JP3058719U - 地盤改良装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘着性の高い掘削土であっても共回り防
止板を確実に静止させ、かつ掘削土と充填剤との混合攪
拌を確実に行う。 【解決手段】 地盤改良装置を構成するカッタ２と該カ
ッタ２に隣接する攪拌羽根３との間及び任意の相隣接す
る攪拌羽根３の間に位置する推進軸１の箇所に支承部１
１により掘削土共回り防止手段４を推進軸１の軸廻り方
向に相対回転可能に支持し、この掘削土共回り防止手段
４を構成する、掘削穴５２の半径方向に延在する板材４
２の先端には、掘進動作時及び引き上げ動作時に掘削穴
５２の内壁に食い込んで当該板材４２が推進軸１の軸廻
り方向に回転しない静止状態に保持する共回り静止部材
４３を揺動可能に設ける構成にした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、地盤改良装置に関し、特に基礎工事などにおいて掘削土と充填剤を 混合して地盤を改良する地盤改良装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、このような地盤改良装置としては、例えば実用新案登録第２５３８０５ ２号公報に示すものが知られている。 この地盤改良装置は、カッタ及び攪拌翼が設けられた掘削軸を回転しつつ、改 良を要する地盤中に推進し、カッタで掘削された掘削土と外部から注入される充 填剤を攪拌翼で混合攪拌するものであり、カッタと攪拌翼の間及び攪拌翼と攪拌 翼の間の少なくとも一方の間に位置すると共に掘削軸に共回り防止板を回転可能 に支持し、この共回り防止板の長さをカッタの掘削径より僅かに設定すると共に 共回り防止板の外端部には所定角度屈曲した傾斜面を形成し、この傾斜面と掘削 孔壁とで形成される楔状空間で共回り防止板を静止させる構成になっている。

【０００３】 このように構成された従来の地盤改良装置においては、楔状空間に共回り防止 板の回動方向側の掘削土が充填され、この充填された掘削土により共回り防止板 を静止状態に保持する。したがって、カッタと共に回転している掘削土が共回り 防止板で堰き止められて静止し、静止した掘削土は撹拌翼で撹拌される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記のような従来の地盤改良装置では、共回り防止板の外端部に形成した傾斜 面と掘削孔壁とで形成される楔状空間に充填され圧密された掘削土により、共回 り防止板を静止させる方式であるため、掘削土と充填剤の混合体が粘着性の高く なることにより、カッタと回転翼間の掘削土、及び撹拌翼間の掘削土が撹拌翼及 びカッタの回転につれて共回りするようになると、楔状空間に掘削土を充填し圧 密させる程度では共回り防止板を静止させ、掘削土の共回りを確実に防止できな いという不具合があった。

【０００５】 本考案は、上記のような課題を解決するためになされたもので、粘着性の高い 掘削土であっても共回り防止板を確実に静止させ、かつ掘削土と充填剤との混合 攪拌を確実に行うことができる地盤改良装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するために本考案の地盤改良装置は、地盤中に回転されながら 推進される推進軸と、前記推進軸の先端に固設され、該推進軸を回転させながら 推進することにより地盤を掘削するカッタと、前記推進軸に前記カッタ寄り側か ら該推進軸の長手方向に沿い所定の間隔でかつ推進軸の半径方向に延在して固設 され、前記カッタで掘削された掘削土と前記推進軸を通して供給される充填剤と を混合攪拌する複数の攪拌羽根と、前記カッタと該カッタに隣接する前記攪拌羽 根との間及び前記任意の相隣接する攪拌羽根の間に位置する前記推進軸の箇所に 固定した支承部により推進軸の軸廻り方向に相対回転可能に支持された掘削土共 回り防止手段を備え、前記掘削土共回り防止手段は、前記支承部に推進軸の軸廻 り方向に相対回転可能に係合する支持部と、この支持部から前記カッタで掘削さ れた掘削穴の半径方向に延在するとともに該掘削穴の半径より短い長さの一対の 板材を有し、この各板材先端には、掘進動作時及び引き上げ動作時に前記掘削穴 の内壁に食い込んで当該板材が推進軸の軸廻り方向に回転しない静止状態に保持 する共回り静止部材を揺動可能に設けたことを特徴とする。 本考案はまた、前記共回り静止部材が、鈍角状に折り曲げることにより形成さ れる第１及び第２食い込み板片を有し、この第１食い込み板片と第２食い込み板 片の折り曲げ隅部の内側箇所に支持部を突設し、前記板材の先端には該板材の長 手方向と直角で水平方向のピン穴を有する支承部を設け、この支承部のピン穴に 挿着したピンに前記支持部を揺動可能に連結したことを特徴とする。

