JP3228730B2

JP3228730B2 - 装飾用銀合金

Info

Publication number: JP3228730B2
Application number: JP21593099A
Authority: JP
Inventors: 孝典西原
Original assignee: Kyocera Corp
Current assignee: Kyocera Corp
Priority date: 1999-07-29
Filing date: 1999-07-29
Publication date: 2001-11-12
Anticipated expiration: 2019-07-29
Also published as: JP2001040438A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は銀合金に関し、特に
装飾部材、時計部品、メガネ部品などに好適に用いるこ
とができる装飾用銀合金に関する。

【０００２】

【従来の技術】銀や銀合金は古くから装飾部材として広
く用いられている。銀合金の代表的なものは、銀９２．
５ｗｔ％−銅合金（スターリングシルバー）であり、ほ
かに装飾材料としては銀８０ｗｔ％以上の合金が使用さ
れ、銀９０ｗｔ％−銅合金（コインシルバー）や銀９
５．８ｗｔ％−銅合金（ブリタニアシルバー）もある。

【０００３】銀は平常の状態では酸素とは反応しない
が、硫化ガスや亜硫酸ガスとは容易に反応し、その表面
に硫化銀の黒色被膜を生成して装飾効果を減じてしま
う。

【０００４】このような硫化を防止するために、その表
面に強く結合する有機化合物を塗布したり、金もしくは
ロジウムメッキを施したり、合金化することが行われて
いる。

【０００５】銀に銅を合金化すると、銅１４ｗｔ％くら
いまでは、白色で機械的性質を向上させることができ、
且つ融点も下がることから、鋳造性も向上するが、耐硫
化性を改善することはできず、耐蝕性は悪くなる。これ
は銀への銅の固溶限を越えて２相共晶になり、局部電池
化して変色するためである。

【０００６】耐硫化性を改善する銀合金としては、銀−
パラジウム、銀−白金、銀−金が知られている。この銀
合金において、銀の硫化を完全に防止するためには、パ
ラジウム４０ｗｔ％、白金６０ｗｔ％、金７０ｗｔ％以
上添加する必要があり、コストが高くなったり、融点が
高くなって鋳造性が悪くなる。

【０００７】一方、近時は、装飾用の貴金属材料でも多
様な色彩のものが求められている。金では黄色系のもの
やピンク系のものが市場で受け入れられているが、装飾
用の銀合金でも同様に多様な色彩のものが求められてい
る。

【０００８】本発明者はこのような状況に鑑みて鋭意研
究を重ねた結果、銀に銅を添加し、２相共晶組成であり
ながらさらに貴金属（パラジウム、白金）を添加すれ
ば、生活状況に置いて局部電池化を防止することができ
るピンク系の装飾用銀合金が得られることを知見した。

【０００９】したがって、本発明はこのような知見に基
づいてなされたものであり、ピンク系の色彩を呈し、生
活状況に置いて局部電池化を防止することができる装飾
用銀合金を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１に係る装飾用銀合金は、銅（Ｃｕ）を１２
ｗｔ％〜４８ｗｔ％、パラジウム（Ｐｄ）を３ｗｔ％〜
２０ｗｔ％、さらに１０ｗｔ％までのプラチナ（Ｐｔ）
を含み、残部が銀（Ａｇ）及び不可避的不純物からな
る。

【００１１】上記成分のうち、銀は主成分であり、銅は
ピンク系の色彩を付与するための成分であり、パラジウ
ム、プラチナは生活状況に置いて局部電池化を防止する
ための成分である。さらにプラチナは耐硫化特性を向上
させる効果がある。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、請求項１に係る発明の実施
形態を詳細に説明する。請求項１に係る発明では、銅
（Ｃｕ）を１２ｗｔ％〜４８ｗｔ％、パラジウム（Ｐ
ｄ）を３ｗｔ％〜２０ｗｔ％、さらに１０ｗｔ％までの
プラチナ（Ｐｔ）を含み、残部が銀（Ａｇ）及び不可避
的不純物からなる組成範囲となるように設定する。

【００１３】上記組成範囲とするために、銀は主成分と
して４０ｗｔ％〜８５ｗｔ％の範囲で添加される。銅は
１２ｗｔ％〜４８ｗｔ％の範囲で添加される。この銅が
１２ｗｔ％以下の場合は銀の白色が強くなり、ピンク系
の色彩が出ない。また、４８ｗｔ％以上であるとパラジ
ウムの最低添加量が３ｗｔ％であるため銅が主成分とな
ってしまう。

