JP3243741B2 - 積層体の電磁誘導加熱方法とその装置 - Google Patents

積層体の電磁誘導加熱方法とその装置

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JP3243741B2
JP3243741B2 JP33890697A JP33890697A JP3243741B2 JP 3243741 B2 JP3243741 B2 JP 3243741B2 JP 33890697 A JP33890697 A JP 33890697A JP 33890697 A JP33890697 A JP 33890697A JP 3243741 B2 JP3243741 B2 JP 3243741B2
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induction heating
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克也 松村
康則 田中
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正稔 梅宮
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、円形又は角形の
薄い鋼板と円形又は角形の未加硫ゴム層とを交互に積層
してなる円柱体状又は角柱体状の積層体を、電磁誘導加
熱する方法と、同加熱方法に使用する電磁誘導加熱(In
duction Heating:以下、IHともいう)装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】上記した電磁誘導加熱装置は、一般的に
は、電気抵抗式ヒータに比べて加熱部分がないことから
安全性に優れているとして、すき焼き・鍋もの用や天麩
羅用などのIH加熱調理器およびIH炊飯器などに使用
されている。例えば、IH加熱調理器の場合には、通
常、非磁性体の周囲に電磁誘導コイルを巻装し、その上
面に配設した磁束拡散部材としてのプレート上に、磁性
体からなる鉄鍋やフライパンなどの容器を載置し、交流
電源から電磁誘導コイルに電圧を印加することにより、
電磁誘導コイルで磁力線を発生させ、この磁力線を磁束
拡散部材で容器の底面の幅方向全体に拡散させて、容器
の主に底部を平行に透過させるよって渦電流が流れてジ
ュール熱を発生させ、容器自体を加熱する間接加熱方式
からなっている。なお、電磁誘導加熱装置の先行技術
に、例えば、特開平6−208888号公報および特開
平8−264272号公報に記載のものがある。
【0003】ところで、上記した円形又は角形の薄い鋼
板と円形又は角形の未加硫ゴム層とを交互に積層し、未
加硫ゴム層を加硫してなる円柱体状又は角柱体状の積層
体を備えたものに、免震装置や防振装置や支承装置があ
る。こうした装置は、建物や構造物の基礎部に介設さ
れ、主に地震発生時の振動を吸収して建物や構造物に地
面からの振動が伝わるのを抑制したり、走行する車の振
動や騒音が周辺に拡散されるのを防止したりするのに使
用される。この種の積層体の高さは50〜500mm前
後で、円柱状の外径は200mm〜1500mm程度ま
で、角柱状のものは200mm〜2000mm角までそ
れぞれ各種サイズがある。また、積層体の上下にフラン
ジを備えたものがあるが、そのフランジは積層体本体か
ら半径方向外方に200mm前後張り出す大きさのもの
が一般的である。
【0004】鋼板と未加硫ゴム層とを交互に積層して積
層体が成形されると、金型内に収容され、一定の圧力下
において金型内に蒸気を流入させ、20℃〜130℃前
後まで加熱することにより加硫されている。つまり、こ
の種の積層体は、従来、常温から予熱することなく加硫
されるというのが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た免震装置等の積層体の加硫のための従来の加熱方法や
同装置には、次のような問題点がある。すなわち、 1) 図4に外径1000mm・高さ375mmの積層体
の場合の加硫の最高温度と最低温度の温度線図を示すよ
うに、常温から一定の加圧下で加熱して加硫する方法で
