JP3235984B2 - 空気軸受式工作機械の主軸状態検出装置 - Google Patents

空気軸受式工作機械の主軸状態検出装置

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JP3235984B2 JP00482498A JP482498A JP3235984B2 JP 3235984 B2 JP3235984 B2 JP 3235984B2 JP 00482498 A JP00482498 A JP 00482498A JP 482498 A JP482498 A JP 482498A JP 3235984 B2 JP3235984 B2 JP 3235984B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主軸が空気軸受に
よりハウジングに支承された工作機械に設置されて前記
主軸と前記ハウジングとの接触状態を検出する空気軸受
式工作機械の主軸状態検出装置に関し、例えば、空気静
圧軸受により支承された工作機械において、比較的高負
荷の切削加工等を行う場合に利用することができる。
【0002】
【背景技術】従来より、金属材料の切削加工では、回転
自在に支承された主軸にエンドミル、フライス等の切削
工具を取り付け、切削工具を主軸により回転させること
により、切削加工を行う工作機械が利用されている。こ
のような工作機械としては、主軸が空気軸受によりハウ
ジングに支承された空気軸受式工作機械が知られてい
る。
【0003】このような空気軸受式工作機械によれば、
主軸が軸受となるハウジングとの間に設けられた圧縮空
気層によって支承されているので、主軸およびハウジン
グ間の摩擦が少なくなり、主軸を高速に回転させること
により、金属材料の切削加工の高速化を図ることができ
る。一方、空気軸受式工作機械では、金属材料の切削加
工に伴い、主軸の回転軸に直交する方向に大きな負荷が
かかることがある。この場合、主軸は弾性を有する圧縮
空気層により支承されているので、この負荷により、主
軸が本来の回転軸からずれることがある。そして、その
軸変位量が大きくなると、軸、ハウジングが接触し、か
じり等の損傷を引き起こすことがあり、このような損傷
が生じれば、工作機械として致命的な障害となる。
【0004】従って、このような空気軸受式工作機械で
は、主軸およびハウジングが接触しないような条件で使
用する必要があるが、軸にかかる負荷が常に変動する場
合は変動幅を考慮して使用条件をかなり安全側に設定す
る必要があり、工作機械としての能力を十分発揮させる
ことができないという問題がある。このため、軸とハウ
ジングとの相対変位、すなわち軸、ハウジング間の隙間
を主軸の回転中、常に監視し、接触の危険が生じると予
想された場合、危険信号を発信し、接触を回避するシス
テムが切望され、そのためには、軸、ハウジング間の相
対変位を非接触で正確に検出することのできるセンサが
必要となる。そして、このような非接触で両者の相対変
位を検出することのできるセンサとしては、渦電流式、
静電容量式、レーザビーム式のものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来のセンサはいずれもセンサの1軸方向の変位のみ
を検出することができないので、被測定物となる主軸が
三次元的に動く場合、多数のセンサを設けて主軸の動き
を監視する必要がある。すなわち、従来のセンサによれ
ば、図6に示すように、主軸11が外力Fによりハウジ
ング13に対して三次元的に動いた場合、x軸、y軸、
z軸方向のハウジング13および主軸11の相対位置を
測定するセンサSx、Sy、Szと、主軸11のハウジ
ング13に対する傾きを測定するセンサSa、Sbとの
計5個のセンサによって主軸11の三次元的移動を監視
する必要があった。
【0006】従って、上述した空気軸受式工作機械にお
いて、主軸の動きを監視して接触を回避するシステムを
構築するには、多くのセンサを配置する必要があり、シ
ステムの複雑化を招くという問題がある。また、上述し
たシステムが複雑であるため、監視システムのない空気
軸受式工作機械に新たにシステムを構築しようとして
も、困難であるという問題がある。
【0007】本発明の目的は、空気軸受式工作機械にお
いて、簡素な構造で主軸とハウジングの接触状態を検出
することのできる空気軸受式工作機械の主軸状態検出装
