JP3219803B2 - オキサゾリン化合物の製造方法 - Google Patents

オキサゾリン化合物の製造方法

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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルカノールアミンとカ
ルボン酸とを接触気相脱水環化反応してオキサゾリン化
合物を製造する方法に関する。
【0002】オキサゾリン化合物は反応性の高い複素五
員環を有する環式イミノエーテルであり、各種中間原
料、ポリマーあるいは架橋剤の原料として非常に利用価
値の高い化合物である。
【0003】
【従来の技術】オキサゾリン化合物を製造する方法とし
てはアミドアルコールを触媒の存在下、加熱し脱水環化
する方法が知られており触媒として種々の提案がされて
いる。米国特許 3,681,333号ではマンガン、コ
バルト、モリブデンまたはタングステンの酸化物、硫化
物、無機酸塩またはヘテロポリ化合物を、ヨーロッパ特
許 164,219号 では錫のアルカノエートを、特開
昭56−128772号公報では鉄塩を、そして米国特
許4,354,029号では亜鉛の有機酸塩をそれぞれ触
媒として用いている。また、ドイツ特許 3,224,8
80号では酢酸亜鉛を触媒としてアルカノールアミンと
ニトリルを反応させる方法が提案されている。
【0004】しかしながら、これらの方法はいずれも液
相反応であり触媒の分離が面倒なことや、触媒を回収、
再使用すると触媒活性が低下し収率が低くなるなどの問
題がある。
【0005】一方、特開昭52−19661号公報では
アミドアルコールをチタン系触媒の存在下で気相反応さ
せてオキサゾリン化合物を得る方法も提案されている。
【0006】この方法は上記のような触媒の分離の場合
の問題は無いが、例えば2−メチル−2−オキサゾリン
では収率が80%弱と低く工業的な生産という観点から
はまだ十分満足できる製造法ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前述
した問題点を解決し、アルカノールアミンとカルボン酸
から高選択的でかつ効率良くオキサゾリン化合物を製造
する新規な方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、新規なオ
キサゾリン化合物の製造方法について鋭意検討した結
果、アルカノールアミンとカルボン酸とを触媒の存在
下、気相で脱水環化反応させることにより、高選択的に
オキサゾリン化合物を製造し得ることを見い出し本発明
に至った。即ち本発明は、一般式(I)
【0009】
【化4】
【0010】で表されるアルカノールアミンと一般式
(II)
【0011】
【化5】
【0012】で表されるカルボン酸とを酸塩基強度関数
(Ho)が+4.0〜+7.0の範囲の酸点と+7.0
〜+9.3の範囲の塩基点とを有する触媒の存在下で接
触気相脱水環化反応させることを特徴とする、一般式
(III)
【0013】
【化6】 (式中のR,R,R,R,Rは式(I),
(II)と同じ)で表されるオキサゾリン化合物の製造
方法ならびに上記の触媒を対象とする。
【0014】本発明によれば高選択的にオキサゾリン化
合物を製造することができる。しかも、容易に入手する
ことのできる原料から一段でオキサゾリン類が製造でき
て経済的にも非常に有利な方法である。以下、本発明を
詳しく説明する。
【0015】本発明において原料として用いられる前記
一般式(I)で表されるアルカノールアミンは具体的に
例示すると、モノエタノールアミン、モノイソプロパノ
ールアミンなどが挙げられる。また一般式(II)で表
されるカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、メタク
リル酸などが挙げられる。本発明の方法によって、これ
らのアルカノールアミンとカルボン酸から対応する前記
一般式(III)で表されるオキサゾリン化合物が得ら
れる。本発明における触媒は、酸塩基強度関数(Ho)
が+4.0〜+7.0、好ましくは+4.8〜+7.0
の範囲の酸点と+7.0〜+9.3の範囲の塩基点とを
有する触媒である。中でもリン系触媒やケイ素系触媒が
好適に使用される。リン系触媒としては一般式 Xab
cd (ここで、Xは周期律表のIIIA族元素、I
VA族元素、VA族元素、I族ないしVIII族の遷移
