JP3237072B2 - 環状オレフィン系ランダム多元共重合体およびその製造方法 - Google Patents

環状オレフィン系ランダム多元共重合体およびその製造方法

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JP3237072B2 JP11741792A JP11741792A JP3237072B2 JP 3237072 B2 JP3237072 B2 JP 3237072B2 JP 11741792 A JP11741792 A JP 11741792A JP 11741792 A JP11741792 A JP 11741792A JP 3237072 B2 JP3237072 B2 JP 3237072B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、環状オレフィン系ランダ
ム多元共重合体およびその製造方法に関し、さらに詳し
くは、耐熱性および靱性などの機械的特性に優れるとと
もにより一層溶融流動性が向上された新規な環状オレフ
ィン系ランダム多元共重合体およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【発明の技術的背景】エチレンと特定の環状オレフィン
との共重合体である環状オレフィン系ランダム共重合体
は、透明性などの光学特性、誘電特性などの電気的特
性、機械的特性および耐熱性などにバランスよく優れて
おり、光ディスク材料、成形材料、ポリマーアロイ用素
材などとして好適に用いられている。本出願人も、たと
えば特開昭60-168708号公報ならびに特開昭61-98780
号、特開昭61-115912号、特開昭61-115916号、および特
開昭61-120816号公報等においてこの環状オレフィン系
ランダム共重合体を提案してきた。
【0003】ところでこの環状オレフィン系ランダム共
重合体は、用途によってはより一層成形時の溶融流動性
の向上が望まれている。すなわちもし溶融流動性に優れ
た環状オレフィン系ランダム共重合体を用いると、たと
えば光ディスクなどの情報記録媒体用基板に成形する際
に、低い金型温度でも樹脂が充分に流動するので成形サ
イクルを短縮することができるようになるとともに、ス
タンパーの溝転写性が良好になる。また成形材料やポリ
マーアロイ用素材などとして用いる際に、高速成形が可
能となって成形サイクルを短縮することができるように
なるとともに、大型の成形品を得ることができ、かつウ
ェルドラインなどのない優れた外観を有する成形品を得
ることができるようになる。
【0004】一般にポリマーの溶融流動性を向上させる
には、ポリマーにオリゴマーなどの低分子量化合物を添
加する方法、ポリマー自体の分子量分布を広くする方法
などが知られている。しかしながらポリマーに低分子量
化合物を添加したり、ポリマー自体の分子量分布を広く
すると、通常機械的強度特に靱性が低下してしまう。
【0005】またこれらの一般的方法とは別に本発明者
らは、環状オレフィン系ランダム共重合体では、環状オ
レフィン構成単位の含有量を低下させると、環状オレフ
ィン系ランダム共重合体の溶融流動性を向上させること
ができるという知見を得ている。しかしながら、環状オ
レフィン構成単位の含有量を低下させると、環状オレフ
ィン系ランダム共重合体の耐熱性が低下する傾向にあ
る。
【0006】このため公知の環状オレフィン系ランダム
共重合体が本来有する優れた特性、特に耐熱性、機械的
特性を有しているとともに、溶融流動性にも優れた環状
オレフィン系ランダム共重合体の出現が望まれていた。
【0007】本発明者は上記のような従来技術に鑑みて
鋭意研究を行なった結果、α−オレフィンと特定のノル
ボルネン誘導体と特定の環状オレフィンとを特定の量で
共重合させて得られる新規な環状オレフィン系ランダム
多元共重合体によって、上記の目的を達成することを見
出して本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の目的】本発明は、耐熱性および靱性などの機械
的特性に優れるとともに、溶融流動性が向上された特定
の環状オレフィン系ランダム多元共重合体およびその製
造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明に係る環状オレフィン系ランダム
多元共重合体は、[A]炭素数2以上のα−オレフィン
と、[B]下記式[I]で表され、かつ炭素数が11以
下のノルボルネン誘導体と、
【0010】
【化7】
【0011】(式[I]中、R1 〜R8 はそれぞれ独立
に、水素原子、ハロゲン原子または炭素数4以下の炭化
水素基であり、R5 〜R8 は互いに結合して単環を形成
していてもよく、かつ該単環が二重結合を有していても
よく、またR5 とR6 とで、またはR7 とR8 とでアル
キリデン基を形成していてもよい。)
【0012】[C]下記式[II]または[III]で表さ
れ、かつ炭素数が12以上の環状オレフィンとの共重合
体であって、上記成分[A]、[B]および[C]から
誘導される構成単位が、モル比で[A]/[B]/
[C]=30〜85/10〜40/5〜30の割合で存
在し、135℃のデカリン中で測定される極限粘度
([η])が0.1〜2.0dl/gであり、かつDSC
により測定されるガラス転移温度(Tg)が80〜25
0℃であることを特徴としている;
【0013】
【化8】
【0014】(式[II]中、nは0または1であり、m
は0または正の整数であり、n+mは正の整数であり、
qは0または1であり、R1 〜R18ならびにRa および
b はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または
炭化水素基であり、R15〜R18は互いに結合して単環ま
たは多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環
が二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、
またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していても
よい。)、
【0015】
【化9】
【0016】(式[III]中、pおよびqは0以上の整
数であり、mおよびnは0、1または2であり、R1
19はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族
炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基また
はアルコキシ基であり、R9 (またはR10)が結合して
いる炭素原子とR13またはR11が結合している炭素原子
とは、直接あるいは炭素数1〜3のアルキレン基を介し
て結合していてもよく、またn=m=0のときR15とR
19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成
していてもよい。)。
【0017】また本発明に係る環状オレフィン系ランダ
ム多元共重合体の製造方法は、 [A]炭素数2以上のα−オレフィンと、 [B]上記式[I]で表され、かつ炭素数が11以下の
ノルボルネン誘導体と、 [C]上記式[II]または[III]で表され、かつ炭素
数が12以上の環状オレフィンとを、 (i) 可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物
とから形成される触媒または(ii)周期律表第IVB族から
選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と有機アルミニウ
ムオキシ化合物とから形成される触媒の存在下に、炭化
水素系溶媒中で共重合させるに際して、成分[B]と
[C]との供給量比を[B]/[C]=85/15〜3
0/70(モル比)とすることを特徴としている。
【0018】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る環状オレフィ
ン系ランダム多元共重合体について具体的に説明する。
【0019】本発明に係る環状オレフィン系ランダム多
元共重合体は、[A]炭素数2以上のα−オレフィン
と、[B]炭素数が11以下のノルボルネン誘導体と、
[C]炭素数が12以上の環状オレフィンとの共重合体
である。
【0020】まずこれらの各成分について詳細に説明す
る。[A]炭素数2以上のα−オレフィン 本発明に係る環状オレフィン系ランダム多元共重合体を
形成する際に用いられる炭素数2以上のα−オレフィン
としては、具体的に、エチレン、プロピレン、1-ブテ
ン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-
メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1
-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘ
キセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセ
ン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-
ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタ
デセン、1-エイコセン等が挙げられる。これらは、単独
であるいは2種以上組み合わせて用いられる。
【0021】これらのうち、エチレンまたはプロピレン
が好ましい。[B]炭素数が11以下のノルボルネン誘導体 本発明に係る環状オレフィン系ランダム多元共重合体を
