗膜とを
併せて、単に塗膜(A)という。
【0020】このマーカーの構成上の特徴は、低い周波
数から高い周波数に向けて、或いは高い周波数から低い
周波数に向けて、磁界を形成する周波数を徐々に変化さ
せるようにした、変動する入射交番磁界に対して、或い
はバースト性の全周波数を有する白色ノイズの交番磁界
にたいして、前記塗膜(A)にバイアス磁界に対応する
磁気パターンが磁化されている状態においては、磁束密
度または透磁率が変化する、少なくとも一つの所定周波
数を識別信号として発生して応答するようにした点にあ
る。尚、塗膜(A)が磁化されていない状態において
は、前記変動する入射交番磁界にたいして、磁束密度ま
たは透磁率が変化する、所定周波数に基づく出力信号は
発生しない。
【0021】本発明において塗膜(A)は、バイアス磁
界に対応する磁気パターンが磁化されているか否かで、
磁化されている塗膜(A)を「塗膜(A2)」と称し、
磁化されていない塗膜(A)を「塗膜(A1)」と称す
る。
【0022】本発明の磁気マーカーは、いずれにして
も、塗膜(A)と、金属(B)とが、前記金属(B)が
機械的に共振し得るように積層されている必要がある。
このマーカーは、塗膜(A)と金属(B)とが接着され
ていたりすると、マーカーとして機能しないので注意が
必要である。
【0023】前記金属(B)が機械的に共振し得るよう
に積層し、さらに金属(B)が乾燥塗膜(A)の発生す
るバイアス磁界を受けられるために、常に金属(B)は
塗膜(A)に近接させておく。この状態を保つために
は,例えば金属(B)を格納する空洞部を有する筐体を
用いるのが好適であり,例えば、この空洞部は非磁性筐
体(D)あるいは非磁性支持体(C)で構成できる。
【0024】具体的には、例えば金属(B)の厚みより
少し深い凹部を有する非磁性筐体の当該凹部に、当該金
属(B)を置き、当該筐体の凹部以外の部分と塗膜
(A)とを接着すれば、それらの内部に形成される空洞
部に、金属(B)が機械的に共振可能となる様に包埋で
きる。或いは、当該金属(B)よりも厚い接着シート
を、当該金属(B)の形状より少し大きくなる様に打ち
抜き、その内周縁部を非粘接着性となる様にし、非磁性
支持体(C)を当該シートに貼り合わせて非磁性筐体と
して、当該筐体の凹部以外の部分と塗膜(A)とを接着
すれば、前記したのと同様に包埋できる。接着シートに
は両面接着シートを使用することもできる。
【0025】本発明のマ−カ−は、好適には、このよう
にして構成された空洞部を複数持ち,各空洞部にはそれ
ぞれ異なった密度ρあるいはヤング率、即ち異なった共
振周波数fnを持つ金属(B)が格納された磁気マ−カ
−である。
【0026】なお、金属(B)にバイアス磁界を与える
ための磁気パタ−ンを塗膜(A)に書き込む都合上、各
金属(B)の長さLは同一のほうが書き込みは簡単であ
る。勿論、fnが異なっていれば各金属(B)の長さが
異なっていてもよい。
【0027】本発明において、通常は前記塗膜(A)の
うち、結合剤中に磁性粉を分散して形成される乾燥塗膜
の形成された非磁性支持体を、その非磁性支持体面を前
記金属(B)に対向させて積層されたものが,磁気パタ
ーンの磁化の容易な点で好ましい。
【0028】また、金属(B)は、磁気パターンが磁化
された塗膜(A)より発生するバイアス磁界に対応し
て、1次の機械的固有振動数を基本周波数として、当該
磁気パターンに対応した2以上の高調波で共振させる様
にすることが好ましい。
【0029】本発明では、前記塗膜(A)としては、通
常、その幅が前記金属(B)の幅や直径よりも大きい物
が用いられる。勿論、非磁性支持体の幅と塗膜(A)の
幅は任意に選択できる。
【0030】当該塗膜(A)に磁気される磁気パターン
のトラック幅は、前記金属(B)の幅より大きくするの
が良い。これは即ち塗膜(A)中の磁気パターンの書き
込み幅/磁歪性の高透磁性金属(B)の幅〔前記金属
(B)がワイヤー状の場合には,それの直径〕>1とす
ることが好ましい。
【0031】この場合、磁性粉が一方向に配向した状態
で結合剤に分散した乾燥塗膜中の磁性粉の配向方向と、
金属(B)が機械的に共振する振動方向とが同一方向に
向くように構成し、磁気パターンのトラック方向を一致
させることが好ましい。そうすれば、識別に用いる目的
とする共振周波数でない、金属(B)の形状に応じた、
非線形振動が生じがたく、意図されていない別の共振周
波数が発生する心配もなく、効果的な検出ができる点で
好ましい。
【0032】尚、本発明のマーカーの形状は、どんな形
状でも良く、例えば、短冊状のものやカード状のものが
あげられる。
【0033】次に、図1を用いて本発明の好適な磁気マ
ーカーの一例について説明する。図1に示される本発明
の一例の模式断面図に示されるように、本発明の好適な
磁気マーカーは、結合剤中に磁性粉を分散された乾燥塗
膜(A)が形成された非磁性支持体(C)の塗膜と反対
側に、金属(B)が機械的に共振できるように格納する
非磁性筐体(D)を設けた構成としても良い。非磁性支
持体(C)と、金属(B)が固定すること無く内包され
る非磁性筐体(D)との結合は、図示していないが、そ
れらの接触部分の形状を一体化可能な複合形状とする
か、あるいは圧着性接着剤を用いて行う。
【0034】塗膜(A)は磁化された場合、その磁化ポ
イント、即ち、その極性ポイントより発生する磁界強度
は極性ポイントと測定ポイントとの距離によって決定さ
れ、距離が増加するに従い減少する。しかしながら、金
属(B)は、幅と厚みを有するので、塗膜(A)から金
属(B)に目的とするバイアス磁界が加わるようにする
ことが望ましい。
【0035】塗膜(A)と金属(B)の間隔について
は、クーロンの法則より塗膜(A)の近傍付近の磁界の
減少が特に大きいため、それらは直接接触させるのでな
く最適な間隔をもたせて積層させるのが良く、この間隔
は、例えば非磁性支持体(C)の厚さで調整することが
できる。さらに、この非磁性支持体(C)は塗膜(A)
の支持体とすることができるし、同時に、金属(B)を
保護するにも使用できる。上記観点からすると、非磁性
支持体(C)の厚みとしては、10〜250μmが好ま
しく、特に25〜100μmが好ましい。
【0036】金属(B)には幅や直径があることから、
必要とする大きさのバイアス磁界を加えるためには、塗
膜(A)が磁化される幅は、塗膜(A)の残留磁束密度
とその厚さにより決定される。
【0037】しかしながら、実用上塗膜(A)の残留磁
束密度には限界があり、塗膜(A)の厚さは薄い方が生
産性等より好ましい。従って、上記観点より塗膜(A)
の磁化される幅は、例えば、塗膜(A)に用いられる磁
性粉の飽和磁束密度が120emu/g以上であれば対
金属(B)の幅との比が1より大きいことが望ましく、
磁性粉の飽和磁束密度が75emu/g以上であれば当
