JP2965948B2 - 積層体の電磁誘導加熱方法とその装置 - Google Patents

積層体の電磁誘導加熱方法とその装置

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JP2965948B2
JP2965948B2 JP2412198A JP2412198A JP2965948B2 JP 2965948 B2 JP2965948 B2 JP 2965948B2 JP 2412198 A JP2412198 A JP 2412198A JP 2412198 A JP2412198 A JP 2412198A JP 2965948 B2 JP2965948 B2 JP 2965948B2
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康則 田中
正一 長井
克也 松村
正稔 梅宮
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、円形又は角形の
薄い鋼板と円形又は角形の未加硫ゴム層とを交互に積層
してなる円柱体状又は角柱体状の積層体を、電磁誘導加
熱(Induction Heating:以下、IHともいう)する方
法と、同加熱方法に使用する電磁誘導加熱装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】上記した電磁誘導加熱装置は、一般的に
は、電気抵抗式ヒータに比べて加熱部分がないことから
安全性に優れているとして、すき焼き・鍋もの用や天麩
羅用などのIH加熱調理器およびIH炊飯器などに使用
されている。例えば、IH加熱調理器の場合には、通
常、非磁性体の周囲に電磁誘導コイルを巻装し、その上
面に配設した磁束拡散部材としてのプレート上に、磁性
体からなる鉄鍋やフライパンなどの容器を載置し、交流
電源から電磁誘導コイルに電圧を印加することにより、
電磁誘導コイルで磁力線を発生させ、この磁力線を磁束
拡散部材で容器の底面の幅方向全体に拡散させて、容器
の主に底部を平行に透過させるよって渦電流が流れてジ
ュール熱を発生させ、容器自体を加熱する間接加熱方式
からなっている。なお、電磁誘導加熱装置の先行技術
に、例えば、特開平6−208888号公報および特開
平8−264272号公報に記載のものがある。
【0003】ところで、上記した円形又は角形の薄い鋼
板と円形又は角形の未加硫ゴム層とを交互に積層し、未
加硫ゴム層を加硫してなる円柱体状又は角柱体状の積層
体を備えたものに、免震装置や防振装置や支承装置があ
る。こうした装置は、建物や構造物の基礎部に介設さ
れ、主に地震発生時の振動を吸収して建物や構造物に地
面からの振動が伝わるのを抑制したり、走行する車の振
動や騒音が周辺に拡散されるのを防止したりするのに使
用される。この種の積層体の高さは50〜500mm前
後で、円柱状の外径は200mm〜1500mm程度ま
で、角柱状のものは200mm〜2000mm角までそ
れぞれ各種サイズがある。また、積層体の上下にフラン
ジを備えたものがあるが、そのフランジは積層体本体か
ら半径方向外方に200mm前後張り出す大きさのもの
が一般的である。
【0004】鋼板と未加硫ゴム層とを交互に積層して積
層体を成形すると、金型内に収容して一定の圧力下にお
いて金型内に蒸気を流入し、20℃〜130℃前後まで
加熱することにより加硫している。つまり、この種の積
層体では、従来、常温から予熱することなく加硫すると
いうのが一般的な加硫方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た免震装置等の積層体の加硫のための従来の加熱方法や
同装置には、次のような問題点がある。すなわち、 1) 図12に外径1000mm・高さ375mmの積層
体の場合の加硫の最高温度と最低温度の温度線図を示す
ように、常温から一定の加圧下で加熱して加硫する方法
では加硫作業の終了までに長時間を要し、生産効率が非
常に低い。
【0006】2) 図12に示すように、加硫の全工程を
通じて積層体の内部と外部の温度差(最高温度と最低温
度の差)が大きく、加硫作業の進行に著しい差異が生じ
る。つまり、蒸気を金型を通して積層体の外表面に伝熱
作用により加熱するため、外表面付近のみの温度が上昇
し、内部まで温度が上昇するには長時間を要するので、
積層体のゴム層の品質に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0007】この発明は上述の点に鑑みなされたもの
で、積層体の加硫終了までに必要な時間を大幅に短縮し
て生産効率を向上するとともに、加熱時の積層体の内外
の温度差を縮小して品質を均一化して全体的に向上する
ことができる積層体の電磁誘導加熱方法と電磁誘導加熱
装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために本発明の請求項1に係る積層体の電磁誘導加熱方
法は、円形又は角形の薄い鋼板と円形又は角形の未加硫
ゴム層とを交互に積層してなる円柱体状又は角柱体状の
積層体の周囲に配置した電磁誘導用コイルに交流を流す
ことにより発生する磁力線を、前記積層体の鋼板を直交
する方向に透過させることによって前記鋼板に渦電流を
流して発熱させ、前記未加硫ゴム層を加熱する電磁誘導
加熱する方法であって、前記電磁誘導用コイル内の前記
積層体の上下両端に、磁束収集用の磁性体蓋体をそれぞ
れ取り付けるとともに、前記磁性体蓋体を、鋼鉄製円盤
体で該円盤体の円周方向の一部をその中心から外周にか
