JP3254054B2 - ゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物及びその製法 - Google Patents

ゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物及びその製法

Info

Publication number
JP3254054B2
JP3254054B2 JP20307893A JP20307893A JP3254054B2 JP 3254054 B2 JP3254054 B2 JP 3254054B2 JP 20307893 A JP20307893 A JP 20307893A JP 20307893 A JP20307893 A JP 20307893A JP 3254054 B2 JP3254054 B2 JP 3254054B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vinyl aromatic
resin composition
rubber
conjugated diene
diene polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP20307893A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0753642A (ja
Inventor
明弘 金山
弘昭 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP20307893A priority Critical patent/JP3254054B2/ja
Publication of JPH0753642A publication Critical patent/JPH0753642A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3254054B2 publication Critical patent/JP3254054B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はゴム変性ビニル芳香族樹
脂組成物に関する。さらに詳しくは耐衝撃性、剛性のバ
ランスに優れるゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】HIPS(ハイインパクト−ポリスチレ
ン、耐衝撃性ポリスチレン)に代表されるゴム変性ビニ
ル芳香族樹脂組成物は、成形性、寸法安定性に加え耐衝
撃性、剛性に優れていることから、家電製品、OA機
器、工業部品など多岐の分野において使用されるに至っ
ている。
【0003】近年、これらの分野において、製品の大型
化に伴い耐衝撃性と剛性のバランス、更には流動性の一
層高められたものが要求されるようになってきた。ゴム
変性ビニル芳香族樹脂組成物の耐衝撃性を高めるために
は、樹脂組成物中のゴム状重合体の含量を上げることが
有効であるが、反面剛性及び流動性が低下するという問
題があった。このためゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物
の耐衝撃性と剛性のバランス及び流動性を高めるために
は、出来るだけ少量のゴム状重合体を用いて高い衝撃性
を達成することが肝要であった。
【0004】周知のごとく、HIPSは一般的にはゴム
状重合体をスチレンに溶解し、剪断力の存在下に重合し
て製造される。重合の進行に伴い、ゴム状重合体にスチ
レンの一部がグラフトし、ついで相転換を経てゴム状重
合体が0.5〜10μmの粒子として分散し、最終工程
にて未反応のスチレンを高温・真空下に除去することに
より得られる。こうして得られたHIPSの、ポリスチ
レンの連続相中に分散しているゴム粒子は、その粒子内
部に更にポリスチレンの粒子を多数内包しており、その
形態はセル状、または細胞状構造の名称で知られてい
る。このような構造は、樹脂中の分散ゴム相体積を増加
させるため、ゴム状重合体の樹脂補強性能を高める効果
を奏するが、反面樹脂の剛性を低下させるという問題が
あった。
【0005】より少量のゴム状重合体で、高衝撃性のH
IPSを得るため、これまでに種々の方法が提案されて
きた。例えばゴム状重合体として、ブタジエン単位連鎖
に占めるシス1,4結合の割合が90モル%以上のポリ
ブタジエンゴムを用いたHIPS(特開昭52−864
44号公報)、特殊な内部構造ゴム粒子を含んだHIP
S(米国特許第4,097,549号明細書)、0.2
〜0.9μmの小粒径ゴム粒子と2〜5μmの大粒径ゴ
ム粒子を有するHIPS(特開昭51−139850号
公報)、ゴム状重合体の粒子が、0.1〜0.6μmの
カプセル構造の小粒子部分と、2〜8μmの細胞または
コイル構造の大粒子部分よりなる2峰分布の分散粒子と
して存在するHIPS(米国特許第4,493,922
号明細書)などが開示されている。しかしながら、前記
特開昭52−86444号公報及び米国特許第4,09
7,549号明細書に開示のHIPSは、粒子径分布が
特定されておらず衝撃性が未だ十分でなかった。また前
記特開昭51−139850号公報に開示のHIPS
は、大粒径ゴム粒子の形態が特定されていないため、衝
撃性と剛性のバランスが十分でなかった。また前記米国
特許第4,493,922号に記載のゴム変性ビニル芳
香族樹脂組成物は、その小粒子部分をカプセル構造とす
るためには特殊なゴムを要するなど、製造工程が複雑に
なるうえ、得られる樹脂組成物の面衝撃強度が低いとい
う問題があった。
【0006】その上、これら従来の技術は耐衝撃性と剛
性のバランスに加えて、流動性を改良しようとしてマト
リックス部分の分子量を低くすると耐衝撃性が低下して
しまうことが多く、結局、耐衝撃性、剛性、流動性、耐
熱性の4つのバランスを改良出来る技術は無かった。ま
た、上記先行技術を適宜組み合わせることによって、よ