形成する際に用いられる[B]炭素数11以下のノルボ
ルネン誘導体は、下記一般式[I]で表される。
【0022】
【化10】
【0023】式[I]中、R1 〜R8 はそれぞれ独立
に、水素原子、ハロゲン原子または炭素数4以下の炭化
水素基である。ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、
塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【0024】炭素数4以下の炭化水素基としては、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチ
ル基、イソブチル基などのアルキル基、シクロプロピル
基などのシクロアルキル基が挙げられる。
【0025】またR5 〜R8 は互いに結合して単環を形
成していてもよく、かつ該単環が二重結合を有していて
もよく、またR5 とR6 とで、またはR7 とR8 とでア
ルキリデン基を形成していてもよい。
【0026】ここで形成される単環を、以下に例示す
る。
【0027】
【化11】
【0028】なお上記の単環において、1または2の番
号を賦した炭素原子は、式[I]において、R
5 (R6 )またはR7 (R8 )が結合している脂環構造
を形成している炭素原子である。
【0029】またアルキリデン基としては、具体的にエ
チリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基が挙
げられる。このような式[I]で表されるノルボルネン
誘導体としては、具体的には、炭素数11以下であるビ
シクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン誘導体、トリシクロ
[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体、トリシクロ
[4.4.0.12,5]-3-ウンデセンなどが挙げられる。
【0030】より具体的には、下記のような化合物が挙
げられる。
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】
【0033】これらは、単独であるいは組み合わせて用
いられる。[B]炭素数12以上の環状オレフィン 本発明に係る環状オレフィン系ランダム多元共重合体を
形成する際に用いられる[B]炭素数12以上の環状オ
レフィンは、下記一般式[II]または[III]で表され
る。
【0034】
【化14】
【0035】式[II]中、nは0または1であり、mは
0または正の整数であり、n+mは正の整数であり、q
は0または1である。なお、qが1の場合には、Ra
よびRbは、それぞれ独立に、下記の原子または炭化水
素基を表し、qが0の場合には、それぞれの結合手が結
合して5員環を形成する。
【0036】また上記式[II]において、R1 〜R18
らびにRa およびRb は、それぞれ独立に、水素原子、
ハロゲン原子または炭化水素基である。ここでハロゲン
原子は、上記式[I]におけるハロゲン原子と同じであ
る。
【0037】また炭化水素基としては、それぞれ独立
に、通常、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜1
5のシクロアルキル基が挙げられる。より具体的には、
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル
基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基が挙げ
られ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が
挙げられる。
【0038】これらの基はハロゲン原子で置換されてい
てもよい。さらに上記式[II]において、R15とR16
が、R17とR18とが、R15とR17とが、R16とR18
が、R15とR18とが、あるいはR16とR17とがそれぞれ
結合して(互いに共同して)、単環または多環を形成し
ていてもよく、しかもこのようにして形成された単環ま
たは多環が二重結合を有していてもよい。
【0039】ここで形成される単環または多環は、以下
に例示される。
【0040】
【化15】
【0041】なお上記例示において、1または2の番号
を賦した炭素原子は、式[I]において、R15(R16
またはR17(R18)が結合している脂環構造を形成して
いる炭素原子である。
【0042】また、R15とR16とで、またはR17とR18
とでアルキリデン基を形成していてもよい。このような
アルキリデン基としては、通常炭素原子数2〜20のア
ルキリデン基が挙げられ、具体的には、エチリデン基、
プロピリデン基およびイソプロピリデン基が挙げられ
る。
【0043】
【化16】
【0044】式[III]中、pおよびqは0以上の整数
であり、mおよびnは0、1または2である。ここでハ
ロゲン原子は、上記式[I]におけるハロゲン原子と同
じである。
【0045】また炭化水素基としては、それぞれ独立
に、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子
数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基
が挙げられる。より具体的には、アルキル基としては、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ア
ミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル
基およびオクタデシル基が挙げられ、シクロアルキル基
としては、シクロヘキシル基が挙げられ、芳香族炭化水
素基としては、アリール基、アラルキル基などが挙げら
れ、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、
ベンジル基、フェニルエチル基などが挙げられ、アルコ
キシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基などが挙げられる。
【0046】これらの基はハロゲン原子で置換されてい
てもよい。ここで、R9 およびR10が結合している炭素
原子と、R13が結合している炭素原子またはR11が結合
している炭素原子とは直接あるいは炭素原子数1〜3の
アルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち、
上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合してい
る場合には、R9 およびR13で表される基が、または、
10およびR11で表される基が互いに共同して、メチレ
ン基(-CH2-) 、エチレン基(-CH2CH2-)またはプロピレン
基(-CH2CH2CH2-) の内のいずれかのアルキレン基を形成
している。
【0047】さらに、n=m=0のとき、R15とR12
たはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳
香族環を形成していてもよい。この場合の単環または多
環の芳香族環の例としては、n=m=0のときR15とR
12がさらに芳香族環を形成している以下に記載する基が
挙げられる。
【0048】
【化17】
【0049】上記例示において、qは式[III]におけ
るqと同じ意味である。上記のような式[II]または
[III]で表される環状オレフィン[C]としては、具
体的には、炭素数12以上のトリシクロ[4.3.0.12,5
-3- デセン誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3- ウン
デセン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-
ドデセン誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.0
9,14]-4- ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.
12,3.19,12.08,13]-3- ヘキサデセン誘導体、ペンタシ
クロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4- ペンタデセン誘導
体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]-3- ペン
タデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導
体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]-4
- ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.1.3.6.1
10,17.112,15.02,7.011,16]-4- エイコセン誘導体、ヘ
プタシクロ-5- エイコセン誘導体、ヘプタシクロ[8.8.
0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5- ヘンエイコセ
ン誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.1
13,16.03,8.012,17]-5- ドコセン誘導体、ノナシクロ
[10.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.0
14,19]-5- ペンタコセン誘導体、ノナシクロ[10.10.