金属元素、ランタニド元素およびアクチニド元素の中か
ら選ばれる少なくとも1種の元素、Pはリン、Mはアル
カリ金属元素およびアルカリ土類金属元素の中から選ば
れる少なくとも1種の元素、Oは酸素を表す。また、添
字a,b,cおよびdは各元素の原子数の比を表し、a
=1のとき、b=0.01〜6(好ましくは0.1〜
3)、c=0.01〜3(好ましくは0.05〜2)で
あり、dはa、b、cの値および各構成元素の結合状態
によって定まる数値である)で表される組成物が推奨さ
れる。ケイ素系の触媒としては一般式 Siabcd
(ここで、Siはケイ素、Mはアルカリ金属元素および
アルカリ土類金属元素の中から選ばれる少なくとも1種
の元素、Yはホウ素、アルミニウム、チタン、ジルコニ
ウム、スズ、亜鉛およびセリウムの中から選ばれる少な
くとも1種の元素、Oは酸素を表す。また、添字a,
b,cおよびdは各元素の原子数の比を表しa=1のと
きb=0.005〜1(好ましくは0.01〜6)、c
=0.005〜1(好ましくは0.005〜0.2)で
あり、dはa、b、cの値および構成元素の結合状態に
よって定まる数値である)で表される組成物が推奨され
る。本発明の実施にあたり、反応器は固定床型,流動床
型のいずれも使用できるが固定床型が好ましい。反応圧
は常圧,加圧または減圧のいずれでも行うことができ
る。原料アルカノールアミンとカルボン酸は必要に応じ
て窒素、アルゴン等の不活性ガスで希釈する事も可能で
ある。アルカノールアミンとカルボン酸のモル比は1:
2〜2:1の範囲内、後の精製工程を考慮すると1:1
にする事がより好ましい。常圧下、不活性ガスで希釈し
て反応させる場合の好ましい反応条件は、一般的には、
アルカノールアミンとカルボン酸の濃度は1〜30容量
%、反応温度は300〜500℃、より好ましくは35
0〜450℃の範囲内、原料ガスの空間速度は100〜
20000hr-1(STP) 、より好ましくは500〜500
0hr-1(STP) の範囲内である。アルカノールアミンとカ
ルボン酸の濃度は高すぎると収率の低下を招き、低すぎ
ると生産性が悪くなる。反応温度が高すぎると触媒上に
炭素状析出物が急速に蓄積して触媒の寿命が短くなるう
え、副反応が多くなって収率が低下し、装置、用役の面
でも不利である。一方、反応温度が低すぎても活性が不
十分となって収率の低下を招く。空間速度は小さすぎる
と反応器が大きくなるうえに生産性が低く、また大きす
ぎるとガスの流量が大きすぎて触媒層の圧力損失が大き
くなり、反応が円滑に進行せずに転化率が低下して収率
低下につながる。触媒の層長は空間速度が大きい場合は
圧力損失が大きくなって入口圧が高くなってしまうの
で、余り長くしない方が好ましい。しかし、不活性ガス
などを用いると生成したオキサゾリン化合物が不活性ガ
スに同伴して捕集できずに失われる可能性がある。ま
た、大量の不活性ガスを消費するためその費用も大きな
ものになり、不活性ガスを回収して循環使用すると工程
が複雑になり設備費も高くなる。その点、実質的に不活
性ガスなどを用いずにアルカノールアミンとカルボン酸
の濃度は100%で反応させる方法が好ましい。この場
合の好ましい反応条件は、一般的には、反応圧力が5〜
250mmHg(絶対圧)、反応温度が300〜450℃、
空間速度が50〜500hr-1(STP) の範囲内である。反
応圧力が低すぎると反応生成物を充分に捕集するのが困
難になり、また減圧装置の負荷が大きくなって設備的に
も不利である。反応温度や空間速度については前述した
と同様である。
【0016】
【発明の効果】本発明の触媒を用いることにより、アル
カノールアミンとカルボン酸から高選択的にオキサゾリ
ン化合物を製造することができる。本発明は、新規な触
媒により利用価値の高いオキサゾリン化合物を容易に入
手可能な原料から非常に効率良く製造することができ、
工業化する上で非常に優れた製造法である。
【0017】
【実施例】以下実施例によって本発明を詳しく説明す
る。なおアルカノールアミンの転化率、オキサゾリン化
合物の選択率、収率は次の定義によった。
【0018】アルカノールアミン転化率=反応に消費さ
れたアルカノールアミン(モル)/反応器に供給したア
ルカノールアミン(モル) × 100(%) オキサゾリン化合物選択率=生成したオキサゾリン化合
物(モル)/ 反応に消費されたアルカノールアミン
(モル) × 100(%) オキサゾリン化合物収率=生成したオキサゾリン化合物
(モル)/ 反応器に供給したアルカノールアミン(モ
ル) × 100(%) また、酸塩基強度はハメット指示薬によって容易に測定
できる。具体的な手順としては、触媒を100メッシュ
に破砕し、300℃にて24時間乾燥した後、その約
0.1gを無水ベンゼン約1ml中に投入した試料を9本
調製する。そして、試料それぞれにハメット指示薬とし
て、ジシンナマルアセトン(Ho=−3.0)、p−ジ
メチルアミノアゾベンゼン(Ho=+3.3)、フェニ
ルアゾナフチルアミン(Ho=+4.0)、メチルレッ
ド(Ho=+4.8)、ニュートラルレッド(Ho=+
6.8)、ブロモチモールブルー(Ho=+7.2)、
m−ニトロフェノール(Ho=+8.3)、フェノール
フタレイン(Ho=+9.3)および2,4,6−トリ
ニトロアニリン(Ho=+12.2)のベンゼン溶液そ
れぞれを2〜3滴加えて攪拌した後、24時間室温に静
置し、発色の有無によりHoを測定する。
【0019】<触媒調製> (1) Al0.9Cd0.10.9 なる組成の触媒の調製 硝酸アルミニウム9水塩168.8gおよび硝酸カドミ
ウム11.8gを水500mlに溶解し、85重量%リン
酸51.9gを攪拌しながら加えて加熱濃縮後120℃
で12時間乾燥した。得られた固形物を5〜9メッシュ
に破砕し、1000℃で焼成して、酸素を除く原子比で
Al0.9Cd0.10.9 なる組成の触媒を得た。H0
測定した結果を表1に示す。
【0020】(2) Si1Cs0.1Ca0.050.1 なる組
成の触媒の調製 炭酸セシウム16.3gおよび水酸化カルシウム3.7
gを水500mlに加熱溶解させた後、ホウ酸6.2gシ
リカゲル60gを加えて攪拌しながら加熱濃縮後、12
0℃で15時間乾燥した。得られた固形物を5〜9メッ
シュに破砕し、700℃で焼成して、酸素を除く原子比
で、 Si1Cs0.1Ca0.050.1 なる組成の触媒を得
た。H0を測定した結果を表1に示す。
【0021】(3) Cs0.90.10.8Al0.01 なる組成
の触媒の調製 硝酸セシウム17.5g、水酸化カリウム0.56gお
よび85重量%リン酸9.2gを水300gに溶解し、
担体としてシリカゲル60gを加え、更に硝酸アルミニ
ウム0.38gを加えて加熱濃縮し、120℃で12時
間乾燥した。得られた固形物を5〜9メッシュに破砕
し、700℃で4時間焼成して、担体シリカゲルのケイ
素,酸素を除く原子比で、Cs0.90.10.8Al0.01
なる組成の触媒を得た。H0を測定した結果を表1に示
す。
【0022】<反応> 実施例1 上記触媒調製(1) により調製して得られた Al0.9Cd
0.10.9なる組成の触媒20mlを内径16mmのステンレ
ス製反応管に充填した後、400℃の溶融塩浴に浸漬
し、該反応管内に容量比で、モノエタノールアミン :
酢酸:窒素=5 :5:95の原料ガスを空間速度400
0hr-1(STP) で通して反応した。反応開始から2時間後
の反応生成物をメタノ−ル100mlずつ入れた3本の
捕集瓶を用い、氷水で冷却しながら10分間捕集後、ガ
スクロマトグラフィーで分析し、表1に示す結果を得
た。
【0023】実施例2〜7 触媒の組成、酸塩基強度、原料アルカノールアミンとカ
ルボン酸の種類、原料アルカノールアミン、カルボン酸
の濃度、空間速度、反応温度を表−1に示した条件とし
た以外は実施例1と同様に反応した。なお、いずれも原
料アルカノ−ルアミンとカルボン酸とのモル比は1:1
とした。実施例1と同様に分析し、表1に示す結果を得
た。
【0024】
【表1】
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 263/00 - 263/50 B01J 27/00 - 27/18 C07B 61/00 CA(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1,R2,R3,R4は各々独立して水素原子,
    炭素数1〜4のアルキル基の中から選ばれる1種であ
    る。) で表されるアルカノールアミンと一般式(II) 【化2】 R5COOH (II) (式中、R5は炭素数1〜4のアルキル基または炭素数
    3〜4のアルケニル基の中から選ばれる1種である) で表されるカルボン酸とを、酸塩基強度関数(Ho)が
    +4.0〜+7.0の範囲の酸点と+7.0〜+9.3の範
