JP3218123B2 - 光学活性テトラヒドロピラン誘導体,それを含有する液晶組成物及び液晶素子 - Google Patents

光学活性テトラヒドロピラン誘導体,それを含有する液晶組成物及び液晶素子

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JP3218123B2
JP3218123B2 JP15909193A JP15909193A JP3218123B2 JP 3218123 B2 JP3218123 B2 JP 3218123B2 JP 15909193 A JP15909193 A JP 15909193A JP 15909193 A JP15909193 A JP 15909193A JP 3218123 B2 JP3218123 B2 JP 3218123B2
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正明 滑川
恵造 伊藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学活性テトラヒドロピ
ラン誘導体,それを含有する液晶組成物及び液晶素子に
関し、詳しくは、表示素子あるいは電気光学素子に用い
られる液晶材料として有用な新規な光学活性テトラヒド
ロピラン誘導体,それを含有する液晶組成物及び液晶素
子又は新規なラセミ混合物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種の表示素子,電子光学デバイ
ス,液晶センサなど、液晶の利用分野が著しく拡大しつ
つあり、それに伴って様々な構造の液晶化合物が提案さ
れてきた。特に、表示素子に用いられる液晶材料は、現
在のところネマティック液晶が主流であり、これを用い
たTN型あるいはSTN型の単純マトリックス方式及び
個々の画素ごとに薄膜トランジスタを付与したTFT型
のアクティブマトリックス方式が用いられている。しか
し、ネマティック液晶は、その駆動力が液晶材料の誘電
率の異方性と電場との弱い相互作用に基づくため、本質
的に応答速度が遅い(msecオーダー)という欠点を有し
ており、高速応答を要求される大画面の表示素子の材料
としては不利であった。これに対して、1975年マイ
ヤー( R. B. Meyer ) らにより初めて合成された強誘電
性液晶は、自発分極を有し、これが直接電界と作用する
ため、駆動力が大きく、1980年にクラーク( N. A.
Clark )らが表面安定化型強誘電性液晶素子(SSFL
CD)において、そのμsecオーダーの高速応答性と
メモリー性を発表して以来、注目を集め、これまで多く
の強誘電性液晶化合物が合成されてきた。
【0003】強誘電性液晶の応答速度はτ=η/(Ps
・E)で知られている。ここでηは回転粘性を示し、P
sは自発分極を示し、Eは電界強度を示す。これから、
高速応答性を得るため、粘性が小さく、自発分極の大き
な液晶材料が開発目標とされてきた。また、液晶材料と
しては、化学的安定性,広動作温度範囲などの特性が要
求されるが、単一の化合物でこれらの諸特性を満たすこ
とは困難であった。したがって、従来、複数のカイラル
スメクチックC相(SmC* 相) を有する化合物どうし
を混合したり、粘性の低いスメクチックC相(SmC
相)を有する母体液晶に光学活性な化合物を添加して所
望の性能を有するSmC* 相を示す強誘電性液晶組成物
を得る方法が用いられてきた。後者の場合には、添加す
るカイラルドーパントは、それ自体SmC* 相を有して
いても、有していなくてもよく、母体液晶との相溶性が
良好で、大きな自発分極を誘起し、粘性を増大させない
ことが要求される。
【0004】自発分極は、分子長軸に対して垂直な方向
の双極子モーメントが不斉炭素の影響により長軸回りの
自由回転が制御された結果生じると考えられている。し
たがって、双極子部分をコアと呼ばれる骨格部に近づ
ける、双極子部分と不斉炭素原子を近づける、不斉
炭素に立体的に大きな置換基をつけ、長軸回りの自由回
転を抑制する等の方法で自発分極を増大させる試みがな
されてきた。さらに最近、双極子部分と不斉炭素を5員
環ラクトンに直結させた構造の化合物が効果的に自由回
転を束縛し、大きな自発分極を有することが報告された
(Japanese Journal of Applied Physics, 29 巻,No.
6、 ppL 981 〜L 983)。このような状況下で本発明者ら
は、さらに新たなタイプの液晶として有望なテトラヒド
ロピラン環を有する新規な光学活性化合物を開発するこ
とを目的として鋭意研究を重ねた。
【0005】
【課題を解決するための手段】その結果、本発明者ら
は、テトラヒドロピラン環上の不斉炭素原子に、それ自
体大きな電子吸引性を有するフルオロアルキル基を有す
る新規化合物が、単品で液晶性を示すか、あるいは単品
では液晶性を示さないが、組成物とした場合に高速応答
が期待できる優れたドーパントとなりうることを見い出
した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものであ
る。すなわち、本発明は一般式(I)又は(I’)
【0006】
【化8】
【0007】〔式中、Rfは炭素数1又は2のフルオロ
アルキル基を示し、R1 は炭素数3〜20の直鎖又は分
岐鎖アルキル基を示し、R2 ,R3 及びR4 はそれぞれ
独立に水素又は炭素数1〜15の直鎖又は分岐鎖アルキ
ル基,炭素数2〜15のアルケニル基又は炭素数7〜1
0のアラルキル基を示し、X1 は−COO−,−OCO
−,−O−又は単結合を示し、X2 は−COO−,−O
CO−,−CH2 O−,−OCH2 −,−C≡C−又は
単結合を示し、X3 は−COO−,−CH2 O−又は−
O−を示し、X4 は−O−又は−OCO−を示し、*は
不斉炭素を示し、Aが
【0008】
【化9】
【0009】のいずれかであるときBは
【0010】
【化10】
【0011】
【化11】
【0012】のいずれかを示し(ただし、この場合nは
1である。)、Bが
【0013】
【化12】
【0014】のいずれかであるときAは
【0015】
【化13】
【0016】
【化14】
【0017】のいずれかを示し、nは0又は1を示
す。〕で表される光学活性テトラヒドロピラン誘導体を
提供するものである。また、本発明は上記光学活性テト
ラヒドロピラン誘導体を含有する液晶組成物あるいはそ
の液晶組成物からなる液晶素子をも提供するものであ
る。さらに、上記光学活性テトラヒドロピラン誘導体を
用いたラセミ混合物も提供するものである。
【0018】一般式(I)又は(I’)において、上記
のようなRfは炭素数1又は2のフルオロアルキル基を
示し、具体的にはトリフルオロメチル基,ジフルオロメ
チル基,クロロジフルオロメチル基,ペンタフルオロエ
チル基などであり、好ましくはトリフルオロメチル基で
ある。また、R1 は炭素数3〜20の直鎖又は分岐鎖ア
ルキル基、例えばn−プロピル基,イソプロピル基,n
−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,ter
t−ブチル基,n−ペンチル基,n−ヘキシル基,n−
ヘプチル基,n−オクチル基,n−ノニル基,n−デシ
ル基,n−ウンデシル基,n−ドデシル基,n−トリデ
シル基,n−テトラデシル基,n−ペンタデシル基,n
−ヘキサデシル基,n−ヘプタデシル基,n−オクタデ
シル基,n−ノナデシル基,n−エイコシル基などであ
る。これらのうち、分岐鎖アルキル基であって、不斉炭
