JP3228883B2 - 水素・酸素発生装置の運転方法及びこれに用いる水素・酸素発生装置 - Google Patents

水素・酸素発生装置の運転方法及びこれに用いる水素・酸素発生装置

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JP3228883B2
JP3228883B2 JP01273797A JP1273797A JP3228883B2 JP 3228883 B2 JP3228883 B2 JP 3228883B2 JP 01273797 A JP01273797 A JP 01273797A JP 1273797 A JP1273797 A JP 1273797A JP 3228883 B2 JP3228883 B2 JP 3228883B2
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明子 三宅
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神鋼パンテツク株式会社
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  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解質膜を備
えた電解セルに電流を通電してその固体電解質膜の一方
にカソード面を、他方にアノード面を生じさせ、アノー
ド面に純水製造ユニットから純水を供給して電気分解
し、カソード側で水素ガスを、アノード側で酸素ガスを
発生させる水素・酸素発生装置の運転方法及びこれに用
いる水素・酸素発生装置に関するものであり、特に通常
よりも低電流で運転を行った場合でも酸素ガスの発生効
率が高く、しかも安全に運転可能な水素・酸素発生装置
の運転方法及びこれに用いる水素・酸素発生装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、水を電気分解して純度の高い
水素ガスや酸素ガスを多量に製造する装置として、例え
ば図3に示す電解セル1を備えた水素・酸素発生装置が
用いられている。図3の電解セル1は多数の固体電解質
膜ユニット10を並列させたものであり、両端に通電用
の端部電極板17を備えている。
【0003】固体電解質膜ユニット10は、主として固
体電解質膜11と、その固体電解質膜11の両面に添設
される多孔質給電体12、12と、その多孔質給電体の
外側に配設される複極式電極板13、13とから構成さ
れる。固体電解質膜11はイオン導電性材料からなる膜
である。多孔質給電体12としては、例えば白金族金属
等でメッキされたチタン等からなるメッシュ状のものが
用いられる。複極式電極板13は、通電により表面と裏
面が逆の電位となるものである。1つの複極式電極板1
3をとってみれば、それは左右両側の固体電解質膜ユニ
ット10、10に共通の構成部材となっている。
【0004】両端部電極板17、17間に図中左側がプ
ラス極、右側がマイナス極となるように電流を通電する
と、各複極式電極板13は左側にマイナス電位、右側に
プラス電位を生じさせる。このため、1つの複極式電極
板13はその複極式電極板13の図中左側の固体電解質
膜ユニット10ではカソード側18を構成し、図中右側
の固体電解質ユニット10ではアノード側19を構成す
ることとなる。この状態で純水供給経路14を通じて純
水をアノード側19に供給すれば、アノード側19で
は、 2H2O → O2 + 4H+ + 4e- の反応が起こり、酸素ガスが発生する。アノード側19
で発生した水素イオンは少量の水を伴って固体電解質膜
11内を移動してカソード側18に到達する。カソード
側18では、 4H+ + 4e- → 2H2 の反応が起こり、水素ガスが発生する。なお、この反応
中カソード側18及びアノード側19はある程度加圧状
態となっている。
【0005】このような電解セル1を備えた水素・酸素
発生装置の経路図が図4に示されている。図4の水素・
酸素発生装置は、主として純水製造ユニットAとガス発
生ユニットBとからなる。
【0006】純水製造ユニットAは、主として純水タン
ク6とポンプ7と熱交換ユニット8とイオン交換器9と
