JP3243453B2 - チーズ及びその製造方法 - Google Patents
チーズ及びその製造方法Info
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Description
の割合が2.5〜5.0であり、澱粉を原料チーズに対
して4〜45重量%含有しているチーズ及びその製造方
法に関する。本明のチーズは、常温又は低温において長
期間保存しても硬くなることがなく餅様の食感を維持
し、かつこれを油ちょう等の加熱調理をした際にも餅様
の食感を呈するものである。
く利用されている。澱粉は、生の状態で食することはほ
とんどなく、通常、水とともに加熱してから食する。澱
粉は、水に懸濁するとわずかに膨潤し、この懸濁液を加
熱することにより、澱粉の種類によっても異なるが、急
に粒の膨潤が著しくなり、粘度、透明度が増加し、いわ
ゆる糊を作る。この現象を通常「糊化」と呼ぶ。澱粉
は、その溶液濃度の増加に伴い、糊化するとゲル化し、
口当たりのよい独特の粘弾性が付与され、これが、餅に
も似た特有のテクスチャーを呈するようになる。澱粉は
従来から、かまぼこ等の水産練り製品、ハムやソーセー
ジ等の畜肉製品、ういろうやくずもち等の和菓子、うど
ん等の麺類等に幅広く利用されている。また、近年、チ
ーズに種々の特性を付与するために澱粉を添加する試み
もなされてきている。例えば、ナチュラルチーズに化
工澱粉のうち、酸化澱粉、エステル化澱粉及びエーテル
化澱粉から選ばれた一種以上の化工澱粉を添加混合し、
加熱乳化することにより得られる耐冷凍性及び耐油ちょ
う性を有するチーズ(特開平6−153791号公報)
や、チーズと餅米もしくはアミロペクチンを基質する
配合物を加熱乳化することにより得られる可塑性を有す
るチーズ餅(特開昭59−31660号公報)が開示さ
れている。しかしながら、では、澱粉を含有している
ため、時間の経過とともに澱粉特有の現象である老化が
生じ、保存中にチーズの物性が著しく変化し、もろくな
るか硬くなるといった問題があり、では、天然澱粉と
比べて老化しにくい澱粉を用いているものの、タンパク
質と脂肪の割合が、1.15〜1:1.3〜1であり、
脂肪に対するタンパク質の割合が高いため、タンパク質
の性質が強く、十分に餅様の食感を示さないといった問
題があった。
シウム、ビタミン及びミネラル等の各種栄養素をバラン
ス良く含んでおり、近年、良質のカルシウム源として、
特に注目され、その需要は年々増加している。さらにチ
ーズ独自の風味や食感が好まれ、そのまま食したり、他
の食素材と組み合わせて調理して利用されることも多
く、その需要も増加している。しかしながら、チーズ独
自の風味や柔らかくもろい食感に抵抗を感じる人もお
り、一方で、嗜好の多様化から新しい食感を有するチー
ズを求める人もいるのが現状である。
て、チーズ本来の風味を有し、常温又は低温において長
期間保存しても硬くなることがない、餅様の食感を有す
るチーズが求められているが、そのようなチーズは未だ
提供されていない。従って、本発明はチーズ本来の風味
を有し、常温又は低温において長期間保存しても硬くな
ることがなく、餅様の食感を維持し、かつこれを油ちょ
う等の加熱調理をしても餅様の食感を呈するチーズを提
供することを課題とする。
鑑み鋭意研究を重ねた結果、原料チーズの脂肪/タンパ
ク質の割合を2.5〜5.0に調整し、この原料チーズ
に澱粉を原料チーズに対して4〜45重量%添加して加
熱乳化することにより、従来のチーズにない餅様の食感
を有するチーズが得られることを見出し、本発明を完成
させるに至った。従って、本発明は脂肪/タンパク質の
割合が2.5〜5.0であり、澱粉を原料チーズに対し
て4〜45重量%含有していることを特徴とするモチ様
の食感を有するチーズに関する。本発明はまた、脂肪/
タンパク質の割合が2.5〜5.0である原料チーズ又
は脂肪/タンパク質の割合を2.5〜5.0に調整した
原料チーズに対して、澱粉を4〜45重量%及び溶融塩
を0.1〜5.0重量%となるように添加して加熱乳化
することを特徴とする餅様の食感を有するチーズの製造