は加硫作業の終了までの長時間を要し、生産効率が非常
に低い。
【0006】2) 図4に示すように、加硫の全工程を通
じて積層体の内部と外部の温度差(最高温度と最低温度
の差)が大きく、加硫作業の進行に著しい差異が生じ
る。つまり、蒸気を金型を通して積層体の外表面に伝熱
作用により加熱するため、外表面付近のみの温度が上昇
し、内部まで温度が上昇するには長時間を要するので、
積層体のゴム層の品質に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0007】この発明は上述の点に鑑みなされたもの
で、積層体の加硫終了までに必要な時間を大幅に短縮し
て生産効率を向上するとともに、加熱時の積層体の内外
の温度差を縮小して品質を均一化して全体的に向上する
ことができる積層体の電磁誘導加熱方法と電磁誘導加熱
装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために本発明の請求項1にかかる積層体の電磁誘導加熱
方法は、円形又は角形の薄い鋼板と円形又は角形の未加
硫ゴム層とを交互に積層してなる円柱体状又は角柱体状
の積層体を、電磁誘導加熱する方法において、前記積層
体の上下両端にあらかじめ外側方に張り出す磁性体のフ
ランジを取り付けておき、前記積層体の周囲に配置する
電磁誘導用コイルの高さを、前記積層体の高さの1.5
倍以上にし、前記電磁誘導用コイルの上下方向の中間位
置に前記積層体を保持した状態で前記電磁誘導用コイル
に交流を流すことにより発生する磁力線を、積層体の鋼
板を直交する方向に透過させることによって前記鋼板に
渦電流を流して発熱させ、前記未加硫ゴム層を加熱する
ことを特徴とするものである。
【0009】上記の構成を有する本発明の請求項1にか
かる電磁誘導加熱方法によれば、電磁誘導用コイルに交
流電圧を印加して電流を流すことにより、積層体の鋼板
を直交するように磁力線が透過し、これらの磁力線によ
り、各鋼板に対し渦電流が流れて、ジュール熱が発生す
る。磁力線の強さは鋼板の外周部から中心部にかけて漸
次弱くなっていくが、鋼板は熱伝導性が良好であるか
ら、鋼板の中心部で発生する熱量は外周部に比べて低い
が、鋼板はほぼ均一に熱くなり、鋼板間の未加硫ゴム層
もほぼ均一に加熱される。また、積層体は上下に磁性体
(例えば鉄製)のフランジを取り付けているから、磁束
が上下のフランジに集まり、積層体の温度上昇がフラン
ジを具備しない積層体に比べて早く、しかもフランジ自
体の蓄熱効果が高いために、積層体が局部的に加熱され
て急速に温度が上昇することが抑えられ、積層体への伝
熱が均等にかつ効率よく行われる。さらに、電磁誘導用
コイルの高さを積層体の高さの1.5倍以上にし、前記
電磁誘導用コイルの上下方向の中間位置に前記積層体を
保持して電磁誘導加熱するから、積層体を透過する磁束
がほぼ直線状態になってそれぞれの磁束が平行に積層体
を透過し、積層体がほぼ均等に加熱されて均熱化が得ら
れるので、磁束による発熱作用が最大限に発揮される。
【0010】したがって、本発明にかかる電磁誘導によ
る積層体の加熱方法では、従来の金型内に積層体を収容
して蒸気で加熱する方法と違って未加硫ゴム層の内部
(中心部)も外周部とほぼ同様に加熱されるために、内
外の温度差が小さく、品質も大幅に向上する。なお、積
層体の種類によっては、鉄製などの磁性体からなるフラ
ンジを備えたものがあるが、この場合には、特にフラン
ジを取り付ける必要がなく、そのまま使用できる。
【0011】請求項2に記載のように、前記積層体の未
加硫ゴム層を電磁誘導加熱して予熱した後、同積層体を
金型内に挿入し、一定の加圧下で加熱して加硫すること
が好ましい。
【0012】この構成により、図4に一例を示すよう
に、積層体の未加硫ゴムを加硫するのに際し、積層体を
100℃以上になるまで予熱してから、同積層体を金型
内に挿入して蒸気による従来の加硫作業を行うことで、
従来の常温から加硫する方法に比べて加硫に要する時間
が予熱に要した時間を含めてほぼ1/5と大幅に短縮さ
れる。また、予熱を含めて加硫に要する時間が短縮され
るから、ランニングコストが低減され、経済的である。
【0013】上記の請求項1又は2を実施するための本