からなる。純水タンク6には後述するようにガス発生ユ
ニットBから環流させられて再利用される環流水と外部
から補給される純水とが蓄えられている。環流水はガス
発生ユニットBにおいて熱を受けて高温であるため、こ
の環流水を含む純水タンク6中の水もある程度高温とな
っている。この水はポンプ7によりまず熱交換ユニット
8に送られ、ここで熱交換が行われて水が冷却される。
冷却された水はイオン交換樹脂が充填されたイオン交換
器9に送られ、ガス発生ユニットBで生じたイオンが除
去される。このようにして純水製造ユニットAにて冷
却、清浄された純水が、ガス発生ユニットBへ供給され
る。なお、装置の冷却のため、ガス発生ユニットBへは
電気分解される量よりも過剰な量の水が送られる。
【0007】ガス発生ユニットBは、主として図3に示
すような電解セル1と水素分離タンク4と酸素分離タン
ク5とからなる。純水製造ユニットAから供給された純
水は、上記したように純水供給経路14を通じて電解セ
ル1内の固体電解質膜ユニット10のアノード19側に
供給される。
【0008】カソード側18で発生した水素ガスは、固
体電解質膜11を移動してきた比較的少量の水とともに
水素ガス取出経路15(図3参照)を通じて水素分離タ
ンク4に送られ、ここで水素ガスと水とが分離されて水
素ガスが取り出される。アノード側19で発生した酸素
ガスは、比較的多量の冷却用の水とともに酸素ガス取出
経路16(図3参照)を通じて酸素分離タンク5に送ら
れ、ここで酸素ガスと水とが分離されて酸素ガスが取り
出される。水素分離タンク4及び酸素分離タンク5でそ
れぞれガスと分離された水は廃棄される場合もあるし、
図4に示すように環流経路20を通じて純水製造ユニッ
トAの純水タンク6に環流されて再利用される場合もあ
る。
【0009】このような水素・酸素発生装置では、電解
セル1に通電される電流値が充分高い場合にはアノード
側19で多量の酸素ガスが発生し、この酸素ガスと酸素
ガスが溶解して飽和状態となった水とが酸素分離タンク
5に送られる。
【0010】このような水素・酸素発生装置は様々な規
模のものが実用化されているが、例えば固体電解質膜ユ
ニット10のアノード側19及び酸素分離タンク5の内
圧が4kg/cm2G(ゲージ圧)、アノード側19に
供給される純水の量が電解セル1全体で45L/min
(リッター/分)で、電解セル1に通電される電流が最
大で数百アンペアで、このときの水素ガス発生量が10
Nm3/h(ノルマル立方メートル/時間)であるタイ
プのもの(以下標準タイプと称する)等が知られてい
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した水
素・酸素発生装置は最大電流負荷に対して0%から10
0%の範囲の電流負荷率で運転が可能であるという長所
を有しており、例えば夜間や休日等ガスの使用量が少量
で足りる場合には、ガスの発生量を少量とするため電流
負荷率を最大電流値の10%以下(例えば2%程度)に
設定して運転されることがある。このようにガス発生量
が少ない場合、いかに大気圧下で酸素ガス飽和状態の純
水が固体電解質膜ユニット10に供給されたとしても、
この固体電解質膜ユニット10内は加圧状態であるた
め、アノード側19の水は酸素ガス不足により酸素ガス
不飽和状態となる。例えば上記の標準タイプの水素・酸
素発生装置において、電解セル1全体で45L/min
供給される摂氏20度の純水を飽和させるには18mo
l/h(モル/時間)の酸素ガス発生が必要であるのに
対し、電流負荷率が2%の通電では酸素ガスは4.5m
ol/hしか発生せず、アノード側19の水は酸素ガス
不飽和状態となる。
【0012】このため、発生した酸素ガスとともに酸素
ガス不飽和状態の水が酸素分離タンク5に送られると、
固体電解質膜ユニット10のアノード側19と同圧とさ
れている酸素分離タンク5内では水に酸素ガスが溶解
し、酸素ガスの発生効率を低下させてしまうという問題
がある。
【0013】また、多量の酸素ガスを溶解した酸素分離
タンク5内の水は、例えば水面レベルコントロール等の
手段により定期的に排出され、環流又は廃棄される。こ
の排出に伴い酸素分離タンク5の内圧が徐々に低下し、
酸素分離タンク5と連結された電解セル1内のアノード
