JP3244921U - 触感にすぐれる樹脂製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面に微細な表面粗さを有する突条からなる線状痕群を形成することで、極めて触感が良好な樹脂製品を提供する。【解決手段】樹脂製品は、基材12の表面に、複数の突条30からなる線状痕群が形成されており、突条は、高さが5μm~100μm、幅W1が5μm~100μmであって、表面粗さが0.5μm~15μmの凹凸36が形成されている。突条の表面粗さは、0.7μm~10μmであることが望ましい。線状痕群中の突条どうしの間隔W2は0μm~100μmとすることが望ましい。【選択図】図7
Description
本考案は、極めて触感にすぐれる樹脂製品に関するものである。
自動車や家屋、浴室などの内装部品、家電製品などに、樹脂成形品等の樹脂製品が採用されている。この種の樹脂製品では、手触り、すなわち、触感を高めるために、基材となる樹脂成形品の表面に化粧フィルムを貼着した二重構造を採用している(たとえば、特許文献1参照)。
しかしながら、このような二層構造とすることで、樹脂製品の構造や製造方法が複雑になり、また、基材と化粧フィルムで材質が異なるから、熱膨張差や経年劣化等により、基材から化粧フィルムが浮き上がってしまうこともある。
本考案は、表面に微細な表面粗さを有する突条からなる線状痕群を形成することで、極めて触感が良好な樹脂製品を提供することを目的とする。
本考案に係る触感にすぐれる樹脂製品は、
基材に複数の突条からなる線状痕群が形成されており、
前記突条の表面には、高さhが5μm~100μm、幅W1が5μm~100μmであって、表面粗さRaが0.5μm~15μmの凹凸が形成されている。
基材に複数の突条からなる線状痕群が形成されており、
前記突条の表面には、高さhが5μm~100μm、幅W1が5μm~100μmであって、表面粗さRaが0.5μm~15μmの凹凸が形成されている。
前記突条の表面粗さRaは、0.7μm~10μmであることが望ましい。
前記線状痕群中の前記突条どうしの間隔W2は0μm~100μmとすることが望ましい。
前記突条は、前記基材に対して高さ方向に振幅Aのある波形状であり、隣り合う突条どうしは振幅Aの位相がずれていることが望ましい。
前記波形状の突条の振幅Aは0.005mm~0.1mm、波長λは0.01mm~0.2mmにすることができる。
前記線状痕群は、隣り合う線状痕群どうしの間隔Wが、最も広い部分で1cm以下であることが望ましい。
前記線状痕群は、平面視ジグザグ形状にすることができる。
前記線状痕群は、平面視波形状にすることができる。
隣り合う線状痕群どうしは、位相をずらして形成することが望ましい。
隣り合う線状痕群は、平面視波形状であり、谷部が隣り合う線状痕群の山部と重なっている形態とすることができる。
本考案の樹脂製品によれば、線状痕群を構成する突条の表面粗さRaを上記のとおり設定したことにより、指先で触れたときの触感を高めることができる。とくに、突条の表面粗さを調整することで、指先と樹脂製品の表面との接触面積を極めて小さくできるから、指先が樹脂製品に吸い付いてしまうことなく、柔らかい触感とすることができる。
以下、本考案の一実施形態について、図面を参照しながら説明を行なう。
本考案の樹脂製品10は、自動車や家屋、浴室などの内装部品、家電製品などの装飾等に用いることができる。
本考案の樹脂製品10は、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂などの熱硬化性樹脂から作製することができる。また、これら樹脂は、ガラスファイバーを混合した形態であってもよい。
樹脂製品10の形状や寸法、厚さなどは特に限定されるものではなく、その用途により適宜決定することができる。
樹脂製品10は、基材12の表面に、図1に示すように、1又は複数の線状痕群20が表面に形成されている。図1の線状痕群20は、平面視波形状に線状痕群20を形成し、隣り合う線状痕群20と位相をずらすと共に、線状痕群20の谷部34を隣り合う線状痕群20の山部32と重なるようにして、意匠性を高めた形態である。
線状痕群20は、図2に示すように、基材12の表面から高さ方向に突き出た複数の突条30を含んでいる。突条30の断面形状は、図2では、矩形形状であるが、先端が細くなる台形形状や半円形状等であってもよい。
突条30は、たとえば、図2に示すように、樹脂製品10の基材12の表面に、高さhが5μm~100μm、幅W1が5μm~100μmの線状の凸体とすることができる。突条30の高さhは望ましくは10μm~90μm、幅W1は望ましくは20μm~90μmである。突条30の高さh、幅W1をこのように規定することで、ユーザーが突条30に触れたときの指先50の接触面積を小さくすることができる。
