JP3221149B2 - 薄膜の熱処理方法 - Google Patents

薄膜の熱処理方法

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JP3221149B2 JP09695793A JP9695793A JP3221149B2 JP 3221149 B2 JP3221149 B2 JP 3221149B2 JP 09695793 A JP09695793 A JP 09695793A JP 9695793 A JP9695793 A JP 9695793A JP 3221149 B2 JP3221149 B2 JP 3221149B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、薄膜の熱処理方法に
関し、特に、光照射により半導体薄膜などの薄膜を熱処
理する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光照射により非晶質または多結晶
のSi薄膜を熱処理して結晶化を行う方法としては、次
のような方法が知られている。
【0003】すなわち、第1の方法は、図7に示すよう
に、基板101上にSi薄膜102を形成した後、この
Si薄膜102にSiに対する吸収係数が大きい波長を
有するレーザー光Lを照射することにより加熱溶融し、
その後これを固化させる方法である。
【0004】また、第2の方法は、図8に示すように、
基板201上にSi薄膜202を形成した後、このSi
薄膜202によっては吸収されないが、基板201によ
って吸収される波長を有するレーザー光LをSi薄膜2
02を通して基板201に照射することによりこの基板
201を加熱し、この基板201からの熱伝導でSi薄
膜202を加熱溶融し、その後これを固化させる方法で
ある。
【0005】さらに、第3の方法は、図9に示すよう
に、基板301上に第1層目のSi薄膜302を形成
し、さらにその上にSiO2 膜303を介して第2層目
のSi薄膜304を形成した後、Si薄膜304の上側
および基板301の下側からレーザー光Lを照射してS
i薄膜302およびSi薄膜304を加熱溶融し、その
後これを固化させる方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
第1の方法では、Si薄膜102の最表層でレーザー光
Lの全エネルギーが吸収されてしまうことから、結晶化
を行うことが可能なSi薄膜102の厚さは制限され、
比較的厚いSi薄膜102の結晶化を行うことは困難で
ある。また、基板101と溶融Siとの間の温度勾配は
非常に急峻になることから、溶融Siの固化速度は非常
に大きくなり、このため固化後に得られる多結晶Si薄
膜の結晶粒径は小さい。
【0007】また、上述の第2の方法では、レーザー光
Lの照射により基板201が高温に加熱されるため、こ
の基板201は高温に耐えられるものに限定され、ガラ
ス基板などの低融点の基板を使用することは困難であ
る。
【0008】さらに、上述の第3の方法では、基板30
1を通して第1層目のSi薄膜302にレーザー光Lを
照射するため、基板301はレーザー光Lに対して透明
なものに限定されてしまう。また、例えば基板301と
第1層目のSi薄膜302との間に金属から成るパター
ンが形成されている場合には、このパターンにより基板
301の下側から照射されるレーザー光Lが反射されて
しまうため、この方法を用いることは困難である。
【0009】なお、特開昭60−12129号公報に
は、ポリシリコン(多結晶Si)膜に第1の波長を有す
る光および第2の波長を有する光を同時に照射し、第1
の波長を有する光はポリシリコンにおける吸収性の高い
波長とし、第2の波長を有する光はポリシリコンに対し
て有意の吸収性を示さない波長としたポリシリコン膜の
アニール処理方法が開示されているが、この方法は、第
1の波長を有する光および第2の波長を有する光を同時
に照射する点でこの発明による薄膜の熱処理方法と本質
的に異なるものであり、得られる効果も別異のものであ
る。
【0010】従って、この発明の目的は、薄膜の熱処理
を効果的に行うことができ、この熱処理による溶融再結
晶化により結晶粒径が大きい多結晶薄膜を得ることがで
きる薄膜の熱処理方法を提供することにある。
【0011】この発明の他の目的は、比較的厚い薄膜の
溶融再結晶化を行うことができる薄膜の熱処理方法を提
供することにある。
【0012】この発明の他の目的は、低融点の基板をも
使用することができる薄膜の熱処理方法を提供すること
にある。
【0013】この発明の他の目的は、基板上に金属から
成るパターンが形成されている場合にも支障を生じるこ
となく薄膜の熱処理を行うことができる薄膜の熱処理方
法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明による薄膜の熱処理方法は、光照射により