【０００７】 本考案においては、地盤改良装置の掘進動作時は、その掘進動作に伴い、ピン を中心にして下方に延在する第２食い込み板片の外表面に掘削土の土圧が下方か ら作用するため、この第２食い込み板片は板材側へ回動されるとともに、ピンを 中心にして上方に延在する第１食い込み板片は掘削穴の内壁に食い込む方向に回 動され、この第１食い込み板片を掘削穴の内壁に食い込ませる。 また、地盤改良装置の引き上げ動作時は、その引き上げ動作に伴い、ピンを中 心にして上方に延在する第１食い込み板片の外表面に掘削土の土圧が作用するた め、この第１食い込み板片は板材側へ回動されるとともに、ピンを中心にして上 方に延在する第２食い込み板片は掘削穴の内壁に食い込む方向に回動され、この 第２食い込み板片を掘削穴の内壁に食い込ませる。 これにより、地盤改良装置の掘進動作時及び引き上げ時は共回り防止手段全体 を推進軸の軸廻り方向に回転できない静止状態に保持して、攪拌される掘削土の 共回りを確実に防ぐから、粘着性の高い掘削土であっても共回り防止手段を確実 に静止でき、かつ攪拌羽根による掘削土と充填剤との混合攪拌を確実に行うこと ができる。

【０００８】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施の形態における地盤改良装置について、図１〜図５を参照 して説明する。 図１は本考案の実施の形態における地盤改良装置の全体の構成を示す側面図、 図２は図１のＡ−Ａ線に沿う拡大平面図、図３は本考案の実施の形態における共 回り静止部材及びその支持機構の詳細を示す要部の拡大平面図、図４は地盤改良 装置の掘進動作時における共回り静止部材の動作状態を示す側面図、図５は地盤 改良装置の引き上げ動作時における共回り静止部材の動作状態を示す側面図であ る。

【０００９】 図１及び図２において、地盤改良装置は、推進軸１、カッタ２、攪拌羽根３、 掘削土の共回り防止手段４を備えている。 推進軸１は、地盤５中に図示省略した掘進機構により回転されながら推進され るものである。カッタ２は、推進軸１を回転させながら推進することにより地盤 ５を掘削するもので、推進軸１の先端に固設されている。 攪拌羽根３は、カッタ２で掘削された掘削土５１と推進軸１内を通して供給さ れるコンクリートミルク等の地盤改良用充填剤とを混合攪拌するもので、推進軸 １にカッタ２寄り側から推進軸１の長手方向に沿い所定の間隔でかつ推進軸１の 半径方向に延在して複数固設されている。

【００１０】 また、掘削土の共回り防止手段４は、カッタ２及び攪拌羽根３が推進軸１と一 体的に回転する時、このカッタ２及び攪拌羽根３の付近の掘削土がカッタ２及び 攪拌羽根３の回転につれて共回りするのを防止するためのもので、この共回り防 止手段４は、カッタ２と該カッタ２に隣接する攪拌羽根３との間、及び任意の相 隣接する攪拌羽根３の間に位置する推進軸１の箇所に設けた支承部１１により、 推進軸１の軸線方向には固定で推進軸１の軸廻り方向には相対回転可能に支持さ れている。 上記共回り防止手段４は、図１ないし図３に示すように、支承部１１に推進軸 １の軸廻り方向に相対回転可能に係合する支持部４１と、この支持部４１からカ ッタ２で掘削された掘削穴５１の半径方向に延在するとともに掘削穴５２の半径 Ｄ１より短い長さＬ１の一対の板材４２を有し、この各板材４２先端には、掘進 動作時及び引き上げ動作時に掘削穴５２の内壁に食い込んで板材４２が推進軸１ の軸廻り方向に回転しない静止状態に保持する共回り静止部材４３が揺動可能に 設けられている。

