JP3218705B2 - 焼成用匣鉢の識別構造 - Google Patents

焼成用匣鉢の識別構造

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JP3218705B2
JP3218705B2 JP19830492A JP19830492A JP3218705B2 JP 3218705 B2 JP3218705 B2 JP 3218705B2 JP 19830492 A JP19830492 A JP 19830492A JP 19830492 A JP19830492 A JP 19830492A JP 3218705 B2 JP3218705 B2 JP 3218705B2
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宏之 鵜飼
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子部品用基板などと
して用いられるセラミック成形体の焼成を行う際に使用
される焼成用匣鉢の識別構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、いわゆる生(グリーン)状態
にあるセラミック成形体の焼成に際しては、図示してい
ないが、アルミナ質などのセラミックからなる箱形の焼
成用匣鉢内に被焼成物であるセラミック成形体の多数を
収納したうえ、これらの焼成用匣鉢が複数段積みされた
台板を温度設定された焼成炉内に送り込んで移動させな
がら加熱することが行われている。そして、このような
焼成作業にあっては生産管理上の必要から予め焼成用匣
鉢ごとに識別標識を付しておく必要があり、この種の識
別標識としてはマンガン・クロム系のマーキング剤から
なるバーコードやドットマークなどが印刷形成された焼
成済みアルミナ基板を匣鉢本体の所定位置上に貼り付け
た構造を採用することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したよ
うなセラミック成形体の焼成を行うにあたっては、セラ
ミック成形体を1200℃以上というような高温域で加
熱しなければならない場合があり、このような場合には
焼成用匣鉢のみならず各々に付された識別標識までもが
同時に高温域まで加熱されることになってしまう。そし
て、このような高温加熱を行った際には、マンガン・ク
ロム系のマーキング剤がにじんだり飛散し、かつ、識別
標識としてのバーコードやドットマークの着色状態が悪
くなって読み取りが困難となることが起こるほか、マー
キング剤中のマンガンやクロムが製品であるセラミック
成形体に付着したうえで拡散することによって製品特性
の劣化を招くというような不都合が生じることになって
いた。
【0004】本発明は、このような不都合に鑑みて創案
されたものであって、長時間にわたって識別標識を鮮明
なままで維持することができ、この識別標識に起因する
製品特性の劣化を招く恐れのない焼成用匣鉢の識別構造
を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる焼成用匣
鉢の識別構造は、このような目的を達成するために、セ
ラミックからなる匣鉢本体の少なくとも標識形成面上に
ジルコニアを主成分とした下地被膜を形成するととも
に、該下地被膜上に純度が90%以上の酸化鉄粉末を主
成分とした識別標識を形成していることを特徴とするも
のである。
【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0007】図1は本実施例にかかる焼成用匣鉢の概略
構造を示す外観斜視図、図2はその識別構造を拡大して
示す要部断面図であり、これらの図における符号1は焼
成用匣鉢である。
【0008】この焼成用匣鉢1は生(グリーン)状態に
あるセラミック成形体を焼成する際に使用されるもので
あり、アルミナ質などのセラミックからなる箱形の匣鉢
本体2を備えている。そして、この匣鉢本体2の露出し
た表面上には、ジルコニアを主成分とするペースト状の
コーティング剤からなり、かつ、膜厚が50ないし20
0μm程度とされた下地被膜3が全面的に塗布されたう
え、1300〜1400℃程度の温度下で加熱すること
によって形成されている。なお、下地被膜3となるコー
ティング剤は、ジルコニア単独のみからなるもの、ある
いは、ジルコニアに対して微量の酸化カルシウムもしく
は酸化イットリウムを添加してなるもののいずれであっ
てもよい。また、ここで、下地被膜3の膜厚を50ない
し200μmの範囲内と規制したのは、膜厚が50μm
以下では後述する識別標識と匣鉢本体2との反応防止効
果が損なわれる恐れがあり、膜厚が200μm以上では
下地被膜3が剥がれやすくなるためである。
【0009】さらに、この下地被膜3の所定位置上に
は、純度が90%以上とされた酸化鉄粉末を主成分とす
るマーキング剤、例えば、純度が99.8%の酸化鉄粉
末を含むベンガラからなるバーコード4が識別標識とし
て印刷形成されている。なお、このとき、純度90%以
上の酸化鉄粉末を主成分とするマーキング剤を用いるの
は、このようなマーキング剤及びジルコニアにおける単
体同士での反応性が乏しく、自由に混じり合うことが起
こり得ないからである。そして、このベンガラからなる
バーコード4は印刷形成されたうえで1200℃以上の
高温条件下において焼き付けられることが多いのである
が、焼成用匣鉢1そのものがいずれ1200℃以上とい
うような高温域で加熱されるのであるから、バーコード
4の印刷形成後における焼き付けを省略してもよいこと
は勿論である。
【0010】そして、本発明の発明者が以上説明した識
別構造の効果確認実験を行ったところによれば、本実施
例にかかる焼成用匣鉢1を1200℃の高温域下で15
0時間以上にわたって加熱したにも拘わらず、識別標識
であるバーコード4のにじみだしや飛散、また、その着
色状態の悪化などは生じないことが確認された。また、
マーキング剤成分の付着及び拡散に起因する製品特性の
劣化も生じなかった。
【0011】ところで、以上の説明においては、匣鉢本
体2の全表面上にわたって下地被膜3を塗布形成するも
のとしているが、このことに限定される訳ではなく、匣
鉢本体2の表面における少なくとも標識形成面(図示し
ていない)上にのみ下地被膜3が形成されていればよい
ことはいうまでもない。さらに、以上の説明では、識別
標識がバーコード4であるものとしているが、例えば、
ドットマークや多角形状マークを識別標識として用いる
ことも可能であることは勿論である。
【0012】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる焼
成用匣鉢の識別構造によれば、高温加熱を行った際にお
いても識別標識のにじみだしや飛散、その着色状態の悪
化などが生じることはなくなり、長時間にわたって識別
標識を鮮明なままで維持することができる。また、マー
キング剤成分の付着及び拡散に起因する製品特性の劣化
が生じることもなく、識別標識に起因する製品特性の劣
化を招く恐れもないという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例にかかる焼成用匣鉢の概略構造を示す
外観斜視図である。
【図2】その識別構造を拡大して示す要部断面図であ
る。
【符号の説明】
1 焼成用匣鉢 2 匣鉢本体 3 下地被膜 4 バーコード(識別標識)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F27D 3/12 C04B 33/32 C04B 35/64

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミックからなる匣鉢本体(2)の少な
    くとも標識形成面上にジルコニアを主成分とした下地被
    膜(3)を形成するとともに、該下地被膜(3)上に純
    度が90%以上の酸化鉄粉末を主成分とした識別標識
    (4)を形成していることを特徴とする焼成用匣鉢の識
    別構造。
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