JP3228887B2 - 水素・酸素発生装置 - Google Patents

水素・酸素発生装置

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JP3228887B2
JP3228887B2 JP06945697A JP6945697A JP3228887B2 JP 3228887 B2 JP3228887 B2 JP 3228887B2 JP 06945697 A JP06945697 A JP 06945697A JP 6945697 A JP6945697 A JP 6945697A JP 3228887 B2 JP3228887 B2 JP 3228887B2
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清司 平井
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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/36Hydrogen production from non-carbon containing sources, e.g. by water electrolysis

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  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解質膜を備
えた電解セルに電流を通電し、純水を電気分解して水素
ガスと酸素ガスとを製造する水素・酸素発生装置に関す
るものであり、特に通常よりも低電流で運転を行った場
合でも酸素ガスの発生効率が高く、しかも固定電解質膜
の破損や劣化が少なく寿命の長い水素・酸素発生装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】水を電気分解して純度の高い水素ガスや
酸素ガスを多量に製造する装置として、従来例えば図3
に示す電解セル1を備えた水素・酸素発生装置が用いら
れている。図3の電解セル1は多数の固体電解質膜ユニ
ット10を並列させたものであり、両端に通電用の端部
電極板17、17を備えている。
【0003】固体電解質膜ユニット10は、主として固
体電解質膜11と、その固体電解質膜11の両面に添設
される多孔質給電体12、12と、その多孔質給電体1
2、12の外側に配設される複極式電極板13、13と
から構成される。固体電解質膜11はイオン導電性材料
からなる膜である。多孔質給電体12としては、例えば
白金族金属等でメッキされたチタン等からなる多孔質で
メッシュ状のものが用いられる。複極式電極板13は、
通電により片面が陰極に、他面が陽極になるものであ
る。1つの複極式電極板13をとってみれば、それは左
右両側の固体電解質膜ユニット10、10に共通の構成
部材となっている。
【0004】図4には、1つの固体電解質膜ユニット1
0の分解断面図が示されている。固体電解質膜11の両
側には、この固体電解質膜11と複極式電極板13、1
3と環状のガスケット23で囲まれてシールされた空間
が形成され、このそれぞれが後述の陰極室C及び陽極室
D(図4中二点鎖線で示される)となる。この陰極室C
及び陽極室Dのそれぞれに多孔質給電体12が収容され
ている。
【0005】両端部電極板17、17間に図3中左側が
陽極、右側が陰極となるように電流を通電すると、各複
極式電極板13は左側に陰極、右側に陽極を生じさせ
る。このため、1つの複極式電極板13はその複極式電
極板13の図中左側の固体電解質膜ユニット10では陰
極側18の構成部材となり、図中右側の固体電解質ユニ
ット10では陽極側19の構成部材となる。こうして1
つの固体電解質膜ユニット10には固体電解質膜11よ
りも右側の陰極室Cと固体電解質膜11よりも左側の陽
極室Dとが形成される。
【0006】この状態で純水供給経路14を通じて純水
を陽極室Dに供給すれば、陽極室Dでは、 2H2O → O2 + 4H+ + 4e- の反応が起こり、酸素ガスが発生する。陽極室Dで発生
した水素イオンはイオン導電性である固体電解質膜11
内を少量の水を伴って移動し、陰極室Cに到達する。陰
極室Cではこの到達した水素イオンに、 4H+ + 4e- → 2H2 の反応が起こり、水素ガスが発生する。なお、この反応
中水素分離タンク4、酸素分離タンク5、水素分離タン
