JP3250921B2 - 腸管運動機能不全性疾患の治療剤 - Google Patents
腸管運動機能不全性疾患の治療剤Info
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Description
の予防及び/又は治療に有用な医薬の発明に関する。よ
り具体的には、チエノ [3,2-b]ピリジンカルボキサミド
の特定の誘導体を有効成分とし、便秘や腸閉塞など腸管
運動機能不全性の疾患の予防や治療に有用な医薬に関す
るものである。
する基礎活動電位や腸管神経叢(筋間神経叢や粘膜内神
経叢等)の神経反射や、ガストリン、コレシストキニ
ン、およびサブスタンスP などの消化管ホルモンの働き
により局所的に制御されている。それらの上位にはコリ
ン作動性の副交感神経とアドレナリン作動性の交感神経
とによる二重支配があり、前者は促進的に、後者は抑制
的に腸管運動を制御している。腸の運動には進行性のも
の(蠕動運動)と非進行性のもの(分節運動、逆蠕動運
動)とがあり、これらの運動が小腸での栄養物の消化と
吸収、ならびに大腸での水分吸収と排便などに大きく関
与している。そして、これらの運動が機械的な原因や機
能的障害によって抑制されると、偽性腸閉塞や腸内容物
のうっ滞による便秘を引き起こすことが知られている。
摂取不足や運動不足などに起因するもの、抗コリン剤や
抗うつ剤などの薬剤摂取によるもの、およびストレスに
よるものなどがあるが、いずれの場合も大腸における蠕
動運動の低下が主な原因である。このような便秘に対す
る治療としては生活指導(食事、運動)が行われるとと
もに、内科的治療として下剤を用いるのが一般的であ
る。しかしながら、下剤による治療は対症療法であり、
副作用として下痢が高頻度で発現するという問題があっ
た。慢性の便秘患者では、投薬を中断すると直ちに症状
が悪化するのでなるべく継続的に治療薬を服用すべきで
あるが、下剤はこのような継続的な投与により薬剤耐性
が生じ易く、最終的には薬剤の有効性が失われることも
あった。
の術後イレウスや機能障害に基づく慢性仮性腸閉塞等が
あり、いずれも小腸蠕動運動の低下が主な原因と考えら
れている。これらの疾患に対する内科的治療としては、
プロスタグランジン製剤やドパミン拮抗剤が使用されて
いるが、いずれも効果は十分ではなく、腹痛や下痢等の
副作用のあることが知られていた。このため、腸運動機
能不全を伴う疾患を予防・治療するために、従来の薬剤
とは異なる作用機序に基づく医薬の開発が求められてお
り、高い有効性を示すとともに副作用が低減された薬剤
の提供が望まれていた。
や偽性腸閉塞などの腸管運動機能不全性疾患の予防及び
/又は治療に対して高い有効性を示す医薬を提供するこ
とにある。別の観点からは、本発明は、腸管運動機能の
改善に有効性を示し、腸管運動機能不全性疾患の予防及
び/又は治療に有用な医薬を提供することを目的として
いる。本発明の別の目的は、上記の特徴を有する腸管運
動機能不全性疾患の予防・治療剤であって、副作用が低
減された医薬を提供することにある。
を解決すべく鋭意努力した結果、特定のチエノ [3,2-b]
ピリジンカルボキサミド誘導体が優れた腸管運動機能改
善作用を有しており、便秘や偽性腸閉塞などの腸管運動
機能不全性疾患に対して高い有効性を示すことを見い出
した。また、これらの化合物が、上記疾患の治療や予防
に従来汎用されている医薬に比べて高い有効性を示すこ
とを見い出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成
されたものである。
級アルキル基を示し、Aは1-アザビシクロ[3.2.2] ノニ
ル基、1-アザビシクロ[2.2.2] オクチル基、またはそれ
らのN-オキサイドからなる群から選ばれる置換基を示