1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]-5-
ヘキサコセン誘導体、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒ
ドロフルオレン誘導体、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-
ヘキサヒドロアントラセン誘導体、シクロペンタジエン
-アセナフチレン付加物などが挙げられる。
【0050】以下により具体的に示す。
【0051】
【化18】
【0052】
【化19】
【0053】
【化20】
【0054】
【化21】
【0055】
【化22】
【0056】
【化23】
【0057】
【化24】
【0058】
【化25】
【0059】
【化26】
【0060】
【化27】
【0061】
【化28】
【0062】
【化29】
【0063】
【化30】
【0064】
【化31】
【0065】
【化32】
【0066】
【化33】
【0067】
【化34】
【0068】これらは、単独であるいは組み合わせて用
いられる。上記のようなノルボルネン誘導体[B]また
は環状オレフィン[C]は、シクロペンタジエンと対応
する構造を有するオレフィン類とを、ディールス・アル
ダー反応させることによって製造される。
【0069】また本発明に係る環状オレフィン系ランダ
ム多元共重合体は、本発明の目的を損なわない範囲で必
要に応じて他の共重合可能な他のモノマーから誘導され
る構成単位を含有していてもよい。
【0070】このような他のモノマーとしては、上記の
ような特定のノルボルネン誘導体[B]および環状オレ
フィン[C]以外の環状オレフィンが挙げられ、具体的
に、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、
3,4-ジメチルシクロヘキセン、3-メチルシクロヘキセ
ン、2-(2-メチルブチル)-1-シクロヘキセン、3a,5,6,7a
-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデンなどが挙げられ
る。
【0071】これらは、単独であるいは組み合わせて用
いられる。さらにスチレン、α−メチルスチレンなどの
他のオレフィン類も挙げられる。本発明に係る環状オレ
フィン系ランダム多元共重合体は、上記のような[A]
炭素数2以上のα−オレフィン、[B]炭素数11以下
のノルボルネン誘導体および[C]炭素数12以上の環
状オレフィンそれぞれの単量体から誘導される構成単位
がランダムに配列して結合し、実質的にゲル状架橋重合
体を含有せず、分岐構造を有していてもよい実質的に線
状構造を有している。この共重合体が実質的に線状構造
を有していることは、該共重合体が有機溶媒に溶解し、
不溶分を含まないことにより確認することができる。た
とえば後述するようにして極限粘度[η]を測定する際
に、該共重合体が135℃、デカリンに完全に溶解する
ことにより確認することができる。
【0072】本発明に係る環状オレフィン系ランダム多
元共重合体において、上記式[I]で表されるノルボル
ネン誘導体から誘導される構成単位は、実質的に下記構
造式[IV]で示される。
【0073】
【化35】
【0074】また式[II]または[III]で表される環
状オレフィン[C]から誘導される構成単位は、実質的
に下記構造式[V]または[VI]で示される。
【0075】
【化36】
【0076】…[V]
【0077】
【化37】
【0078】…[VI] 上記のように本発明に係る環状オレフィン系ランダム多
元共重合体では、ノルボルネン誘導体[B]から誘導さ
れる構成単位および環状オレフィン[C]から誘導され
る構成単位は実質的に上記式[IV]、[V]または[V
I]で表される構造を有しており、化学的に安定であっ
て、耐熱老化性に優れている。この環状オレフィン系ラ
ンダム多元共重合体は、沃素価が、通常5以下、好まし
くは1以下である。なおノルボルネン誘導体[B]およ
び環状オレフィン[C]から誘導される構成単位が上記
構造を有していることは、該共重合体の13C−NMRス
ペクトルを測定することによって確認することができ
る。
【0079】このような本発明に係る環状オレフィン系
ランダム多元共重合体では、各構成単位は以下のような
割合(モル比)で存在している。すなわち、炭素数2以
上のα−オレフィン[A]から誘導される構成単位/炭
素数11以下のノルボルネン誘導体[B]から誘導され
る構成単位/炭素数12以上の環状オレフィン[C]か
ら誘導される構成単位が、30〜85/10〜40/5
〜30、好ましくは40〜75/15〜40/10〜2
0である。
【0080】本発明に係る環状オレフィン系ランダム多
元共重合体は、上記のように特にノルボルネン誘導体
[B]から誘導される構成単位と環状オレフィン[C]
から誘導される構成単位とを特定量で含有することによ
り、耐熱性に優れるとともに溶融流動性にも優れてい
る。
【0081】なおノルボルネン誘導体[B]から誘導さ
れる構成単位の含有量が上記以下の量になると、環状オ
レフィン系ランダム多元共重合体は溶融流動性が充分に
は向上されず、一方上記以上の量になると耐熱性が低下
することがある。
【0082】また環状オレフィン[C]から誘導される
構成単位の含有量が上記以下の量になると、環状オレフ
ィン系ランダム多元共重合体は耐熱性が低下することが
あり、上記以上の量になると溶融流動性が低下すること
がある。
【0083】また本発明に係る環状オレフィン系ランダ
ム多元共重合体は、135℃のデカリン中で測定される
極限粘度([η])が0.1〜2.0dl/g好ましくは
0.15〜1.7dl/gであり、本発明に係る環状オレ
フィン系ランダム多元共重合体が上記のような極限粘度
([η])を有していると、機械的強度が低下すること
がなく成形性に優れているとともに、分子量上昇に伴う
溶融流動性への影響が少ない。
【0084】また本発明に係る環状オレフィン系ランダ
ム多元共重合体は、DSCにより測定されるガラス転移
温度(Tg)が80〜250℃好ましくは90〜250
℃である。ガラス転移温度(Tg)が上記のような値で
あると、環状オレフィン系ランダム多元共重合体は、耐
熱性に優れ、熱分解することなく溶融成形される。
【0085】上記のように本発明に係る環状オレフィン
系ランダム多元共重合体は、特定の組成を有しており、
耐熱性に優れ機械的強度に優れるとともに、特に溶融流
動性に優れている。
【0086】このような本発明に係る環状オレフィン系
ランダム多元共重合体は、たとえばゴム、他の樹脂など
としてアロイ化されると、流動性に優れるポリマーアロ
イが得られる。
【0087】このように本発明に係る環状オレフィン系
ランダム多元共重合体とアロイ化されるポリマーとして
は、下記のようなものが挙げられる。 (イ)1個または2個の不飽和結合を有する炭化水素か
ら誘導される重合体、具体的にはポリオレフィンたとえ
ば架橋構造を有していてもよいポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリイソブチレン、ポリメチルブテン-1、ポリ
4-メチルペンテン-1、ポリブテン-1、ポリイソプレン、
ポリブタジエン、ポリスチレン、または前記の重合体を
構成するモノマー同士の共重合体たとえばエチレン・プ
ロピレン共重合体、プロピレン・ブテン-1共重合体、プ
ロピレン・イソブチレン共重合体、スチレン・イソブチ
レン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、エチレ
ンおよびプロピレンとジエンたとえばヘキサジエン、シ
クロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどとの3
元共重合体、あるいはこれらの重合体のブレンド物、グ
ラフト重合体、ブロック共重合体など。 (ロ)ハロゲン含有ビニル重合体、具体的にはポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリ
クロロプレン、塩素化ゴムなど。 (ハ)α,β−不飽和酸とその誘導体から誘導される重
合体、具体的にはポリアクリレート、ポリメタクリレー
ト、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、また
は前記の重合体を構成するモノマーとその他の共重合可
能なモノマーとの共重合体たとえば、アクリロニトリル
・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・
スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・アク
リル酸エステル共重合体など。 (ニ)不飽和アルコールおよびアミンまたはそのアシル
誘導体またはアセタールから誘導される重合体、具体的
にはポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステ
アリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリビニルブチ
ラール、または前記重合体を構成するモノマーとその他
の共重合可能なモノマーとの共重合体たとえば、エチレ
ン・酢酸ビニル共重合体など。 (ホ)エポキシドから誘導される重合体、具体的にはポ
リエチレンオキシドまたはビスグリシジルエーテルから
誘導される重合体など。 (へ)ポリアセタール、具体的にはポリオキシメチレ
ン、ポリオキシエチレン、コモノマーとしてエチレンオ
キシドを含むようなポリオキシメチレンなど。 (ト)ポリフェニレンオキシド。 (チ)ポリカーボネート。 (リ)ポリスルフォン。 (ヌ)ポリウレタンおよび尿素樹脂。 (ル)ジアミンおよびジカルボン酸および/またはアミ
ノカルボン酸または相応するラクタムから誘導されるポ
リアミドおよびコポリアミド、具体的にはナイロン6、
ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12など。 (ヲ)ジカルボン酸およびジアルコールおよび/または
オキシカルボン酸または相応するラクトンから誘導され
るポリエステル、具体的にはポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4-ジメチロー
ル・シクロヘキサンテレフタレートなど。 (ワ)アルデヒドとフェノール、尿素またはメラミンか
ら誘導された架橋構造を有する重合体、具体的にはフェ
ノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素・ホルムアルデヒ
ド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂など。 (カ)アルキド樹脂、具体的にはグリセリン・フタル酸
樹脂など。 (ヨ)飽和および不飽和ジカルボン酸と多価アルコール
とのコポリエステルから誘導され、架橋剤としてビニル
化合物を使用して得られる不飽和ポリエステル樹脂なら
びにハロゲン含有改質樹脂。 (タ)天然重合体、具体的にはセルロース、天然ゴム、
蛋白質、あるいはそれらの誘導体たとえば酢酸セルロー
ス、プロピオン酸セルロース、酢酸セルロース、セルロ
ースエーテルなど。
【0088】次に本発明に係る環状オレフィン系ランダ
ム多元共重合体の製造方法について記載する。本発明で
は、上記のような炭素数2以上のα−オレフィン[A]
と、ノルボルネン誘導体[B]と、環状オレフィン
[C]とを、炭化水素溶媒中で、(i) 可溶性バナジウム
化合物と有機アルミニウム化合物とから形成される触媒
または(ii)周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメ
タロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物とから
形成される触媒の存在下に共重合させる。
【0089】このような触媒(i) を形成する可溶性バナ
ジウム化合物は、具体的には、下記一般式で表される。 VO(OR)ab またはV(OR)cd ただし式中、Rは炭化水素基であり、a、b、c、dは
それぞれ0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0
≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4を満たす。より
具体的には、VOCl3、VO(OC25)Cl2、VO
(OC252Cl、VO(O-iso-C37)Cl2、V
O(O-n-C49)Cl2、VO(OC253、VOB
2、VCl4、VOCl2 VO(O-n-C493、VOCl3・2OC817OHな
どのバナジウム化合物が用いられる。
【0090】これらの化合物は、単独であるいは2種以
上組み合わせて用いることができる。また上記可溶性バ
ナジウム化合物は、以下に示すような電子供与体を接触
させて得られるこれらの電子供与体付加物として用いる
こともできる。
【0091】このような電子供与体としては、アルコー
ル類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボ
ン酸類、有機酸ハライド類、有機酸または無機酸のエス
テル類、エーテル類、ジエーテル類、酸アミド類、酸無
水物類、アルコキシシランなどの含酸素電子供与体、ア
ンモニア類、アミン類、ニトリル類、ピリジン類、イソ
シアネート類などの含窒素電子供与体が挙げられる。よ
り具体的には、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2-エチ
ルヘキサノール、オクタノール、ドデカノール、オクタ
デシルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアル
コール、フェニルエチルアルコール、クミルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、イソプロピルベンジルア
ルコールなどの炭素数1〜18のアルコール類やトリク
ロロメタノールやトリクロロエタノール、トリクロロヘ
キサノールなどの炭素数1〜18のハロゲン含有アルコ
ール類、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチ
ルフェノール、プロピルフェノール、ノニルフェノー
ル、クミルフェノール、ナフトールなどの低級アルキル
基を有してもよい炭素数6〜20のフェノール類、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾキノンなどの
炭素数3〜15のケトン類、アセトアルデヒド、プロピ
オンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒ
ド、トルアルデヒド、ナフトアルデヒドなどの炭素数2
〜15のアルデヒド類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸
エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢
酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、
吉草酸エチル、クロル酢酸メチル、ジクロル酢酸エチ
ル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、シクロヘ
キサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エ
チル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オ
クチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、
安息香酸ベンジル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチ
ル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス
酸メチル、アニス酸エチル、エトキシ安息香酸エチル、
γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、クマリン、フ
タリド、炭酸エチルなどの炭素数2〜18の有機酸エス
テル類、アセチルクロリド、ベンゾイルクロリド、トル
イル酸クロリド、アニス酸クロリドなどの炭素数2〜1
5の酸ハライド類、メチルエーテル、エチルエーテル、
イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジフェニルエー
テルなどの炭素数2〜20のエーテル類、無水酢酸、無
水フタル酸、無水安息香酸などの酸無水物、ケイ酸エチ
ル、ジフェニルジメトキシシランなどのアルコキシシラ
ン、酢酸N,N-ジメチルアミド、安息香酸N,N-ジエチルア
ミド、トルイル酸N,N-ジメチルアミドなどの酸アミド
類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチル
アミン、トリベンジルアミン、テトラメチルエチレンジ
アミンなどのアミン類、アセトニトリル、ベンゾニトリ
ル、トリニトリルなどのニトリル類、ピリジン、メチル
ピリジン、エチルピリジン、ジメチルピリジンなどのピ
リジン類などを例示することができる。
【0092】可溶性バナジウム化合物の電子供与体付加
物を調製する際には、これら電子供与体を単独であるい
は2種以上組み合わせて用いることができる。本発明
で、触媒(i) を形成する際に可溶性バナジウム化合物と
ともに用いられる有機アルミニウム化合物は、分子内に
少なくとも1個のAl−C結合を有しており、たとえ
ば、下記(a) および(b) 式で表される。
【0093】 (a) 一般式 R1 mAl(OR2npq (ここでR1 およびR2 は、通常炭素原子数1〜15、
好ましくは1〜4の炭化水素基であり、これらは同一で
あっても異なっていてもよい。Xはハロゲン原子であ
り、mは0≦m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<
3、qは0≦q<3の数であって、しかもm+n+p+
q=3である。)。
【0094】(b) 一般式 M1AlR1 4 (ここでM1 はLi、Na、Kであり、R1 は前記と同
じ)で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキ
ル化物。
【0095】前記(a) で表される有機アルミニウム化合
物としては、具体的に、次の化合物を例示することがで
きる。 (1) 一般式 R1 mAl(OR23-m (ここでR1およびR2は前記と同じ。mは好ましくは
1.5≦m<3の数である)。 (2) 一般式 R1 mAlX3-m (ここでR1は前記と同じ。Xはハロゲン、mは好まし
くは0<m<3の数である)。 (3) 一般式 R1 mAlH3-m (ここでR1は前記と同じ。mは好ましくは2≦m<3
の数である)。 (4) 一般式 R1 mAl(OR2nq (ここでR1およびR2は前記と同じ。Xはハロゲン、0
<m≦3、0≦n<3、0≦q<3で、m+n+q=3
である。)。
【0096】このような(a) で表される有機アルミニウ
ム化合物は、より具体的には、以下のような化合物を例
示することができる。 (1) で表される有機アルミニウム化合物としては、トリ
エチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどのト
リアルキルアルミニウム;トリイソプロペニルアルミニ
ウムなどのトリアルケニルアルミニウム;ジエチルアル
ミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド
などのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルア
ルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセス
キブトキシドおよび、R1 2.5Al(OR20.5などで表
わされる平均組成を有する部分的にアルコキシ化された
アルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
【0097】(2) で表される有機アルミニウム化合物と
しては、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアル
ミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミドなど
のジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウ
ムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロド、
エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアル
ミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリ
ド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニ
ウムジブロミドなどの部分的にハロゲン化されたアルキ
ルアルミニウムなどを挙げることができる。
【0098】(3) で表される有機アルミニウム化合物と
しては、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアル
ミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリ
ド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニ
ウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルア
ルミニウムなどを挙げることができる。
【0099】(4) で表される有機アルミニウム化合物と
しては、エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチル
アルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエ
トキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロ
ゲン化されたアルキルアルミニウムを挙げることができ
る。
【0100】さらに上記一般式(a) で表される化合物に
に類似する化合物、たとえば酸素原子や窒素原子を介し
て、2以上のアルミニウムが結合した有機アルミニウム
化合物であってもよい。このような化合物として、具体
的には、
【0101】
【化38】
【0102】などを例示することができる。また前記
(b)に属する化合物としては、LiAl(C254
LiAl(C7154などを例示することができる。
【0103】これらのうち、とくにアルキルアルミニウ
ムハライド、アルキルアルミニウムジハライドまたはこ
れらの混合物が好ましい。次に本発明で用いられる(ii)
周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化
合物と有機アルミニウムオキシ化合物とから形成される
触媒について説明する。
【0104】このような周期律表第IVB族から選ばれる
遷移金属のメタロセン化合物は、具体的に、次式(a) で
表される。 MLx …(a) 式(a) 中、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属
であり、具体的にジルコニウム、チタンまたはハフニウ
ムであり、xは遷移金属の原子価である。
【0105】Lは遷移金属に配位する配位子であり、こ
れらのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジ
エニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジ
エニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよ
い。
【0106】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
としては、たとえば、シクロペンタジエニル基、メチル
シクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル
基、n-またはi-プロピルシクロペンタジエニル基、n-、
i-、sec-、t-、ブチルシクロペンタジエニル基、ヘキシ