けて半径方向に所定幅で切除して切れ目を入れて形成す
ものである。
【0009】上記の構成を有する本発明の請求項1に係
電磁誘導加熱方法によれば、電磁誘導用コイルに交流
電圧を印加して電流を流すことにより、積層体の上下両
面に取り付けた磁束収集用の磁性体蓋体によって磁力線
が誘引されて収集されたうえ、それらの磁力線が鋼板を
直交するように透過する。そして、それらの磁力線によ
り、各鋼板に対し渦電流が流れて、ジュール熱が発生す
る。磁力線の強さは鋼板の外周部から中心部にかけて漸
次弱くなっていくが、鋼板は熱伝導性が良好であるか
ら、鋼板の中心部で発生する熱量は外周部に比べて低い
が、鋼板はほぼ均一に熱くなり、鋼板間の未加硫ゴム層
もほぼ均一に加熱される。また、磁性体蓋体が電磁誘導
加熱されつつある積層体からの放熱を防止する。しか
も、鋼鉄製円盤体からなる蓋体の円周方向の一部がその
中心から外周にかけて半径方向に切除されている、つま
り切れ目が入れてあるから、磁力線を受けて1ターン
(一周)渦電流が生じることによるジュール熱の発生が
防止され、磁性体蓋体自体が発熱するのが防止される。
【0010】したがって、本発明に係る電磁誘導による
積層体の加熱方法では、従来の、加硫時に金型内に積層
体を収容して蒸気で加熱する方法と違って未加硫ゴム層
の内部(中心部)も磁力線が透過し、ほぼ同様に加熱さ
れるために、内外の温度差が小さく、品質も大幅に向上
する。なお、積層体の種類によっては、鉄製などの磁性
体からなるフランジを上下に備えたものがあるが、この
場合には、特にフランジが同時に加熱され、フランジに
蓄熱された熱が積層体に伝達されるので、積層体がより
均一に加熱される。
【0011】請求項2記載のように、前記磁性体蓋体
を、前記切れ目を有する前記鋼鉄製蓋体の一面の中心部
に、ケイ素鋼板を隙間が生じないように渦巻き状に巻付
けた円柱状の蓋体を接合した山高帽形から形成すること
ができる。 請求項2記載の構成により、電磁誘導用コイ
ルに交流電圧を印加して電流を流すことにより発生する
磁力線が山高帽形の蓋体に収集され、磁力線が積層体の
加熱に高効率で有効に寄与し、また蓋体によって磁力線
が積層体Aの中心部寄りに収束されるので、積層体の中
心部付近も加熱される。
【0012】請求項3記載の電磁誘導加熱方法は、円形
又は角形の薄い鋼板と円形又は角形の未加硫ゴム層とを
交互に積層してなる円柱体状又は角柱体状の積層体の周
囲に配置した電磁誘導用コイルに交流を流すことにより
発生する磁力線を、前記積層体の鋼板を直交する方向に
透過させることによって前記鋼板に渦電流を流して発熱
させ、前記未加硫ゴム層を加熱する電磁誘導加熱する方
法であって、 前記電磁誘導用コイル内の前記積層体の上
下両端に、磁束収集用の磁性体蓋体をそれぞれ取り付け
るとともに、前記磁性体蓋体を、一定高さの帯状で厚み
の非常に薄いケイ素鋼板を渦巻き状に隙間なく巻き付け
て円柱体又は角柱体から形成している。 請求項3記載の
電磁誘導による積層体の加熱方法では、上記の請求項1
に係る発明と同様に磁性体蓋体は電磁誘導用コイルによ
り発生する磁力線を誘引して収集する作用を有するが、
薄いケイ素鋼板を巻付けた構造からなるので、発熱はほ
とんど起こらない。
【0013】請求項4に記載のように、前記積層体の未
加硫ゴム層を電磁誘導加熱して予熱した後、同積層体を
金型内に挿入し、一定の加圧下で加熱して加硫すること
が好ましい。
【0014】この構成により、図12に一例を示すよう
に、積層体の未加硫ゴムを加硫するのに際し、積層体を
100℃以上になるまで予熱してから、同積層体を金型
内に挿入して蒸気による従来の加硫作業を行うことで、
従来の常温から加硫する方法に比べて加硫に要する時間
が予熱に要した時間を含めてほぼ1/5と大幅に短縮さ
れる。また、予熱を含めて加硫に要する時間が短縮され
るから、ランニングコストが低減され、経済的である。
【0015】上記の方法を実施するための本発明の請求
項5に係る電磁誘導加熱装置は、円形又は角形の薄い鋼
板と円形又は角形の未加硫ゴム層とを交互に積層してな
る円柱体状又は角柱体状の積層体を加熱するための電磁
誘導加熱装置であって、前記積層体を完全に収容可能
で、非磁性体からなる筒状ケースの周方向の一部を長さ
方向に切断することにより切れ目を設け、該筒状ケース
の外周面のほぼ全体にわたって、電磁誘導用コイルを巻
装して交流電源に接続し、前記電磁誘導用コイル内の前
記積層体の上下両端に、磁束収集用の磁性体蓋体をそれ
ぞれ取り付けている。
【0016】上記構成を有する本発明の電磁誘導加熱装
置によれば、上記の加熱方法を確実に実施でき、しかも
構造が簡単で、従来の蒸気による加熱(加硫時におけ
る)のランニングコストに比べてかなり低減される。ま
た、電磁誘導用コイルから発生する磁束が上下の磁性体
蓋体によって誘引されて収集され、積層体を有効に透過
して発熱させるとともに、ケースの周囲だけでなく、磁
性体蓋体の付近にも磁力線が生じるために、電磁誘導効
率が向上し、またケース内を平行に透過する磁力線がほ
ぼ平行になるから、積層体の鋼板の加熱状態がより均一
化され、未加硫ゴム層の加熱がより均等に行われる。ま
たケースの開口が蓋体で塞がれているので、熱流が生じ
てケース内の熱量が外部に逃げることが抑制されるため
に、熱効率が上がり、電力消費量が削減される。しかも
ケースの周方向の一部を長さ方向に切断し、いわゆる切
れ目を入れてあるので、磁力線を受けてケースの周方向
に渦 電流が生じて発熱するのが防止される。
【0017】請求項6に記載のように、前記磁性体蓋体
