JP3227097U - パン製品用保存袋 - Google Patents

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岳尚 岡村
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【課題】抗菌剤を使用せずに一般生菌の発生を抑制し、解凍後にもおいしい安心で安全なパン製品を提供するためのパン製品用の保存袋を提供する。【解決手段】パン製品の投入口2となる一か所を除いて周囲が密閉3してある、厚さが25μm以下で延伸倍率が縦横ともに2倍以上であるポリエステル・フィルム製のパン製品用保存袋1であって、水蒸気を適度に透過し、匂いの通過を遮断し保香性を持つ。【選択図】図1

Description

本考案は、パン製品の保存の際に使用する袋に関するものである。
家庭などにおいてパン製品を常温や冷凍で保存する際に、一般的に市販のポリエチレン・フィルム製の袋や冷凍保存用の袋、食品包装用のラップフィルムなどを使用する場合が多く、常温で保存する場合は、カビの増殖の抑制が難しく数日間で発現してくるため、カビの増殖の抑制が期待できる保存袋として、抗菌剤を練り込み、あるいは、コーティングしたフィルムを使用した袋があるが、この袋では、抗菌剤とパン製品との接触や抗菌剤の脱落によるパン製品の汚染が懸念され、パンの生産者や取扱関係者、消費者などからは、安心して安全なパンを提供するために使用できる抗菌剤を使用せずにカビの増殖を抑制できるパン製品用の保存袋の提供が望まれていた。
また、冷凍で保存する場合は、他の食品の匂い移りや水っぽさによるおいしさの半減などに関しての不満が多かったため、冷凍保存中に発生する霜の付着を少なくし、他の食品の匂いが移りにくい機能を有するパン製品用の保存袋の提供が望まれていた。
本考案の課題は、抗菌剤を添加あるいは塗布したポリエチレン・フィルム製の袋を使用せずに一般生菌の増殖を抑制し、また、冷凍保存における解凍時の霜に起因する水っぽさや他の食品の匂い移りが少なく、保香によるパン製品のおいしさを維持することができるパン製品用の保存袋を提供することにある。
食品衛生法および衛生規範における微生物規格基準では、調理パンやパン類であるパン製品に付着している一般生菌数が規定されている。
一般生菌の主な増殖要因は、時間、温度、pH、酸素濃度、水分活性(食品中の自由水の割合)であり、これらの条件を制御することにより一般生菌の増殖を抑制することが可能となる。食中毒菌や腐敗の原因となる一般生菌は、活動できる温度では放置時間が長いほど増殖し、pHは6〜7.5の中性付近が増殖に最適であり、一般生菌を取り巻く環境の酸素濃度が高いと増殖し易く、また、自由水と呼ばれるパン製品に付着している水やパンなどに含まれている水を利用して増殖する。
現在、食品を単に包装するだけでなく、少しでも長く保存あるいは鮮度を保つ目的で各種の袋が提供されており、その一つとして袋内の水分を低減する目的で細かい穴をあけた穴あき袋がある。当該穴あき袋を使用すると必要以上の水分の蒸発によりパン製品が乾燥し過ぎる場合があるだけでなく、一般生菌の増殖に必要な酸素が外部より十分に供給されるため、一般生菌増殖の抑制には効果が少なかった。また、一般生菌の増殖を抑制するために抗菌剤を練り込んだフィルムやコーティングしたフィルムを使用した各種の袋が提供されているが、この袋を使用することに関しては、パン製品と抗菌剤が接触することによる抗菌剤のパン製品への移行や脱落した抗菌剤のパン製品への付着による安全性レベルの低下を懸念する考えがある。
従って、本考案は、抗菌剤を使用せずに、一般生菌の増殖に関係する主な条件である酸素濃度と水分活性に注目して、パン製品が置かれている雰囲気の酸素濃度を低くすること、および、自由水の量を下げることにより一般生菌の増殖を抑制し、冷凍保存時の霜の発生を極力抑えることでおいしさを維持するパン製品用の保存袋を得るに至った。