薄膜(4)を熱処理するようにした薄膜の熱処理方法に
おいて、薄膜(4)を加熱層(2)上に積層した構造体
を形成した後、薄膜(4)に対して実質的に透明でかつ
加熱層(2)によって吸収される第1の波長を有する第
1の光(L1)を構造体に照射し、次いで薄膜(4)に
よって吸収される第2の波長を有する第2の光(L2)
を構造体に照射するようにしたものである。
【0015】薄膜(4)は、好適には、加熱層(2)と
の反応などを防止するため、バッファ層を介して加熱層
(2)上に積層される。このバッファ層は、典型的に
は、例えばSiO2 膜やSiN膜などのような絶縁膜に
より形成される。
【0016】第1の光(L1)の第1の波長および第2
の光(L2)の第2の波長は、薄膜(4)や加熱層
(2)の材料などに応じて選ばれるが、通常、第1の波
長は第2の波長よりも長い。典型的には、第1の光(L
1)は赤外光であり、第2の光(L2)は紫外光または
可視光である。また、第1の光(L1)および第2の光
(L2)としては、好適には、レーザー光が用いられ
る。
【0017】薄膜(4)は、例えば、Si薄膜やGe薄
膜やSiGe薄膜などの半導体薄膜であってよい。
【0018】
【作用】上述のように構成されたこの発明による薄膜の
熱処理方法によれば、薄膜(4)を加熱層(2)上に積
層した構造体を形成した後、薄膜(4)に対して実質的
に透明でかつ加熱層(2)によって吸収される第1の波
長を有する第1の光(L1)を構造体に照射した時、第
1の光(L1)は加熱層(2)によって吸収され、この
加熱層(2)は加熱される。次に、薄膜(4)によって
吸収される第2の波長を有する第2の光(L2)を構造
体に照射すると、第2の光(L2)は薄膜(4)によっ
て吸収される。これによって、薄膜(4)は加熱されて
溶融し、その後の冷却により固化する。このようにして
溶融再結晶化が行われて多結晶の薄膜が形成される。こ
の場合、第2の光(L2)の照射による薄膜(4)の加
熱時には、この薄膜(4)の下地である加熱層(2)が
すでに加熱されて高温になっているので、この薄膜
(4)はその両面から加熱されることになり、効果的に
熱処理が行われる。このため、薄膜(4)が比較的厚く
ても、その全体を高温に加熱して溶融させることがで
き、その後の固化により再結晶化を起こさせることがで
きる。
【0019】また、第2の光(L2)の照射による薄膜
(4)の加熱時における薄膜(4)と加熱層(2)との
間の温度勾配は小さくなるので、薄膜(4)の溶融後の
固化速度を小さくすることができ、これによって結晶粒
径の大きな多結晶の薄膜を形成することができる。同様
に、薄膜(4)と加熱層(2)との間にバッファ層を設
ける場合も、第2の光(L2)の照射による薄膜(4)
の加熱時にこのバッファ層はその両面から加熱されるの
で、このバッファ層の温度は薄膜(4)の温度とほぼ等
しくなり、このため薄膜(4)とバッファ層との間の温
度勾配は小さくなる。これによって、薄膜(4)の溶融
後の固化速度を小さくすることができ、結晶粒径の大き
な多結晶の薄膜を形成することができる。
【0020】さらに、第1の光(L1)および第2の光
(L2)はいずれも、薄膜(4)側から照射すればよい
ので、例えば基板上に金属から成るパターンが形成され
ている場合においても、何ら支障を生じることなく熱処
理を行うことができる。さらにまた、基板を通して薄膜
(4)に光を照射する必要がないので、基板は透明なも
のに限定されない。同様に、基板自身を加熱層として用
いる場合を除いて、第1の光(L1)および第2の光
(L2)の照射によって基板を加熱する必要がないの
で、ガラス基板などの低融点の基板をも使用することが
できる。
【0021】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照
しながら説明する。
【0022】図1はこの発明の第1実施例によるSi薄
膜の熱処理方法を示す。
【0023】この第1実施例においては、図1Aに示す
ように、基板1上に加熱層2を形成し、この加熱層2上
にバッファ層としてのSiO2 膜3を介してSi薄膜4
を積層した構造体を形成し、このSi薄膜4の熱処理を
行う場合を考える。
【0024】この場合、加熱層2としては、Siに対し
て透明な波長を有する、後述のレーザー光L1に対する
吸収係数が大きい材料から成るものが用いられる。具体
的には、レーザー光L1として例えばYAGレーザーに
よる波長1.06μmのレーザー光を用いる場合には、
加熱層2として例えばGe層を用いることができる。ま
た、レーザー光L1として例えばCO2 レーザーによる
波長10.6μmのレーザー光を用いる場合には、加熱
層2として例えばMo膜やSiO2 膜を用いることがで
きる。
【0025】典型的には、加熱層2の厚さは例えば10
0nm程度、絶縁膜3の厚さは200nm程度、Si薄
膜4の厚さは20〜100nmである。
【0026】さて、この第1実施例においては、上述の