発明の請求項3にかかる装置は、円形又は角形の薄い鋼
板と円形又は角形の未加硫ゴム層とを交互に積層してな
る円柱体状又は角柱体状の積層体を加熱するための電磁
誘導加熱装置であって、前記積層体の上下両端にあらか
じめ外側方に張り出す磁性体のフランジを取り付けてお
き、前記積層体を完全に収容可能な非磁性体からなる筒
状ケースの外周面のほぼ全体にわたって、電磁誘導用コ
イルを巻装して交流電源に接続するとともに、前記筒状
ケース上の前記電磁誘導用コイル部分の高さを、前記積
層体の高さの1.5倍以上にしたことを特徴としてい
【0014】上記構成を有する本発明の請求項3記載の
電磁誘導加熱装置によれば、上記の加熱方法を確実に実
施でき、しかも構造が簡単で、従来の蒸気による加熱の
ランニングコストに比べてかなり低減される。また、前
記筒状ケース上の前記電磁誘導用コイル部分の高さを、
前記積層体の高さの1.5倍以上にしたから、積層体を
透過する磁束がほぼ直線状態になってそれぞれの磁束が
平行に積層体を透過し、積層体がほぼ均等に加熱されて
均熱化が得られるので、磁束による発熱作用が最大限に
発揮される。
【0015】上記の請求項1又は2を実施するための本
発明の請求項4にかかる装置は、円形又は角形の薄い鋼
板と円形又は角形の未加硫ゴム層とを交互に積層してな
る円柱体状又は角柱体状の積層体を加熱するための電磁
誘導加熱装置であって、前記積層体は、その上下両端に
外側方に張り出す磁性体のフランジを備え前記積層体
を搭載して搬送する台車とともに搬入可能な枠状架台上
に、該積層体を完全に収容可能な非磁性体からなる上下
両端を開口した筒状ケースを設置し、該筒状ケースの外
周面のほぼ全体にわたって電磁誘導用コイルを巻装して
交流電源に接続するとともに、前記台車上に前記積層体
を昇降可能な昇降機構を配備し、前記筒状ケースの下端
開口から前記積層体を筒状ケース内に出し入れできるよ
うに構成したことを特徴としている
【0016】請求項4記載の装置によれば、上記の加熱
方法を確実に実施でき、しかも構造が簡単で、従来の蒸
気による加熱のランニングコストに比べてかなり低減さ
れ、また、電磁誘導用コイル部分の高さ(H)が積層体
の高さ(h)より高く(H>h)、いいかえれば電磁誘
導用コイル部分内に積層体が完全に収容されているか
ら、全ての磁束が積層体を透過し、効率よく積層体が加
熱されるのに加えて、さらに、電磁誘導加熱装置に対す
る積層体の出し入れを昇降機構によって簡単に行えるだ
けでなく、積層体の成形(積層)工程から予熱工程への
積層体の移動や予熱工程から加硫工程への積層体の移動
も台車を使用して、容易に行うことができる。
【0017】請求項5に記載のように、請求項4記載の
電磁誘導加熱装置において前記筒状ケース上の前記電磁
誘導用コイル部分の高さを、前記積層体の高さの1.5
倍以上にして、筒状ケース内の電磁誘導用コイル部分の
上下方向の中間位置に積層体を保持した状態で電磁誘導
加熱することが好ましい。
【0018】請求項5記載の装置によれば、前記筒状ケ
ース上の前記電磁誘導用コイル部分の高さを、前記積層
体の高さの1.5倍以上にしたから、積層体を透過する
磁束がほぼ直線状態になってそれぞれの磁束が平行に積
層体を透過し、積層体がほぼ均等に加熱されて均熱化が
得られるので、磁束による発熱作用が最大限に発揮され
る。
【0019】請求項6に記載のように、前記筒状ケース
の上下両端の開口に、磁性体で形成した蓋体を設けてい
る。
【0020】請求項6記載の装置によれば、ケースの周
囲だけでなく、蓋体付近にも磁力線が生じるために、電
磁誘導効率が向上し、またケース内を平行に透過する磁
力線がほぼ平行になるから、積層体の鋼板の加熱状態が
より均一化され、未加硫ゴム層の加熱がより均等に行わ
れる。またケースの開口が蓋体で塞がれているので、熱
流が生じてケース内の熱量が外部に逃げることが抑制さ
れるために、熱効率が上がり、電力消費量が削減され
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、この発明にかかる鋼板と未
加硫ゴム層からなる積層体の加熱方法と電磁誘導加熱装
