JP3226191B2 - エアグロメット - Google Patents

エアグロメット

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JP3226191B2
JP3226191B2 JP26776493A JP26776493A JP3226191B2 JP 3226191 B2 JP3226191 B2 JP 3226191B2 JP 26776493 A JP26776493 A JP 26776493A JP 26776493 A JP26776493 A JP 26776493A JP 3226191 B2 JP3226191 B2 JP 3226191B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両パネルの開口部に
装着して開口部とワイヤーハーネスの接触、水の浸入等
を防止するグロメットに関し、更に詳しくは、開口部へ
の装着を容易にする構造に関する。
【0002】
【従来の技術】車両パネルの開口部(パネル孔)には、
これに挿通されるワイヤーハーネスとの間をシール、遮
音、電気絶縁するため、弾性材から成るグロメットが装
着される。図は従来のグロメットの半断面図である。
この種のグロメット1は、大径側のパネル嵌合部3と小
径側のワイヤーハーネス挿通部5とを有する漏斗状の弾
性ゴム体であり、このパネル嵌合部3に外周には、車両
側のパネル孔7aに嵌合する環状のパネル嵌合溝9が形
成されている。パネル嵌合部3は剛性が高まるように肉
厚が厚く形成され、パネル7に対する固定力が向上され
るようになっている。
【0003】このように構成されたグロメット1をパネ
ル7に装着するには、先ず、小径側のワイヤーハーネス
挿通部5をパネル孔7aに挿入し、このワイヤーハーネ
ス挿通部5を挿入側と反対側から引っ張る。ワイヤーハ
ーネス挿通部5が引っ張られると、パネル嵌合部3の挿
通部3aが弾性変形により縮径され、この部分がパネル
孔7aを通過することで、パネル嵌合溝9がパネル孔7
aに嵌合する。このようにして装着されたグロメット1
は、剛性を有するパネル嵌合部3でパネル孔7aの縁部
を挟持し、パネル7に固定されることで、内周に挿通さ
れる図示しないワイヤーハーネスとパネル孔7aとの間
をシール、遮音、電気絶縁するようになっているのであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のグロメット1
は、パネル7に装着する際、挿入側と反対側からワイヤ
ーハーネス挿通部5を引っ張り、パネル嵌合部3の挿通
部3aを弾性変形により縮径して、パネル嵌合溝9をパ
ネル孔7aに嵌合させていた。しかしながら、挿通部3
aは、パネル孔7aより大きいとともに、パネル7に対
する固定力を持たせるために肉厚を厚くして剛性を高め
ている関係で、引っ張ることによっても容易にパネル孔
7aに入りにくく、作業性が極めて悪いものであった。
また、パネル嵌合部3は、中実且つ肉厚とすることで剛
性を高めているため、重量が重くなる欠点もあった。本
発明は上記状況に鑑みてなされたもので、パネルへの装
着が容易に行えるとともに、剛性を高めるために肉厚を
厚くする必要がないエアグロメットを提供し、もって、
装着時の作業性向上、及び軽量化を図ることを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係るエアグロメットの構成は、漏斗状の弾性
体の大径側にパネル嵌合部が形成されるとともに小径側
にワイヤーハーネス挿通部が形成され、パネル孔に嵌合
する環状のパネル嵌合溝が前記パネル嵌合部の外周に形
成されたグロメットにおいて、前記パネル嵌合溝を挟ん
で対峙し嵌合方向より順次配置される挿入部と当接部と
で前記パネル嵌合部を構成し、気密となった中空部を前
記挿入部の内部に形成し、粘着力を有する弾性材から成
ることで針状の送気管が気密保持状態で刺し抜き自在な
弁体を前記中空部の内壁に接着したことを特徴とするも
のである。また、上記目的を達成するための本発明に係
るエアグロメットの構成は、漏斗状の弾性体の大径側に
パネル嵌合部が形成されるとともに小径側にワイヤーハ
ーネス挿通部が形成され、パネル孔に嵌合する環状のパ
ネル嵌合溝が前記パネル嵌合部の外周に形成されたグロ
メットにおいて、前記パネル嵌合溝を挟んで対峙し嵌合
方向より順次配置される挿入部と当接部とで前記パネル
嵌合部を構成し、気密可能な中空部を前記挿入部の内部
に形成し、前記中空部と連通しかつゴム材又は熱可塑性
材料から成ることで接着又は熱融着して封止可能な空気
注入路を有する弁体を該中空部に設けたことを特徴とす
るものである。
【0006】
【作用】装着時、中空部には内圧が加わっていないた
