JP3218286B2

JP3218286B2 - バタフライ弁

Info

Publication number: JP3218286B2
Application number: JP06832698A
Authority: JP
Inventors: 幸一久田
Original assignee: 株式会社巴技術研究所
Priority date: 1998-03-18
Filing date: 1998-03-18
Publication date: 2001-10-15
Anticipated expiration: 2018-03-18
Also published as: JPH11264477A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、中心型バタフライ
弁と偏心型バタフライ弁の長所を兼ね備えたバタフライ
弁の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、バタフライ弁は、本体（弁本
体）の内部に弁棒に取付けられた弁体を回動自在に支持
して設け、弁棒を介して弁体を回動して流体の流れを開
閉（オン・オフ）ないし流量制御するものであるが、本
体内面に装着される弾性材料からなる環状のシートリン
グと弁体外周縁とのシール構造において、中心型バタフ
ライ弁と偏心型バタフライ弁の２種類に分類される。

【０００３】図２は、中心型バタフライ弁の代表的な構
造を示すもので、両側にフランジを有しないウエハ形
（薄形）の中心型バタフライ弁の全閉状態の弁棒中心を
含む縦断面図である。図において、本体１の内周面に、
ゴム等の弾性材料からなる環状シートリング２が、その
両側に一体に形成された耳部２ａを本体１の両側面に形
成された環状凹部に嵌め込み互いに係合して本体１に対
して装着固定されている。上記環状シートリング２の中
心部を貫通するようにして弁棒３が本体１に挿通支持さ
れており、該弁棒３に、結合ピン４を介して弁体５が取
付けられている。そして上記図示した中心型バタフライ
弁は、弁体５の全閉時において、弁体５の外周縁と本体
１とがシートリング２を介して圧接するシール面が、弁
棒３の回転中心軸線３ａと一致しているのを特徴として
いる。

【０００４】上記した構造を有する中心型バタフライ弁
は、次のような特徴を有している。１）本体が接液しないので、経済的な本体材質が使え
る。内面が損傷してもシートリングの交換で復旧可能で
ある。２）偏心型に比較すると、構成部品が少なくて済み、経
済的である。３）配管との接続に、ガスケットを必要としない。４）流体圧力がかかると、弁体とシートリングのシール
面圧を下げる方向に働くため高い圧力のシールは困難で
ある。５）弁体の弁棒貫通部付近は、閉時、開時、いずれもシ
ートリングと接触しており、トルクアップ、短寿命化の
原因となる。６）図４に示すように、弁体とシートリングの接触は、
弁棒貫通部付近Ａ部と円周部Ｂ部では接触面積が異なる
ため、シール面圧が全周で一定とならず、Ｂ部および
Ａ，Ｂの境界においてシール性を不安定にさせる要因と
なっている。

【０００５】一方、図３は、偏心型バタフライ弁の代表
的な構造を示すもので、同じくウエハ形の偏心型バタフ
ライ弁の全閉状態の縦断面図である。図において、本体
１の中心部を貫通する弁棒３に偏心して弁体６が、上下
２個の一体に形成された偏心支持部材６ａを介して結合
ピン４によって取付けられており、これら上下２個の偏
心支持部材６ａは、弁体６を本体１の内周面の中央位置
に保持するために、スペーサ７を介して本体１の内周面
に係合支持されている。

【０００６】上記弁体６は、全閉位置（図示の位置）に
おいて該弁体６の外周縁と当接するように、弾性材料か
らなるシートリング８が、本体１の下流側の端部に形成
された切欠き段部１ａに嵌め込まれ、その外側をシート
リテーナ（保持体）９によって押圧して本体１の下流側
の一側に固着されている。弁閉時、矢印イ方向の流体圧
力を受けて、該弁体６がシートリング８に圧接されるよ
うに、両者の当接面は傾斜して形成されている。図中、
１０は軸封部材、１ｂは底蓋である。

【０００７】上記図示された偏心型バタフライ弁は、弁
体６の全閉位置において、弁体６の外周縁と本体１とが
シートリング８を介して圧接するシール面が、弁棒３の
回転中心軸線３ａと一致しないのを特徴としている。

