JP3235995B2 - 横葺き屋根用化粧瓦棒取付構造 - Google Patents

横葺き屋根用化粧瓦棒取付構造

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JP3235995B2
JP3235995B2 JP12023599A JP12023599A JP3235995B2 JP 3235995 B2 JP3235995 B2 JP 3235995B2 JP 12023599 A JP12023599 A JP 12023599A JP 12023599 A JP12023599 A JP 12023599A JP 3235995 B2 JP3235995 B2 JP 3235995B2
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忠夫 田村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属屋根板を用いた横
葺き屋根に化粧瓦棒を取り付けて建築物にアクセントを
もたせる化粧瓦棒取付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】金属屋根は、比較的軽量であるため下地
の骨組み構造体に加わる負荷が小さく、釘やビスを使用
して簡単に結合できることから、一般家屋,公共施設等
の各種建築物で使用されている。金属屋根を用いる屋根
葺では、所定のサイズに成形された単位屋根板を使用す
ることから横葺き工法が多用されている。横葺き工法で
は、図1に示すように軒先側の金属屋根板1を野地板2
に釘,ビス,ボルト等で固定した後、軒先側金属屋根板
1の棟側にある係止突起1aに棟側金属屋根板1の係合
凹部1bを噛み合わせて軒先側金属屋根板1に連結した
棟側金属屋根板1を野地板2に固着する。以下、同様な
作業で軒先から棟側に向けて金属屋根板1を敷設する。
横葺きしたままの金属屋根板1は、屋根一面にフラット
な状態で敷き詰められているため、看者に与える印象が
弱い。そこで、最近では、横葺き屋根に軒先から棟方向
に延びる化粧瓦棒3を取り付け、屋根にアクセントを付
けることが検討されている。本発明者等も、化粧瓦棒を
取り付けた横葺き屋根を開発しており、その一部を特開
平9−195450号公報,特開平9−324506号
公報で紹介した。
【0003】横葺きした金属屋根板1は平坦な表面とな
るため、化粧瓦棒3の取付けには図2に示すような取付
け金具4が使用される。取付け金具4は、軒先側金属屋
根板1と棟側金属屋根板1との連結部に挿し込まれる舌
片4aが先端に形成された差込片4bを備えている。舌
片4aと反対側で差込片4bが立ち上げられており、立
上り部4cは折り返された後、棟側に曲げられた押え片
4dになっている。差込片4bにボルト4eが固着さ
れ、押え片4dに形成されたボルト孔を貫通して突出す
るボルト4eの先端にナット4fがねじ込まれている。
ナット4fを締め付けると、押え片4dは弾性変形して
舌片4aに接近する。
【0004】立上り部4cには、支持板4gがリベット
4hで固着されている。支持板4gは両側が棟方向に曲
げ加工された側板4iになっており、化粧瓦棒3取付け
用のボルトが挿通される長孔4jが側板4iに形成され
ている。取付け金具4は、図3に示すように軒先側金属
屋根板1と棟側金属屋根板1との連結部の隙間に舌片4
aが挿し込まれる。舌片4aを挿し込んだ後、ボルト4
eにナット4fをねじ込み押え片4dを下方に弾性変形
させ、棟側金属屋根板1の軒先側端部を舌片4aと押え
片4dとの間に挟み込むことにより、取付け金具4が固
着される。次いで、取付け金具4に覆い被さるように化
粧瓦棒3をあてがい、化粧瓦棒3に形成されているリベ
ット孔(図示せず)に長孔4jを位置合せし、取付け金
具4の側板4iに化粧瓦棒3をリベット止めする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】先願で提案した取付け
金具4は、図2(b)に示すように金属屋根板1の軒先
