JPH06298703A - 新規なエステル化合物、これを含む液晶組成物および光スイッチング素子 - Google Patents

新規なエステル化合物、これを含む液晶組成物および光スイッチング素子

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JPH06298703A
JPH06298703A JP5089950A JP8995093A JPH06298703A JP H06298703 A JPH06298703 A JP H06298703A JP 5089950 A JP5089950 A JP 5089950A JP 8995093 A JP8995093 A JP 8995093A JP H06298703 A JPH06298703 A JP H06298703A
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JP
Japan
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difluoro
fluoro
compound
liquid crystal
ester compound
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Application number
JP5089950A
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English (en)
Inventor
Akihisa Yokoyama
明久 横山
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Eneos Corp
Original Assignee
Japan Energy Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大きな自発分極を有し、低粘性を有し、室温
を含む広い温度範囲でキラルスメクチックC相を示す液
晶材料を提供し、高速応答が可能な光スイッチング素子
を提供することである。 【構成】 下記の一般式(I)で表される新規なエステ
ル化合物を提供する。R 1 ,R2 は、それぞれ、炭素数
2〜18のアルキル基を示す。このエステル化合物の光
学活性体の少なくとも一種を液晶組成物中に含有させ
る。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、安定なサーモトロピッ
クな液晶状態をとり得、例えば、液晶テレビ等のディス
プレイ用、光プリンターヘッド、光フーリエ変換素子、
ライトバルブ等、液晶やエレクトロケミクロミズムを利
用するオプトエレクトロニクス関連素子の素材として有
用な液晶材料として利用できる新規なエステル化合物、
特には、この光学活性体及びこの光学活性化合物を含む
液晶組成物並びに光スイッチング素子に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、液晶化合物が、表示材料として種
々の機器で応用され、時計、電卓、小型テレビなどに実
用化されている。これらは、ネマチック液晶材料を主成
分としたセルを用い、TN型あるいはSTN型と呼ばれ
る表示方式のものが採用されている。この場合のセル
は、液晶化合物の誘電異方性Δεと電場Eとの弱い相互
作用(ΔεE2 /2)に基づく作動であり、電場に対す
る応答速度が数msec と遅いことが欠点としてあげられ
ている。そのため、テレビに用いた場合、駆動方式とし
て画素ごとにスイッチング素子を配置、付加したアクテ
ィブマトリクス方式が主として用いられ、大画面化を図
る上で障害の一つになっている。しかし、1975年R.
B.Meyer らによって合成された4−(4−n−デシルオ
キシベンジリデンアミノ)ケイ皮酸−2−メチルブチル
エステル(DOBAMBC )を代表例とする強誘電性液晶の出
現と、それを用いたN.A.Clark らの提案した新しい表示
方式(Applied Phys. Lett.1980,36,899 )により、μ
sec オーダーの高速応答性及び電場を切っても液晶分子
の配向が変わらない特性(メモリー性)を有する液晶セ
ルが可能となった。これらの材料を用いた表示素子を使
えば、スイッチング素子などを用いないマルチプレック
ス駆動による単純マトリクス方式による液晶テレビが可
能となり、アクティブマトリクスのものに比べ、生産性
やコスト、信頼性さらに大画面化などの面ではるかに有
利なものとなる。
【0003】このため、現在まで多くの強誘電性液晶材
料が合成され、提案されてきた。これらの強誘電性液晶
材料が表示材料として用いられるためには、いくつかの
物性が要求されるが、その中でも基本的なものとして
は、室温近傍の広い温度範囲でスメクチックC相を示
し、大きな自発分極を有し、化学的に安定しているとい
う点である。しかしながら、初期の強誘電性液晶は、自
発分極が10nC/cm2 以下と小さく、また分子内にシ
ッフ塩基を持つものが多かったため、化学的に不安定で
あった。
【0004】ところで、最近、化学的に安定なエステル
化合物による大きな自発分極の発現が報告されている。
例えば、次式、
【0005】
【化2】
【0006】のエステル化合物は、78.7℃〜10
3.3℃の温度領域でキラルスメクチックC相の、また
103.3℃〜120.8℃の温度領域でコレステリッ
ク相の液晶となるが、この液晶の83℃における自発分
極は、89nC/cm2 である(特開昭61−43号公
報)。一方、キラルスメクチックC相を示す温度を低く
するために、2環の化合物が合成されている。例えば、
次式、
【0007】
【化3】
【0008】のビフェニル化合物は、昇温時44℃から
キラルスメクチックC相を示す(特開昭59−1187
44号公報)。さらに、室温近傍で安定にキラルスメク
チック相を示すフェニルピリミジン系化合物が報告され
ている。例えば、次式、
【0009】
【化4】
【0010】の化合物は、40.7℃〜82.8℃でキ
ラルスメクチックC相の、82.8℃〜89.1℃でス
メクチックA相の液晶となる(特開昭61−20097
3号公報)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記エ
ステル化合物は、キラルスメクチックC相を示す温度が