各線状痕群20中で隣り合う突条30どうしの間隔W2(図2参照)は0μm~100μmが好適であり、5μm~90μmとすることが望ましい。突条30どうしの間隔W2をこのように調整することで、指先50で線状痕群20に触れたときに、突条30の先端にのみ当接する。従って、指先50の樹脂製品10に対する接触面積を小さくできる。また、突条30どうしの間隔W2は、指紋の皮膚稜線よりも狭くなることで、指先50の皮膚稜線が突条30の先端のみに触れ、突条30間には侵入しない。このため、指先50が樹脂製品10に吸い付いてしまうような感覚もなく、より触感を高めることができる。
線状痕群20は、図3に示すように、隣り合う線状痕群どうしの間隔Wが、最も広い部分で1cm以下とすることが望ましい。また、各突条30の山部32どうしのピッチPは、図4に示すように、2cm以下とすることが望ましい。これにより、樹脂製品10をユーザーが触れたときに、指先50が突条30に当たり、突条30の形成されていない平面部分には当たることを防止でき、後述するとおり樹脂製品10の触感を高めることができる。
線状痕群20は、隣り合う線状痕群20と同位相としたり、図1に示すように隣り合う線状痕群20と位相をずらして形成することができる。また、線状痕群20は、平面視波形状として、谷部34が隣り合う線状痕群20の山部32と重なるように形成することもできる。
線状痕群20は、樹脂製品10の表面全部に形成することもできるが、ユーザーが触れることの多い部分のみに形成してもよい。
なお、突条30は、指紋の皮膚稜線よりも間隔が狭く形成することで、皮膚稜線が突条30の先端のみに触れ、突条30間には侵入しない。このため、指先50が樹脂製品10に吸い付いてしまうような感覚もなく、触感を高めることができる。
各突条30は、ジグザグに形成されているから、指先50を滑り難くすることができる。各突条30は、山部32どうしのピッチPを2cm以下とすることで、より効果を高めることができる。
本考案の樹脂製品10は、図2、図5に示すように、各突条30の少なくともユーザーの指先50が触れる部分に微細な凹凸36を形成したことを特徴としている。少なくともユーザーの指先50が触れる部分とは、突条30の先端側を意味する。図示の断面略矩形形状の突条30の場合、ユーザーの指先50が触れる部分は上面であり、半円形状の場合には基材12からの高さがたとえば1/3~1/2以上の範囲である。もちろん、矩形形状の突条30の側面や、半円形状の突条30の高さの低い部分にも微細な凹凸36があってもよい。また、線状痕群20のうち、ユーザーが触れやすい箇所の線状痕群20に含まれる突条30のみに表面粗さRaが上記規定となる凹凸36を形成することもできる。
突条30の凹凸36は、少なくともユーザーの指先50が触れる部分の表面粗さRaが0.5μm~15μmとなるように調整することが好適である。突条30の表面粗さRaは、望ましくは0.7μm~10μmである。なお、表面粗さRaは、JIS B 0601:2001に準拠して測定される。突条30の表面粗さをこのように規定することで、上記した突条30の幅W1による接触面積の低減効果に加え、ユーザーが突条30に指先50で触れたときの接触面積をさらに小さくすることができ、非常に柔らかい触感とすることができる。
本考案の樹脂製品10は、基材12の表面に上記記載の表面粗さRaを有する凹凸36が形成された突条30を含む線状痕群20を形成している。このため、ユーザーが指先50で樹脂製品10に触れたときに、ユーザーの指先50は、突条30からなる線状痕群20の突条30の先端に当たる。突条30の先端は、上記の表面粗さRaに調整されているから、指先50で触れたときに、指先50は、突条30の微細な凹凸36に当接する。これにより、指先50の樹脂製品10に対する接触面積を極めて小さくできるから、柔らかい触感を得ることができる。
本考案の樹脂製品10は、射出成形やブロー成形により作製することができる。この場合、成形金型に、線状痕群20、突条30に形成される凹凸36のパターンが転写された凹凸を形成しておけばよい。もちろん、樹脂成形品にレーザー加工を施すことで線状痕群20、突条30、突条30の表面粗さRaの凹凸36を形成してもよい。
<その他の実施形態>
線状痕群20は、隣り合う線状痕群20どうしの間隔が、最も広い部分で1cm以下とすることで、樹脂製品10に触れたときに、指先50が必ず線状痕群20に当たるから、高触感を得ることができる。
線状痕群20は、隣り合う線状痕群20どうしの間隔が、最も広い部分で1cm以下とすることで、樹脂製品10に触れたときに、指先50が必ず線状痕群20に当たるから、高触感を得ることができる。