【００１４】また、パラジウムは３ｗｔ％〜２０ｗｔ％
の範囲で添加される。このパラジウムが３ｗｔ％以下の
場合は、生活状況に置いて局部電池化を防止できず、耐
蝕性が得られない。また、２０ｗｔ％以上であると、ピ
ンク系の色彩が出ない。

【００１５】上述の基本組成に１０ｗｔ％までのプラチ
ナが添加される。プラチナは局部電池化を抑制するばか
りではなく、プラチナを添加すると耐硫化性が向上す
る。ただし、プラチナを１０ｗｔ％以上添加するとピン
クの発色がなくなってしまう。

【００１６】残部は銀であるが、必ず銀が主成分となる
ようにする。

【００１７】本発明に係る装飾用銀合金は、例えば従来
から周知のロストワックス法などの鋳造工程を経て、指
輪、ペンダント、ネックレス、ピアスなどの装飾部材に
加工される。

【００１８】

【実施例】銀と銅とパラジウムとプラチナの添加量を種
々変更して、色と硬度と耐蝕性を調べた。その結果を表
１に示す。

【００１９】色は、原料を調合して約１０００℃の温度
で溶解した後に鋳造して地金を作成し、この地金をバフ
研磨した後にスターリングシルバーと比較してピンク色
の発色があるか否かを肉眼で評価したものであり、スタ
ーリングシルバーに比較してピンクの発色があったもの
に○印を、またピンク色の発色がなかったものには×印
を付した。

【００２０】硬度の評価はマイクロビッカース硬度計で
測定した。また、耐蝕性の評価は、原料を調合して１０
００℃の温度で溶解した後に甲丸リングに鋳造し、この
リングをバフ研磨した後に複数の試験者が指にはめて１
ケ月間の日常生活を行い、変色の有無を肉眼で調べで評
価したものであり、１ケ月間の日常生活で変色や黒色化
が全くないものには二重白丸を、ほとんどないものに
○、変色や黒色化があったものには×印を付した。

【００２１】

【表１】

【００２２】表１から明らかなように、銀の範囲は資料
Ｎｏ．１〜１１をみると４０ｗｔ％〜８５ｗｔ％でよい
ことがわかる。すなわち、Ｎｏ．１、２をみると３９．
５ｗｔ％が発色不良であり、４０ｗｔ％でないと発色が
でない。同様にＮｏ．１０、１１をみると８５ｗｔ％で
は発色は良好であるが、８６ｗｔ％では発色不良であ
る。

【００２３】銅の範囲も資料Ｎｏ．１〜１１をみると１
２ｗｔ％〜４８ｗｔ％であることがわかる。すなわち、
Ｎｏ．１０、１１をみると１２ｗｔ％では発色は良好で
あるが、１１ｗｔ％では発色不良である。同様にＮｏ．
４をみると４８ｗｔ％まで発色は良好である。これ以上
の添加は銅が主成分となるために、限度であることがわ
かる。

【００２４】パラジウムの範囲も資料Ｎｏ．１〜１１の
ように３ｗｔ％〜２０ｗｔ％であることがわかる。すな
わち、Ｎｏ．４、５をみると最低添加量は３ｗｔ％必要
であることがわかる。また、Ｎｏ．１２をみると最大添
加量は２０ｗｔ％になる。これ以上の添加はピンクに発
色しない。

【００２５】プラチナの範囲は資料Ｎｏ．１２〜１６を
見ると１０ｗｔ％までであることがわかる。すなわち、
プラチナを添加すると耐硫化性が向上することがわかっ
た。ただし、１０ｗｔ％を越えるとピンク色を失う。

【００２６】

【発明の効果】以上のように、請求項１に係る装飾用銀
合金によれば、銅（Ｃｕ）を１２ｗｔ％〜４８ｗｔ％、
パラジウム（Ｐｄ）を３ｗｔ％〜２０ｗｔ％、さらに１
０ｗｔ％までのプラチナ（Ｐｔ）を含み、残部が銀（Ａ
ｇ）及び不可避的不純物からなる組成範囲に設定したこ
とから、生活状況に置いて局部電池化を防止した耐蝕性
の良好なピンク系の装飾用銀合金が得られる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) C22C 5/06 A44C

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】銅（Ｃｕ）を１２ｗｔ％〜４８ｗｔ％、
パラジウム（Ｐｄ）を３ｗｔ％〜２０ｗｔ％、さらに１
０ｗｔ％までのプラチナ（Ｐｔ）を含み、残部が銀（Ａ
ｇ）及び不可避的不純物からなる装飾用銀合金。