JP3259796B2 - 電子物品監視システム用マーカー - Google Patents

電子物品監視システム用マーカー

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JP3259796B2
JP3259796B2 JP27825093A JP27825093A JP3259796B2 JP 3259796 B2 JP3259796 B2 JP 3259796B2 JP 27825093 A JP27825093 A JP 27825093A JP 27825093 A JP27825093 A JP 27825093A JP 3259796 B2 JP3259796 B2 JP 3259796B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子物品監視システム
に使用されるマーカーに関し、特に、交番磁界が加えら
れている質問領域内で特定の信号を発する磁気感応性マ
ーカーに関する。
【0002】
【従来の技術】電子物品監視装置用マーカーとしては、
低保磁力の高透磁率材料を用いることが一般的であり、
1934年仏国特許第763681号に開示されたのが
最初である。
【0003】その後、米国特許第3665449号、米
国特許第3747086号、米国特許第3790945
号に開示されているように、低保磁力高透磁率材料と硬
質磁性材料を組み合わせることにより、硬質磁性材料の
磁化によって生じた磁界が低保磁力高透磁率材料にバイ
アス磁界として働くことによって質問領域内に存在時に
生ずる信号を変化させている。
【0004】また、特開昭58−192197号公報、
特開昭58−219677号公報では、強磁性磁歪材料
と硬質磁性材料の組み合わせが開示されている。この組
み合わせでは、硬質磁性材料の磁化によって生じた磁界
が磁歪材料にバイアス磁界として働くことにより、周波
数が変動する交番磁界が印加されている質問領域内にあ
るとき、磁歪材料が機械的に共振し、その共振周波数に
おいて磁束密度及び透磁率が変化することにより共振周
波数が信号として発生する。
【0005】米国特許第3665549号等で開示され
ているマーカーの構成としては、一般的に、紙などの基
材上に粘着層を設け、その粘着層上に所定の大きさの硬
質磁性材料を貼り合わせ、その硬質磁性材料の上に粘着
層を設けて、その粘着層の上に所定の大きさの高透磁率
材料を貼り合わせ、さらに粘着層をその高透磁率材料の
上に設けている。
【0006】特開昭58−192197号公報等で開示
されているマーカーの構成としては、強磁性磁歪材料が
機械的に共振できるように保持しなければならないの
で、さらに複雑な構成を必要とする。
【0007】これらで用いられている硬質磁性材料は、
SAE1095鋼、ヴィカロイ、レマロイ、アーノクロ
ム、クロバックなどの強磁性合金の金属薄帯である。金
属薄帯は、脆弱であり異方性が低く、また加工性に劣る
という問題点を有している。
【0008】これより改良されたバイアス磁界の発生方
法としては、特開昭62−64725号公報に、ソレノ
イド類似のバイアス磁界を付与するバリウムフェライト
を充填したプラスチックからなるハウジングについて開
示されている。
【0009】また、特開昭63−83899号公報で
は、直接有機結合材の中に磁化可能な粒子を分散させて
なるものを高透磁率材料に塗布することが開示されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来のマーカーは、フ
ェライトやγ−Fe23等の磁性粉を用いており、この
様な磁性粉を用いたのでは、マーカーを構成する磁性塗
膜がかなり厚くなるという共通した欠点を有している。
しかも、磁性塗膜が厚いことにより、可撓性のよマーカ
ーが得にくいし、厚い膜厚の磁性塗膜を設けるのは、生
産工程が多工程となり生産性が劣るという欠点もある。
【0011】また、前述したバリウムフェライトを充填
したプラスチックからなるハウジングは必要とされるバ
イアス磁界強度を得るために相当な嵩高を要し、成形加
工であるため、汎用性に欠けるという問題点もあった。
【0012】また、高透磁率材料に、直接有機結合材中
に磁化可能な粒子を分散させて塗布する方法では、高透
磁率材料との接着性不良、基材が高透磁率材料であるた
め、磁場配向の際に均一に配向できないので残留磁束が
安定しないことも難点であった。さらに、機械的共振を
生ずる強磁性磁歪材料に直接塗布する場合は、共振エネ
ルギーが低下するので、極めて汎用性が欠如していた。
【0013】したがって、本発明の目的は、前述の「磁
性層膜厚がかなり厚くなり、可撓性、生産が悪い」とい
う従来の問題点を解決した、電子物品監視用マーカーを
提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、電子物品監視システム用マーカーに関
し、交番磁界に応答する金属リボンと、それに対してバ
イアス磁界を付与する硬質磁性材料のリボンとの組み合
わせにおいて、バイアス磁界を発生させる硬質磁性材料
の材料特性の主要因について鋭意検討した結果、硬質磁
性材料として、従来よりも最大磁束密度がかなり高い磁
性粉を用い、結合剤中にその磁性粉を分散して形成され
る乾燥塗膜を用いることにより、上記課題を解決できる
ことを見い出し、本発明に至った。
【0015】すなわち、本発明は、上記課題を解決する
ために、結合剤中に磁性粉を分散して形成される乾燥塗
膜(A)と、前記塗膜が磁化されている状態では、予め
設けられた所定周波数の入射交番磁界中で前記周波数の
高調波を発生せず、それが磁化されていない状態では前
記高調波を発生しうる金属(B)との積層物からなり、
前記塗膜が磁化されていない状態において、前記入射交