素を有する基は、光学活性基である。
【0019】さらに、R2 ,R3 及びR4 としては、そ
れぞれ独立に水素又は炭素数1〜15の直鎖又は分岐鎖
アルキル基、例えばメチル基,エチル基,n−プロピル
基,イソプロピル基,n−ブチル基,sec−ブチル
基,tert−ブチル基,n−ペンチル基,イソペンチ
ル基,1−メチルブチル基,n−ヘキシル基,n−ヘプ
チル基,1−メチルヘプチル基,n−オクチル基,1−
エチルヘプチル基,1−メチルオクチル基,n−ノニル
基,1−エチルオクチル基,1−メチルノニル基,n−
デシル基,n−ウンデシル基,n−ドデシル基,n−ト
リデシル基,n−テトラデシル基,n−ペンタデシル基
などである。また、炭素数2〜15のアルケニル基とし
ては、ビニル基,アリル基,1−プロペニル基,イソプ
ロペニル基,1−ブテニル基,2−ブテニル基,2−メ
チルアリル基,1−ペンテニル基,1−ヘキセニル基,
1−ヘプテニル基,1−オクテニル基,2−オクテニル
基,1−ノネニル基,2−ノネニル基,1−デセニル
基,2−デセニル基,1−ウンデセニル基,2−ウンデ
セニル基,1−ドデセニル基,2−ドデセニル基,1−
トリデセニル基,2−トリデセニル基,1−テトラデセ
ニル基,2−テトラデセニル基,1−ペンタデセニル
基,2−ペンタデセニル基などが挙げられる。炭素数7
〜10のアラルキル基としては、ベンジル基,フェネチ
ル基,フェニルプロピル基,フェニルブチル基などが挙
げられる。
【0020】本発明による一般式(I)又は(I’)の
化合物は、様々な方法で製造することができるが、例え
ば以下の工程により製造することができる。 (1)X2 =単結合 及び X3 =−COO− の場
合:下記一般式(II) R1 −X1 −A−B−COHal ・・・(II) 〔式中、R1 ,X1 ,A及びBは前記と同じである。Ha
l は塩素,臭素,沃素等のハロゲンを示す。〕で表され
る化合物及び下記一般式(III)
【0021】
【化15】
【0022】〔式中、Rf,R2 ,R3 ,R4 ,X4
び*は前記と同じである。〕で表される化合物と反応さ
せることにより上記一般式(I)の化合物を得ることが
できる。この反応は、有機塩基、例えばピリジン,トリ
エチルアミン等の存在下に、トルエン,ベンゼン,塩化
メチレン等の溶媒中で−20℃〜80℃の温度で行うこ
とができる。
【0023】(2)X2 =単結合, X3 =−CH2
− の場合:下記一般式(IV) R1 −X1 −A−B−CH2 Z ・・・(IV) 〔式中、R1 ,X1 ,A及びBは前記と同じであり、Z
は塩素,臭素,ヨウ素又はトシル基を示す。〕で表され
る化合物を、上記の一般式(III)で表される化合物と反
応させることにより上記一般式(I)の化合物を得るこ
とができる。この反応は一般式(III)の化合物にアルカ
リ金属ヒドリド,水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリ
ウムで代表される塩基を作用させた後、一般式(IV)の
化合物を加えることにより行うことができる。
【0024】(3)X2 =−COO−, X3 =−CO
O− の場合:下記一般式(V) BzO−B−COHal ・・・(V) 〔式中、B及びHal は前記と同じであり、Bzはベンジ
ル基を示す。〕で表される化合物を、上記一般式(III)
で表される化合物と反応させて、下記一般式(VI)
【0025】
【化16】
【0026】〔式中、Rf,Bz,B,X4 ,R2 ,R
3 ,R4 及び*は前記と同じである。〕で表される化合
物を得る。この反応は、有機塩基、例えばピリジン,ト
リエチルアミン等の存在下にトルエン,ベンゼン,塩化
メチレン等の溶媒中で−20℃〜80℃の温度で行うこ
とができる。次に、得られた一般式(VI)の化合物中の
ベンジル基を常法で脱離させれば、下記一般式(VII)
【0027】
【化17】
【0028】〔式中、Rf,B,X4 ,R2 ,R3 ,R
4 及び*は前記と同じである。〕で表される化合物が生
成する。この脱ベンジル化反応は、例えばPd/C触媒
の存在下でメタノール,エタノール,プロパノール等の
アルコール性溶媒又は酢酸を用いて常圧で水素化分解す
ることにより行うことができる。さらに、得られた一般
式(VII)の化合物を下記一般式(VIII) R1 −X1 −A−COHal ・・・(VIII) 〔式中、R1 ,X1 ,A及びHal は前記と同じであ
る。〕で表される化合物と反応させることにより上記一
般式(I)の化合物を得ることができる。この反応は、
有機塩基、例えばピリジン,トリエチルアミン等の存在
下にトルエン,ベンゼン,塩化メチレン等の溶媒中で−
20℃〜80℃の温度で行うことができる。
【0029】 (4)X2 =−COO−, X3 =−CH2 O− の場
合:下記 一般式(IX) ThpO−B−CH2 Z ・・・(IX) 〔式中、Thp(テトラヒドロピラニル基)を示し、B
及びZは前記と同じである。〕 で表される化合物を上記一般式(III)で表される化合物
と反応させて下記一般式(X)
【0030】
【化18】
【0031】〔式中、Rf,Thp,B,X4 ,R2
3 ,R4 及び*は前記と同じである。〕で表される化
合物を得る。この反応は、一般式(III)で表される化合
物にアルカリ金属ヒドリド,水酸化ナトリウムあるいは
水酸化カリウムで代表される塩基を作用させた後、一般
式(IX)の化合物を加えることにより行うことができ
る。次に得られた一般式(X) の化合物中のThpを常
法で脱離させれば、下記一般式(XI)
【0032】
【化19】
【0033】〔式中、Rf,B,X4 ,R2 ,R3 ,R
4 及び*は前記と同じである。〕で表される化合物を得
る。このテトラヒドロピラニル基の脱離は、塩酸,硫酸
及びパラトルエンスルホン酸等の酸触媒存在下で、エー
テル,テトラヒドロフラン,クロロホルム等の溶媒を用
いて行うことができる。次に、得られた一般式(XI)の
化合物を上記一般式(VIII) で表される化合物と反応さ
せることにより上記一般式(I)の化合物を得ることが
できる。この反応は、有機塩基、例えばピリジン,トリ
エチルアミン等の存在下にトルエン,ベンゼン,塩化メ
チレン等の溶媒中で−20℃〜80℃の温度で行うこと
ができる。
【0034】(5)X2 =−COO−, X3 =−O−
の場合:下記一般式(XII) ThpO−B−Hal ・・・(XII) 〔式中、Thp,B及びHal は前記と同じである。〕で
表される化合物を、上記一般式(III)で表される化合物
と反応させて、下記一般式(XIII)
【0035】
【化20】
【0036】〔式中、Rf,Thp,B,X4 ,R2
3 ,R4 及び*は前記と同じである。〕で表される化
合物を得る。この反応は、一般式(III)の化合物にアル
カリ金属ヒドリド,水酸化ナトリウムあるいは水酸化カ
リウムで代表される塩基を作用させた後、ジメチルホル
ムアミド,ジメチルスルホキシド等の還流条件下、触媒
としてヨウ化第一銅を用い、一般式(XII)で表される化
合物を反応させることにより行うことができる。次に得
られた一般式(XIII) で表される化合物中のテトラヒド
ロピラニル基を常法で脱離させれば、下記一般式(XIV)
【0037】
【化21】
【0038】〔式中、Rf,B,X4 ,R2 ,R3 ,R
4 及び*は前記と同じである。〕で表される化合物を得
る。このテトラヒドロピラニル基の脱離は、塩酸,硫酸
及びパラトルエンスルホン酸等の酸触媒存在下で、エー
