JP3233653B2 - 電磁弁の駆動装置 - Google Patents

電磁弁の駆動装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電磁弁の駆動装置に関
し、さらに詳細には電磁弁を駆動した後に電磁弁の励磁
を少なくとも1度減少させ、ついで増大させる制御装置
を備えた電磁弁、特に内燃機関の噴射装置の電磁弁の駆
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車技術分野において、噴射装置を装
備した内燃機関が使用されている。内燃機関としては特
に自己着火式の内燃機関、すなわちディーゼルエンジン
が使用される。運転特性は噴射工程(例えば噴射量、噴
射時点など)によってほぼ決まる。
【0003】噴射すべき燃料を高圧ポンプを用いて噴射
弁のノズル開放圧力を越える高圧で供給し、それによっ
て噴射弁のノズルニードルを開放し、噴射工程を開始さ
せることが行なわれている。燃料循環系の圧力のない部
分(タンク)へ通じる電磁弁を閉鎖することによって高
圧ポンプの高圧室に圧力が形成される。噴射弁の閉鎖圧
力より低くなる前に噴射工程を終了させようとする場合
には、所定の時点で電磁弁が開放され、それによって噴
射系の圧力が解消される。それによって噴射終了は噴射
弁が閉鎖することによってもたらされる。
【0004】さらに、噴射工程の間電磁弁を連続的に閉
鎖したままにせずに、少なくとも短期間ある程度開放
し、次に閉鎖することが知られている。電磁弁をこのよ
うに開閉することによって、燃料噴射率を所定に設定
し、エンジンの回転を変化させることができる。使用さ
れる電磁弁は所定の噴射開始と噴射終了を実現するため
に非常に短い切り替え時間を有する。それによって噴射
を上述の構成で行う(噴射工程の間に電磁弁を開閉す
る)場合に、制御応答特性によって全噴射量に作用する
効果は著しくなるので、電磁弁に基づくオンオフ時間の
ばらつきが燃料調節精度を著しく変化させる。
【0005】ドイツ特許公開公報DE−OS34427
64には、電磁負荷を迅速に切り換える装置が記載され
ている。この装置には負荷と切り替え装置からなる直列
回路が設けられている。切り替え装置に対して並列に制
御可能なコンデンサが設けられる。この公知の切り替え
装置は内燃機関の燃料調節に使用することができる。切
り替え時間が短いことによって、回路の出力損失は減少
するが、上述のような欠点が生じる。この公知の装置に
よって負荷電流をスイッチングさせることができる。そ
れによって、制御装置のオンオフ切り替えにより負荷電
流が所定の平均値に低下される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上述
の欠点を除去し所望の噴射特性を得、正確な燃料供給量
制御が可能になる内燃機関の噴射装置の電磁弁の駆動
を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、本発明に
よれば、燃料圧力が形成され噴射が開始される第1の位
置と、該圧力が解消され噴射が終了する第2の位置に
磁弁を駆動する駆動装置であって、電磁弁を迅速に励磁
及び消磁させ電磁弁を第1と第2の位置に切り替える
御素子(14)と、噴射を中断させることなく電磁弁が
第1の位置にある状態が中断されるように、電磁弁の駆
動を制御する制御手段(60)と電磁弁が前記第1の
位置にある状態を中断させるときに現れる励磁変化を緩
慢にする励磁制御手段(25)と、を有する構成によっ
て解決される。
【0008】
【作用】本発明実施例の駆動回路によれば、噴射特性を
設定するために、電磁弁として形成された負荷の本来は
小さい切り替え時間が延長されるので、負荷の励磁の減
少ないし増大が遅延され、それによって励磁変化が抑制
される。それによって噴射工程の間に電磁弁を適当に開
放しかつ閉鎖するための駆動時間と電磁弁切り替え時間
が噴射量に与える感度が減少される。すなわち閉鎖を中
断する電磁弁のオンオフ時間がほぼ「電気的に」延長さ
れる。「電気的に」延長されるということは、電磁弁の
駆動が本発明により変化されて、磁力の形成及び/ある
いは消勢が緩慢に行なわれることを意味する。それによ
って従来技術に比較して、閉鎖中断に関する電磁弁の駆