ルシクロペンタジエニル基、オクチルシクロペンタジエ
ニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチル
シクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジ
エニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、メチ
ルエチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシク
ロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニ
ル基、メチルヘキシルシクロペンタジエニル基、メチル
ベンジルシクロペンタジエニル基、エチルブチルシクロ
ペンタジエニル基、エチルヘキシルシクロペンタジエニ
ル基、メチルシクロヘキシルシクロペンタジエニル基な
どのアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジ
エニル基、さらにインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロ
インデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。
【0107】これらの基はハロゲン原子、トリアルキル
シリル基などで置換されていてもよい。シクロペンタジ
エニル骨格を有する配位子以外のLは、炭素数1〜12
の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホ
ン酸含有基(−SO3a )、ハロゲン原子または水素
原子(ここで、Ra はアルキル基、ハロゲン原子で置換
されたアルキル基、アリール基またはハロゲン原子また
はアルキル基で置換されたアリール基である。)であ
る。
【0108】炭素数1〜12の炭化水素基としては、ア
ルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル
基などを例示することができ、より具体的には、メチル
基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチ
ル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル
基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシ
ル基などのシクロアルキル基、フェニル基、トリル基な
どのアリール基、ベンジル基、ネオフィル基などのアラ
ルキル基が挙げられる。
【0109】またアルコキシ基としては、メトキシ基、
エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブ
トキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキ
シ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、オクトキシ基など
が挙げられる。
【0110】アリーロキシ基としては、フェノキシ基な
どが挙げられる。スルホン酸含有基(−SO3a )と
しては、メタンスルホナト基、p-トルエンスルホナト
基、トリフルオロメタンスルホナト基、p-クロルベンゼ
ンスルホナト基などが挙げられる。
【0111】ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭
素、ヨウ素が挙げられる。上記のような式(a) で表され
るメタロセン化合物は、たとえば遷移金属の原子価が4
である場合、より具体的には下記式(b) で表される。
【0112】R2 k3 l4 m5 nM …(b) 式(b) 中、Mは上記遷移金属であり、R2 はシクロペン
タジエニル骨格を有する基(配位子)であり、R3 、R
4 およびR5 は、それぞれ独立にシクロペンタジエニル
骨格を有する基または上記式(a) 中のシクロペンタジエ
ニル骨格を有する配位子以外のLと同様である。kは1
以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
【0113】以下にMがジルコニウムであり、かつシク
ロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個
含むメタロセン化合物を例示する。ビス(シクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロ
リド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブ
ロミド、ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニ
ウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジル
コニウムフェノキシモノクロリド、ビス(メチルシクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(エチ
ルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビ
ス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジ
クロリド、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジクロリド、ビス(t-ブチルシクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-ブチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス
(sec-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジク
ロリド、ビス(イソブチルシクロペンタジエニル)ジル
コニウムジクロリド、ビス(ヘキシルシクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(オクチルシクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(イン
デニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7-テト
ラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス
(インデニル)ジルコニウムジブロミド、ビス(シクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロリド、ビス
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリ
ド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ビ
ス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタン
スルホナト)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムビス(p-トルエンスルホナト)、ビス(シクロペン
タジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンス
ルホナト)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジル
コニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス
(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(ト
リフルオロメタンスルホナト)、ビス(プロピルシクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタ
ンスルホナト)、ビス(ブチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ビス(ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビ
ス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(1,3-ジメ
チルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフ
ルオロメタンスルホナト)、ビス(1-メチル-3-エチル
シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオ
ロメタンスルホナト)、ビス(1-メチル-3-プロピルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロ
メタンスルホナト)、ビス(1-メチル-3-ブチルシクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタ
ンスルホナト)、ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-エ
チルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(1-メチル-3-プロピルシクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-ブチルシク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1-
メチル-3-ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロリド、ビス(1-メチル-3-オクチルシクロペン
タジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1-エチル
-3-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロ
リド、ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジクロリド、ビス(テトラメチルシクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチル
シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス
(メチルベンジルシクロペンタジエニル)ジルコニウム
ジクロリド、ビス(エチルヘキシルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチルシクロヘキ
シルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドな
どが挙げられる。上記の1,3−位置換シクロペンタジ
エニル基を1,2−位置換シクロペンタジエニル基に置
換えた化合物を用いることもできる。
【0114】また上記式(b) において、R2 、R3 、R
4 およびR5 の少なくとも2個すなわちR2 およびR3
がシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であ
り、この2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基は
アルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置
換シリレン基などを介して結合されているブリッジタイ
プのメタロセン化合物を例示することもできる。このと
き、R4 およびR5 はそれぞれ独立に式(a) 中で説明し
たシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLと
同様である。
【0115】このようなブリッジタイプのメタロセン化
合物としては、以下のような化合物を挙げることができ
る。エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウ
ム、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(ト