ように構成された構造体に、まず、図1Aに示すよう
に、Siに対して透明でかつ加熱層2に対する吸収係数
が大きい波長を有するレーザー光L1を照射する。する
と、このレーザー光L1は、Si薄膜4およびSiO2
膜3を通って加熱層2に照射され、この加熱層2によっ
て吸収される。これによって、この加熱層2は高温に加
熱される。加熱層2の材料によるが、具体的には、レー
ザー光L1としては、例えばYAGレーザーによる波長
1.06μmのレーザー光やCO2 レーザーによる波長
10.6μmのレーザー光などを用いることができる。
【0027】次に、上述のレーザー光L1の照射終了時
から所定時間経過後に、図1Bに示すように、Siに対
する吸収係数が大きい紫外域または可視域の波長を有す
るレーザー光L2を構造体に照射する。具体的には、こ
のレーザー光L2としては、XeClエキシマーレーザ
ーによるレーザー光(波長308nm)やKrFエキシ
マーレーザーによるレーザー光(波長248nm)など
のエキシマーレーザーによる紫外レーザー光を用いるこ
とができるほか、例えばYAGレーザーによる波長1.
06μmのレーザー光を第3次高調波発生素子(TH
G)や第2次高調波発生素子(SHG)などの波長変換
素子を用いて紫外域または可視域の波長にしたものを用
いることもできる。
【0028】上述のようにして構造体に照射されたレー
ザー光L2は最上層のSi薄膜4で吸収される。この結
果、このSi薄膜4は高温に加熱されて溶融し、その後
の冷却により固化する。この冷却中には溶融SiからS
iO2 膜3中に熱が放出されるが、このSiO2 膜3は
その下側にある加熱された加熱層2によっても加熱され
ていることから、溶融SiとSiO2 膜3との間の温度
差は小さく、従って温度勾配も小さい。このように温度
勾配が小さいことにより、溶融Siからの熱損失は少な
く、従って溶融Siの冷却速度および固化速度は小さ
い。この結果、溶融再結晶化後に得られる多結晶Si薄
膜の結晶粒径は極めて大きくなる。
【0029】図2にレーザー光L1およびレーザー光L
2の照射のタイミングチャートを示す。この場合、レー
ザー光L1の照射終了後、レーザー光L2の照射を開始
するまでの時間、すなわち遅延時間τは、加熱層2とS
i薄膜4との間のSiO2 膜3、より一般的にはバッフ
ァ層の厚さの関数となる。具体的には、この遅延時間τ
は、バッファ層の厚さLと次式に示すように関連してい
る。 τ>L2 /D ここで、Dはバッファ層の熱拡散係数である。τの数値
の具体例を挙げると、例えばバッファ層としてのSiO
2 膜3の厚さが100nmであるとすると、SiO2
対するDの値は7.68×10-3cm2 /sであるか
ら、上式よりτの下限は約13nsとなる。
【0030】なお、レーザー光L1およびレーザー光L
2の照射の順序は、極めて重要である。なぜならば、も
しレーザー光L2の照射を最初に行ってSi薄膜4を溶
融させると、溶融Siの反射率は赤外域の波長の光に対
して非常に大きいことから、その後に赤外域の波長のレ
ーザー光L1を照射しても溶融Siによる反射が大きい
ため、加熱層2を効率的に加熱することは困難となる。
反射率の具体例を挙げると、波長10.6μmの赤外光
に対して結晶Siの反射率は0.30であるのに対して
溶融Siの反射率は0.85である。また、波長1.0
6μmの赤外光に対して結晶Siの反射率は0.30で
あるのに対して溶融Siの反射率は0.80である。
【0031】以上のように、この第1実施例によれば、
Siに対して透明で加熱層2では吸収される波長を有す
るレーザー光L1を照射して加熱層2を加熱し、次いで
Siに対する吸収係数が高い紫外域または可視域の波長
を有するレーザー光L2を照射してSi薄膜4を高温に
加熱して溶融させ、その後に固化させることにより、結
晶粒径が大きい多結晶Si薄膜を容易に形成することが
できる。また、基板1は高温に加熱されず、しかもこの
基板1を通してレーザー光を照射する必要もないため、
基板1が透明なものに限定されず、また基板1としてガ
ラス基板などの低融点の基板を使用することも可能であ
る。さらに、この基板1上に金属から成るパターンが形
成されていても何ら支障を生じない。
【0032】図3はこの発明の第2実施例によるSi薄
膜の熱処理方法を示す。
【0033】図3に示すように、この第2実施例におい
ては、基板11上に加熱層としてのGe膜12を形成
し、このGe膜12上にバッファ層としてのSiO2
13を介してSi薄膜14を積層した構造体を形成し、
このSi薄膜14を熱処理する場合を考える。
【0034】この第2実施例においては、レーザー光L
1およびレーザー光L2の光源として、例えばYAGレ
ーザーから成る共通のレーザー光源15を用いる。この
場合、レーザー光L1としては、このYAGレーザーか
ら成るレーザー光源15から発振される波長1.06μ
mのレーザー光をそのまま用いる。また、レーザー光L
2としては、レーザー光源15から発振される波長1.
