JP3237682B2 - ヒドラジンの回収方法 - Google Patents

ヒドラジンの回収方法

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hydrazine
ketone
aqueous solution
ammonia
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育久 栗山
祥一 仁藤
敏磨 倉井
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒドラジン製造プラン
トにおいて得られる低濃度のヒドラジン含有水溶液か
ら、ヒドラジンを選択的に回収する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年ヒドラジンの製造方法は、ケトン存
在下アンモニアを次亜塩素酸ナトリウムあるいは過酸化
水素で酸化してケタジンを合成し、このケタジンを加水
分解して水加ヒドラジンを得る方法が主流である。これ
らの製造プロセスに於ては、量的に多少はあるが、低濃
度のヒドラジン水溶液が副生する。しかもこの水溶液に
はヒドラジン以外にナトリウムイオンや塩素イオンある
いは有機物が含まれている場合が多い。しかるに、ヒド
ラジンは排水のCOD源となるため、ヒドラジンを含む
水溶液を廃棄するには何等かの処理をする必要がある。
カークオスマー第3版、第12巻、734〜755頁に
はヒドラジンとケトンからケタジンを生成させ、ケタジ
ンが水との共沸によって水より低い沸点で沸騰する性質
を利用したヒドラジンの回収方法について記載されてい
る。しかしながら、この方法では、ヒドラジンを高回収
率で得ることができない。また、ドイツ特許12826
17号には食塩の存在下でヒドラジン水溶液にアセトン
を添加した後蒸留し、留出液からアセトンアジンの形で
ヒドラジンを最大でも76.3%しか回収できなかった
例が記載されている。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の問
題点を解決するためになされたものであり、その目的
は、低濃度のヒドラジンを含有する水溶液から、ヒドラ
ジンを高収率で回収する方法を提供することにある。
【0004】本発明者らは前記の問題を解決すべく鋭意
検討し本発明を完成させた。すなわち、本発明は、2%
以下のヒドラジンを含有する水溶液からヒドラジン成分
を回収する方法において、アンモニア存在下でアルカリ
性の該水溶液にケトンを添加して、ヒドラジンから生成
されたケタジンを蒸留留出させることを特徴とするヒド
ラジンの回収方法に関するものである。
【0005】一般に、ヒドラジンとケトンとは、極めて
早く化1に示すような平衡を形成する。すなわち、ヒド
ラジンの存在する水溶液にケトンを添加すると、(1)及
び(2)式で示される平衡反応が生ずる。それぞれの平衡
がどの程度になるかは、それぞれの成分のモル比によっ
て変わる。本件で問題となるのは低濃度のヒドラジン水
溶液であるので、水は他の組成に対して大過剰である。
従って、この平衡の割合を支配するものは、ケトンとヒ
ドラジンのモル比であると考えられる。
【0006】
【化1】
【0007】通常、低濃度のヒドラジン水溶液を蒸留す
ると、水が優先的に留出するため、濃縮されたヒドラジ
ンが缶出液として得られる。一方、この蒸留系にケトン
を添加すると上記の平衡が起こり、生成したケタジンが
水と共沸してより低温で留出しやすくなり、缶出液はヒ
ドラジン含量のきわめて少ない水となる。留出液中のヒ
ドラジンは元の水溶液に比べ、濃縮され得る。さらに蒸
留をアンモニア存在下で行うとヒドラジンの回収率が著
しく向上する。本発明に於いて対象とする希薄ヒドラジ
ン水溶液とは、ヒドラジン濃度が2%以下のものであ
り、製造プロセスから由来する有機物、ナトリウムイオ
ン、塩素イオンが共存してもよいが、共存するナトリウ
ムイオン、塩素イオンの濃度は蒸留に差し支えない程
度、つまり、ナトリウムイオンと塩素イオンは蒸留中に
結晶が析出しない程度まで許容される。
【0008】有機物としては、(1)、(2)の平衡反応に見
られるものと同じケトン、ヒドラゾン、ケタジン以外
は、1%以下の濃度まで許容される。使用するケトンは
全炭素数3〜6のケトンが好ましく、アセトンおよびメ
チルエチルケトンが最も好ましい。また、これらケトン
を組み合わせて使用してもよい。ケタジンを生成する反
応は平衡反応であるため逆反応も起こり、生成したケタ
ジンが元のヒドラジンへ戻る反応も起こる。従って、効
率よくケタジンを留出させるためには、ケトンの添加量
及び添加方法を工夫する必要がある。ケトンの添加量
は、フィード液中のヒドラジン含量に対して7倍モル以
上、好ましくは10〜20倍モルである。ケトンの添加
量が少ないとケタジンの生成割合が減少しヒドラジンの
回収率が悪くなる。ケトンの添加量が多すぎると、回収
率はよくなるが過剰のケトンを蒸留するためのエネルギ
ーが増大する。
【0009】ケトンの添加方法は含有されるヒドラジン
に対してケトンの含有量が一定比率になるように、水溶
液にあらかじめ添加するかあるいは水溶液と同時に蒸留