置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、第1発明に係る空気軸受式工作機械の主軸状態検出
装置は、主軸が空気軸受によりハウジングに支承された
工作機械に設置されて前記主軸と前記ハウジングとの接
触状態を検出する空気軸受式工作機械の主軸状態検出装
置であって、前記主軸と、この主軸の先端部分に装着さ
れる工具と、この工具に接する被加工物と、前記ハウジ
ングとを結合することにより、前記主軸および前記ハウ
ジングを電極とするコンデンサを含む通電経路を構成
し、この通電経路に電流を通電させる電流発生手段と、
前記コンデンサの静電容量を検出する静電容量検出手段
とを備え、前記電流発生手段および前記静電容量検出手
段は、前記主軸を囲むように配置される磁心と、この磁
心に巻き付けられる巻線とから構成される励起用コイル
および検出用コイルを含んで形成され、前記通電経路内
を流れる電流値をこの検出用コイルを用いて測定するこ
とで、前記コンデンサの静電容量を検出し、前記主軸お
よび前記ハウジングの相対変位を検出することを特徴と
する。
【0009】ここで、第1発明では、主軸およびハウジ
ングを電極とするコンデンサの静電容量変化を検出する
ことにより、ハウジングおよび主軸の相対変位を検出し
ているが、具体的には、以下のような方法により、静電
容量と相対変位との関係を導き出している。一般に、平
板型コンデンサにおける静電容量Cは、電極間の誘電率
をε、平板の面積をS、平板間の距離をdとすれば、式
(1)のように表される。
【0010】
【数1】
【0011】一方、図1に示されるように、円柱状の主
軸11と円筒状のハウジング13とから構成される円筒
型コンデンサの静電容量を、平板型コンデンサの静電容
量の和であると仮定すれば、回転軸Oの軸回りおよび軸
方向に分割された微小区間における静電容量dCは、式
(2)のように表される。
【0012】
【数2】
【0013】従って、円筒型コンデンサ全体の静電容量
Cは、式(2)について円筒の回転軸O回りの分割角d
θ、円筒の高さ方向寸法dlの積分値として与えられ、
式(3)のようになる。
【0014】
【数3】
【0015】ここで、上述した平板間の距離D(l,a)
は、次のようにして求められる。すなわち、図1(B)
に示されるように、ハウジング13の内周面半径をr2、
主軸11の外周半径をr1、ハウジング13の半径r2方向
に沿った回転軸Oから主軸11の外周面に至る距離をr
1'、高さ寸法lにおける回転軸Oから主軸11の軸心
O’の軸変位量をaとすると、r1'、r1、aから構成さ
れる三角形において、余弦定理から式(4)のような関
係が導かれる。
【0016】
【数4】
【0017】また、軸変位量aは、図1(A)に示され
るように、主軸11の高さ寸法Lと、主軸11の基端部
分における最大の軸変位量Aにより、主軸11の先端部
分からの高さ寸法lの関数として表され、式(5)の関
係が成立する。
【0018】
【数5】
【0019】さらに、平板間の距離D(l,a)は、上述し
た内周面半径r2と距離r1'との差r2−r1'で表されるの
で、式(3)におけるr2/D(l,a)は、式(6)のよう
に変形される。
【0020】
【数6】
【0021】実際には、主軸11とハウジング13との
隙間は微小なので、内周面半径r2に対して軸変位量aは
十分に小さく、式(6)における平方根内部の式は、式
(7)のように近似して差し支えない。
【0022】
【数7】
【0023】これにより、式(6)は、式(8)のよう
に変形される。
【0024】
【数8】
【0025】これを式(3)に代入すると、円筒型コン
デンサの静電容量Cは、軸変位量aの関数として表さ
れ、式(9)のようになる。
【0026】
【数9】
【0027】式(9)をグラフ化すると、図2のように
なる。従って、主軸11とハウジング13とが接触しな
いように設定した軸変位量の限界値Aoに応じて、式
(9)または図2により静電容量の閾値Coを定めるこ
とが可能となる。
【0028】このような第1発明によれば、主軸および
ハウジングを電極とするコンデンサが主軸、工具、被加
工物、ハウジングを結合した通電経路に組み込まれてい
るので、当該コンデンサの静電容量を検出するだけで、
主軸およびハウジングの相対変位を検出し、両者の接触
状態を検出することが可能となる。従って、背景技術で
説明したように、多数のセンサを配置する必要がなく、