動特性が均一化されるので、噴射量を正確に調節するこ
とができ、電磁弁に基づくオンオフ切り替え時間のばら
つきが燃料の計量精度にほとんど影響しなくなる。その
場合、騒音、排ガス及び消費などの視点で好ましいエン
ジン回転特性にする噴射率を得ることができ、過剰反応
や非安定性は生じない。本発明による閉鎖中断は噴射工
程中の期間でのみ有効になるので、噴射開始と噴射終了
を行わせる電磁弁の迅速なスイッチング特性はそのまま
利用することができる。
【0009】従来技術で知られている欠点をはっきりさ
せるために、公知の回路装置を例に挙げると、噴射特性
を構成するための電磁弁電流を中断させる時間は例えば
45μsになる。それによって電磁弁が部分的に開放し
(ストローク量は約13μm)、続いて閉鎖される。電
磁弁電流の中断時間が非常に短いので、この駆動時間が
数マイクロ秒変化すると、中断時のストローク量が著し
く変化してしまう。従って弁が開放している間に噴射導
管から戻ってくる燃料の体積も変化し、従って噴射量全
体も変化してしまう。それによって計量精度の点で前述
の欠点が生じる。
【0010】この欠点は、本発明によるスイッチング時
間を延長することによって除去することができる。特に
本発明による制御回路においては、閉鎖の中断によって
もたらされる解消速度(圧力解消)を内燃機関の回転数
及び他のパラメータに従って制御することができる。電
磁弁の閉鎖を中断すると2つの体積流が電磁弁を通過す
る。1つは噴射ノズルから出て来る解消された体積流で
あり、もう1つは噴射ノズルが開放している間に高圧ポ
ンプのピストンからさらに押し出されてくる体積流であ
る。噴射系内で圧力が所定に低下すると、解消体積流が
定まる。すなわち解消体積流は所定に設定することがで
きる。
【0011】上述の押し出される体積(ストローク体
積)は、内燃機関の回転数によって変化する。それに基
づいて電磁弁の閉鎖を中断する場合の電磁弁のストロー
ク量に関する規則を導き出すことができる。回転数が大
きい場合には、急速に電磁弁を開放して開口ストローク
を大きくし、ついで急速に電磁弁を閉鎖することによっ
て迅速に解消を行なうことが必要である。それに対して
回転数が低い場合には、所望の噴射特性を構成するため
には、電磁弁の開放時間を長くして、小さな開放行程で
ゆっくりと開放しかつ閉鎖することが望ましい。噴射特
性の形成がポンプ・ノズルユニットで行われる場合に
は、閉鎖時間と中断特性は変化する回転数に特に正確に
合わせられる。本発明方法によれば、内燃機関の駆動領
域全体にわたって最適な噴射特性を形成することができ
る。
【0012】本発明実施例によれば、噴射工程時、電磁
弁は迅速に励磁されて噴射すべき燃料の圧力形成に必要
な閉鎖状態となり、この閉鎖状態は、少なくとも1回電
磁弁を所定期間消磁させ続いて励磁させることによって
中断される(このような閉鎖状態の中断を閉鎖中断とい
う)。この閉鎖中断によって噴射特性が形成される。本
発明の実施例によれば、電磁弁は制御可能なスイッチン
グ素子と直列に接続されており、その制御端子とスイッ
チング素子のスイッチング部端子との間には少なくとも
1つの制御可能なスイッチング素子が設けられており、
それによって導通する場合に電磁弁電流が減少される。
この減少は、電流変化速度を低下させることによって行
われるので、本発明による所望の閉鎖中断がもたらされ
る。
【0013】スイッチング素子は、好ましくはトランジ
スタとして形成される。本発明による抑制された励磁変
化は特に、スイッチング素子に対して直列に接続された
ツェナーダイオードよって行われる。あるいはまた、ス
イッチング素子に対して制御可能な比較器を直列に接続
することもできる。
【0014】他の実施例によれば、閉鎖を中断する場合
に、励磁を減少させるために、フリーホイールダイオー
ドを有する回路が電磁弁に対して並列に接続される。こ
のフリーホイールダイオードに調節可能な抵抗が接続さ
、それによって電磁弁の励磁の減衰特性を設定するこ
とができる。
【0015】さらに、電磁弁を迅速に遮断するために、
スイッチング素子の制御端子とスイッチング部端子との
間にツェナーダイオードを接続することができるので、
電磁弁の遮断エネルギを定電圧を介して解消することが