を、一定高さの帯状で厚みの非常に薄いケイ素鋼板を渦
巻き状に隙間なく巻き付けて円柱体又は角柱体から形成
することが望ましい。
【0018】請求項6記載の電磁誘導加熱装置によれ
ば、磁性体蓋体は電磁誘導用コイルにより発生する磁力
線を誘引して収集する作用を有するが、薄いケイ素鋼板
を巻つけた構造からなるので発熱はほとんど起こらない
ために、磁束(磁力線)が積層体の鋼板の発熱に有効に
作用する。
【0019】請求項7に記載のように、前記磁性体蓋体
を、一定高さの帯状で厚みの非常に薄いケイ素鋼板を渦
巻き状に隙間なく巻き付けた円柱体又は角柱体と、この
柱体の上面又は下面に一体に取り付けられる磁性体の円
盤体又は角盤体とから形成することができる。
【0020】請求項7記載の積層体の電磁誘導加熱装置
によれば、ケイ素鋼板の柱体とこの柱体の上面又は下面
に一体に取り付けられる磁性体盤体とが電磁誘導用コイ
ルにより発生する磁力線を収集する作用を有するが、ケ
イ素鋼板を巻付けて形成した柱体は発熱がほとんど起こ
らないために、磁束(磁力線)が積層体の鋼板の発熱に
だけ有効に作用するとともに、この柱体に一体に取り付
けられる磁性体盤体の付近にも磁力線が生じるために、
電磁誘導効率が向上し、またケース内を透過する磁力線
がほぼ直線状で平行になるから、積層体の鋼板の加熱状
態が均一化され、未加硫ゴム層の加熱が均等に行われ
る。またケースの開口が蓋体で塞がれているので、熱流
が生じてケース内の熱量が外部に逃げることが抑制され
るために、熱効率が上がり、電力消費量が削減される。
【0021】請求項8に記載のように、前記磁性体蓋体
を、一定高さの帯状で厚みの非常に薄いケイ素鋼板を渦
巻き状に隙間なく巻き付けた円柱体又は角柱体と、この
柱体の上下両面に一体に取り付けられる磁性体の円盤体
又は角盤体とから形成することができる。
【0022】請求項8記載の電磁誘導加熱装置によれ
ば、ケイ素鋼板の柱体とこの柱体の上下両面に一体に取
り付けられる磁性体盤体とが電磁誘導用コイルにより発
生する磁力線を収集する作用を有するが、ケイ素鋼板の
柱体は発熱がほとんど起こらないために、磁束(磁力
線)が積層体の鋼板の発熱にだけ有効に作用するととも
に、この柱体の両面に一体に取り付けられる磁性体盤体
の付近にも磁力線が生じるために、電磁誘導効率が向上
し、またケース内を透過する磁力線がほぼ直線状で平行
になるから、積層体の鋼板の加熱状態がより均一化さ
れ、未加硫ゴム層の加熱がより均等に行われる。またケ
ースの開口が蓋体で塞がれているので、熱流が生じてケ
ース内の熱量が外部に逃げることが抑制されるために、
熱効率が上がり、電力消費量が削減される。
【0023】請求項9に記載のように、前記筒状ケース
上の前記電磁誘導用コイル部分の高さを、前記積層体の
高さの1.5倍以上にして、筒状ケース内の電磁誘導用
コイル部分の上下方向の中間位置に積層体を保持した状
態で電磁誘導加熱することが好ましい。
【0024】請求項9記載の装置によれば、積層体を透
過する磁束がほぼ直線状態になってそれぞれの磁束が平
行に積層体を透過し、積層体がほぼ均等に加熱されて均
熱化が得られるので、磁束による発熱作用が有効に発揮
される。
【0025】請求項10に記載のように、円形又は角形
の薄い鋼板と円形又は角形の未加硫ゴム層とを交互に積
層してなる円柱体状又は角柱体状の積層体の周囲に配置
した電磁誘導用コイルに交流を流すことにより発生する
磁力線を、前記積層体の鋼板を直交する方向に透過させ
ることによって前記鋼板に渦電流を流して発熱させ、前
記未加硫ゴム層を加熱する電磁誘導加熱する方法であっ
て、前記電磁誘導用コイルの内径を前記積層体の外径の
2倍以上に形成し、電磁誘導用コイル内の中心より一方
へ偏らせた位置に積層体を配置するとともに、該積層体
を180°ずつ往復回転させるか、一方向に連続的に回
転させるかしながら電磁誘導加熱してもよい。
【0026】請求項10記載の電磁誘導加熱方法によれ
ば、電磁誘導用コイルから遠ざかるのに伴って磁力線の
強さが弱くなるが、コイルに交流を印加した状態で積層
体は電磁誘導用コイル内の中心より一方(コイル側)へ
偏った位置において往復半回転するか、一方向へ連続回
転するかするので、積層体の円周方向に沿って強弱に変
化する磁力線がほぼ均等に透過するから、積層体が全体
的にほぼ均等に加熱される。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る鋼板と未加
硫ゴム層からなる積層体の加熱方法と電磁誘導加熱装置
の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】図1は本発明に係る電磁誘導加熱装置を説
明するための参考例(従来例ではない)を示す正面図で
ある。図2は積層体の成形工程を示す側面図である。
【0029】図1に示すように、免震装置用の積層体を
予熱するための参考例に係る電磁誘導加熱装置1が、前
後左右および上面が開放された枠状架台11上に一体に
設置されている。加熱装置1は免震装置用の積層体Aに
対応する上下両端を開口した円筒体からなり、非磁性体
のステンレス製の円筒状ケース2の外周面に、絶縁被覆
したアルミニウムの電磁誘導用コイル3が上端から下端
にわたり巻装されている。また、コイル3の外周側に非
磁性体のステンレス製の円筒状ケース4が被装されてい
る。内外のケース2・4は、各ケース2・4の円周方向
に渦電流が生じて発熱するのを防ぐため、円周方向の一
部が長さ方向に切断され、いわゆる切れ目(図示せず)
が設けられている。
【0030】積層体Aは、本例では鋼材(SS)からな