方法に関する。なお、本発明において餅様の食感とは、
本来の餅を焼く、揚げる等の加熱調理をした際に、餅が
呈する食感のことをいう。
ズを製造する場合、澱粉は添加されない。また、加工し
て得られるチーズ中の脂肪/タンパク質の割合は1.5
未満である。このような従来品のチーズの物性は常温で
も非常に硬く、折り曲げると容易に割れてしまい、本発
明のチーズが有するような餅様の食感は示さない。ま
た、原料チーズの脂肪/タンパク質の割合を1.5以上
としても、澱粉を添加しないでチーズを調製すると、組
織はもろくて、崩れやすく、餅様の食感は示さない。ま
た、脂肪/タンパク質の割合が2.5を超えている場
合、澱粉を添加しないでチーズを調製すると、乳化時に
スプレッド状となり餅様の食感は全く示さない。
に付与するために、原料チーズの脂肪/タンパク質の割
合と、澱粉の添加について検討したところ、原料チーズ
の脂肪/タンパク質の割合を2.5〜5.0とし、原料
チーズに対して澱粉を4〜45重量%添加して加熱乳化
することにより、チーズに餅様の食感を付与することが
できることを見出した。さらに、本発明のチーズは餅様
の食感に加えて耐熱保形性も良好であることも見出し
た。本発明において、餅様の食感とは、上述したように
餅と同様な、すなわち本来の餅を焼く、揚げる等の加熱
調理をした際に、餅が呈する食感のことをいい、本発明
のチーズは常温又は低温、さらには加熱調理後でも餅様
の食感を示すものである。
温においても餅様の食感を有するため、加熱調理をせず
に食することができ、また耐熱保形性を有するため加熱
調理をすることもでき、加熱調理をすることで、餅の加
熱調理をした時と同様の曳糸性を示すようになる。例え
ば、本発明のチーズを油ちょうすることでチーズに皮膜
が形成され、皮膜の内側は適度に溶融し、食した時に餅
のような曳糸性を示す揚げチーズとすることができ、ま
た本発明のチーズをそのまま味付けをしたスープに入れ
て雑煮とすることができる等、餅の代用品としても利用
可能である。
しく説明する。本発明は、原料チーズとして、ナチュラ
ルチーズであれば、いずれのものも用いることができ
る。例えば、チェダーチーズ、ゴーダチーズ、クリーム
チーズ又はモツァレラチーズ等を例示することができ
る。これらのナチュラルチーズを1種又は2種以上混合
し、脂肪/タンパク質の割合を2.5〜5.0に調整す
る。脂肪分としては、主にクリームチーズを用いること
が好ましいが、バター、高濃度クリーム(殺菌又は滅菌
されたクリームを限外濾過膜や分離機を用いて脂肪分5
0〜80%まで濃縮したもの)等、脂肪を含有するもの
も用いることができる。 このように脂肪/タンパク質
の割合を2.5〜5.0に調整し、澱粉を添加して加熱
乳化することで、餅様の食感をチーズに付与することが
できる。なお、脂肪/タンパク質の割合が2.5未満で
は、澱粉を添加してもチーズの物性が硬くなり、餅様の
食感を示さないので好ましくなく、また、脂肪/タンパ
ク質の割合が5.0を超えると、澱粉を添加してもスプ
レッド状となり好ましくない。
ずれのものも用いることができ、天然澱粉としては、コ
ーン、ポテト、ワキシーコーン、タピオカ、米等を例示
することができ、化工澱粉としては、コーン、ポテト、
ワキシーコーン、タピオカ、米等を原料とし、エーテル
化処理したエーテル化澱粉又はエステル化処理したエス
テル化澱粉、またはこれらの処理を組み合わせた化工澱
粉等を例示することができる。原料チーズに対する澱粉
の添加率は、4〜45重量%が好ましく、特に、10〜
20重量%が好ましい。澱粉の添加率が、4重量%未満
では、目的とする餅様の食感を付与することができず、
また、45重量%を超えると、チーズを乳化する際に十
分に乳化が行われないので好ましくない。本発明では求
める最終製品の物性に合わせて添加する澱粉の種類及び
添加率を適宜調整すればよい。なお、チーズを加熱乳化
するに際しては、チーズの製造に通常用いられる溶融塩
を添加すればよく、その溶融塩としては、クエン酸塩、
モノリン酸塩、ジリン酸塩又はポリリン酸塩等を例示す
ることができる。原料チーズに対する溶融塩の添加率