り優れた物性バランスを得ようとしても実際には不可能
であった。例えば、前記米国特許第4,097,549
号明細書、米国特許第4,493,922号明細書に記
載されている特殊な内部構造ゴム粒子や、コイル構造の
大粒子は、その構造制御手法が一般的に開示されておら
ず、前記特開昭52−86444号公報に記載された
1,4−シス結合の割合が90%以上のポリブタジエン
ゴムに適用しようとしてもこのゴムでは通常の細胞構造
の粒子しか作ることが出来ず、耐衝撃性の効果も不十分
であった。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題とその解決手段】上記
課題を解決するため鋭意検討を加えた結果、本発明者等
は、ビニル芳香族単量体の重合体の連続相中に、該ビニ
ル芳香族単量体によりグラフトされ、かつ前記ビニル芳
香族単量体の重合体を内包する共役ジエン重合体の粒子
が分散相として存在してなるゴム変性ビニル芳香族樹脂
組成物であって、該共役ジエン重合体が特定のミクロ構
造を有し、該分散相が特定の粒子径分布を有しており、
かつそれらの大粒子部分に特有の内部構造を有するもの
であるゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物が、上記課題を
効果的に解決することを見い出し本発明を完成するに至
った。
【0008】すなわち本発明は、ビニル芳香族単量体の
重合体の連続相中に、該ビニル芳香族単量体によりグラ
フトされ、かつ前記ビニル芳香族単量体の重合体を内包
する共役ジエン重合体または部分的に水素添加された共
役ジエン重合体の粒子が分散相として存在してなるゴム
変性ビニル芳香族樹脂組成物において、 1)共役ジエン重合体または部分的に水素添加された共
役ジエン重合体の残留不飽和結合の95%以上が1,4
結合であり、 2)該分散相が、粒子径0.1〜0.4μmの範囲の小
粒子部分及び粒子径1.0〜8.0μmの範囲の大粒子
部分を含有し、かつ全粒子中に占める上記小粒子部分と
大粒子部分の割合が、面積換算にて各々10〜50%、
及び90〜50%であり、 3)該小粒子部分の総面積の50%以上が細胞構造であ
り、該大粒子部分の総面積の50%以上が、最外周が閉
じており、かつその内部に迷路、糸巻き、繊維集束のい
ずれかの構造を有するものである ことを特徴とする、衝撃強度、剛性、流動性及び耐熱性
に優れたゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物を提供するも
のである。
【0009】また、ビニル芳香族単量体の重合体の連続
相中に、該ビニル芳香族単量体によりグラフトされ、か
つ前記ビニル芳香族単量体の重合体を内包する共役ジエ
ン重合体または部分的に水素添加された共役ジエン重合
体の粒子が分散相として存在してなるゴム変性ビニル芳
香族樹脂組成物を製造する方法において、 1)(A)スチレンおよび、必要に応じてスチレンと共
重合可能な他のビニル芳香族系単量体60〜96重量% (B)残留不飽和結合の95%以上が1,4構造である
共役ジエン重合体または部分的に水素添加された共役ジ
エン重合体4〜15重量%。
【0010】(C)水素引抜き能力εが35以上である
有機過酸化物を(A)成分に対して0.0002〜0.
0006当量。 (D)必要に応じて、溶剤、連鎖移動剤、その他の添加
剤の必要量。 よりなる原料液を少なくとも1段目の重合機がプラグフ
ロー式の重合機である多段式重合装置に連続的に送液
し、 2)ビニル芳香族単量体の転化率が少なくとも30%と
なるまでの平均の重合速度が10〜15%/時となるよ
うに重合温度及び送液速度を調整する ことを特徴とする前記ゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物
の製造方法を提供するものである。
【0011】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明のゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物の特徴は、上記
したように、それらの分散相中の軟質成分である共役ジ
エン重合体中の残留不飽和結合の95%以上が1,4結
合であり(要件1)、且つその分散相が特定の粒子径範
囲の部分を特定の面積比で含有し(要件2)、且つそれ
らの分散相が特有の内部構造を有する(要件3)ことで
ある。
【0012】以下、各要件について詳細に説明する。本
発明において、分散相中の軟質成分である共役ジエン重
合体中の残留不飽和結合の95%以上が1,4結合であ
る(要件1)ことが必要である。また、該1,4結合の
内、30%以上がシス1,4結合であることが好まし
い。残留不飽和結合中の1,4結合の割合が95%以下
であると耐衝撃性の改質効果が充分でない。上記分散相
の形成に与る共役ジエン重合体としては、ポリブタジエ
ン、スチレン−ブタジエンのランダムまたはブロック共
重合体、α−メチルスチレン−ブタジエンのランダムま
たはブロック共重合体、ポリブタジエン−イソプレン共
重合体、及び以上の重合体の水素添加物(水添重合体)
などを挙げることが出来るが、代表的なものとしては、
ポリブタジエンである。ポリブタジエンとしては、遷移
金属触媒や希土類触媒によって製造されるハイシスポリ
ブタジエン、アルキルリチウム触媒によって製造される
ローシスポリブタジエンの主として1,2結合(ビニル
基)を水素添加した部分水素添加ポリブタジエンともに
好適に用いることができる。また樹脂組成物中の共役ジ
エン重合体の重量は、樹脂組成物の衝撃強度、剛性及び
成形性のバランスから、好ましくは3〜18重量%の範
囲、より好ましくは6〜12重量%の範囲に調整され
る。また樹脂組成物中の分散相の重量は、樹脂組成物中
の共役ジエン重合体の重量の1.5〜3.5倍の値とな
ることが好ましい。樹脂組成物中の分散相は、面積比で
5〜50%となることが好ましく、8〜40%となるこ
とが更に好ましくい。
【0013】本発明において該分散相が、粒子径0.1