簡素な構成で主軸の三次元的な動きを監視することがで
き、主軸とハウジングとの接触を防止することが可能と
なる。また、主軸、工具、被加工物、ハウジングを結合
して通電経路を構成し、電流発生手段および静電容量検
出手段を取り付けるだけでよいので、空気軸受式工作機
械に簡単に監視システムを構築することが可能となる。
【0029】
【0030】さらに、電流発生手段が励起用コイルを備
えているので、電磁誘導を利用して通電経路内に非接触
で電流を通電させることが可能となる。そして、同様に
静電容量検出手段が検出用コイルを備えているので、通
電経路内の電流値を非接触で測定することが可能とな
る。従って、いずれも非接触の状態でコンデンサの静電
容量を測定することができ、空気軸受式工作機械と独立
した形で監視システムを構築することが可能となり、主
軸状態検出装置の汎用性が大幅に向上する。
【0031】一方、前記目的を達成するために、第2発
明に係る空気軸受式工作機械の主軸状態検出装置は、主
軸が空気軸受によりハウジングに支承された工作機械に
設置されて前記主軸と前記ハウジングとの接触状態を検
出する空気軸受式工作機械の主軸状態検出装置であっ
て、前記主軸と、この主軸の先端部分に装着される工具
と、この工具に接する被加工物と、前記ハウジングとを
結合することにより、前記主軸および前記ハウジングを
磁極とする磁心を構成し、この磁心に磁束を発生させる
磁束発生手段と、前記磁心に発生した磁束を検出する磁
束検出手段とを備え、前記主軸および前記ハウジングの
相対変位は、前記磁心の磁束により検出されることを特
徴とする。
【0032】以上において、磁束発生手段としては、磁
心と隙間を設けてコイル状に巻き付けられる巻線を含む
磁束発生用コイルを有するものが考えられ、さらに、磁
束検出手段としては、磁心と隙間を設けてコイル状に巻
き付けられる巻線を含む磁束検出用コイルを有するもの
が考えられる。例えば、図3に示されるように、主軸状
態検出装置としては、主軸11、工具、被加工物、ハウ
ジング13の結合体から構成される磁心Gと、この磁心
Gに隙間を設けてコイル状に巻き付けられる巻線71
1、721を含む磁束発生用コイル71、磁束検出用コ
イル72とを備えた主軸状態検出装置70が考えられ
る。
【0033】そして、交流発振器73により磁束発生用
コイル71に高周波電流を流し、磁心G内に磁束を発生
させる。一方、磁極となる主軸11およびハウジング1
3の軸受隙間δが変化すると、磁束が変化して、巻線7
21内には誘導起電力ψが生じる。従って、この誘導起
電力を測定することにより、主軸11およびハウジング
13の軸受隙間の変化に伴う磁束の変化を検出すること
が可能となる。
【0034】具体的には、図3において、主軸11およ
びハウジング13間の隙間δに生じる磁界は、式(1
0)のように表される。
【0035】
【数10】
【0036】一方、主軸11、工具、被加工物、ハウジ
ング13を結合した磁心Gの内部磁界の強さは、式(1
1)のように表される。
【0037】
【数11】
【0038】磁心Gの中心軸に沿った磁界の線積分は、
アンペールの回路定理から式(12)のような関係があ
る。
【0039】
【数12】
【0040】よって、主軸11およびハウジング13の
隙間δに生じる磁束密度は、式(13)のように算出さ
れる。
【0041】
【数13】
【0042】一方、磁束検出用コイル72に生じる磁界
の磁束は、式(14)のように表される。
【0043】
【数14】
【0044】この磁束が変化すると、その変化を妨げよ
うと、磁束検出用コイル72には、誘導起電力が発生す
る。磁束発生用コイル71に流れる高周波電流がIo=
Asinωtであるとすると、磁束検出用コイル72に発
生する誘導起電力は、式(15)のように表される。
【0045】
【数15】
【0046】すなわち、磁束検出用コイル72に発生す
る誘導起電力を電流測定器74により検出すれば、式
(15)により、主軸11およびハウジング13の相対
変位を検出することができ、主軸11およびハウジング
13の接触状態を検知することが可能となる。
【0047】このような第2発明によれば、主軸、工
具、被加工物、ハウジングを結合して、主軸およびハウ
ジングを磁極とする磁心を形成しているので、磁束発生
手段により磁心内部に磁束を発生させ、主軸およびハウ
ジングの相対変位の変化による磁束の変化に伴って、磁
束検出用コイルに生じる誘導起電力として検出すること