できる。急速なスイッチング特性を噴射開始と噴射終了
の導入に使用することができる。
【0016】好ましくは、閉鎖状態の中断時に行う電磁
弁の駆動時間は、噴射装置の圧力を所定値だけ解消しよ
うとするときの圧力解消値に応じた期間と、内燃機関の
回転数にほぼ比例する期間とから決定される
【0017】
【実施例】以下、図面を用いて本発明を詳細に説明す
る。
【0018】図1は、ディーゼルエンジン(不図示)に
用いる噴射装置を示すものである。噴射装置には、タン
ク2と接続された給送ポンプ1が設けられている。給送
ポンプ1の出力3は高圧ポンプ4に接続されており、高
圧ポンプの出力5は噴射導管6と接続されている。噴射
導管6はさらに、閉鎖位置と開放位置をとる電磁弁MV
と接続されている。図1には開放位置が示されている。
電磁弁の2つの駆動状態は、電磁弁MVの巻線を所定に
励磁することによってもたらされる。開放位置において
は、噴射導管6は電磁弁MVと導管8を介してタンクと
接続される。
【0019】図2は、前述の構成をさらに詳細に示すも
のである。図2には高圧ポンプ4の構造が詳細に示され
ている(高圧ポンプの一部は縦断面及び横断面で示され
ている)。高圧ポンプ4の高圧室9(主要部)は逆止め
弁10を介して噴射導管6と接続されている。噴射導管
6の端部には噴射ノズルが接続されている。
【0020】高圧ポンプ4の高圧ピストンが供給位置へ
移動し、電磁弁MVが閉鎖されると、高圧室9と噴射導
管6内に高圧が形成される。この圧力が噴射ノズル11
のノズル開放圧力を越えると、その圧力に相当する量の
燃料が噴射される。
【0021】図3は、図2に示す構成の機能を説明する
ものである。同図には高圧ポンプ4の高圧ポンプのカム
行程hNが示されている。カム行程hNは高圧ピストン
のストローク量に相当する。さらに図3には、電磁弁M
Vの巻線7を励磁する制御電圧UMVも示されている。巻
線を励磁することによって電磁弁MVが閉鎖される。電
磁弁MVの閉鎖部材のストローク量SMVが図3の下部領
域に示されている。制御電圧UMVと比較するとわかる
が、制御電圧UMVの矩形パルスは電磁弁MVの巻線7を
遅延して励磁させる。従って、図3に示す例では、実際
に利用できるストローク量はHNとなる。
【0022】図4と5は電磁弁MVの駆動回路の実施例
と噴射装置の種々の量の時間的な推移を示すものであ
る。時点t1において電磁弁MVが励磁される。すなわ
ち電磁弁電流iMVが流れ始める。電流は最大値imaxま
で上昇し、所望の電磁弁ストローク量SMVが得られた後
に、保持値iHまで減少する。それに従って、図5から
明らかなように、高圧ポンプ4の高圧室の圧力pEが増
大する。時点t2において電磁弁電流iMVが減少し、そ
れによって電磁弁の閉鎖が中断される。すなわち、閉鎖
位置にある電磁弁が少しの間ある程度開放位置へ移動さ
れ、それによって噴射導管6内の圧力が低下する。それ
によって噴射工程が変化を受け、いわゆる噴射特性が形
成される。時点t3において噴射ノズル11のノズルニ
ードルのストロークが開始される。すなわち燃料が噴射
される。時点t4においてさらに閉鎖の中断が行われ、
その後にノズルニードルストローク量hDが最大値まで
上昇する。時点t5において電磁弁電流iMVが値0まで
戻るので、電磁弁MVは開放位置へ移動され、それによ
って(所定時間遅延して)噴射が終了する。図5に示す
2つの閉鎖中断によって、噴射工程、従って全噴射量を
変化させることができる。
【0023】本発明によれば、電磁弁MVを励磁する駆
動回路の制御装置には遅延回路が設けられており、遅延
回路によって噴射特性を適切に形成するために、閉鎖中
断が制御され、必要な電磁弁の励磁変化が比較的緩慢に
行われる。別の言葉で説明すると、本来迅速に励磁ない
し消磁可能な電磁弁MVの励磁変化を減少させて駆動す
ることによって適当な閉鎖中断特性が得られる。
【0024】それに関して図4の駆動回路を用いて説明
する。この回路には駆動電圧UBに接続された巻線端部
を有する電磁弁MVが設けられている。電磁弁MVの巻
線の他方の端部は制御可能なスイッチング素子14から
構成されるスイッチング部13の端子12と接続されて
いる。スイッチング素子14はトランジスタT1として
形成されている。他方のスイッチング部端子15はアー