る円柱状の中芯31の下端が下記のフランジFの中心部
に螺着されている。図2に示すように、本例ではフラン
ジF上に、中心孔cを備えた最下層の薄い円形鋼板Cが
載置され、円形鋼板C上に、中心孔bを備えた薄い円形
の未加硫ゴム層Bが載置されている。この未加硫ゴム層
Bを上面に設けた円形鋼板Cが順に積み重ねられ、鋼板
Cと未加硫ゴム層Bを交互に積層した積層体Aが成形さ
れる。また積層体Aの上下両端には、本例では、磁性体
である鉄製のフランジFが取り付けられており、このフ
ランジFは積層体Aの外周面より半径方向外方に張り出
す大きさにしてある。なお、フランジFは、通常、積層
体Aの上下両端に取り付けられたまま最終製品となる。
また積層体Aの種類によっては、フランジFを備えてい
ないものもある。
【0031】積層体Aは台車21上で成形されたり搬送
されたりするが、台車21上には油圧シリンダ(図示せ
ず)の伸縮動により昇降するパンタグラフ式昇降機構2
2が搭載されており、昇降機構22の上端のリング状載
置台23に積層体Aの下部フランジFが載置され支持さ
れる。そして、台車21を架台11内の中心部に搬入し
た状態で、昇降機構22により載置台23を上昇させる
ことにより、積層体Aは加熱装置1内に挿入される。
【0032】本発明の第1実施例に係る電磁誘導加熱装
置11 では、図4に示すように、加熱装置11 内にフラ
ンジF付き積層体Aを挿入した状態で、上下のフランジ
Fの上面あるいは下面に、磁束収集用の蓋体51 が装着
されている。加熱装置11 の電磁誘導コイル3の部分の
高さは、本例では積層体Aの高さのほぼ3倍に設定され
ているが、1.5倍以上あればよい。蓋体51 は、本実
施例では、鋼鉄製の円盤体で、図4(b)に示すように、
円周方向の一部がその中心から外周にかけて半径方向に
所定幅(1mm前後)で切除されている。つまり所定幅
の切れ目5aが入れてあるが、この切れ目5aは、磁力
線を受けて1ターン(一周)渦電流が生じることによる
ジュール熱の発生を防止して、蓋体51 自体が発熱する
のを防止ぐためのものである。なお、蓋体51 は加熱装
置11 内に積層体Aを挿入した状態で、マニュピレータ
や昇降機などを用いて操作することにより、積層体Aに
直接あるいはフランジfを介して装着することができ
る。
【0033】この状態で、交流電源により電圧(本例で
は50〜60Hz・200V)を印加することにより、
図3に示すように円筒状ケース2・4を各位置で取り囲
み、ケース2内を上下方向に平行に透過する交流磁界
(磁力線)が発生する。ケース2内には、積層体Aの鋼
板Cが水平方向に何重にも積層されて位置し、それらの
鋼板Cを上下方向に直交するように磁力線が透過する。
この磁力線により、各鋼板Cに対し渦電流が流れて、ジ
ュール熱が発生する。磁力線の強さはケース2の内周面
から離れるほど、いいかえれば鋼板Cの外周部から中心
部にかけて漸次弱くなる。しかし、本例では、積層体A
の上下両面に鋼鉄製蓋体51 を装着し、磁力線が蓋体5
1 に収集されるようにし、磁力線が拡散することを防止
している。このため、電磁誘導用コイル3で発生させた
磁力線を積層体Aの加熱に有効に利用でき、また蓋体5
1 によって磁力線を収束することによって積層体Aの外
周付近だけでなく中心部近くにも磁力線を透過させる。
また、鋼板Cは導電体であり熱伝導性に富むから、鋼板
Cの中心部で発生する熱量は外周部に比べて低いが、鋼
板Cはほぼ均一に熱くなるため、鋼板C間の未加硫ゴム
層Bもほぼ均一に加熱される。さらに、ケース2の上下
両側の開口が蓋体51 で塞がれるので、熱流が生じてケ
ース2内の熱量が外部に逃げることが抑制されるため
に、熱効率が上がる。さらにまた、積層体Aの上下両面
に鉄製のフランジFを取り付けているため、電磁誘導の
磁束がフランジFに集約され、積層体Aを直交する方向
に透過するとともに、フランジFに対しても渦電流が流
れてジュール熱が発生し、フランジFに蓄熱され、その
熱が積層体Aに徐々に伝熱されていく。
【0034】図5は本発明の電磁誘導加熱装置の別の実
施例を示すものである。この第2実施例の加熱装置12
が上記実施例と相違するところは、次の点である。すな
わち磁力線収集用の蓋体52 を、所定幅(所定高さ、本
例では200mm)で厚みの非常に薄い(本例では、
0.1mm)帯状のケイ素鋼板6を隙間が生じないよう
に渦巻き状に巻付けた円柱体で形成している。そしてこ
の円柱状の蓋体52 を、積層体Aの上下両面のフランジ
Fにそれぞれ(例えば、仮溶接により)取り付けてい
る。その他の構成については、上記第1実施例の加熱装
置11 と共通するので、共通の部材には同一の符号を用
いて示し、説明を省略する。
【0035】本例の加熱装置12 によると、電磁誘導用
コイル3に対し交流電源により電圧を印加することによ
り交流磁界(磁力線)が発生し、この磁力線が円柱状の
蓋体52 に収集され、磁力線が積層体A以外に拡散する
ことが防止される。このため磁力線が積層体Aの加熱に
高効率で機能し、また蓋体52 によって磁力線が積層体
Aの中心部寄りに収束されるので、積層体Aの中心部付
近も加熱される。また鋼板Cは導電体であり熱伝導性に
富むから、鋼板Cの中心部で発生する熱量は外周部に比
べて低いとしても、時間が経過するのに伴って鋼板Cの
中心部も外周縁部とほぼ同様に熱くなっていくため、鋼
板C間の未加硫ゴム層Bも外周縁部だけでなく中心部に
かけてもほぼ均一に加熱される。さらに、積層体Aの上
下両面に鉄製のフランジFを取り付けているため、上記
第1実施例と同様に電磁誘導の磁束がフランジFに集約