テル,テトラヒドロフラン,クロロホルム等の溶媒を用
いて行うことができる。ここで得られた一般式(XIV)の
化合物を上記一般式(VIII) で表される化合物と反応さ
せることにより上記一般式(I)の化合物を得ることが
できる。この反応は、有機塩基、例えばピリジン,トリ
エチルアミン等の存在下にトルエン,ベンゼン,塩化メ
チレン等の溶媒中で−20℃〜80℃の温度で行うこと
ができる。
【0039】(6)X2 =−CH2 O−, X3 =−C
OO− の場合:上記一般式(VII)で表される化合物及
び下記一般式(XV) R1 −X1 −A−CH2 Z ・・・(XV) 〔式中、R1 ,X1 ,A及びZは前記と同じである。〕
で表される化合物を反応させることにより上記一般式
(I)の化合物を得ることができる。この反応は、一般
式(VII)の化合物にアルカリ金属ヒドリド,水酸化ナト
リウムあるいは水酸化カリウムで代表される塩基を作用
させた後、一般式(XV) で表される化合物を反応させる
ことにより行うことができる。
【0040】(7)X2 =−OCH2 −, X3 =−C
OO− の場合:下記一般式(XVI) ZCH2 −B−COHal ・・・(XVI) 〔式中、Z,B及びHal は前記と同じである。〕で表さ
れる化合物を、上記一般式(III)で表される化合物と反
応させて下記一般式(XVII)
【0041】
【化22】
【0042】〔式中、Rf,Z,B,X4 ,R2
3 ,R4 及び*は前記と同じである。〕で表される化
合物を得る。この反応は、有機塩基、例えばピリジン,
トリエチルアミン等の存在下にトルエン,ベンゼン,塩
化メチレン等の溶媒中で−20℃〜80℃の温度で行う
ことができる。次いで、下記一般式(XVIII) R1 −X1 −A−OH ・・・(XVIII) 〔式中、R1 ,X1 及びAは前記と同じである。〕で表
される化合物に、上記化合物(XVII) を反応させること
により上記一般式(I)の化合物を得ることができる。
この反応は、一般式(XVIII)の化合物にアルカリ金属ヒ
ドリド,水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウムで代
表される塩基を作用させた後、一般式(XVII) で表され
る化合物を加えることにより行うことができる。
【0043】また、本発明による一般式(I’)の化合
物は、様々な方法で製造することができるが、例えば以
下の工程により製造することができる。 (1’)X3 =−COO−,X4 =−OCO− 及び
n=0の場合:下記一般式(II’) R1 −X1 −B−COHal ・・・(II’) 〔式中、R1 ,X1 およびBは前記と同じである。Hal
は塩素,臭素,沃素等のハロゲンを示す。〕で表される
化合物および下記一般式(III ’)
【0044】
【化23】
【0045】〔式中、Rf,R2 ,R3 及び*は前記と
同じである。TBSはt−ブチルジメチルシリル基を示
す。〕で表される化合物と反応させることにより下記一
般式(IV’)
【0046】
【化24】
【0047】〔式中、Rf,R1 ,R2 ,R3 ,B,X
1 ,TBS及び*は前記と同じである。〕で表される化
合物を得ることができる。この反応は、有機塩基、例え
ばピリジン,トリエチルアミン等の存在下に、トルエ
ン,ベンゼン,塩化メチレン等の溶媒中で−20℃〜8
0℃の温度で行うことができる。次に、得られた一般式
(IV’)で表される化合物の脱シリル化を行い、一般式
(V’)
【0048】
【化25】
【0049】〔式中、Rf,R1 ,R2 ,R3 ,B,X
1 及び*は前記と同じである。〕で表される化合物を得
る。この脱シリル化反応は、種々の方法で行うことがで
きるが、例えばテトラヒドロフラン溶媒中、触媒として
テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオライドを用い、
0〜50℃で行うことができる。なお、上記一般式
(V’)で表される化合物は、2種類のジアステレオマ
ーの混合物であるが、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーにより容易に分離することができる。この一般式
(V’)で表される化合物を一般式(VI’) R4 −COHal ・・・(VI’) 〔式中、R4 及びHalは前記と同じである。〕で表さ
れる化合物と反応させることにより、目的とする前記
(I’)で表される化合物を得ることができる。この反
応は、有機塩基、例えばピリジン,トリエチルアミン等
の存在下に、トルエン,ベンゼン,塩化メチレン等の溶
媒中で−20℃〜80℃の温度で行うことができる。
【0050】(2’)X3 =−COO−,X4 =−O−
及び n=0の場合:下記一般式(VII ’) R5 −OH ・・・(VII ’) 〔式中、R5 は炭素数1〜15の直鎖又は分岐鎖アルキ
ル基,炭素数2〜15のアルケニル基又は炭素数7〜1
0のアラルキル基を示す。〕で表される化合物および上
記一般式(III ’)で表される化合物と反応させること
により、下記一般式(VIII’)
【0051】
【化26】
【0052】〔式中、Rf,R2 ,R3 ,R5 ,TBS
及び*は前記と同じである。〕で表される化合物を得る
ことができる。この反応は、無溶媒又はテトラヒドロフ
ラン等の溶媒中、酸触媒として例えばパラトルエンスル
ホン酸等を用いて0〜50℃で行うことができる。次
に、得られた一般式(VIII’)で表される化合物の脱シ
リル化を行い、一般式(IX’)
【0053】
【化27】
【0054】〔式中、Rf,R2 ,R3 ,R5 及び*は
前記と同じである。〕で表される化合物を得る。この脱
シリル化反応は、種々の方法で行うことができるが、例
えばテトラヒドロフラン溶媒中、触媒としてテトラ−n
−ブチルアンモニウムフルオライドを用い、0〜50℃
で行うことができる。次いで、一般式(X’) R4 −Z ・・・(X’) 〔式中、R4 は前記と同じであり、Zは塩素,臭素,沃
素又はトシル基を示す。〕で表される化合物と上記一般
式(IX’)で表される化合物を反応させることにより、
一般式(XI’)
【0055】
【化28】
【0056】〔式中、Rf,R2 ,R3 ,R4 ,R5
び*は前記と同じである。〕で表される化合物を得るこ
とができる。この反応は、一般式(IX’)で表される化
合物にアルカリ金属ヒドリド,水酸化ナトリウム又は水
酸化カリウム等の塩基を作用させた後、一般式(X’)
で表される化合物を加えることにより行うことができ
る。さらに、得られた一般式(XI’)で表される化合物
を酸触媒下で反応させることにより、一般式(XII ’)
【0057】
【化29】
【0058】〔式中、Rf,R2 ,R3 ,R4 及び*は
前記と同じである。〕で表される化合物を得ることがで
きる。この反応は、水の存在下で、テトラヒドロフラ
ン,エーテル,トルエン等の溶媒中、酸触媒として例え
ばパラトルエンスルホン酸,塩酸,硫酸等を用いて0〜
100℃で行うことができる。この一般式(XII ’) で
表される化合物と前記一般式(II’)で表される化合物
を反応させることにより、目的とする前記(I’)で表
される化合物を得ることができる。この反応は、有機塩
基、例えばピリジン,トリエチルアミン等の存在下に、
トルエン,ベンゼン,塩化メチレン等の溶媒中で−20
℃〜80℃の温度で行うことができる。
【0059】(3’)X3 =−CH2 O−,X4 =−O