ス16に接続されている。スイッチング素子14の制御
端子17(ベース)には、アースに接続された抵抗18
が接続されている。さらにダイオードD1及びツェナー
ダイオードZ1と直列に接続されたスイッチング素子1
9が制御端子17と接続されている。なお、ダイオード
D1とツェナーダイオードZ1は、互いにアノードが接
続されるように接続されている。ツェナーダイオードZ
1のカソードはスイッチング部端子12に接続され、従
って電磁弁MVに接続されている。このスイッチング素
子19はトランジスタT2によって形成される。
【0025】さらに他のスイッチング素子20が設けら
れており、スイッチング素子20からなるスイッチング
部は制御端子17に接続され、かつダイオードD2及び
ツェナーダイオードZ2に対して直列に配置されてい
る。ダイオードD2とツェナーダイオードZ2はそのア
ノードが互いに接続されている。ツェナーダイオードZ
2のカソードはスイッチング部端子12と接続されてい
る。スイッチング素子20はトランジスタT3として形
成されている。さらに抵抗21が設けられ、抵抗の一方
の端子は制御端子17と接続され、他方の端子は制御端
子22となっている。トランジスタT2とT3のベース
も同様に制御端子23ないし24を形成する。
【0026】電磁弁MVを駆動させるために、すなわち
電磁弁を閉鎖位置へ移動させるために、制御端子22を
介してトランジスタT1が作動される。電磁弁MVは切
り替えの速い電磁弁であるので、非常に迅速に励磁が行
われ、従って電磁弁ストローク量SMVが迅速に得られ
る。高圧ポンプ4によって噴射系内には高圧が形成され
る。閉鎖を中断しようとする場合には、制御端子22に
「ロー」を印加し、トランジスタT2の制御端子23を
駆動する。それによって電磁弁電流iMVはツェナーダイ
オードZ1の破壊電圧により減少する。その結果スイッ
チオフ時間がゆっくりになり、従って電磁弁MVの消磁
がそれに伴ってゆっくりと行われる。ツェナーダイオー
ドZ1が「破壊」する際にトランジスタT1が再び駆動
される。すなわち電磁弁電流iMVがそれに応じた値をと
り、それによって電磁弁MVの誘導電圧がトランジスタ
T1の破壊電圧以下に下降する。それによってトランジ
スタT1は再び遮断される。
【0027】全体として本発明による閉鎖中断はこのよ
うにして行われ、噴射特性を所定に形成するために、ト
ランジスタT2とダイオードD1とツェナーダイオード
Z1により形成される遅延回路25によって励磁の変化
が緩慢にされる。トランジスタT3の制御端子24が駆
動されると、ツェナーダイオードZ2によって他のツェ
ナー電圧が使用され、それによってツェナーダイオード
Z2により形成される逆電圧がより高い値に達する。
【0028】図6(a)、(b)と図7(a)、(b)
を用いて、本発明の考え方を再度説明する。図6
(a)、(b)はアイドリングにおける特性を示し、図
7(a)、(b)は内燃機関が公称回転数にある場合の
特性を示すものである。図6(a)においては、電磁弁
励磁は本発明による遅延なく閉鎖中断が行われている。
図の上方部分には電磁弁のストローク量SMVが示されて
いる。閉鎖中断の遮断時間が短いことによって、ノズル
ニードルのストローク量hDに衝撃が生じる。すなわち
高圧ポンプ4の高圧室内の圧力の解体が急激に行われ
る。それに対して図6(b)では、本発明により遮断中
断を遅延させそれに対応して電磁弁の遮断時間を調節し
ており、所望の噴射特性が得られる。すなわち全噴射量
を大きな精度で調節することができる噴射特性が得られ
る。
【0029】図7(a)、(b)は内燃機関の公称回転
数における特性を示すものである。本発明の考え方を用
いない場合には(図7(a))、高圧ポンプ4の高圧室
内の圧力が急激に解消され、従ってノズルニードルスト
ローク量hDは急激に上昇する。しかし閉鎖中断を緩慢
にし、それに応じて圧力が解消されると、図7(b)に
示すように所望の噴射特性が得られる。
【0030】図8は、閉鎖中断を行う電磁弁MVの駆動
時間tAが燃料噴射量Qeに与える影響を示すものであ
る。符号26で示す特性カーブにおいては、駆動時間t
Aがわずかに変化しても噴射量が大きく変化することが
明かである。それによって計量精度にはっきりと影響が