され、積層体Aを直交する方向に透過するとともに、フ
ランジFに対しても渦電流が流れてジュール熱が発生
し、フランジFに蓄熱され、その熱が積層体Aに徐々に
伝熱されていく。
【0036】図6は本発明の電磁誘導加熱装置の第3実
施例を示すもので、この第3実施例に係る加熱装置13
が上記第1・第2実施例と相違するところは次の点であ
る。すなわち磁力線収集用の蓋体53 を、第1実施例の
鋼鉄製蓋体51 の一面の中心部に、ケイ素鋼板6を隙間
が生じないように渦巻き状に巻付けた第2実施例の円柱
状の蓋体52 をそれぞれ(例えば、溶接により)接合し
た山高帽形から形成している。その他の構成について
は、上記各実施例の加熱装置11・12と共通するので、
共通の部材には同一の符号を用いて示し、説明を省略す
る。
【0037】本例の加熱装置13 によると、電磁誘導用
コイル3に対し交流電源により電圧を印加することによ
り交流磁界(磁力線)が発生し、この磁力線が山高帽形
の蓋体53 に収集され、磁力線が積層体Aの加熱に高効
率で有効に寄与し、また蓋体52 によって磁力線が積層
体Aの中心部寄りに収束されるので、積層体Aの中心部
付近も加熱される。また鋼板Cは導電体であり熱伝導性
に富むから、鋼板Cの中心部で発生する熱量は外周部に
比べて低いとしても、時間が経過するのに伴って鋼板C
の中心部も外周縁部とほぼ同様に熱くなっていくため、
鋼板C間の未加硫ゴム層Bも外周縁部だけでなく中心部
にかけてもほぼ均一に加熱される。さらに、積層体Aの
上下両面に鉄製のフランジFを取り付けているため、上
記第1実施例と同様に電磁誘導の磁束がフランジFに集
約され、積層体Aを直交する方向に透過するとともに、
フランジFに対しても渦電流が流れてジュール熱が発生
しフランジFに蓄熱され、その熱が積層体Aに徐々に伝
熱されていく。また、ケース2の上下両側の開口が鋼鉄
製蓋体51 で塞がれるので、熱流が生じてケース2内の
熱量が外部に逃げることが抑制されるために、熱効率が
上がる。
【0038】図7は本発明の電磁誘導加熱装置の第4実
施例を示すもので、この第4実施例に係る加熱装置14
が上記第3実施例の加熱装置13 と相違するところは次
の点である。すなわち磁力線収集用の蓋体54 が、第3
実施例の山高帽形の蓋体53と構造的には共通するが、
積層体Aの上下のフランジFに対し逆向きに取り付けて
いる点である。その他の構成については、上記各実施例
の加熱装置11〜13と共通するので、共通の部材には同
一の符号を用いて示し、説明を省略する。
【0039】本例の加熱装置14 は、第3実施例に係る
加熱装置13 と加熱作用はほぼ共通しているが、後述す
る第5実施例に係る電磁誘導加熱装置15 を含めて、図
9〜図10に示すサイズの加熱装置1’とストレートフ
ランジ(積層体Aと同一外径のフランジ)F’付き積層
体Aとを用いて実験した結果、表1の比較データに示す
ように最も優れていた。ケース2の上下両側の開口がそ
れぞれ鋼鉄製蓋体51でほぼ塞がれ、上下の鋼鉄製蓋体
1 の外周部が電磁誘導コイル3に近接しているため
に、電磁誘導コイル3から発生する磁束の大部分が上下
の鋼鉄製蓋体51から円柱状蓋体52 を通って積層体A
に流れるために、積層体Aを通る磁束の絶対量が大幅に
増加するからである。
【0040】図8は本発明の電磁誘導加熱装置の第5実
施例を示すもので、この第5実施例に係る加熱装置15
が上記第3実施例の加熱装置13 と相違するところは次
の点である。すなわち磁力線収集用の蓋体55 を、一対
の第1実施例の鋼鉄製蓋体5の内面の中心部間に、ケイ
素鋼板6を隙間が生じないように渦巻き状に巻付けた第
2実施例の円柱状の蓋体52 を挟んで(例えば、溶接に
より)接合したボビン形から形成している。その他の構
成については、上記各実施例の加熱装置11 〜14 と共
通するので、共通の部材には同一の符号を用いて示し、
説明を省略する。
【0041】本例の加熱装置15 によると、電磁誘導用
コイル3に対し交流電源により電圧を印加することによ
り交流磁界(磁力線)が発生し、上下の外側の鋼鉄製蓋
体5 の外周部が電磁誘導コイル3に近接しているため
に、磁力線の大部分が上下の鋼鉄製蓋体51 から円柱状
蓋体52 および内側の鋼鉄製蓋体51 を通って積層体A
に流れ、積層体Aを通る磁束の絶対量が増加する。しか
し、上下の内側の鋼鉄製蓋体51 からケース2に磁力線
の一部が逃げるために、その分だけ第4実施例の加熱装
置14 に比べて劣っている。なお、ケース2の上下両側
の開口がそれぞれ一対の鋼鉄製蓋体51 で塞がれるの
で、熱流が生じてケース2内の熱量が外部に逃げること
が確実に抑制される。
【0042】ところで、上記のようにして構成される参
考例(比較例)の加熱装置1(図9(a))と本発明の第1
実施例の加熱装置11 (図9(b))〜第5実施例に係る加
熱装置15 (図10(f))について次のような実験を行っ
た。なお、実験には外径600mm、高さ375mmの
積層体Aの上下両端に外径1000mmのストレートフ
ランジF’を取り付けたものを使用し、電磁誘導コイル
3内に上記第1〜第5実施例にかかる蓋体51 〜55
それぞれ取り付けた状態で、190V(60Hz)前後
の電圧を電磁誘導用コイル3に印加して電流を流した。
結果は、下記の表1のとおりであった。
【表1】 すなわち、上記表1から確認されるように、第4実施例
に係る加熱装置14 の有効電力が、参考例の加熱装置1
の有効電力の1.53倍、第5実施例に係る加熱装置1
5 の有効電力が、参考例の加熱装置1の有効電力の1.