【００１１】 上記共回り静止部材４３は、所定の長さ及び幅を有する金属製板材をくの字の 鈍角状に折り曲げることにより形成される第１及び第２食い込み板片４３１、４ ３２を有し、この第１食い込み板片４３１と第２食い込み板片４３２の折り曲げ 隅部４３３の内側箇所には一対の支持部４３４が隅部４３３の長手方向に所定間 隔離して突設されている。 また、各板材４２の先端には、板材４２の長手方向と直角で水平方向のピン穴 ４２１を有する支承部４２２が設けられており、この支承部４２２のピン穴４２ １に挿着したピン４２３に共回り静止部材４３の支持部４３４が揺動可能に連結 されている。

【００１２】 次に、以上のように構成された本実施の形態における地盤改良装置の動作につ いて説明する。 地盤改良装置の推進軸１を地上に設置した図示省略の掘進機構に取り付け、掘 進機構により推進軸１を回転させながら地盤５中に向け推進させる。これに伴い 推進軸１と一体に回転するカッタ２は地盤５を掘削しながら推進することにより 掘削穴５２を形成する。この時、掘削穴５２内は掘削された掘削土５１と推進軸 １内を通して供給されるコンクリートミルク等の充填剤とが充填された状態にな っている。

【００１３】 そして、掘進機構による地盤改良装置の掘進動作時は、その掘進動作に伴い、 攪拌羽根３及び共回り防止手段４が掘削穴５２内の掘削土中に完全に埋没された 状態になると、図４に示すように、ピン４２３を中心にして下方に延在する第２ 食い込み板片４３２の外表面に掘削土５２の土圧が矢印Ｅに示すように下方から 作用するため、この第２食い込み板片４３２は板材４２側である矢印Ｆ方向へ回 動されるとともに、ピン４２３を中心にして上方に延在する第１食い込み板片４ ３１は掘削穴５２の内壁に食い込む方向に回動され、これにより、第１食い込み 板片４３１の先端部を掘削穴５２の内壁に食い込ませる。 これにより、カッタ２及び攪拌羽根３の回転につれて図４の矢印に示す時計回 り方向に共回りしようとする掘削土５１及び充填剤の移動が阻止され、この状態 で攪拌羽根３が回転すると、移動の阻止された掘削土５１及び充填剤は攪拌羽根 ３により剪断攪拌され、掘削土５１と充填剤とを均等に混合することになる。 以上の作用は、地盤改良装置が掘進機構により地盤中に推進される限り、継続 して行われる。

【００１４】 したがって、地盤改良装置の掘進動作時時は、共回り防止手段４全体を推進軸 １の軸廻り方向に回転できない静止状態に保持して、攪拌される掘削土５１の共 回りを確実に防ぐから、粘着性の高い掘削土であっても共回り防止手段を確実に 静止でき、かつ攪拌羽根による掘削土と充填剤との混合攪拌を確実に行うことが できる。

【００１５】 一方、掘進機構による地盤改良装置の引き上げ動作時は、その引き上げ動作に 伴い、図５に示すように、ピン４２３を中心にして上方に延在する第１食い込み 板片４３１の外表面に掘削土５２の土圧が矢印Ｇに示すように上方から作用する ため、この第１食い込み板片４３１は板材４２側である矢印Ｈ方向へ回動される とともに、ピン４２３を中心にして下方に延在する第２食い込み板片４３２は掘 削穴５２の内壁に食い込む方向に回動され、これにより、第２食い込み板片４３ ２の先端部を掘削穴５２の内壁に食い込ませる。 これにより、カッタ２及び攪拌羽根３の回転につれて図５の矢印に示す時計回 り方向に共回りしようとする掘削土５１及び充填剤の移動が阻止され、この状態 で攪拌羽根３が回転すると、移動の阻止された掘削土５１及び充填剤は攪拌羽根 ３により再度剪断攪拌され、掘削土５１と充填剤とを更に均等に混合することに なる。