06μmのレーザー光をハーフミラーHM1を介して第
3次高調波発生素子や第2次高調波発生素子のような波
長変換素子16を通すことにより得られる波長353n
mのレーザー光や波長503nmのレーザー光を用い
る。なお、HM2はハーフミラーである。
【0035】そして、Si薄膜14の熱処理を行うに
は、まず、波長1.06nmのレーザー光L1を構造体
に照射する。すると、このレーザー光L1は加熱層とし
てのGe膜12により吸収されてこのGe膜12は加熱
される。次に、所定の遅延時間τを持たせて、波長35
3nmまたは波長503nmのレーザー光L2を構造体
に照射する。すると、このレーザー光L2はSi薄膜1
4によって吸収されてこのSi薄膜14は高温に加熱さ
れ、溶融する。そして、その後の冷却によりこの溶融S
iは固化し、多結晶Si薄膜が得られる。
【0036】この第2実施例によれば、第1実施例と同
様な効果を得ることができる。
【0037】図4はこの発明の第3実施例によるSi薄
膜の熱処理方法を示す。
【0038】図4に示すように、この第3実施例におい
ては、基板31上にバッファ層としてのSiN膜32を
形成し、このSiN膜32上にSi薄膜33を積層した
構造体を形成し、このSi薄膜33を熱処理する場合を
考える。この場合、基板31自身を加熱層として用いる
ため、この基板31としては、後述のレーザー光L1に
対する吸収係数が大きいガラス基板を用いる。
【0039】この第3実施例においては、レーザー光L
1のレーザー光源34としてCO2レーザーを用いると
ともに、レーザー光L2のレーザー光源35としてエキ
シマーレーザーまたはYAGレーザーに第3次高調波発
生素子(図示せず)を組み合わせたものを用いる。この
場合、レーザー光L1としては、CO2 レーザーから成
るレーザー光源34から発振される波長10.6μmの
レーザー光をそのまま用いる。また、レーザー光L2と
しては、レーザー光源35として例えばXeClエキシ
マーレーザーを用いる場合には波長308nmのレーザ
ー光を用い、レーザー光源35としてYAGレーザーに
第3次高調波発生素子を組み合わせたものを用いる場合
には波長353nmのレーザー光を用いる。
【0040】そして、Si薄膜33の熱処理を行うに
は、まず、レーザー光源34から発振される波長10.
6μmのレーザー光L1を構造体に照射する。この波長
10.6μmのレーザー光L1は、ガラス基板である基
板31によって吸収される。この結果、この基板31は
加熱される。次に、所定の遅延時間τを持たせて、レー
ザー光源35から発振される波長308nmまたは波長
353nmのレーザー光L2を構造体に照射する。この
レーザー光L2の照射によって、Si薄膜33が高温に
加熱されて溶融し、その後の冷却によって多結晶Si薄
膜が得られる。
【0041】この第3実施例によっても、第1実施例と
同様な効果を得ることができる。
【0042】図5はこの発明の第4実施例によるSi薄
膜の熱処理方法を示す。
【0043】図5に示すように、この第4実施例におい
ては、基板1上に加熱層としてのMo膜42を形成し、
このMo膜42上にバッファ層としてのSiN膜43を
介してSi薄膜44を積層した構造体を形成し、このS
i薄膜44を熱処理する場合を考える。
【0044】この第4実施例においては、第3実施例と
同様に、レーザー光L1のレーザー光源45としてCO
2 レーザーを用いるとともに、レーザー光L2のレーザ
ー光源46としてエキシマーレーザーまたはYAGレー
ザーに第3次高調波発生素子(図示せず)を組み合わせ
たものを用いる。この場合、レーザー光L1の波長は1
0.6μmである。また、レーザー光L2の波長は、レ
ーザー光源46として例えばXeClエキシマーレーザ
ーを用いる場合には308nmであり、レーザー光源4
6としてYAGレーザーに第3次高調波発生素子を組み
合わせたものを用いる場合には353nmである。
【0045】そして、Si薄膜44の熱処理を行うに
は、まず、レーザー光源45から発振される波長10.
6μmのレーザー光L1を構造体に照射する。この波長
10.6μmのレーザー光L1は、Mo膜42によって
吸収される。この結果、このMo膜42は加熱される。
次に、所定の遅延時間τを持たせて、レーザー光源46
から発振される例えば波長308nmまたは波長353
nmのレーザー光L2を構造体に照射する。このレーザ
ー光L2の照射によって、Si薄膜44が加熱されて溶
融し、その後の冷却によって多結晶Si薄膜が得られ
る。
【0046】この第4実施例によっても、第1実施例と
同様な効果を得ることができる。
【0047】図6はこの発明の第5実施例によるSi薄
膜の熱処理方法を示す。ここで、図6Aは平面図、図6
Bは図6Aの一断面図である。
【0048】図6Aおよび図6Bに示すように、この第
5実施例においては、基板51上に長方形状の形状を有
する加熱層としてのGe膜52を互いに隣接して形成
し、その上にSi薄膜53を積層した構造体を形成す
る。
【0049】そして、Si薄膜53を熱処理するには、
まず、Siに対しては実質的に透明でGeに対しては吸
収係数が大きい赤外域の波長を有するレーザー光L1を
構造体に照射する。具体的には、このレーザー光L1と
しては、例えばYAGレーザーから発振される波長1.
06μmのレーザー光をそのまま用いる。このレーザー
光L1はGe膜52によって吸収され、その結果、この
Ge膜52が加熱される。次に、遅延時間τを持たせ
て、Siに対する吸収係数が大きい紫外域または可視域
の波長のレーザー光L2を構造体に照射する。具体的に
は、このレーザー光L2としては、例えばXeClエキ
シマーレーザーから発振される波長308nmのレーザ
ー光をそのまま用いたり、YAGレーザーから発振され
る波長1.06μmのレーザー光を例えば第3次高調波
発生素子(図示せず)を通すことにより得られる波長3
53nmのレーザー光を用いる。
【0050】上述のレーザー光L2の照射によって、第
1実施例と同様にしてSi薄膜53が溶融し、その後の
冷却により再結晶化して多結晶Si薄膜が形成される。
この場合、溶融Siと基板51との間の温度勾配は、レ
ーザー光L1の照射によって加熱されたGe膜12の上
側の部分よりも互いに隣接するGe膜52間の部分の方
が大きいので、溶融Siが固化するときの核生成中心は
Ge膜52間の中間に位置する。そして、この核生成中
心からその両側に向かって、図6A中矢印で示すように
核成長が起きる。
【0051】この第5実施例によれば、結晶粒径が十分
に大きい多結晶Si薄膜を大面積にわたって容易に形成
することができるという利点を得ることができる。
【0052】なお、表1に、熱処理を行うべき薄膜、そ
の下地の加熱層、レーザー光L1の波長およびレーザー
光L2の波長の組み合わせのいくつかの例を示す。
【0053】 表1 ────────────────────────────────── 薄膜 加熱層 レーザー光L2の波長 レーザー光L1の波長 ────────────────────────────────── Si Ge 196〜500nm 1.06μm (XeCl、KrF、 (YAGなど) YAG+THGなど) ────────────────────────────────── Si SiO2 196〜500nm 10.6μm (XeCl、KrF、 (CO2 など) YAG+THGなど) ────────────────────────────────── Si Mo 196〜500nm 2〜10.6μm (XeCl、KrF、 (CO2 など) YAG+THGなど) ────────────────────────────────── Ge SiO2 196nm〜3.0μm 10.6μm (XeCl、KrF、 (CO2 など) YAG+THGなど) ────────────────────────────────── Ge Mo 196nm〜3.0μm 3〜10.6μm (XeCl、KrF、 (CO2 など) YAG+THGなど) ────────────────────────────────── SiGe Mo 196nm〜3.0μm 3〜10.6μm (XeCl、KrF、 (CO2 など) YAG+THGなど) ────────────────────────────────── SiGe SiO2 196nm〜3.0μm 10.6μm (XeCl、KrF、 (CO2 など) YAG+THGなど) ──────────────────────────────────
【0054】以上、この発明の実施例について具体的に
説明したが、この発明は、上述の実施例に限定されるも
のではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形
が可能である。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、薄膜に対して実質的に透明でかつ加熱層によって吸