出る。特性カーブ26は、本発明の考え方により駆動さ
れない噴射装置の場合に生じる。電磁弁MVにおいて本
発明により励磁をゆっくりと変化させた場合には特性カ
ーブ27が生じ、それによれば駆動時間tAの変化に従
って、噴射量Qeはほぼ線形に変化する。すなわち、内
燃機関の回転数及び他のパラメータに従って所望の噴射
特性を設定することができ、電磁弁に特有のオンオフ切
り替え時間のばらつきが噴射系の計量精度に大きな影響
を与えることはない。
【0031】図9は電磁弁MVの駆動回路の他の実施例
を示すものであって、電磁弁遮断時間を無段階に制御す
ることができる。電磁弁MVの一方の端子には電源電圧
UBが印加される。他方の端子は、トランジスタT1に
よって形成されるスイッチング素子14に接続されてい
る。トランジスタT1のベースは抵抗27を介して制御
端子28に接続されている。さらにトランジスタT1の
ベースとアース16間には、ツェナーダイオードZ3が
接続されている。マイクロプロセッサ29は、分圧器3
1に給電を行うデジタル/アナログ変換器30に接続さ
れている。
【0032】分圧器31は抵抗32と33から形成され
る。分圧器31の中央の端子34は比較器44のプラス
入力と接続されている。さらに、抵抗36と37によっ
て形成される他の分圧器38が設けられており、分圧器
の一方の端子は電磁弁MVに接続され、他方の端子はア
ース16に接続されている。分圧器38の中央の端子3
9は比較器44のマイナス入力に接続されている。比較
器の出力44は抵抗41を介して比較器44のプラス入
力へフィードバックされている。
【0033】さらに比較器44の出力40には、電源電
圧UVに接続された抵抗42が接続されている。比較器
44の出力40は抵抗43を介してトランジスタT4の
ベースと接続されている。トランジスタT4のエミッタ
は電源電圧UVと接続されている。トランジスタT4の
コレクタはトランジスタT1のベースと接続されてい
る。マイクロプロセッサ29が処理する内燃機関の種々
のパラメータに従ってデジタル/アナログ変換器30が
作動されて、制御電圧を出力し、この制御電圧によって
比較器44の切り替えしきい値が調節される。従って比
較器44を用いて、電磁弁を遮断する際の電磁弁MVの
最大誘導電圧を変化させることができる。さらに、不図
示の電圧あるいは電流制御回路が設けられ、それによっ
て電磁弁MVの吸引時間を変化させることができる。
【0034】図10に示す駆動回路の他の実施例におい
ては、閉鎖中断を内燃機関の回転数、負荷及び他のパラ
メータに従って無段階に行うことができる。電磁弁MV
の巻線の一方の端子は電源電圧UBに接続される。他方
の端子は、トランジスタT1により形成されるスイッチ
ング素子14のスイッチング部端子12に接続される。
スイッチング素子14の他方のスイッチング部端子15
は分路45を介してアース16に接続されている。分路
電圧を端子46で取り出して、さらに処理することも可
能である。
【0035】トランジスタT1のベースは抵抗47を介
して制御端子48に接続されている。さらにベースは抵
抗49を介してアース16に接続されている。可変抵抗
50の一方の端子は駆動電圧UBに接続され、他方の端
子はトランジスタT5のコレクタに接続されている。ト
ランジスタT5のエミッタはダイオードD3を介してス
イッチング部端子12と接続されている。さらにスイッ
チング部端子12はツェナーダイオードZ4と他のダイ
オードD4を介してトランジスタT1のベースと接続さ
れている。極性は、ダイオードD3のカソードがトラン
ジスタT5のエミッタと接続され、ダイオードD4のカ
ソードがトランジスタT1のベースと接続されるものと
する。
【0036】さらにダイオードD4とツェナーダイオー
ドZ4のアノードは互いに接続されている。ツェナーダ
イオードZ5と抵抗52とコンデンサCからなる並列回
路51の一方の端子はトランジスタT5のベースに接続
され、他方の端子は抵抗53を介してトランジスタT5
のエミッタと接続される。なお、ツェナーダイオードZ
5のカソードはトランジスタT5のベースと接続され
る。ツェナーダイオードZ5のアノードは、トランジス
タT6として形成されたスイッチング素子55のスイッ
チング部54に接続されている。スイッチング部54の