側端部を挟み込む舌片4a及び押え片4dと化粧瓦棒3
を固定する側板4iとがボルト4eの反対側に位置して
いる。この舌片4a,押え片4dと側板4iとの位置関
係では、舌片4a,押え片4dから長孔4jまでの距離
が長く、側板4iに固定された化粧瓦棒3が風圧等の影
響を受けると舌片4a,押え片4dを中心として立上り
部4c側が浮き上がり易い。立上り部4cの浮き上がり
によって金属屋根板1と化粧瓦棒3との間の隙間が大き
くなると、見栄えが悪くなることは勿論、中空状になっ
ている化粧瓦棒3の内部に吹き込まれた空気によって化
粧瓦棒3が金属屋根板1から外れる虞れがある。
【0006】また、化粧瓦棒3の取付けに際しては、棟
から軒先にかけて一直線状に取付け金具4を金属屋根板
1に取り付けることが見栄えを良くする上で必要であ
る。しかし、取付け金具4の取付け位置には基準とする
ものがないことが多く、たとえ横葺きした金属屋根板1
に罫書きしていても罫書き線に対して取付け金具4のど
の部分を合せれば良いのか不明なことがある。そのた
め、棟から軒先に延びる直線からずれた位置で取付け金
具4が金属屋根板1に取り付けられる場合があり、結果
として取り付けられた化粧瓦棒3が直線性の低いものと
なり易い。更には、押え片4dを弾性変形させて金属屋
根板1の軒先側端部を舌片4aと押え片4dとで挟み込
むため、押え片4dが当たる金属屋根板1の表面に押圧
疵が発生し易い。たとえば、塗装鋼板から作られた金属
屋根板1を使用するとき、押え片4dの押圧によって塗
膜が部分的に剥離し、地膚が露出することにもなる。地
膚露出部は、腐食発生起点となる。特に図3に示すよう
に舌片4a及び押え片4dによる挟み付けを容易にする
凹溝1cを軒先側端部に形成した金属屋根板1では、凹
溝1cに雨水等が残留し易い。この部分に塗膜欠陥があ
ると、腐食が促進されることになる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、金属屋根板の挟
み込み位置及び化粧瓦棒の取付け位置を改善し、正規の
取付け位置に精度良く取付け金具を取り付け、高い直線
性で棟から軒先に延びる化粧瓦棒を横葺き屋根に取り付
けることにより、見栄えが良く、看者に強い印象を与え
る金属屋根を構築することを目的とする。本発明は、そ
の目的を達成するため、金属屋根板が軒先から棟に向か
って多段に葺き上げられた横葺き屋根に取付け金具を介
して化粧瓦棒を取り付けた構造である。化粧瓦棒は、金
属切板から成形された棟方向に長い半中空体形状をも
つ。取付け金具は、軒先側金属屋根板と棟側金属屋根板
との間の連結部に挿し込まれる差込部が棟側端部に形成
された着座部をもつ着座片と、差込部とは反対側の着座
部から立ち上がった着座片の起立部に平面部が固着さ
れ、長孔を穿設した取付け部が平面部の両側から棟方向
に延びる化粧瓦棒固定片と、着座片の起立部と化粧瓦棒
固定片の平面部との間に挟まれる基端部が押え本体の軒
先側端部から立ち上がり、棟側金属屋根板の軒先側端部
に押し当てられる押え部が押え本体の棟側端部から垂下
している着座片とは別体の押え片と、着座片の着座部か
ら起立し、押え片の押え本体に形成したボルト挿通孔か
ら突出する脚部にナットがねじ込まれるボルトとを備え
ている。
【0008】化粧瓦棒固定片の取付け部に形成した長孔
は、屋根左右方向にみてボルトと同じ或いはボルトより
も棟側に位置している。押え片の押え本体と押え部との
角部近傍で、幅方向中央位置に位置合せ用のマークを刻
印することが好ましい。押え片の押え部に透明軟質樹脂
でできたキャップを被せると、押え部の押圧疵が金属屋
根板の表面に生じることが防止される。化粧瓦棒固定片
の平面部が化粧瓦棒の内面に接触する複数のコーナー部
をもつ取付け金具を使用すると、横葺き屋根に取り付け
た化粧瓦棒が内面から支持され、化粧瓦棒の形状劣化が
抑制される。化粧瓦棒としては、金属切板を単純に半筒
状に成形したものも使用できるが、取付け金具を介して
横葺き屋根に固着することを考慮したとき、予めリベッ