側19の内圧も徐々に低下する。この結果、固体電解質
膜ユニット10の右左(つまりカソード側18とアノー
ド側19)で圧力差が生じ、この圧力差が大きくなると
固体電解質膜11を損傷させたり、固体電解質膜11の
劣化を促進し寿命を短くしてしまうおそれがある。
【0014】なお、酸素分離タンク5から排出された水
を廃棄せずに純水タンク6に環流させて再利用するタイ
プの水素・酸素発生装置(図4に示したタイプ)であっ
ても、酸素分離タンク5の内圧が低下することは避けら
れない。すなわち、このタイプの水素・酸素発生装置に
おいては純水タンク6は常圧(大気圧)とされているた
め、酸素ガスが多量に溶解した環流水を含んだ純水タン
ク6内の水が酸素ガス過飽和となり、この過飽和の酸素
がガスとして発生して大気中に放出される。こうして酸
素ガスの溶解度が低下した水がガス発生ユニットBに供
給されて再び加圧され、この水に酸素分離タンク5内で
酸素ガスが再度溶解する。このサイクルを繰り返すうち
に、このタイプの水素・酸素発生装置においてもやはり
酸素ガスの溶解により酸素分離タンク5内の内圧が徐々
に低下し、固体電解質膜ユニット10の右左で圧力差が
生じ、固体電解質膜11を損傷させたり、固体電解質膜
11の劣化を促進し寿命を短くしてしまうおそれがあ
る。
【0015】本発明は上記した問題に鑑みてなされたも
のであり、低電流で運転された場合でも酸素ガスの発生
効率を低下させることがなく、しかも固体電解質膜ユニ
ット10内のアノード側19の内圧が低下してカソード
側18とアノード側19とで圧力差が生じてしまうこと
が少なく、固体電解質膜11を損傷させたり劣化させて
しまうおそれが少ない水素・酸素発生装置の運転方法及
びこれに用いる水素・酸素発生装置を提供することをそ
の目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記した問題を解決する
ため第1の本発明は、固体電解質膜を備えた電解セルに
電流を通電してその固体電解質膜の一方にカソード面
を、他方にアノード面を生じさせ、アノード側に純水製
造ユニットから純水を供給して電気分解し、カソード側
で水素ガスを、アノード側で酸素ガスを発生させ、アノ
ード側から酸素ガスと過剰の水とを取り出す水素・酸素
発生装置の運転方法において、電解セルに通電される電
流値の大小に応じてアノード側に供給される純水の流量
を増減させることにより、アノード側から取り出される
水の酸素ガス溶解度を高水準に維持することを特徴とす
る水素・酸素発生装置の運転方法、を提供するものであ
る。
【0017】本発明によれば、通常の運転時には多量の
純水を固体電解質膜ユニットのアノード側に供給して冷
却効率を高めつつ多量の水素ガスと酸素ガスを得ること
ができ、一方低電流運転時にはアノード側に供給される
水の量を少量とすることによってここで生ずる酸素ガス
が少量であっても水の酸素ガス溶解度を高めることがで
きる。従って低電流運転時でも酸素分離タンク内で水に
溶解する酸素ガスの量を抑えることができ、酸素分離タ
ンク及び固体電解質ユニットのアノード側の内圧の低下
を抑えることができる。このため、固体電解質膜の損傷
や劣化を防止することが可能となる。
【0018】また、上記した問題を解決するため第2の
本発明は、固体電解質膜を備えた電解セルに電流を通電
してその固体電解質膜の一方にカソード面を、他方にア
ノード面を生じさせ、アノード側に純水製造ユニットか
ら純水を供給して電気分解し、カソード側で水素ガス
を、アノード側で酸素ガスを発生させ、アノード側から
酸素ガスと過剰の水とを取り出す水素・酸素発生装置に
おいて、電解セルに通電される電流値の大小に応じてア
ノード側に供給される純水の流量を自動的に増減させる
機構を備えたことを特徴とする水素・酸素発生装置、を
提供するものである。
【0019】本発明によれば、電解セルに通電される電
流値の大小に応じてアノード側に供給される純水の流量
を自動的に増減させる機構を備えているため、上記した
第1の本発明の運転方法の実施が確実かつ容易となる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明を
詳説する。
【0021】図1は本発明の水素・酸素発生装置の一実