め、挿入部は柔らかく、ワイヤーハーネス挿通部が引っ
張られると、中空部が凹むことにより挿入部が縮径し、
容易にパネル孔を通過する。パネル孔通過後、挿入部は
弾性力により復元し、当接部とでパネルを挟んだ状態と
なる。この状態で、本発明の一態様は、弁体に送気管が
刺し込まれて中空部に空気が注入されると、中空部の内
圧が上昇し、挿入部は膨張するとともに、外殻が硬くな
り、パネル孔への密着性が向上するとともに、剛性が高
まってパネルへの固定力が高められる。空気注入後、送
気管が抜かれると、粘着力により貫通部分は閉塞され、
中空部は高い内圧のまま気密が保持され、固定力が持続
される。また、挿入部の内部が空洞となるため、中実の
場合に比べて同等部分の重量が軽くなる。また、パネル
嵌合部の内部全体に中空部を形成した構造では、空気が
注入されると、挿入部、パネル嵌合溝、当接部の全てが
膨張し、三方向からパネルに密接することから、パネル
孔への密着性が更に高くなる。また、空洞部の容積が大
きくなり、その分の重量が更に軽くなる。
【0007】
【実施例】以下、本発明に係るエアグロメットの好適な
実施例を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明
エアグロメットの断面図、図2は空気注入時の要部拡大
図、図3は空気注入後の要部拡大図である。グロメット
本体21は、大径側のパネル嵌合部23と小径側のワイ
ヤーハーネス挿通部25とを有する漏斗状の弾性ゴム体
であり、このパネル嵌合部23の外周には、車両側のパ
ネル孔7aに嵌合する環状のパネル嵌合溝29が形成さ
れている。
【0008】パネル嵌合部23は、パネル嵌合溝29を
挟んで対峙する挿入部23aと当接部23bとから構成
されている。挿入部23aは鍔状に突出した膨出部とな
り、パネル孔7aに挿入される側となる。当接部23b
は挿入部23aより大径の鍔状で、挿入側からパネル7
に当接するようになっている。この挿入部23aの内部
には円環状の中空部31が形成され、中空部31は閉塞
されることで気密が保持されている。挿入部23aは、
内部に中空部31が形成されることで柔らかく、外力が
作用した場合、容易に凹むようになっている。また、中
空部31が形成されることで、その部分の重量は、中実
肉厚の従来部分に比べ軽くなっている。
【0009】中空部31の内壁には円柱状の弁体33が
接着され、弁体33は粘着力を有するゴム材から成って
いる。この弁体33は、針状の送気管35(図2参照)
を刺し抜き自在とし、刺し込み時には送気管35に密着
して間隙が生じないようになっている。また、この弁体
33は、刺し込まれた送気管35が引き抜かれた場合、
その弾性力及び粘着力により貫通部分を閉塞し、中空部
31内の気密を保持するようになっている。パネル嵌合
部23、挿入部23a、中空部31、弁体33を主な部
材及び部位として、本実施例に係るエアグロメット37
が構成されている。
【0010】このように構成されたエアグロメット37
の作用を説明する。エアグロメット37をパネル7に装
着する際、中空部31には内圧が加わっていない状態に
して、挿入部23aは柔らかいものとなっている。ワイ
ヤーハーネス挿通部25が引っ張られると、挿入部23
aがパネル7からの反力を受け、中空部31が凹むこと
により挿入部23aが縮径し、極めて容易にパネル孔7
aを通過する。パネル孔7aを通過した挿入部23a
は、弾性力により元の形状に復元し、パネル嵌合溝29
にパネル7を嵌合して、当接部23bとでパネル7を挟
んだ状態となる(図1の状態参照)。
【0011】このよにして、パネル嵌合部23がパネル
7を挟んだ状態で、弁体33に送気管35が刺し込ま
れ、中空部31に所定量の空気が注入されると、中空部
31の内圧が上昇し、この内圧が中空部31の内壁を押
圧する。中空部31の内壁が押圧されることにより、挿
入部23aは僅かに膨張するとともに、外殻が硬くな
り、パネル孔7aへの密着性が向上し、且つ、剛性が高
まってパネル7への固定力が高められることになる。空
気の注入後、送気管35が抜かれると、弁体33の弾性
力及び粘着力により貫通部分は閉塞され、中空部31は
高い内圧の状態で気密が保持され(図3の状態参照)、
パネル孔7aへの固定力が持続されることになるのであ
る。
【0012】上述のエアグロメット37によれば、パネ
ル嵌合部23の挿入部23aに中空部31を形成したの
で、挿入部23aをパネル孔7aへ装着する際、中空部
31を凹ますことにより極めて容易にパネル孔7aに挿
通することができ、パネル7への装着性を著しく向上さ
せることができる。また、中空部31に空気が注入され
ると、中空部31の内圧が上昇し、挿入部23aが膨張
して剛性が高まり、パネル孔7aへの密着性が向上する
とともに、固定力も高くなり、エアグロメット37をパ