す)で示されるチエノ [3,2-b]ピリジンカルボキサミド
誘導体、その薬学的に許容される塩、又はそれらの溶媒
和物もしくは水和物を有効成分として含む腸管運動機能
不全性疾患の予防・治療剤を提供するものである。
2 がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す上記予
防・治療剤;A が 1- アザビシクロ[2.2.2] オクト-3-
イル基又はそのN-オキサイドである上記予防・治療剤;
R1及び R2 が共に水素原子であり、カルボキサミド基に
結合した基A 中の炭素原子の絶対配置がR-配置である上
記予防・治療剤;有効成分が塩酸塩の形態である上記予
防・治療剤;及び、腸管運動機能不全性疾患が便秘、腸
閉塞、及び進行性全身性硬化症からなる群から選ばれる
上記予防・治療剤が提供される。
上記式で示されるチエノ [3,2-b]ピリジンカルボキサミ
ド誘導体に包含される化合物の一種またはそれ以上を用
いることができる。式中、R1およびR2はそれぞれ独立に
水素原子または低級アルキル基を示す。低級アルキル基
としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロ
ピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert- ブチル基等
の C1-C6アルキル基、好ましくはC1-C4 アルキル基を挙
げることができるが、これらのうち、メチル基が好まし
い。また、R1及び R2 が共に水素原子である化合物も本
発明の医薬の好ましい有効成分である。さらに、R2が低
級アルキル基を示す場合、R2はチエノ [3,2-b]ピリジン
環の2-位または3-位のいずれかに置換することができ
る。
2] ノニル基または1-アザビシクロ[2.2.2] オクチル基
を示すか、あるいはこれらの基中の窒素原子が N- オキ
サイドとなった置換基を示す。置換基A と式(I) で示さ
れる化合物のカルボキサミド基との結合は、置換基A 中
の任意の炭素原子とカルボキサミド基の窒素原子とより
形成される。例えば、置換基A として、1-アザビシクロ
[2.2.2] オクト-2- イル基、1-アザビシクロ[2.2.2] オ
クト-3- イル基、1-アザビシクロ[2.2.2] オクト-4- イ
ル基、1-アザビシクロ[3.2.2] ノナ-2- イル基、1-アザ
ビシクロ[3.2.2]ノナ-3- イル基、1-アザビシクロ[3.2.
2] ノナ-4- イル基、1-アザビシクロ[3.2.2] ノナ-5-
イル基、1-アザビシクロ[3.2.2] ノナ-6- イル基、1-ア
ザビシクロ[3.2.2] ノナ-7- イル基、およびそれらのN-
オキシドである基を例示することができる。
換基A 中の炭素原子の立体配置は特に制限されず、R-配
置またはS-配置のいずれであってもよい。また、置換基
A としてラセミ体や光学活性体の任意の割合の混合物を
用いてもよい。光学活性の置換基A を用いる場合には、
上記の炭素原子の絶対配置がR-配置のものを用いること
が好ましい。
ち、特に好ましい化合物として、N-(1- アザビシクロ
[2.2.2] オクト-3- イル)-4,7-ジヒドロ-7- オキソ- チ
エノ[3,2-b] ピリジン-6- カルボキサミド;N-(1- アザ
ビシクロ[2.2.2] オクト-3- イル)-4,7-ジヒドロ-4- メ
チル-7- オキソ- チエノ[3,2-b] ピリジン-6- カルボキ
サミド;N-(1- アザビシクロ[2.2.2] オクト-3- イル)-
4,7-ジヒドロ-4- エチル-7- オキソ- チエノ[3,2-b] ピ
リジン-6- カルボキサミド;N-(1- アザビシクロ[2.2.