45倍になるなど、蓋体5を設けない加熱装置1に比べ
て、蓋体5を設けた加熱装置11〜15の方が優れてい
た。推測するに、蓋体5を設けない場合は、電磁誘導コ
イル3から発生する磁束(磁力線)の一部が積層体Aと
内周側ケース2との空間を通って逃げてしまい、積層体
Aの加熱に作用する磁束が減少するのに対し、蓋体5を
設けた場合には、電磁誘導コイル3から発生する磁束
(磁力線)が内周側ケース2との空間を狭める蓋体5に
誘引されて積層体Aに流れるために積層体Aを通る磁束
の絶対量が増え、積層体Aの加熱に寄与する電力(有効
電力)の量が増加し、消費電力が増えるからである。つ
まり、消費電力=積層体Aの加熱量(発熱量)になっ
て、積層体Aの温度上昇が速くなるからである。
【0043】第4実施例に係る加熱装置14 と第5実施
例に係る加熱装置15 が特に優れているのは、それぞれ
外径の大きな鋼鉄製蓋体51 の外周面が電磁誘導コイル
3の上下両端付近に接近しており、電磁誘導コイル3で
発生した磁束が鋼鉄製蓋体5 で誘引されるように蓋体5
1 を経由して積層体Aに流れるからである。一方、第3
実施例に係る加熱装置13 の有効電力が最も低く、続い
て第1実施例に係る加熱装置11 の有効電力が低いの
は、鋼鉄製蓋体51 がケース2の上下方向の中間位置に
あって近接しているために、磁束の一部が鋼鉄製蓋体5
1 からケース2を通って逃げるからである。
【0044】また、上記のようにして構成される図1の
電磁誘導加熱装置1により、外径1000mm、高さ3
75mmの積層体Aの上下両端に外径1400mmのフ
ランジFを取り付けた状態で、200V(60Hz)の
電圧を電磁誘導用コイル3に印加して電流を流したとこ
ろ、図12に示すとおり、積層体A内の未加硫ゴム層B
の温度が従来の加硫時間の1/40程度で100℃以上
まで上昇し、しかも外周部と中心部の温度差はほとんど
なくなった。そこで、予熱工程を終了し、従来と基本的
に同様の方法で蒸気による加硫を行ったところ、従来の
加硫時間の約1/5前後の時間で未加硫ゴム層Bは加硫
された。結果的に、予熱・加硫工程に費やした時間は、
従来の蒸気による加硫時間に比べて、1/5程度に大幅
に短縮されたことになる。
【0045】図11は本発明の電磁誘導加熱装置の全く
別の実施例を示すもので、本例の加熱装置1’は、電磁
誘導コイル3の内径、いいかえれば内側のケース2の内
径が積層体Aの外径の2倍以上に設定されている。そし
て、積層体Aはケース2の中心より一方(ケース2の内
周壁側)へ偏った位置に配置され、ターンテーブル(図
示せず)等により往復半回転(往復180°回転)しな
がら加熱される。図示は省略しているが、積層体Aはケ
ース2の中心位置を中心にして円周方向に間隔をあけて
複数個(例えば、4個、5個、6個)配置され、それら
の積層体Aがそれぞれ往復半回転しながら加熱される。
また、本例では、ケース2内で複数個の積層体Aが大型
のターンテーブル(図示せず)等により円周方向にゆっ
くりと回転する。なお、各積層体Aは往復半回転させる
代わりに、一方向に連続的に回転させてもよく、また特
にケース2内で複数個の積層体Aを大型のターンテーブ
ル等で回転させなくても十分に効果がある。
【0046】本発明に係る電磁誘導加熱装置1’では、
通常、積層体Aが電磁誘導コイル3から離れるに従って
磁力線が弱くなるが、積層体Aが電磁誘導コイル3の中
心位置より一方へ偏った位置で中心軸線を中心に回転す
るので、強弱の磁力線が積層体Aをほぼ全体にわたり均
等に透過するから、積層体が全体的にほぼ均等に加熱さ
れる。なお、設備は複雑になるがケース2内で複数個の
積層体Aを回転(公転)させるようにすれば、仮に電磁
誘導用コイル3から発生する磁力線がケース2の円周方
向に沿って変化することがあっても、積層体Aの位置が
絶えず電磁誘導コイル3の円周方向に変化し、積層体A
の円周方向に沿って強弱に変化する磁力線がほぼ均等に
透過するから、積層体Aが全体的にほぼ均等に加熱され
る。
【0047】上記に本発明に係る電磁誘導加熱装置の一
例を示したが、本発明は下記のように実施することがで
きる。
【0048】a.積層体Aは円柱体に限らず、角柱体の
場合があるが、この場合には、ケースの形状を積層体A
の形状に対応して角筒状に形成する。
【0049】b.本発明は免震装置用の積層体に限ら
ず、鋼板と未加硫ゴム層とを交互に積層してなる各種積
層体の加熱(予熱)に適用できることは言うまでもな
い。
【0050】c.フランジF付きの積層体Aについての
み例示したが、フランジFを具備しない積層体Aについ
ても本発明を適用でき、上記実施例と同様の作用効果を
発揮させられることは言うまでもない。
【0051】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明にかかる積層体の電磁誘導加熱方法とその装置に
は、次のような優れた効果がある。
【0052】(1) 請求項1の発明では、従来の金型内に
積層体を収容して蒸気で加熱する方法と違って、積層体
の上下両面に取り付けた磁束収集用の磁性体蓋体によっ
て磁力線が収集され、未加硫ゴム層の内部(中心部)も
外周部とほぼ同様に加熱されるために、内外の温度差が
小さく、品質も大幅に向上する。また、予熱を含めて加
硫に要する時間が短縮されるから、ランニングコストが
低減され、経済的である。磁性体蓋体が電磁誘導加熱さ
れつつある積層体からの放熱を防止する。さらに磁性体
蓋体の円周方向の一部がその中心から外周にかけて半径
方向に切除されている、つまり切れ目が入れてあるか
ら、磁力線を受けて1ターン(一周)渦電流が生じるこ
とによるジュール熱の発生が防止され、磁性体蓋体自体
が発熱するのが防止される。 請求項2記載の発明によっ
ても、電磁誘導用コイルに交流電圧を印加して電流を流
すことにより発生する磁力線が山高帽形の蓋体に収集さ
れ、磁力線が積層体の加熱に高効率で有効に寄与し、ま