該比は1.5以上が好ましい。
【0038】最適の磁界強度を得るためのパラメータ
は、塗膜(A)の厚さと残留磁束密度が主要因と考えら
れる。その為、例えば、飽和磁束密度の比較的低い酸化
鉄系の磁性粉を用いた塗膜(A)を用いた場合、残留磁
束密度に限界があり、前記したとうり、塗膜(A)の厚
さを相当厚くする必要があり、製造上好ましくない。
【0039】本発明の磁気マーカーを得る際に用いるこ
とのできる、非磁性筐体(D)としては、公知慣用の合
成樹脂製プラスチックのものがいずれも使用できるが、
例えばポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、AB
S、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
カーボネート、PET、PBT、PPS等があげられ
る。
【0040】次に、非磁性支持体(C)として使用でき
る材料は、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピ
レンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニ
リデンフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、
ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタ
レートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ナイロン
フィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン酢酸ビニル
共重合体フィルム、エチレンビニル共重合体フィルム等
からなるプラスチックフィルムまたはシート;若しくは
紙、含浸紙;これらの各材料からなる複合体が挙げられ
る。
【0041】非磁性支持体(C)と非磁性筐体(D)を
結合する際に用いる接着剤としては、例えば、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−プロピオン酸共重合体、ゴム系樹脂、
シアノアクリレート樹脂、セルロース系樹脂、アイオノ
マー樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂等
が挙げられ、通常、5〜10μmの厚さに形成する。
【0042】また、粘着剤を用いても良く、塩化ビニル
樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合
体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/プロ
ピオン酸共重合体、ゴム系樹脂、アクリル共重合体樹
脂、シアノアクリレート樹脂、セルロース系樹脂、アイ
オノマー樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニト
リルブタジエン樹脂、天然ゴム、ロジン等があげられ、
通常20〜30μmの厚さに形成される。
【0043】本発明のマーカーを作成する好適な方法
は、例えば次の通りである。まず最初に、図1に示した
様に、金属(B)が機械的に共振できるよう、固定され
ること無く格納できる空間を複数保持する溝を有する非
磁性筐体(D)を成形加工により得る。次に各の中に
金属(B)を格納して、筐体(D)の溝の縁部と塗膜
(A)を設けた非磁性支持体(C)の支持体面とを貼り
合わせることにより、各溝に金属(B)が格納された本
発明のマーカーが得られる。
【0044】非磁性筐体(D)と,塗膜(A)が設けら
れた非磁性支持体(C)の支持体側との貼り合わせに
は、上記圧着性接着剤を用いることができ、貼り合わせ
る方法としては、例えば、熱ロール方式、熱プレス方
式、超音波融着方式など公知慣用の方法により接着させ
ることができる。
【0045】さらにこの磁気マ−カ−を水分や外部の衝
撃から保護するため,非磁性筐体(D)あるいは非磁性
支持体(C)で用いることが出来るのと同様の、公知慣
用の合成樹脂で当該磁気マーカーを更に密封してもよ
い。
【0046】次に,塗膜(A)の厚さは、非磁性支持体
の厚さの距離における磁界強度の大きさが、金属(B)
が最も機械的に共振できる最適の厚さが好ましい。
【0047】上記した磁性粉としては、飽和磁束密度が
70emu/g以上の磁性粉を用いることが好ましく、乾燥
塗膜(A)をより薄くするためには100emu/g以上が
特に好ましい。
【0048】前記磁性粉の具体例としては、酸化鉄系強
磁性粉末として酸化第二鉄、四三酸化鉄、Co−被着の
酸化鉄、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライ
ト、六方晶系酸化鉄等があげられる。
【0049】化合物系強磁性粉末として、例えば、炭化
鉄、窒化鉄等が挙げられる。また、強磁性金属粉末とし
ては、強磁性粉末中の金属分が75重量%以上であり、
かつ、金属分の80重量%以上が少なくとも1種類の強
磁性金属または合金(例えば、Fe、Co、Ni、Fe
−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni−Fe)
であり、この金属粉の20重量%以下の範囲内で他の成
分(例えば、Al、Si、Pb、Se、Ti、V、C
r、Mn、Cu、B、Y、Mo、Rh、Rd、Ag、S
n、Sb、P、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、
S、Bi、La、Ce、Pr、Nd、Zn、Te)を含
有する合金が挙げられる。前記強磁性金属粉が小量の
水、水酸化物または酸化物を含んでもよい。
【0050】これらの強磁性粉末の製造法は公知であ
り、本発明では、公知の方法に従って製造したものを用
いることができる。
【0051】磁性粉を分散させて塗膜(A)を得るのに
使用できる結合剤としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体、塩化ビニルおよび酢酸ビニルとビニルア
ルコール、無水マレイン酸またはアクリル酸との共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニリデン共重合体、塩化ビニル
−アクリロニトリル共重合体、スルホン酸基またはアミ
ノ基等の極性基を有する塩化ビニル系共重合体の如き塩
化ビニル系共重合体;ニトロセルロースの如きセルロー
ス誘導体;ポリビニルアセタール樹脂;アクリル樹脂;
ポリビニルブチラール樹脂;エポキシ樹脂;フェノキシ
樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリエステルポリウレタン樹