ネル7に確実にシールすることができる。更に、挿入部
23aの内部が空洞となるため、重量が軽くなり、防音
効果も期待することができる。
【0013】
【0014】図は別形状の弁体が設けられた他の実施
例の要部拡大図、図は弁体閉塞時の要部拡大図であ
る。この実施例に係るエアグロメット51では、エアグ
ロメット37と同様の中空部31を有するが、円柱状の
弁体53が挿入部23aの外壁に突出して形成されてい
る。この弁体53には空気注入路55が形成され、空気
注入路55は中空部31と連通している。弁体53はゴ
ム材又は熱可塑性材料(エストラマー材等)からなり、
接着又は熱による融着が可能となっている。このエアグ
ロメット51では、空気注入路55から中空部31に空
気が注入された後、弁体53の先端が閉塞される。即
ち、弁体53がゴム材からなる場合には先端が接着さ
れ、熱可塑性材料からなる場合には先端が熱融着されて
へら状になり、空気注入路55が閉塞されることになる
のである(図の状態参照)。このエアグロメット51
によれば、弁体53を容易に形成することができ、製造
コストの低減が図れる。
【0015】なお、上述の実施例では、中空部31に空
気を注入する場合を例に説明したが、中空部31には空
気の他に、例えば水、油等の液体が注入されてもよい。
また、中空部31は、円環形状で形成されるものとした
が、隔壁により二つ以上の空洞部に分割されて形成され
るものであってもよい。このような構造とすることで、
弁体33(53)の数は増えるが、一箇所の亀裂等によ
り中空部全ての内圧が低下し、固定力が低下するのを防
止できる。
【0016】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
るエアグロメットによれば、パネル嵌合部の挿入部に中
空部を形成したので、パネル孔への装着の際、中空部を
凹ますことにより極めて容易にパネル孔へ挿通すること
ができ、パネルへの装着性を著しく向上させることがで
きる。また、挿入部の内部が空洞となるため、重量を軽
くすることができる。この結果、装着時の作業性を著し
く向上させることができるとともに、軽量化を図ること
もできる。また、パネル嵌合部の内部全体に亘って中空
部を形成したエアグロメットによれば、空気が注入され
ると、挿入部、パネル嵌合溝、当接部の全てが膨張し、
パネル孔への密着性が更に高くなるとともに、空洞部の
容積が大きくなり、重量も更に軽くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明エアグロメットの断面図である。
【図2】 図1のエアグロメットの空気注入時の要部拡
大図である。
【図3】 図1のエアグロメットの空気注入後の要部拡
大図である。
【図4】 別形状の弁体が設けられた他の実施例の要部
拡大図である
【図5】 図4のエアグロメットの弁体閉塞時の要部拡
大図である
【図6】 従来のグロメットの半断面図である
【符号の説明】
7a パネル孔 23 パネル嵌合部 23a 挿入部 23b 当接部 25 ワイヤーハーネス挿通部 29 パネル嵌合溝 31 中空部 33 弁体 35 送気管 37 エアグロメット

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 漏斗状の弾性体の大径側にパネル嵌合部
    が形成されるとともに小径側にワイヤーハーネス挿通部
    が形成され、パネル孔に嵌合する環状のパネル嵌合溝が
    前記パネル嵌合部の外周に形成されたグロメットにおい
    て、前記パネル嵌合溝を挟んで対峙し嵌合方向より順次
    配置される挿入部と当接部とで前記パネル嵌合部を構成
    し、気密となった中空部を前記挿入部の内部に形成し、
    粘着力を有する弾性材から成ることで針状の送気管が気
    密保持状態で刺し抜き自在な弁体を前記中空部の内壁に
    接着したことを特徴とするエアグロメット。
  2. 【請求項2】 漏斗状の弾性体の大径側にパネル嵌合部
    が形成されるとともに小径側にワイヤーハーネス挿通部
    が形成され、パネル孔に嵌合する環状のパネル嵌合溝が
    前記パネル嵌合部の外周に形成されたグロメットにおい
    て、前記パネル嵌合溝を挟んで対峙し嵌合方向より順次
    配置される挿入部と当接部とで前記パネル嵌合部を構成
    し、気密可能な中空部を前記挿入部の内部に形成し、前
    記中空部と連通しかつゴム材又は熱可塑性材料から成る
    ことで接着又は熱融着して封止可能な空気注入路を有す
    る弁体を該中空部に設けたことを特徴とするエアグロメ
    ット。
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