が可能となる。従って、磁心および巻線から構成される
コイルにより、空気軸受式工作機械の主軸およびハウジ
ングの接触状態を検出することができ、上述の第1発明
と同様に主軸状態検出装置の構造の簡素化とコスト低減
が図られる。
【0048】上述した第1発明および第2発明におい
て、いずれの主軸状態検出装置も、静電容量検出手段に
より検出される静電容量、または磁束検出手段により検
出される磁束が所定の閾値を超えると、ハウジングおよ
び主軸が接触していると判定して警報を発する判定手段
を備えているのが好ましい。すなわち、このような判定
手段が設けられていれば、空気軸受式工作機械がNC装
置(数値制御装置)等により制御されている場合、工作
機械を停止させる等の制御信号をNC装置に出力するこ
とが可能となり、空気軸受式工作機械の自動制御化が促
進される。
【0049】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を、
図面に基づいて説明する。 (1)工作機械の基本構成 図4において、本実施形態の工作機械1は、ベース2上
に被加工物3を載置するテーブル4を有するとともに、
ベース2の一側にコラム5を備えている。コラム5には
主軸ヘッド10が支持され、主軸ヘッド10に回転自在
に支承された主軸11の先端には切削用の工具12が装
着されている。そして、主軸11は、工具12、被加工
物3、テーブル4、ベース2、コラム5を介してハウジ
ング13と電気的に接続され、主軸11およびハウジン
グ13を電極とするコンデンサC1を含む通電経路Eが
構成される。
【0050】主軸ヘッド10とテーブル4とは図示しな
い移動機構等により立体的に相対移動され、工具12を
被加工物3に接触させて切削加工が行えるようになって
いる。これらの相対移動は、NC装置20からの動作指
令に基づいて実行される。NC装置20は既存のもので
あり、所定の加工プログラムに基づいて各種の動作指令
を出力するものである。
【0051】主軸ヘッド10は、ハウジング13を有す
るとともに、主軸11を支承するために空気静圧軸受を
用いている。主軸11は、ハウジング13内の一部にフ
ランジ部111を有し、このフランジ部111の工具1
2側に1ヶ所、反対側に2ヶ所、それぞれ径方向空気静
圧軸受部14、15、16を備えている。また、フラン
ジ部111を挟むように一対の軸方向空気静圧軸受部1
7、18を備えている。これらの空気静圧軸受部14〜
18には高圧空気が供給され、主軸11は各軸受部14
〜18において所定の軸受クリアランスで浮上支持さ
れ、ハウジング13に対して径方向および軸方向に回転
自在な状態で支承されるようになっている。
【0052】 (2)実施形態に係る主軸状態検出装置の構成 このような工作機械1には、静電容量検出式の主軸状態
検出装置50が設置されている。主軸状態検出装置50
は、通電経路E内に電流を発生させる電流発生手段51
と、前記コンデンサC1の静電容量を検出する静電容量
検出手段52と、静電容量検出手段52により検出され
た静電容量に基づいて、主軸11およびハウジング13
の接触状態を判定する判定手段53とを備えている。
【0053】電流発生手段51は、主軸11の先端部分
を囲むように離間して配置されるリング状の励起用コイ
ル511と、この励起用コイル511の磁心511A
(後述)に巻き付けられる巻線511B(後述)の端部
にケーブル512を介して接続される交流発振器513
とを含んで形成される。静電容量検出手段52は、主軸
11の先端部分を囲むように離間して配置される検出用
コイル521と、この検出用コイル521の磁心521
A(後述)に巻き付けられる巻線521B(後述)の端
部にケーブル522を介して接続される電流測定器52
3と、電流測定器523の出力信号を増幅する信号増幅
回路524とを含んで形成される。
【0054】判定手段53は、比較回路531および警
報回路532から構成されている。比較回路531は、
図4では図示を略したが、静電容量検出手段52から出
力された出力信号Cxを取り込む取込部と、主軸11と
ハウジング13とが接触しないように設定された軸変位
量の限界値Aoに基づいて、式(9)を用いて静電容量
の閾値Coを算出し、工作機械1の加工条件に応じて記
憶しておく記憶部と、取込部からの出力信号Cxと閾値
Coとを比較する演算部とを備えている。演算部による
比較結果は警報回路532に送られ、出力信号Cxが閾