施形態を表す経路図である。本水素・酸素発生装置は純
水製造ユニットAとガス発生ユニットBから構成され
る。ガス発生ユニットBの構成は、図4に示した従来の
水素・酸素発生装置のガス発生ユニットと同様であり、
例えば図3に示したような電解セル1が用いられる。純
水製造ユニットAは、図4に示した従来の純水製造ユニ
ットの構成に自動流量制御弁2とコントローラ3が追加
されたものである。自動流量制御弁2はイオン交換器9
の下流に設けられており、この自動流量制御弁2の開閉
の程度により、電解セル1へ送られる純水の量が制御さ
れる。コントローラ3は電解セル1と自動流量制御弁2
とに連結されており、電解セル1に通電される電流値を
検知してこの信号を自動流量制御弁2に送るものであ
る。
【0022】電解セル1に通電される電流値が大きい場
合はコントローラ3が自動流量制御弁2を大きく開弁し
て多量の電気分解用及び冷却用の純水が固体電解質膜ユ
ニット10のアノード側19に供給され、ガス発生ユニ
ットBにおいて多量の水素ガスと酸素ガスが発生して取
り出される。一方電流値が小さい場合は、コントローラ
3が自動流量制御弁2を絞り、アノード側19に供給さ
れる純水の量が抑えられ、発生する酸素ガスが少量であ
っても水の酸素ガス溶解度が高水準に維持される。例え
ば上記した標準タイプの水素・酸素発生装置において通
電される電流の負荷率が最大電流値の2%である場合、
摂氏20度における純水供給量が電解セル1全体で11
L/min以下に抑制され、アノード側19の水が酸素
ガス飽和状態とされる。なお、水の酸素ガス溶解度は飽
和状態が理想であるが、それに近い状態であってもよ
く、本発明ではこの飽和状態かそれに近い状態をもって
「酸素ガス溶解度が高水準」な状態としている。一般的
には、酸素ガス溶解度が飽和状態の70%以上となるよ
うに運転を行えばよい。
【0023】このように電流値に応じて自動流量制御弁
2の開度を調節して固体電解質膜ユニット10へ供給さ
れる純水の量を制御することにより、常に固体電解質ユ
ニット10のアノード側19の水を酸素ガス飽和状態か
それに近い状態に維持することができ、酸素分離タンク
5内で水に溶解する酸素ガスの量を抑えて酸素ガスの発
生効率の低下を防止し、アノード側19の内圧を維持し
て固体電解質膜11の損傷の防止と劣化の抑制とを図る
ことができる。しかも自動流量制御弁2の開閉は自動で
行われるため、供給される純水の量を確実かつ容易に調
節することができる。
【0024】本水素・酸素発生装置では自動流量制御弁
2はイオン交換器9の下流に設けられているが、自動流
量制御弁2の位置はポンプ7と熱交換ユニット8との間
や、熱交換ユニット8とイオン交換器9との間等であっ
てもかまわない。また、本水素・酸素発生装置において
コントローラ3を電解セル1には直結せず、電解セル1
に連結された整流器(図示せず)に連結しても良い。ま
た、本水素・酸素発生装置において、純水タンク6、ポ
ンプ7、熱交換ユニット8、イオン交換器9、水素分離
タンク4又は酸素分離タンク5が省略されることもあ
る。さらに、図1に示した水素・酸素発生装置では酸素
分離タンク5から排出された水を環流経路20を通じて
純水製造ユニットAに環流させているが、排出された水
をそのまま廃棄する構造としてもよい。
【0025】本水素・酸素発生装置では、固体電解質膜
ユニット10に供給される純水の量を自動流量制御弁2
とコントローラ3とにより制御しているが、制御の手段
はこれには限られず、電流値の大小に応じてアノード側
19に供給される純水の流量を自動的に増減させる機構
であればどのようなものでも良い。また、単に手動弁を
設けてこの手動弁を電流値に応じて手動で開閉しつつ純
水の供給量を調節することでも、固体電解質膜11の損
傷や劣化を防ぐことは可能である。
【0026】本水素・酸素発生装置の電解セル1に用い
られる固体電解質膜11はイオン導電性材料からなるも
のあればよく、例えば高分子からなるイオン導電性材料
の膜(以下固体高分子電解質膜という)の両面を無電解
メッキによって形成された貴金属多孔質層で被覆した構
造のもの、ジルコニアやアルミナ等から成る無機質固体
電解質膜等が用いられる。
【0027】特に固体高分子電解質膜の両面を無電解メ