CO− 及び n=0の場合:下記一般式(XIII’) R1 −X1 −B−CH2 Z ・・・(XIII’) 〔式中、R1 ,X1 ,B及びZは前記と同じである。〕
で表される化合物と前記一般式(III ’) で表される化
合物を反応させることにより下記一般式(XIV ’)
【0060】
【化30】
【0061】〔式中、Rf,R1 ,R2 ,R3 ,X1
B,TBS及び*は前記と同じである。〕で表される化
合物を得ることができる。この反応は、例えば酸触媒と
してパラトルエンスルホン酸,塩酸,硫酸等を用い、テ
トラヒドロフラン,ジエチルエーテル,塩化メチレン,
トルエン等の溶媒中、0〜100℃で行うことができ
る。次に、得られた一般式(XIV ’) で表される化合物
の脱シリル化を行い、一般式(XV’)
【0062】
【化31】
【0063】〔式中、Rf,R1 ,R2 ,R3 ,X1
B及び*は前記と同じである。〕で表される化合物を得
る。この脱シリル化反応は、種々の方法で行われること
ができるが、例えばテトラヒドロフランの溶媒中、触媒
としてテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオライドを
用い、0〜50℃で行うことができる。なお、上記一般
式(XV’)で表される化合物は、2種類のジアステレオ
マーの混合物であるが、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィーにより容易に分離することができる。この一般式
(XV’)で表される化合物と前記一般式(VI’)で表さ
れる化合物を反応させることにより、目的とする前記
(I’)で表される化合物を得ることができる。この反
応は、有機塩基、例えばピリジン,トリエチルアミン等
の存在下に、トルエン,ベンゼン,塩化メチレン等の溶
媒中で−20℃〜80℃の温度で行うことができる。
【0064】(4’)X3 =−CH2 O−,X4 =−O
− 及び n=0の場合:前記一般式(XV’)で表され
る化合物と前記一般式(X’)で表される化合物を反応
させることにより、目的とする前記(I’)で表される
化合物を得ることができる。この反応は、一般式(X
V’)で表される化合物に、アルカリ金属ヒドリド,水
酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等の塩基を作用させ
た後、一般式(X’)で表される化合物を加えることに
よって得ることができる。
【0065】(5’)X2 =−COO−,X3 =−CO
O−,X4 =−O− 及び n=1の場合:一般式(XV
I ’) Bz−O−B−COHal ・・・(XVI ’) 〔式中、Bzはベンジル基を示し、B及びHal は前記と
同じである。〕で表される化合物と前記一般式(XII
’) で表される化合物を反応させることにより、下記
一般式(XVII’)
【0066】
【化32】
【0067】〔式中、Rf,R2 ,R3 ,R4 ,B,B
z及び*は前記と同じである。〕で表される化合物を得
ることができる。この反応は、有機塩基、例えばピリジ
ン,トリエチルアミン等の存在下に、トルエン,ベンゼ
ン,塩化メチレン等の溶媒中で−20℃〜80℃の温度
で行うことができる。次に、得られた一般式(XVII’)
で表される化合物の脱ベンジル化反応を行い、一般式
(XVIII ’)
【0068】
【化33】
【0069】〔式中、Rf,R2 ,R3 ,R4 ,B及び
*は前記と同じである。〕で表される化合物を得る。こ
の脱ベンジル化反応は、種々の方法で行うことができる
が、例えばパラジウム・カーボン(Pd/C)触媒存在
下、メタノール,エタノール,プロパノール等のアルコ
ール溶媒又は酢酸を用い、常圧で水素化分解することに
より行うことができる。この一般式(XVIII ’) で表さ
れる化合物と一般式(XIX ’) R1 −X1 −A−COHal ・・・(XIX ’) 〔式中、R1 ,X1 ,A及びHalは前記と同じであ
る。〕で表される化合物を反応させることにより、目的
とする前記(I’)で表される化合物を得ることができ
る。この反応は、有機塩基、例えばピリジン,トリエチ
ルアミン等の存在下に、トルエン,ベンゼン,塩化メチ
レン等の溶媒中で−20℃〜80℃の温度で行うことが
できる。また、本発明の一般式(I)で表される化合物
を製造するため、原料物質として用いる一般式(III)で
表される化合物は、様々な方法で製造することができ
る。この一般式(III)で表される化合物の代表的なもの
としては、例えば、
【0070】
【化34】
【0071】
【化35】
【0072】
【化36】
【0073】
【化37】
【0074】
【化38】
【0075】
【化39】
【0076】等が挙げられる。上記のようにして得られ
る本発明の一般式(I)の化合物としては、例えば
【0077】
【化40】
【0078】
【化41】
【0079】
【化42】
【0080】
【化43】
【0081】〔式中、R1 ,X1 ,X4 ,R2 ,R3
4 及び*は前記と同じである。〕等が挙げられる。ま
た、上記のようにして得られる本発明の一般式(I' )
の化合物としては、例えば
【0082】
【化44】
【0083】
【化45】
【0084】
【化46】
【0085】〔式中、R1 ,X1 ,X4 ,R2 ,R3
4 及び*は前記と同じである。〕等が挙げられる。
【0086】本発明の液晶組成物は、(a)一般式
(I)又は(I’)で表される化合物の少なくとも1種
と(b)(a)以外のカイラルスメクチックC相(Sm
* )を有する化合物あるいは混合物及び/又は(c)
(a)以外のスメクチックC相(SmC)を有する化合
物あるいは混合物を配合することにより得ることができ
る。この場合、一般式(I)で表される化合物の配合量
は各種状況に応じて適宜選定すれば良いが、好ましくは
得られる液晶組成物の0.1〜99重量%、特に好ましく
は1〜90重量%である。また、本発明の液晶組成物の
別の態様として、一般式(I)又は(I’)で表される
化合物の少なくとも2種からなる液晶組成物を挙げるこ
とができる。
【0087】上記(b)及び(c)の化合物あるいは混
合物としては従来知られている様々な物質を用いること
ができる。上記(b)の化合物としては具体的には例え
ば、福田,竹添「強誘電性液晶の構造と物性」コロナ社
(1990),p229,表7.1に記載した化合物が挙
げられる。上記(c)の化合物としては好ましくは下記
一般式(A)
【0088】
【化47】
【0089】〔式中、R6 は置換基を有していてもよい
炭素数1〜15のアルキル基又はアルコキシ基,R7
置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキル
基、Qは−O−,−COO−,−OCO−,OCOO−
又は単結合、Eは
【0090】
【化48】
【0091】を示す。nは、0又は1である。また、X
1 は前記と同じである。〕で表される化合物を挙げるこ
とができる。具体的には下記の化合物を挙げることがで
きる。
【0092】
【化49】
【0093】また、本発明の液晶素子は上述の一般式
(I)又は(I’)の化合物あるいは上記液晶組成物を
一対の電極基板間に配設してなるものである。この液晶
素子は、例えばInO3 ,SnO2 ,ITO(酸化イン
ジウムと酸化スズとの混合酸化物)などからなる透明電
極を有する透明基板上に、さらにポリビニルアルコー
ル,ポリイミドなどからなる配向制御膜を設けた2
基板を張り合わせてセルを作製し、その上下に偏光板を