上記本考案は、一般的に食品包装用の袋として使用されているポリエチレン・フィルム製の袋に比べ、酸素透過のバリア性が高く、かつ、水蒸気透過性の高いフィルムを使用した袋であり、外部からの酸素の浸透を妨げ、また、調理パンに挟んである生野菜やサラダなど具の水分やパン自身に含まれている余分な水分を水蒸気として当該袋から放出することで自由水を低下させることで一般生菌の増殖を抑制でき、また、冷凍で保存する場合にも、霜の発生を低減し他の食品の匂い移りが抑制され、パンの香りを保ち、解凍して食べてもおいしさを維持できる。
従って、本考案のパン製品保存袋にてパン製品を保存することにより、一般生菌の増殖が抑制された、パン製品と抗菌剤との接触がなく、安全性の高い、おいしいパン製品を提供することができる。
図1は、本考案のパン製品用保存袋の模式図である。 図2は、本考案の図1とは別の例としての三角形のパン製品用保存袋の模式図である。 図3は、本考案の図1とは別の例としてのマチ付き形のパン製品用保存袋の模式図である。
以下、更に添付図面を参照し、前述パン製品用保存袋の具体的実施形態について説明する。
図1において、1は一般的な四角形の形状をしたパン製品用保存袋であり、2は投入口、3は密閉部である。
図2において、1は三角形の形状をしたパン製品用保存袋であり、2は投入口、3は密閉部を示している。
図3において、1はマチ付きの形状をしたパン製品用保存袋であり、2は投入口、3は密閉部を示している。
厚さ13μmの延伸倍率が縦横ともに2倍以上のポリエステル製フィルムを用い、開口部である食品の投入口2を除く他の縁を超音波シール機で溶断して密閉部3として、図1の形状の投入口2が22cm、深さが31cmのパン製品用保存袋1を作成した。
高知県工業試験センターで前述のパン製品用保存袋1とポリエチレン・フィルム製の袋での食パンの常温保存試験を行った。
パン製品用保存袋1に、量販店で購入した食パン一枚を入れた後、投入口2を閉め空調で温度管理された室内(室温22〜24℃、湿度29〜35%)で、14日間保存した後の真菌数を測定したところ真菌数は190個/gであった。また、厚み20μmのポリエチレン・フィルム製の食品包装用の袋に前述の食パン一枚を入れ、パン製品用保存袋1と同時に同様の試験を行った結果、真菌数は96,000個/gであり、食パン表面には緑色のカビが大量に繁殖していた。
なお、試験開始日の食パンの表面については、培地上に真菌数が検出されなかった。
前述のパン製品用保存袋1とポリエチレン・フィルム製の袋での食パンの冷凍保存試験を行った。
パン製品用保存袋1と厚み20μmのポリエチレン・フィルム製の袋に食パン一枚を入れ、各々8袋を冷凍庫に入れ、1カ月間保存した後、解凍して実食し、パンの味に関して評価した結果を以下の表1に示す。なお、評価は、8人で行った。
Figure 0003227097
前述の試験結果より、常温で保存した場合の一般生菌の増殖率は、ポリエチレン・フィルム製の袋に比べパン製品用保存袋1が500分の1以下であり、非常に高い一般生菌増殖の抑制効果を発揮しており、食品衛生法によると調理パンやパン類における一般生菌数は300万個/g以下との基準も十分に満たしている。また、冷凍で保存した場合でも、パンの香りが高く、おいしいパンの味が維持できている。
本考案のパン製品用保存袋1は、厚みが25μm以下で延伸倍率が縦横ともに2倍以上のポリエステル製フィルムで、パン製品の投入口2を除く他の縁を空気の流通が無い様に当該フィルムを折り畳むことや超音波加工などでフィルム同士を溶着することにより密閉部3とした形態となっており、当該パン製品用保存袋1をパン製品の保存用に使用することにより、ポリエチレン・フィルム製あるいは抗菌剤を使用したフィルム製の食品包装用の袋を使用した場合より、安心で安全性の高い状態で、一般生菌の増殖を抑制した、冷凍してもおいしく味わえるパン製品を提供することができる。
1 パン製品用保存袋
2 投入口
3 密閉部

Claims (1)

  1. パン製品の投入口となる一か所を除いて周囲が密閉してある、厚さが25μm以下で延伸倍率が縦横ともに2倍以上であるポリエステル・フィルム製のパン製品用保存袋。
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