〜0.4μmの範囲の小粒子部分及び粒子径1.0〜
8.0μmの範囲の大粒子部分を含有し、かつ全粒子中
に占める上記小粒子部分と大粒子部分の割合が、面積比
にて各々10〜50%、及び90〜50%であること
(要件2)が必要である。要件2を満たさない場合には
衝撃強度が十分でない。すなわち、分散相中の0.1〜
0.4μmの範囲の小粒子部分の割合が、面積比にて1
0%に満たないか、もしくは50%を越える場合には、
ゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物の耐衝撃性が低いもの
となる。上記粒子径範囲の小粒子部分の好ましい割合
は、20〜40%である。
【0014】同様に分散相中の1.0〜8.0μmの範
囲の大粒子部分の割合が、面積比にて50%に満たない
か、もしくは90%を越える場合にも、ゴム変性ビニル
芳香族樹脂組成物の耐衝撃性が低いものとなる。上記粒
子径範囲の大粒子部分の好ましい割合は、70〜60重
量%である。なお、要件2を満たす限りにおいて、前記
粒子径範囲外の粒子を、面積比にて40%未満の範囲で
含有することはさしつかえないが、好ましくは前記小粒
子部分と大粒子部分より成る2峰分布のものである。
【0015】上記分散相の粒子径分布は種々の手順にて
求めることが出来るが、本発明においては粒子径分布は
次の方法で求める。即ち、樹脂組成物の厚さ50〜10
0nmの超薄切片を染色して撮影した透過型電子顕微鏡
写真平面上で、円相当径0.1μm以上の粒子500〜
1000個の円相当径を測定し、ヒストグラムを作成す
る。ついで下記(1)式及び(2)式により、小粒子部
分及び大粒子部分の割合を算出する。
【0016】小粒子部分の割合: FS (%)= ΣSSi / ΣSi ×100 ・・・・・(1) 大粒子部分の割合: FL (%)= ΣSLi / ΣSi ×100 ・・・・・(2) 但し、Si : 円相当径がDi (全領域)である分散粒子
の面積。
【0017】SSi: 円相当径がdSi(0.1〜0.4μ
m)である分散粒子の面積。 SLi: 円相当径がdLi(1.0〜8.0μm)である分
散粒子の面積。 なお、上記において円相当径とは、写真平面上で粒子の
面積と同じ面積を有する円の直径のことをいう。更に、
分散相は、その小粒子部分の総面積の50%以上が細胞
構造であり、大粒子部分の総面積の50%以上が、最外
周が閉じており、かつその内部に迷路、糸巻き、繊維集
束のいずれかの構造を有すること(要件3)が必要であ
る。
【0018】分散相の小粒子部分の総面積のうち、細胞
構造であるものの割合が50%に満たない場合には、樹
脂組成物の面衝撃強度が低いものとなる。また大粒子部
分の総数のうち、最外周が閉じており、かつその内部に
迷路、糸巻き、繊維集束のいずれかの構造を有するもの
の割合が50%に満たない場合には、樹脂組成物の衝撃
強度が低いものとなる。上記迷路、糸巻き、繊維集束構
造を有する粒子の好ましい割合は70%以上である。な
お、粒子が迷路、糸巻き、繊維集束構造であっても、そ
の最外周が閉じていない構造のものは、本発明に言う大
粒子部分として好ましい粒子の対象外である。
【0019】なお上記細胞構造、及び最外周が閉じてお
り、内部に迷路、糸巻き、繊維集束構造を有する粒子の
各々の構造は、ゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物を超薄
切片法により撮影した電子顕微鏡写真より識別すること
が出来る。そのような構造については例えば、Ange
w.Chem.Int.Ed.Engl.誌20巻34
4〜361ページに記載された総説中に模式図が示され
ている。各々の構造を示す電子顕微鏡写真の例、及び参
考までに本発明の大粒子部分の対象外である最外周が閉
じていない粒子構造の電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0020】上記小粒子部分の総数に占める、細胞構造
であるものの割合、及び大粒子部分のうち、最外周が閉
じており、内部に迷路、糸巻き、繊維集束構造を有する
ものの割合は、電子顕微鏡写真により、500〜100
0個の粒子を観察し、各々下記(3)式及(4)式に基
づき算出する。 fc(%)= ΣSSCi / ΣSSi×100 ・・・・・・・・・・(3) fc :分散粒子の小粒子部分に占める細胞構造のもの
の割合。
【0021】SSCi :円相当径が0.1〜0.4μmの
範囲であり、かつ細胞構造の分散粒子の面積。 SSi :円相当径が0.1〜0.4μmの範囲である分
散粒子の面積。 Fc(%)= ΣSLCi / ΣSLi×100 ・・・・・・・・・・(4) Fc :分散粒子の大粒子部分に占める最外周が閉じて
おり、内部に迷路、糸巻き、繊維集束のいずれかの構造
を有する分散粒子の割合。
【0022】SLCi :円相当径が1.0〜8.0μmの
範囲であり、かつ最外周が閉じており、内部に迷路、糸
巻き、繊維集束のいずれかの構造を有する分散粒子の面
積。 SLi :円相当径が1.0〜8.0μmの範囲である分
散粒子の面積。 次に本発明のゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物の連続相
を成す上記ビニル芳香族重合体は、ビニル芳香族単量体
の重合体または共重合体である。ビニル芳香族単量体と
しては、必須成分であるスチレンのほかo−メチルスチ
レン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,
4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert
−ブチルスチレンなどの核アルキル置換スチレン、α−
メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンなど
のα−アルキル置換スチレン、ブロモスチレン、ジブロ
モスチレン、トリブロモスチレンなどの核ハロゲン化ス