置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】図1は電磁誘導加熱装置の実施例を示す正
面図である。図2・図3は積層体の成形工程から加硫工
程までの各工程を順に示す側面図である。
【0023】図1に示すように、免震装置用の積層体を
予熱するための電磁誘導加熱装置1が、前後左右および
上面が開放された枠状架台11上に一体に設置されてい
る。加熱装置1は免震装置用の積層体Aに対応する上下
両端を開口した円筒体からなり、非磁性体のステンレス
製の円筒状ケース2の外周面に、絶縁被覆したアルミニ
ウムの電磁誘導用コイル3が上端から下端にわたり巻装
されている。また、コイル3の外周側に非磁性体のステ
ンレス製の円筒状ケース4が被装されている。
【0024】積層体Aは、本例では鋼材(SS)からな
る円柱状の中芯31の下端が下記のフランジ10の中心
部に螺着されている。フランジ10上に中心孔cを備え
た最下層の薄い円形鋼板Cが載置され、円形鋼板C上に
中心孔bを備えた薄い円形の未加硫ゴム層Bが載置され
ている。この未加硫ゴム層Bを上面に設けた円形鋼板C
が順に積み重ねられ、鋼板Cと未加硫ゴム層Bを交互に
積層した積層体Aが成形される。また積層体Aの上下両
端には、磁性体である鉄製のフランジ10を取り付けて
おり、このフランジ10は積層体Aの外周面より半径方
向外方に張り出す大きさにしている。なお、フランジ1
0は、通常、積層体Aの上下両端に取り付けられたま
ま、最終製品となる。また積層体Aの種類によっては、
フランジ10を備えたものもあり、この場合には特にフ
ランジ10を取り付ける必要がないことは言うまでもな
い。
【0025】積層体Aは台車21上で成形されたり台車
21で搬送されたりするが、台車21上には油圧シリン
ダ(図示せず)の伸縮動により昇降するパンタグラフ式
昇降機構22が搭載されており、昇降機構22の上端の
リング状載置台23に積層体Aの下部フランジ10が載
置され支持される。そして、台車21を架台11内の中
心部に搬入した状態で、昇降機構22により載置台23
を上昇させることにより、積層体Aは加熱装置1内に挿
入される。
【0026】この状態で、交流電源により電圧(本例で
は50〜60Hz・200V)を印加することにより、
図5に示すように円筒状ケース2・4を各位置で取り囲
み、ケース2内を上下方向に平行に透過する交流磁界
(磁力線)が発生する。ケース2内には、積層体Aの鋼
板Cが水平方向に何重にも積層されて位置し、それらの
鋼板Cを上下方向に直交するように磁力線が透過する。
この磁力線により、各鋼板Cに対し渦電流が流れて、ジ
ュール熱が発生する。磁力線の強さはケース2の内周面
から離れるほど、いいかえれば鋼板Cの外周部から中心
部にかけて漸次弱くなる。しかし、鋼板Cは導電体であ
り熱伝導性に富むから、鋼板Cの中心部で発生する熱量
は外周部に比べて低いが、鋼板Cはほぼ均一に熱くなる
ため、鋼板C間の未加硫ゴム層Bもほぼ均一に加熱され
る。また、積層体Aの上下両面に鉄製のフランジ10を
取り付けているため、電磁誘導の磁束がフランジ10に
集約され、積層体Aを直交する方向に透過するととも
に、フランジ10に対しても渦電流が流れてジュール熱
が発生し、フランジ10に蓄熱され、その熱が積層体A
に徐々に伝熱されていく。これは、図4の温度線図によ
り、予熱時の内外温度差が非常に小さいことから明らか
である。また電磁誘導による発熱効率の面からは、磁力
線に平行に鋼板Cを配置する方が有利であるが、上記積
層体Aをそのように配置すると、積層体A内の鋼板Cの
位置によって鋼板Cが発生するジュール熱に大きな差異
が生じて、未加硫ゴム層Bの加硫状況が著しく異なるた
め、上記したように磁力線に直交する方向に鋼板Cが位
置するように積層体Aを配置している。
【0027】上記のようにして構成される本実施例の電
磁誘導加熱装置1により、外径1000mm、高さ37
5mmの積層体Aの上下両端に外径1400mmのフラ
ンジ10を取り付けた状態で、200V(60Hz)の
電圧を電磁誘導用コイル3に印加して電流を流したとこ
ろ、図4に示すとおり、積層体A内の未加硫ゴム層Bの
温度が従来の加硫時間の1/40程度で100℃以上ま
で上昇し、しかも外周部と中心部の温度差はほとんどな