高いという欠点を有している。また、上記ビフェニル化
合物は、キラルスメクチックC相を示す温度は室温に近
いが、その温度範囲は約10℃で十分広いとは言えな
い。また、上記フェニルピリミジン系化合物は応答速度
が43℃で1500μsec と遅く、自発分極がかなり小
さいと推定される。
【0012】すなわち、高速応答性を要求される表示装
置などの液晶材料には、大きな自発分極を有すること、
低粘性を有すること、あるいは室温近傍を含む広い温度
範囲でキラルスメクチックC相を示すことなどの物性が
要求されるが、現在までのところこれらの物性を十分満
足する材料は未だないのが実状である。
【0013】本発明の課題は、大きな自発分極を有し、
低粘性を有し、室温近傍を含む広い温度範囲でキラルス
メクチックC相を示す液晶材料を提供することである。
また、本発明の課題は、かかる液晶材料を使用すること
により、高速応答が可能な光スイッチング素子を提供す
ることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式(I)
で表される新規なエステル化合物、特には、この分子中
のフッ素原子とメチル基とが結合している炭素上に不斉
中心を持つ光学活性エステル化合物に係るものである。
【0015】
【化5】 (式中、R1 、R2 は、それぞれ、炭素数2〜18のア
ルキル基を示す。)
【0016】また、本発明は、上記の一般式(I)で表
される光学活性エステル化合物の少なくとも一種を含有
することを特徴とする液晶組成物及び光スイッチング素
子に係るものである。
【0017】
【作用】本発明者は、強誘電性液晶化合物の不斉構造お
よび核構造について鋭意検討を進めた。この結果、不斉
炭素上にフッ素原子およびメチル基を置換基として有す
るジフルオロターフェニル化合物が、サーモトロピック
に液晶状態を示し、ベース液晶と混合すると、室温近傍
を含む広い温度範囲でキラルスメクチックC相を示すこ
とを見出し、本発明に到達した。
【0018】そして、上記のジフルオロターフェニル化
合物をベース液晶と混合して得た強誘電性液晶組成物を
光スイッチング素子に適用することにより、応答速度の
速い素子が得られることを確認した。
【0019】
【実施例】一般式(I)で表された化合物を例示すると
次の化合物がある。 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルブタノイルオキシ)−4”−プロピルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルブタノイルオキシ)−4”−ブチルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルブタノイルオキシ)−4”−ペンチルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルブタノイルオキシ)−4”−ヘキシルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルブタノイルオキシ)−4”−ヘプチルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルブタノイルオキシ)−4”−オクチルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルブタノイルオキシ)−4”−ノニルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルブタノイルオキシ)−4”−デシルターフェニル
【0020】2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フル
オロ−2−メチルペンタノイルオキシ)−4”−プロピ
ルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルペンタノイルオキシ)−4”−ブチルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルペンタノイルオキシ)−4”−ペンチルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルペンタノイルオキシ)−4”−ヘキシルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルペンタノイルオキシ)−4”−ヘプチルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルペンタノイルオキシ)−4”−オクチルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルペンタノイルオキシ)−4”−ノニルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルペンタノイルオキシ)−4”−デシルターフェニル
【0021】2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フル
オロ−2−メチルヘキサノイルオキシ)−4”−プロピ
ルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルヘキサノイルオキシ)−4”−ブチルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルヘキサノイルオキシ)−4”−ペンチルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルヘキサノイルオキシ)−4”−ヘキシルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルヘキサノイルオキシ)−4”−ヘプチルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルヘキサノイルオキシ)−4”−オクチルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルヘキサノイルオキシ)−4”−ノニルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルヘキサノイルオキシ)−4”−デシルターフェニル