【０００８】上記した構造を有する偏心型バタフライ弁
は、次のような特徴を有している。１）本体が接液するので、耐食性のある本体材質が要求
される。内面の損傷は、バルブそのものの寿命となる。２）中心型に比較すると、構成部品が多く、構造が複雑
で高価になりやすい。３）流体圧力が、弁体をシートリングに押しつける方向
に働くので、比較的高い圧力をシールできる。４）弁体は弁閉時シートリングに密着するが、弁開時に
はシートリングに接触しない。５）弁体のシートリングの接触は、全閉時に全周同一の
面圧で接触できる。弁体とシートリングの接触面積は、
全周で同一である。６）配管との接続に、ガスケットが必要である。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
の中心型バタフライ弁と偏心型バタフライ弁は、それぞ
れ利点と欠点を有している。

【００１０】即ち、中心型バタフライ弁は、経済的な反
面、高圧用途には向かず、また、弁体の一部（弁棒貫通
部）が開・閉の何れの場合でもシートリングに接触した
ままであり、そのためトルクやシール性の阻害要因とな
っていた。

【００１１】一方、偏心型バタフライ弁は、高圧シール
が可能で、開時の弁体とシートリングの接触もなく、ト
ルクとシール性に優れている反面、構造が複雑なため高
価で、且つ配管との接続にガスケットが必要など、取り
扱いも面倒であった。

【００１２】上記のような両型式のバタフライ弁の有す
る利点を生かし且つ欠点を補うようにするために、軸方
向流路を有する本体と、弁閉時該流路に直角な平面内に
配置される弁円板（弁棒と直角断面が三角形状をなして
いる。）と、本体を貫通する弁棒から流路方向に偏位し
て弁円板の周縁シール（封止）表面と共働する第１及び
第２の環状シール接触区域を有する弁座を有し、これら
の二つの接触区域は互いに平行で弁棒を挿んで両側に位
置し、円板の軸方向偏位距離の２倍の軸（流路）方向間
隔を有し、上記二つの弁座のうちの一つ（主弁座）が損
傷摩耗したとき、弁円板を１８０°回転して新しい交代
弁座が使用状態となって弁の寿命が２倍になるようにし
たバタフライ弁が、既に考案されている（特公昭４７−
５５８４号公報参照）。

【００１３】しかし、このものにおいても、弁円板を貫
通して回転駆動する弁棒は、弁座を構成するシートリン
グを貫通して本体に挿通支持される構造となっているの
で、弁体の弁棒貫通部付近は、従来の中心型バタフライ
弁と同様に、開弁時と閉弁時の何れも弁体がシートリン
グと接触しているため、トルクが高く、また常時接触に
よる摩耗により短寿命化の原因となるという問題点があ
った。

【００１４】本発明は、上記した従来の中心型バタフラ
イ弁と偏心型バタフライ弁の長所を兼ね備え、且つ上記
した既に考案されている公知のバタフライ弁の問題点を
除去したバタフライ弁を提供することを課題としてい
る。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、本発明の採った手段は、弁体の外周縁部と共働
してシール作用をする弾性材料からなる環状シートリン
グを本体に装着したバタフライ弁において、本体の内周
面に、該内周面を覆うようにして弾性材料からなる環状
のシートリングを装着し、該シートリングを貫通して本
体に挿通支持される弁棒の周りに当接するシールポイン
トを該シートリングに埋設し、該シールポイントに弁棒
方向に対向するように上記弁棒に嵌合する半径方向の厚
みを薄くし偏心支持部材の端面に別体として介装される
環状体で形成されたスペーサを介して、上記シートリン
グの内面に当接する偏心支持部材と一体化された弁体
を、該弁棒に偏心して取付けたことを特徴としている。

【００１６】また、シートリングを貫通する弁棒を、シ
ートリングの中心からずれた位置で貫通させたことを特
徴としている。

【００１７】

【００１８】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を、図
面に記載した実施例を用いて説明する。図１は、本発明
の一実施形態（実施例）を示す全閉状態にあるバタフラ
イ弁の弁棒中心軸を含む縦断面図である。