ク5と連結された陰極室C及び酸素分離タンク5と連結
された陽極室Dの内圧は、発生するガスをそのユースポ
イントに輸送するため、又はユースポイントで必要とさ
れる範囲である程度加圧状態とされている。しかもこれ
ら水素分離タンク4、酸素分離タンク5、陰極室C及び
陽極室Dの内圧はほぼ同等とされており、これにより固
定電解質膜11の左右で差圧がほとんど生じない状態で
水素・酸素発生装置の運転がなされる。
【0007】このような電解セル1を備えた水素・酸素
発生装置の経路図が図5に示されている。図5の水素・
酸素発生装置は、主として純水製造ユニットAとガス発
生ユニットBとからなる。
【0008】純水製造ユニットAは、主として純水タン
ク60とポンプ7と熱交換ユニット8とイオン交換器9
とからなる。純水タンク60には後述するようにガス発
生ユニットBから環流経路2を通じて環流させられて再
利用される環流水と、水補給経路3を通じて補給される
純水とが蓄えられている。環流水はガス発生ユニットB
において熱を受けて高温であるため、この環流水を含む
純水タンク60中の水もある程度高温となっている。こ
の水はポンプ7によりまず熱交換ユニット8に送られ、
ここで熱交換が行われて水が冷却される。冷却された水
はイオン交換樹脂が充填されたイオン交換器9に送ら
れ、ガス発生ユニットBで生じたイオンが除去される。
このようにして純水製造ユニットAにて冷却、清浄され
た純水が、ガス発生ユニットBへ供給される。なお、装
置の冷却のため、ガス発生ユニットBへは電気分解され
る量よりも多い量の水が送られる。
【0009】ガス発生ユニットBは、主として図3に示
すような電解セル1と水素分離タンク4と酸素分離タン
ク5とスクラバー20とからなる。純水製造ユニットA
から供給された純水は純水供給経路14(図3参照)を
通じて電解セル1内の固体電解質膜ユニット10の陽極
室Dに供給され、上記したようにこの固体電解質膜ユニ
ット10内で水が電気分解され、水素ガスと酸素ガスと
が発生する。
【0010】陰極室Cで発生した水素ガスは、水素イオ
ンに伴って固体電解質膜11を移動してきた比較的少量
の水とともに(すなわち水素ガス中に水が含まれた状態
で)水素ガス取出経路15を通じて水素分離タンク4に
送られ、ここで水素ガスと水とが分離されて水素ガスが
取り出される。陽極室Dで発生した酸素ガスは、比較的
多量の冷却用の水とともに(すなわち水の中に酸素ガス
が含まれた状態で)酸素ガス取出経路16を通じて酸素
分離タンク5に送られ、ここで酸素ガスと水とが分離さ
れて酸素ガスが取り出される。水素分離タンク4及び酸
素分離タンク5でそれぞれガスと分離された水は廃棄さ
れる場合もあるし、図5に示すように環流経路2を通じ
て純水製造ユニットAの純水タンク60に環流されて再
利用される場合もある。なお、水素分離タンク4から環
流させられる水は防爆処理のためスクラバー20で残存
水素ガスを除去された後、酸素分離タンク5から環流さ
せられる水と混合される。
【0011】このような水素・酸素発生装置では、電解
セル1に通電される電流値が充分高い場合には陽極室D
で多量の酸素ガスが発生し、この酸素ガスと酸素ガスが
溶解して飽和状態となった水とが酸素分離タンク5に送
られる。
【0012】このような水素・酸素発生装置は様々な規
模のものが実用化されているが、例えば固体電解質膜ユ
ニット10の陽極室D及び酸素分離タンク5の内圧が4
kg/cm2G(ゲージ圧)で、陽極室Dに供給される
純水の量が電解セル1全体で45L/min(リッター
/分)で、電解セル1に通電される電流が最大で数百ア
ンペアで、このときの水素ガス発生量が10Nm3/h
(ノルマル立方メートル/時間)であるタイプのもの
(以下標準タイプと称する)等が知られている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した水
素・酸素発生装置は最大負荷電流に対して0%から10
0%の範囲の電流負荷率での運転が可能であるという長
所を有しており、例えば夜間や休日等ガスの使用量が少
量で足りる場合には、ガスの発生量を少量とするため電
流負荷率を最大負荷電流の10%以下(例えば2%程
度)に設定して運転されることがある。このようにガス
発生量が少ない場合、たとえ大気圧下で酸素ガス飽和状
態の純水が固体電解質膜ユニット10に供給されたとし
ても、この固体電解質膜ユニット10内は加圧状態であ