2] オクト-3- イル)-4,7-ジヒドロ-2,4- ジメチル-7-オ
キソ- チエノ[3,2-b] ピリジン-6- カルボキサミド;N-
(1- アザビシクロ[2.2.2] オクト-3- イル)-4,7-ジヒド
ロ-3,4- ジメチル-7-オキソ- チエノ[3,2-b] ピリジン-
6- カルボキサミド;N-(1- アザビシクロ[2.2.2] オク
ト-3- イル)-4,7-ジヒドロ-4- エチル-2- メチル-7- オ
キソ- チエノ[3,2-b] ピリジン-6- カルボキサミド;N-
(1- アザビシクロ[2.2.2] オクト-2- イル)-4,7-ジヒド
ロ-7- オキソ- チエノ[3,2-b] ピリジン-6- カルボキサ
ミド;N-(1- アザビシクロ[2.2.2] オクト-2- イル)-4,
7-ジヒドロ-4- メチル-7- オキソ- チエノ[3,2-b] ピリ
ジン-6- カルボキサミド;N-(1- アザビシクロ[2.2.2]
オクト-2- イル)-4,7-ジヒドロ-4- エチル-7- オキソ-
チエノ[3,2-b] ピリジン-6- カルボキサミド;N-(1- ア
ザビシクロ[2.2.2] オクト-2- イル)-4,7-ジヒドロ-2,4
- ジメチル-7-オキソ- チエノ[3,2-b] ピリジン-6- カ
ルボキサミド;N-(1- アザビシクロ[2.2.2] オクト-2-
イル)-4,7-ジヒドロ-3,4- ジメチル-7-オキソ- チエノ
[3,2-b] ピリジン-6- カルボキサミド;N-(1- アザビシ
クロ[2.2.2] オクト-2- イル)-4,7-ジヒドロ-4- エチル
-2- メチル-7- オキソ- チエノ[3,2-b] ピリジン-6- カ
ルボキサミド;N-(1- アザビシクロ[2.2.2] オクト-4-
イル)-4,7-ジヒドロ-7- オキソ- チエノ[3,2-b] ピリジ
ン-6- カルボキサミド;N-(1- アザビシクロ[2.2.2] オ
クト-4- イル)-4,7-ジヒドロ-4- メチル-7- オキソ- チ
エノ[3,2-b] ピリジン-6- カルボキサミド;N-(1- アザ
ビシクロ[2.2.2] オクト-4- イル)-4,7-ジヒドロ-4- エ
チル-7- オキソ- チエノ[3,2-b] ピリジン-6- カルボキ
サミド;N-(1- アザビシクロ[2.2.2] オクト-4- イル)-
4,7-ジヒドロ-2,4- ジメチル-7-オキソ- チエノ[3,2-b]
ピリジン-6- カルボキサミド;N-(1- アザビシクロ[2.
2.2] オクト-4- イル)-4,7-ジヒドロ-3,4- ジメチル-7-
オキソ- チエノ[3,2-b] ピリジン-6- カルボキサミド;
N-(1- アザビシクロ[2.2.2] オクト-4- イル)-4,7-ジヒ
ドロ-4- エチル-2- メチル-7- オキソ- チエノ[3,2-b]
ピリジン-6- カルボキサミド;N-(1- アザビシクロ[3.