脂;スルホン酸基等の極性基を有するポリウレタン樹
脂、ポリカーボネートポリウレタン系樹脂等が挙げられ
る。
【0052】前記結合剤として用いる樹脂は単独で使用
することもできるが、塩化ビニル系樹脂とポリウレタン
系樹脂、セルロース誘導体とポリウレタン系樹脂のよう
に2種類以上の樹脂を組み合わせて使用することもでき
る。
【0053】前記結合剤の使用量は、磁性粉100重量
部当たり15〜40重量部の範囲が好ましい。
【0054】また、塗膜(A)を得るのに用いることの
できる分散剤としては、例えばレシチン、高級アルコー
ル、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、界
面活性剤等が挙げられる。これらの分散剤の使用量は、
磁性粉100重量部当たり0.5〜3.0重量部の範囲
が好ましい。
【0055】磁性塗膜(A)を得るにあたっては、通常
磁性塗料が予め調製される。磁性塗料は、例えば上述の
磁性粉、結合剤、および分散剤を、各種の混練・分散機
を用いて、分散して作製する。
【0056】混練・分散にあたっては、二本ロール、三
本ロール等のロール型混練機、ボール型回転ミル等の分
散機に、上述の各成分を、すべて同時に、または個々順
次投入する。
【0057】このようにして作製された磁性塗料を、非
磁性支持体(C)に塗布し、例えば1000〜1000
0gaussの磁界強度をもつ永久磁石またはソレノイド磁
石によって磁場配向処理後、磁性粉を一方向に配向させ
た後、乾燥させることによって乾燥塗膜(A)を形成す
ることができる。
【0058】この配向により、角形比を向上させること
ができ、塗膜(A)の残留磁束密度は増大する。残留磁
束密度と塗膜(A)の膜厚により、磁気パターンが磁化
された塗膜(A)より発生するバイアス磁界の大きさを
決定することができるので、この角形比が向上すると、
同じバイアス磁界を得るにあたっては、塗膜(A)の膜
厚を大幅に薄くすることができる。
【0059】更に、磁気パターンが磁化される密度及び
要素数即ち分解能は、格段に向上し、高次の高調波であ
る高倍振動を発生させる磁気パターンの場合も、磁化し
た際のバイアス磁界の大きさは低下せず安定したものが
得られる。すなわち、識別信号となる共振周波数のダイ
ナミックレンジが広がる。
【0060】この時、塗膜(A)を磁化した際、発生す
るバイアス磁界をより大きくするため塗膜(A)をカレ
ンダー処理しても良い。
【0061】前記磁性塗料の塗布方法としては、例え
ば、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコ
ート、押し出しコート、エアーナイフコート、スクイズ
コート、含侵コート、リバースロールコート、トランス
ファーロールコート、グラビアコート、キスコート、キ
ャストコート、スプレイコート等が挙げられる。
【0062】塗膜(A)の厚さは、5〜100μmの範
囲が好ましく、その残留磁束(単位幅当たり)は1〜2
5Mx/cmの範囲にあることが望ましい。
【0063】マーカーの可撓性や生産性は低下するが、
磁性塗料を非磁性支持体上に塗布する方法により塗膜
(A)の厚みを増大させるには、例えば、図示しない
が、非磁性支持体上に、通常の方法により塗膜を設け、
更に、この塗膜の上に接着剤層を設け、別に製造した塗
膜を設けた非磁性支持体を重ねあわせて2つの塗膜を複
合させることにより、塗膜(A)の厚みを大きくするこ
とができる。
【0064】塗膜(A)の上に保護層を設けても良く、
保護層に使用する樹脂としては、例えば、エチルセルロ
ース、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリスチ
レン等のスチレン樹脂またはスチレン共重合樹脂、ポリ
メタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリア
クリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル樹
脂またはメタクリル樹脂の単独あるいは共重合樹脂、ポ
リ酢酸ビニル、ビニルトルエン樹脂、塩化ビニル樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ブチラール樹脂
等が挙げられる。
【0065】また、上述の樹脂中に、耐摩耗性向上のた
めにα−Al23等の高硬度の添加剤やポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)等の微粒の樹脂ビーズを分散
させた媒体を使用してもよい。
【0066】保護層の形成方法としては公知の塗工方法
を用いてよく、例えば、エアードクターコート、ブレー
ドコート、ロッドコート、押し出しコート、エアーナイ
フコート、スクイズコート、含侵コート、リバースロー
ルコート、トランスファーロールコート、グラビアコー
ト、キスコート、キャストコート、スプレイコート等が
挙げられる。
【0067】尚、本発明の磁気マーカーの製造方法につ
いては、上記では、結合剤中に磁性粉を分散して形成さ
れる乾燥塗膜が設けられた非磁性支持体において、金属
(B)に非磁性支持体面が直接対向する場合(好ましい
態様)について詳述したが、マーカー自体の可とう性、
重量や高性能化を期待しない場合には、それに代えて、
塗膜(A)として磁性金属板を用いても一応は得ること
ができるのは、勿論である。
【0068】塗膜(A)のうち、磁性金属板としては、
例えば磁歪性金属(B)より保磁力が高い平板状の硬質
磁性材料のストリップを使用することが出来る。具体的
には、SAE1095鋼、バイカロイ、アーノクロム、
ステンレス鋼、ニッケル、フェライト、軟鉄等などの強
磁性材料の薄体が使用できる。または、バリウムフェラ
イトなどの酸化鉄系の磁性粉などを練り込んだ成形加工
物によるハウジングを使用することが出来る。
【0069】本発明のマーカーには、さらに粘着層を設
けて、それを剥離紙でおおって、使用時には剥離紙をは
がし識別が必要な物品等に貼り付けるようにすることも
できる。
【0070】粘着剤に使用する材料としては、例えば塩
化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニ
ル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニ
ル/プロピオン酸共重合体、ゴム系樹脂、アクリル共重
合体樹脂、シアノアクリレート樹脂、セルロース系樹
脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アク
リロニトリルブタジエン樹脂、天然ゴム、ロジン等があ
げられ、通常20〜30μmの厚さに形成される。