突条30は、図1に示すように、平面視波形状のジグザグ以外に、図6(a)に示すように平面視矩形のジグザグ、図6(b)に示すように平面視のこぎり歯状のジグザグ、図6(c)に示すように同心四角形を等間隔に配置したパターンを例示することができる。もちろん、これら形状に限定されるものではない。
図2では、突条30は、基材12からの高さが同じ形態であるが、図7に示すように、突条30は、基材12に対して高さ方向に振幅のある波形状としてもよい。突条30の振幅Aは、0.005mm~0.1mmが好適であり、0.01mm~0.09mmが望ましい。また、突条30の波長λは、0.01mm~0.2mmが好適であり、0.02mm~0.1mmが望ましい。隣り合う突条30どうしの振幅は、図7に示すように位相がずれていることが望ましい。
図7(a)では、波形状の突条30は、隣り合う突条30どうしを間隔W2=0μmとして連続配置した実施形態であり、図7(b)は、隣り合う突条30どうしをW2>0μmとして間隔を存して配置した実施形態である。
突条30を波形状とすることで、突条30に起伏が生じるから、指先50で触れたときの感触に変化を与えることができ、より高触感な樹脂製品10とすることができる。
図1に示す線状痕群20を形成した本考案例の樹脂製品10を作製し、その触感を「良い、普通、悪い」の三段階で評価した。
樹脂製品10は、ABS樹脂から構成され、表面に高さhが15μm、幅W1が40μm、表面粗さRaが1.6μmの突条30からなり、突条30どうしの間隔W2が40μmである線状痕群20を形成した。各突条30は、山部32どうしのピッチPが1.1cmである。
線状痕群20は、隣り合う線状痕群20どうしの間隔Wが、最も広い部分で0.7cm以下とし、隣り合う線状痕群20と位相をずらして形成すると共に、谷部34が隣り合う線状痕群20の山部32と重なるように形成している。
上記線状痕群20を形成した樹脂製品10について、50人がその触感を評価した。その結果、90%が「良い」と評価した。
一方、比較例として表面粗さRaが本考案の範囲を外れる0.4μmと30μmである以外は本考案例と同じである樹脂製品を作製し、上記50人が本考案例と触感の比較を行なった。結果、90%以上が本考案の樹脂製品10の触感が「良い」と評価した。
上記実施形態、実施例の説明は、本考案を説明するためのものであって、実用新案登録請求の範囲に記載の考案を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本考案の各部構成は上記実施形態、実施例に限らず、実用新案請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
10 樹脂製品
20 線状痕群
30 突条
31 凹凸
32 山部
34 谷部
20 線状痕群
30 突条
31 凹凸
32 山部
34 谷部
Claims (10)
- 基材の表面に、複数の突条からなる線状痕群が形成されており、
前記突条は、高さhが5μm~100μm、幅W1が5μm~100μmであって、表面粗さRaが0.5μm~15μmの凹凸が形成されている、
触感にすぐれる樹脂製品。 - 前記突条の表面粗さRaは、0.7μm~10μmである、
請求項1に記載の樹脂製品。 - 前記線状痕群中の前記突条どうしの間隔W2は0μm~100μmである、
請求項2に記載の触感にすぐれる樹脂製品。 - 前記突条は、前記基材に対して高さ方向に振幅のある波形状であり、隣り合う突条どうしは振幅Aの位相がずれている、
請求項3に記載の触感にすぐれる樹脂製品。 - 前記波形状の突条は、振幅Aが0.005mm~0.1mm、波長λが0.01mm~0.2mmである、
請求項4に記載の触感にすぐれる樹脂製品。 - 前記線状痕群は、隣り合う線状痕群どうしの間隔Wが、最も広い部分で1cm以下である、
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の触感にすぐれる樹脂製品。 - 前記線状痕群は、平面視ジグザグ形状である、
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の樹脂製品。 - 前記線状痕群は、平面視波形状である、
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の樹脂製品。 - 隣り合う線状痕群どうしは、位相をずらして形成される、
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の触感にすぐれる樹脂製品。 - 隣り合う線状痕群は、平面視波形状であり、谷部が隣り合う線状痕群の山部と重なっている、
請求項9に記載の触感にすぐれる樹脂製品。
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