くなった。そこで、予熱工程を終了し、従来と基本的に
同様の方法で蒸気による加硫を行ったところ、従来の加
硫時間の約1/5前後の時間で未加硫ゴム層Bは加硫さ
れた。結果的に、予熱・加硫工程に費やした時間は、従
来の蒸気による加硫時間に比べて、1/5程度に大幅に
短縮されたことになる。しかも、図7に示すように、積
層体A内の未加硫ゴム層Bの温度は外周部と中心部およ
びその中間部で差がほとんどないだけでなく、積層体A
の上下方向(高さ)の位置の違いでも温度差は小さかっ
た。図7は電磁誘導用コイル3に予熱終了通電後におけ
る未加硫ゴム層Bの各位置での温度測定結果を示すもの
で、上外は上部外周部、上中は上部中間部(半径方向の
中間位置)、上内は上部中心部、1/4内は下から1/
4の高さにおける中心部、1/4中は下から1/4の高
さにおける中間部、1/4中は下から1/4の高さにお
ける中心部を表し、結果的に100℃〜92℃で、温度
差は最大でも8℃以内であった。
【0028】さて、図2・図3は積層体Aの成形(積
層)工程から加硫工程までの手順を順に示すが、 図3に示すように、積層体Aは台車21の載置台2
3上に、鋼板Cと未加硫ゴム層Bとが交互に積層される
(図2(a))。図示は省略するが、積層体Aの側周面に
も未加硫ゴム層を巻く場合が一般的である。
【0029】 積層体Aは台車21ごと、架台11内
に搬入され、昇降機構22により上昇され、積層体Aは
加熱装置1内に挿入される(図2(b))。そして、上記
したように交流電圧が印加されて電磁誘導加熱により予
熱される。図示は省略するが、加熱装置1の上下両端の
開口を蓋体で閉塞すると、熱が逃げるのが防止される。
また蓋体を鉄板などの磁性体で形成すると、磁束が蓋体
に集約されるので、予熱時間はさらに短縮される。ま
た、加熱装置1の上下開口に磁性体からなる蓋体を配置
した状態で、コイル3に電圧を印加すると、蓋体の周囲
にも磁力線が発生して電磁誘導効率が向上する。
【0030】さらに上記実施例では、60Hzの低周波
の交流電圧を印加して電流を供給したので、効率は低い
が、鋼板Cを比較的均等に加熱することができた。しか
し、効率を上げるためにインバータで高周波の交流電圧
に変換してコイル3に電圧を印加して電流を流すことも
できる。
【0031】 昇降機構22により電磁誘導加熱装置
1から積層体Aを下降させて、架台11内に抜き出す。
それから、台車21に搭載した状態で、金型型組工程の
作業場所へ搬送する。
【0032】ここで、円筒状の側金型15を積層体Aの
周囲に被せるとともに、側金型15の上端に中央部が開
口した円板状の上部金型16を組み付ける(図3
(a))。
【0033】 台車21により、プレス加硫工程の作
業場所へ搬送する。台車21上からクレーン等により吊
り上げ、側金型15の下端に中央部が開口した円板状の
下部金型17を組み付けたのち、下熱盤18上に積層体
Aを位置決めして載置する。続いて、上熱盤19を積層
体A上に配置し、所定の加圧力をかけるとともに、上下
の熱盤18・19を加熱して積層体A内の未加硫ゴム層
Bを加硫する(図3(b))。
【0034】上記に本発明にかかる電磁誘導加熱装置の
一例を示したが、本発明は下記のように実施することが
できる。
【0035】a.積層体Aは円柱体に限らず、角柱体の
場合があるが、この場合には、ケースの形状を積層体A
の形状に対応して角筒状に形成する。
【0036】b.図6に積層体A’と、この積層体A’
に対応する電磁誘導加熱装置1’を示す。同図に示すよ
うに、上下両面のフランジ10が積層体A’よりも小径
で積層体A’の直径が600mmで、高さは375mm
である。積層体A’用の電磁誘導加熱装置1’の高さは
積層体A’の約3倍で、内径は積層体を収容できるよう
に積層体A’の外径よりやや大きくしてある。電磁誘導
加熱装置1’の基本構造は変わるものでなく、上記実施
例と共通しているので、共通の部材には同一の符号を付
して説明を省略する。
【0037】本例の場合には、フランジ10の外径が積
層体A’のそれよりもやや小さいので、フランジ10の
蓄熱容量が小さく、上記実施例に比べて積層体への伝熱
を均等に行う効果は低いが、磁束が上下のフランジ10
に集められるので、積層体の温度上昇はフランジを具備