チレンなどを指すが、代表的なものは、スチレン、α−
メチルスチレンである。ビニル芳香族重合体の具体例と
しては、ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン
の共重合体などを挙げることが出来る。
【0023】なお、上記ビニル芳香族重合体の分子量
は、定法に従い重量平均分子量10万〜50万の範囲に
制御されるが、耐衝撃性と流動性のバランスの上からは
重量平均分子量12万〜30万の範囲が好ましい。次に
本発明のゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物の製造方法を
示す。本発明のゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物は特定
の重合原液を特定の重合装置を用いて特定の運転条件下
で連続的に製造し得る。
【0024】まずその重合原液は (A)スチレンおよび、必要に応じてスチレンと共重合
可能な他のビニル芳香族系単量体60〜96重量% (B)残留不飽和結合の95%以上が1,4結合である
共役ジエン重合体または部分的に水素添加された共役ジ
エン重合体4〜15重量%。 (C)水素引抜き能力εが35以上である有機過酸化物
を(A)成分に対して0.0002〜0.0006当
量。 (D)必要に応じて、溶剤、連鎖移動剤、その他の添加
剤の必要量。 よりなることが必要である。
【0025】(A)成分と(B)成分の重量%がこの範
囲内にあると、生産性の良好な70〜95%の転化率ま
で重合を進めた時に、得られる樹脂組成物中の分散相の
量が好適な範囲に制御しやすい。(B)成分の共役ジエ
ン重合体は残留不飽和結合の95%以上が1,4結合で
あることが、得られる樹脂組成物の耐衝撃性を高くする
ために必要である。用い得る共役ジエン重合体はポリブ
タジエン、スチレン−ブタジエンのランダムまたはブロ
ック共重合体、α−メチルスチレン−ブタジエンのラン
ダムまたはブロック共重合体、ポリブタジエン−イソプ
レン共重合体、及び以上の重合体の水素添加物(水添重
合体)などを挙げることが出来るが、代表的なものとし
ては、ポリブタジエンである。ポリブタジエンとして
は、遷移金属触媒や希土類触媒によって製造されるハイ
シスポリブタジエン、アルキルリチウム触媒によって製
造されるローシスポリブタジエンの主として1,2結合
(ビニル基)を水素添加した部分水素添加ポリブタジエ
ンともに好適に用いることができる。
【0026】この特定のミクロ構造を有する共役ジエン
重合体を特定の粒子径分布並びに粒子形態を有する分散
粒子に誘導するために(C)成分の特定の有機過酸化物
が必要である。即ち従来開示された重合処方では(B)
成分の共役ジエン重合体を本発明の樹脂組成物の粒子径
分布並びに粒子形態に誘導することは出来なかったが、
(C)成分の特定の有機過酸化物の特定量を用いて、後
述の特定の条件の下で重合させることにより、本発明の
樹脂組成物が製造できる。
【0027】(C)成分の水素引抜き能力εが35より
も小さいか或は(C)成分量が0.0002当量よりも
少ないと小粒子成分が充分な量生成せず、また大粒子部
分における通常の細胞状粒子の比率が多くなり、満足な
樹脂組成物が得られない。逆に(C)成分量が0.00
06当量よりも多いと大粒子部分に8μmを越える巨大
粒子や、外周の開いた粒子、或は粒子形態をなさない編
み目状のゲル分などの好ましくない成分が生成する。ま
た、極端に多い場合は重合の連続運転そのものが困難に
なる。
【0028】水素引抜き能力εが35以上である有機過
酸化物の例としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、
ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミル2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオ
キシヘキサン、ビス(t−ブチルパーオキシ−i−プロ
ピル)ベンゼンなどのジアルキルパーオキサイド類、t
−オクチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオ
キシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ
ステアリルカーボネート、t−アミル−パーオキシベン
ゾエート、t−ブチル−パーオキシベンゾエートなどの
パーオキシエステル類を挙げることが出来る。
【0029】これに対し、有機過酸化物の中でもケトン
パーオキサイド類、パーオキシケタール類、ハイドロパ
ーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキ
シジカーボネート類などには水素引抜き能力εが35以
上であるものが比較的少ないが、水素引抜き能力εが3
5以上であるものは用いることができる。上記の共役ジ
エン重合体は従って、スチレン及び必要に応じてスチレ
ンと共重合可能なビニル芳香族系単量体及び溶剤に溶解
される。必要に応じて連鎖移動剤、安定剤、鉱油などの
添加剤が加えられる。通常最後に(C)成分の有機過酸
化物が加えられるが、溶解の順序はいずれでも構わな
い。また、溶解の工程は連続式、回分式のいずれでも構
わない。
【0030】かくして調整された重合原液はプラグフロ
ー式の重合機に連続的に送液され、ビニル芳香族単量体
の転化率が少なくとも30%となるまでプラグフロー式
の重合機で重合させ、かつこの段階の平均の重合速度が
ビニル単量体の転化率で10〜15%/時となるように
重合温度及び送液速度を調整することが必要である。本
発明の樹脂組成物の製造方法は、重合原液が相転前の状
態から徐々に相転領域を経て、共役ジエン重合体の粒子
を形成させるところが重要である。これに対し、重合原
液を、高転化率の重合領域にある反応機中に投入し、重
合液を一気に相転させて共役ジエン重合体の粒子を形成
させると、粒子が前記の小粒子部分または大粒子部分の