た蓋体によって磁力線が積層体Aの中心部寄りに収束さ
れるので、積層体の中心部付近も加熱され、請求項1の
発明と同様の効果が発揮される。
【0053】(2) 請求項3記載の発明では、磁性体蓋体
は電磁誘導用コイルにより発生する磁力線を収集する作
用を有するが、薄いケイ素鋼板を巻付けた構造からなる
ので、発熱はほとんど起こらないから、磁力線を積層体
の加熱に有効に寄与させられる。
【0054】(3) 請求項4記載の発明では、積層体の未
加硫ゴムを加硫するのに際し、積層体を100℃以上に
なるまで予熱してから、同積層体を金型内に挿入して蒸
気による従来の加硫を行うことで、従来の常温から加硫
する方法に比べて加硫に要する時間が予熱に要した時間
を含めてほぼ1/5と大幅に短縮される。
【0055】(4) 請求項5記載の発明は、本発明に係る
上記の加熱方法を確実に実施でき、しかも構造が簡単
で、従来の蒸気による加熱のランニングコストに比べて
かなり低減される。また、電磁誘導用コイルから発生す
る磁束が上下の磁性体蓋体によって収集され、積層体を
有効に透過して発熱させるとともに、ケースの周囲だけ
でなく、磁性体蓋体の付近にも磁力線が生じるために、
電磁誘導効率が向上し、またケース内を平行に透過する
磁力線がほぼ平行になるから、積層体の鋼板の加熱状態
がより均一化され、未加硫ゴム層の加熱がより均等に行
われる。さらにケースの開口が蓋体で塞がれているの
で、熱流が生じてケース内の熱量が外部に逃げることが
抑制されるために、熱効率が上がり、電力消費量が削減
される。しかもケースの周方向の一部を長さ方向に切断
して切れ目を入れたので、磁力線を受けてケースの周方
向に渦電流が生じて発熱するのが防止される。
【0056】(5) 請求項6記載の発明では、磁性体蓋体
は電磁誘導用コイルにより発生する磁力線を収集する作
用を有するが、薄いケイ素鋼板を巻つけた構造からなる
ので発熱はほとんど起こらないために、磁束(磁力線)
が積層体の鋼板の発熱に有効に働く。
【0057】(6) 請求項7記載の発明では、蓋体が磁力
線を収集する作用を有するが、ケイ素鋼板を巻付けて形
成した柱体は発熱がほとんど起こらないために、磁束
(磁力線)が積層体の鋼板の発熱にだけ有効に作用する
とともに、この柱体に一体に取り付けられる磁性体盤体
の付近にも磁力線が生じるために、電磁誘導効率が向上
し、またケース内を透過する磁力線がほぼ直線状で平行
になるから、積層体の鋼板の加熱状態が均一化され、未
加硫ゴム層の加熱が均等に行われる。またケースの開口
が蓋体で塞がれているので、熱流が生じてケース内の熱
量が外部に逃げることが抑制されるために、熱効率が上
がり、電力消費量が削減される。
【0058】(7) 請求項8記載の発明では、ケイ素鋼板
の柱体と磁性体の盤体とが電磁誘導用コイルにより発生
する磁力線を収集する効果があるが、ケイ素鋼板の柱体
は発熱がほとんど起こらないために、磁束(磁力線)が
積層体の鋼板の発熱にだけ有効に作用するとともに、こ
の柱体の両面に一体に取り付けられる磁性体盤体の付近
にも磁力線が生じるために、電磁誘導効率が向上し、ま
たケース内を透過する磁力線がほぼ直線状で平行になる
から、積層体の鋼板の加熱状態がより均一化され、未加
硫ゴム層の加熱がより均等に行われる。またケースの開
口が盤体で塞がれているので、熱流が生じてケース内の
熱量が外部に逃げることが抑制されるために、熱効率が
上がり、電力消費量が削減される。
【0059】(8) 請求項9記載の発明では、電磁誘導用
コイル部分の高さを積層体の1.5倍以上にしたから、
積層体を透過する磁束の直線性が図られ、均熱化が得ら
れるので、磁束による発熱作用が最大限に発揮される。
【0060】(9) 請求項10記載の発明では、電磁誘導
用コイルから遠ざかるのに伴って磁力線の強さが弱くな
るが、コイルに交流を印加した状態で積層体に対して積
層体の円周方向に沿って強弱に変化する磁力線がほぼ均
等に透過するから、上記のような磁力線収集用の蓋体を
装着しなくても、積層体が全体的にほぼ均等に加熱され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電磁誘導加熱装置を説明するため
の参考例を示す正面図である。
【図2】図2(a)および(b)は積層体の成形工程を示す
側面図である。
【図3】図3(a)は本発明の電磁誘導加熱の原理を示す
中央縦断面図、図3(b)は積層体A中の鋼板Cを示す斜
視図である。
【図4】図4(a)は本発明の第1実施例に係る電磁誘導
加熱装置を示す正面視断面図、図4(b)は円盤体の斜視
図である。
【図5】図5(a)は本発明の第2実施例に係る電磁誘導
加熱装置を示す正面視断面図、図5(b)は円柱体の斜視
図である。
【図6】本発明の第3実施例に係る電磁誘導加熱装置を
示す正面視断面図である。
【図7】本発明の第4実施例に係る電磁誘導加熱装置を
示す正面視断面図である。
【図8】本発明の第5実施例に係る電磁誘導加熱装置を
示す正面視断面図である。
【図9】図9(a)は実験に用いた加熱装置と積層体の寸
法を示す正面視断面、図9(b)・図9(c)は本発明の第
1実施例の加熱装置11と第2実施例の加熱装置12の実
験例をそれぞれ示す正面視断面である。
【図10】図10(d)〜(f)は本発明の第3実施例の加
熱装置13〜第5実施例の加熱装置15 の実験例をそれ
ぞれ示す正面視断面である。
【図11】本発明の電磁誘導加熱装置の全く別の実施例
を概略的に示す正面視断面図である。
【図12】外径1000mm・高さ375mmの積層体
の場合に置ける本発明による予熱時・加硫時の最高温度
と最低温度を示す温度線図と、従来の蒸気による加硫時
の最高温度と最低温度を示す温度線図である。
【符号の説明】