は、乳化を良好にし、さらに餅様の食感を付与するため
には、0.1〜5.0重量%が好ましい。溶融塩の添加
率が0.1重量%未満では、乳化が良好に行われず、組
織も不均一でもろくなるので、好ましくない。また、
5.0重量%を超えると、得られるチーズの組織がもろ
くなり、風味も劣化するので好ましくない。
を調整する目的で寒天、ゼラチン、増粘多糖類等の安定
剤を、耐熱性を強化する目的で卵白、卵黄、ホエータン
パク質、粉チーズ、再製チーズ、カゼイン等のタンパク
質を、風味を調整する目的で調味料を、pHを調整する
目的で重曹を、チーズの色を調整する目的で着色剤等を
それぞれ適量添加してもよい。本発明では、上述した原
料をケトル型、ステファン型、サーモシリンダー型等の
乳化機に投入し、直接蒸気加熱又は間接加熱により70
〜100℃で加熱しながら、70回転/分以上、好まし
くは100回転/分以上で加熱乳化することで目的とす
る餅様の食感を有するチーズを得ることができる。
説明する。実施例1 ゴーダチーズ(タンパク質含量25%、脂肪含量28.
2%;6ヵ月間熟成)とクリームチーズ(タンパク質含
量7.6%、脂肪含量44.5%)をチーズ中の脂肪/
タンパク質の割合が、それぞれ、2.0、2.5、3.
0、4.0、5.0、5.5となるように混合し、原料
チーズ1000gを得た。この原料チーズ1000g
に、澱粉としてコーンスターチのヒドロキシプロピル化
リン酸架橋澱粉200g、溶融塩としてリン酸ナトリウ
ム10g、重曹10gを添加し、直接蒸気吹き込み式チ
ーズ乳化機に投入し、回転数100回転/分で撹拌しな
がら約10分間で85℃に到達するように加熱乳化を行
い、均質で流動性のある6種のチーズを得た。これらの
チーズをカートンに充填し冷蔵庫内にて冷却した。得ら
れたチーズについて、耐熱保形性を評価し、付着性、硬
さ及び弾性率等の物性を測定し、さらに風味及び組織に
ついて官能評価を行った。なお、評価又は測定の方法を
以下に示す。
mの立方体に切り出したチーズを600ワットのオーブ
ントースター内で5分間加熱し、加熱後のチーズの高さ
を測定して耐熱性の指標とし、このとき、高さが15m
m以上のものを耐熱保形性良好とした。 付着性、硬さ及び弾性率の測定:チーズを10×10
×10mmの立方体に切り出し、レオナー(RE330
05、山電製)を用い、20℃において80%圧縮で2
度の圧縮試験を行った。この測定により得られた応力・
歪み曲線から、稲垣敏夫らの方法(日獣畜大研報,3
5,219(1986))に従って、チーズの付着性、
硬さ及び弾性率を算出し、付着性をgf・cm、硬さを
gf、弾性率をPaで表した。なお、付着性は値が大き
いほど付着性が高く、本発明においては付着性の値が3
0〜60gf・cmであることが好ましく、また、硬さ
は値が大きいほど硬い性質を示し、本発明においては硬
さの値が100〜1500gfであることが好ましく、
さらに弾性率の値は0.2×102 〜1.0×103P
aであることが好ましく、本発明においては、チーズが
この範囲の値を示すときに餅様の好ましい食感を示すこ
とを確認している。 官能評価:熟練した5名のパネラーに、10×10×
10mmの立方体に切り出したチーズをそれぞれ食して
もらい、チーズの風味及び餅様に組織について、5点:
非常に良好、4点:良好、3点:どちらともいえない、
2点:悪い、1点:非常に悪いの5段階で評価し、その
平均点(少数第2位を四捨五入)で示した。結果を表1
に示す。
0のとき、好ましい餅様の食感を呈しており、耐熱保形
性も良好であった。一方で、脂肪/タンパク質の割合
が、2.0のものは、組織が滑らかであったが、餅様の
付着性や弾性を示さなかった。また、脂肪/タンパク質
の割合が、5.5のものは、ペースト状となり、硬さと
弾性率を算出することができず、餅様の食感を示すもの
ではなかった。実施例1で得られた6種のチーズを4℃
で、3カ月間保存し、保存後のチーズについて、同様の
方法で耐熱保形性を評価し、付着性、硬さ及び弾性率を
測定し、官能評価を行った。結果を表2示す。