【００１９】図において、本体１１の内周面に、ゴム等
の弾性材料からなる環状の弾性シートリング１２が、そ
の両側に形成された耳部１２ａを本体１１の両側面に形
成された環状凹部に嵌め込み互いに係合して本体１１に
対して装着固定されている。該シートリング１２の内周
面には、全閉時、弁棒１３に偏心して取付けられる弁体
１４の外周縁部に形成された傾斜面部１４ｂに当接する
傾斜面部１２ｃが、弁棒貫通部より下流側に形成されて
いるので、該シートリング１２の流路に沿った全幅の中
心から上流側にずれた位置に弁棒１３が貫通されてい
る。

【００２０】上記本体１１は、シートリング１２の弁棒
１３の貫通部に形成される図示しないＯリング等からな
るシールポイント１２ｂで内部圧力をシールするため、
耐食性は必要なく、本体１１側に、従来の偏心型バタフ
ライ弁における軸封装置（図３の１０）等のシール構造
は必要としない。そして中心型バタフライ弁同様に、シ
ートリングの保持と全体の剛性が目的であり、鋳物、鋼
材等の炭素鋼材で構成される。また、シートリング１２
は、弁座シール、弁棒シール、配管接続のシール及び弁
体を中心位置に保持する役割を有し、通常ゴム材料で構
成される。

【００２１】上記したように本体１１の中心部を貫通す
る弁棒１３に偏心して、弁体１４が上下２個の偏心支持
部材１４ａを介して結合ピン１５によって取付けられて
おり、これら上下２個の偏心支持部材１４ａの上下の両
端面には、弁体１４をシートリング１２の中央位置に保
持するスペーサ１６が設けられている。該弁体１４は、
内部流体に侵されない材料が用いられ、炭素鋼、ステン
レス鋼などの鋳物、鋼材で構成される。同様に弁棒１３
も、内部流体に侵されない材料で構成されている。また
結合ピン１５は、弁棒１３のトルクを弁体１４に伝える
もので、ピン方式の他に、キー、ボルト、弁棒と弁体の
セレーション、角接合などもある。また、スペーサ１６
は、弁棒に嵌合する半径方向の厚みを薄くした環状体で
形成され、偏心支持部材１４ａとは別体として介装され
る。

【００２２】次に、作用について説明すると、図１に示
した全閉時において、弁体１４の外周縁部の傾斜面部１
４ｂは、シートリング１２の傾斜面部１２ｃに密接（当
接）しており、更に矢印イ方向からの流体圧力によって
弁体１４がシートリングの傾斜面部１２ｃに押し付けら
れて圧接され、高い圧力の弁座シール性が実現される。
一方、弁棒１３に沿う流体の漏れは、弁棒１３が貫通す
るシートリング１２の図示しないＯリング等からなるシ
ールポイント１２ｂによって封止（シール）される。

【００２３】次いで、弁体１４が上記全閉状態から開方
向に弁棒１３によって回転すると、弁体外周縁部の傾斜
面部１４ｂがシートリング１２の傾斜面部１２ｃから離
脱したあと、全周がシートリング１２から離脱し、弁体
１４は弁棒の中心軸線１３ａの周りに旋回して本体１１
の流路を開放する。このとき、回動する弁体とシートリ
ング１２の内面とは、スペーサ１６を介して接するだけ
である。このスペーサ１６は、弁体１４の位置保持用で
あり、それ自身シール機能は不要であるが、前記したよ
うに、弁棒に嵌合する半径方向の厚みを薄くした環状体
で形成され、偏心支持部材１４ａとは別体として介装さ
れるので、弁棒１３の回動時（開弁時）、該スペーサ７
は、通常ゴムで形成されたシートリング１２の内面とよ
り、弁体６と一体に形成された偏心支持部材１４ａの当
接面との方が摺動し易く、半径方向の厚みを薄くしたこ
とと相俟ってシートリング１２を摩耗させることは少な
い。

【００２４】従って、弁体１４の弁棒貫通部付近は、閉
弁時と開弁時の何れもスペーサ１６を介して僅かの面積
で接触するのみであるので、弁体１４の回動時のトルク
が少くて済むばかりでなく、接触による摩耗が少ないの
で寿命が長い。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
弁体の外周縁部と共働してシール作用をする弾性材料か
らなる環状シートリングを本体に装着したバタフライ弁
において、本体の内周面に、該内周面を覆うようにして
弾性材料からなる環状のシートリングを装着し、該シー
トリングを貫通して本体に挿通支持される弁棒の周りに
当接するシールポイントを該シートリングに埋設し、該
シールポイントに弁棒方向に対向するように上記弁棒に
嵌合する半径方向の厚みを薄くし偏心支持部材の端面に
別体として介装される環状体で形成されたスペーサを介
して、上記シートリングの内面に当接する偏心支持部材
と一体化された弁体を、該弁棒に偏心して取付けたこと
により、次のような効果を奏することができる。

