JP3648467B2 - 偏心型バタフライ弁の本体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏心型バタフライ弁の本体に関し、特に高圧流体の仕様条件下で流量の改善を図ると共に流入側の損傷を防止するようにした本体に関する。
【0002】
【従来の技術】
剛性材料からなる中空円筒状本体の一端部の内周面と、該本体内に回転自在に軸支された剛性材料からなる弁体の周縁部との間に、弾性材料からなる環状シートリングを介在させ、弁棒の回転中心軸線と、弁体周面と本体とが環状シートリングを介して圧接するシール面とが一致しない偏心型バタフライ弁において、上記環状シートリングに、弁閉時弁体周縁部と圧接させるための断面山形のシート部を連続して円周方向に沿って形成したものが、先に本出願人によって開発されている(実公昭62−44215号公報参照)。
【0003】
このものは、図9に示されているように、環状の弁本体1aに弁棒(弁軸)2aが回動自在に軸支されており、該弁棒2aには弁体(弁板)3aが偏心して固着されており、図示の弁閉成位置において弁体周縁が、弁本体の内側に取着した断面U字形の従って外表面は断面山形をなしたシートリング4aに圧接して流体を遮断している。そしてこのものをパイプラインに配設する時、2点鎖線で図示している右側のパイプフランジFによって図示しない左側(反対側)フランジと、図示しないボルトを介して狭着される。上記2点鎖線で図示されたフランジFに固定されたパイプの内周面Faは、周知のとおり流れ方向軸線に平行しており、微少弁開度時、オリフィス側(バタフライ弁体が反時計方向に回動する時、その回動方向先端部側)の流体流路は、上記本体内周面及び突状シートリングの該部(オリフィス側流路に該当する個所)が高圧高流速流体条件下にあるため摩滅、損傷することがあった。
【0004】
又、上記公知例を含め、微少開度時において、弁開度に対して流量の割合が著しく少なく微少開度附近での使用が困難とされていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来技術では、図8に示すように、弁体3が反時計方向に微少弁開度した時、オリフィス側の本体1の流路内面と弁体3の先端部の間隙cが狭く、この狭い微少隙間から流体が急速な流れ(噴流)となって二次側に流出するので、該部の本体内周面の摩滅、損傷となった。同様に、流路側に山形シート部5を形成した突状シートリング4の該部(オリフィス側流路の該当する個所)が高圧高流速条件下により摩滅、損傷することがあり、又上記微少弁開度時においては、弁開度に対して流量の割合が著しく少なく、微少弁開度附近での使用が困難であった。
【0006】
本発明は、微少弁開度時オリフィス側流路において一次側(本体)内周面の摩滅、損傷を防止することと、また微少弁開度時において流量の増大改善を図ることを技術的課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の採った手段は、剛性材料からなる中空円筒状本体の一端部の内周面と、該本体内に回転自在に軸支された剛性材料からなる弁体の周縁部との間に、弾性材料からなる環状シートリングを介在させ、弁棒の回転中心軸線と、弁体周面と本体とが環状シートリングを介して圧接するシール面とが一致しない偏心型バタフライ弁において、上記環状シートリングに、弁閉時弁体周縁部と圧接させるための断面山形のシート部を連続して円周方向に沿って形成し、上記本体の少なくとも一次側に対向する外周側面と内周面との間に斜面を形成し、該斜面と外周側面とがなす角度及び斜面の幅を、弁軸直交位置において最も大きくし、弁軸位置において最も小さくしたことを特徴としている。
【0008】
また、本体の両側面に斜面を形成し、両斜面の角度と幅を弁軸直交位置において最も大きくし、弁軸位置において最も小さくしたことを特徴としている。
【0009】
また、斜面の幅と角度が最も大きな弁軸直交位置から最も幅と角度が小さい弁軸位置までの連続を、曲線で連続したことを特徴としている。
【0010】
また、斜面の幅と角度が最も大きな弁軸直交位置から最も幅と角度が小さい弁軸位置までの連続を、段部で連続したことを特徴としている。
【0011】