るため、陽極室Dの水は酸素ガス不足により酸素ガス不
飽和状態となる。例えば上記の標準タイプの水素・酸素
発生装置において、電解セル1全体で45L/min供
給される摂氏20度の純水を飽和させるには18mol
/h(モル/時間)の酸素ガスが必要であるのに対し、
電流負荷率が2%の通電では酸素ガスは4.5mol/
hしか発生せず、陽極室Dの水は酸素ガス不飽和状態と
なる。
【0014】このため、発生した酸素ガスとともに酸素
ガス不飽和状態の水が酸素分離タンク5に送られると、
固体電解質膜ユニット10の陽極室Dとほぼ同圧となっ
ている(すなわち加圧状態となっている)酸素分離タン
ク5内では水に酸素ガスが溶解し、酸素ガスの発生効率
を低下させてしまうという問題がある。
【0015】また、多量の酸素ガスを溶解した酸素分離
タンク5内の水は、例えば水面レベルコントロール等の
手段により定期的に排出され、環流又は廃棄されるの
で、この水が酸素分離タンク5内の酸素を外部に持ち出
すことととなる。このため酸素分離タンク5の内圧が徐
々に低下し、酸素分離タンク5と連結された電解セル1
内の陽極室Dの内圧も徐々に低下する。この結果、固体
電解質膜ユニット10の右左(つまり陰極室Cと陽極室
D)に圧力差が生じ、この圧力差が大きくなると固体電
解質膜11を損傷させたり、固体電解質膜11の劣化を
促進し寿命を短くしてしまうおそれがある。
【0016】なお、酸素分離タンク5から排出された水
を廃棄せずに純水タンク60に環流させて再利用するタ
イプの水素・酸素発生装置(図5に示したタイプ)であ
っても、低電流負荷率で運転された場合に酸素分離タン
ク5の内圧が低下することは避けられない。すなわち、
このタイプの水素・酸素発生装置においては純水タンク
60は大気と連通されておりこの純水タンク60の内圧
は大気圧となっているため、加圧状態でかつ酸素ガスが
多量に溶解した環流水がこの純水タンク60内に移動さ
せられると、圧力低下によってこの水が酸素ガス過飽和
となり、この過飽和の酸素がガスとして発生して大気中
に放出される。このように大気圧下で平衡状態となった
水が再び加圧されて再利用され、酸素ガス発生量の少な
いガス発生ユニットB内では酸素ガス飽和状態に達せら
れないまま酸素分離タンク5に送られ、この水に酸素分
離タンク5内で酸素ガスが再度溶解する。このサイクル
を繰り返すうちに、このタイプの水素・酸素発生装置に
おいてもやはり酸素ガスの溶解により酸素分離タンク5
内の内圧が徐々に低下し、固体電解質膜ユニット10の
右左で圧力差が生じ、固体電解質膜11を損傷させた
り、固体電解質膜11の劣化を促進し寿命を短くしてし
まうおそれがある。
【0017】本発明は上記した問題に鑑みてなされたも
のであり、低電流で運転された場合でも酸素ガスの発生
効率を低下させることがなく、しかも固体電解質膜ユニ
ット10内の陽極室Dの内圧が低下して陰極室Cと陽極
室Dとで圧力差が生じてしまうことが少なく、従って固
体電解質膜11を損傷させたり劣化させてしまうおそれ
が少ない水素・酸素発生装置を提供することをその目的
とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記した問題を解決する
ため本発明は、純水製造ユニットと、ガス発生ユニット
と、そのガス発生ユニット内に配設される電解セルと、
その電解セル内に配設され略中央に固体電解質膜を備え
た固体電解質膜ユニットとを備えており、固体電解質膜
ユニット内に固体電解質膜を挟んで位置する陰極室と陽
極室とを加圧状態とし、陽極室に純水製造ユニットで製
造された純水を供給して電気分解し、陰極室で水素ガス
を発生させて取り出し、陽極室で酸素ガスを発生させて
この酸素ガスと水とを取り出す水素・酸素発生装置にお
いて、その純水製造ユニットは、その系内が大気から密
閉され、陽極室の内圧と同程度の加圧状態とされその
純水に溶解する酸素ガス量が高水準とされるように構成
されており、 上記ガス発生ユニットから取り出された水
が純水製造ユニットに環流させられるように構成されて
いることを特徴とする水素・酸素発生装置、を提供する
ものである(請求項1)。
【0019】本発明によれば、陽極室の内圧と同程度の
加圧状態とされて溶解する酸素ガス量が高水準に維持さ
れた純水が陽極室に供給されるため、低電流運転時にお
いて陽極室で発生する酸素ガスが少量であっても陽極室
から取り出される水をほぼ飽和状態とすることができ
る。従って低電流運転時でも酸素分離タンク内で水に溶