ッキによって形成された貴金属多孔質層で被覆した構造
のものが好適に用いられる。この固体電解質膜11を用
いることにより、固体高分子電解質膜と貴金属多孔質層
との間に水が存在しないため溶液抵抗やガス抵抗を少な
くすることができて固体高分子電解質膜と貴金属多孔質
層との間の接触抵抗を低くすることができ、電圧を下げ
て電流分布を均一とすることが可能となる。その結果、
高電流密度化、電解の高温水化及び電解の高圧水化を図
ることができ、高純度の水素ガスと酸素ガスとを効率よ
く得ることが可能となる。この固体高分子電解質膜とし
ては、例えばフッ素樹脂系スルフォン酸カチオン交換膜
等のカチオン交換膜が挙げられ、具体的には例えばデュ
ポン社製の商品名「ナフィオン117」等が挙げられ
る。また、貴金属多孔質層を形成する貴金属としては、
白金等の白金族金属が挙げられ、特に白金とイリジウム
との2層構造により貴金属多孔質層を形成するのが好ま
しい。また、白金と2種以上の白金族金属とにより多層
構造の貴金属多孔質層を形成することもできる。上記の
商品名ナフィオン117の表面に白金とイリジウムとの
2層構造の貴金属多孔質層を形成した固体電解質膜11
の場合、摂氏80度における電流密度が200A/d
2 程度であり、単に電極を物理的にイオン交換膜に接触
させた構造の固体電解質膜の電流密度(50から70A
/d 2 程度)に比べて飛躍的に高い電流密度を達成す
ることができ、しかもこの状態で約4年間の長期にわた
って電気分解を行うことが可能である。
【0028】本水素・酸素発生装置の電解セル1は図3
に示すように複数個の固体電解質膜ユニット10を積層
させたものであるが、積層させる固体電解質膜ユニット
10の数は、必要とされるガス発生量等に応じて1又は
2以上の任意の積層数から適宜選択される。
【0029】図2には本発明の水素・酸素発生装置の他
の実施形態の経路図が表されている。本水素・酸素発生
装置ではポンプ7の下流から純水タンク6への流量調整
経路21が設けられ、この流量調整経路21の途中に自
動流量制御弁2が設けられている。図1に示した水素・
酸素発生装置と同様、コントローラ3が電解セル1と自
動流量制御弁2とに連結されている。
【0030】電解セル1に通電される電流値が大きい場
合はコントローラ3が自動流量制御弁2を絞り、流量調
整経路21を通じて純水タンク6に環流される水の量が
抑制される。この結果多量の電気分解用及び冷却用の純
水が固体電解質膜ユニット10のアノード側19に供給
され、ガス発生ユニットBでは多量の水素ガスと酸素ガ
スが発生して取り出される。一方電流値が小さい場合は
コントローラ3が自動流量制御弁2を大きく開弁し、流
量調整経路21を通じて多量の水が純水タンク6に環流
させられる。この結果アノード側19に供給される純水
の量が抑制されて、発生する酸素ガスの量が少量でも水
が酸素ガス飽和状態かそれに近い酸素ガス溶解度とされ
る。
【0031】このように電流値に応じて自動流量制御弁
2の開度を調節して固体電解質膜ユニット10へ供給さ
れる純水の量を制御することにより、常に固体電解質ユ
ニット10のアノード側19の水を酸素ガス飽和状態か
それに近い状態に維持することができ、酸素分離タンク
5内で水に溶解する酸素ガス量を抑え、酸素ガス発生効
率の低下を防止し、アノード側19の内圧を維持して固
体電解質膜11の損傷や劣化を防ぐことができる。しか
も自動流量制御弁2の開閉は自動で行われるため、確実
かつ容易に供給される純水の量を調節することができ
る。
【0032】本水素・酸素発生装置では流量調整経路2
1はポンプ7の下流を起点として設けられているが、流
量調整経路21の起点の位置は熱交換ユニット8の下流
やとイオン交換器9の下流等であってもかまわない。ま
た、本水素・酸素発生装置においてコントローラ3を電
解セル1には直結せず、電解セル1に連結された整流器
(図示せず)に連結しても良い。また、本水素・酸素発
生装置において、純水タンク6、ポンプ7、熱交換ユニ
ット8、イオン交換器9、水素分離タンク4又は酸素分
離タンク5が省略されることもある。さらに、図2に示
した水素・酸素発生装置では酸素分離タンク5から排出
された水を環流経路20を通じて純水製造ユニットAに
環流させているが、排出された水をそのまま廃棄する構