0のとき、澱粉を含有しているにもかかわらず、硬くな
ることがなく、餅様の食感を示していた。
ーズを原料チーズとした。この原料チーズ1000g
に、溶融塩としてリン酸ナトリウム30g、重曹10
g、澱粉としてエステル化処理及びアセチル化処理した
ポテト化工澱粉をそれぞれ、0、10、40、450、
500g添加し、実施例1と同様の方法で加熱乳化を行
い、均一で流動性のある6種のチーズを得た。これらの
チーズをカートンに充填し、冷蔵庫内にて冷却した。得
られたチーズについて、実施例1と同様の方法で、耐熱
保形性を評価し、付着性、硬さ及び弾性率を測定し、官
能評価を行った。結果を表3に示す。
5重量%のとき、好ましい餅様の食感を呈しており、耐
熱保形性も良好であった。一方で、原料チーズに対する
澱粉の添加率が0〜1重量%では、ペースト状の組織と
なり、また、50重量%では、チーズ乳化時に澱粉が完
全に溶解せず、得られたチーズも餅様の食感を示さなか
った。
ーズを原料チーズとした。この原料チーズ1000gに
対して、澱粉としてアセチル化タピオカ澱粉(日本食品
化工製)300g、重曹10g、溶融塩としてリン酸ナ
トリウムをそれぞれ0、1、10、50、60g添加
し、実施例1と同様の方法で加熱乳化を行い、均質で流
動性のある5種のチーズを得た。これらのチーズをカー
トンに充填し、冷蔵庫内にて冷却した。得られたチーズ
について、実施例1と同様の方法で、耐熱保形性を評価
し、付着性、硬さ及び弾性率を測定し、官能評価を行っ
た。結果を表4に示す。
1〜5重量%のとき、好ましい餅様の食感を呈してお
り、耐熱保形性も良好であった。一方で、原料チーズに
対する溶融塩の添加率が0重量%では、乳化時にオイル
オフを生じ、得られたチーズももろく、また、6重量%
では、チーズの組織は良好なものの、溶融塩の風味が強
く、好ましくなかった。
mの立方体に切り出し、180℃で油ちょうを試みたと
ころ、脂肪/タンパク質の割合が、2.5〜5.0のも
のでは、チーズに皮膜が形成され、食した際も餅様の食
感を呈するものであった。一方で脂肪/タンパク質の割
合が、2.0のものでは油ちょう時に保形性を維持して
いたものの、餅様の食感を呈していなかった。また一方
で、脂肪/タンパク質の割合が、5.5のものでは保形
性を維持できず、油ちょう時に溶融した。
し、常温又は低温において長期間保存しても硬くなるこ
とがなく、餅様の食感を維持し、かつこれを油ちょう等
の加熱調理した際にも餅様の食感を呈するチーズを提供
することができる。本発明のチーズは、常温又は低温に
おいても、餅様の食感を有するため、加熱調理せずに食
することができ、また耐熱保形性を有するため加熱調理
することもでき、加熱調理することで、餅を加熱調理し
た時と同様の曳糸性を示すようになる。例えば、本発明
のチーズを油ちょうすることでチーズに皮膜が形成さ
れ、皮膜の内側は適度に溶融し、食した時に餅のような
曳糸性を示す揚げチーズとすることができ、また本発明
のチーズをそのまま味付けをしたスープに入れて雑煮と
することができる等、餅の代用品としても利用すること
ができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 脂肪/タンパク質の割合が2.5〜5.
0であり、澱粉を原料チーズに対して4〜45重量%含
有していることを特徴とする餅様の食感を有するチー
ズ。 - 【請求項2】 脂肪/タンパク質の割合が2.5〜5.
0である原料チーズ又は脂肪/タンパク質の割合を2.
5〜5.0に調整した原料チーズに対して、澱粉を4〜
45重量%及び溶融塩を0.1〜5.0重量%添加して
加熱乳化することを特徴とする餅様の食感を有するチー
ズの製造方法。
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- 1999-01-21 JP JP01297399A patent/JP3243453B2/ja not_active Expired - Fee Related
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