塔に連続的に添加する。その場合、ケトンのフィード段
は水溶液のフィード段または水溶液のフィード段からボ
トムまでの間の段が好ましい。蒸留条件はヒドラジン含
量、ケトンの種類、ケトンの使用量によって異なるので
一概に決まらないが、使用したケトン及び生成したケタ
ジンの大部分が留出し、尚且つ水が出来るだけ缶出側へ
分離できるような段数及び還流比で行う。蒸留圧力は、
減圧下でも加圧下でも問題ないが、装置の複雑さ及び操
作の容易さを考えると、常圧下で行うのが最も経済的で
あるので好ましい。また、連続蒸留のみならず、バッチ
蒸留も同様に可能である。蒸留塔およびリボイラーの材
質としては、SUS304などのステンレス鋼、チタン
などが好適に使用できる。
【0010】さらに、本発明者らは、ヒドラジン水溶液
にアンモニアを添加することにより、ヒドラジンの回収
率が向上することを見いだした。アンモニアの添加量
は、ヒドラジン水溶液がアルカリ性、好ましくはpH8
以上、さらに好ましくは10以上となるのに必要な量を
使用する。アンモニアは蒸留処理前に予め添加する。ヒ
ドラジン水溶液がすでにアンモニアアルカリ性であれ
ば、アンモニアの添加を省略することもできる。本発明
おいて得られる留出液中には、ケトン、ケタジン、水、
アンモニア等が含有され得るが、さらに留出液を適当な
条件の下に蒸留することによりアンモニア、またはケト
ンとヒドラジンを分離して回収することができる。ま
た、留出液をそのまま、または精留してヒドラジン製造
プラントの工程液中に戻すこともできる。また、本発明
においては留出液の他にアンモニアが気体として回収さ
れ得る。
【0011】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 実施例 1 ヒドラジン濃度1.3%、アンモニア6.2%、沸点1
05℃以上の有機物を0.8%含有する均一な水溶液を
内径27mm、20段のオルダーショー型蒸留塔により
常圧下で蒸留した。この時、蒸留塔の塔頂から3段目に
上記水溶液を2197g/Hrでフィードし塔頂から7
段目にメチルエチルケトンを443g/Hrで添加し
た。塔頂での凝縮液は有機層と水層の2層に分離するの
でセパレーターで分離した後、水層を890g/Hrで
還流液として塔頂に戻し、447g/Hrで留出液を得
た。留出液の有機層の組成はケタジン27.0%、アン
モニア1.7%、メチルエチルケトン59.0%および
水であった。又、ガスとして195g/Hr得られ、そ
の組成はアンモニアが66.6%、メチルエチルケトン
28.5%、残りは水蒸気であった。缶出液中のヒドラ
ジンは0.07%、有機物は0.9%であった。ヒドラ
ジン回収率は95.1%であった。
【0012】実施例 2 SUS304製内径20mmの管にSUS304製3m
mのディクソンパッキングを350mm充填した蒸留塔
に5kg/cm2Gの圧力下で、ヒドラジン濃度0.3
4%、アンモニア濃度7.8%含有する水溶液382g
/Hrとメチルエチルケトン24g/Hrとを蒸留塔へ
はいる前に予め混ぜ合わせてから充填物の上部にフィー
ドした。塔頂での凝縮液の内、53g/Hrを還流液と
して塔頂へ戻し53g/Hrを留出液として得た。留出
液の組成はケタジン9.4%、アンモニア20.2%、
メチルエチルケトン27.9%および水であった。又、
ガスとして23.2g/Hr得られ、その組成はアンモ
ニアが82.4%、メチルエチルケトン17.6%であ
った。缶出液中のヒドラジンは0.05%であった。ヒ
ドラジン回収率は87.3%であった。
【0013】比較例 1 実施例1と同じ装置を使用して実施例1とアンモニア以
外は同じ組成のアンモニアを含まない水溶液を同じフィ
ード量で、ヒドラジンを濃縮し、次いでヒドラジンを蒸
留して回収した。留出液の有機層のケタジン濃度は23
%、缶出液中のヒドラジンは0.26%となりヒドラジ
ンの回収率は80%であった。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、低濃度のヒドラジンを
含有する水溶液からヒドラジンを効率よく回収すること
が出来る。回収された成分はケタジン法ヒドラジン製造
工程に再利用することが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−56099(JP,A) 特開 昭55−127354(JP,A) 特開 昭56−59608(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 251/88

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2%以下のヒドラジンを含有する水溶液
    からヒドラジン成分を回収する方法において、アンモニ
    ア存在下でアルカリ性の該水溶液にケトンを添加して、
    ヒドラジンから生成されたケタジンを蒸留留出させるこ
    とを特徴とするヒドラジンの回収方法。
  2. 【請求項2】 ケトンがアセトンまたはメチルエチルケ
    トンである請求項1記載の回収方法。
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