他方の端子は抵抗56を介してアース16と接続され
る。トランジスタT6のベースは抵抗57を介してアー
ス16に接続される。さらに、一方の端子がトランジス
タT6のベースに接続され、他方の端子が制御端子59
に接続された抵抗58が設けられている。
【0037】電磁弁MVを迅速に遮断するために、制御
端子48と59にゼロ電位、すなわちアース16の電位
が印加される。それによってトランジスタT1、T5、
T6が非導通状態になる。トランジスタT1の電圧がツ
ェナーダイオードZ4によって決定されるツエナー電圧
を越えると、トランジスタT1が導通する。電磁弁MV
の巻線のエネルギが定電圧を介して変換される。電磁弁
電流iMVがほぼ線形に減少する。
【0038】電磁弁MVを緩慢に遮断するため、すなわ
ち巻線の電流を緩慢に減少させるためには、制御端子5
9を高電位の信号で駆動し、制御端子48を低電位(ア
ース)の信号で駆動することが必要である。それによっ
て電磁弁電流iMVがトランジスタT5を介して流れ、ほ
ぼ指数関数(e関数)に従って減少する。可変抵抗50
を介して時定数を調節することができる。ダイオードD
3は、フリーホイールダイオードであり、抵抗50、ト
ランジスタT5、ダイオードD3の回路によって電磁弁
電流が緩慢に減少される。
【0039】図11のブロック回路図は、自動車に使用
した場合を示すものである。この回路には制御装置60
が設けられており、制御装置には駆動状態を示す種々の
パラメータがセンサ等を介して供給される(参照符号6
1)。種々のパラメータとは、例えばアクセルペダル位
置、回転数、クランク軸及びカム軸の位置、温度値など
である。制御装置60は、電磁弁MVを適当に駆動する
本発明による駆動回路62と接続されている。
【0040】好ましくは電磁弁MVの閉鎖時間はディス
クリートにあるいは無段階に制御される。閉鎖中断時に
内燃機関の噴射装置の圧力を所定値だけ解消しようとす
る場合には、閉鎖中断を行う電磁弁の駆動時間は所望の
圧力解消に応じた期間と、内燃機関の回転数にほぼ比例
する期間とから決定される。閉鎖中断を行う駆動時間を
変化させる最も重要な他の影響量は、所望の噴射特性、
噴射システムにおける圧力の変動、温度及び噴射量であ
る。
【0041】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、燃料圧力が形成され噴射が開始される第1の
位置と、該圧力が解消され噴射が終了する第2の位置に
電磁弁が駆動され、その場合、噴射を中断させることな
く電磁弁が第1の位置にある状態が中断されるので、噴
射工程時の噴射特性を変化させることができるととも
に、この中断時に発生する電磁弁の励磁変化を緩慢な特
性にしているので、電磁弁の切り替え時間のばらつきの
影響が補償され、最適な噴射特性を得ることが可能にな
る、という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関(ディーゼルエンジン)の噴射装置の
制御原理を示すブロック図である。
【図2】噴射ポンプを詳細に示す図1と同様のブロック
図である。
【図3】電磁弁駆動時の特性を示す線図である。
【図4】噴射装置の駆動回路の回路図である。
【図5】電磁弁駆動時の特性を示す線図である。
【図6】(a)と(b)は内燃機関のアイドリングにお
ける噴射装置の特性を示す線図である。
【図7】(a)と(b)は内燃機関の公称回転数におけ
る噴射装置の特性を示す線図である。
【図8】噴射装置の電磁弁の駆動時間の影響と噴射され
る燃料量との関係を示す線図である。
【図9】駆動回路の他の実施例の回路装置の回路図であ
る。
【図10】他の駆動回路の他の実施例の回路図である。
【図11】センサ並びに制御装置を含めた構成のブロッ
ク図である。
【符号の説明】
14、19、20 スイッチング素子 25 遅延回路 44 比較器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヘルムート レンボルト ドイツ連邦共和国 7000 シュトゥット ガルト 40 エーリンガーシュトラーセ 27 (56)参考文献 特開 昭62−170766(JP,A) 特開 昭61−8463(JP,A) 特開 昭60−30469(JP,A) 実開 昭63−71470(JP,U) 西独国特許出願公開3733091(DE, A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 41/20 F02M 51/00