リフルオロメタンスルホナト)、エチレンビス(インデ
ニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、エチレ
ンビス(インデニル)ジルコニウムビス(p-トルエンス
ルホナト)、エチレンビス(インデニル)ジルコニウム
ビス(p-クロルベンゼンスルホナト)など。
【0116】上記にはメタロセン化合物としてジルコノ
セン化合物について例示したが、ジルコニウムを、チタ
ンまたはハフニウムに置換えた化合物を用いることもで
きる。
【0117】これらの化合物は単独で用いてもよいし、
2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、炭化水素
あるいはハロゲン化炭化水素に希釈して用いてもよい。
本発明では、メタロセン化合物は炭化水素溶媒に希釈し
て用られることが好ましい。
【0118】また上記のようなメタロセン化合物は、粒
子状担体化合物と接触させて、担体化合物とともに用い
ることもできる。担体化合物としては、SiO2 、Al2
3 、B23 、MgO、ZrO2 、CaO、TiO2 、Z
nO、ZnO2 、SnO2 、BaO、ThOなどの無機担体
化合物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテ
ン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、スチレン-ジビニルベン
ゼン共重合体などの樹脂を用いることができる。これら
の担体化合物は、二種以上混合して用いることもでき
る。
【0119】本発明では、メタロセン化合物として、中
心の金属原子がジルコニウムであり、少なくとも2個の
シクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有するジルコ
ノセン化合物が好ましく用いられる。
【0120】次に本発明で触媒(ii)を形成する際に用い
られる有機アルミニウムオキシ化合物について説明す
る。本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物
は、従来公知のアルミノオキサンであってもよく、また
ベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であっ
てもよい。
【0121】このような従来公知のアルミノオキサン
は、具体的に下記一般式で表される。
【0122】
【化39】
【0123】(上記一般式において、Rはメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であ
り、好ましくはメチル基、エチル基、とくに好ましくは
メチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の整
数である。)ここで、このアルミノオキサンは式(OA
l(R1))で表わされるアルキルオキシアルミニウム単
位および式(OAl(R2))で表わされるアルキルオキ
シアルミニウム単位[ここで、R1 およびR2 はRと同
様の炭化水素基を例示することができ、R1 およびR2
は相異なる基を表わす]からなる混合アルキルオキシア
ルミニウム単位から形成されていてもよい。
【0124】従来公知のアルミノオキサンは、たとえば
下記のような方法によって製造され、通常、芳香族炭化
水素溶媒の溶液として回収される。 (1) 吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有する
塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和
物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩
化第1セリウム水和物などを懸濁した芳香族炭化水素溶
媒に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウ
ム化合物を添加して反応させて芳香族炭化水素溶媒の溶
液として回収する方法。 (2) ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒド
ロフランなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなど
の有機アルミニウム化合物に直接水(水、氷または水蒸
気)を作用させて芳香族炭化水素溶媒の溶液として回収
する方法。
【0125】これらの方法のうちでは、(1) の方法を採
用するのが好ましい。アルミノオキサンの溶液を製造す
る際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、具
体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミ
ニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピル
アルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリイソブ
チルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリ
tert- ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウ
ム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニ
ウム、トリデシルアルミニウム、トリシクロヘキシルア
ルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのト
リアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリ
ド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニ
ウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなど
のジアルキルアルミニウムハライド、ジエチルアルミニ
ウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドラ
イドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド、ジメ
チルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエ
トキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、
ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのジアルキルア
ルミニウムアリーロキシドなどを挙げることができる。
【0126】これらのうち、トリアルキルアルミニウム
が特に好ましい。また、有機アルミニウム化合物とし
て、下記一般式で表わされるイソプレニルアルミニウム
を用いることもできる。
【0127】(i-C49xAly(C510z (式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xであ
る。)上記のような有機アルミニウム化合物は、単独で
あるいは組合せて用いられる。
【0128】本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機
アルミニウムオキシ化合物は、たとえば、アルミノオキ
サンの溶液と、水または活性水素含有化合物とを接触さ
せる方法、あるいは上記のような有機アルミニウム化合
物と水とを接触させる方法などによって得ることができ
る。
【0129】本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機
アルミニウムオキシ化合物では、該化合物を赤外分光法
(IR)によって解析して、1220cm-1付近におけ
る吸光度(D1220)と、1260cm-1付近における吸
光度(D1260)との比(D12 60/D1220)が、0.09
以下、好ましくは0.08以下、特に好ましくは0.04
〜0.07の範囲にあることが望ましい。
【0130】上記のようなベンゼン不溶性の有機アルミ
ニウムオキシ化合物は、下記式で表されるアルキルオキ
シアルミニウム単位を有すると推定される。
【0131】
【化40】
【0132】式中、R7 は炭素数1〜12の炭化水素基
である。このような炭化水素基として、具体的には、メ
チル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-
ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オ
クチル基、デシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチ
ル基などを例示することができる。これらの中でメチル
基、エチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0133】このベンゼン不溶性の有機アルミニウムオ
キシ化合物は、上記式で表わされるアルキルオキシアル
ミニウム単位の他に、下記式で表わされるオキシアルミ
ニウム単位を含有していてよい。
【0134】
【化41】
【0135】式中、R8 は炭素数1〜12の炭化水素
基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜20の
アリーロキシ基、水酸基、ハロゲンまたは水素原子であ
る。また該R8 および上記式中のR7 は互いに異なる基
を表わす。
【0136】オキシアルミニウム単位を含有する場合に
は、アルキルオキシアルミニウム単位を30モル%以
上、好ましくは50モル%以上、特に好ましくは70モ
ル%以上の割合で含むアルキルオキシアルミニウム単位
を有する有機アルミニウムオキシ化合物が望ましい。
【0137】なお本発明で用いられる有機アルミニウム
オキシ化合物[B]は、少量のアルミニウム以外の金属
の有機化合物成分を含有していてもよい。また、有機ア
ルミニウムオキシ化合物は、上述した担体化合物に担持
させて用いることもできる。
【0138】本発明では、上記のような触媒(i) または
(ii) の存在下に、炭素数2以上のα−オレフィン
[A]、炭素数11以下のノルボルネン誘導体[B]お
よび炭素数12以上の環状オレフィン式[C]を、炭化
水素溶媒中で共重合させる。
【0139】このような炭化水素溶媒としては、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカ
ン、灯油などの脂肪族炭化水素およびそのハロゲン誘導
体、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシ
クロヘキサンなどの脂環族炭化水素およびそのハロゲン
誘導体、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭
化水素およびクロロベンゼンなどのハロゲン誘導体など
が用いられる。これら溶媒は混合して用いてもよい。
【0140】本発明では、該共重合を上記炭化水素溶媒
の共存下に行うことが好ましく、とくにこれらのうちで
も、シクロヘキサン−ヘキサン、シクロヘキサン−ヘプ
タン、シクロヘキサン−ペンタン、トルエン−ヘキサ
ン、トルエン−ヘプタン、トルエン−ペンタンなどの混
合溶媒の共存下に行うことが好ましい。
【0141】共重合は、バッチ法、連続法いずれにおい
ても実施されるが、連続法で実施されることが好まし
い。この際用いられる触媒の濃度は以下のとおりであ
る。触媒(i) が用いられる場合には、重合系内の可溶性
バナジウム化合物は、重合容積1リットル当たり、通
常、0.01〜5ミリモル、好ましくは0.05〜3ミ
リモルの量で、また、有機アルミニウム化合物は、重合
系内のバナジウム原子に対するアルミニウム原子の比
(Al /V)で、2以上、好ましくは2〜50、さらに
好ましくは3〜20の量で供給される。また可溶性バナ
ジウム化合物は、重合系内に存在する可溶性バナジウム
化合物(共重合が連続法で実施される場合には)の濃度
の10倍以下、好ましくは1〜7倍、さらに好ましくは
1〜5倍の濃度で供給されることが望ましい。