一方を欠きやすく、更に迷路、糸巻き、繊維集束構造で
あっても、その最外周が閉じていない構造のものとなり
易く、本発明のゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物が得る
ことが困難である。従って、共役ジエン重合体の粒子の
形成がほぼ完了するビニル芳香族単量体の転化率が少な
くとも30%となるまでの重合は、該共役ジエン重合体
の相転前の重合領域と相転後の重合領域の併存するプラ
グフロー式重合機で行なう必要がある。このような反応
機の具体例としては、攪拌棒付きの塔式反応機、横型反
応機などの他、内部に静的混合機を配した管型反応機を
挙げることが出来る。これに対しプラグフロー式でない
反応機、例えばバックミックス式あるいは完全混合式の
反応機は上記条件を満たすことが困難であり、不適であ
る。
【0031】またこの段階でビニル芳香族単量体の重合
と共に、共役ジエン重合体に対するグラフト反応も活発
に起こす事が、本発明の樹脂組成物の特異な形態の粒子
の生成に重要である。このために前述の特定の有機過酸
化物を用いると共に、重合系全体の重合速度を平均して
10〜15%/時に制御する必要がある。この段階で所
望のグラフト反応が起こったかどうかは次に示すグラフ
トインデックス(G.I.)で判定出来る。
【0032】即ち、ビニル芳香族単量体の転化率が20
〜40%に達した時点において、下記(1)式; G.I.= G/R/C ・・・・・・・・・・ (1) ただし、 G.I.:グラフト指数。
【0033】G :重合液中の、メチルエチルケトン/
メタノール(90/10)混合溶媒不溶分重量とゴム重
量の差。 R :重合液中のゴム重量。 C :ビニル芳香族単量体の転化率。 にて定義されるグラフト指数(G.I.)を1.5〜
3.0の範囲に制御することにより効率的に得ることが
出来る。
【0034】上記において、ビニル芳香族単量体の転化
率が20〜40%に達した時点におけるグラフト指数が
1.5に満たない場合には、大粒子部分の総数に占め
る、外周が閉じており、かつ内部に迷路、糸巻き、繊維
集束のいずれかの構造を有する粒子の総数が50%に満
たなくなり、或はまた小粒子成分の割合が10%に満た
なくなり、最終的に得られるゴム変性ビニル芳香族樹脂
組成物の衝撃強度が劣ったものとなる。またグラフト指
数が3.0を越える場合には、迷路、糸巻き、繊維集束
のいずれかの構造を有する粒子の総数が増すものの、該
形態を有する粒子のうち、最外周が閉じていない粒子が
増え、また8μmを越える粒子の割合が増えるため、結
果的に最終的に得られるゴム変性ビニル芳香族樹脂組成
物の衝撃強度及び光沢が劣ったものとなる。
【0035】上記グラフト指数は以下の手順にて求め
る。・該ビニル芳香族単量体の転化率が20〜40%に
達している重合液の所定量;W(グラム)を秤量し、メ
チルエチルケトンとメタノールの90:10重量比の混
合溶媒中に添加・分散させる。次いで遠心分離機にて2
5,000rpm、30分間に渡り遠心分離し、デカン
テーションにて不溶分を得る。引き続き120℃、20
mmHgの条件にて真空乾燥し、不溶分重量;X(グラ
ム)を求める。下式により、重合液中のメチルエチルケ
トン/メタノール(90/10)混合溶媒不溶分重量と
ゴム重量の差;Gを求める。
【0036】G=X−R(グラム) R=W×RC /100(グラム) 但し、R :重合液W(グラム)中の共役ジエン系重合
体の重量(グラム)。 RC :重合原液中の共役ジエン系重合体の濃度(重量
%)。 他方、重合液W(グラム)を230℃の真空乾燥器にて
30分間乾燥した後の重量;S(グラム)を求め、ビニ
ル芳香族重合体の重量;P(グラム)を求め、重合原液
中のビニル芳香族単量体の重量濃度;M(重量%)よ
り、ビニル芳香族単量体の転化率;C=P/(W×M/
100)を求める。
【0037】以上より求めたG、R、Cより、G.I.
=G/R/Cとして、グラフト指数を求める。本発明の
ゴム変性ビニル芳香族重合体の分散相の粒子径分布は、
共役ジエン重合体が分散相を形成する(すなわち重合液
が相転する)時点の1)剪断力の強さ及び2)グラフト
指数により調整される。すなわち、上記の剪断力を高め
ると前記小粒子部分すなわち0.1〜0.4μmの範囲
の粒子成分の割合が増す。他方上記のグラフト指数を高
めると前記大粒子部分すなわち1.0〜8.0μmの範
囲の粒子成分の割合が増し、かつ大粒子部分の平均粒子
径も増す。
【0038】なお、大粒子部分の主成分である前記の迷
路、糸巻き、繊維集束構造を有する粒子は、従来の知見
と異なり、剪断力の影響を受けにくいことが判明した。
従って、粒子形成時の剪断力を高めると、大粒子部分よ
りも、小粒子部分がより小さくなるので、上記剪断力の
強さとグラフト指数を制御することにより小粒子部分と
大粒子部分を独立に制御することが出来る。
【0039】なお、重合原液を、プラグフロー式の第一
段反応機に連続的に送り、重合を進行せしめ、該反応機
内にて重合液を相転してジエン系重合体を粒子化させ、
該反応機出口より連続的に重合原液の投入量に相当する
流量にて連続的に取り出し、後段の反応機に送液すると
同時に、別途第一段反応機出口より、重合途中の液の一
部を第一段反応機入口に還流し、重合を行うことによ
り、大粒子部分に占める前記の迷路、糸巻き、繊維集束
構造を有する粒子の割合を増すことが出来る。この場
合、第一段反応機出口より第一段反応機入口への還流比
を、第一段反応機への重合原液の投入量(F)に対す
る、第一段反応機出口より第一段反応機入口への還流量
(R)の比率(R/F×100%)で表示する場合、0
〜100%の範囲が望ましい。100%を越えるとプラ
グフロー性が損なわれ、好ましくない。
【0040】かくして分散相の粒子径分布を制御した
後、引き続き重合液を後段の反応機に連続的に送り、ビ
ニル芳香族単量体を所望の転化率まで重合させる。な
お、共役ジエン重合体の粒子を形成した後の工程では、
特にプラグフロー式でなくても構わず、いずれの重合機