解する酸素ガスの量を抑えることができ、酸素分離タン
ク及び固体電解質ユニットの陽極室の内圧の低下を抑え
ることができる。このため、酸素ガスの発生効率低下を
防ぐとともに固体電解質膜の損傷や劣化を防止すること
が可能となる。
【0020】本発明において純水製造ユニットで製造さ
れる純水を陽極室の内圧と同程度の加圧状態としてその
純水に溶解する酸素ガス量を高水準に維持するには、純
水製造ユニットの系内を大気から密閉されたものとすれ
ばよい(請求項2)。こうすれば、純水製造ユニットで
製造される水を容易に加圧状態でかつ溶解する酸素ガス
量が高水準なものとすることができる。具体的には、従
来大気と連通されていた純水タンクを大気から密閉され
たものとし、純水タンクに蓄えられる水を加圧状態とす
ればよい。また、純水タンクを設けないことにより純水
製造ユニットの系内を大気から密閉されたものとしても
よい。
【0021】ガス発生ユニットから取り出された水を純
水製造ユニットに環流させて再利用するタイプの水素・
酸素発生装置の場合、ガス発生ユニットから取り出され
る環流水は加圧状態でしかも溶解する酸素ガスの量が高
水準であるため、この加圧状態と溶解する酸素ガス量の
水準とが維持されたまま環流水が再利用されるように純
水製造ユニットを構成すればよい(請求項3)。こうす
れば、新たな加圧手段を設けなくとも製造される純水を
加圧状態でかつ溶解する酸素ガス量が高水準なものとす
ることができ、効率的である。具体的には、上記と同様
純水タンクを大気から密閉されたものとしたり、純水タ
ンクを設けないことにより純水製造ユニットの系内を大
気から密閉されたものとすればよい。
【0022】上記のように、陽極室から取り出され酸素
ガスと分離された水は廃棄させられる場合と再利用され
る場合がある。この水が廃棄される場合は大量の補給水
を純水製造ユニットに補給する必要がある。また、この
水が再利用される場合でも、電気分解に用いられた量に
相当する水を純水製造ユニットに補給する必要がある。
このように補給水を補給する場合、補給水をあらかじめ
加圧状態でかつ高水準な酸素ガス溶解量のものとしてか
ら補給し得るような水補給ユニットを設けるのが好まし
い(請求項4)。これにより、純水製造ユニットで製造
される純水を容易に加圧状態で高水準の酸素ガス溶解量
とすることができる。陽極室から取り出されて酸素ガス
と分離された水が廃棄されるタイプの水素・酸素発生装
置においては多量の補給水が純水製造ユニットに補給さ
れるので、水補給ユニットで補給水を加圧することが特
に好ましい。
【0023】なお、後述のように高純度のガスを効率よ
く取り出すために固体電解質膜を固体高分子電解質膜と
することが好ましいが、この固体高分子電解質膜は高分
子であるが故に強度が充分でないため、陰極室と陽極室
との圧力差を低減できる本発明を適用することにより、
顕著にその寿命を延ばすことが可能となる(請求項
5)。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明を
詳説する。
【0025】図1は本発明の水素・酸素発生装置の一実
施形態を表す経路図である。本水素・酸素発生装置は主
として純水製造ユニットAとガス発生ユニットBとから
構成される。ガス発生ユニットBの構成は、図5に示し
た従来の水素・酸素発生装置のガス発生ユニットと同様
であり、例えば図3に示したような電解セル1が用いら
れる。純水製造ユニットAは、図5に示した従来の純水
製造ユニットの純水タンク60を大気から密閉された純
水タンク6に置き換えることにより純水製造ユニットA
の系内を大気から密閉したものである。
【0026】酸素分離タンク5から排出された水は陽極
室Dと同程度の加圧状態であり、その酸素ガス溶解量は
高水準なものである。この水が環流経路2を通じて純水
タンク6に環流させられる。純水タンク6は上記のよう
に大気から密閉されているため、環流水は加圧状態と高
水準の酸素ガス溶解量を維持したまま純水タンク6内に
蓄えられる。そしてこの加圧状態でかつ酸素ガス溶解量
が高水準である水が、ポンプ7により熱交換ユニット8
とイオン交換器9とを経て電解セル1の陽極室D(図3
参照)に供給される。
【0027】電解セル1に通電される電流の電流負荷率
が小さくて固体電解質膜ユニット10の陽極室Dで発生
する酸素ガスの量が少量であるときでも、ここに供給さ
れる純水に溶解する酸素ガス量は上記のようにもともと
