JP3238213B2 - 地盤改良用混合攪拌装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、地盤改良用混合攪拌装
置に関するものであり、特に、攪拌翼と停止翼とを組み
合わせて、効率良く攪拌混合が行えるようにした地盤改
良用混合攪拌装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】地盤改良用混合攪拌装置は、掘削土と杭
周固定液とを機械的に混合し、そして、該混合体が固結
されて地盤を円柱状に改良するものであるが、従来の攪
拌翼と停止翼（共廻り防止翼）とを組み合わせて成る地
盤改良用混合攪拌装置は、停止翼の回転を地上から強制
的に拘束するものと、該停止翼を土中に於て掘削径より
大なる長さに取り付け、掘削開始から完了まで掘削孔壁
へ食い込ませてその回転を停止させようとするものが知
られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のうち、前者の停
止翼は確実に停止するが掘削翼又は攪拌翼との間に障害
物を噛むようなことがあれば、該停止翼は破損すること
が多い。又、通常は掘削翼と停止翼の固定軸が二重構造
となっているため、土を細断するときネジレが生じ易
い。

【０００４】又、後者の停止翼は周辺地盤の状況に合わ
せて該停止翼の長さを調整せねばならない。更に、周辺
地盤が硬い場合、或は掘削孔壁面に転石や障害物があれ
ば、該停止翼は該掘削孔壁に食い込むことができず、且
つ、掘削スピードの円滑性を損なうことになる。更に
又、攪拌翼と停止翼との間隔が定っている場合は、その
間に障害物が噛むと該停止翼は攪拌翼と一体となって回
転することもあり、従って土の細断効果が低下する。

【０００５】そこで、攪拌翼と停止翼とを備えた地盤改
良用混合攪拌装置に於て、掘削土の細断と該細断された
掘削土と杭周固定材との混合を効率良く為すために解決
せらるべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は
該課題を解決することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために提案せられたものであり、回転軸の先端部に
掘削刃と地盤改良材の噴出用ノズルを備え、前記掘削刃
によって掘削した掘削土と前記ノズルより噴出される地
盤改良材とを前記回転軸に固設した攪拌翼にて攪拌する
ようにした混合攪拌装置に於て、前記回転軸に固設した
攪拌翼の直上又は直下に２個の筒状体を所定間隔を有し
て遊嵌し、更に一方又は双方の筒状体は多少の上下動が
できるように構成され、且つ、該上下の各筒状体の直径
方向に、掘削孔の孔径と同じか或は短かい停止翼を固設
すると共に、該上下の停止翼の先端部間に外方へ膨出し
た板バネを介装して成る地盤改良用混合攪拌装置、及び
上記上部の停止翼はバネにて下方へ付勢されている地盤
改良用混合攪拌装置を提供するものである。

【０００７】

【作用】回転軸の先端部に設けられている掘削刃にて掘
削孔が掘削され、そして、該掘削動作にて生じる掘削土
は該回転軸に固設している攪拌翼の回転に伴って回転移
動する。これと同時に該回転軸の先端部に設けられてい
るノズルよりセメントミルク等の地盤改良材が噴出さ
れ、該掘削土と共に回転移動する。このとき、上下の停
止翼は掘削土の回転移動により、前記回転軸を回転中心
として回転を起こそうとするが、該板バネは外方へハラ
ミ状に膨出して取付けられているため、該板バネが掘削
孔の孔壁を押圧して前記回転しようとする作用を拘束し
て停止する。斯くして、回転中の攪拌翼と停止している
停止翼との間で前記回転移動中の掘削土が細断され、そ
して、該細断された土と前記地盤改良材とが攪拌混合さ
れる。

【０００８】更に、上方の停止翼を下方へ付勢している
請求項２記載の発明に於ても掘削孔の孔壁から前記板バ
ネが回転軸方向へ押圧されるとき、前記上方の停止翼は
上方に少々移動して釣り合った点で静止して前述の働き
を為すのである。又、請求項１記載の発明の停止翼も上
方又は下方の何れかが多少上下動できるように構成され
ているため、前記請求項２記載の発明の停止翼と同様
に、掘削孔の孔壁の硬さに応じて任意に上下動して該板
バネが変形し、そして、効果的に掘削孔の孔壁を押圧し
て停止する。更に、障害物が噛んだ場合に於ても該停止
翼が移動して逃げられるので、該停止翼が破損するよう
なことはない。更に、前記上部の停止翼を下方へ付勢し
ているコイルバネの弾性力は任意に調整して周辺地盤の
硬度に適合する面圧を選択することもできる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１乃至図５に従
って詳述する。尚、説明の都合上、従来公知に属する構
成も同時に説明することにする。図に於て１は改良すべ
き軟弱地盤である。該軟弱地盤１は回転軸２の先端部に
固設された掘削刃３の回転によって掘り下げられて孔４
を形成する。そして、該回転軸２の先端部に設けられた
ノズル５よりセメントミルクの如き地盤改良材６を噴出
せしめ、前記掘削刃３によって掘削した掘削土の中に注
入される。

【００１０】又、該回転軸２には攪拌翼７，７…が固設
されている。従って該攪拌翼７，７…は回転軸２及び掘
削刃３の回転と共に同一方向に回転して、前記掘削土と
地盤改良材６とを混合攪拌する働きを為す。但し、該掘
削刃３及び該回転軸２の同一方向の回転は掘削土を同一
方向に回転移動させることはできるが、該掘削土を細砕
したり地盤改良材と効率良く混合攪拌する等の効果は期
待できない。

【００１１】そこで、本発明に於ては回転軸２の先端部
近傍に前記攪拌翼７，７…の直下又は直上に２個の筒状
体８，８を上下に所定間隔を有して遊嵌し、そして、該
筒状体８，８に夫々停止翼９，９を回転軸２の直径方向
で且つ、平面視で直線状に重って突設され、而も、該停
止翼９，９の先端部は掘削孔４の孔壁にやや接触する程
度に形成されている。又、図示例では前記下方の停止翼
９は多少上下動できるように構成され、そして、上方の
停止翼９は殆ど上下動しないように構成されているが、
之に限定されるべきではない。更に、之等上下の停止翼
９，９の両端部には、図５に示すような外方へハラミ状
に膨出した板バネ１０，１０の上下端部を夫々枢支され
ている。而して、該板バネ１０，１０は通常の状態では
該掘削孔４の孔壁を押し付けるように構成されている。
又、該板バネ１０，１０の背中部位に押え具１０ａ，１
０ａを設けてもよい。

【００１２】更に、図３及び図４に示す如く、上方の停
止翼９を下方へ常時押圧するコイルバネ１１を回転軸２
に巻装し、そして、該コイルバネ１１のバネ圧を調整で
きるようにした止具１２にて該コイルバネ１１の上面を
係止している。この発明の一実施例は上述せる如き装置
に係るから、改良すべき軟弱地盤１は掘削刃３の回転に
よって逐次掘り下げられて掘削孔４が形成される。そし
て、該掘削刃３によって掘削された掘削土は該掘削刃３
及び攪拌翼７の回転によって回転移動する。更に、回転
軸２の先端部に取付けられているノズル５よりセメント
ミルクの如き地盤改良材６が噴出され、前記掘削土と共
に回転移動する。 このとき、上下の停止翼９，９は前
記掘削土の回転移動によって回転軸２を回転中心として
共廻りしようとするが、該上下の停止翼９，９の端部間
に介装されているハラミ状の板バネ１０，１０が該板バ
ネ１０，１０の弾性力又は、該弾性力を助成しているコ
イルバネ１１の付勢にて掘削孔４の孔壁を押圧し、そし
て、共廻りしようとする作用を拘束して停止する。

【００１３】斯くして、回転中の攪拌翼７，７…と停止
している停止翼９，９との間で回転移動中の掘削土が細
断され、更に、該細断された土と前記地盤改良材６とが
効率良く攪拌混合されるのである。尚、本発明は、本発
明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことがで
き、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当
然である。

【００１４】

【発明の効果】請求項１及び２記載の発明は上記一実施
例に於て詳述せる如く、回転軸に遊嵌されている停止翼
は、該回転軸に固設している攪拌翼の回転にて回転移動
している掘削土により同一方向へ回転しようとするが、
該停止翼は該停止翼の先端部に設けているハラミ状のバ
ネ板が掘削孔の孔壁を押圧して停止する。斯くして、回
転中の攪拌翼との間に於て掘削土は細断され、地盤改良
材は該細断された掘削土と良く混合攪拌されて強固な円
柱状の改良地盤を形成することができる。

【００１５】又、掘削孔の微妙な大きさの違いや硬さに
合わせて板バネが変形するので、掘進引上げ操作は極め
て円滑に行われる。更に、該掘削孔に障害物があっても
前記掘進引上操作に支障を及ぼすようなことはなく、仮
に、攪拌翼と停止翼間に障害物を噛むようなことがあっ
たとしても、停止翼が回転軸に沿って移動して逃げるの
で、回転軸や駆動部に無理を生ぜしめたり、攪拌翼或は
該停止翼が破損するようなこともない。又、請求項２記
載の発明における上方の停止翼を下方へ付勢してコイル
バネは前記板バネの弾性力を助成すると共に、該コイル
バネ自体の弾性力も状況に合わせて任意に調整し、そし
て、該停止翼を掘削孔の孔壁に押し付けて確実に停止さ
せるようにすることができる等、正に諸種の著大なる効
果を奏する発明である。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１記載の発明の地上部に於ける一部切欠
正面図。

【図２】同掘削孔内に於ける一部切欠縦断正面図。

【図３】請求項２記載の発明の地上部に於ける一部切欠
正面図。

【図４】同掘削孔内に於ける一部切欠縦断正面図。

【図５】板バネの斜面図。

【符号の説明】

１ 軟弱地盤 ２ 回転軸 ３ 掘削刃 ４ 掘削孔 ５ ノズル ６ 地盤改良材 ７ 攪拌翼 ８ 筒状体 ９ 停止翼 １０ 板バネ １１ コイルバネ １２ 止具

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転軸の先端部に掘削刃と地盤改良材の
   噴出用ノズルを備え、前記掘削刃によって掘削した掘削
   土と前記ノズルより噴出される地盤改良材とを前記回転
   軸に固設した攪拌翼にて攪拌するようにした混合攪拌装
   置に於て、前記回転軸に固設した攪拌翼の直上又は直下
   に２個の筒状体を所定間隔を有して遊嵌し、更に一方又
   は双方の筒状体は多少の上下動ができるように構成さ
   れ、且つ、該上下の各筒状体の直径方向に、掘削孔の孔
   径と同じか或は短かい停止翼を固設すると共に、該上下
   の停止翼の先端部間に外方へ膨出した板バネを介装して
   成る地盤改良用混合攪拌装置。
2. 【請求項２】 上記上部の停止翼はバネにて下方へ付勢
   されていることを特徴とする請求項１記載の地盤改良用
   混合攪拌装置。