ト孔,ボルト孔等を半中空体側面に形成しておくことが
好ましい。具体的には、金属屋根板の棟方向実効長さに
一致する長さで複数の内曲げ部を底面にもつ半中空体に
成形され、各内曲げ部の間に金属屋根板の軒先側端部の
高さに一致する段差が付けられ、軒先側端部近傍,棟側
端部近傍に加えて各段差近傍の位置で軒先側中空体側壁
部分にリベット挿通孔が化粧瓦棒の棟方向に沿って金属
屋根板の棟方向実効長さの整数倍の間隔で穿設された化
粧瓦棒が使用される。
【0009】
【実施の形態】本発明で使用する取付け金具は、たとえ
ば図4の分解斜視図に示すように、金属屋根板1(図
1)上に配置される着座片10,着座片10にリベット
21で固着される化粧瓦棒固定片20,着座片10に形
成されているスリット11に基端部31が挿し込まれる
押え片30を備えている。着座片10は、金属屋根板1
の表面に接する着座部12の先端(図4では右下側)が
若干上方に傾斜した差込部13になっている。着座部1
2の中央には、ボルト40が挿し込まれるボルト孔14
が設けられている。ボルト孔14の周辺は、ボルト40
の頭部41を収容するため若干盛り上がっている。ボル
ト孔14は、矩形状に穿設されており、ボルト40の頭
部41と脚部42との間に形成されている矩形部43が
嵌まり込むことによりボルト40を回り止めする。ボル
ト40は、着座片10と別体にする必要はなく、溶接等
で着座片10に固着して起立させたボルトも使用可能で
ある。
【0010】着座部12には、ボルト孔14の両側にビ
ード15,15が形成されている。ビード15は、着座
部12を補強すると共に、着座部12の弾撥力を高め
る。差込部13とは反対側の端部から、スリット11が
形成された起立部16が立ち上がっている。起立部16
にも、ビード15から連続してほぼ同じ形状のビード1
7が形成されている。スリット11の上部は棟側に若干
隆起した差込部18になっており、リベット孔19,2
2に挿し込まれたリベット21で起立部16に化粧瓦棒
固定片20を固着したとき、化粧瓦棒固定片20の平面
部23と起立部16との間に押え片30の基端部31が
挿し込まれる隙間を形成する。リベット21に替え、ボ
ルト,溶接等で化粧瓦棒固定片20を着座片10に固着
することもできる。
【0011】化粧瓦棒固定片20の平面部23は、化粧
瓦棒50(図6)に内接する五角形状になっており、起
立部16のリベット孔19に対応する位置にリベット孔
22が形成されている。平面部23の形状は、化粧瓦棒
50の断面形状に応じて適宜変更される。半円筒状の化
粧瓦棒50(図6)を使用する場合には、背の低い平面
部23で良いが、大きな内部空間をもつ化粧瓦棒50に
対してはその内部空間に見合ったサイズの平面部23に
設計される。平面部23の両側から取付け部24が棟側
に延びている。取付け部24には、棟方向に長い長孔2
5が形成されている。長孔25は、可能な限り取付け部
24の棟側縁部近傍に形成することが好ましく、少なく
とも着座片10に化粧瓦棒固定片20を固着した状態で
は図5(a),(b)に示すようにボルト40と差込部
13との間に位置させることが必要である。この位置関
係により、長孔25形成部分に加わる回転モーメントが
大幅に軽減される。
【0012】横葺き屋根に取り付けられる化粧瓦棒50
が図6に示すようにほぼ半円筒状の場合には、背の低い
平面部23をもつ化粧瓦棒固定片20(図4,図5a)
が着座片10に固着される。化粧瓦棒固定片20として
は、化粧瓦棒50のサイズに応じた高さの平面部23を
もつ固定片が選択され、着座片10にリベット止め,ボ
ルト止め,溶接等で固着される。たとえば、図5(b)
に示すように高い平面部23aをもつ化粧瓦棒固定片2
0がある。更に、平面部23aの上端部を差込部13と
反対側に曲げて屈曲部26を形成し、屈曲部26に高さ
調節具(図示せず)を取り付けて化粧瓦棒50の頂部を
内面から支持する方式も採用可能である。高さ調節具を
備えた取付け金具は、特開平9−324506号公報で
紹介したところであり、本件明細書では詳細な説明を省
略する。