高水準であるため、陽極室Dから取り出されて酸素分離
タンク5に蓄えられる水はほぼ酸素ガス飽和状態とな
る。従って酸素分離タンク5内で水に溶解する酸素ガス
の量を抑えることができ、酸素分離タンク5及び固体電
解質膜ユニット10の陽極室Dの内圧低下を抑えること
ができる。この結果、低電流負荷率での運転時でも酸素
ガスの発生効率低下を防ぐことができるとともに、固体
電解質膜11の損傷や劣化を防止することが可能とな
る。
【0028】このように、本水素・酸素発生装置では環
流水の加圧状態と溶解する酸素ガス量とをそのまま維持
させているので、新たな加圧手段等が不必要であり、低
コストで効率的な運転を行うことができる。
【0029】なお、このように陽極室Dから取り出され
た水を再利用するタイプの水素・酸素発生装置であって
も、電気分解によって消費された量に相当する水は系内
に補給される必要がある。図1に示した水素・酸素発生
装置では、水補給ユニット((図示せず)から水補給経
路3を通じて純水タンク6に補給水が補給される。この
水補給ユニットにおいて、補給水をあらかじめ陽極室D
と同程度の加圧状態でかつ溶解する酸素ガス量を高水準
とすることが好ましい。これにより、純水タンク6内で
補給水と環流水とが混合された水の酸素ガス溶解度の低
下を防ぐことができる。
【0030】本水素・酸素発生装置において、陽極室D
から取り出されて酸素ガスと分離された水を環流させず
に廃棄してもよい。この場合、純水製造ユニットAにお
いては補給された補給水のみから純水が製造されること
となる。従って、この補給水をあらかじめ陽極室Dと同
程度の加圧状態でかつ溶解する酸素ガス量を高水準なも
のとすることが特に好ましい。これにより、純水製造ユ
ニットA内には水に溶解する酸素ガス量を高める手段を
設ける必要がなくなる。もちろん、補給水を加圧状態で
かつ溶解する酸素ガス量を高水準なものとせずとも、純
水タンク6内で補給水と空気又は酸素ガス(好ましくは
酸素ガス)とを一緒に存在させてこの純水タンク6の内
圧を高めること等により、水に溶解する酸素ガス量を高
めても良い。
【0031】なお、純水製造ユニットAで製造され陽極
室Dに供給される純水に溶解する酸素ガス量は陽極室内
圧と同圧のもとで飽和状態であるのが理想であるが、そ
れに近い状態であってもよく、本発明ではこの飽和状態
かそれに近い状態をもって「「溶解する酸素ガス量が高
水準」な状態としている。一般的には、陽極室の内圧と
同圧のもとでの酸素ガス溶解量が飽和状態の溶解量の7
0%以上となるように加圧状態を制御して運転を行えば
よい。
【0032】図1に示した水素・酸素発生装置では、水
補給経路3を通じて純水タンク6に補給水を補給してい
るが、補給経路3の位置はここには限られない。例えば
純水タンク6の上流、純水タンク6とポンプ7との間、
ポンプ7と熱交換ユニット8との間、熱交換ユニット8
とイオン交換器9との間、イオン交換器9の下流等に水
補給経路を設けても良い。また、この水素・酸素発生装
置において純水タンク6、ポンプ7、熱交換ユニット
8、イオン交換器9、水素分離タンク4又は酸素分離タ
ンク5が省略されることもある。また、本水素・酸素発
生装置では純水製造ユニットAの経路内を加圧状態の水
が通過するため、純水製造ユニットAを構成する純水タ
ンク6、ポンプ7、熱交換ユニット8、イオン交換器9
等を耐圧性に優れるものとするのが好ましい。
【0033】本水素・酸素発生装置の電解セル1に用い
られる固体電解質膜11としては、固体高分子電解質を
膜状に成形したものの両面に貴金属、特に白金族金属か
らなる多孔質層を化学的に無電解メッキによって形成し
た固体高分子電解質膜を使用するのが好ましい。前記固
体高分子電解質膜としては、カチオン交換膜(フッ素樹
脂系スルフォン酸カチオン交換膜であり、例えばデュポ
ン社製「ナフィオン117」)が好ましい。また、この
場合前記多孔質メッキ層としては白金族金属のうち白金
が好ましく、特に白金とイリジウムとからなる二層構造
とすれば、80゜Cにおいて200A/dm2の高電流
密度で四年間の長期にわたって電気分解をすることが可
能である。なお、前記イリジウムの他に、二種類以上の
白金族金属をメッキした多層構造の固体電解質膜11も
使用することができる。ちなみに例えば電極を物理的に
イオン交換膜に接触させた構造の固体電解質膜11で
は、その電流密度は50〜70A/dm2程度でしかな
い。
【0034】また、以上のごとく構成された固体電解質