    囲の塩基点とを有する触媒の存在下で接触気相脱水環化
    反応させることを特徴とする、一般式(III) 【化3】 (式中のR1,R2,R3,R4,R5は式(I),(I
    I)と同じ) で表されるオキサゾリン化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 触媒が一般式Xabcd(ここで、X
    は周期律表のIIIA族元素、IVA族元素、VA族元
    素、I族ないしVIII族の遷移金属元素、ランタニド
    元素およびアクチニド元素の中から選ばれる少なくとも
    1種の元素、Pはリン、Mはアルカリ金属元素およびア
    ルカリ土類金属元素の中から選ばれる少なくとも1種の
    元素、Oは酸素を表し、添字a,b,cおよびdは各元
    素の原子数の比を表し、a=1のとき、b=0.01〜
    6、c=0.01〜3の範囲内であり、dはa、b、c
    の値および各構成元素の結合状態によって定まる数値で
    ある)で表される組成物である請求項1記載のオキサゾ
    リン化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】 触媒が一般式Siabcd(ここで、
    Siはケイ素、Mはアルカリ金属元素およびアルカリ土
    類金属元素の中から選ばれる少なくとも1種の元素、Y
    はホウ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ス
    ズ、亜鉛およびセリウムの中から選ばれる少なくとも1
    種の元素、Oは酸素を表し、添字a,b,cおよびdは
    各元素の原子数の比を表しa=1のときb=0.00
    5〜1、c=0.005〜1の範囲内であり、dはa、
    b、cの値および構成元素の結合状態によって定まる数
    値である)で表される組成物である請求項1記載のオキ
    サゾリン化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1,R2,R3,R4は各々独立して水素原子,
    炭素数1〜4のアルキル基の中から選ばれる1種であ
    る。) で表されるアルカノールアミンと一般式(II) 【化2】 R5COOH (II) (式中、R5は炭素数1〜4のアルキル基または炭素数
    3〜4のアルケニル基の中から選ばれる1種である) で表されるカルボン酸とを、接触気相脱水環化反応させ
    ることによって、一般式(III) 【化3】 (式中のR1,R2,R3,R4,R5は式(I),(I
    I)と同じ) で表されるオキサゾリン化合物を製造するために用いる
    触媒であって、酸塩基強度関数(Ho)が+4.0〜+
    7.0の範囲の酸点と+7.0〜+9.3の範囲の塩基点
    とを有し、且つ一般式X a b c d (ここで、Xは周期
    律表のIIIA族元素、IVA族元素、VA族元素、I
    族ないしVIII族の遷移金属元素、ランタニド元素お
    よびアクチニド元素の中から選ばれる少なくとも1種の
    元素、Pはリン、Mはアルカリ金属元素およびアルカリ
    土類金属元素の中から選ばれる少なくとも1種の元素、
    Oは酸素を表し、添字a,b,cおよびdは各元素の原
    子数の比を表し、a=1のとき、b=0.01〜6、c
    =0.01〜3の範囲内であり、dはa、b、cの値お
    よび各構成元素の結合状態によって定まる数値である)
    で表される組成、または、一般式Si a b c d (ここ
    で、Siはケイ素、Mはアルカリ金属元素およびアルカ
    リ土類金属元素の中から選ばれる少なくとも1種の元
    素、Yはホウ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウ
    ム、スズ、亜鉛およびセリウムの中から選ばれる少なく
    とも1種の元素、Oは酸素を表し、添字a,b,cおよ
    びdは各元素の原子数の比を表しa=1のときb=
    0.005〜1、c=0.005〜1の範囲内であり、d
    はa、b、cの値および構成元素の結合状態によって定
    まる数値である)で表される組成、を有することを特徴
    とする触媒。
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