また、斜面の幅と角度が最も大きな弁軸直交位置から最も幅と角度が小さい弁軸位置までの連続を、直線で連続したことを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態を以下に説明する。本発明は偏心型バタフライ弁の本体において、本体の内周面とフランジ外周面との間に形成される斜面の幅L、とフランジ外周面と斜面とがなす角度θとを弁軸(棒)孔と直交する位置から弁軸(棒)孔位置に向かって変化させたことを特徴とする。
【0013】
即ち、本体の斜面の幅L及び角度θを弁軸(棒)直交位置において最大とし、弁軸(棒)孔位置で最小とする。斜面の最大位置と最小位置との間は、曲線、直線或は段付の連続のいずれの連続構造としてもよい。又斜面は、少なくとも弁の一次側と対向する面に形成することが必要であるが、流体の流れ方向、仕様条件により両側に形成することができる。
【0014】
本発明を適用可能なシートリングの固着方法について本図以外のものでもよい。又、本体両側にフランジ接続を有すもの、或は、フランジレス形のいづれの構造であっても良く、本体の構造は特に限定されない。又、本体の材質は鋳造品である鋳鉄、ダクタイル鋳鉄、鋳鋼、ステンレス鋼等のいずれでも良く、更にシートリングの材質は、弾性のある合成ゴム又は合成樹脂等の単体又は複合体とすることもできる。
【0015】
偏心型バタフライ弁の弁体を閉弁方向又は開弁方向に回動し微少開度時オリフィス側流路のとき、図8に示す従来のバタフライ弁は、弁体先端と本体内周面との間が微少の隙間cとなるため、この隙間から流体が急速な流れ(噴流)となって二次側に流出する。オリフィス側におけるかかる流体の急速な流れは、本体内周面の摩滅、損傷であり、同様にシートリングへの損傷、亀裂、破断へと連動する。
【0016】
本発明の本体は、かかるオリフィス側において最も急速な流れ作用が起こる弁軸(棒)直交位置の斜面の幅Lと角度θを前述したように最も大きくしてあるので、微少開度における本体とシートリング内周面との間の隙間cが充分に広くなり、図7に示すように、本体及びシートリングの損傷を可能な限り減少させることができ、高寿命のバタフライ弁を提供することが可能となる。
【0017】
【実施例】
図1〜7を参照して本発明の好ましい実施例を説明する。
1は偏心型バタフライ弁の本体で、金属、又は硬質の合成樹脂等の剛性材料から構成され、内部に中空円筒状の流体通路2が貫設されている。該流体通路2内には、弁軸(棒)方向位置の断面図である図1に示すように、弁軸(棒)7にテーパボルトを介して固定された弁体支持体3bの一側(図1で左側)に偏心して弁体3が弁軸7によって回動自在に軸支されており、上記全閉位置にある弁体3の周面に接触する位置に、弾性ゴム又は合成樹脂等からなる内径方向に突出した断面山形のシート部5(図3)を有するシートリング4が弁本体1の溝部に嵌込後、図示していない外部からエポキシ樹脂をシートリング4の裏側に注入固着している。
【0018】
本体(弁本体)1は、直径方向に貫通する弁軸(棒)7と直交位置において、図4に示すように、本体1の内周面9と外周側面10との間に形成された斜面11の幅L2と角度θ2が最も大きく形成され、弁軸(棒)位置に近づくに従って図3に示すように、漸次幅L1及び角度θ1が減少し、小さくなるように構成されている。
【0019】
なお、斜面11は、本体1の一次側(流入側)に形成されているが、弁の両側面即ち一次側と二次側(流出側)に形成することもできる。
【0020】
また、図3〜6において、弁の一次側に位置する斜面11はその幅Lと角度θが弁軸と直交する位置(A−A′断面位置)において前記のように最大の幅L2と角度θ2に形成され、弁軸(棒)位置(B−B′断面位置)では最小の幅L1と角度θ1に形成されており、上記中間の断面位置においては中間の幅と角度に形成される。
【0021】
斜面11の最大幅と角度を有するA−A′断面位置から最小の幅と角度を有するB−B′断面位置の間の連続は図5〜図6に示す滑らかな曲線12による連続に限られるものでなく直線13による連続、或いは段付等で連続しても良く、これに限定されるものではない。
【0022】
又シートリング4の本体1への固着方法についても、シートリング取付板等により固定する方法或は他の構造であっても良く、同様に適用することができる。
【0023】
図3〜図6において示されるように本体の少なくとも一次側に対向する外周側面と内周面との間に斜面を形成し、該斜面と外周側面とがなす角度及び斜面の幅を、弁軸直交位置(A−A′)において最大とし、該弁軸直交位置から円周方面の上下両側にほゞ30°づつ合計60°の範囲が最大となるようにしている。なお、弁の構成により、この範囲に限定されるものではない。
【0024】
又、上記弁軸直交位置(A−A′)と弁軸位置(B−B′)は幅と角度が最大と最小であり、中間位置では両者を連続した線で結ぶようにしている。
【0025】
なお、弁の構成により、中間位置(図5の30°附近)の円周方向の角度範囲(図5の上下方向)は30°に限定されるものではない。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、偏心型バタフライ弁において、シートリングに弁閉時弁体周縁部と圧接させるための断面山形のシート部を連続して円周方向に沿って形成し、本体の少なくとも一次側に対向する外周側面と内周面との間に斜面を形成し、該斜面と外周側面とがなす角度及び斜面の幅を、弁軸直交位置において最も大きくし、弁軸位置において最も小さくすることにより次のような効果を奏することができる。
【0027】
(i)閉弁又は開弁時の微少開度におけるオリフィス側での急速な流体流れによ本体及びシートリングの損傷を減少させることができる。
【0028】
(ii)微少開度における開弁状況は弁軸直交位置において最大であり該部の斜面及び角度により流量を従来弁に比較して改善(増大)することができる。即ち、流過面積の増大により流速が緩和し、摩滅が減少する。図7(本発明)と図8(従来弁)とを比較してグラフで示した図10に示されている。これにより、従来、微少開度におけるオリフィス側シートリングが急速な流体流れによる吸引力により内径方向に突出したり損傷するのを、本発明により解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる偏心型バタフライ弁の弁軸方向位置の断面図である。
【図2】本発明にかかる偏心型バタフライ弁の弁軸直交位置の断面図である。
【図3】本発明の弁軸方向位置断面の拡大図である。
【図4】本発明の弁軸直交位置断面の拡大図である。
【図5】本発明にかかる本体の展開図(内周面の90°範囲)である。
【図6】本発明にかかる本体の一変形の展開図である。
【図7】本発明にかかる弁体の微少開度、オリフィス側、弁軸直交位置の拡大図である。
【図8】従来弁における同様の拡大図である。
【図9】従来弁の一例を示す要部拡大図である。
【図10】従来弁と本発明とを比較して示した流量特性曲線図である。
【符号の説明】
1 本体(弁本体)
2 流体通路
3 弁体
4 シートリング
5 山形シート部
7 弁軸(弁棒)
9 内周面
10 外周側面
11 斜面
12 曲線
13 直線
c 流過隙間(オリフィス側流路)
L 斜面の幅
θ 斜面の角度

Claims (5)

  1. 剛性材料からなる中空円筒状本体の一端部の内周面と、該本体内に回転自在に軸支された剛性材料からなる弁体の周縁部との間に、弾性材料からなる環状シートリングを介在させ、弁棒の回転中心軸線と、弁体周面と本体とが環状シートリングを介して圧接するシール面とが一致しない偏心型バタフライ弁において、上記環状シートリングに、弁閉時弁体周縁部と圧接させるための断面山形のシート部を連続して円周方向に沿って形成し、上記本体の少なくとも一次側に対向する外周側面と内周面との間に斜面を形成し、該斜面と外周側面とがなす角度及び斜面の幅を、弁軸直交位置において最も大きくし、弁軸位置において最も小さくしたことを特徴とする偏心型バタフライ弁の本体。
  2. 本体の両側面に斜面を形成し、両斜面の角度と幅を弁軸直交位置において最も大きくし、弁軸位置において最も小さくしたことを特徴とする請求項1記載の偏心型バタフライ弁の本体。
  3. 斜面の幅と角度が最も大きな弁軸直交位置から最も幅と角度が小さい弁軸位置までの連続を、曲線で連続したことを特徴とする請求項1又は2記載の偏心型バタフライ弁の本体。
  4. 斜面の幅と角度が最も大きな弁軸直交位置から最も幅と角度が小さい弁軸位置までの連続を、段部で連続したことを特徴とする請求項1又は2記載の偏心型バタフライ弁の本体。
  5. 斜面の幅と角度が最も大きな弁軸直交位置から最も幅と角度が小さい弁軸位置までの連続を、直線で連続したことを特徴とする請求項1又は2記載の偏心型バタフライ弁の本体。
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