も適用出来る。また、重合形式は前段に引続き溶液、塊
状重合でも良いし、懸濁重合でも構わない。
【0041】重合原液中の共役ジエン重合体の含量は、
最終的に得ようとするゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物
中の共役ジエン重合体の含量に応じ適宜調整されるが、
一般的には2〜15重量%の範囲である。なお上記のラ
ジカル重合に際しては、公知の分子量調節剤、例えばα
−メチルスチレン2量体、n−ドデシルメルカプタン、
t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン
などのメルカプタン類等を好適に用いることが出来る。
【0042】なお重合温度は、定法に従い約60〜18
0度Cの温度範囲にて重合を行う。次いで未反応のビニ
ル芳香族単量体を脱揮発分装置にて、高温・高真空下に
除去し、ゴム変性ビニル芳香族重合体のゴム変性ビニル
芳香族重合体を得る。なお、塊状重合または溶液重合に
よる場合、脱揮発分処理の温度を調整により、共役ジエ
ン重合体の分散相の架橋度(通常、ゴム変性ビニル芳香
族樹脂組成物中のトルエン不溶のゲル分を分取し、該ゲ
ル分のトルエンに対する膨潤指数を以て、分散相の架橋
度の指標とする。)が制御される。該ゲル分のトルエン
に対する膨潤指数は、8〜16が好ましく、9〜13の
範囲がより好ましい。ゲル分の膨潤指数の制御は公知の
技術範囲に属する事がらであり、その詳細は省略する。
【0043】また本発明で得られた樹脂組成物には、ポ
リジメチルシロキサンや高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪
酸のアミド類を添加することにより衝撃強度を一段と高
めることが出来る。更に本発明で得られた樹脂組成物に
は、染顔料、滑剤、充填剤、離型剤、可塑剤、帯電防止
剤、難燃剤、無機フィラーなどの添加剤を必要に応じて
加えることが出来る。
【0044】また本発明のゴム変性ビニル芳香族樹脂組
成物に、他の熱可塑性樹脂、例えばポリフェニレンエー
テル樹脂、ポリオレフィン樹脂などを配合し、熱変形温
度、耐薬品性の一段と高められた熱可塑性樹脂組成物と
成すこともできる。以下、実施例により、本発明を具体
的に説明する。
【0045】
【実施例】共役ジエン重合体として、残留不飽和結合が
1,4−シス95%、1,4−トランス2%、1,2−
ビニル3%でムーニー粘度が25のハイシスポリブタジ
エンゴムを用いた。また比較のため、残留不飽和結合が
1,4−シス36%、1,4−トランス52%、1,2
−ビニル12%でムーニー粘度が35のローシスポリブ
タジエンゴムも用いた。
【0046】有機過酸化物として水素引抜き能力εが4
0.0のt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
ト(以下PO−1と記す。)、49.0のジ−t−ブチ
ルパーオキサイド(以下PO−2と記す。),及び比較
のため22.0の1,1−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下PO
−3と記す。)を用いた。なお分析及び物性測定は、下
記方法によった。 ・分子量及び分子量分布:東ソー(株)製GPC装置
(HLC−8010)を用い、THFを溶媒としてGP
Cを測定した。検量は分子量2,100から8,42
0,000にわたって12点の標準ポリスチレンを用い
て行った。 ・透過型電子顕微鏡写真は、作成した樹脂ペレットをア
ニールした後、超ミクロトームにて平滑面を出し、Os
4 蒸気に晒した後、超ミクロトームを用いて、約80
nmの厚さの超薄切片を作成、これを日立製作所製の透
過型電子顕微鏡にて観察し、倍率2000倍の写真を撮
影した。これを必要に応じて2〜5倍に引き延ばして焼
付け、画像解析に供した。 ・アイゾット衝撃強度(ノッチ付き):ASTM D2
56に準拠。 ・曲げ弾性率:ASTM D790に準拠。 ・メルトフローレート:ISO−R1133に準拠。 ・ビカット軟化点:ASTM D1525に準拠。 ・落錘衝撃強度:旭化成法。射出成形した15cm×15
cm×2mmの平板試験片50枚を用い、1mの高さより、
可変量の荷重を備えた先端曲率30mmのミサイルを落下
させ、試験片が50%破壊を示す荷重より、破壊エネル
ギーを求めた。
【0047】
【実施例1】ポリブタジエンをスチレンに溶解し、次い
でエチルベンゼン及び、t−ブチルパーオキシイソプロ
ピルカーボネートの少量を加え、最終的に下記の組成よ
り成る重合原液を調整した。(単位は重量%) ・ハイシスポリブタジエン ・・・・・・・・・・ 9.2 ・スチレン ・・・・・・・・・・ 75.6 ・エチルベンゼン ・・・・・・・・・・ 15.0 ・PO−1 ・・・・・・・・・・ 0.04 ・α−メチルスチレンダイマー ・・・・・・・・・・ 0.15 PO−1の0.04重量%はスチレンに対して0.00
03当量に相当する。
【0048】上記の重合原液を、各々の内容積が6.2
リットルの撹拌機付きの直列3機の塔式反応機よりなる
重合装置に2.2リットル/HRにて連続的に送液し
た。第一反応機の攪拌数を90回転/毎分とし、第一反
応機出口の固形分濃度が36.6重量%となるように機
内温度を制御した。この時の第一反応機の滞留時間は
2.83時間、スチレンの転化率は36.2%であるの
で、転化率36.2%までの平均の重合速度は12.8
%であった。またこの時、第一反応機出口より採取した
重合途中の液を前記の方法に従い、溶媒分別し、グラフ
ト指数を求めた結果、2.00であった。
【0049】次いで第二反応機出口及び第三反応機出口
の固形分濃度を各々55.2、68.7重量%となるよ
うに槽内温度を調整した。次いで230度C、真空下の
脱揮装置に送り込み、未反応のスチレン及びエチルベン
ゼンを除去し、押出機にて造粒しペレット状のゴム変性
スチレン樹脂組成物R1を得た。重合条件は一括して表
1に示す。
【0050】R1中のポリブタジエンの含量は、13.