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料圧力が形成され噴射が開始される第
    1の位置と、該圧力が解消され噴射が終了する第2の位
    置に電磁弁を駆動する駆動装置であって、電磁弁を迅速に励磁及び消磁させ電磁弁を第1と第2の
    位置に切り替える 制御素子(14)と、噴射を中断させることなく電磁弁が第1の位置にある状
    態が中断されるように、電磁弁の駆動を制御する制御手
    段(60)と電磁弁が前記第1の位置にある状態を中断させるときに
    現れる励磁変化を緩慢にする 励磁制御手段(25)と、 を有することを特徴とする電磁弁の駆動装置
  2. 【請求項2】 前記第1の位置は、電磁弁が閉鎖状態と
    なる位置であり、この閉鎖状態が少なくとも1回電磁弁
    所定期間消磁させ続いて励磁させることによって中断
    されることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置
  3. 【請求項3】 前記閉鎖状態の中断によって噴射特性が
    設定されることを特徴とする請求項2に記載の駆動
  4. 【請求項4】 前記励磁制御手段が導通時に電磁弁電流
    (iMV)を減少させる少なくとも1つの制御可能なスイ
    ッチング素子(19、20)を有し、前記制御素子がス
    イッチング素子(14)であって、電磁弁がこのスイッ
    チング素子(14)と直列に接続され、そのスイッチン
    グ素子(14)の制御端子とスイッチング素子(14)
    のスイッチング部端子(12)との間に、前記励磁制御
    手段のスイッチング素子(19、20)が接続されるこ
    とを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の
    駆動装置
  5. 【請求項5】 電磁弁に直列に接続されたスイッチング
    素子(14)及び/あるいは前記励磁制御手段のスイッ
    チング素子(19、20)がトランジスタ(T1、T
    2、T3)として形成されることを特徴とする請求項4
    に記載の駆動装置
  6. 【請求項6】 スイッチング素子(19、20)に対し
    てツェナーダイオード(Z1、Z2)が直列に接続され
    ることを特徴とする請求項4あるいは5に記載の駆動
  7. 【請求項7】 励磁制御手段はスイッチング素子(T
    4)を有し、このスイッチング素子が電磁弁電流を所定
    の値と比較する比較器(44)の出力により制御される
    ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置
  8. 【請求項8】 前記閉鎖状態の中断時電磁弁を消磁した
    とき電磁弁電流を緩慢に減少させるために、フリーホイ
    ールダイオード(D3)を有する回路(50、T5、D
    3)が電磁弁(MV)に対して並列に接続されることを
    特徴とする請求項2に記載の駆動装置
  9. 【請求項9】 前記フリーホイールダイオード(D3)
    に調節可能な抵抗(50)が接続されることを特徴とす
    る請求項8に記載の駆動装置
  10. 【請求項10】 電磁弁(MV)を遮断するために、ス
    イッチング素子(14)の制御端子(17)とスイッチ
    ング部端子(12)間にツェナーダイオード(Z1、Z
    2)が接続されることを特徴とする請求項4に記載の駆
    装置
  11. 【請求項11】 前記閉鎖状態の中断時に行なう電磁弁
    の駆動時間(tA)は、噴射装置の圧力を所定値だけ解
    消しようとするときの圧力解消値に応じた期間と、内燃
    機関の回転数にほぼ比例する期間とから決定されること
    を特徴とする請求項2から10のいずれか1項に記載の
    駆動装置
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