しない積層体に比べて早いという効果は変わらない。
【0038】c.本発明は免震装置用の積層体に限ら
ず、鋼板と未加硫ゴム層とを交互に積層してなる各種積
層体の加熱(予熱)に適用できることは言うまでもな
い。
【0039】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明にかかる積層体の電磁誘導加熱方法とその装置に
は、次のような優れた効果がある。
【0040】(1) 従来の金型内に積層体を収容して蒸気
で加熱する方法と違って未加硫ゴム層の内部(中心部)
も外周部とほぼ同様に加熱されるために、内外の温度差
が小さく、品質も大幅に向上する。また、予熱を含めて
加硫に要する時間が短縮されるから、ランニングコスト
が低減され、経済的である。
【0041】さらに、電磁誘導用コイル部分の高さを積
層体の1.5倍以上にし、前記電磁誘導用コイルの上下
方向の中間位置に前記積層体を保持して電磁誘導加熱す
るから、積層体を透過する磁束がほぼ直線状態になって
それぞれの磁束が平行に積層体を透過し、積層体がほぼ
均等に加熱されて均熱化が得られるので、磁束による発
熱作用が最大限に発揮される。
【0042】(2) 請求項2の発明では、積層体の未加硫
ゴムを加硫するのに際し、積層体を100℃以上になる
まで予熱してから、同積層体を金型内に挿入して蒸気に
よる従来の加硫を行うことで、従来の常温から加硫する
方法に比べて加硫に要する時間が予熱に要した時間を含
めてほぼ1/5と大幅に短縮される。
【0043】(3) 請求項3の発明では、本発明にかかる
上記の加熱方法を確実に実施でき、しかも構造が簡単
で、従来の蒸気による加熱のランニングコストに比べて
かなり低減される。しかも電磁誘導用コイル部分の高さ
を積層体の1.5倍以上にしたから、積層体を透過する
磁束がほぼ直線状態になってそれぞれの磁束が平行に積
層体を透過し、積層体がほぼ均等に加熱されて均熱化が
得られるので、磁束による発熱作用が最大限に発揮され
る。
【0044】(4) 請求項4記載の発明は、本発明にかか
る上記の加熱方法を確実に実施でき、しかも構造が簡単
で、従来の蒸気による加熱のランニングコストに比べて
かなり低減される。しかも電磁誘導加熱装置に対する積
層体の出し入れを昇降機構によって簡単に行えるだけで
なく、積層体の成形(積層)工程から予熱工程への積層
体の移動や予熱工程から加硫工程への積層体の移動も台
車を使用して、容易に行うことができる。
【0045】(5) 請求項5記載の発明では、電磁誘導用
コイル部分の高さを積層体の1.5倍以上にしたから、
積層体を透過する磁束がほぼ直線状態になってそれぞれ
の磁束が平行に積層体を透過し、積層体がほぼ均等に加
熱されて均熱化が得られるので、磁束による発熱作用が
最大限に発揮される。
【0046】(6) 請求項6記載の発明では、ケースの周
囲だけでなく、蓋体付近にも磁力線が生じるために、電
磁誘導効率が向上し、またケース内を平行に透過する磁
力線がほぼ平行になるから、積層体の鋼板の加熱状態が
より均一化され、未加硫ゴム層の加熱がより均等に行わ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電磁誘導加熱装置の実施例を示
す正面図である。
【図2】図2(a)および(b)は図3とともに積層体の成
形工程から加硫工程までの各工程を順に示す側面図であ
る。
【図3】図3(a)および(b)は図2とともに積層体の成
形工程から加硫工程までの各工程を順に示す側面図であ
る。
【図4】外径1000mm・高さ375mmの積層体の
場合に置ける本発明による予熱時・加硫時の最高温度と
最低温度を示す温度線図と、従来の蒸気による加硫時の
最高温度と最低温度を示す温度線図である。
【図5】図5(a)は本発明の電磁誘導加熱の原理を示す
中央縦断面図、図5(b)は積層体A中の鋼板Cを示す斜
視図である。
【図6】種類の異なる積層体A’と、この積層体A’に
対応する電磁誘導加熱装置1’を概略的に示す中央縦断
面図である。
【図7】電磁誘導用コイル3に予熱終了通電後における
未加硫ゴム層Bの各位置での温度測定結果を示す線図で
ある。
【符号の説明】