膜11では固体高分子電解質と多孔質メッキ層との間に
は水は存在しないので、溶液抵抗やガス抵抗を少なくす
ることができる。従って、固体高分子電解質と両多孔質
メッキ層との間の接触抵抗を低くすることができ、電圧
降下を少なくでき、電流分布を均一とできる。その結
果、高電流密度化、高温水電解、高圧水電解が可能とな
り、高純度の水素ガス及び酸素ガスを効率よく得ること
が可能となる。
【0035】なお、固体電解質膜11として上記した固
体高分子電解質膜の他に、例えばセラミック膜等の他の
固体電解質膜11を使用することも可能である。
【0036】本水素・酸素発生装置の電解セル1は図3
に示すように複数個の固体電解質膜ユニット10を積層
させたものであるが、積層させる固体電解質膜ユニット
10の数は、必要とされるガス発生量等に応じて1又は
2以上の任意の積層数から適宜選択される。
【0037】図2には本発明の水素・酸素発生装置の他
の実施形態の経路図が表されている。この水素・酸素発
生装置は図5に示した従来の水素・酸素発生装置から大
気と連通している純水タンク60を取り除いたものであ
る。従って純水製造ユニットAの系内が大気から密閉さ
れている。
【0038】酸素分離タンク5から排出された水は陽極
室Dと同程度の加圧状態であり、溶解する酸素ガス量は
高水準なものである。この水が環流経路2を通じて純水
製造ユニットAに環流させられる。純水製造ユニットA
の系内は上記のように大気から密閉されているため、環
流水は加圧状態と高水準の酸素ガス溶解量とを維持した
ままポンプ7により熱交換ユニット8とイオン交換器9
とを経て電解セル1の陽極室Dに供給される。
【0039】電解セル1に通電される電流の電流負荷率
が小さくて固体電解質膜ユニット10の陽極室Dで発生
する酸素ガスの量が少量であるときでも、ここに供給さ
れる純水に溶解する酸素ガス量は上記のようにもともと
高水準であるため、陽極室Dから取り出されて酸素分離
タンク5に蓄えられる水はほぼ酸素ガス飽和状態とな
る。従って酸素分離タンク5内で水に溶解する酸素ガス
の量を抑えることができ、酸素分離タンク5及び固体電
解質膜ユニット10の陽極室Dの内圧低下を抑えること
ができる。この結果、低電流負荷率での運転時でも酸素
ガスの発生効率低下を防ぐことができるとともに、固体
電解質膜の損傷や劣化を防止することが可能となる。
【0040】このように、本水素・酸素発生装置では環
流水の加圧状態と溶解する酸素ガス量とをそのまま維持
させているので、新たな加圧手段等が不必要であり、低
コストで効率的な運転を行うことができる。また、本水
素・酸素発生装置では図1に示された水素・酸素発生装
置のような純水タンク6が設けられておらず、しかもこ
れに付随するバルブ、センサー等も不要となるので、水
素・酸素発生装置のコンパクト化を図ることができる。
さらに、純水タンク6を省略することにより、制御の簡
素化を図ることもできる。
【0041】なお、このように陽極室Dから取り出され
た水を再利用するタイプの水素・酸素発生装置であって
も、電気分解によって消費された量に相当する水は系内
に補給される必要がある。図2に示した水素・酸素発生
装置では、水補給ユニット((図示せず)から水補給経
路3を通じて純水製造ユニットAに補給水が補給され
る。この水補給ユニットにおいて、補給される補給水を
あらかじめ陽極室Dと同程度の加圧状態でかつ溶解する
酸素ガス量が高水準なものとすることが好ましい。これ
により、純水製造ユニットAで補給水と環流水とが混合
された水の酸素ガス溶解度の低下を防ぐことができる。
【0042】本水素・酸素発生装置において陽極室Dか
ら取り出され酸素ガスと分離された水を環流させずに廃
棄してもよい。この場合は純水製造ユニットAにおいて
補給水のみから純水が製造されることとなる。従って、
補給水をあらかじめ陽極室Dと同程度の加圧状態でかつ
溶解する酸素ガス量が高水準なものとすることが必要で
ある。なお、補給水の酸素ガス溶解量を高水準なものと
せずとも純水製造ユニットAの経路内のいずれかにタン
クを設け、ここで水と空気又は酸素ガス(好ましくは酸
素ガス)とを一緒に存在させてこのタンクの内圧を高め
ること等により、水に多量の酸素ガスを溶解させても良
い。
【0043】この水素・酸素発生装置においても、純水
タンク6、ポンプ7、熱交換ユニット8、イオン交換器
9、水素分離タンク4又は酸素分離タンク5が省略され
ることがある。端的には、環流経路2のみから純水製造