1・11・12・13・14・15・1' 電磁誘導加熱装置 2・4 円筒状ケース 3 電磁誘導用コイル 51 円盤体 52 円柱体 53〜55 蓋体 6 ケイ素鋼板(薄板) 11 枠状架台 15 側金型 16 上部金型 17 下部金型 18 下熱盤 19 上熱盤 21 台車 22 昇降機構 23 載置台 31 中芯 A 積層体 B 未加硫ゴム層 C 鋼板 F・F’ フランジ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅宮 正稔 兵庫県神戸市兵庫区明和通3丁目2番15 号 バンドー化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−193504(JP,A) 特開 平8−264272(JP,A) 特開 平6−208888(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 35/00 - 35/18 H05B 6/10

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円形又は角形の薄い鋼板と円形又は角形
    の未加硫ゴム層とを交互に積層してなる円柱体状又は角
    柱体状の積層体の周囲に配置した電磁誘導用コイルに交
    流を流すことにより発生する磁力線を、前記積層体の鋼
    板を直交する方向に透過させることによって前記鋼板に
    渦電流を流して発熱させ、前記未加硫ゴム層を加熱する
    電磁誘導加熱する方法であって、 前記電磁誘導用コイル内の前記積層体の上下両端に、磁
    束収集用の磁性体蓋体をそれぞれ取り付けるとともに、 前記磁性体蓋体を、鋼鉄製円盤体で該円盤体の円周方向
    の一部をその中心から外周にかけて半径方向に所定幅で
    切除して切れ目を入れて形成した ことを特徴とする積層
    体の電磁誘導加熱方法。
  2. 【請求項2】 前記磁性体蓋体を、前記切れ目を有する
    前記鋼鉄製蓋体の一面の中心部に、ケイ素鋼板を隙間が
    生じないように渦巻き状に巻付けた円柱状の蓋体を接合
    した山高帽形から形成した請求項1記載の積層体の電磁
    誘導加熱方法。
  3. 【請求項3】 円形又は角形の薄い鋼板と円形又は角形
    の未加硫ゴム層とを交互に積層してなる円柱体状又は角
    柱体状の積層体の周囲に配置した電磁誘導用コイルに交
    流を流すことにより発生する磁力線を、前記積層体の鋼
    板を直交する方向に透過させることによって前記鋼板に
    渦電流を流して発熱させ、前記未加硫ゴム層を加熱する
    電磁誘導加熱する方法であって、 前記電磁誘導用コイル内の前記積層体の上下両端に、磁
    束収集用の磁性体蓋体をそれぞれ取り付けるとともに、 前記磁性体蓋体を、一定高さの帯状で厚みの非常に薄い
    ケイ素鋼板を渦巻き状に隙間なく巻き付けて円柱体又は
    角柱体に形成したことを特徴とする積層体の電磁誘導加
    熱方法。
  4. 【請求項4】 前記積層体を電磁誘導加熱して予熱した
    後、同積層体を金型内に挿入し、一定の加圧下で加熱し
    て加硫する請求項1〜3のいずれかに記載の積層体の電
    磁誘導加熱方法。
  5. 【請求項5】 円形又は角形の薄い鋼板と円形又は角形
    の未加硫ゴム層とを交互に積層してなる円柱体状又は角
    柱体状の積層体を加熱するための電磁誘導加熱装置であ
    って、 前記積層体を完全に収容可能で、非磁性体からなる筒状
    ケースの周方向の一部を長さ方向に切断することにより
    切れ目を設け、該筒状ケースの外周面のほぼ全体にわた
    って、電磁誘導用コイルを巻装して交流電源に接続し、 前記電磁誘導用コイル内の前記積層体の上下両端に、磁
    束収集用の磁性体蓋体をそれぞれ取り付けることを特徴
    とする積層体の電磁誘導加熱装置。
  6. 【請求項6】 前記磁性体蓋体を、一定高さの帯状で厚
    みの非常に薄いケイ素鋼板を渦巻き状に隙間なく巻き付
    けた円柱体又は角柱体から形成した請求項5記載の積層
    体の電磁誘導加熱装置。
  7. 【請求項7】 前記磁性体蓋体を、一定高さの帯状で厚
    みの非常に薄いケイ素鋼板を渦巻き状に隙間なく巻き付
    けた円柱体又は角柱体と、この柱体の上面又は下面に一
    体に取り付けられる磁性体の円盤体又は角盤体とから形
    成した請求項5記載の積層体の電磁誘導加熱装置。
  8. 【請求項8】 前記磁性体蓋体を、一定高さの帯状で厚
    みの非常に薄いケイ素鋼板を渦巻き状に隙間なく巻き付
    けた円柱体又は角柱体と、この柱体の内外両面に一体に
    取り付けられる磁性体の円盤体又は角盤体とから形成し
    請求項5記載の積層体の電磁誘導加熱装置。
  9. 【請求項9】 前記筒状ケース上の前記電磁誘導用コイ
    ル部分の高さを、前記積層体の高さの1.5倍以上にし
    請求項5〜8のいずれか記載の電磁誘導加熱装置。
  10. 【請求項10】 円形又は角形の薄い鋼板と円形又は角
    形の未加硫ゴム層とを交互に積層してなる円柱体状又は
    角柱体状の積層体の周囲に配置した電磁誘導用コイルに
    交流を流すことにより発生する磁力線を、前記積層体の
    鋼板を直交する方向に透過させることによって前記鋼板
    に渦電流を流して発熱させ、前記未加硫ゴム層を加熱す
    る電磁誘導加熱する方法であって、 前記電磁誘導用コイルの内径を前記積層体の外径の2倍
    以上に形成し、電磁誘導用コイル内の中心より一方へ偏
    らせた位置に積層体を配置するとともに、該積層体を1
    80°ずつ往復回転させるか、一方向に連続的に回転さ
    せるかしながら電磁誘導加熱することを特徴とする積層
    体の電磁誘導加熱方法。
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