値Coを超えた場合、警報回路532は、NC装置20
に主軸11を停止させるような制御信号S1を出力す
る。
【0055】(3)誘導起電力V(t)と静電容量出力信
号Cxとの関係 このような空気軸受式工作機械1および主軸状態検出装
置50は、励起用コイル511および検出用コイル52
1を通電経路Eにより結合した結合コイル55として把
握され、図5に示す等価回路のように模式化することが
できる。尚、励起用コイル511および検出用コイル5
21は、リング状の磁心511Aおよび521Aと、巻
線511Bおよび521Bとから構成されている。図5
の等価回路において、励起用コイル511に高周波電流
を流したときに生じる励起用コイル511に生じる磁界
の磁束は、式(16)のように算出される。
【0056】
【数16】
【0057】ここで、励起用コイル511の磁束変化に
より結合コイル55に生じる起電力は、式(17)のよ
うになる。
【0058】
【数17】
【0059】従って、結合コイル55内に流れる電流
は、式(18)により求めることができる。
【0060】
【数18】
【0061】一方、この電流によって検出用コイル52
1に生じる磁束は、式(19)により算出することがで
きる
【0062】
【数19】
【0063】従って、検出用コイル521に生じる誘導
起電力は、式(20)のようになる。
【0064】
【数20】
【0065】ここで、励起用コイル511、検出用コイ
ル521において、巻数、透磁率、磁心の断面積は変更
しない限り一定であり、励起用コイル511内の電流I
o(t)は交流発振器513の周波数および電流により
決まる値であるから、前記式(20)は、式(21)の
ように変形することができる。
【0066】
【数21】
【0067】すなわち、主軸11およびハウジング13
間の静電容量と、検出用コイル521で検出される誘導
起電力とは、比例関係にあり、検出用コイル521に発
生した誘導起電力によって巻線521B内に流れる電流
値を電流測定器523で測定すれば、主軸11およびハ
ウジング13間の軸受隙間の変化に伴う静電容量の変化
を検出することができる。従って、電流測定器523を
用いて、検出用コイル521に生じた誘導起電力を検出
すれば、式(21)によりコンデンサC1の静電容量を
検出することが可能となる。
【0068】(4)主軸状態検出装置50の設定、動作 次に、上述した主軸状態検出装置50の設定、動作につ
いて説明する。 まず、工作機械1の主軸11の回転速度、テーブル
4等の送り速度に基づいて軸変位量の限界値Aoを決定
し、判定手段53に入力する。 テーブル4に被加工物3を載置し、工作機械1を動
作させるとともに、電流発生手段51の交流発振器51
3のスイッチを入れ、通電経路Eに電流を通電させる。
【0069】 加工中、静電容量検出手段52は、電
流測定器523により検出用コイル521の巻線521
Aに流れる電流値を測定し、これにより検出用コイル5
21に発生している誘導起電力を検出し、これを信号増
幅回路524により増幅し、上述した式(21)からコ
ンデンサC1の静電容量を求め、出力信号Cxとして、
判定手段53の比較回路531に出力する。 比較回路531では、この出力信号Cxと軸変位量
の限界値Aoから求められた閾値Coとを比較し、出力信
号Cxが閾値Coを超える状況となったら、警報回路53
2から制御信号S1をNC装置20に出力し、主軸11
の回転を停止させる。
【0070】(5)実施形態の効果 前述のような実施形態によれば、次のような効果があ
る。すなわち、主軸11およびハウジング13を電極と
するコンデンサC1が主軸11、工具12、被加工物
3、ハウジング13を結合した通電経路Eに組み込まれ
ているので、当該コンデンサC1の静電容量を検出する
だけで、主軸11およびハウジング13の相対変位δを
検出し、両者の接触状態を検出することができる。
【0071】従って、多数のセンサを配置する必要がな
く、簡素な構成で主軸の三次元的な動きを監視すること
ができ、主軸11とハウジング13との接触を防止する
ことができる。また、主軸11、工具12、被加工物
3、ハウジング13を結合して通電経路Eを構成し、電
流発生手段51および静電容量検出手段52を取り付け
るだけでよいので、空気軸受式工作機械1に簡単に監視
システムを構築することができる。
【0072】さらに、電流発生手段51が励起用コイル
511を備えているので、電磁誘導を利用して通電経路