【0071】また、本発明のマーカーでは、前記保護層
の上に更に印刷層を設け、印刷層に金属(B)からの出
力信号の種別またはマーカーが用いられる物品等の種類
を表示しても良い。
【0072】本発明のマーカーを得る際に用いる金属
(B)は、塗膜(A)が磁化されている状態では、変動
する周波数の交番磁界中の所定周波数で共振して、磁束
密度及び透磁率が変化し、塗膜(A)が磁化されていな
い状態では前記所定周波数では共振せず、磁束密度及び
透磁率が変化しない、磁歪性を有する金属である。
【0073】磁歪性とは、磁気歪を発生する性質、即ち
磁性体を磁化する事により、その磁界の強さにより、伸
縮の程度の違いはあれ、磁性体が伸縮する性質をいう。
この性質を持っている金属(B)は、塗膜(A)が磁化
されている状態では、塗膜(A)から発生するバイアス
磁界により伸びているか縮んでいるかの状態で凍結され
ており、塗膜(A)が磁化されていない状態における金
属よりも、長いか短い状態にある。
【0074】上記した状態に金属(B)がある場合、変
動する周波数の入射交番磁界中のある特定の所定周波数
で、その金属(B)が機械的に共振して、磁束密度及び
透磁率が急激に変化する。塗膜(A)に基づく磁気層が
磁化されていない状態では、金属(B)はあらゆる周波
数で機械的に共振しない。
【0075】金属(B)には、アスペクト比の高い細長
いストリップを使用した方が幅方向の振動の影響を受け
にくいため、信号のS/N比が向上する、意図する信号
周波数以外の周波数が発生しにくい、高調波で振動させ
ることができる、などのメリットがある。
【0076】実使用に供する最適なマーカーは、例え
ば、対金属(B)の幅との比が1より大きいトラック幅
を有し、バイアス磁界に対応する磁気パターンが磁化さ
れた、結合剤中に磁性粉を分散して形成される乾燥塗膜
(A)と、変動する周波数の入射交番磁界中の所定周波
数で機械的に共振して、磁束密度及び透磁率が変化す
る、磁歪性を有し上記したような幅と長さの比が1:1
5以上の金属(B)とが、前記金属(B)が機械的に共
振し得るように積層された積層物からなり、前記入射交
番磁界に対して、塗膜(A)に磁化された磁気パターン
に対応して、磁束密度及び透磁率が変化する所定周波数
を識別信号として発生するようにした物体等の識別シス
テム用マーカーである。
【0077】尚、塗膜(A)のバイアス磁気パターンに
より、金属(B)の高次の共振周波数を制御することが
できる。マーカーの識別は、変動する周波数を有する入
射交番磁界中における、磁束密度または透磁率が急激に
変化する周波数を追跡すればよい。
【0078】金属(B)は、磁歪性を有していればよい
が、好ましくは高透磁性を有し、かつ磁歪性を有したも
のが好ましい。
【0079】バイアス磁界が与えられ、且つ外部から付
与される変動する周波数の中で予め決められた周波数の
交番磁界に応答する上記金属(B)としては、強磁性で
磁歪性を有する高透磁性の金属材料がいずれも使用で
き、磁歪が15ppm以上である金属が好ましく、且つ
透磁率は100以上のものが好ましい。
【0080】このような金属(B)としては、非晶質金
属、例えばメトグラス「2605SC」、「2605C
O」、「2826MB」,Vitrovac「404
0」、「4533」、等があげられる。
【0081】金属(B)の形状は、特に限定されるもの
でないが、例えばストリップ状、変形板状、ワイヤー状
等の形状があげられる。好ましくは、細長い短冊状であ
る。その形状から生じる反磁界及び非線形振動の影響を
少なくするために、好ましくは長方形がよく、長辺のみ
の振動方向を得るために、長辺と短辺との比が15以上
とすることが好ましい。
【0082】ちなみに、図に示される金属の形状はスト
リップ状である。その厚さとしては、15〜35μmで
あることが好ましい。
【0083】本発明のマーカーを実際に使用するにあた
っては、上記した通り、金属(B)には、塗膜(A)か
らバイアス磁界を与えるようにする。磁気パターンが磁
化されていない塗膜(A1)を有するマーカー(3)
は、例えば磁気パターンをエンコードする磁化手段
(4)にて、磁化して塗膜(A2)とし、バイアス磁界
を発生するマーカーとしてから使用に供する。
【0084】更に、金属(B)の機械的な共振が最も大
きくなるように最適の強度のバイアス磁界を与えてやる
ことが好ましい。
【0085】そのためには、乾燥塗膜(A)に、トラッ
ク幅が対金属(B)の幅との比が1より大きい、バイア
ス磁界に対応する、磁気パターンを磁化することが好ま
しい。
【0086】金属(B)の形状が長方形の場合、機械的
共振方向は長辺の方向となり、金属(B)に入射交番磁
界を加えたとき、所定周波数の機械的な共振は金属
(B)を磁気パターンに従って長辺方向に歪ませること
によって得られる。
【0087】従って、塗膜(A)に磁気パターンを磁化
するトラック方向は、金属(B)の長辺方向とするの
が、特に好ましい。更に、磁気パターンの長さは金属
(B)の長手方向全体ではなく、金属(B)の長さと
し、その端部からもう一方の端部にかけてのみ、それが
存在するようにするのが好ましい。このようにすれば、
交番磁界中のマーカーは、塗膜(A)上の特有の磁気パ
ターンにより生じるバイアス磁界に応答して、金属
(B)の長さを要因とした共振周波数を発生させること
ができる。
【0088】金属(B)に加えられるバイアス磁界の大
きさは、金属(B)と塗膜(A)の幅が無限に小さいと
すると、塗膜(A)の残留磁束密度及び塗膜厚、即ち、
残留磁束により決定することができる。
【0089】しかしながら、塗膜(A)と金属(B)は
実際上幅があるので金属(B)の透磁率が高ければ、塗
膜(A)の残留磁束密度、塗膜厚及び長方形の短辺方向
の磁気パターンの磁化の幅、即ちトラック幅を調整する
ことにより、発生させるバイアス磁界の大きさを決定で
きる。
【0090】それは、前記残留磁束密度、塗膜厚とトラ
ック幅により決められる残留磁束から発生する磁束線
は、金属(B)の透磁率が高い場合、金属(B)に引き
寄せられる為である。従って、残留磁束から、発生する
バイアス磁界を設計する場合、塗膜厚で調整するのがよ
り一般的であるが、金属(B)の透磁率を利用してトラ
ック幅を広げることにより、塗膜厚を減少させることが
できる。
【0091】また、残留磁束密度が低い酸化鉄系の磁性
粉を用いた塗膜(A)でも塗膜厚とトラック幅を調節す
ることにより、最適のバイアス磁界を得ることができ
る。
【0092】具体的な例として、塗膜(A)として、磁
性粉が分散した結合剤から形成された乾燥塗膜を用いた
時には、その磁性粉の飽和磁束密度が120emu/g
の場合、塗膜厚が15〜50μmとすれば、トラック幅
と対金属(B)の幅との比は通常1.0以上、好ましく
は1.0より大きいこと、特に好ましくは1.5〜3.
0である。また、塗膜(A)の磁性粉の飽和磁束密度が
73emu/gの場合、塗膜厚が15〜50μmとすれ
ば、トラック幅と対金属(B)の幅との比は2.0〜
4.0とするが好ましい。より高飽和磁束密度の磁性粉
を用いた塗膜(A)の方が、より設計の許容性は大きく
なり好ましい。
【0093】塗膜(A)上の磁気パターンのトラック
と、金属(B)の位置関係は、金属(B)の塗膜(A)
に向けての投影の幅が、前記トラック幅内に入る様にな
っていることが好ましく、かつ金属(B)の幅中心とト
ラック幅中心とが一致する様になっていることが、最も
好ましい。
【0094】塗膜(A)に磁化された磁気パターンと金
属(B)は一対の積層物であっても、金属(B)に少な
くとも2つの機械的振動を生じせしめるバイアス磁界に
対応した磁気パターンを磁化することにより、少なくと
も2つの所定周波数の信号を発生することができる。
【0095】更に塗膜(A)の残留磁束密度にあわせて
バイアス磁界のトラック幅を適宜選択することにより、
最適の磁界強度が金属(B)に加えられるので、共振周
波数での信号出力が高くなり、検出領域もより広げられ
るという効果も発現する。
【0096】またバイアス磁界のトラック幅が対金属
(B)の幅との比が1より大きい場合は、隣接する磁気
パターンの影響がなく、不必要なノイズ信号が少ないと
いう効果も有する。
【0097】バイアス磁界に対応して金属(B)より発
生する所定周波数は、入射交番磁界の掃引周波数の範囲
において得られる共振周波数の基本周波数及びその整数
倍周波数である高調波のなかから、任意の所定磁気パタ
ーンを塗膜(A)に磁化することにより、2つ以上の組
み合わせの所定周波数を信号とする事ができるので、こ
の様な場合は、磁気マーカーとしての識別容量が増大す
る効果を有する。
【0098】金属(B)の磁気機械結合係数はバイアス
磁界の大きさにより変化し、磁歪の変化率の最も大きい
ところで高くなる。即ち、バイアス磁界を加えていく
と、その磁界が大きくなるに従い磁気機械結合係数は大
きくなり、あるバイアス磁界で極大を示した後、減少を
示す。
【0099】磁気機械結合係数Kは、以下の式2で定義
され、磁気機械結合係数が大きいほど、変動する周波数
を持つ交番磁界を加えたとき、金属(B)の固有振動数
において機械的に共振を引き起こす変換エネルギー効率
が大きくなる。
【0100】
【式2】K2=E1/E2 …式2
【0101】(上記式中、E1は機械的に蓄えられたエ
ネルギーを表し、E2は磁気的に与えられたエネルギー
を表す。)
【0102】従って、金属(B)の固有振動数におい
て、できるだけ大きい磁気機械結合係数を得るためには
最適な大きさのバイアス磁界が必要である。更に、磁気
エネルギーを効率よく機械的なエネルギーに変換して、
金属(B)の目的とする固有振動数の倍振動すなわち高
調波を充分に得るためには、最適な磁気パターンを持っ
たバイアス磁界を与えなければならない。
【0103】具体的には、塗膜(A1)を塗膜(A2)
とするに当たり、磁化された磁気パターンが、複数の、
磁化された要素を有するように磁化されており、かつ隣
接する2つの当該要素の一方の要素のN極(S極)とそ
れに隣接する他方の要素のN極(S極)とが、少なくと
も対向する様に磁化された磁気パターンであり、且つ当
該磁気パターンの両端と金属(B)の両端とを一致させ
るように構成する方法によって得ることができる。尚、
要素とは、一対のNS極から構成されるものである。
【0104】また、塗膜(A)に磁化された磁気パター
ンのトラック内における金属(B)の位置は必ずしも中
央付近になる必要はないが、トラックより金属(B)が
一部でも外れることは好ましくない。
【0105】塗膜(A)を磁化したときの磁気パターン
の両端を金属(B)の長さ方向の両端に一致させない場
合、見かけ上金属(B)に目的とする共振周波数を得る
ための磁気パターンに別の共振周波数が加えられた磁気
パターンとなるので、識別に使用する周波数とは一致し
なくなるので好ましくない。従って、塗膜(A)を磁化
したときの磁気パターンを金属(B)の両端に一致させ
ることにより、識別にしようする周波数のみで、選択的
にマーカーを共振させることができる。
【0106】金属(B)に向けて、塗膜(A)から磁気
パターンを持ったバイアス磁界を発生させるために、塗
膜(A)を磁化する方法は、特に限定されるものでな
く、目的とする用途、要求される識別能力の大小によ
り、公知慣用の方法から適宜採用しうる。
【0107】この磁化に当たっては、通常、公知慣用
の、磁気パターンをエンコードする磁化手段(4)を採
用できる。磁化手段(4)としては、例えば、電磁石ま
たは永久磁石を用いて磁気パターンを形成させて磁化す
る着磁機或いは一般的な磁気エンコーダーを用いること
ができる。磁気エンコーダーにはリング形ヘッドや垂直
磁気ヘッド等を用いることができる。また、逆にマーカ
ーを機能しなくさせるため、交流タイプや直流タイプの
脱磁機を使用することもできる。
【0108】磁気パターンを持ったバイアス磁界として
は、公知慣用のものが採用できる。具体的な一例であ
る、正弦波或いは振幅合成された正弦波のパターンにつ
いては、特表平7−503061公報に詳細に説明され
ているので、ここに引用する。当該公報記載の手法は、
要約すれば、例えば以下の通りである。
【0109】金属(B)に静磁界を加え、その磁界強度
に従い金属(B)は歪を発生し、ある磁界強度を越える
と歪は飽和する。塗膜(A)に磁気パターンを磁化した
ときに発生するバイアス磁界強度は、歪が飽和する磁界
強度より小さくしなければならない。
【0110】この範囲におけるバイアス磁界強度におい
て、金属(B)にある大きさの静磁界を加えたときの磁
界の変化に対する歪の変化量は、金属(B)に加えられ
る交番磁界に応答して機械的に歪むことができる大きさ
に対応する。この歪の変化量は、磁気機械結合係数と相
関するものであり、バイアス磁界強度の関数となる。
【0111】バイアス磁界強度を大きくしていく時、磁
気機械結合係数が大きくなり極大となる範囲までの磁界
の大きさにおいて、更に磁気機械結合係数がバイアス磁
界に比例する範囲では、歪の変化量はバイアス磁界強度
に比例する。
【0112】従って、バイアス磁界の磁気パターンが、
例えば、単一の正弦波である場合、歪の変化量は当該正
弦波に従い、金属(B)に入射交番磁界が加わると、金
属(B)は当該正弦波と交番磁界の周波数が一致したと
き、歪の変化量に従って、すなわち、その周波数にて共
振し、金属(B)の磁束密度または透磁率が増大する。
【0113】また、バイアス磁界の磁気パターンが複数
の正弦波を振幅合成した曲線である場合、振幅合成され
る前のそれぞれの当該正弦波において金属(B)は機械
的に共振し、磁束密度または透磁率が増大する複数の共
振周波数が得られる。
【0114】或いは、上記したのとは別の手法、例え
ば、矩形波または周波数の異なる矩形波を合成した矩形
波の磁気パターンにより磁化させることもできる。
【0115】塗膜(A)の膜厚等を調節して矩形波で磁
化させて、パルス状の磁気パターンとなるバイアス磁界
強度を磁気機械結合係数の極大となる磁界強度に合わせ
ると、金属(B)の歪の変化量は極大となり、正弦波の
磁気パターンに較べ、共振周波数での信号出力は増大す
るのでより好ましい。
【0116】本発明の識別システムは、物体等の識別の
ための検出領域(1)と、当該領域(1)内に設けられ
た、周波数を掃引し、変動する周波数を発生させる入射
交番磁界発生手段(2)と、当該領域を通過することが
定められた、識別が必要な物体に添付された識別システ
ム用磁気マーカーであって、当該マーカーは、バイアス
磁界に対応する磁気パターンが磁化された塗膜(A2)
と、領域(1)内の手段(2)から発生する周波数のう
ちの所定周波数で機械的に共振して、磁束密度及び透磁
率が変化する、磁歪性を有する金属(B)が、機械的に
共振しうるように積層された積層物からなり塗膜(A)
に磁化されたバイアス磁界に対応する磁気パターンに対
応して、当該領域(1)内で、磁束密度または透磁率が
変化する所定周波数を識別信号として発生するようにし
た、物体等の識別システム用磁気マーカーと、当該マー
カー(3)が検出領域(1)内で手段(2)から発生す
る所定周波数で共振するのを検出して、識別信号として
認識する手段(5)とからなる、検出領域(1)内にマ
ーカーが存在することに応答する、物体等の識別システ
ムである。
【0117】識別システム用磁気マーカーが、バイアス
磁界に対応する磁気パターンが磁化されていない塗膜
(A1)を有する場合には、それの塗膜(A1)を、磁
気パターンをエンコードする磁化手段(4)により磁化
して、塗膜(A2)として実使用に供する。従って、塗
膜(A1)を有する識別システム用磁気マーカー(3)
の場合には、それの塗膜(A1)に、磁気パターンをエ
ンコードする磁化手段(4)が識別システム中に包含さ
れる。
【0118】上記した領域(1)、手段(2)および
(5)を必須として必要に応じて手段(4)をも含む、
本発明の前記マーカー(3)の識別を具現化した検出装
置としては、公知慣用のものが使用できるが、例えば、
特開昭62−67485号、特開昭62−67486
号、特開昭62−69183号、特開昭62−6918
4号、特開昭62−90039号等に開示されているも
のを挙げることができる。
【0119】これらの特許に説明されている装置におい
ては、入射交番磁界発生手段(2)、例えば通常のコイ
ルと電源とからなる磁界発生装置等の、適宜の磁界発生
手段によって変動する交番磁界が発生させられ、検出領
域(1)に印加される。
【0120】検出識別の精度をあげるため、発生する交
番磁界と検出信号の同期等を調整してもよい。周波数は
小さい方から大きい方へ、或いは大きい方から小さい方
へ向かって変動させるか、または、バースト性の広帯域
の周波数を含む白色ノイズでも構わない。
【0121】識別信号の容量は、入射交番磁界及び検出
される周波数帯域の中の共振周波数、即ち、基本波と高
調波の中から単一の周波数のみでコード化するか、二つ
の周波数の組み合わせでコード化するか、三つの周波数
の組み合わせでコード化するか或いは四つの周波数の組
み合わせでコード化するなど適宜用途により選択すれば
よい。
【0122】コードの体系は公知慣用の体系を利用して
よく、例えば、アスキーコード等を用いることができ
る。当然のことながら、すでに述べた通り長さの異なる
金属(B)を組み合わせることにより更に識別容量を増
大させることもできる。
【0123】図2に、本発明の磁気マーカーの磁気パタ
ーンに対応した識別情報を検出するシステムの一例を示
した。
【0124】まず装置100は、入射交番磁界発生手段
(2)の一例であり、周波数を掃引ができる正弦波信号
を発生するための発振器101、該正弦波信号を増幅す
る出力増幅器102、及び増幅された正弦波信号を磁気
マーカー中の金属(B)に交番磁界を加えることができ
る励磁コイル103とからなる。この装置100は、検
出領域(1)内に設けられている。
【0125】装置200は、検出(認識)手段(5)の
一例であり、励磁コイル103の内側に同軸配置された
検出コイル201と金属(B)が機械的に共振する周波
数を検出して応答信号の振幅が測定できるスペクトラム
アナライザー202と磁気パターンに対応した共振周波
数をコード化して識別する識別装置203とからなる。
【0126】本発明の磁気マーカーの塗膜(A)が、あ
らかじめ対金属(B)の幅との比が1より大きいトラッ
ク幅を有する、例えば磁気エンコーダーなどを用いて磁
化させられ、目的とするバイアス磁界に対応する所定の
磁気パターンを有していることによりそのマーカー中の
金属(B)は入射交番磁界中の変動する周波数のうち前
記磁気パターンに従った前記式1の周波数で共振する。
【0127】従って、磁気パターンが磁化されたマーカ
ーが存在する検出領域で入射交番磁界の周波数を掃引す
ると特徴的な信号が生じる。これは交番磁界及び磁気パ
ターンが磁化された塗膜(A)の発生するバイアス磁界
が、磁気歪を示す金属(B)に導入されると、エネルギ
ーは交番磁界の周波数に応じて磁気エネルギー及び機械
エネルギーに交互に蓄積され、放出される。蓄積及び放
出される磁気歪エネルギーは、その物質の機械的共振周
波数において最大となる。
【0128】このエネルギーの蓄積及び放出により、金
属(B)の透磁率すなわち磁束密度変化を介して認識手
段(5)の一構成要素である、例えば検出コイルに、電
圧が誘導される。従って、検出コイル201に誘起され
る出力信号の特有の周波数成分を調べることによって、
周波数成分がコード化されているため、本発明の磁気マ
ーカーの識別情報であるコードの読み取りを行なうこと
ができる。
【0129】前記の一例として示した装置の場合、発振
器101の励磁周波数及び検出コイル201の検出帯域
は10KHz〜5MHzの範囲が望ましい。励磁コイル
103内に発生する交番磁界の強さは5エルステッド以
下とするのがよく、この程度の磁界では本発明の塗膜
(A)に磁化された磁気パターンを消去したり、減衰さ
せたりすることはない。
【0130】本発明のマーカーは、塗膜(A)に磁化さ
れた磁気パターンに対応した記号または模様を、前記パ
ターンと前記記号または模様との対照関係を知る前記磁
化を行った者が、目視で判別できるように表示させるこ
とにより、同一形状・サイズなどで外見上区別できない
複数個のマーカーを、視覚的に判別することができる。
【0131】記号や模様の種類、表示箇所、表示方法は
特に制限されないが、記号や模様としては未磁化のマー
カーを磁化した者或いは関係者のみが知るものが好まし
く、中でも部外者にとって意味不明で解読不能なものを
選択することが、より好ましい。
【0132】その表示箇所は、目視できればマーカー内
部でもよいが、マーカーの表面の任意の箇所とするの
が、表示が容易である。その表示方法としては例えば印
刷インクによる印刷、ペンやマジックインクなどによる
手書き、彫刻等があげられる。
【0133】本発明の識別システムによれば、公知慣用
の各種物体の識別を行うことができるが、例えば、人
間、動植物、物品等の識別を行うことができる。
【0134】
【実施例】以下、実施例と比較例を用いて、本発明を更
に詳細に説明する。
【0135】(磁性塗膜の作成例)保磁力1550エル
ステッド、飽和磁束密度120emu/gのメタル磁性
粉「HJ−8A」(同和鉱業(株)製)100重量部、
ポリ塩化ビニール共重合体「MR−110」(日本ゼオ
ン(株)製)10重量部、ポリウレタン樹脂バインダー
「タケラックE−900」(武田薬品工業(株)製)5
0重量部(固形分25重量部)をニーダーにて混練し、
得られた混練物に、メチルエチルケトン、トルエンおよ
びシクロヘキサノンの等重量混合液300重量部を加
え、ボールミルにて分散して磁性塗料を得た。
【0136】得られた磁性塗料を、厚さ50μmのPE
Tフィルム上に乾燥後の塗布膜厚が25μmとなるよう
に塗布し、また厚さ24μmのPETフィルム上に乾燥
塗布厚が15μmとなるように塗布し、磁界強度500
0ガウスの磁場配向を加えて、結合剤樹脂中に分散した
磁性粉の磁化容易軸を一方向にそろえて乾燥し、それぞ
れ磁性面を貼り合わせて厚さ40μmの磁気層を有する
乾燥塗膜を得た。
【0137】(磁歪性金属(B)の選択例)磁歪性金属
(B)としては、先に述べたような非晶質金属、例えば
メトグラス「2605SC」「2605CO」「282
6MB」、Vitrovac「4040」「4533」
が挙げられる。これら非晶質金属のヤング率Eは150
00×107〜17000×107Kg/ms2、密度ρ
は7.0〜8.0g/cm3程度であるが、もちろんこ
れ以外の範囲のものも使用できる。
【0138】また、例えば、選択した1つの金属(B)
がヤング率E=15000×107〔Kg/ms2〕、密度ρ
=8.00〔g/cm3〕の時、先の式1(fn=n/2L√
(E/ρ))において、n=1、L=75.0mmとす
ると1次の共振周波数f1はf1=28.9〔KHz〕とな
る。
【0139】ここで仮に識別可能な共振周波数の差が
0.5〔KHz〕以上であるとすると、もう1つの金属
(B)がf1と異なる共振周波数f1’=29.4〔KH
z〕を持つためには、密度以外の条件を同じと考える
と、式1よりρ’=7.71〔g/cm3〕となり、2つの
磁歪性金属(B)の密度の差はρ−ρ’より0.29
〔g/cm3〕以上が必要なことがわかる。
【0140】ちなみに例よりもn→大、E→大にの時は
いずれの場合も、2つの金属(B)の密度の差は0.2
9〔g/cm3〕より小さくてもよいことが、式1よりわか
る。
【0141】(実施例1)厚さ24μmのFe−Co−
Si−B系の「Vitrovac4533」(バキュム
シュメルツ社製)を幅4.4mm、長さ75mmに裁断
して金属(B)−の片を作成した。次に、厚さ30μ
mのFe−Ni−Mo−B系の「メトグラス2826M
B」(アライド・シグナル社製)を幅4.4mm、長さ
75mmに裁断して金属(B)−の片を作成した。
【0142】金属(B)−の密度ρは7.32g/c
3,重量は56mg,金属(B)−の密度ρは7.
90g/cm3,重量は74mgであった。
【0143】次に図3に示す寸法にて、成形加工により
溝を2つ持つポリカ−ボネ−トの非磁性筐体を作成し、
一方の溝に上記金属(B)−の片を1本、他方の溝に
は上記金属(B)−の片を1本格納した。
【0144】次に磁性塗膜の作成例で得られた塗膜を有
する非磁性支持体を幅16mm、長さ85mmのストリ
ップ状に配向方向に沿って切り出し、厚さ50μmのP
ETフィルム面が金属(B)の金属片に面する様にし
て、接着剤を用いて各金属(B)の片が格納されている
非磁性筐体に貼り合わせて、磁気マーカーを作成した。
【0145】この磁気マーカーにおいて、各金属(B)
の片の端面部から、5次高調波が発生するように75/
5mm間隔に矩形波パターンを、トラック幅10mmに
て磁気エンコーダーで塗膜の磁化が飽和するように全面
を磁化した。
【0146】次に、図2に示したように、磁気マーカー
の磁気パターンに対応した識別情報を検出するシステム
を作成した。内径250mm×500mmのコアに直径
1mmの銅線を20回巻いて励磁コイルを作成した。そ
して、内径125mm×500mmのコアに直径1mm
の銅線を20回巻いたものを2つ用意し8の字形として
差動タイプの検出コイルを作成し、励磁コイルに300
mm離して対向させ検出領域とした。
【0147】これらの励磁コイルと検出コイルを、ゲイ
ンフェーズアナライザー(ワイ・エイチ・ピー社製「4
194A」)に高速・広帯域の電力増幅器及び差動増幅
器を通して接続し、該検出領域内に作成直後の磁気マー
カーを挿入し、周波数50〜500KHzまでの交番磁
界を掃引して、5次高調波における共振周波数と信号出
力を測定した。
【0148】さらに,6次,7次,8次の各高調波にお
ける共振周波数と信号出力を測定した。以上の結果を表
1と図4に示す。
【0149】(比較例1)金属片につける負荷体とし
て、両面粘着材(ナイスタックNW−10:ニチバン
製)の片面に厚さ11μmのPETを貼り付けたものを
準備した。この負荷体の大きさは、4.0mm×5.4
mmが2個、重さは両方で6mgであった。そして、そ
の両面粘着材のもう一方の粘着面を金属(B)−の片
面に接着した。こうして、図5に示すように,実施例1
と同様の金属(B)−に、負荷体を設けて、金属
(B)−を作成した。
【0150】次に実施例1と同様な方法で,図6に示す
ように一方の溝には金属(B)−の片を1本,他方の
溝には金属(B)−を1本格納したマ−カ−を作成し
た。
【0151】実施例1と同様にして,5次,6次,7
次,8次の高調波における共振周波数と信号出力を測定
した。結果は表1と図4に示す。
【0152】
【表1】
【0153】表1と図4より,実施例1の磁気マ−カ−
は筐体内部に格納された金属(B)−,の共振によ
り,この場合8ケ所の共振点ピ−クを持ち,いずれの信
号出力もほぼ同程度の強度が得られていることがわか
る。もちろん次数はこれらに限られるものでなく、さら
に低次、あるいは高次の高調波の共振点ピ−クを利用す
ることもでき、これにより情報量を大幅に増やすことが
出来た。
【0154】一方、比較例1の磁気マ−カ−には金属
(B)−と、それに負荷を設けた金属(B)−が格
納されている。金属(B)−の共振周波数は実施例1
の金属(B)−の共振周波数とほぼ同じ値で、4ケ所
の共振点ピ−クを持ってはいるが、その信号出力は著し
く低くなっている。
【0155】このように、磁歪性金属(B)に負荷を設
けて共振周波数を制御し、マ−カ−にこれら金属を複数
本具備させて信号となる共振点ピ−クを増やす従来の方
法は、その信号出力、ひいてはマ−カ−の検出距離を減
少させるものであり、マ−カ−の性能上非常に好ましく
ない。
【0156】また,負荷体を大きくすることでさらに共
振周波数を小さくすることができるが、信号出力の減少
が著しく、ほとんど出力が得られなくなる場合もある。
【0157】
【発明の効果】本発明の識別システム用磁気マ−カ−
は、密度ρ、あるいはヤング率Eの異なる複数の磁歪性
金属のみを用い、従来の様に共振すべき金属に負荷体を
設けないので、負荷体による磁歪性金属の振動阻害、即
ち信号出力の減少がなく、高出力が得られるという格別
顕著な効果を奏する。これは同一検出系において、磁気
マ−カ−の検出距離を伸ばす上で重要な利点である。
【0158】しかも、本発明の識別システム用磁気マ−
カ−は,従来のように内包する磁歪性金属に負荷体を取
り付けるという、多分に労力を要する工程が必要ない。
従って情報磁気記録媒体として、情報記録密度が高く、
かつ共振信号が高出力の磁気マ−カ−を提供することが
出来る。
【0159】本発明の識別システム用磁気マ−カ−を含
み、その他検出装置等をも含む本発明の識別システム
は、より多種の識別が可能かつより離れた地点からの検
出も可能であるという格別顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】検出領域内において変動する周波数をもつ入射