番磁界に対して、前記高調波に基づく出力信号を発生し
て応答するようにした電子物品監視システム用マーカー
(以下、高調波発生型マーカーという。)を提供する。
【0016】及び、結合剤中に磁性粉を分散して形成さ
れる乾燥塗膜(A)と、前記塗膜が磁化されている状態
では、変動する周波数の入射交番磁界中の所定周波数で
機械的に共振して、磁束密度及び透磁率が変化し、それ
が磁化されていない状態では前記所定周波数では共振せ
ず、磁束密度及び透磁率が変化しない、磁歪性を有する
金属(C)とが、前記金属が機械的に共振しうる様に積
層された積層物からなり、前記塗膜が磁化されている状
態において、前記入射交番磁界に対して、磁束密度また
は透磁率が変化する所定周波数を信号として発生して応
答する様にした電子物品監視システム用マーカー(以
下、共振周波数発生型マーカーという。)を提供する。
【0017】まず最初に、上記高調波発生型マーカーに
ついて説明する。この型のマーカーは、結合剤中に磁性
粉を分散して形成される乾燥塗膜(A)と、前記塗膜が
磁化されている状態では、予め設けられた所定周波数の
入射交番磁界中で前記周波数の高調波を発生せず、それ
が磁化されていない状態では前記高調波を発生しうる金
属(B)との積層物からなる。
【0018】この型のマーカーは、塗膜(A)が磁化さ
れていない状態において、予め所定の周波数を発生する
様に設定された前記入射交番磁界に対して、前記高調波
に基づく出力信号を発生して応答する点に特徴がある。
尚、この型のマーカーは、塗膜(A)が磁化されている
状態においては、予め所定の周波数を発生する様に設定
された前記入射交番磁界に対して、前記高調波に基づく
出力信号は発生しない。
【0019】この型のマーカーは、例えば結合剤中に磁
性粉を分散して形成される乾燥塗膜(A)と、前記塗膜
が磁化されている状態では、予め設けられた所定周波数
の入射交番磁界中で前記周波数の高調波を発生せず、そ
れが磁化されていない状態では前記高調波を発生しうる
金属(B)とを直接積層して一体化するか、又は予め非
磁性支持体上に前記乾燥塗膜(A)を設けてそれらが一
体化した積層体を得て、この積層体の非磁性支持体面と
前記金属とを積層することにより得ることができる。
【0020】塗膜(A)と金属(B)とを非磁性支持体
を介して積層する場合において、塗膜(A)と非磁性支
持体との積層体と、金属(B)とは、接着されていても
良いし、接着されていなくとも良く、要するにそれらが
固定されている状態であれば良い。
【0021】図1に、本発明の高調波発生型の電子物品
監視システム用マーカーの一例を示した。このマーカー
は、例えば、結合剤中に磁性粉を分散して形成される乾
燥塗膜(A)(以下、磁気層と言う)を有した非磁性支
持体に、金属(B)、粘着層、および剥離紙を積層する
事によって作成できる。
【0022】非磁性支持体として使用できる材料は、例
えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィル
ム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィ
ルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリビニル
アルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム、ポリカーボネートフィルム、ナイロンフィルム、
ポリスチレンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フ
ィルム、エチレンビニル共重合体フィルム等からなるプ
ラスチックフィルムまたはシート;若しくはアルミニウ
ムなどの非磁性金属;紙、含浸紙;これらの各材料から
なる複合体が挙げられ、これら以外の材料であっても、
必要な強度、構成等を備えていれば、特に制限なく使用
できる。
【0023】磁気層は、非磁性支持体の厚さの距離にお
ける磁界強度の大きさが、従来の硬質磁性材料のもつ磁
界強度の大きさと同等以上となる様にすれば良く、でき
るだけ大きいことが望ましい。
【0024】前記磁性粉の具体例としては、化合物系強
磁性粉末として、例えば、炭化鉄、窒化鉄等が挙げられ
る。また、強磁性金属粉末としては、強磁性粉末中の金
属分が75重量%以上であり、かつ、金属分の80重量
%以上が少なくとも1種類の強磁性金属または合金(例
えば、Fe、Co、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、C
o−Ni、Co−Ni−Fe)であり、この金属分の2
0重量%以下の範囲内で他の成分(例えば、Al、S
i、Pb、Se、Ti、V、Cr、Mn、Cu、B、
Y、Mo、Rh、Rd、Ag、Sn、Sb、P、Ba、
Ta、W、Re、Au、Hg、S、Bi、La、Ce、
Pr、Nd、Zn、Te)を含有する合金が挙げられ
る。前記強磁性金属粉が小量の水、水酸化物または酸化
物を含んでもよい。これらの強磁性粉末の製造法は公知
であり、本発明では、公知の方法に従って製造したもの
を用いることができる。
【0025】上記した磁性粉としては、高調波発生型マ
ーカーでも共振周波数発生型マーカーでも、最大磁束密
度が100emu/g以上の磁性粉を用いるがことが、乾燥
塗膜(A)がより薄くでき、より可撓性に優れたマーカ
ーが、より生産性よく得られる点で好ましい。
【0026】磁気層に使用される結合剤としては、例え
ば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルおよ
び酢酸ビニルとビニルアルコール、無水マレイン酸また
はアクリル酸との共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニリデ
ン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、
スルホン酸基またはアミノ基等の極性基を有する塩化ビ
ニル系共重合体の如き塩化ビニル系共重合体;ニトロセ
ルロースの如きセルロース誘導体;ポリビニルアセター
ル樹脂;アクリル樹脂;ポリビニルブチラール樹脂;エ
ポキシ樹脂;フェノキシ樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリ
エステルポリウレタン樹脂;スルホン酸基等の極性基を
有するポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタ
ン系樹脂等が挙げられる。
【0027】前記結合剤として用いる樹脂は単独で使用
することもできるが、塩化ビニル系樹脂とポリウレタン
系樹脂、セルロース誘導体とポリウレタン系樹脂のよう
に2種類以上の樹脂を組み合わせて使用することもでき
る。
【0028】前記結合剤の使用量は、磁性粉100重量
部当たり15〜30重量部の範囲が好ましい。
【0029】また、磁気層に用いる分散剤としては、例
えば、レシチン、高級アルコール、界面活性剤等が挙げ
られる。これらの分散剤の使用量は、磁性粉100重量
部当たり0.5〜3.0重量部の範囲が好ましい。
【0030】上述の磁性粉、結合剤、および分散剤を、
各種の混練・分散機を用いて、分散して磁性塗料を作製
する。混練・分散にあたっては、二本ロール、三本ロー
ル等のロール型混練機、ボール型回転ミル等の分散機
に、上述の各成分を、すべて同時に、または個々順次投
入する。
【0031】このようにして作製された磁性塗料を、非
磁性支持体に塗布し、例えば1000〜10000gaus
sの磁場強度をもつ永久磁石またはソレノイド磁石によ
って磁場配向処理して、磁性粉を一方向に配向させた
後、乾燥させることによって磁気層を形成する。このと
き、磁気層をカレンダー処理してもよい。
【0032】前記磁性塗料の塗布方法としては、例え
ば、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコ
ート、押し出しコート、エアーナイフコート、スクイズ
コート、含侵コート、リバースロールコート、トランス
ファーロールコート、グラビアコート、キスコート、キ
ャストコート、スプレイコート等が挙げられる。
【0033】磁気層の厚さは、5〜100μmの範囲が
好ましく、その残留磁束(単位幅当たり)は1〜25Mx
/cmの範囲とすることが望ましい。
【0034】磁性塗料を非磁性支持体上に塗布する方法
により磁気層の厚みを増大するには限界があり、必要と
あらば、厚さ40μm以上の磁気層を得るには、例え
ば、図2に示したように、非磁性支持体上に、通常の方
法により磁気層を設け、更に、この磁気層の上に接着剤
層を設け、別に製造した磁気層を設けた非磁性支持体を
重ね合わせて2つの磁気層を複合させることにより、磁
気層の厚みを大きくすることができる。
【0035】接着剤層に使用する接着剤としては、例え
ば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、塩化ビニル−プロピオン酸共重合体、
ゴム系樹脂、シアノアクリレート樹脂、セルロース系樹
脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウ
レタン樹脂等が挙げられ、通常、0.1〜0.5μmの
厚さに形成する。
【0036】貼り合わせる方法としては、例えば、磁気
層を設けた非磁性支持体を加熱及び加圧して、、接着さ
せる。具体的には、金属ロールまたはゴムロールの一対
を対向させて設置し、一方のロールを加熱しておいて、
一方の非磁性支持体側に接触させ、ロール間の圧力とロ
ールの熱により、加熱および加圧を行うか、若しくは熱
プレスを用いて行うことができる。
【0037】前記加熱および加圧の条件は使用する材料
によっても異なるが、一例を挙げると、温度は100℃
乃至300℃、圧力は熱ロール方式では約10kg/cm
2 、熱プレス方式では10kg/cm2前後、速度としては
50m/分くらいが適当である。
【0038】非磁性支持体に設けた磁気層の厚さは、非
磁性支持体の厚さと関連性がある。その関連性を示すた
めに、従来技術で使用される厚さが40〜60μmの硬
質磁性材料のリボンと同等な磁気層の厚さとその残留磁
束(単位幅当たり)について、非磁性支持体側からみた
場合の非磁性支持体の厚さに対する好ましい範囲を下記
の表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】磁気層の上に保護層を設けても良く、保護
層に使用する樹脂としては、例えば、エチルセルロー
ス、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリスチレ
ン等のスチレン樹脂またはスチレン共重合樹脂、ポリメ
タクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアク
リル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル樹脂
またはメタクリル樹脂の単独あるいは共重合樹脂、ポリ
酢酸ビニル、ビニルトルエン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ブチラール樹脂等
が挙げられる。
【0041】また、上述の樹脂中に、耐摩耗性向上のた
めにα−Al23等の高硬度の添加剤やポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)等の微粒の樹脂ビーズを分散
させた媒体を使用してもよい。
【0042】保護層2の形成方法としては公知の塗工方
法を用いてよく、例えば、エアードクターコート、ブレ
ードコート、ロッドコート、押し出しコート、エアーナ
イフコート、スクイズコート、含侵コート、リバースロ
ールコート、トランスファーロールコート、グラビアコ
ート、キスコート、キャストコート、スプレイコート等
が挙げられる。
【0043】粘着剤層に使用する材料としては、例え
ば、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢
酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、塩
化ビニル/プロピオン酸共重合体、ゴム系樹脂、アクリ
ル共重合体樹脂、シアノアクリレート樹脂、セルロース
系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポ
リウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、
アクリロニトリルブタジエン樹脂、天然ゴム、ロジン等
があげられ、通常20〜30μmの厚さに形成される。
【0044】上記高調波発生型マーカーでは、磁気層
〔即ち乾燥塗膜(A)〕が磁化されている状態では、予
め設けられた所定周波数の入射交番磁界中で前記周波数
の高調波を発生せず、それが磁化されていない状態では
前記高調波を発生しうる金属(B)を用いる。
【0045】金属(B)は、入射交番磁界として如何な
る周波数を選択して用いるかにもよるが、例えば入射交
番磁界として50Hz〜10KHzの範囲内で選択され
た所定周波数において、前記磁気層が磁化されている状
態では、その磁界により金属(B)の磁気極性は反転し
ないが、前記磁気層が磁化されていない状態では、磁界
強度が1エルステッド程度に対して、金属(B)の磁気
極性が急峻に反転することにより、磁束密度が非線形に
変化する為、高調波を発生する作用を有するものであ
る。
【0046】金属(B)としては、保磁力が1エルステ
ッドより小さく、透磁率は103オーダー以上のもので
ある低保磁力高透磁率材料が好ましい。具体的には、非
晶性金属、例えば、パーマロイ、ミュウメタル、スーパ
ーマロイが挙げられ、あるいは、メトグラス、例えば、
「メトグラス2714A」、「2826MB」(アライ
ドシグナル社製)、「マークIIパーマロイ」(カーペン
ターテクノジー社製)等が挙げられる。これらの所望の
形状に製造されたパーマロイ等を焼きなまして、さらに
透磁率を増大させることは特に好ましい。金属(B)の
形状は特に制限されるものではなく、例えばリボン状、
板状、ワイヤー状等の形状が挙げられる。ちなみに、図
1に示される金属の形状はリボン状である。
【0047】なお、非磁性支持体の厚さは、本発明の本
質な構成要素ではないので、より薄くしてもよい。
【0048】あるいは、図1に示される本発明の一例を
変え、図示していないが、接着層に対し反対側の金属の
面に、直接、磁気層を形成し、その上に非磁性支持体を
設けた構成としてもよい。
【0049】尚、この高調波発生型マーカーの磁気層を
磁化する時の、バイアス磁界は、検出側の入射交番磁界
よりも強ければ強いほど良いが、1エルステッド以上と
するのが好ましい。
【0050】次に共振周波数発生型マーカーについて説
明する。このマーカーは、結合剤中に磁性粉を分散して
形成される乾燥塗膜(A)と、前記塗膜が磁化されてい
る状態では、変動する周波数の入射交番磁界中の所定周
波数で機械的に共振して、磁束密度及び透磁率が変化
し、それが磁化されていない状態では前記所定周波数で
は共振せず、磁束密度及び透磁率が変化しない、磁歪性
を有する金属(C)とを、前記金属が機械的に共振しう
る様に積層された積層物からなるものである。
【0051】この型のマーカーの構成上の特徴は、低い
周波数から高い周波数に向けて、或いは高い周波数から
低い周波数に向けて、磁界を形成する周波数を徐々に変
化させる様にした、変動する入射交番磁界に対して、前
記塗膜が磁化されている状態においては、磁束密度また
は透磁率が変化する所定周波数を信号として発生して応
答する様にした点にある。尚、この型のマーカーは、塗
膜(A)が磁化されていない状態においては、前記変動
する入射交番磁界に対して、磁束密度又は透磁率が変化
する所定周波数に基づく出力信号は発生しない。
【0052】高調波発生型マーカーと共振周波数発生型
マーカーとの相違点は、前者が塗膜が磁化されていない
時に信号が発生するのに対して、後者は塗膜(A)が磁
化されている時に信号を発生する点にある。又、用いる
金属も各々相違するし、用いる入射交番磁界も、前者で
用いるそれは、一定値の所定の周波数に基づく入射交番
磁界であるのに対して、後者で用いるそれは、周波数を
掃引・変動させる様にした、周波数が変化する入射交番
磁界である点で相違する。
【0053】共振周波数発生型マーカーは、塗膜(A)
と、金属(C)とが、前記金属が機械的に共振しうる様
に積層されている必要がある。この型のマーカーの場合
には、前記した高調波発生型マーカーとは異なり、塗膜
(A)と金属(C)とが接着されていたりすると、マー
カーとして、機能しないので注意が必要である。代表的
には、一つの面に塗膜(A)が設けられた六面体の中空
部分に前記塗膜と同一方向に向く様に、金属(C)が共
振しうる様に埋設された構造が挙げられる。
【0054】次に、図3を用いて、本発明の共振周波数
発生型マーカーの一例について説明する。図3に示され
る本発明の一例の模式断面図に示されるように、本発明
の共振周波数発生型マーカーは、磁気層が形成された非
磁性支持体側に、金属(C)が機械的に共振できるよう
に格納する非磁性筐体を設けた構成としてもよい。非磁