4重量%であった。次いで、R1のトルエン不溶分を求
め、ゲル含量を求めた結果、31.4重量%であった。
またトルエン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィーにより求めた連続相の重量平均分子量及び数平
均分子量は各々17.5万、8.0万であった。次いで
透過型電子顕微鏡写真より、 1)全粒子中に占める粒子径0.1〜0.4μmの範囲
の小粒子部分及び粒子径1.0〜8.0μmの範囲の大
粒子部分の各々の割合、 2)該小粒子部分の総数に占める細胞構造粒子の割合、
及び該大粒子部分の総数に占める、最外周が閉じてお
り、かつその内部に迷路、糸巻き、繊維集束のいずれか
の構造を有する粒子の割合、を求めた。
【0051】その結果、全粒子中に占める粒子径0.1
〜0.4μmの範囲の小粒子部分及び粒子径1.0〜
8.0μmの範囲の大粒子部分の各々の割合は、各々6
5%、26%であった。また小粒子部分の総数に占める
細胞構造粒子の割合、及び大粒子部分の総数に占める、
最外周が閉じており、かつその内部に迷路、糸巻き、繊
維集束のいずれかの構造を有する粒子の割合は、各々9
1%、72%であった。透過型顕微鏡写真を図2に、解
析結果を表2に示す。
【0052】次いで得られたゴム変性スチレン樹脂組成
物のペレットより射出成形機にて、220℃の成形温度
にて試験片を作成し物性を測定した。結果を表2に示
す。
【0053】
【比較例1】実施例1の重合原液及び反応機を用い、第
1反応機の温度条件のみを変更して重合を行ない、ゴム
変性スチレン樹脂組成物R2を得た。第一反応機でのス
チレンの転化率は28.0%、平均重合速度は9.9%
/時と低く、G.I.も1.36と低かった。また、粒
子系分布は大粒子、小粒子共に充分存在したが、実施例
1と比較して、粒子径1.0〜8.0μmの範囲の大粒
子部分の総数に占める、最外周が閉じており、かつその
内部に迷路、糸巻き、繊維集束のいずれかの構造を有す
る粒子の割合が著しく減少し、通常の細胞構造をとって
いた。透過型電子顕微鏡写真を図3に示す。重合条件を
表1に、分析・評価の結果を表2に示す。
【0054】
【実施例2】実施例1の反応機の第1反応機出口から第
1反応機入り口に循環ラインを設け、還流比25%で還
流した。重合原液中のポリブタジエン量を6.4%と
し、PO−1量を0.00030当量として重合し、ゴ
ム変性スチレン樹脂組成物R3を得た。重合条件を表1
に、分析・評価の結果を表2に示す。
【0055】
【比較例2】実施例2において、ハイシスポリブタジエ
ンをローシスポリブタジエンに変更して重合し、ゴム変
性スチレン樹脂組成物R4を得た。重合条件を表1に、
分析・評価の結果を表2に示す。
【0056】
【実施例3】実施例1の反応機の第一反応機を循環ライ
ン付の8.0リットルのものに交換し、還流比25%で
還流した。エチルベンゼン量を13.0%、攪拌数を1
50回転/毎分として、ゴム変性ポリスチレン樹脂組成
物R5を得た。重合条件を表1に、分析・評価の結果を
表2に示す。
【0057】
【比較例3】PO−1の量を0.00015当量に減ら
した以外は実施例3とほぼ同様の条件で重合し、ゴム変
性スチレン樹脂組成物R6を得た。重合条件を表1に、
分析・評価の結果を表2に示す。
【0058】
【実施例4】実施例3において、重合原液中のPO−1
の含量を0.00023当量、α−メチルスチレンダイ
マーを0.25重量%、エチルベンゼンを15.0重量
%とし、第一反応機撹拌数を150回転/分とした他は
同様にして、ゴム変性ポリスチレン樹脂組成物R7を得
た。実施例3と比較して、粒子径1.0〜8.0μmの
範囲の大粒子部分の総数に占める、最外周が閉じてお
り、かつその内部に迷路、糸巻き、繊維集束のいずれか
の構造を有する粒子の割合が減少していた。重合条件を
表1に、分析・評価の結果を表2に示す。
【0059】
【比較例4】PO−1をPO−3に変更した他は、ほぼ
実施例4と同条件でゴム変性ポリスチレン樹脂組成物R
8を得た。ほとんど全ての粒子が通常の細胞状の形態で
あった。重合条件を表1に、分析・評価の結果を表2に
示す。
【0060】
【実施例5】実施例4の重合原液にPO−3を0.00
07当量追加し、第一反応機還流比を100%にした以
外は同様にして、ゴム変性ポリスチレン樹脂組成物R9
を得た。重合条件を表1に、分析・評価の結果を表2に
示す。
【0061】
【比較例5】実施例5において、第一反応機を8.0リ
ットルの槽式完全混合型反応機に交換して同様に重合
し、ゴム変性スチレン樹脂組成物R10を得た。重合条
件を表1に、分析・評価の結果を表2に示す。
【0062】
【実施例6〜10】実施例4の樹脂組成物R7をメチル
エチルケトン/アセトン=1/1の混合溶媒に溶かして
10重量%の溶液とした。この溶液を遠心分離して上澄
みを捨て、分散相部分を沈殿物として採取した。沈殿物
をドラムドライヤ−で乾燥した。乾燥後の収率は31.
9重量%であった。この分散相を別途調整した重量平均
分子量15万7千、数平均分子量7万9千のポリスチレ
ンと表3に示す割合で溶融混合して分散相濃度8、1
6、24、32、及び40重量%の樹脂組成物R11〜
R15を得た。分析・評価の結果を表3に示す。
【0063】
【比較例6〜10】比較例4の樹脂組成物R8をメチル
エチルケトン/アセトン=1/1の混合溶媒に溶かして
10重量%の溶液とした。この溶液を遠心分離して上澄
みを捨て、分散相部分を沈殿物として採取した。沈殿物
をドラムドライヤ−で乾燥した。乾燥後の収率は32.