【0013】押え片30は、スリット11から挿し込ん
だ基端部31を差込部18と平面部23との間に挟み、
化粧瓦棒固定片20を着座片10に固着するとき、着座
片10に片持ち状態で支持される。押え片30は、中央
にボルト挿通孔32が形成された押え本体33を備えて
いる。ボルト挿通孔32の両側位置で、補強及び弾性力
向上に有効なビード34,34が棟方向に沿って形成さ
れている。また、ボルト40にナット45をねじ込んだ
とき、弾撥力が効果的に働くようにボルト挿通孔32の
周辺が上方に隆起した盛上げ部35になっている。
【0014】基端部31が立ち上がった軒先側縁部と反
対側で、押え本体33の棟側縁部が折り下げられて押え
部36が形成される。押え本体33と基端部31との間
の角度は、若干鋭角にすることが好ましい。これによ
り、差込部18と平面部23との間に基端部31が挿し
込まれた状態で押え本体33が若干上方に傾斜するた
め、ボルト40にワッシャ44を介してナット45をね
じ込んだときナット45のねじ込み力が押え本体33の
弾性変形に効率よく利用される。この点、先願で提案し
たように立上り部4cを折り返した下端部を棟方向に折
り曲げて押え片4dを形成すると、複雑な曲げ加工を必
要とするばかりか、弾性挟持に必要な弾撥力も弱くなり
がちである。また、押え片30を着座片10と別体に
し、差込部18と平面部23との間に基端部31を差し
込む方式を採用しているので、図4で上下方向に関して
押え片30が移動できる距離が大きく、化粧瓦棒50を
取り付けようとする屋根に葺かれている金属屋根板1の
軒側高さ(厚み)に応じて差込部13と押え部36との
間隙を調整できる。押え本体33と押え部36との間の
角度は、押え部36の下端が金属屋根板1の表面に直接
又は間接に接触する限り、特に制約されるものではな
い。
【0015】押え本体33から押え部36が曲がる位置
で、押え本体33の幅方向中心部に位置合せ用のマーク
37が刻印されている。マーク37が押え本体33の中
心にあるため、左揃え,右揃え等の誤作業がなく、横葺
きした金属屋根板1に引いた罫書き線にマーク37を位
置合せすることにより、取付け金具Aを棟方向に沿って
直線配列できる。押え部36には、キャップ38を装着
することが好ましい。キャップ38を図4に示すように
屋根左右方向にみてほぼL型断面にして、押え部36に
被せたキャップ38が押え本体33の押え部36近傍ま
で覆い被さるとき、装着されたキャップ38が容易に離
脱しなくなる。キャップ38を透明軟質樹脂で作ると、
押え部36及び押え本体33の先端部がキャップ38で
覆われた状態でもキャップ38を透かしてマーク37を
観察できる。或いは、キャップ38の幅方向中央部にマ
ークを刻印し、このマークを指標とすることもできる。
【0016】取付け金具Aを介して横葺き屋根に取り付
けられる化粧瓦棒50は、図6に示すように金属屋根板
1の棟方向実効長さwに一致する内曲げ部51を備えて
いる。内曲げ部51は、金属切板の幅方向端部を所定形
状に切り出した後、幅方向端部を化粧瓦棒50の内部方
向に曲げ加工することにより形成される。内曲げ部51
は、横葺き屋根の上に配置した化粧瓦棒50の安定性を
向上させることにも役立つ。軒先側内曲げ部51と棟側
内曲げ部51との間の段差hは、横葺きした軒先形金属
屋根板1と棟側金属屋根板1との間の段差hに等しく設
定されている。図6では半円筒状の外観をもつ化粧瓦棒
50を図示しているが、ユーザーニーズに対応して種々
の形状に化粧瓦棒50を成形できることは勿論である。
また、化粧瓦棒50の形状に応じて取付け金具の化粧瓦
棒固定片20が選択される。
【0017】段部より若干軒先側の位置で、化粧瓦棒5
0の長手方向に沿って複数のリベット挿通孔52が半円
筒状基部53に穿設されている。リベット挿通孔52
は、化粧瓦棒50の軒先側端部及び棟側端部に形成さ
れ、更に中間の半円筒状基部53にも形成される。棟方
向に隣り合うリベット挿通孔52,52間の距離Lは、
金属屋根板1の棟方向実効長さwの整数倍(具体的に