1 電磁誘導加熱装置 2・4 円筒状ケース 3 電磁誘導用コイル 10 フランジ 11 枠状架台 15 側金型 16 上部金型 17 下部金型 18 下熱盤 19 上熱盤 21 台車 22 昇降機構 23 載置台 31 中芯 A 積層体 B 未加硫ゴム層 C 鋼板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 31:00 B29L 31:00 (72)発明者 梅宮 正稔 兵庫県神戸市兵庫区明和通3丁目2番15 号 バンドー化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平11−99521(JP,A) 特開 平10−193504(JP,A) 特開 平10−138259(JP,A) 特開 平10−244547(JP,A) 特開 平10−193504(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 35/00 - 35/18 B32B 15/00 - 15/20 B29D 9/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円形又は角形の薄い鋼板と円形又は角形
    の未加硫ゴム層とを交互に積層してなる円柱体状又は角
    柱体状の積層体を、電磁誘導加熱する方法において、 前記積層体の上下両端にあらかじめ外側方に張り出す磁
    性体のフランジを取り付けておき、 前記積層体の周囲に配置する電磁誘導用コイルの高さ
    を、前記積層体の高さの1.5倍以上にするとともに、
    前記電磁誘導用コイルの上下方向の中間位置に前記積層
    体を保持した状態で前記電磁誘導用コイルに交流を流す
    ことにより発生する磁力線を、積層体の鋼板を直交する
    方向に透過させることによって前記鋼板に渦電流を流し
    て発熱させ、前記未加硫ゴム層を加熱することを特徴と
    する積層体の電磁誘導加熱方法。
  2. 【請求項2】 前記積層体を電磁誘導加熱して予熱した
    後、同積層体を金型内に挿入し、一定の加圧下で加熱し
    て加硫する請求項1記載の積層体の電磁誘導加熱方法。
  3. 【請求項3】 円形又は角形の薄い鋼板と円形又は角形
    の未加硫ゴム層とを交互に積層してなる円柱体状又は角
    柱体状の積層体を加熱するための電磁誘導加熱装置であ
    って、 前記積層体の上下両端にあらかじめ外側方に張り出す磁
    性体のフランジを取り付けておき、 前記積層体を完全に収容可能な非磁性体からなる筒状ケ
    ースの外周面のほぼ全体にわたって、電磁誘導用コイル
    を巻装して交流電源に接続するとともに、 前記筒状ケース上の前記電磁誘導用コイル部分の高さ
    を、前記積層体の高さの1.5倍以上にした ことを特徴
    とする電磁誘導加熱装置。
  4. 【請求項4】 円形又は角形の薄い鋼板と円形又は角形
    の未加硫ゴム層とを交互に積層してなる円柱体状又は角
    柱体状の積層体を加熱するための電磁誘導加熱装置であ
    って、 前記積層体は、その上下両端に外側方に張り出す磁性体
    のフランジを備え前記積層体を搭載して搬送する台車とともに搬入可能な
    枠状架台上に、該積層 体を完全に収容可能な非磁性体か
    らなる上下両端を開口した筒状ケースを設置し、該筒状
    ケースの外周面のほぼ全体にわたって電磁誘導用コイル
    を巻装して交流電源に接続するとともに、 前記台車上に前記積層体を昇降可能な昇降機構を配備
    し、前記筒状ケースの下端開口から前記積層体を筒状ケ
    ース内に出し入れできるように構成した ことを特徴とす
    る電磁誘導加熱装置。
  5. 【請求項5】 前記筒状ケース上の前記電磁誘導用コイ
    ル部分の高さを、前記積層体の高さの1.5倍以上にし
    た請求項4記載の電磁誘導加熱装置。
  6. 【請求項6】 前記筒状ケースの上下両端の開口に、磁
    性体で形成した蓋体を取り付ける請求項3記載の電磁誘
    導加熱装置。
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