1重量%であった。この分散相を別途調整した重量平均
分子量15万7千、数平均分子量7万9千のポリスチレ
ンと表3に示す割合で溶融混合して分散相濃度8、1
6、24、32、及び40重量%の樹脂組成物R16〜
R20を得た。分析・評価の結果を表3に示す。
【0064】
【発明の効果】本発明により得られるゴム変性ビニル芳
香族樹脂組成物は、グラフト活性の高い有機過酸化物を
用いて、共役ジエン系重合体へビニル芳香族重合体を高
度にグラフトさせることにより、該共役ジエン系重合体
のなす分散相が特定の粒子径分布を有しており、かつそ
れらの部分が特有の内部構造を有するものであるため、
従来のゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物と比較して、耐
衝撃性と剛性の著しく高められたものであり、さらに耐
熱性と高い流動性も付与し得る。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】ゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物において見ら
れる典型的ゴム粒子構造の透過型電子顕微鏡写真の模式
図である。
【図2】実施例1のゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物の
透過型電子顕微鏡写真の模式図である。
【図3】比較例1のゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物の
透過型電子顕微鏡写真の模式図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−53(JP,A) 特開 平4−65451(JP,A) 特開 平4−88006(JP,A) 特開 平5−132605(JP,A) 特開 平5−170991(JP,A) 特開 平6−1812(JP,A) 特開 平6−179731(JP,A) 特開 平6−329735(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 279/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニル芳香族単量体の重合体の連続相中
    に、該ビニル芳香族単量体によりグラフトされ、かつ前
    記ビニル芳香族単量体の重合体を内包する共役ジエン重
    合体または部分的に水素添加された共役ジエン重合体の
    粒子が分散相として存在してなるゴム変性ビニル芳香族
    樹脂組成物において、 1)共役ジエン重合体または部分的に水素添加された共
    役ジエン重合体の残留不飽和結合の95%以上が1,4
    結合であり、 2)該分散相が、粒子径0.1〜0.4μmの範囲の小
    粒子部分及び粒子径1.0〜8.0μmの範囲の大粒子
    部分を含有し、かつ全粒子中に占める上記小粒子部分と
    大粒子部分の割合が、面積比にて各々10〜50%、及
    び90〜50%であり、 3)該小粒子部分の総面積の50%以上が細胞構造であ
    り、該大粒子部分の総面積の50%以上が、最外周が閉
    じており、かつその内部に迷路、糸巻き、繊維集束のい
    ずれかの構造を有することを特徴とするゴム変性ビニル
    芳香族樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 共役ジエン重合体または部分的に水素添
    加された共役ジエン重合体の残留不飽和結合中シス1,
    4結合の比率が90%以上であるポリブタジエンである
    請求項1記載のゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ビニル芳香族単量体の重合体の連続相中
    に、該ビニル芳香族単量体によりグラフトされ、かつ前
    記ビニル芳香族単量体の重合体を内包する共役ジエン重
    合体または部分的に水素添加された共役ジエン重合体の
    粒子が分散相として存在してなるゴム変性ビニル芳香族
    樹脂組成物を製造する方法において、 1)(A)スチレンおよび、必要に応じてスチレンと共
    重合可能な他のビニル芳香族系単量体60〜96重量% (B)残留不飽和結合の95%以上が1,4構造である
    共役ジエン重合体または部分的に水素添加された共役ジ
    エン重合体4〜15重量%。 (C)水素引抜き能力εが35以上である有機過酸化物
    を(A)成分に対して0.0002〜0.0006当
    量。 (D)必要に応じて、溶剤、連鎖移動剤、その他の添加
    剤の必要量。 よりなる重合原液を少なくともビニル芳香族単量体の転
    化率が30%に達するまではプラグフロー式の重合機に
    滞留するような多段式重合装置に連続的に送液し、 2)ビニル芳香族単量体の転化率が少なくとも30%と
    なるまでの平均の重合速度が10〜15%/時となるよ
    うに重合温度及び送液速度を調整する ことを特徴とする請求項1に記載のゴム変性ビニル芳香
    族樹脂組成物の製造方法。(ここで水素引抜き能力εと
    は、該有機過酸化物の約1ミリモル/リットルのn−ペ
    ンタデカン溶液を半減期が15分になる温度に150分
    間過熱した後のn−ペンタデカン2量体の生成モル数を
    有機過酸化物のモル数で除した値の100倍をいう。)
JP20307893A 1993-08-17 1993-08-17 ゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物及びその製法 Expired - Fee Related JP3254054B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20307893A JP3254054B2 (ja) 1993-08-17 1993-08-17 ゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物及びその製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20307893A JP3254054B2 (ja) 1993-08-17 1993-08-17 ゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物及びその製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0753642A JPH0753642A (ja) 1995-02-28
JP3254054B2 true JP3254054B2 (ja) 2002-02-04

Family

ID=16467996

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20307893A Expired - Fee Related JP3254054B2 (ja) 1993-08-17 1993-08-17 ゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物及びその製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3254054B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2308906A1 (en) * 2009-10-07 2011-04-13 Styron Europe GmbH Impact-modified monovinylidene aromatic polymer having low rubber crosslinking
CN103421150B (zh) * 2012-05-16 2015-10-21 中国石油化工股份有限公司 耐候抗老化hips树脂的制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0753642A (ja) 1995-02-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH09503535A (ja) マレイミド変性高熱abs樹脂
US6849689B2 (en) Rubber-reinforced thermoplastic resin and rubber-reinforced thermoplastic resin composition
US8097680B2 (en) Low gloss thermoplastic resin having excellent heat resistance and impact strength and method of preparing the same
EP2057200B1 (en) Transparent rubber modified styrene resin and method for preparing the same by continuous bulk polymerization
JPS6348317A (ja) 耐衝撃性ポリスチレン系樹脂およびその製造方法
JPH1060174A (ja) ポリブタジエンゴム及び耐衝撃性芳香族ビニル系樹脂組成物
US6515072B2 (en) Transparent rubber-modified styrenic resin composition
US5380798A (en) Impact-resistant styrenic polymer resin composition and process for making same
JP3254054B2 (ja) ゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物及びその製法
JP3472308B2 (ja) 耐衝撃性メタクリル系樹脂
JP4833529B2 (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
KR100650915B1 (ko) 고충격 폴리스티렌 수지의 연속 제조 방법
JP3625566B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3342808B2 (ja) 耐熱性、耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物
JPH05194676A (ja) ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂及びその製造方法
JP3280079B2 (ja) ゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物
JP3254060B2 (ja) ゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物
JPH05271363A (ja) ゴム変性ビニル芳香族系樹脂組成物
JP3280082B2 (ja) 衝撃性と流動性に優れるゴム変性ビニル芳香族樹脂組成物
US20230167218A1 (en) Method for preparing graft copolymer, graft copolymer, and resin composition comprising the same
JPS59193950A (ja) 艶消しされたポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物
JPH10298374A (ja) スチレン系樹脂組成物
JP2000344842A (ja) ゴム変性熱可塑性樹脂
JPH02175740A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物
KR100591451B1 (ko) 고충격 및 고광택을 갖는 고무변성 스티렌계 수지 및 이의제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20011113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081122

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081122

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091122

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091122

Year of fee payment: 8

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091122

Year of fee payment: 8

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees