JP3220710B2 - 電子銃の電極及びその製造方法 - Google Patents

電子銃の電極及びその製造方法

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JP3220710B2 JP31317698A JP31317698A JP3220710B2 JP 3220710 B2 JP3220710 B2 JP 3220710B2 JP 31317698 A JP31317698 A JP 31317698A JP 31317698 A JP31317698 A JP 31317698A JP 3220710 B2 JP3220710 B2 JP 3220710B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、陰極線管用の電子
銃の電極及びその製造方法に関する。
【従来の技術】一般的に、プレス部品の圧印加工方法
は、母材である金属板に圧印パンチを押し付け、金型と
同じ形状を作る方法である。もともと板厚の調整や圧印
開口端部の割れ防止、形状修正を目的として使用するこ
とが多く、圧印加工部の寸法、開口端部のアール形状
(いわゆるR形状)については、圧印パンチの押し出し
量、母材の硬度等の影響を受け易くコントロールが難し
い状況であった。
【0002】図10は、従来の一般的な圧印加工方法を
示す。図10Aに示すように、印圧工程が必要とされる
板厚t1 のプレス用母材、いわゆる金属板1を圧印パン
チ2を使用して必要な圧印板厚t2 が得られるまで繰り
返し加圧して(必要条件により複数回繰り返し実施す
る)開口3を有する凹型部4を形成する。印圧パンチ2
としては、例えば角型断面のものを使用することができ
る。
【0003】次に、図10Bに示すように、圧印の仕上
げ段階において、圧印開口3の端部3aの割れ防止、形
状修正のために、通常、台形型断面の仕上げ印圧パンチ
5を用いて加圧し、凹型部4の底部幅W1 よりも開口部
の幅W2 が広くなるような、いわゆる逆ハの字状の開口
断面形状3bを成形する。
【0004】この仕上げ圧印加工によって、図10Cに
示す断面逆ハの字型の凹型部4が形成されたプレス部品
6が得られる。更に、プレス部品に応じて凹型部4の底
部に鎖線で示す透孔7を形成する。
【0005】一方、陰極線管の電子銃を構成する電極と
して用いられるプレス部品では、板状の電極に対して電
子レンズを形成するビーム孔(いわゆる電子ビーム透過
孔)を安定且つ高精度に形成するため、板厚を薄くする
目的で上述のような圧印加工方法が採り入れられてい
る。
【0006】図11は、いわゆる3ガンタイプと呼ばれ
る陰極線管用の電子銃の一例を示す。この電子銃10
は、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3つのカソード
R ,KG ,KB に対して共通となるように、同軸上に
沿って第1電極11、第2電極12、第3電極13、第
4電極14、第5電極15、第6電極16、第7電極1
7、第8電極18及びコンバーカップ電極19が配列さ
れ、第2電極12と第5電極15が共通接続され、第3
電極13と第7電極17が共通接続され、第4電極14
と第6電極16が共通接続されて成る。各第1電極11
〜コンバーカップ電極19には、3つのカソードKR
G ,KB から出射された各電子ビーム20R,20
G,20Bが夫々通過するビーム孔(電子ビーム透過
孔)が形成される。また、第2電極12と第3電極13
間にプリフォーカス電子レンズが構成され、第7電極1
7と第8電極18間で主フォーカス電子レンズが構成さ
れる。これら電極群のうち、第1電極11、第2電極1
2、第5電極15はいわゆる板状電極として形成され
る。
【0007】図12は、板状の第2電極12の構成を示
し、図13は、その要部の拡大図である。この第2電極
12は、プレス成形で作製され、各ビーム孔21[21
R,21G,21B]を形成する領域部に、板厚を薄く
するための凹型部、即ち垂直方向(v方向)の開口幅L
1 を規制した凹型部22[22R,22G,22B]が
前述の図10で示す印圧加工方法で形成され、各凹型部
22R,22G,22Bの中央底部に各対応するビーム
孔21[21R,21G,21B]が打抜き加工によっ
て形成される。なお、このビーム孔21と同時に、電子
銃組立てに使用される位置決め用孔(いわゆるインデッ
クス孔)23が形成される。24は透孔である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の図10Bに示す
台形型断面の仕上げ圧印パンチ5は、圧印開口端部3a
の割れ防止、形状修正の目的で使用されるため、開口部
の寸法L1 、形状、位置精度出しが行えない。これらの
精度を必要とする仕上げ印圧加工については、コントロ
ールが難しく金型の条件出し等による方法で、時間をか
けて精度出しを行っていた。
【0009】また、仕上げ圧印パンチ5を用いて加工さ
れた圧印開口部3の断面形状は、図10Cに示すよう
に、逆ハの字形状をしており、圧印開口端部3bは連続
したアール形状を有している。このため、例えばCCD
カメラを備えた光学式の測定機を使用して圧印開口寸法
1 を測定する場合、光の減衰を引き起し、この部分の
寸法評価は、極めて困難であった。即ち、光学式測定機
を用いて圧印加工された開口の寸法L1 、形状を測定す
る場合、図14に示すように、光学式測定機の光学式対
物レンズ12を通して落射光lF を開口端部3bに照射
し、開口端部3bからの反射光lR を対物レンズ12に
入射し、CCDカメラの撮影画像を見て測定している。
このとき、開口端部3bが連続したアール形状を有して
いるので、対物レンズ12へ入射すべき反射光lR が散
乱(lR ′)して少なくなり、開口端部3bの視認性を
悪化させていた。
【0010】一方、前述した電子銃の電極、例えば図1
1の板状の第2電極12のプレス成形に際して、ビーム
孔21の高精度化のために板厚を薄くする目的で圧印加
工方法が採り入れられているが、この凹型部22の開口
部の仕上げに用いる圧印加工についても、圧印開口端部
の割れ防止、形状修正が主目的であり、開口部の寸法L
1 、形状、位置出し精度については、重要とされなかっ
た。しかし、近年、画面周辺の解像度が重要である例え
ばコンピュータ用モニタ等の陰極線管に使用される電子
銃においては、特性上、圧印開口端部の寸法L1 、形
状、位置出し精度が必要とされ、これらの精度劣化は、
電子銃の特性、更には陰極線管の特性に多大な影響を及
ぼすことになった。
【0011】すなわち、第2電極12は、画像上でビー
ムスポット径を決める大きな役割を果たしており、第2
電極12の組み立て精度に関して特に厳しさが要求され
ている。陰極線管の性能評価の1つに、ビームスポット
移動検査がある。図15Aに示すように、第2電極12
のビーム孔21の中心O1 (電子銃軸に合致しているも
のとする)と圧印開口部25(即ち凹型部22)の中心
2 とが一致していれば、電子ビームの軌道は正常とな
り、画面上でビームスポットは本来の位置に到達し、ビ
ームスポット移動は生じない。しかし、図15Bに示す
ように、ビーム孔21の中心O1 に対して圧印開口部2
5の中心O2 がずれ、即ち、ビーム孔21に対してた圧
印凹型部22が垂直方向にずれて形成された場合には、
第2電極12と第3電極13で構成されるプリフォーカ
ス電子レンズの中心が第7電極17と第8電極18で構
成される主電子レンズの中心からずれることになり、電
子ビームの軌道が本来の軌道からずれて(いわゆる縦軸
して)、画面上で本来の到達位置よりずれてしまい、ビ
ームスポット移動に大きく影響することが判明した。
【0012】また、圧印開口部22の垂直方向の幅L1
にバラツキがあると、ビーム径の大きさ(横/縦の比)
に影響を与えることも判明した。例えば、幅L1 が変化
すれば、画面中心、周辺のそれぞれのビーム径が変わ
る。ビームスポットは、偏向ヨークの偏向磁界を受け画
面周辺で横長に歪むため、これを補正するために、第1
電極11のビーム孔形状を例えば縦長形状にして予めビ
ームを縦長に歪ませて画面上で円形ビームとなるような
工夫がなされているが、この第2電極12では、その圧
印凹型部22の開口幅L1 の大きさでビーム形状を微調
整する役割も果たしており、開口幅L1 の寸法精度も必
要であった。
【0013】本発明は、上述の点に鑑み、高精度に構成
された電子銃の電極、及び寸法、形状の加工精度、位置
出しの精度、寸法評価性の向上と安定化を可能にした電
子銃電極の製造方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の電子銃の電極
は、圧印加工により成形された凹型部を有し、凹型部が
開口幅を平坦な底部の幅より小さい所要の幅に設定した
ハの字断面形状に形成され、凹型部の底部に開口の中心
と略同じ位置に中心を有する電子ビーム透過孔が形成さ
れた構成とする。
【0015】この電子銃の電極においては、圧印加工に
より成形された凹型部が、開口幅を平坦な底部の幅より
小さい所要の幅に設定したハの字断面形状に形成されて
いるので、開口部の形状、寸法が安定し、また光学式測
定機による開口端部の視認性も向上する。従って、凹型
部の底面に形成した電子ビーム透過孔と凹型部との位置
精度が向上し、電子銃における電子ビーム軌道の安定
化、さらに電子銃特性、ひいては陰極線管の特性の安定
化が図れる。
【0016】本発明の電子銃電極の製造方法は、電極部
材に第1の圧印加工で第1の開口を有する凹型部を成形
する工程と、第2の圧印加工で、開口側へ両側、又は周
囲から肉寄せして開口端部を圧印パンチで規制し、凹型
部の平坦な底部の幅より小さい所要幅の第2の開口に設
定してハの字断面形状の凹型部に成形する工程と、凹型
部の底部に第2の開口の中心と略同じ位置に中心を有す
る電子ビーム透過孔を形成する工程を有する。
【0017】この電子銃電極の製造方法においては、第
1の圧印加工と第2の圧印加工によって、開口端部が圧
印パンチで規制されたハの字断面形状の凹型部に成形す
るので、開口端部の形状、幅寸法が安定して得られる。
また、開口端部寸法を光学式測定機を用いて測定する
際、開口部がより鮮明に視認され、高精度の測定ができ
る。従って、凹型部の底部に形成した電子ビーム透過孔
と凹型部の位置を精度よく設定でき、電子ビーム軌道が
安定し、電子銃特性が安定した電子銃電極を製造でき
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。
【0019】図1は、本発明に適用されるプレス成形方
法、特に圧印加工方法及びこの方法によって成形された
プレス成形物の参考例を示す。本参考例においては、図
1Aに示すように、被成形部材、すなわち圧印加工工程
が必要とされる所定の板厚t11のプレス用母材(例えば
SUS材料、その他の金属材料等)31を用意し、この
母材31に必要な板厚t12が得られるまで圧印加工用の
金型、すなわち印圧パンチ32を用いて圧印加工を施
し、所定形状の開口33を有する凹型部34を成形す
る。この圧印加工は、必要な圧印板厚t12が得られるま
で繰り返す。つまり、必要条件により複数回実施する。
【0020】本例では、凹型部34の底面34aは平坦
面である。圧印パンチとしては、プレス成形物に応じて
例えば図1Aに示すような角型断面の圧印パンチ32、
或は図3に示すような台形型断面の圧印パンチ35、そ
の他の形状の圧印パンチ等を用い得る。
【0021】次に、図1Bに示すように、開口端部33
aの幅(以下、径をも含む)、形状を決定する金型本
体、すなわち、開口端部33aの幅、形状を規制するパ
ンチ本体37と、このパンチ本体37の外側位置に一体
に設けられた肉寄せ用の突起状型部38からなる金型、
すなわち、仕上げ圧印パンチ39を用いて仕上げ圧印加
工を施す。
【0022】仕上げ圧印パンチ39は、そのパンチ本体
37の中心O21が開口33(従って凹型部34)の中心
22と略同じ位置にあり、かつパンチ本体37の幅W11
が開口幅W12と略等しいか、又は開口幅W12より小さく
設定される。本参考例では、パンチ本体37の幅W11
開口幅W12より小さく設定されている(W12>W11)。
また、仕上げ圧印パンチ39の突起状型部38は、仕上
げ圧印加工時に母材31を圧縮し開口33側に肉寄せし
て開口端部に変形を与える位置に設けられると共に、そ
の形状が肉寄せを可能にして開口端部を変形させる形状
に形成される。図1Bでは、突起状型部39がくさび形
状(いわゆる山脈状突起形状)に形成される。
【0023】この仕上げ圧印加工において、仕上げ圧印
パンチ39の加圧に伴い、パンチ本体37の外側に設け
られた突起状型部、即ちくさび状型部38が母材31の
上面を押すことになる。この際、母材31は、くさび状
型部38の形状により、凹部41が形成されるように、
内方向(開口33側への方向)と下方向(板厚方向)に
強力な圧縮応力を受け、塑性変形を起す。
【0024】塑性変形を起こした母材31は、開口33
の外側に凹部41を形成すると共に、開口33の内方に
押し出され、いわゆる肉寄せされて開口端部33aがパ
ンチ本体37に押し付けられて規制される。すなわち、
凹型部34の開口幅が決定される。
【0025】これにより、図1Cに示すように、開口外
側に凹部41が形成され、開口端部33aがパンチ本体
37の根元部に加工されたアール形状と同様のアール形
状に加工されると同時に、凹型部34が底部の幅より開
口端部の幅を小さくしたハの字断面形状に成形されたプ
レス成形物42が得られる。
【0026】このとき、仕上げ圧印押し出し量v11は、
母材31の材質、硬度に合わせて調整が必要であるが、
母材31の板厚t11を減らす方向で加工するため、予め
仕上げ時の押し込む量を見込んでおく必要がある。
【0027】また、この際の仕上げ圧印パンチ39の条
件出しについては、図4に示す。仕上げ圧印パンチ39
において、図1Cに示すハの字断面形状の圧印凹型部3
4を得るための支配的な条件は、図4に示す寸法a,
b,c及びdである。このとき、寸法aは図1Aの圧印
パンチ32の幅、したがって開口33の幅W12と同寸か
小さくする必要がある。
【0028】 a:必要な圧印開口端部33aの幅(又は径)。 b:くさび状型部38の内幅(又は内径)寸法。 c:くさび状型部38の外幅(又は外径)寸法。 d:くさび状型部38の高さ。 e:くさび状型部38の外形アール。 f:必要な圧印開口端部アール。 なお、寸法b,c,d,e,fを必要に応じて調整する
ことにより、母材31を仕上げ圧印パンチ本体37に押
し付ける圧縮応力を得る。
【0029】上記の4種類の寸法a,b,c,dを調整
し、かつ図1Bの仕上げ圧印押し出し量v11を微調整す
ることで、安定した圧印開口端部幅W11、開口端部アー
ル形状を有する図1Cのプレス成形物42が得られる。
【0030】さらに、仕上げ圧印加工の後、図1Dに示
すように、凹型部34の底部に透孔43を打ち抜いてプ
レス成形物44を得ることができる。
【0031】仕上げ圧印パンチ39の形状については、
プレス成形物に応じて種々のものが用いられる。例え
ば、図5の円型の仕上げ圧印パンチ391、図6の角型
の仕上げ圧印パンチ392を用いることができる。図5
の仕上げパンチ391では、突起状型部38はパンチ本
体37を中心とするリング状、即ち開口33と同心のリ
ング形状に形成される。図6の仕上げ圧印パンチ392
では、突起状型部38はパンチ本体37を挟んで相対向
する、即ち、圧印開口33の向い合う2辺に沿って形成
される。場合によっては、円型と角型を合せたトラック
型の仕上げ圧印パンチ、或は三角型、四角型、多角型の
仕上げ圧印パンチを用いることができる。圧印パンチ3
2としては、仕上げ圧印パンチ39の形状に対応した形
状のものを用いるを可とする。
【0032】図1Bの仕上げ圧印工程では、母材31の
表面より仕上げ圧印加工による面が押し出し量V11だけ
低くなるように仕上げ圧印パンチ39の形状を選定して
行ったが、その他、図2Aに示すような形状の仕上げ圧
印パンチ39を用いて母材31の表面と仕上げ圧印加工
による面が同一面となるようにして開口端部33aを内
方に肉寄せして、所望の開口幅W11を有するプレス成形
物42を成形することもできる。その後、図2Bに示す
ように、凹型部34の底部に透孔43を打ち抜いてプレ
ス成形物44を得る。その他の構成は、図1と同様なの
で、対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略
する。
【0033】本参考例によれば、圧印加工工程におい
て、圧印パンチ32によって最初の圧印加工を行って薄
い板厚t11となるように凹型部34を形成した後、パン
チ本体37の外側に突起状型部38を一体に有する仕上
げ圧印パンチ39によって仕上げ圧印加工を行って、突
起状型部38による押し出し(いわゆる肉寄せ)によ
り、凹型部34の開口端部33aがパンチ本体37の寸
法、形状に規制され、開口端部33aの幅W11、アール
形状が安定して得られる。従って、開口端部33aの幅
11、形状が安定した高精度のプレス成形物42を得る
ことができる。
【0034】また、圧印開口端部33aに、安定した幅
寸法、アール形状が得られるため、圧印加工の寸法、形
状、位置出しに必要とする工数を大幅に削減することが
できる。
【0035】さらに、図1D、図2Bに示す凹型部34
の底部に透孔43を形成したプレス成形物44を作製す
るときは、後述するように光学式測定機による圧印開口
端部33aの幅の測定が高精度に行えるので、その透孔
43と凹型部34の開口端部33aの位置関係を精度よ
く設定することができる。従って、後述するようにこの
圧印加工寸法を電子銃の電極部品に用いた場合には、電
子ビーム軌道の安定化につながり、更には陰極線管特性
の安定化につながる。
【0036】次に、本参考例において、仕上げ圧印パン
チ39を使用して成形したプレス成形物42又は44に
おける圧印開口端部33aの幅W11測定の優位性を説明
する。
【0037】本参考例においては、図1B、図2Aに示
す仕上げ圧印パンチ39を使用することで、プレス成形
物42又は44の開口33(すなわち凹型部34)がハ
の字断面形状となる。このように、圧印開口端部33a
が少々内方にせり出し、かつ、開口端部33aのアール
形状が安定しているので、前述と同様のCCDカメラを
備えた光学式測定機を用いて圧印開口端部33aの幅及
び形状を測定する場合、図7に示すように、光学式測定
機の対物レンズ12を通して落射光lF を開口端部33
aに照射するときに、開口端部33aでの乱反射が起こ
りにくく、落射光lF は、せり出した開口端部33aと
開口33間の境界を通って垂直に凹型部34の平坦な底
面34aに照射され、その底面34aからの反射光lR
が対物レンズ12に入射されるので、対物レンズ12へ
入射する反射光lR を十分確保することができる。これ
によって、開口端部33aの視認性が大幅に改善され、
高精度な評価が可能になる。
【0038】そして、図1D、図2Bに示すように、凹
型部34に透孔43を形成する場合、透孔43に対する
凹型部34の開口端部33のずれを測定し、その測定結
果に基づき、例えば、ずれていれば、そのずれ分をプレ
ス機にフィードバックして圧印パンチ32、仕上げ圧印
パンチ39の位置、又は透孔43を形成するためのプレ
ス打ち抜き用のパンチ(図示せず)の位置を調整するこ
とができる。従って、最終的に透孔中心O24と凹型部3
4の開口端部33の中心O23が合致したプレス成形物4
4、或は図示さぜるも透孔43と開口端部33が所望位
置間にあるプレス成形物の高精度な作製が可能となる。
【0039】本発明は、上述したプレス成形方法を応用
するものである。次に、本発明の電子銃の電極及びその
製造方法の実施の形態を説明する。図8は電子銃の第2
電極12に適用した場合であり、図9はその要部の構成
を示す。
【0040】本実施の形態においては、前述の図1A〜
Dの圧印加工工程を採用する。先ず、電極部材となるプ
レス用母材(例えばSUS材料等)に対して、赤
(R)、緑(G)、青(B)の各電子ビーム透過孔を形
成すべき領域部に、所定板厚t12が得られるまで圧印パ
ンチ32を用いて圧印加工を施し、底部の板厚がt12
なる凹型部341[341R,341G,341B]を
形成する(図1Aと同様の工程)。但し、各凹型部34
1R,341G,341Bは、各圧印パンチ32が一体
化された金型で同時形成される。母材の各凹型部341
R,341G,341Bにおける水平方向の両端外側位
置には予め透孔48が形成されている。そして、各凹型
部341R,341G,341Bは、垂直方向の開口幅
が規制されるような横長形状に形成される。
【0041】次に、各凹型部341R,341G,34
1Bに対応するように、水平方向のパンチ長さが凹型部
341の長さに略等しく、垂直方向のパンチ幅が凹型部
341の開口幅より小さい角型断面形状のパンチ本体3
7を有すると共に、パンチ本体37の垂直方向の外側に
開口端部の向い合う2辺に沿うように2条の突起状型
部、即ちくさび状型部38を一体に設けて成る仕上げ圧
印パンチ39を用いて母材に仕上げ圧印加工を施す(図
1Bと同様の工程)。但し、各凹型部341R,341
G,341Bにおける仕上げ圧印加工は、各仕上げ圧印
パンチ39が一体化された金型で同時に行われる。
【0042】この仕上げ圧印加工により、各凹型部34
1R,341G,341Bの開口端部の垂直方向の幅が
パンチ本体39によって所望の幅W11に規制されたハの
字断面形状の凹型部341R,341G,341Bが形
成される。この仕上げ圧印加工では、従来のような開口
端面修正が不要なので、図9Aに示すように、開口端部
のストレート部が長く取れる。
【0043】次に、打ち抜き加工によって、各凹型部3
41R,341G,341Bの底部に夫々孔中心O24
凹型部341の開口端部331の中心O23と同じになる
ようにした電子ビーム透過孔431R,431G,43
1Bを形成すると同時に、電子銃組み立て時の電極位置
決め用孔51を形成する(図1Dと同様の工程)。その
後、個々に分離して図8及び図9に示す目的の第2電極
12を得る。
【0044】このようにして作製された第2電極12
は、前述と同様に、圧印開口端部のアール形状、幅W11
が安定して得られ、また、中心O23とO24を略一致する
ように互に位置ずれなく圧印開口331及び電子ビーム
透過孔431が形成されるので、電子銃における電子ビ
ーム軌道が安定し、陰極線管特性を安定化することがで
きる。また、第2電極12における圧印開口端部331
の寸法(幅W11)を光学式測定機により、高精度に測定
できるので、電子銃の第2電極12の高精度品質管理が
行える。
【0045】なお、上例の仕上げ圧印加工では、開口側
へ垂直方向の両側から肉寄せして開口端部を圧印パンチ
で規制したが、その他、開口側へ周囲から肉寄せして開
口端部を圧印パンチで規制することも可能である。
【0046】
【発明の効果】本発明に係る電子銃の電極によれば、圧
印加工により成形された凹型部を有し、この凹型部を開
口幅が底部より小さい所要の幅に設定されたハの字断面
形状に形成し、この凹型部の底部に電子ビーム透過孔を
形成した構成とすることにより、凹型部の開口端部の位
置、開口幅が光学式測定機により高精度に測定すること
ができ、これによって、高精度品質管理が可能になる。
凹型部の開口部と電子ビーム透過孔との位置関係が安定
に且つ高精度に設定され、また、開口部の寸法、形状が
安定に且つ高精度に設定されるので、電子銃として組立
てたときに、電子ビーム軌道を安定化することができ、
また、電子ビームスポット径を安定化することができ
る。更に、陰極線管の特性を安定化することができる。
【0047】本発明の電子銃電極の製造方法によれば、
圧印加工にる開口部と電子ビーム透過孔との位置関係が
安定に且つ高精度に設定され、また、圧印開口部の寸