配設することにより得られる。この素子は複屈折モード
を利用して、表示素子あるいは電気光学素子として使用
することができる。また、本発明の上記光学活性テトラ
ヒドロピラン誘導体を少なくとも1種用いた新規なラセ
ミ混合物は、ベース液晶の配合成分などに有効に用いる
ことができる。
【0094】
【実施例】次に、参考例及び実施例に基づいて本発明を
さらに具体的(一般式(I)の場合)に説明するが、本
発明はこれに限定されるものではない。また、以下の各
例において、本発明の一般式(I)で表される光学活性
化合物のR,S表示は、下記の式
【0095】
【化50】
【0096】〔式中、Rf,R1 ,R2 ,R3 ,R4
1 ,X2 ,X3 ,X4 ,A,B,n及び*は前記と同
じである。〕の位置番号に基づいて行った。
【0097】参考例1 (5S,6S)−テトラヒドロ−5−t−ブチルジメチ
ルシロキシ−6−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ
ピランの合成
【0098】
【化51】
【0099】〔式中、TBS及び*は前記と同じであ
る。〕 (a)窒素雰囲気下、フラン13.6g(200ミリモ
ル)をテトラヒドロフラン150ミリリットルに加え、
1.5モル/リットルのn−ブチルリチウムヘキサン溶液
133ミリリットル(200ミリモル)を−20℃で滴
下し、1時間反応させた。次に、トリメチルシリルクロ
リド21.7g(200ミリモル)を滴下し、−20℃で
1時間攪拌した。1.5モル/リットルのn−ブチルリチ
ウムヘキサン溶液133ミリリットル(200ミリモ
ル)を加え、−20℃で1時間反応させた後、−78℃
でトリフルオロ酢酸エチル28.4g(200ミリモル)
を滴下し、−78℃で1時間、室温でさらに1時間反応
させた。この反応溶液に3規定の塩酸を加えて反応を停
止させ、酢酸エチルで抽出した。次いで、飽和炭酸水素
ナトリウム溶液,飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マ
グネシウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧留去し、フラ
ン誘導体の粗生成物を得た。
【0100】(b)乾燥エタノール100ミリリットル
に水素化ホウ素ナトリウム2.3g(60ミリモル)を加
え、上記反応で得たフラン誘導体の粗生成物を0℃で3
0分かけて滴下した。室温で2時間反応させた後、エタ
ノールを減圧留去し、3規定の塩酸を加えて反応を停止
させ、酢酸エチルにより抽出した。次いで、飽和炭酸水
素ナトリウム,飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧留去した後、減
圧蒸留を行い、アルコール化合物40.5g(170ミリ
モル)を得た。
【0101】(c)塩化メチレン300ミリリットルに
上記(b)の反応で得たアルコール化合物64.1g(2
69ミリモル)とピリジン27.7ミリリットル(350
ミリモル)を加え、0℃で塩化アセチル27.5g(35
0ミリモル)を滴下し、室温で2時間反応させた。次い
で、3規定の塩酸を加えて反応を停止させ、塩化メチレ
ンで抽出した。その後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液,
蒸留水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た。塩化メチレンを減圧留去した後、減圧蒸留を行い、
エステル化合物75.1g(268ミリモル)を得た。
【0102】(d)蒸留水1800ミリリットルに上記
反応により得られたエステル化合物58.5g(209ミ
リモル)を加えて、ミニジャーファーメンター中で40
℃で攪拌した。リパーゼPSを30g加え、10時間反
応させた。3規定の塩酸を加え、0℃に冷却して反応を
停止し、セライトによりろ過した。ろ液を酢酸エチルに
より抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥し、酢酸エチルを減圧留去した。次いで、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製して光
学活性アルコール化合物23.2g(97.4ミリモル)と
光学活性エステル化合物25.6g(91.4ミリモル)を
得た。なお、得られたアルコール化合物の光学純度は9
8.0%e.e.であった。
【0103】(e)上記反応で得られた光学活性アルコ
ール化合物25.8g(108ミリモル)を塩化メチレン
200ミリリットルに溶かし、イミダゾール10.5g
(151ミリモル)とt−ブチルジメチルシリルクロリ
ド23.0g(151ミリモル)を0℃で加えて15分攪
拌し、室温で16時間反応させた。蒸留水を加えて反応
を停止させ、塩化メチレンにより抽出した。次いで、蒸
留水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。塩化
メチレンを減圧留去した後、カラムクロマトグラフィー
により分離精製してシリルエーテル化合物37.2g(1
06ミリモル)を得た。
【0104】(f)窒素雰囲気下、酢酸120ミリリッ
トルに上記反応で得られたシリルエーテル化合物14.1
g(40ミリモル)及びモノパーオキシフタル酸マグネ
シウム23.2g(60ミリモル)を加え、80℃で12
時間反応させた。酢酸を減圧留去した後、飽和炭酸水素
ナトリウム溶液を加え、酢酸エチルにより抽出した。次
いで、得られた抽出物を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸
マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧留去した
後、カラムクロマトグラフィーにより分離精製し、(4
S,1’S)ブテノリド化合物 4.7g(16ミリモル)
及び(4R,1’S)ブテノリド化合物 3.0g(10ミ
リモル)を得た。なお、4.2g(12ミリモル)の原料
も回収された。
【0105】(g)上記反応で得られた(4S,1’
S)及び(4R,1’S)ブテノリド化合物13.7g
(46ミリモル)を分離せずにエタノール40ミリリッ
トルに溶かし、10%Pd/C(Pd 10重量%含
有)を1.4g加え、水素雰囲気下、室温で15時間反応
した。反応溶液を濾過し、溶媒を減圧留去した後、シリ
カゲルラカムクロマトグラフィーで分離精製して、(4
S,1’S)ブタノリド化合物8.2g(29ミリモル)
及び(4R,1’S)ブタノリド化合物3.6g(12ミ
リモル)を得た。
【0106】(h)窒素雰囲気下、ジエチルエーテル4
0ミリリットルに上記反応により得られた(4S,1’
S)ブタノリド化合物7.5g(25ミリモル)を加え、
−78℃で水素化ジイソブチルアルミニウムの0.93モ
ル/リットルのn−ヘキサン溶液32ミリリットル(3
0ミリモル)を滴下し、3時間反応した。蒸留水を加え
て反応を停止し、1規定の塩酸を加え中和した後、ジエ
チルエーテルで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫
酸マグネシウムで乾燥し、ジエチルエーテルを減圧留去
した。次いでシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精
製して、ラクトール化合物7.3g(24ミリモル)を得
た。
【0107】(i)窒素雰囲気下、テトラヒドロフラン
50ミリリットルに上記反応により得られたラクトール
化合物7.3g(24ミリモル)を加え、−78℃でカリ
ウム−t−ブトキシド3.0g(27ミリモル)のテトラ
ヒドロフラン10ミリリットル溶液を滴下し、3時間反
応した。蒸留水を加えて反応を停止し、1規定の塩酸を
加え中和した後、ジエチルエーテルで抽出した。飽和食
塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ジエチ
ルエーテルを減圧留去した。次いでシリカゲルカラムク
ロマトグラフィーで精製して、目的とする(5S,6
S)−テトラヒドロ−5−t−ブチルジメチルシロキシ
−6−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシピラン6.4
g(21ミリモル)を得た。得られた化合物は、同位体
フッ素による核磁気共鳴法から、モル比が82:18の
ジアステレオマーの混合物であった。
【0108】得られた化合物の物理的性質を以下に示
す。 (1) (2R,5S,6S)体 分子式:C12233 3 Si1 H−NMR(プロトン核磁気共鳴法);δ(ppm) 0.03 (s,6H) 0.85 (s,9H) 1.40〜2.10(m,4H) 2.90〜3.10(m,1H) 3.78 (dt,J=5.6,8.9Hz,1H) 4.11 (dq,J=9.2,6.9Hz,1H) 5.20〜5.40(m,1H)19 F−NMR(同位体フッ素による核磁気共鳴法,基
準:CF3 COOH) ;δ(ppm) 4.90 (d,J=6.1Hz)
【0109】(2) (2S,5S,6S)体 分子式:C12233 3 Si1 H−NMR;δ(ppm) 0.05 (s,6H) 0.85 (s,9H) 1.40〜2.10(m,4H) 3.20〜3.40(m,1H) 3.67 (dq,J=8.8,6.2Hz,1H) 3.70〜3.90(m,1H) 4.80〜5.00(m,1H)19 F−NMR(基準:CF3 COOH) ;δ(ppm) 4.80 (d,J=7.6Hz)
【0110】参考例2 (2R,5S,6S)−テトラヒドロ−6−トリフルオ
ロメチル−2−ヘキシルオキシ−5−ヒドロキシピラン
及び(2S,5S,6S)−テトラヒドロ−6−トリフ
ルオロメチル−2−ヘキシルオキシ−5−ヒドロキシピ
ランの合成
【0111】
【化52】
【0112】(a)参考例1(i)で得られた(5S,
6S)−テトラヒドロ−5−t−ブチルジメチルシロキ
シ−6−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシピラン6.
4g(21ミリモル)をヘキサノール40ミリリットル
に溶かし、パラトルエンスルホン酸0.1gを加え、室温
で18時間反応した。この反応溶液をそのまま、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、アセタール
化合物8.0g(21ミリモル)を得た。また、得られた
化合物はジアステレオマー混合物であるが、分離せずに
次の反応に用いた。
【0113】(b)上記反応により得られたアセタール
化合物8.0g(21ミリモル)をテトラヒドロフラン2
0ミリリットルに溶かし、テトラ−n−ブチルアンモニ
ウムフルオライドの1.0モル/リットルのテトラヒドロ
フラン溶液10ミリリットルを加えて、0℃で1時間,
室温で40時間反応した。蒸留水を加えて反応を停止
し、ジエチルエーテルで抽出した。次に、飽和食塩水で
洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ジエチルエ
ーテルを減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーで分離精製して目的とする(2R,5S,6
S)−テトラヒドロ−6−トリフルオロメチル−2−ヘ
キシルオキ2−5−ヒドロキシピラン3.0g(11ミリ
モル)及び(2S,5S,6S)−テトラヒドロ−6−
トリフルオロメチル−2−ヘキシルオキシ−5−ヒドロ
キシピラン2.3g(8ミリモル)を得た。
【0114】得られた化合物の物理的性質を以下に示
す。 (1) (2R,5S,6S)体 分子式:C12213 3 1 H−NMR(プロトン核磁気共鳴法);δ(ppm) 0.88 (t,J=6.5Hz,3H) 1.20〜1.39(m,6H) 1.50〜1.71(m,4H) 1.83〜2.04(m,2H) 2.13〜2.22(m,1H) 3.46 (dt,J=9.4,6.9Hz,1H) 3.66 (dq,J=8.9,6.3Hz,1H) 3.81〜3.93(m,2H) 4.52 (dd,J=2.0,8.7Hz,1H)19 F−NMR(同位体フッ素による核磁気共鳴法,基
準:CFCl3 ) ;δ(ppm) −75.13 (d,J=6.3Hz) IR(赤外線吸収:cm-1) 3450,1275,1170,1130,1145,
1090,940 質量分析 m/e(M+ +H) 計算値 271.1521 実測値 271.1512 [α]D 25=−36.0°(C(濃度)=1.05,溶媒:
メタノール)
【0115】(2) (2S,5S,6S)体 分子式:C12213 3 1 H−NMR;δ(ppm) 0.90 (t,J=7.3Hz,3H) 1.23〜1.45(m,6H) 1.52〜1.67(m,2H) 1.76〜2.00(m,5H) 3.42 (dt,J=9.7,6.4Hz,1H) 3.68 (dt,J=9.7,6.8Hz,1H) 3.79〜3.98(m,2H) 4.86 (m,1H)19 F−NMR(基準:CFCl3 ) ;δ(ppm) −75.17 (d,J=6.2Hz) IR(cm-1) 3400,1270,1175,1130,1045,
945 質量分析 m/e(M+ +H) 計算値 271.1521 実測値 271.1493 [α]D 25=+86.5°(C(濃度)=1.08,溶媒:
メタノール)
【0116】参考例3 (2R,5S,6S)−テトラヒドロ−2−ブトキシ−
6−トリフルオロメチル−5−ヒドロキシピラン及び
(2S,5S,6S)−テトラヒドロ−2−ブトキシ−
6−トリフルオロメチル−5−ヒドロキシピランの合成
【0117】
【化53】
【0118】(a)参考例2(i)で得られたピラノー
ス化合物1.7( 5.7ミリモル)をブタノール15ミリリ
ットルに溶かし、参考例1(j)と同様の操作を行い、
アセタール化合物1.9g( 5.3ミリモル)を得た。得ら
れた化合物はジアステレオマー混合物であるが、分離せ
ずに次の反応に用いた。
【0119】(b)上記反応で得られたアセタール化合
物1.9g( 5.3ミリモル)を用い、参考例1(k)と同
様の操作を行い、目的とする(2R,5S,6S)−テ
トラヒドロ−2−ブト7シ−6−トリフルオロメチル−
5−ヒドロキシピラン0.64g( 2.6ミリモル)及び
(2S,5S,6S)−テトラヒドロ−2−ブトキシ−
6−トリフルオロメチル−5−ヒドロキシピラン0.59
g( 2.4ミリモル)を得た。
【0120】得られた化合物の物理的性質を以下に示
す。 (1) (2R,5S,6S)体 分子式:C10173 3 1 H−NMR;δ(ppm) 0.92 (t,J=7.3Hz,3H) 1.30〜1.45(m,2H) 1.52〜1.65(m,4H) 1.88〜2.22(m,3H) 3.47 (dt,J=9.5,6.8Hz,1H) 3.67 (dq,J=9.0,6.2Hz,1H) 3.79〜3.96(m,2H) 4.52 (dd,J=2.0,8.6Hz,1H)19 F−NMR(基準:CFCl3 ) ;δ(ppm) −75.17 (d,J=6.3Hz) IR(cm-1) 3450,1270,1170,1145,1090,
940 質量分析 m/e(M+ +H) 計算値 243.1208 実測値 243.1204 [α]D 26=−40.8°(C(濃度)=1.07,溶媒:
メタノール)
【0121】(2) (2S,5S,6S)体 分子式:C10173 3 1 H−NMR;δ(ppm) 0.94 (t,J=7.3Hz,3H) 1.32〜1.47(m,2H) 1.53〜1.66(m,2H) 1.77〜2.03(m,5H) 3.43 (dt,J=9.7,6.3Hz,1H) 3.69 (dt,J=9.7,6.7Hz,1H) 3.82〜3.93(m,2H) 4.86 (m,1H)19 F−NMR(基準:CFCl3 ) ;δ(ppm) −75.20 (d,J=6.2Hz) IR(cm-1) 3400,1270,1175,1135,1050,
945 質量分析 m/e(M+ +H) 計算値 243.1208 実測値 243.1237 [α]25 D =+ 101.8°(C(濃度)=1.06,溶
媒:メタノール)
【0122】実施例1 (2R,5S,6S)−テトラヒドロ−2−ヘキシルオ
キシ−6−トリフルオロメチル−5−〔4−(2,3−
ジフルオロ−4−オクチルフェニル−1−カルボニルオ
キシ)フェニル−1−カルボニルオキシ〕ピランの合成
【0123】
【化54】
【0124】a) 4−ベンジルオキシ安息香酸クロリ
ド1.66g( 6.7ミリモル)と参考例2で得られた(2
R,5S,6S)−テトラヒドロ−6−トリフルオロメ
チル−2−ヘキシルオキシ−5−ヒドロキシピラン1.5
1g( 5.6ミリモル)のトルエン溶液5ミリリットル中
に無水ピリジン1ミリリットルを加え、室温で24時間
反応した。この反応溶液に、1規定の塩酸を加えて反応
を停止し、エーテルにより抽出した。次いで飽和食塩水
で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エーテル
を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーで精製し、エステル化合物を1.91g(4.0ミリモ
ル)得た。 b) 上記a)で得られたエステル化合物をエタノール
20ミリリットルに加え、10%Pd/C触媒を0.20
g添加した後、水素雰囲気下、室温で5日間水素化分解
反応を行った。その後、反応溶液を濾過しエタノールを
減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー
で精製し、アルコール化合物を1.29g(3.3ミリモ
ル)得た。 c) 上記b)で得られた化合物0.29g(0.80ミリ
モル)と2,3−ジフルオロ−4−オクチルフェニル−
1−カルボン酸クロリド0.26g(0.90ミリモル)を
用い、上記a)と同様の操作を行い、目的化合物である
(2R,5S,6S)−テトラヒドロ−2−ヘキシルオ
キシ−6−トリフルオロメチル−5−〔4−(2,3−
ジフルオロ−4−オクチルフェニル−1−カルボニルオ
キシ)フェニル−1−カルボニルオキシ〕ピラン0.36
g(0.56ミリモル)を得た。得られた化合物の物理的
性質を以下に示す。 分子式:C34435 6 1 H−NMR;δ(ppm) 0.80〜1.01(m,6H) 1.18〜1.45(m,16H) 1.52〜2.09(m,7H) 2.36〜2.49(m,1H) 2.74 (t,J=7.5Hz,2H) 3.50 (dt,J=9.5,6.8Hz,1H) 3.91 (dt,J=9.5,6.7Hz,1H) 4.07 (dq,J=8.9,6.3Hz,1H) 4.64 (dd,J=2.1,8.2Hz,1H) 5.16〜5.28(m,1H) 7.05〜7.14(m,1H) 7.30 (d,J=8.7Hz,2H) 7.72〜7.82(m,1H) 8.08 (d,J=8.8Hz,2H)19 F−NMR(基準:CFCl3 );δ(ppm) −75.81 (d,J=6.2Hz,3F) −134.40 (m,1F) −142.33 (m,1F) IR(cm-1 ) 1750,1730,1610,1510,1270,
1160 [α]25 D =−2.7°(C(濃度)=1.06,溶媒:ク
ロロホルム)
【0125】実施例2 (2R,5S,6S)−テトラヒドロ−2−ペンチルオ
キシ−6−トリフルオロメチル−5−〔4−(2,3−
ジフルオロ−4−オクチルオキシフェニル−1−カルボ
ニルオキシ)フェニル−1−カルボニルオキシ〕ピラン
の合成
【0126】
【化55】
【0127】a) 4−ベンジルオキシ安息香酸クロリ
ド1.78g( 7.2ミリモル)と参考例2と同様にして得
られた(2R,5S,6S)−テトラヒドロ−6−トリ
フルオロメチル−2−ヘキシルオキシ−5−ヒドロキシ
ピラン1.54g( 6.0ミリモル)を用い、実施例1a)
と同様の操作を行いエステル化合物を1.61g(3.5ミ
リモル)得た。 b) 上記a)で得られたエステル化合物1.61g(3.
5ミリモル)用い、実施例1b)と同様の操作を行い、
アルコール化合物を0.89g(2.4ミリモル)得た。 c) 上記b)で得られた化合物0.17g(0.45ミリ
モル)と2,3−ジフルオロ−4−オクチルオキシフェ
ニル−1−カルボン酸クロリド0.16g(0.54ミリモ
ル)を用い、上記実施例1a)と同様の操作を行い、目
的化合物である(2R,5S,6S)−テトラヒドロ−
2−ペンチルオキシ−6−トリフルオロメチル−5−
〔4−(2,3−ジフルオロ−4−オクチルオキシフェ
ニル−1−カルボニルオキシ)フェニル−1−カルボニ
ルオキシ〕ピラン0.24g(0.37ミリモル)を得た。
得られた化合物の物理的性質を以下に示す。 分子式:C33415 7 1 H−NMR;δ(ppm) 0.81〜0.99(m,6H) 1.20〜2.06(m,21H) 2.37〜2.48(m,1H) 3.50 (dt,J=9.5,6.9Hz,1H) 3.91 (dt,J=9.5,6.7Hz,1H) 4.02〜4.18(m,3H) 4.64 (dd,J=2.1,8.2Hz,1H) 5.16〜5.28(m,1H) 6.79〜6.88(m,1H) 7.32 (d,J=8.8Hz,2H) 7.78〜7.88(m,1H) 8.08 (d,J=8.8Hz,2H)19 F−NMR(基準:CFCl3 );δ(ppm) −75.81 (d,J=6.3Hz,3F) −132.46 (m,1F) −158.30 (m,1F) IR(cm-1 ) 1745,1720,1620,1520,1275,
1180 [α]25 D =−3.5°(C(濃度)=1.02,溶媒:ク
ロロホルム)
【0128】実施例3 (2S,5S,6S)−テトラヒドロ−2−ペンチルオ
キシ−6−トリフルオロメチル−5−〔4−(2,3−
ジフルオロ−4−オクチルオキシフェニル−1−カルボ
ニルオキシ)フェニル−1−カルボニルオキシ〕ピラン
の合成
【0129】
【化56】
【0130】a) 4−ベンジルオキシ安息香酸クロリ
ド1.15g( 4.7ミリモル)と参考例2と同様にして得
られた(2S,5S,6S)−テトラヒドロ−6−トリ
フルオロメチル−2−ペンチルオキシ−5−ヒドロキシ
ピラン1.00g( 3.9ミリモル)を用い、実施例1a)
と同様の操作を行いエステル化合物を1.12g(2.4ミ
リモル)得た。 b) 上記a)で得られたエステル化合物1.12g(2.
4ミリモル)用い、実施例1b)と同様の操作を行い、
アルコール化合物を0.86g(2.3ミリモル)得た。 c) 上記b)で得られた化合物0.22g(0.58ミリ
モル)と2,3−ジフルオロ−4−オクチルオキシフェ
ニル−1−カルボン酸クロリド0.21g(0.7ミリモ
ル)を用い、上記実施例1a)と同様の操作を行い、目
的化合物である(2S,5S,6S)−テトラヒドロ−
2−ペンチルオキシ−6−トリフルオロメチル−5−
〔4−(2,3−ジフルオロ−4−オクチルオキシフェ
ニル−1−カルボニルオキシ)フェニル−1−カルボニ
ルオキシ〕ピラン0.31g(0.48ミリモル)を得た。
【0131】得られた化合物の物理的性質を以下に示
す。 分子式:C33415 7 1 H−NMR;δ(ppm) 0.83〜1.02(m,6H) 1.12〜2.25(m,22H) 3.48 (dt,J=9.7,6.5Hz,1H) 3.74 (dt,J=9.7,6.8Hz,1H) 4.14 (t,J=6.6Hz,2H) 4.28 (dq,J=9.7,6.3Hz,1H) 4.93〜4.98(m,1H) 5.18〜5.31(m,1H) 6.78〜6.88(m,1H) 7.32 (d,J=8.7Hz,2H) 7.80〜7.89(m,1H) 8.09 (d,J=8.7Hz,2H)19 F−NMR(基準:CFCl3 );δ(ppm) −76.03 (d,J=6.3Hz,3F) −132.46 (m,1F) −158.31 (m,1F) IR(cm-1 ) 1730,1620,1600,1510,1480,
1280,1200 [α]26 D =+51.9°(C(濃度)=1.00,溶媒:
クロロホルム)
【0132】実施例4 化合物
【0133】
【化57】
【0134】をそれぞれ25重量%からなる母体液晶A
を作製した。この液晶Aに実施例1で得られた光学活性
テトラヒドロピラン誘導体が2重量%となるように混合
し、液晶組成物を作製した。得られた液晶組成物の相転
移温度は、以下の通りである。
【0135】
【化58】
【0136】 SmC* :強誘電性カイラルスメクチックC相 SmA:スメクチックA相 N* :カイラルネマチック相 Iso:等方性液体状態 この液晶組成物を等方相でパラレルラビング処理を施し
たポリイミド配向膜を有するセル間隔2.1μmの液晶素
子に注入した。徐冷して配向させ、30℃でV PP=21
Vの矩形波電圧を印加したときの応答速度(τ0-90)は
150μ秒であった。なお、応答速度は直交ニコル下に
おける透過光強度が0〜90%まで変化する時間として
求めた。また、三角波法で測定した自発分極値は3.3n
C/cm 2 であった。
【0137】実施例5 実施例4で得られた液晶Aに、実施例2で得られた光学
活性テトラヒドロピラン誘導体を2重量%となるように
混合し液晶組成物を作製した。得られた液晶組成物の相
転移温度は、以下の通りである。
【0138】
【化59】
【0139】この液晶組成物を等方相でパラレルラビン
グ処理を施したポリイミド配向膜を有するセル間隔2.1
μmの液晶素子に注入した。徐冷して配向させ、30℃
でV PP=21Vの矩形波電圧を印加したときの応答速度
(τ0-90)は138μ秒であった。なお、応答速度は直
交ニコル下における透過光強度が0〜90%まで変化す
る時間として求めた。また、三角波法で測定した自発分
極値は4.3nC/cm 2 であった。
【0140】実施例6 実施例4で得られた液晶Aに、実施例3で得られた光学
活性テトラヒドロピラン誘導体を2重量%となるように
混合し液晶組成物を作製した。得られた液晶組成物の相
転移温度は、以下の通りである。
【0141】
【化60】
【0142】この液晶組成物を等方相でパラレルラビン
グ処理を施したポリイミド配向膜を有するセル間隔2.1
μmの液晶素子に注入した。徐冷して配向させ、30℃
でV PP=21Vの矩形波電圧を印加したときの応答速度
(τ0-90)は201μ秒であった。なお、応答速度は直
交ニコル下における透過光強度が0〜90%まで変化す
る時間として求めた。また、三角波法で測定した自発分
極値は1.7nC/cm 2 であった。
【0143】
【発明の効果】本発明の光学活性テトラヒドロピラン誘
導体は、化学的に安定で着色がなく、光安定性にも優れ
た新規化合物であり、高速応答性を有するものである。
したがって、本発明の光学活性テトラヒドロピラン誘導
体は、特に組成物とした場合に高速応答性を向上させる
ことができ、大きな自発分極を誘起する強誘電性液晶の
配合成分として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09K 19/42 C09K 19/42 G02F 1/13 500 G02F 1/13 500 C07M 7:00 C07M 7:00 (72)発明者 竹田 充範 茨城県鹿島郡神栖町東和田4番地 鹿島 石油株式会社鹿島製油所内 (72)発明者 村山 義信 茨城県鹿島郡神栖町東和田4番地 鹿島 石油株式会社鹿島製油所内 (56)参考文献 特開 平7−11252(JP,A) 特開 平7−11253(JP,A) 特開 平7−330753(JP,A) 特開 平5−310725(JP,A) 特開 平5−230051(JP,A) 特開 平7−17961(JP,A) 特開 平7−26264(JP,A) 特開 平7−25866(JP,A) 国際公開93/13088(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 309/00 - 309/14 C07D 405/12 C07D 407/12 C09K 19/34 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)又は(I’) 【化1】 〔式中、Rfは炭素数1又は2のフルオロアルキル基を
    示し、R1 は炭素数3〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル
    基を示し、R2 ,R3 及びR4 はそれぞれ独立に水素又
    は炭素数1〜15の直鎖又は分岐鎖アルキル基,炭素数
    2〜15のアルケニル基又は炭素数7〜10のアラルキ
    ル基を示し、X1 は−COO−,−OCO−,−O−又
    は単結合を示し、X2 は−COO−,−OCO−,−C
    2 O−,−OCH2 −,−C≡C−又は単結合を示
    し、X3 は−COO−,−CH2 O−又は−O−を示
    し、X4 は−O−又は−OCO−を示し、*は不斉炭素
    を示し、Aが 【化2】 のいずれかであるときBは 【化3】 【化4】 のいずれかを示し(ただし、この場合nは1であ
    る。)、Bが 【化5】 のいずれかであるときAは 【化6】 【化7】 のいずれかを示し、nは0又は1を示す。〕で表される
    光学活性テトラヒドロピラン誘導体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光学活性テトラヒドロピ
    ラン誘導体を少なくとも1種用いてなるラセミ混合物。
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