2.2] ノナ-2- イル)-4,7-ジヒドロ-7- オキソ- チエノ
[3,2-b] ピリジン-6- カルボキサミド;N-(1- アザビシ
クロ[3.2.2] ノナ-2- イル)-4,7-ジヒドロ-4- メチル-7
- オキソ- チエノ[3,2-b] ピリジン-6- カルボキサミ
ド;N-(1- アザビシクロ[3.2.2] ノナ-2- イル)-4,7-ジ
ヒドロ-4- エチル-7- オキソ- チエノ[3,2-b] ピリジン
-6- カルボキサミド;N-(1- アザビシクロ[3.2.2] ノナ
-2- イル)-4,7-ジヒドロ-2,4- ジメチル-7- オキソ- チ
エノ[3,2-b] ピリジン-6- カルボキサミド;N-(1- アザ
ビシクロ[3.2.2] ノナ-2- イル)-4,7-ジヒドロ-3,4- ジ
メチル-7- オキソ- チエノ[3,2-b] ピリジン-6- カルボ
キサミド;N-(1- アザビシクロ[3.2.2] ノナ-2- イル)-
4,7-ジヒドロ-4- エチル-2- メチル-7- オキソ- チエノ
[3,2-b] ピリジン-6- カルボキサミド;N-(1- アザビシ
クロ[3.2.2] ノナ-3- イル)-4,7-ジヒドロ-7- オキソ-
チエノ[3,2-b] ピリジン-6- カルボキサミド;N-(1- ア
ザビシクロ[3.2.2] ノナ-4- イル)-4,7-ジヒドロ-7- オ
キソ- チエノ[3,2-b] ピリジン-6- カルボキサミド;N-
(1- アザビシクロ[3.2.2] ノナ-5- イル)-4,7-ジヒドロ
-7- オキソ- チエノ[3,2-b] ピリジン-6- カルボキサミ
ド;N-(1- アザビシクロ[3.2.2] ノナ-6- イル)-4,7-ジ
ヒドロ-7- オキソ- チエノ[3,2-b] ピリジン-6- カルボ
キサミド;およびN-(1- アザビシクロ[3.2.2] ノナ-7-
イル)-4,7-ジヒドロ-7- オキソ- チエノ[3,2-b] ピリジ
ン-6- カルボキサミドなどのラセミ体または任意の光学
活性体、あるいはそれらのN-オキシド体を挙げることが
できるが、本発明の医薬の有効成分はこれらの化合物に
限定されることはない。
(-)-N-(1- アザビシクロ[2.2.2] オクト-3- イル)-4,7-
ジヒドロ-7- オキソ- チエノ[3,2-b] ピリジン-6- カル
ボキサミド、またはそのN-オキシド体である。なお、前
記式(I) において R1 が水素原子を示す場合、ヘテロ芳
香環部である4,7-ジヒドロ-7- オキソ- チエノ[3,2-b]
ピリジンは、その互変異性体である7-ヒドロキシチエノ
[3,2-b] ピリジンとしても存在可能である。このような
互変異性体も本発明の医薬の有効成分に包含される。
特開平5-310747号公報 (EP560348号公報)に記載されて
おり、同刊行物に記載の方法に従って容易に合成するこ
とができる。置換基A のN-オキシド体は、試薬として、
例えば、過酸化水素または有機過酸等を用いることによ
り、当業者に周知の方法で製造することができる。
化合物の薬学的に許容される塩を用いてもよい。このよ
うな塩としては、酸付加塩や第4級アンモニウム塩等を
挙げることができる。薬学的に許容される酸付加塩とし
ては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸
塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩や、シュウ酸塩、マ
レイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン
酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩等の
有機酸塩を挙げることができる。
えばメチルヨージド、メチルブロミド、エチルヨージ
ド、エチルブロミド等の低級アルキルハロゲニド;メチ
ルメタンスルホネート、エチルメタンスルホネート等の
低級アルキルスルホネート;メチル p- トルエンスルホ
ネート等の低級アルキルアリールスルホネート等との第
4級アンモニウム塩を挙げることができる。なお、式
(I) で示される化合物または薬学的に許容されるその塩
は、溶媒和物若しくは水和物として存在することもある
ので、本発明の医薬の有効成分として、これらの溶媒和
物若しくは水和物を用いてもよい。
て腸内物質の輸送を促進する作用を有しており、腸管運
動機能不全性の疾患の治療及び/又は予防に有用であ
る。本発明の医薬の対象である腸管運動機能不全性の疾
患としては、例えば、大腸の蠕動運動又は緊張の低下等
により引き起こされる弛緩性便秘、腸の分節運動亢進に
よる腸内容の輸送障害等により引き起こされる痙攣性便
秘、直腸の感受性低下等により引き起こされる直腸性便
秘、開腹手術後の術後イレウス、慢性仮性腸閉塞、進行
性全身性硬化症等を挙げることができる。もっとも、本
発明の医薬は、これらの疾患に限定されることはなく、
腸管の運動機能に不全が認められるあらゆる疾患の予防
及び/又は治療に用いることができる。
合物が胃運動機能を増大させることが開示されており、
具体的には雄性 ddyマウスにおける胃排出促進作用、ス
トレフォーストランスジューサーを縫着した犬の胃収縮
運動の促進作用、及びベゾルト−ヤリッシュ (Bezold-J
arish)反射試験による 5-HT3(セロトニン3)受容体拮
抗活性を有することが開示されている。しかしながら、
該刊行物には、この化合物と腸機能との関係については
示唆ないし教示されていない。
物、その薬学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和
物若しくは水和物は、それ自体を医薬として患者に投与
してもよいが、一般には、これらの有効成分の1種又は
2種以上を含む医薬組成物を製造して患者に投与するこ
とが好適である。このような医薬組成物として、錠剤、
カプセル剤、細粒剤、散剤、丸剤、トローチ、舌下剤、
または液剤などの経口投与用の製剤、あるいは、注射
剤、座剤、軟膏、貼付剤などの非経口投与用の製剤を例
示することができる。
常は単位投与物として提供され、結合剤、充填剤、希釈
剤、打錠剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、香味剤及び湿潤
剤のような通常の製剤用担体を添加して製造することが
できる。錠剤は、この当業界で周知の方法に従って、例
えば腸溶性コーティング剤を用いてコーティングするこ
とができ、例えば、セルロース、マンニトール、又はラ
クトースなどの充填剤;澱粉、ポリビニルポリピロリド
ン、澱粉誘導体、又はナトリウム澱粉グリコラートなど
の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;ラ
ウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤を用いることができ
る。
懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップ剤又はエリキシ
ル剤などの他、使用前に水又は適当な媒体により再溶解
されうる乾燥製剤として提供される。このような液剤に
は、通常の添加剤、例えばソルビトール、シロップ、メ
チルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミ
ニウムゲル又は水素化食用脂肪のような沈澱防止剤、レ
シチン、ソルビタンモノオレート、アラビアゴムのよう
な乳化剤、アーモンド油、精留ココナッツ油、油状エス
テル(例えばグリセリンのエステル)、プロピレングリ
コール、エチルアルコールのような(食用油も包含しう
る)非水性媒体、p-ヒドロキシ安息香酸のメチルエステ
ル、エチルエステル、若しくはプロピルエステル、又は
ソルビン酸のような保存剤、及び必要に応じて通常の香
味剤又は着色剤を配合することができる。
錠などの当業界で周知の方法により製造することができ
る。また反復配合操作を用いて、多量の充填剤などを使
用した製剤中に有効成分を分布させてもよい。非経口投
与用の製剤は、一般には、有効成分である化合物と滅菌
媒体とを含有する液体単位投与量製剤として提供され
る。非経口投与用の溶液は、通常、化合物を媒体に溶解
させて滅菌濾過し、次に適当なバイアル又はアンプルに
充填して密封することにより製造される。安定性を高め
るために、組成物を凍結させた後にバイアル中に充填
し、水を真空下で除去してもよい。非経口懸濁液は、実
質的に非経口溶液の場合と同じ方法で製造されるが、有
効成分を媒体に懸濁させてエチレンオキシドなどにより
滅菌することにより好適に製造できる。また、有効成分
が均一分布となるように、必要に応じて界面活性剤、湿
潤剤等を添加してもよい。
療や予防の目的、治療または予防すべき疾患の種類、患
者の症状、体重、年齢や性別等を考慮して適宜決定すれ
ばよいが、通常の場合、成人1日あたり経口投与により
0.001〜10 mg 、または静脈内投与により 0.001〜10 m
g 程度を投与することができる。このような投与量を1
日あたり1〜数回に分けて投与するのが望ましい。
説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定され
ることはない。なお、以下の実施例では、特開平5-3107
47号公報の実施例2に記載の方法に従って製造した R-
(-)-N-(1-アザビシクロ[2.2.2] オクト-3- イル)-7-ヒ
ドロキシチエノ[3,2-b] ピリジン-6- カルボキサミド塩
酸塩を本発明医薬として用いた。
り約 3 cm)、十二指腸(幽門より約 6 cm)、空腸(幽門
より約 100 cm)、及び回腸(回盲部より約 6 cm)奨膜面
に、輪状筋方向の収縮が測定できるようにフォーストラ
ンスデューサーを縫着した。手術後2週間目以降胃腸管
の収縮運動を記録した。空腹期(20時間以上の絶食)に
は、胃から小腸末端へ伝播する蠕動性の収縮群 (IMC: i
nterdigestive migrating contraction)が約 100-120分
の周期で発現した。十二指腸で IMCが観察された 10 分
後に、蒸留水及び本発明医薬(蒸留水に溶解)をゼラチ
ンカプセルに入れて経口投与し、その後の十二指腸での
IMCの発現周期を検討した。結果を表1に示す。
た。マウス(非絶食)に対して、実験群は本発明医薬
(蒸留水で溶解)又は下剤(センノシド:0.5 %Tween80
溶液に懸濁)を経口投与(10 ml/kg) し、対照群はそ
れぞれの溶媒のみを同様に投与した。本発明医薬投与群
は30分後に、センノシド投与群では 210分後にクロニジ
ン (30μg/kg) を皮下投与して病態モデルを作製し、さ
らにその30分後にガラスビーズ(直径 3 mm)をマウスの
肛門より2 cmの位置に挿入し、ビーズが排出されるまで
の時間を測定した。また、蒸留水又はTween80 溶液を経
口投与したマウス(無処理群)についても同様にしてビ
ーズの排出時間を求めた。それぞれの群の平均排出時間
を表2に示す。
た。マウス(非絶食)に、実験群は本発明医薬(蒸留水
で溶解)を経口投与(10 ml/kg) し、対照群は蒸留水の
みを同様に投与した。投与直後より4時間にわたり一般
症状を観察した後、1週間までの死亡の有無を観察し
た。結果を表3に示す。
用を有しており、かつ、安全性が高いので、種々の誘因
から惹起される便秘や腸閉塞等の腸管運動機能不全性の
疾患の治療や予防に有用である。
Claims (6)
- 【請求項1】 下記の式: 【化1】 (式中、R1および R2 はそれぞれ独立に水素原子又は低
級アルキル基を示し、Aは1-アザビシクロ[3.2.2] ノニ
ル基、1-アザビシクロ[2.2.2] オクチル基、またはそれ
らのN-オキサイドからなる群から選ばれる置換基を示
す)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、又
はそれらの溶媒和物若しくは水和物を有効成分として含
む腸管運動機能不全性疾患の予防・治療剤。 - 【請求項2】 R1及び R2 がそれぞれ独立に水素原子又
はメチル基を示す請求項1記載の予防・治療剤。 - 【請求項3】 A が1-アザビシクロ[2.2.2] オクト-3-
イル基又はそのN-オキサイドである請求項1又は2に記
載の予防・治療剤。 - 【請求項4】 R1及び R2 が共に水素原子であり、カル
ボキサミド基の窒素原子に結合した基A 中の炭素原子の
絶対配置がR-配置である請求項1ないし3のいずれか1
項に記載の予防・治療剤。 - 【請求項5】 有効成分が塩酸塩の形態である請求項1
ないし4のいずれか1項に記載の予防・治療剤。 - 【請求項6】 腸管運動機能不全性疾患が便秘、腸閉
塞、及び進行性全身性硬化症からなる群から選ばれる請
求項1ないし5のいずれか1項に記載の予防・治療剤。
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