性支持体と、金属(C)が固定されることなく内包され
る非磁性筐体との結合は、図示していないが、それらの
接触部分の形状を一体化可能な複合形状とするか、ある
いは圧着性接着剤を用いて行う。
【0055】共振周波数発生型マーカーにおける塗膜
(A)は、上記高調波発生型マーカーを得る際に用いる
ことができるとして例示した磁性粉、結合剤、分散剤等
を用いて、それと同様な条件により形成させることがで
きる。勿論、上記磁性塗料の調製・塗布方法、磁場配向
処理方法等も同様に採用できる。そして、共振周波数発
生型マーカーの場合も、高調波発生型マーカーで用いる
塗膜と同様、塗膜(A)中の磁性粉は、前記配向処理し
て一方向に配向させた状態で乾燥して、乾燥塗膜を得る
のが好ましい。
【0056】この型のマーカーの塗膜(A)を得るため
の磁性粉としては、高調波発生型の場合同様、やはり最
大磁束密度は100emu/g以上の磁性粉を用いるが好ま
しい。また、得られた塗膜(A)の残留磁束も1〜25
Mx/cmであることが好ましい。
【0057】本発明のマーカーとしては、非磁性支持体
を介して、塗膜(A)から金属(B)又は(C)にバイ
アス磁界を与える様にするのが、均一な磁界を得る上で
は、好ましい。
【0058】また、本発明どちらの型のマーカーでも、
塗膜(A)からなる磁気層上には、その上にさらに保護
層を設けてもよく、保護層上に印刷層を設け、該印刷層
に金属からの出力信号の種別またはマーカーが用いられ
る物品の種類を表示してもよい。
【0059】共振周波数発生型マーカーを得る際に通常
用いられる、上記非磁性筐体としては、公知慣用の合成
樹脂製のものがいずれも使用できるが、例えばポリスチ
レン、ポリメチルメタクリレート、ABS、塩化ビニ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネー
ト、PET、PBT、PPS等が挙げられる。非磁性支
持体と非磁性筐体とを結合する際に用いる接着剤として
は、上記した接着剤がいずれも使用できる。
【0060】共振周波数発生型マーカーを得る際に用い
る金属(C)は、塗膜が磁化されている状態では、変動
する周波数の入射交番磁界中の所定周波数で機械的に共
振して、磁束密度及び透磁率が変化し、それが磁化され
ていない状態では前記所定周波数では共振せず、磁束密
度及び透磁率が変化しない、磁歪性を有する金属であ
る。
【0061】磁歪性とは、磁気歪を発生する性質、即ち
磁性体を磁化することにより、その磁化の強さにより伸
縮の程度の違いはあれ、磁性体が伸縮する性質を言う。
この性質を持っている金属(C)は、塗膜(A)即ち磁
気層が磁化されている状態では、それから発せられるバ
イアス磁界により伸びているか縮んでいるかの状態で凍
結されており、塗膜(A)が磁化されていない状態にお
ける金属よりも、長いか短い状態にある。
【0062】上記した状態に金属(C)がある場合、変
動する周波数の入射交番磁界中のある特定の所定周波数
で、その金属(C)が機械的に共振して、磁束密度及び
透磁率が急激に変化する。磁気層が磁化されていない状
態では、それが磁化されている状態で共振するのと同じ
周波数では、共振しない。従って、一種の金属(C)を
用いていても、塗膜(A)の磁化程度により、共振周波
数を変更することができる。マーカーの存在は、変動す
る周波数を発する入射交番磁界中における、この磁束密
度又は透磁率の急激な変化を追跡すればよい。
【0063】金属(C)が機械的に共振して、磁束密度
及び透磁率が急激に変化する所定周波数は、その金属
(C)に固有のものであり、次の式で定義される。
【0064】
【式1】fn = n/2ι・√(D/ρ)
【0065】但し式中、nは整数、ιは金属(C)の長
さ、Dは金属(C)のヤング率、ρは金属(C)の密度
である。1倍波(f1)は、n=1とし、各特性値を上
記式に代入してやれば、求めることができる。
【0066】磁気層が形成された非磁性支持体側に金属
(C)をもちいた共振周波数発生型の本マーカーの存在
を示す作用については、特開昭58−192197号公
報等に詳しく述べられており、ここにそれを引用する。
【0067】バイアス磁界を与えられ、且つ外部から付
与される変動する周波数域中の予め決められた周波数の
交番磁界に応答する上記金属(C)としては、強磁性で
磁歪性を有する金属材料がいずれも使用できるが、磁界
により磁化されると強く磁化され、出来るだけ最大磁束
密度の高い、永久磁石の様相を呈する性質を有し、磁歪
が15〜50PPMである金属が好ましい。この様な金
属(C)としては、非晶質金属、例えばメトグラス「2
605SC」、「2605CO」等が挙げられる。
【0068】金属(C)の形状は、特に限定されるもの
ではないが、例えばリボン状、板状、ワイヤー状等の形
状が挙げられる。ちなみに、図に示される金属の形状は
リボン状である。
【0069】この共振周波数発生型マーカーにおける塗
膜(A)を磁化する時の、バイアス磁界は、適宜選択す
ればよいが、0を越えて1以下の数値で示される磁気機
械的結合定数が最大値となるバイアス磁界強度を予め測
定して、それを最適バイアス強度として、塗膜(A)を
磁化することが好ましい。
【0070】尚、どちらの型のマーカーを得る場合で
も、その使用に際して、塗膜(A)を磁化したり、脱磁
したりする場合には、公知慣用の永久磁石や着磁器やエ
ンコーダー等が使用できる。また塗膜(A)を着磁する
場合には、それを等間隔に多等分する様に磁化してもよ
い。
【0071】前述のように、本発明のマーカーは、米国
特許第3631442号、第3665449号、第37
47086号、および第3790945号等に開示され
ている装置に準じた装置によって容易に検出することが
できる。これらの特許に説明されている装置において
は、通常のコイルと電源とからなる磁界発生装置等の、
適宜の磁界発生装置によって所定周波数の交番磁界が発
生せられ、質問区域に印加される。この磁界は、高調波
発生型マーカーを検出する場合は、固定された一つの所
定周波数の交番磁界であるのに対して、一方共振周波数
発生型マーカーを検出する場合は、周波数が大→小又は
小→大に変動する交番磁界である。
【0072】高調波発生型マーカーを検出する場合にお
ける所定周波数値及び共振周波数発生型マーカーを検出
する場合における周波数帯域は、通常50〜10000
Hzの範囲から選択すればよい。この入射交番磁界(質問
区域)は、どちらの型のマーカーを用いる場合にせよ、
強いところで約20Oe(エルステッド)の振幅、弱いと
ころで1Oe(エルステッド)以下の振幅を有する様に設
定するのが良い。
【0073】この分野では信頼性を上げるため様々な工
夫がなされ、それらの工夫については本技術分野に精通
する全ての者によく知られており、ここでさらに説明す
る必要はない。
【0074】
【実施例】以下、実施例と比較例を用いて、本発明を更
に詳細に説明する。
【0075】(磁性塗料の調整例)平均粒径0.4μ
m、保磁力680Oe、飽和磁化120emu/g のメタル磁
性粉「MAP−L」(関東電化工業(株)製)100重
量部、レシチン3重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビ
ニルアルコール共重合体「VAGH」(米国ユニオンカ
ーバイト社製)10重量部、ポリウレタンエラストマー
「T−5206」(大日本インキ化学工業(株)製)1
0重量部をニーダーにて混練し、得られた混練物に、メ
チルエチルケトン、トルエン、およびシクロヘキサノン
の等重量混合液300重量部を加え、ボールミルにて分
散して磁性塗料を得た。
【0076】(実施例1)磁性塗料の調整例で得られた
磁性塗料を、厚さ50μmのポリエステルフィルム面上
に乾燥後の塗布膜厚が、30μmとなるように塗布し、
磁界強度2000ガウスの磁場配向を加えて、磁性粉が
一方向に配向した状態にて乾燥した後、幅10mm、長さ
50.8mmのストライプ状に配向方向に沿って切り出
し、厚さ30μm磁気層を有する非磁性支持体を得た。
得られた磁気層の静磁気特性を測定し、その結果を表2
に示した。
【0077】そして、この磁気層を通常の着磁器を用い
て、図6に示したように、25.4mm間隔に着磁させた
後、ギャップが20μmの磁気ヘッドを用いて、190m
m/秒でストライプのポリエステルフィルム側で長手方
向に走行させて、その再生出力を測定することにより、
バイアス磁界となる磁界強度の代用特性として、その結
果を表2に示した。
【0078】また、図1に示されるようなリボン状の低
保磁力高透磁率材料の金属とするため、幅10mm、長さ
50.8mmのストライプ状に「メトグラス2714A」
を切りだし、ストライプ状の磁気層1を有する前記積層
体と重ね合わせ、本発明のマーカーを作製した。
【0079】さらに、実施例1のマーカーを、図6及び
7に示されるように、マーカーの磁気層を着磁した場合
と脱磁した場合とそれぞれのマーカーに対して、磁界強
度5エルステッド、周波数1KHzの交番磁界を加えた
時の高調波信号の有無を確認した。この測定結果を、図
8及び9に示した。更に、実施例1のマーカーに対し
て、磁界強度1エルステッド、周波数1KHzの交番磁
界を加えた場合のそれぞれにおけるヒステリシス曲線を
測定した。この測定結果を、図10及び11に示した。
【0080】(実施例2)実施例1において、磁気層を
有する非磁性支持体に代えて、以下に示した磁気層を有
する非磁性支持体を使用した以外は、実施例1と同様に
して本発明のマーカーを作成した。
【0081】すなわち、磁性塗料の調整例で得られた磁
性塗料を、厚さ50μmのポリエステルフィルム面上に
乾燥後の塗布膜厚が、40μmとなるように塗布し、磁
界強度2000ガウスの磁場配向を加えて乾燥した後、
磁気層を有する非磁性支持体を得た。別途、厚さ24μ
mのポリエステルフィルム面上に乾燥後の塗布膜厚が、
20μmとなるように塗布し、磁界強度2000ガウス
の磁場配向を加えて乾燥した後、磁気層を有する非磁性
支持体を得た。これら2種類の磁気層を有する非磁性支
持体を内側にして厚さ0.5μmの接着剤層(大日本イ
ンキ化学工業(株)製ポリウレタンエラストマー「T−
5206」)を介して貼り合わせて厚さ60μmの磁気
層を有する非磁性支持体を得た。
【0082】実施例1と同様にして、磁気層の静磁気特
性、再生出力、及び本発明のマーカーの着磁及び脱磁時
の高調波の有無について測定した結果を表2に示した。
【0083】(実施例3)実施例2において、厚さ50
μmのポリエステルフィルムに代えて、厚さ100μm
のポリエステルフィルムを使用し、磁性塗料の調整例で
得られた磁性塗料を厚さ24μmのポリエステルフィル
ム上に乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布し、実
施例2と同様にして厚さ60μmの磁気層を有する非磁
性支持体を得た後、実施例1と同様にして本発明のマー
カーを作成した。
【0084】実施例1と同様にして、磁気層の静磁気特
性、再生出力、及び本発明のマーカーの着磁及び脱磁時
の高調波の有無について測定した結果を表2に示した。
【0085】(実施例4)実施例2において、厚さ50
μmのポリエステルフィルムに代えて、厚さ100μm
のポリエステルフィルムを使用し、磁性塗料の調整例で
得られた磁性塗料を厚さ24μmのポリエステルフィル
ム上に乾燥後の膜厚が40μmとなるように塗布し、実
施例2と同様にして厚さ80μmの磁気層を有する非磁
性支持体を得た後、実施例1と同様にして本発明のマー
カーを作成した。
【0086】実施例1と同様にして、磁気層の静磁気特
性、再生出力、及び本発明のマーカーの着磁及び脱磁時
の高調波の有無について測定した結果を表2に示した。
【0087】(実施例5)実施例1において、磁性粉を
保磁力1550Oe、飽和磁束密度120emu/gのメタル
磁性粉「HJ−8」(同和鉱業(株)製)に用いた以外
は、実施例1と同様にして、磁性塗料の乾燥塗布厚が、
30μmの磁気層を有する非磁性支持体を得た後、実施
例1と同様にして本発明のマーカーを作成した。
【0088】実施例1と同様にして、磁気層の静磁気特
性、再生出力、及び本発明のマーカーの着磁及び脱磁時
の高調波の有無について測定した結果を表2に示した。
【0089】(実施例6)実施例5で用いた磁性粉を使
用し、実施例2において、厚さ24μmのポリエステル
フィルム上に乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布
し、実施例2と同様にして、厚さ60μmの磁気層を有
する非磁性支持体を得た後、実施例1と同様にして本発
明のマーカーを作成した。
【0090】実施例1と同様にして、磁気層の静磁気特
性、再生出力、及び本発明のマーカーの着磁及び脱磁時
の高調波の有無について測定した結果を表2に示した。
【0091】(実施例7)実施例5で用いた磁性粉を使
用し、実施例3と同様にして、厚さ60μmの磁気層を
有する非磁性支持体を得た後、実施例1と同様にして本
発明のマーカーを作成した。
【0092】実施例1と同様にして、磁気層の静磁気特
性、再生出力、及び本発明のマーカーの着磁及び脱磁時
の高調波の有無について測定した結果を表2に示した。
【0093】(実施例8)実施例5で用いた磁性粉を使
用し、実施例4と同様にして、厚さ80μmの磁気層を
有する非磁性支持体を得た後、実施例1と同様にして本
発明のマーカーを作成した。
【0094】実施例1と同様にして、磁気層の静磁気特
性、再生出力、及び本発明のマーカーの着磁及び脱磁時
の高調波の有無について測定した結果を表2に示した。
【0095】(実施例9)実施例1において、図3に示
される、磁気層が磁化されている状態では、変動する周
波数の入射交番磁界中の所定周波数で機械的に共振し
て、磁束密度及び透磁率が変化する、磁歪性を有する金
属とするため、幅2mm、長さ50mmのストライプ状
に「メトグラス2605CO」(アライドシグナル社
製)を切りだし、幅10mm、長さ50mmのストライ
プ状の磁気層を有する非磁性支持体と重ね合わせて用い
る以外は、実施例1と同様にしてマーカーの作成を行
い、磁界強度0.5エルステッドで、交番磁界の周波数
を60〜100KHzで掃引したときの着磁及び脱磁時
における共振周波数の有無を測定した。この確認結果を
図12及び13に示した。
【0096】(比較例1)実施例1における、厚さ50
μmのポリエステルフィルム面上に形成したストライプ
状の磁気層に代えて、幅10mm、長さ50.8mm、厚さ
60μmの硬質磁性材料の金属リボン「バコゼット(V
ACOZET)」(バキュームシュメルツ(Vacuumshme
ltz)社製)を「セロテープ」(ニチバン社製セロファ
ン粘着テープ)にて固定し、その他は実施例1と同様に
してマーカーを作成した。
【0097】実施例1と同様にして、硬質磁性材料から
なる金属リボンの静磁気特性、再生出力、及び作成した
マーカーの着磁及び脱磁時の高調波の有無について測定
した結果を表2に示した。
【0098】(比較例2)厚さ100μmのポリエステ
ルフィルムを用いた以外は、比較例1と同様にしてマー
カーを作成した。
【0099】実施例1と同様にして、硬質磁性材料から
なる金属リボンの静磁気特性、再生出力、及び作成した
マーカーの着磁及び脱磁時の高調波の有無について測定
した結果を表2に示した。
【0100】実施例1において、本発明のマーカーは、
図10に示されるように、磁気層が脱磁されてバイアス
磁界が加わらない時、入射交番磁界に対し、低保磁力高
透磁率材料の金属の磁束密度は非線形に変化し、非線形
成分である高調波出力が発生することが図8より確認さ
れる。また、磁気層が磁化されてバイアス磁界が発生
し、入射交番磁界に対し磁束密度は線形に変化し、図9
に示されるように、非線形成分である高調波出力が発生
しないことがわかる。
【0101】実施例9において、本発明のマーカーは、
磁気層が磁化されていない状態では、図12に示される
ように、変動する周波数の交番磁界に対し所定周波数で
機械的に共振しないで、磁束密度及び透磁率が変化しな
いので信号出力が得られない。また図13に示されるよ
うに、磁気層が磁化されている状態では、変動する周波
数の入射交番磁界中の所定周波数で機械的に共振して、
磁束密度及び透磁率が変化していることがわかる。
【0102】
【表2】
【0103】表2において、左端欄上段の「着磁」は磁
性層を磁化した場合、「脱磁」は磁性層を磁化しないで
脱磁した場合を示す。また、上段の項目において、「再
生出力」は高い値を示すほど、強い磁力を示す。「角型
比」は、ストライプ状の磁気層の長手方向における磁束
の異方性を示す。なお、比較例1および2における磁気
層の厚さの欄に記載の値は、硬質磁性材料の金属リボン
の厚さを示す。
【0104】表2から、次のようなことが分かる。例え
ば、実施例1と実施例5を比較すると、磁気層の厚さは
同一であって保磁力が異なるが、残留磁束は同一であ
り、再生出力も、ほぼ同一である。また、同様に、例え
ば、実施例2と実施例6を比較すると、磁気層の厚さは
同一であって保磁力が異なるが、残留磁束は同一であ
り、再生出力も、ほぼ同一である。
【0105】したがって、保磁力にかかわらず、バイア
ス磁界の代用特性としての再生出力は、残留磁束に依存
することが表2より明らかである。
【0106】さらに、角形比について、実施例1または
実施例5と、比較例1または2とを比較すると、分かる
ように、磁気層は、従来のリボン状の硬質磁性材料より
薄くても、その配向性によっては高い磁力が得られ、磁
化の有無により高調波の有無が対応している。実施例で
示される強い異方性は、従来のリボン状硬質磁性材料で
は得られないものである。
【0107】
【発明の効果】本発明の電子物品監視システム用マーカ
ーは、結合剤中に最大磁束密度100emu/g以上の
磁性粉を分散して形成された乾燥塗膜を金属と組み合わ
せてマーカーとするので、乾燥塗膜膜厚を薄くでき、可
撓性に富んだマーカーが得られ、しかも生産性も良好と
なるという格別顕著な効果を奏する。
【0108】しかも塗布型の磁気層を用いるので、品質
的に安定した膜厚が得られ、生産コストが低くなり、加
工性に優れ、生産工程を短縮できる。
【0109】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子物品監視システム用マーカーの一
例を示した模式断面図である。
【図2】本発明の電子物品監視システム用マーカーで使
用する磁気層の厚さを大きくする方法の一例を示した模
式断面図である。
【図3】本発明の電子物品監視システム用マーカーの一
例を示した模式断面図である。
【図4】着磁器を示した模式図である。
【図5】着磁器を示した模式図である。
【図6】本発明で使用する磁気層を磁化させた場合を示
した要部の模式断面図である。
【図7】本発明で使用する磁気層を脱磁させた場合を示
した要部の模式断面図である。
【図8】実施例1において、磁気層を脱磁させた場合の
本発明のマーカーからの高調波信号の検出結果を示した
図表である。
【図9】実施例1において、磁気層を磁化させた場合の
本発明のマーカーからの高調波信号の検出結果を示した
図表である。
【図10】実施例1において、磁気層を脱磁させた場合
の本発明のマーカーからのヒステリシスループを示した
図表である。
【図11】実施例1において、磁気層を磁化させた場合
の本発明のマーカーからのヒステリシスループを示した
図表である。
【図12】実施例9において、磁気層を脱磁させた本発
明のマーカーに対して、周波数が変動する交番磁界を加
えた場合の共振周波数が観察されない検出結果を示した
図表である。
【図13】実施例9において、磁気層を磁化させた本発
明のマーカーに対して、周波数が変動する交番磁界を加
えた場合の共振周波数の検出結果を示した図表である。
【符号の説明】
1 磁気層 2 保護層 3 接着層 4 粘着層 5 剥離紙 6 バイアス磁界を与えられていない時、外部から付与
される予め決められた周波数の交番磁界に応答する金属
(リボン状の低保磁力高透磁率材料) 7 バイアス磁界を与えられている時、外部から付与さ
れる変動する周波数の交番磁界の予め決められた周波数
に応答する金属(リボン状の高磁歪強磁性材料) 8 非磁性筐体 B 非磁性支持体 B’非磁性支持体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G08B 13/00 - 15/02 G06K 19/00 - 19/08 G11B 5/706 H01F 1/00 G01V 3/10 H01F 1/37

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結合剤中に最大磁束密度100emu/
    g以上の磁性粉を分散して形成される乾燥塗膜(A)
    と、前記塗膜が磁化されている状態では、予め設けられ
    た所定周波数の入射交番磁界中で前記周波数の高調波を
    発生せず、それが磁化されていない状態では前記高調波
    を発生しうる金属(B)との積層物からなり、前記塗膜
    が磁化されていない状態において、前記入射交番磁界に
    対して、前記高調波に基づく出力信号を発生して応答す
    るようにした電子物品監視システム用マーカー。
  2. 【請求項2】 乾燥塗膜(A)の膜厚が、5〜100μ
    mである請求項1記載のマーカー。
  3. 【請求項3】 積層物が、非磁性支持体の一方の面に塗
    膜(a)が設けられ、他方の面に粘着剤ワニスを設け非
    磁性支持体と前記ワニスの界面に金属(B)を埋設し、
    必要に応じて前記ワニスを剥離紙で被覆した構造の積層
    物である請求項1記載のマーカー。
  4. 【請求項4】 結合剤中に最大磁束密度100emu/
    g以上の磁性粉を分散して形成される乾燥塗膜(A)
    と、前記塗膜が磁化されている状態では、変動する周波
    数の入射交番磁界中の所定周波数で機械的に共振して、
    磁束密度及び透磁率が変化し、それが磁化されていない
    状態では前記所定周波数では共振せず、磁束密度及び透
    磁率が変化しない、磁歪性を有する金属(C)とが、前
    記金属が機械的に共振しうる様に積層された積層物から
    なり、前記塗膜が磁化されている状態において、前記入
    射交番磁界に対して、磁束密度または透磁率が変化する
    所定周波数を信号として発生して応答する様にした電子
    物品監視システム用マーカー。
  5. 【請求項5】 積層物が、金属(C)が固定されること
    なく内包された非磁性筐体上へ、前記金属(C)と同一
    方向に向く様に塗膜(A)を設けた積層物である請求項
    4記載のマーカー。
  6. 【請求項6】 塗膜(A)が、残留磁束(単位幅当た
    り)が1〜25Mx/cmである、磁性粉が一方向に配
    向した状態で結合剤に分散した乾燥塗膜である請求項1
    または4記載のマーカー。
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