【００２６】（ｉ）弁開時には、弁座シールのための弁
体とシートリングの圧接接触はスペーサを除いて離脱す
るので、弁体の弁棒貫通部付近が閉弁時と開弁時の何れ
もシートリングに接触している中心型バタフライ弁と比
較して、余分な接触運動がなく、シートリングをこすり
ながらの回転がないので、シートリングの劣化を最小限
に少なくすることが可能である。

【００２７】（ii）本体は接液せず、耐食性の高い材料
を必要としないので、中心型バタフライ弁同様の経済的
な材料が使用できる。また、構成部品は偏心型バタフラ
イ弁（図３）と比較すると少くて済み、中心型バタフラ
イ弁（図２）と同等とすることも可能であり、経済的な
部品構成が可能となる。

【００２８】(iii) 全閉時、弁体にかかる内部圧力は、
弁体をシートリングに密着させる方向に変位をもたらす
ので、中心型バタフライ弁と比較すると、同じ材料の部
品でも構造的に高い圧力のシールが可能である。

【００２９】（iv）配管の接続にガスケットを必要とし
ない。

【００３０】（ｖ）弁座シールのための弁体とシートリ
ングの接触は、全周で同一面積、同一圧縮量とすること
ができるので、どの部分でも安定したシール性能を確保
することができる。

【００３１】また、シートリングを貫通する弁棒を、シ
ートリングの中心からずれた位置で貫通させることによ
り、偏心弁体の外周縁部と密接するシートリングの設計
が容易となる。

【００３２】また、偏心支持部材の端面に別体として介
装されるスペーサを、半径方向の厚みを薄くした環状体
で形成することにより、弁体と一体の偏心支持部材の端
面とより相対運動の少ないシートリング内面との接触摩
擦抵抗が少くて済むもので、弁体の回動トルク並びに該
部の摩耗が少くて済む。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示すバタフライ弁の縦断
面図である。

【図２】従来の中心型バタフライ弁の縦断面図である。

【図３】従来の偏心型バタフライ弁の縦断面図である。

【図４】従来の中心型バタフライ弁の弁体の説明用図面
である。

【符号の説明】

１１本体１２シートリング１２ａ耳部１２ｂシールポイント１２ｃ弁体と密接する傾斜面部１３弁棒１３ａ弁棒中心線１４弁体１４ａ偏心支持部材１４ｂ弁体外周縁の傾斜面部１５結合ピン１６スペーサ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献実開昭49−40825（ＪＰ，Ｕ) 実開昭61−104859（ＪＰ，Ｕ) 実開昭49−25023（ＪＰ，Ｕ) 実開昭61−154371（ＪＰ，Ｕ) 実開昭58−130164（ＪＰ，Ｕ) 実開昭54−92439（ＪＰ，Ｕ) 特公昭47−5584（ＪＰ，Ｂ１) 実公平３−53088（ＪＰ，Ｙ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F16K 1/16 - 1/226

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】弁体の外周縁部と共働してシール作用を
する弾性材料からなる環状シートリングを本体に装着し
たバタフライ弁において、本体の内周面に、該内周面を
覆うようにして弾性材料からなる環状のシートリングを
装着し、該シートリングを貫通して本体に挿通支持され
る弁棒の周りに当接するシールポイントを該シートリン
グに埋設し、該シールポイントに弁棒方向に対向するよ
うに上記弁棒に嵌合する半径方向の厚みを薄くし偏心支
持部材の端面に別体として介装される環状体で形成され
たスペーサを介して、上記シートリングの内面に当接す
る偏心支持部材と一体化された弁体を、該弁棒に偏心し
て取付けたことを特徴とするバタフライ弁。
【請求項２】シートリングを貫通する弁棒を、シート
リングの中心からずれた位置で貫通させたことを特徴と
する請求項１記載のバタフライ弁。