収される第1の波長を有する第1の光を構造体に照射
し、次いで薄膜によって吸収される第2の波長を有する
第2の光を構造体に照射するようにしているので、薄膜
の熱処理を効果的に行うことができ、これによって薄膜
の溶融再結晶化により結晶粒径の大きい多結晶薄膜を得
ることができる。また、比較的厚い薄膜の溶融再結晶化
を行うこともできる。さらに、基板が透明なものに限定
されないばかりでなく、基板として低融点の基板をも用
いることができる。しかも、基板上に金属から成るパタ
ーンが形成されている場合にも何ら支障を生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例によるSi薄膜の熱処理
方法を工程順に説明するための断面図である。
【図2】この発明の第1実施例によるSi薄膜の熱処理
方法におけるレーザー光の照射のタイミングチャートで
ある。
【図3】この発明の第2実施例によるSi薄膜の熱処理
方法を説明するための略線図である。
【図4】この発明の第3実施例によるSi薄膜の熱処理
方法を説明するための略線図である。
【図5】この発明の第4実施例によるSi薄膜の熱処理
方法を説明するための略線図である。
【図6】この発明の第5実施例によるSi薄膜の熱処理
方法を説明するための平面図および断面図である。
【図7】従来のSi薄膜の熱処理方法の一例を説明する
ための断面図である。
【図8】従来のSi薄膜の熱処理方法の他の例を説明す
るための断面図である。
【図9】従来のSi薄膜の熱処理方法のさらに他の例を
説明するための断面図である。
【符号の説明】
1、11、31、41、51 基板 2 加熱層 3、13 SiO2 膜 4、14、33、44、53 Si薄膜 12 Ge膜 32、43 SiN膜 42 Mo膜 L1、L2 レーザー光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐野 直樹 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (72)発明者 香野 淳 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (72)発明者 碓井 節夫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (72)発明者 ジョナサン・ウエストウオーター 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−80521(JP,A) 特開 昭61−141117(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/20

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光照射により薄膜を熱処理するようにし
    た薄膜の熱処理方法において、 上記薄膜を加熱層上に積層した構造体を形成した後、上
    記薄膜に対して実質的に透明でかつ上記加熱層によって
    吸収される第1の波長を有する第1の光を上記構造体に
    照射し、 次いで上記薄膜によって吸収される第2の波長を有する
    第2の光を上記構造体に照射するようにしたことを特徴
    とする薄膜の熱処理方法。
  2. 【請求項2】 上記薄膜はバッファ層を介して上記加熱
    層上に積層されていることを特徴とする請求項1記載の
    薄膜の熱処理方法。
  3. 【請求項3】 上記第1の波長は上記第2の波長よりも
    長いことを特徴とする請求項1または2記載の薄膜の熱
    処理方法。
  4. 【請求項4】 上記第1の光および上記第2の光はレー
    ザー光であることを特徴とする請求項1、2または3記
    載の薄膜の熱処理方法。
  5. 【請求項5】 上記薄膜は半導体薄膜であることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれか一項記載の薄膜の熱処理
    方法。
  6. 【請求項6】 上記半導体薄膜はSi薄膜、Ge薄膜ま
    たはSiGe薄膜であることを特徴とする請求項5記載
    の薄膜の熱処理方法。
  7. 【請求項7】 光照射により薄膜を熱処理するようにし
    た多結晶薄膜の製造方法において、 上記薄膜を加熱層上に積層した構造体を形成した後、上
    記薄膜に対して実質的に透明でかつ上記加熱層によって
    吸収される第1の波長を有する第1の光を上記構造体に
    照射し、 次いで上記薄膜によって吸収される第2の波長を有する
    第2の光を上記構造体に照射するようにしたことを特徴
    とする多結晶薄膜の製造方法。
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