E内に非接触で電流を通電させることができる。また、
同様に静電容量検出手段52が検出用コイル521を備
えているので、通電経路E内の電流値を非接触で検出す
ることができる。従って、いずれも非接触の状態でコン
デンサC1の静電容量を測定することができ、空気軸受
式工作機械1と独立した形で監視システムを構築するこ
とができ、主軸状態検出装置50を種々の工作機械に利
用することができる。そして、判定手段53が設けられ
ているので、空気軸受式工作機械1がNC装置20等に
より制御されている場合、主軸11およびハウジング1
3の接触状態に応じて工作機械1を自動的に停止させる
制御信号S1をNC装置20に出力することができ、空
気軸受式工作機械1の自動制御化を促進することができ
る。
【0073】(6)実施形態の変形 尚、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではな
く、次に述べるような変形をも含むものである。すなわ
ち、前述の実施形態では、主軸状態検出装置50は、主
軸11およびハウジング13の軸受隙間をコンデンサC
1として見立て、このコンデンサC1の静電容量の変化
を電流値の変化として検出することにより、主軸11と
ハウジング13との接触を防止していた。
【0074】しかしながら、本発明は、これに限らず、
図4に示す工作機械1において、主軸11、工具12、
被加工物3、テーブル4、ベース2、コラム5、ハウジ
ング13の結合体を、主軸11およびハウジング13を
磁極とする磁心とし、磁束発生手段によりこの磁心内部
に磁束を発生させ、磁束検出手段により磁心内部の磁束
を検出して主軸およびハウジングの相対変位を検出する
主軸状態検出装置を採用してもよい。
【0075】すなわち、上述の第2発明で説明したよう
に、主軸状態検出装置は、磁束発生用コイル71を含む
磁束発生手段および磁束検出用コイル72を含む磁束検
出手段を備え、磁極となる主軸11およびハウジング1
3間の相対変位の変化に伴って生じる磁心G内部の磁束
変化を、磁束検出用コイル72により誘導起電力として
検出するように構成されていてもよい。尚、この場合、
巻線711、721は、主軸11と隙間を設け、非接触
状態で配置しておくのが好ましい。また、主軸状態検出
装置が採用される空気軸受式工作機械の他の部分の構造
は、前述の実施形態に係る空気軸受式工作機械1と同様
の構造でよく、このような主軸状態検出装置であって
も、前述の実施形態と同様の効果を享受することができ
る。
【0076】また、前述の実施形態では、空気軸受式工
作機械1は、NC装置20により数値制御されていた
が、これに限らず、静電容量検出手段、磁束検出手段に
より出力される出力信号を表示装置で表示し、人力で主
軸状態の制御を行うような空気軸受式工作機械であって
もよい。その他、本発明の実施の際の具体的な構造およ
び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造
等としてもよい。
【0077】
【発明の効果】前述のように、第1発明に係る空気軸受
式工作機械の主軸状態検出装置によれば、主軸およびハ
ウジングを電極とするコンデンサが主軸、工具、被加工
物、ハウジングを結合した通電経路に組み込まれている
ので、当該コンデンサの静電容量を検出するだけで、主
軸およびハウジングの相対変位を検出し、両者の接触状
態を検出することができる。また、第2発明に係る空気
軸受式工作機械の主軸状態検出装置によれば、主軸、工
具、被加工物、ハウジングを結合して、主軸およびハウ
ジングを磁極とする磁心を形成しているので、当該磁心
内部の磁束を検出するだけで、主軸およびハウジングの
相対変位を検出し、両者の接触状態を検出することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明の作用を説明するための模式図であ
る。
【図2】軸変位量と静電容量との相関を表すグラフであ
る。
【図3】第2発明の作用を説明するための模式図であ
る。
【図4】本発明の実施形態に係る主軸状態検出装置を備
えた空気軸受式工作機械を表す模式図である。
【図5】前記実施形態の工作機械および主軸状態検出装
置の等価回路を表す模式図である。
【図6】従来技術における主軸およびハウジングの接触