は、1〜4倍)に設定される。次いで、取付け金具Aを
用いて横葺き屋根に化粧瓦棒50を取り付ける作業を説
明する。金属屋根板1は、図1で説明した従来工法に従
って軒先から棟に向けて多段に葺き上げられる。軒先側
金属屋根板1と棟側金属屋根板1との間には、図7に示
すように段差hが生じる。棟から軒先にかけて罫書き線
を直線状に引き、罫書き線にマーク37を一致させ、軒
先側金属屋根板1と棟側金属屋根板1との間の連結部に
差込部13を挿し込む。
【0018】係止突起1aに突き当たるまで差込部13
を挿し込むと、棟側金属屋根板1の軒先側端面から長孔
25までの距離が一定になる。棟方向に沿って複数の取
付け金具Aが挿し込まれるが、棟方向に隣り合う取付け
金具Aの間隔は、化粧瓦棒50に形成されているリベッ
ト挿通孔52,52間の距離Lに一致させる。差込部1
3は、着座部12から若干上向きに傾斜しているので、
棟側金属屋根板1の係止突起1aに下方から押し当てら
れる。また、着座部12は、軒先側金属屋根板1の表面
に着座する。挿し込まれた複数の取付け金具Aは、罫書
き線にマーク36を一致させているので、棟から軒先に
かけて罫書き線に沿った直線配列になる。個々の取付け
金具Aについて、ボルト40にナット45を締め付け押
え本体33を押し下げると、押え部36が金属屋根板1
の軒先側端部に押し付けられる。その結果、金属屋根板
1の軒先側端部が差込部13と押え部36との間で弾性
的に挟持され、取付け金具Aが棟側金属屋根板1の軒先
側端部に固定される。このとき、押え部36にキャップ
38が装着されているので、押え部36の押圧によって
金属屋根板1の表面が疵付くことはない。
【0019】所定間隔で複数の取付け金具Aを金属屋根
板1に取り付けた後、取付け金具Aに化粧瓦棒50を覆
い被せる。棟側化粧瓦棒50の軒先側端部は、それぞれ
のリベット挿通孔52を位置合せして軒先側化粧瓦棒5
0の棟側端部に覆い被せられる。棟側金属屋根板1の軒
先側端面から長孔25までの距離が一定で、段差hのあ
る部分からリベット挿通孔52までの距離も固定されて
いる。また、棟方向に隣り合う取付け金具A,A間の距
離を隣り合うリベット挿通孔52,52間の距離Lに一
致させているので、一つのリベット挿通孔52を化粧瓦
棒固定片20の長孔25に合せると、残りのリベット挿
通孔52も他の長孔25に臨む。
【0020】そこで、化粧瓦棒固定片20の長孔25及
び化粧瓦棒50のリベット挿通孔52にリベット(図示
せず)を挿し通し、化粧瓦棒固定片20に化粧瓦棒50
の半円筒状基部53をリベット止めする。軒先側化粧瓦
棒50と棟側化粧瓦棒50との接続部では、軒先側化粧
瓦棒50の棟側端部にあるリベット挿通孔52及び棟側
化粧瓦棒50の軒先側端部にあるリベット挿通孔52に
リベットを挿し通し、軒先側化粧瓦棒50及び棟側化粧
瓦棒50が重なり合った状態で取付け金具Aにリベット
止めされる。リベット止めに替えてボルト締めによっ
て、半円筒状基部53を取付け金具Aの化粧瓦棒固定片
20に固定することも可能である。取付け金具Aを介し
て横葺き屋根に取り付けられた化粧瓦棒50は、軒先側
金属屋根板1と棟側金属屋根板1との間にある段差hに
対応する段差hを付けた半円筒状基部53をもってい
る。そのため、金属屋根板1の段差hが化粧瓦棒50の
段差hで吸収され、金属屋根板1と化粧瓦棒50との間
に隙間が生じない。
【0021】また、内曲げ部51が金属屋根板1の表面
に面接触するため化粧瓦棒50が安定配置され、平面部
23のコーナーが複数箇所で化粧瓦棒50の内面に接触
するため横葺き屋根に取り付けられた化粧瓦棒50の形
状安定性も向上する。しかも、化粧瓦棒固定片20の長
孔25を棟側金属屋根板1の軒先側端面に接近させてい
るので、化粧瓦棒50をリベット止めした個所に加えら
れるモーメントが小さくなり、取付け金具Aの浮き上が
りが防止される。このように、取付け金具Aを金属屋根
板1の軒先側端部に挿し込み、取付け金具Aに化粧瓦棒
50をリベット止めするだけの簡単な作業によって、化