法、形状が安定に且つ高精度に設定された電子銃電極を
製造することができる。即ち、電子ビーム軌道が安定
し、また、電子ビームスポット径の安定した電子銃、及
びこれを備えた陰極線管の製造を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】A〜D 本発明に適用されるプレス成形方法、
特にその圧印加工法の参考例を示す工程図である。
【図2】A〜B 本発明に適用される仕上げ圧印加工の
他の参考例を示す工程図である。
【図3】本発明に係る圧印パンチの他の例を示す構成図
である。
【図4】図1Bの仕上げ圧印パンチの条件出しの説明に
供する断面図である。
【図5】A 本発明に適用される仕上げる圧印パンチの
一例を示す正面図である。 B その断面図である。
【図6】A 本発明に適用される仕上げ圧印パンチの他
の例を示す正面図である。 B その断面図である。
【図7】本発明に適用されるプレス成形物の開口寸法の
測定例を示す説明図である。
【図8】A 本発明に係る電子銃の第2電極の一実施の
形態を示す平面図である。 B その断面図である。
【図9】A 図8の要部の平面図である。 B その断面図である。
【図10】従来のプレス成形方法、特にその圧印加工法
を示す工程図である。
【図11】本発明の説明に供する電子銃の一例を示す構
成図である。
【図12】A 従来例に係る電子銃の第2電極を示す平
面図である。 Bその断面図である。
【図13】A 図12の要部を示す平面図である。 B その断面図である。
【図14】従来のプレス成形物の開口寸法の測定例を示
す説明図である。
【図15】A,B 電子銃の第2電極における圧印開口
部のずれの影響を説明するための説明図である。
【符号の説明】
12‥‥光学式対物レンズ、31‥‥母材、32,35
‥‥圧印パンチ、33‥‥開口、33a‥‥開口部材、
34‥‥凹型部、37‥‥パンチ本体、38‥‥突起状
型部、39‥‥仕上げ圧印パンチ、41‥‥凹部、10
‥‥電子銃、11〜18‥‥第1〜第8電極、19‥‥
コンバージェンスカップ電極、12‥‥第2電極、34
1R,341G,341B‥‥凹型部、431R,43
1G,431B‥‥電子ビーム透過孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−273270(JP,A) 特開 平2−6034(JP,A) 特開 昭57−47531(JP,A) 特開 平11−31455(JP,A) 特開 平7−21937(JP,A) 実開 昭64−15630(JP,U) 実開 昭61−190330(JP,U) 特公 昭47−7618(JP,B1) 特公 昭47−42030(JP,B1) 特公 昭49−40068(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 9/14,29/48 B21K 23/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧印加工により成形された凹型部を有
    し、 前記凹型部が、開口幅を平坦な底部の幅より小さい所要
    の幅に設定したハの字断面形状に形成され、 前記凹型部の底部に前記開口の中心と略同じ位置に中心
    を有する電子ビーム透過孔が形成されて成ることを特徴
    とする電子銃の電極。
  2. 【請求項2】 電極部材に第1の圧印加工で第1の開口
    を有する凹型部を成形する工程と、 第2の圧印加工で、前記開口側へ両側、又は周囲から肉
    寄せして開口端部を圧印パンチで規制し、前記凹型部の
    平坦な底部の幅よりも小さい所要幅の第2の開口に設定
    してハの字断面形状の凹型部に成形する工程と、 前記凹型部の底部に前記第2の開口の中心と略同じ位置
    に中心を有する電子ビーム透過孔を形成する工程を有す
    ることを特徴とする電子銃電極の製造方法。
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