交番磁界に対して、予め選定された周波数で機械的共振
する磁気マーカーの基本構成を示した模式図である。
【図2】本発明の磁気マーカーの磁気パターンに対応し
た識別情報を検出するシステムの一例を示した図であ
る。
【図3】実施例1において成形加工により非磁性筐体を
作成するための設計図面である。
【図4】実施例1のマ−カ−に内包される金属(B)−
,と、比較例1のマ−カ−に内包される金属(B)
−,の信号出力測定の結果である。
【図5】比較例1のマ−カ−に内包される金属(B)−
の構成図である。
【図6】比較例1において成形加工により非磁性筐体を
作成するための設計図面である。
【符号の説明】
(A) 結合剤中に磁性粉を分散して形成される乾燥
塗膜 (B) 磁歪性を有する金属(高透磁性金属) (C) 非磁性支持体 (D) 非磁性筐体 100 装置 101 発振器 102 出力増幅器 103 励磁コイル 200 装置 201 検出コイル 202 スペクトラムアナライザー 203 識別装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁性金属板、または結合剤中に磁性粉を分
    散して形成される非磁性支持体(C)上の乾燥塗膜(A
    1)と、変動する周波数の入射交番磁界中の所定周波数
    で機械的に共振して、磁束密度及び透磁率が変化する、
    磁歪性を有する金属(B)が機械的に共振しうるように
    積層された積層物からなり、前記金属板または乾燥塗膜
    (A1)にバイアス磁界に対応する磁気パターンが磁化
    された時に、前記入射交番磁界に対して、金属板または
    乾燥塗膜(A1)に磁化された磁気パターンに対応して
    磁束密度または透磁率が変化する所定周波数を識別信号
    として発生するようにした磁気マーカーにおいて、密度
    あるいはヤング率の異なる複数の金属(B)を有するこ
    とを特徴とする識別システム用磁気マーカー。
  2. 【請求項2】バイアス磁界に対応する磁気パターンが磁
    化された、磁性金属板または結合剤中に磁性粉を分散し
    て形成される非磁性支持体(C)上の乾燥塗膜(A2)
    と、変動する周波数の入射交番磁界中の所定周波数で機
    械的に共振して、磁束密度及び透磁率が変化する、磁歪
    性を有する金属(B)が機械的に共振しうるように積層
    された積層物からなり、前記入射交番磁界に対して金属
    板または乾燥塗膜(A2)に磁化された磁気パターンに
    対応して、磁束密度または透磁率が変化する所定周波数
    を識別信号として発生する磁気マーカーにおいて、密度
    あるいはヤング率の異なる複数の金属(B)を有するこ
    とを特徴とする識別システム用磁気マーカー。
  3. 【請求項3】物体の識別のための検出領域(1)と、当
    該領域(1)内に設けられた、周波数を掃引し、変動す
    る周波数を発生させる入射交番磁界発生手段(2)と、
    当該領域を通過することが定められた、識別が必要な物
    体に添付された識別システム用磁気マーカーと、当該マ
    ーカーが検出領域(1)内で手段(2)から発生する所
    定周波数で共振するのを検出して、識別信号として認識
    する手段(5)とからなる、検出領域(1)内に当該マ
    ーカーが存在することに応答する、物体の識別システム
    において、前記識別システム用磁気マーカーが、バイア
    ス磁界に対応する磁気パターンが磁化された、磁性金属
    板または結合剤中に磁性粉を分散して形成される非磁性
    支持体(C)上の乾燥塗膜(A2)と、変動する周波数
    の入射交番磁界中の所定周波数で機械的に共振して、磁
    束密度及び透磁率が変化する、磁歪性を有する金属
    (B)が機械的に共振しうるように積層された積層物か
    らなり、前記入射交番磁界に対して金属板または乾燥塗
    膜(A2)に磁化された磁気パターンに対応して、磁束
    密度または透磁率が変化する所定周波数を識別信号とし
    て発生する磁気マーカーであって、密度あるいはヤング
    率の異なる複数の金属(B)を有する識別システム用磁
    気マーカーであることを特徴とする物体の識別システ
    ム。
  4. 【請求項4】物体の識別のための検出領域(1)と、当
    該領域(1)内に設けられた、周波数を掃引し、変動す
    る周波数を発生させる入射交番磁界発生手段(2)と、
    当該領域を通過することが定められた、識別が必要な物
    体に添付された識別システム用磁気マーカー(3)と、
    当該磁気マーカー(3)に磁気パターンをエンコードす
    る磁化手段(4)と、磁化手段(4)を用いて磁化され
    たマーカーが検出領域(1)内で手段(2)から発生す
    る所定周波数で共振するのを検出して、識別信号として
    認識する手段(5)とからなる、検出領域(1)内にマ
    ーカーが存在することに応答する、物体の識別システム
    において、前記識別システム用磁気マーカーが、磁性金
    属板、または結合剤中に磁性粉を分散して形成される非
    磁性支持体(C)上の乾燥塗膜(A1)と、変動する周
    波数の入射交番磁界中の所定周波数で機械的に共振し
    て、磁束密度及び透磁率が変化する、磁歪性を有する金
    属(B)が機械的に共振しうるように積層された積層物
    からなり、前記金属板または乾燥塗膜(A1)にバイア
    ス磁界に対応する磁気パターンが磁化された時に、前記
    入射交番磁界に対して、金属板または乾燥塗膜(A1)
    に磁化された磁気パターンに対応して磁束密度または透
    磁率が変化する所定周波数を識別信号として発生するよ
    うにした磁気マーカーであって、密度あるいはヤング率
    の異なる複数の金属(B)を有することを特徴とする識
    別システム用磁気マーカー。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005182170A (ja) * 2003-12-16 2005-07-07 Fuji Xerox Co Ltd 画像読取装置
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JP2009113349A (ja) * 2007-11-07 2009-05-28 Toppan Forms Co Ltd 磁性体マークを備える帳票体
JP2010156643A (ja) * 2008-12-31 2010-07-15 Wellpine Communications Co Ltd 金属持込持出検知装置
JP2010287238A (ja) * 2009-06-11 2010-12-24 Korea Minting & Security Printing Corp 電磁気バンドギャップパターンの保安コード認識装置
JP2013513121A (ja) * 2009-12-08 2013-04-18 コリア リサーチ インスティチュート オブ スタンダーズ アンド サイエンス 外部磁気擾乱を最小化した△e測定装置

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