ユニットAを構成し、酸素分離タンク5から排出された
水をそのまま電解セル1に供給してもよい。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば低
電流で運転された場合でも酸素ガスの発生効率を低下さ
せることがなく、しかも固体電解質膜ユニット内の陽極
室の内圧が低下して固体電解質膜ユニットの陰極室と陽
極室とで圧力差が生じてしまうことが少なく、従って固
体電解質膜を損傷させたり劣化により寿命を低下させた
りするおそれが少ない水素・酸素発生装置を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる水素・酸素発生装
置を表す経路図である。
【図2】本発明の他の実施形態にかかる水素・酸素発生
装置を表す経路図である。
【図3】図1及び図2の水素・酸素発生装置に用いられ
る電解セルの一例を示す断面図である。
【図4】図3に示された電解セルの固体電解質膜ユニッ
トの分解された断面図である。
【図5】従来の水素・酸素発生装置を表す経路図であ
る。
【符号の説明】
1・・・電解セル 2・・・環流経路 3・・・水補給経路 4・・・水素分離タンク 5・・・酸素分離タンク 6、60・・・純水タンク 7・・・ポンプ 8・・・熱交換ユニット 9・・・イオン交換器 10・・・固体電解質膜ユニット 11・・・固体電解質膜 12・・・多孔質給電体 13・・・複極式電極板 14・・・純水供給経路 15・・・水素取出経路 16・・・酸素取出経路 17・・・端部電極板 18・・・陰極側 19・・・陽極側 20・・・スクラバー A・・・純水製造ユニット B・・・ガス発生ユニット C・・・陰極室 D・・・陽極室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 宏子 兵庫県神戸市長田区名倉町5丁目8番11 号 (72)発明者 森岡 輝行 兵庫県加古川市平岡町土山934−4 (56)参考文献 特開 平8−239789(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25B 1/00 - 15/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 純水製造ユニットと、 ガス発生ユニットと、 そのガス発生ユニット内に配設される電解セルと、 その電解セル内に配設され略中央に固体電解質膜を備え
    た固体電解質膜ユニットとを備えており、 固体電解質膜ユニット内に固体電解質膜を挟んで位置す
    る陰極室と陽極室とを加圧状態とし、陽極室に純水製造
    ユニットで製造された純水を供給して電気分解し、陰極
    室で水素ガスを発生させて取り出し、陽極室で酸素ガス
    を発生させてこの酸素ガスと水とを取り出す水素・酸素
    発生装置において、 その純水製造ユニットは、その系内が大気から密閉さ
    れ、陽極室の内圧と同程度の加圧状態とされその純水
    に溶解する酸素ガス量が高水準とされるように構成され
    おり、 上記ガス発生ユニットから取り出された加圧状態の水が
    純水製造ユニットに環流させられるように構成されて
    ることを特徴とする水素・酸素発生装置。
  2. 【請求項2】 製造される純水を陽極室の内圧と同程度
    の加圧状態とし得るように、上記純水製造ユニットの系
    内が大気から密閉されている請求項1に記載の水素・酸
    素発生装置。
  3. 【請求項3】 上記ガス発生ユニットから取り出された
    加圧状態でかつ溶解する酸素ガス量が高水準の水が純水
    製造ユニットに環流させられ、その水の加圧状態と溶解
    する酸素ガス量とが維持されたまま再利用されるように
    構成されている請求項1又は2に記載の水素・酸素発生
    装置。
  4. 【請求項4】 上記陽極室の内圧と同程度の加圧状態と
    され溶解する酸素ガス量が高水準とされた補給水が純水
    製造ユニットに補給されるように構成された水補給ユニ
    ットをさらに備えた請求項1から3のいずれかに記載の
    水素・酸素発生装置。
  5. 【請求項5】 上記固体電解質膜が固体高分子電解質膜
    である請求項1から4のいずれかに記載の水素・酸素発
    生装置。
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