粧瓦棒50が金属屋根板1を多段に葺き上げた横葺き屋
根に取り付けられる。
【0022】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の横葺き
屋根用化粧瓦棒取付け構造においては、棟側金属屋根板
の軒先側端部を挟み込んだ取付け金具の化粧瓦棒固定片
に化粧瓦棒を固着する際、化粧瓦棒の固着個所を棟側金
属屋根板の軒先側端部に近い位置に設定している。その
ため、棟側金属屋根板の軒先側端部に取付け金具が片持
ちされているに拘わらず、固着部に加わるモーメントが
小さく、取付け金具及び化粧瓦棒の風圧等による浮上り
が防止される。また、横葺き屋根に引いた罫書き線にマ
ークを位置合せして取付け金具を配列できるため、棟か
ら軒先にかけて直線状に化粧瓦棒が取り付けられ、見栄
えが良く、化粧瓦棒によってアクセントがつけられた横
葺き屋根が構築される。更に、押え部にキャップを装着
すると、押え部の押圧疵が金属屋根板の表面に生じるこ
とがなく、金属屋根板の美麗な外観も維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 金属屋根板を横葺きした屋根に取り付けた化
粧瓦棒
【図2】 本発明者が先に提案した化粧瓦棒用取付け金
【図3】 同取付け金具を用いて化粧瓦棒を取り付けた
状態
【図4】 本発明に従った取付け金具の分解斜視図
【図5】 平面部の高さが異なる取付け金具の2例
【図6】 半円筒状化粧瓦棒の斜視図(a)及び反転斜
視図(b)
【図7】 本発明に従った取付け金具を用いて化粧瓦棒
を取り付けた状態
【符号の説明】
1:金属屋根板 A:取付け金具 10:着座片 11:スリット 12:着座部
13:差込部 14:ボルト孔 15:ビード
16:起立部 17:ビード 18:差込部 19:リベット孔 20:化粧瓦棒固定片 21:リベット 22:リ
ベット孔 23:平面部 23a:高い平面部
24:取付け部 25:長孔 26:屈曲部 30:押え片 31:基端部 32:ボルト挿通孔
33:押え本体 34:ビード 35:盛上げ部 36:押え部
37:マーク 38:キャップ 40:ボルト 41:頭部 42:脚部 43:
矩形部 44:ワッシャ 45:ナット 50:化粧瓦棒 51:内曲げ部 52:リベット
挿通孔 53:半円筒状基部 h:隣り合う内曲げ部51,51間の段差 w:金属屋根板1の棟方向実効長さ L:隣り合うリベット挿通孔52,52間の距離

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属屋根板が軒先から棟に向かって多段
    に葺き上げられた横葺き屋根に取付け金具を介して化粧
    瓦棒を取り付けた構造であり、 化粧瓦棒は、金属切板から成形された棟方向に長い半中
    空体形状をもち、 取付け金具は、軒先側金属屋根板と棟側金属屋根板との
    間の連結部に挿し込まれる差込部が棟側端部に形成され
    た着座部をもつ着座片と、差込部とは反対側の着座部か
    ら立ち上がった着座片の起立部に平面部が固着され、棟
    方向に長い長孔を穿設した取付け部が平面部の両側から
    棟方向に延びる化粧瓦棒固定片と、着座片の起立部と化
    粧瓦棒固定片の平面部との間に挟まれる基端部が押え本
    体の軒先側端部から立ち上がり、棟側金属屋根板の軒先
    側端部に押し当てられる押え部が押え本体の棟側端部か
    ら垂下している着座片とは別体の押え片と、着座片の着
    座部から起立し、押え片の押え本体に形成したボルト挿
    通孔から突出する脚部にナットがねじ込まれるボルトと
    を備えている横葺き屋根用化粧瓦棒取付構造。
  2. 【請求項2】 屋根左右方向にみてボルトと同じ或いは
    ボルトよりも棟側の位置で化粧瓦棒固定片の取付け部に
    形成した長孔が形成されている取付け金具を使用する請
    求項1記載の横葺き屋根用化粧瓦棒取付構造。
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