状態を監視するシステムの構成を表す模式斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 工作機械 3 被加工物 11 主軸 12 工具 13 ハウジング 50、70 主軸状態検出装置 511 励起用コイル 521 検出用コイル 51 電流発生手段 52 静電容量検出手段 53 判定手段 71 磁束発生用コイル(磁束発生手段) 72 磁束検出用コイル(磁束検出手段) C1 コンデンサ E 通電経路 F 外力 G磁心
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 熊本 聰 静岡県沼津市大岡2068の3 東芝機械株 式会社 沼津事業所内 (56)参考文献 特開 平9−285944(JP,A) 特開 平1−82691(JP,A) 特開 平1−172632(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23Q 17/00 - 23/00 B23B 19/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主軸が空気軸受によりハウジングに支承さ
    れた工作機械に設置されて前記主軸と前記ハウジングと
    の接触状態を検出する空気軸受式工作機械の主軸状態検
    出装置であって、 前記主軸と、この主軸の先端部分に装着される工具と、
    この工具に接する被加工物と、前記ハウジングとを結合
    することにより、前記主軸および前記ハウジングを電極
    とするコンデンサを含む通電経路を構成し、 この通電経路に電流を通電させる電流発生手段と、前記
    コンデンサの静電容量を検出する静電容量検出手段とを
    備え、前記電流発生手段および前記静電容量検出手段は、前記
    主軸を囲むように配置される磁心と、この磁心に巻き付
    けられる巻線とから構成される励起用コイルおよび検出
    用コイルを含んで形成され、 前記通電経路内を流れる電流値をこの検出用コイルを用
    いて測定することで、前記コンデンサの静電容量を検出
    し、前記主軸および前記ハウジングの相対変位を検出す
    ることを 特徴とする空気軸受工作機械の主軸状態検出装
    置。
  2. 【請求項2】主軸が空気軸受によりハウジングに支承さ
    れた工作機械に設置されて前記主軸と前記ハウジングと
    の接触状態を検出する空気軸受式工作機械の主軸状態検
    出装置であって、 前記主軸と、この主軸の先端部分に装着される工具と、
    この工具に接する被加工物と、前記ハウジングとを結合
    することにより、前記主軸および前記ハウジングを磁極
    とする磁心を構成し、 この磁心に磁束を発生させる磁束発生手段と、前記磁心
    に発生した磁束を検出する磁束検出手段とを備え、 前記主軸および前記ハウジングの相対変位は、前記磁心
    の磁束により検出されることを特徴とする空気軸受式工
    作機械の主軸状態検出装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の空気軸受式工作機械の主
    軸状態検出装置において、 前記静電容量検出手段により検出される静電容量が所定
    の閾値を超えると、前記ハウジングおよび前記主軸が接
    触していると判定して警報を発する判定手段を備えてい
    ることを特徴とする空気軸受式工作機械の主軸状態検出
    装置。
  4. 【請求項4】請求項2に記載の空気軸受式工作機械の主
    軸状態検出装置において、 前記磁束発生手段および前記磁束検出手段は、前記磁心
    と隙間を設けてコイル状に巻き付けられる巻線を含む磁
    束発生用コイルおよび磁束検出用コイルを有し、 前記磁心内の磁束の変化に伴って、この磁束検出用コイ
    ルに発生する誘導起電力を測定することにより、前記磁
    心の磁束を検出することを特徴とする空気軸受式工作機
    械の主軸状態検出装置。
  5. 【請求項5】請求項2または請求項に記載の空気軸受
    式工作機械の主軸状態検出装置において、 前記磁束検出手段により検出される磁束が所定の閾値を
    超えると、前記ハウジングおよび前記主軸が接触してい
    ると判定して警報を発する判定手段を備えていることを
    特徴とする空気軸受工作機械の主軸状態検出装置。
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