【００１６】 したがって、地盤改良装置の引き上げ動作時時においても、共回り防止手段４ 全体を推進軸１の軸廻り方向に回転できない静止状態に保持して、攪拌される掘 削土５１の共回りを確実に防ぐから、粘着性の高い掘削土であっても共回り防止 手段を確実に静止でき、かつ攪拌羽根による掘削土と充填剤との混合攪拌をより 確実に行うことができる。

【００１７】

【考案の効果】

上記のように本考案の地盤改良装置によれば、カッタと該カッタに隣接する攪 拌羽根との間及び任意の相隣接する攪拌羽根の間に位置する推進軸の箇所に掘削 土共回り防止手段を推進軸の軸廻り方向に相対回転可能に支持し、この掘削土共 回り防止手段を構成する、掘削穴の半径方向に延在する板材の先端に、掘進動作 時及び引き上げ動作時に前記掘削穴の内壁に食い込んで当該板材が推進軸の軸廻 り方向に回転しない静止状態に保持する共回り静止部材を揺動可能に設ける構成 にしたので、粘着性の高い掘削土であっても共回り防止手段を確実に静止でき、 かつ攪拌羽根による掘削土と充填剤との混合攪拌をより確実に行うことができる という効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施の形態における地盤改良装置の全
体の構成を示す側面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿う拡大平面図である。

【図３】本考案の実施の形態における共回り静止部材及
びその支持機構の詳細を示す要部の拡大平面図である。

【図４】本考案の実施の形態における地盤改良装置の掘
進動作時における共回り静止部材の動作状態を示す側面
図である。

【図５】本考案の実施の形態における地盤改良装置の引
き上げ動作時における共回り静止部材の動作状態を示す
側面図である。

【符号の説明】

１ 推進軸 １１ 支承部 ２ カッタ ３ 攪拌羽根 ４ 共回り防止手段 ４１ 支持部 ４２ 板材 ４２１ ピン穴 ４２２ 支承部 ４２３ ピン ４３ 共回り静止部材 ４３１ 第１食い込み板片 ４３２ 第２食い込み板片 ４３３ 折り曲げ隅部 ４３４ 支持部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 地盤中に回転されながら推進される推進
   軸と、前記推進軸の先端に固設され、該推進軸を回転さ
   せながら推進することにより地盤を掘削するカッタと、
   前記推進軸に前記カッタ寄り側から該推進軸の長手方向
   に沿い所定の間隔でかつ推進軸の半径方向に延在して固
   設され、前記カッタで掘削された掘削土と前記推進軸を
   通して供給される充填剤とを混合攪拌する複数の攪拌羽
   根と、前記カッタと該カッタに隣接する前記攪拌羽根と
   の間及び前記任意の相隣接する攪拌羽根の間に位置する
   前記推進軸の箇所に固定した支承部により推進軸の軸廻
   り方向に相対回転可能に支持された掘削土共回り防止手
   段を備え、 前記掘削土共回り防止手段は、前記支承部に推進軸の軸
   廻り方向に相対回転可能に係合する支持部と、この支持
   部から前記カッタで掘削された掘削穴の半径方向に延在
   するとともに該掘削穴の半径より短い長さの一対の板材
   を有し、この各板材先端には、掘進動作時及び引き上げ
   動作時に前記掘削穴の内壁に食い込んで当該板材が推進
   軸の軸廻り方向に回転しない静止状態に保持する共回り
   静止部材を揺動可能に設けたことを特徴とする地盤改良
   装置。
2. 【請求項２】 前記共回り静止部材は、鈍角状に折り曲
   げることにより形成される第１及び第２食い込み板片を
   有し、この第１食い込み板片と第２食い込み板片の折り
   曲げ隅部の内側箇所に支持部を突設し、前記板材の先端
   には該板材の長手方向と直角で水平方向のピン穴を有す
   る支承部を設け、この支承部のピン穴に挿着したピンに
   前記支持部を揺動可能に連結したことを特徴とする請求
   項１記載の地盤改良装置。