造としてもよい。
【0033】本水素・酸素発生装置では、固体電解質膜
ユニット10に供給される純水の量を自動流量制御弁2
とコントローラ3とにより制御しているが、制御の手段
はこれには限られず、電流値の大小に応じてアノード側
19に供給される純水の流量を自動的に増減させる機構
であればどのようなものでも良い。また、単に手動弁を
設けてこの手動弁を電流値に応じて手動で開閉しつつ純
水の供給量を調節することでも、固体電解質膜11の損
傷や劣化を防ぐことは可能である。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば低
電流で運転された場合でも酸素ガスの発生効率を低下さ
せることがなく、しかも固体電解質膜ユニット内のアノ
ード側の内圧が低下して固体電解質膜ユニットのカソー
ド側とアノード側とで圧力差が生じてしまうことが少な
く、固体電解質膜を損傷させたり寿命を低下させたりす
るおそれが少ない水素・酸素発生装置の運転方法及びこ
れに用いる水素・酸素発生装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる水素・酸素発生装
置を表す経路図である。
【図2】本発明の他の実施形態にかかる水素・酸素発生
装置を表す経路図である。
【図3】図1及び図2の水素・酸素発生装置に用いられ
る電解セルの一例を示す断面図である。
【図4】従来の水素・酸素発生装置を表す経路図であ
る。
【符号の説明】
1・・・電解セル 2・・・自動流量制御弁 3・・・コントローラ 4・・・水素分離タンク 5・・・酸素分離タンク 6・・・純水タンク 7・・・ポンプ 8・・・熱交換ユニット 9・・・イオン交換器 10・・・固体電解質膜ユニット 11・・・固体電解質膜 12・・・多孔質給電体 13・・・複極式電極板 14・・・純水供給経路 15・・・水素取出経路 16・・・酸素取出経路 17・・・端部電極板 18・・・カソード側 19・・・アノード側 20・・・環流経路 21・・・流量調整経路 A・・・純水製造ユニット B・・・ガス発生ユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 宏子 兵庫県神戸市長田区名倉町5丁目8番11 号 (72)発明者 森岡 輝行 兵庫県加古川市平岡町土山934−4 (56)参考文献 特開 平9−291385(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25B 1/00 - 15/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体電解質膜を備えた電解セルに電流を
    通電してその固体電解質膜の一方にカソード面を、他方
    にアノード面を生じさせ、アノード側に純水製造ユニッ
    トから純水を供給して電気分解し、カソード側で水素ガ
    スを、アノード側で酸素ガスを発生させ、アノード側か
    ら酸素ガスと過剰の水とを取り出す水素・酸素発生装置
    の運転方法において、 電解セルに通電される電流値の大小に応じてアノード側
    に供給される純水の流量を増減させることにより、アノ
    ード側から取り出される水の酸素ガス溶解度を高水準に
    維持することを特徴とする水素・酸素発生装置の運転方
    法。
  2. 【請求項2】 固体電解質膜を備えた電解セルに電流を
    通電してその固体電解質膜の一方にカソード面を、他方
    にアノード面を生じさせ、アノード側に純水製造ユニッ
    トから純水を供給して電気分解し、カソード側で水素ガ
    スを、アノード側で酸素ガスを発生させ、アノード側か
    ら酸素ガスと過剰の水とを取り出す水素・酸素発生装置
    において、 電解セルに通電される電流値の大小に応じてアノード側
    に供給される純水の流量を自動的に増減させる機構を備
    えたことを特徴とする水素・酸素発生装置。
  3. 【請求項3】 上記純水の流量を自動的に増減させる機
    構が自動流量制御弁である請求項2に記載の水素・酸素
    発生装置。
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