【0142】可溶性バナジウム化合物および有機アルミ
ニウム化合物は、通常、それぞれ液状の単量体および/
または上述の炭化水素溶媒で希釈されて重合系に供給さ
れる。この際、該可溶性バナジウム化合物は上述した濃
度に希釈されることが望ましいが、有機アルミニウム化
合物は重合系内における濃度のたとえば50倍以下の任
意の濃度に調製して重合系内に供給されることが望まし
い。
【0143】触媒(ii)が用いられる場合には、重合系内
のメタロセン化合物は、重合容積1リットル当たり、通
常約0.00005〜0.1ミリモル、好ましくは約
0.0001〜0.05ミリモルの量で、有機アルミニ
ウムオキシ化合物は、メタロセン化合物中の遷移金属原
子1モルに対して、有機アルミニウムオキシ化合物中の
アルミニウム原子が、通常約1〜10000モル、好ま
しくは10〜5000モルとなるような量で用いられ
る。
【0144】上記のような触媒(i) または(ii)の存在下
に行なわれる共重合反応は、通常、温度が−50℃〜1
50℃、好ましくは−30℃〜100℃、さらに好まし
くは−20℃〜70℃で、圧力が0を超えて〜50Kg/
cm2 、好ましくは0を超えて〜20Kg/cm2 の条件下で
行われる。また反応時間(共重合が連続法で実施される
場合には平均滞留時間)は、用いられる単量体の種類、
触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通
常、5分〜5時間、好ましくは10分〜3時間である。
【0145】上記共重合では、炭素数2以上のα−オレ
フィン[A]、炭素数11以下のノルボルネン誘導体
[B]および炭素数12以上の環状オレフィン式[C]
は、上述のような特定組成の環状オレフィン系ランダム
多元共重合体が得られるような量で重合系に供給され
る。この際、ノルボルネン誘導体[B]と環状オレフィ
ン[C]とは、[B]/[C](モル比)が85/15
〜30/70、好ましくは80/20〜40/60の割
合で供給される。
【0146】さらに共重合に際しては、水素などの分子
量調節剤を用いることもできる。上記のようにしてα−
オレフィン[A]、ノルボルネン誘導体[B]および環
状オレフィン式[C]を共重合させると、環状オレフィ
ン系ランダム多元共重合体を含む溶液が得られる。この
ような溶液中に、環状オレフィン系ランダム多元共重合
体は、通常、10〜500g/リットル、10〜300
g/リットルの濃度で含まれている。この溶液は、常法
によって処理され、環状オレフィン系ランダム多元共重
合体が得られる。
【0147】本発明で提供される環状オレフィン系ラン
ダム多元共重合体は、周知の方法によって成形加工され
る。たとえば、単軸押出機、ベント式押出機、二本スク
リュー押出機、円錐型二本スクリュー押出機、コニーダ
ー、プラティフイケーター、ミクストルーダー、二軸コ
ニカルスクリュー押出機、遊星ねじ押出機、歯車型押出
機、スクリューレス押出機などにより押出成形、射出成
形、ブロー成形、回転成形される。
【0148】また本発明の環状オレフィン系ランダム多
元共重合体には、本発明の目的を損なわない範囲で、上
記環状オレフィン系ランダム多元共重合体に衝撃強度を
向上させるためのゴム成分を配合したり、耐熱安定剤、
耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキ
ング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、
ワックスなどを適宜配合することができる。
【0149】たとえば、任意成分として配合される安定
剤として具体的には、テトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t
-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタ
ン、β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル) プロ
ピオン酸アルキルエステル、2,2'-オキザミドビス[エチ
ル-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)]プロピ
オネートなどのフェノール系酸化防止剤、ステアリン酸
亜鉛、ステアリン酸カルシウム、12-ヒドロキシステア
リン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、グリセリンモノ
ステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリン
ジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレー
ト、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリ
スリトールトリステアレート等の多価アルコールの脂肪
酸エステルなどを挙げることができる。これらは単独で
配合してもよいが、組み合わせて配合してもよく、たと
えば、テトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]メタンとステアリン酸
亜鉛およびグリセリンモノステアレートとの組合せ等を
例示することができる。
【0150】本発明では特に、フェノール系酸化防止剤
および多価アルコールの脂肪酸エステルとを組み合わせ
て用いることが好ましく、該多価アルコールの脂肪酸エ
ステルは3価以上の多価アルコールのアルコール性水酸
基の一部がエステル化された多価アルコール脂肪酸エス
テルであることが好ましい。このような多価アルコール
の脂肪酸エステルとしては、具体的には、グリセリンモ
ノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリ
ンモノミリステート、グリセリンモノパルミテート、グ
リセリンジステアレート、グリセリンジラウレート等の
グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールモノ
ステアレート、ペンタエリスリトールモノラウレート、
ペンタエリスリトールジラウレート、ペンタエリスリト
ールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステア
レート等のペンタエリスリトールの脂肪酸エステルが用
いられる。このようなフェノール系酸化防止剤は、環状
オレフィン系樹脂100重量部に対して0〜10重量部好まし
くは0〜5重量部さらに好ましくは0〜2重量部の量で用い
られ、また多価アルコールの脂肪酸エステルは環状オレ
フィン系樹脂100重量部に対して0〜10重量部、好ましく
は0〜5重量部の量で用いられる。
【0151】また本発明においては、本発明の目的を損
なわない範囲で、環状オレフィン系ランダム多元共重合
体にシリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マ
グネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ド
ロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バ
リウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、
アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビー
ズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイ
ト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、
ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリ炭素数2以上のα−
オレフィン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊
維、ポリアミド繊維等の充填剤を配合してもよい。
【0152】
【発明の効果】本発明の環状オレフィン系ランダム多元
共重合体は、上記のように特定の組成を有しており、透
明性、耐熱性および機械的特性に優れるとともに、特に
溶融流動性が向上されている。
【0153】
【実施例】以下本発明を実施例によって説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0154】なお、本発明における各種物性値の測定方
法および評価方法を次に示す。 (1)極限粘度[η] 135℃、デカリン溶液(1g/リットル)中でウベロ
ーデ型粘度計を用いて測定した。 (2)ガラス転移点(Tg) セイコー電子社製、DSC−220Cを用いてN2雰囲
気下、10℃/分の昇温速度で測定した。 (3)溶融流動性 (3−1)メルトフローレート(MFR) ASTM D−1238に準じ、230℃、荷重2.1
6kgで測定した。
【0155】(3−2)溶融粘度(η* ) レオメトリックス社製粘弾性測定装置(RDS−IIタイ
プ)を用いて、230℃における複素溶融粘度を測定し
た。測定条件は、25mmφパラレルプレート(2mm厚)
で周波数10rad/secとした。 (4)靱性評価(曲げ歪量、Fε) ASTM D−790に準じ、23℃における曲げ試験
を行ない、試料が破断に至るまでの歪量を測定し、これ
をもって試料の靱性評価とした。 (5)透明性評価(Haze) ASTM D−1003−52に準じ、ヘイズ計により
1mm厚プレスシートについて評価した。
【0156】
【実施例1】エチレンと下記式で表されるノルボルネン
(以下NBと略す)およびテトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]-3- ドデセン(以下TCDと略す)との三元共重
合反応を以下のようにして連続的に行った。
【0157】
【化42】
【0158】攪拌翼を備えた容積1リットルの重合器上
部からNBとTCDの両方を溶解したシクロヘキサン溶
液を、重合器内でのNB濃度が59.3g/リットル、
TCD濃度が43.3g/リットルとなるように0.4
リットル/時間の量で連続的に供給した。また重合器上
部から触媒として、VO(O・エチル)Cl2のシクロ
ヘキサン溶液を、重合器内でのバナジウム濃度が0.5
ミリモル/リットルとなるように0.5リットル/時間
(このときの供給バナジウム濃度は、重合器中のバナジ
ウム濃度の2.86倍である)の量で、イソブチルアル
ミニウムセスキクロリド(Al(i-C491.5
1.5)のシクロヘキサン溶液を重合器内でのアルミニ
ウム濃度が4.0ミリモル/リットルとなるように0.
4リットル/時間およびシクロヘキサンを0.7リット
ル/時間の量でそれぞれ重合器内に連続的に供給した。
また、重合系にバブリング管を用いて、エチレンを2
5.0リットル/時間、窒素を7.2リットル/時間、
水素を2.8リットル/時間の量で供給した。重合器外
部に取り付けられたジャケットに冷媒を循環させて重合
系を10℃に保持しながら共重合反応を行った。上記共
重合反応によって生成するエチレン・NB・TCDラン
ダム共重合体を含む重合液を重合器上部から、重合器内
の重合液が常に1リットルになるように(すなわち平均
滞留時間が0.5時間となるように)連続的に抜き出し
た。この抜き出した重合液に、シクロヘキサン/イソプ
ロピルアルコール(1:1)混合液を添加して重合反応
を停止させた。その後、水1リットルに対し濃塩酸5ml
を添加した水溶液と重合液とを1対1の割合でホモミキ
サーを用い強攪拌下で接触させ、触媒残渣を水相へ移行
させた。この接触混合液を静置した後、水相を分離除去
した後、さらに蒸留水で2回水洗を行ない、重合液相を
精製分離した。
【0159】次いで精製分離された重合液を3倍量のア
セトンと強攪拌下で接触させた後、固体部を濾過により
採取し、アセトンで充分洗浄した。さらに、ポリマー中
に存在するNBおよびTCDを抽出するため洗浄した固
体部を40g/リットルとなるようにアセトン中に投入
した後、60℃で2時間の条件で抽出操作を行った。抽
出処理後、固体部を濾過により採取し、窒素流通下、1
30℃、350mmHgで24時間乾燥した。
【0160】以上のようにして、エチレン・NB・TC
D三元共重合体を、54.2g/時間(すなわち27.
1g/リットル)の量で得た。得られた共重合体は、13
C−NMR分析で測定したエチレン/NB/TCD・組
成が52/33/15モル%、135℃デカリン中で測
定した極限粘度[η]は0.46dl/g、DSCで測
定したTgは135℃であった。
【0161】溶融流動性、靱性、透明性の評価結果をも
含め得られた結果を表1に示す。
【0162】
【実施例2〜6】表1に示した条件以外は、実施例1と
同様にして、エチレン・NB・TCD三元共重合体を製
造した。
【0163】得られた結果を表1に示す。
【0164】
【比較例1〜4】表1に示した条件以外は実施例1と同
様にしてエチレン・TCD共重合体(比較例1,2)お
よびエチレン・NB・TCD共重合体(比較例3,4)
を製造した。
【0165】得られた結果を表1に示す。供給比
((b)/(c))、および共重合体の組成が本発明の
範囲からはずれると、比較例1,2においては、溶融流
動性が劣る結果となり、また比較例3,4においては、
耐熱性(Tg)が劣ることが明らかとなった。
【0166】
【実施例7】表1に示した条件以外は実施例1と同様に
して、エチレン・プロピレン・NB・TCD四元共重合
体を製造した。
【0167】得られた結果を表1に示す。ここにおいて
も、炭素数11以下のノルボルネン誘導体単位を導入す
ることにより、ほぼ同等の耐熱性(Tg)、分子量
([η])において、溶融流動性が向上することが示さ
れた。
【0168】
【比較例5】表1に示した条件以外は実施例7と同様に
して、エチレン・プロピレン・TCD三元共重合体を製
造した。
【0169】得られた結果を表1に示す。
【0170】
【実施例8】実施例1で用いたTCDの代わりに、下記
式で表される8,9-ベンゾ- トリシクロ[4.3.0.12,5]-3
-デセン(以下BTCDと略す)を用い、表1に示した
条件以外は実施例1と同様にして、エチレン・NB・B
TCD三元共重合体を製造した。
【0171】
【化43】
【0172】得られた結果を表1に示す。
【0173】
【実施例9】触媒として、エチレンビスインデニル−ジ
ルコニウム−ジクロリド[Et(Ind)2ZrCl2
重合系内濃度:0.2ミリモル/リットル]とメチルア
ルミノキサン[MAO、重合系内Al濃度:20.0ミ
リモル/リットル]とを用い、またNBの代わりに下記
式で表されるメチルノルボルネン(MeNB)を用い、
また表2に示した条件以外は実施例1と同様にして、プ
ロピレン・MeNB・TCD三元共重合体を製造した。
【0174】
【化44】
【0175】得られた結果を表2に示す。ここにおいて
も、MeNB導入による溶融流動性の改良効果が明らか
となった。
【0176】
【比較例6】表2に示した条件以外は実施例9と同様に
して、プロピレン・TCD共重合体を製造した。
【0177】得られた結果を表2に示す。図1に、上記
のようにして得られた実施例1〜6(●)および比較例
1,2(〇)の共重合体の[η]とMFRとの関係を示
す。
【0178】なおいずれの共重合体もTgが127〜1
35℃であり、ほぼ同等の耐熱性を有するものである。
図1から、本発明に係る環状オレフィン系ランダム多元
共重合体は、溶融流動性に優れる(MFR値が高い)こ
とがわかる。
【0179】図2に、実施例1〜6(●)および比較例
1,2(〇)で得られた共重合体の[η]とη*の関係
を示した。本発明に係る環状オレフィン系ランダム多元
共重合体は、溶融流動性に優れる(η*値が低い)こと
がわかる。
【0180】なお図1、2中●、〇の右側に記した添字
は、実施例あるいは比較例の番号を示す。
【0181】
【表1】
【0182】
【表2】
【0183】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1〜6(●)および比較例1,2
(〇)で得られた共重合体の[η]とMFRの関係を示
す図である。
【図2】 実施例1〜6(●)および比較例1,2
(〇)で得られた共重合体の[η]とη*の関係を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀧 本 和 幸 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−262823(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 210/00 - 210/18 C08F 4/00 - 4/82 C08F 232/00 - 232/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】[A]炭素数2以上のα−オレフィンと、 [B]下記式[I]で表され、かつ炭素数が11以下の
    ノルボルネン誘導体と、 【化1】 (式[I]中、R1 〜R8 はそれぞれ独立に、水素原
    子、ハロゲン原子または炭素数4以下の炭化水素基であ
    り、R5 〜R8 は互いに結合して単環を形成していても
    よく、かつ該単環が二重結合を有していてもよく、また
    5 とR6 とで、またはR7 とR8 とでアルキリデン基
    を形成していてもよい。)[C]下記式[II]または
    [III]で表され、かつ炭素数が12以上の環状オレフ
    ィンとの共重合体であって、 上記成分[A]、[B]および[C]から誘導される構
    成単位が、モル比で[A]/[B]/[C]=30〜8
    5/10〜40/5〜30の割合で存在し、 135℃のデカリン中で測定される極限粘度([η])
    が0.1〜2.0dl/gであり、かつDSCにより測定
    されるガラス転移温度(Tg)が80〜250℃である
    ことを特徴とする環状オレフィン系ランダム多元共重合
    体; 【化2】 (式[II]中、nは0または1であり、mは0または正
    の整数であり、n+mは正の整数であり、qは0または
    1であり、R1 〜R18ならびにRa およびRb はそれぞ
    れ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基で
    あり、R15〜R18は互いに結合して単環または多環を形
    成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を
    有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17
    18とでアルキリデン基を形成していてもよい。)、 【化3】 (式[III]中、pおよびqは0以上の整数であり、m
    およびnは0、1または2であり、R1 〜R19はそれぞ
    れ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、
    脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ
    基であり、R9 (またはR10)が結合している炭素原子
    とR13またはR11が結合している炭素原子とは、直接あ
    るいは炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合してい
    てもよく、またn=m=0のときR15とR19とは互いに
    結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよ
    い。)。
  2. 【請求項2】[A]炭素数2以上のα−オレフィンと、 [B]下記式[I]で表され、かつ炭素数が11以下の
    ノルボルネン誘導体と、 【化4】 (式[I]中、R1 〜R8 はそれぞれ独立に、水素原
    子、ハロゲン原子または炭素数4以下の炭化水素基であ
    り、R5 〜R8 は互いに結合して単環を形成していても
    よく、かつ該単環が二重結合を有していてもよく、また
    5 とR6 とで、またはR7 とR8 とでアルキリデン基
    を形成していてもよい。) [C]下記式[II]または[III]で表され、かつ炭素
    数が12以上の環状オレフィンとを、(i) 可溶性バナジ
    ウム化合物と有機アルミニウム化合物とから形成される
    触媒または(ii)周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属
    のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物と
    から形成される触媒の存在下に、炭化水素系溶媒中で共
    重合させるに際して、 成分[B]と[C]との供給量比を[B]/[C]=8
    5/15〜30/70(モル比)とすることを特徴とす
    る環状オレフィン系ランダム多元共重合体の製造方法; 【化5】 (式[II]中、nは0または1であり、mは0または正
    の整数であり、n+mは正の整数であり、qは0または
    1であり、R1 〜R18ならびにRa およびRb はそれぞ
    れ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基基
    であり、R15〜R 18は互いに結合して単環または多環を
    形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合
    を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17
    とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。)、 【化6】 (式[III]中、pおよびqは0以上の整数であり、m
    およびnは0、1または2であり、R1 〜R19はそれぞ
    れ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、
    脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ
    基であり、R9 (またはR10)が結合している炭素原子
    とR13またはR11が結合している炭素原子とは、直接あ
    るいは炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合してい
    てもよく、またn=m=0のときR15とR19とは互いに
    結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよ
    い。)。
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