【0022】2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フル
オロ−2−メチルヘプタノイルオキシ)−4”−プロピ
ルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルヘプタノイルオキシ)−4”−ブチルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルヘプタノイルオキシ)−4”−ペンチルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルヘプタノイルオキシ)−4”−ヘキシルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルヘプタノイルオキシ)−4”−ヘプチルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルヘプタノイルオキシ)−4”−オクチルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルヘプタノイルオキシ)−4”−ノニルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルヘプタノイルオキシ)−4”−デシルターフェニル
【0023】2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フル
オロ−2−メチルオクタノイルオキシ)−4”−プロピ
ルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルオクタノイルオキシ)−4”−ブチルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルオクタノイルオキシ)−4”−ペンチルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルオクタノイルオキシ)−4”−ヘキシルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルオクタノイルオキシ)−4”−ヘプチルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルオクタノイルオキシ)−4”−オクチルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルオクタノイルオキシ)−4”−ノニルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルオクタノイルオキシ)−4”−デシルターフェニル
【0024】2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フル
オロ−2−メチルノナノイルオキシ)−4”−プロピル
ターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルノナノイルオキシ)−4”−ブチルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルノナノイルオキシ)−4”−ペンチルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルノナノイルオキシ)−4”−ヘキシルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルノナノイルオキシ)−4”−ヘプチルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルノナノイルオキシ)−4”−オクチルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルノナノイルオキシ)−4”−ノニルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルノナノイルオキシ)−4”−デシルターフェニル
【0025】2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フル
オロ−2−メチルデカノイルオキシ)−4”−プロピル
ターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルデカノイルオキシ)−4”−ブチルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルデカノイルオキシ)−4”−ペンチルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルデカノイルオキシ)−4”−ヘキシルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルデカノイルオキシ)−4”−ヘプチルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルデカノイルオキシ)−4”−オクチルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルデカノイルオキシ)−4”−ノニルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルデカノイルオキシ)−4”−デシルターフェニル
【0026】2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フル
オロ−2−メチルウンデカノイルオキシ)−4”−プロ
ピルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルウンデカノイルオキシ)−4”−ブチルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルウンデカノイルオキシ)−4”−ペンチルターフェ
ニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルウンデカノイルオキシ)−4”−ヘキシルターフェ
ニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルウンデカノイルオキシ)−4”−ヘプチルターフェ
ニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルウンデカノイルオキシ)−4”−オクチルターフェ
ニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルウンデカノイルオキシ)−4”−ノニルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルウンデカノイルオキシ)−4”−デシルターフェニ
【0027】2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フル
オロ−2−メチルドデカノイルオキシ)−4”−プロピ
ルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルドデカノイルオキシ)−4”−ブチルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルドデカノイルオキシ)−4”−ペンチルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルドデカノイルオキシ)−4”−ヘキシルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルドデカノイルオキシ)−4”−ヘプチルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルドデカノイルオキシ)−4”−オクチルターフェニ
ル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルドデカノイルオキシ)−4”−ノニルターフェニル 2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルドデカノイルオキシ)−4”−デシルターフェニル
【0028】上記式(I)の化合物は次のようにして得
られる。
【0029】
【化6】
【0030】すなわち、フェノール1をカルボン酸2で
エステル化することにより得られる。エステル化の方法
としては、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドの様
な脱水縮合剤を用いることができる。また、カルボン酸
2を例えば塩化チオニルのようなハロゲン化剤を用いて
酸ハライドとし、塩基の存在下、フェノール1と反応さ
せることもできる。なお、この場合、上記カルボン酸2
として、フッ素原子とメチル基とが結合している炭素上
に不斉中心を持つカルボン酸を用いると、光学活性なエ
ステル化合物を得ることができる。ここで用いたフェノ
ール1は、次式のようにして得られる。
【0031】
【化7】
【0032】すなわち、1、2−ジフルオロベンゼンに
n−ブチルリチウムを作用させてリチオ体とした後、ホ
ウ酸トリメチルと反応させ、その後酸加水分解して得ら
れるフェニルホウ酸誘導体を、パラジウム触媒存在下4
−アルキルブロモベンゼンと反応させることにより、ジ
フルオロビフェニル誘導体とする。このジフルオロビフ
ェニル誘導体にn−ブチルリチウムを作用させてリチオ
体とした後、ホウ酸トリメチルと反応させ、その後酸加
水分解して得られるフェニルホウ酸誘導体を、パラジウ
ム触媒存在下4−ブロモフェノールと反応させることに
より、フェノール1を得ることができる。また、ここで
用いたカルボン酸2は次式のようにして得られる。
【0033】
【化8】
【0034】すなわち、まず、2−メチル−1、2−エ
ポキシアルカンにアミン−フッ化水素錯体または四フッ
化ケイ素を作用させて、2−フルオロ−2−メチル−1
−アルカノールとする(特開平2−235828号公
報)。これを過マンガン酸カリウム等の酸化剤を用いて
酸化することによりカルボン酸2を得ることができる
(特開平3−141241号公報)。この場合、上記2
−メチル−1,2−エポキシアルカンに光学活性体を用
いると、光学活性なカルボン酸2を得ることができる。
【0035】尚、上記一般式(I)で示した化合物中の
1 、R2 のアルキル基の炭素数は、その化合物が液晶
状態を取り得る温度域等の物性に影響を持つものであ
り、目的によって適宜選定され得るものである。
【0036】以下、更に具体的な実験結果について述べ
る。 (実施例1)2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルヘプタノイルオキシ)−4”−ヘキシルターフェニ
2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルヘプタノイルオキシ)−4”−ヘキシルターフェニ
ルの合成
【0037】1、2−ジフルオロベンゼン9.50g
(83.3mmol)を乾燥テトラヒドロフラン100
mlに溶解し、−78℃でn−ブチルリチウムヘキサン
溶液55ml(1.64M、90.2mmol)を20
分間かけて滴下し、そのまま7時間攪拌した。乾燥テト
ラヒドロフラン20mlに溶解したホウ酸トリメチル1
0ml(88.0mmol)を滴下して加え、一晩かけ
て徐々に室温まで昇温した。3規定塩酸50mlを加え
て1時間室温で攪拌した後、エーテルで2回抽出し、飽
和食塩水で2回洗浄した。
【0038】無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留
去して得られた油状物をエタノール50mlに溶解し、
4−ヘキシルブロモベンゼン15.00g(62.2m
mol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウ
ム(0)0.84g(0.73mmol)、トルエン1
00ml、2規定炭酸ナトリウム水溶液100mlを加
えて、6時間半加熱還流した。エタノールを留去した
後、エーテルで2回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液
で1回洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒
を留去して得られた粗結晶をシリカゲルカラムクロマト
グラフィーで精製することにより、白色結晶の2’、
3’−ジフルオロ−4−ヘキシルビフェニル17.05
g(定量的)を得た。
【0039】上で得た2’、3’−ジフルオロ−4−ヘ
キシルビフェニル16.47g(60.1mmol)を
乾燥テトラヒドロフラン115mlに溶解し、−78℃
でn−ブチルリチウムヘキサン溶液40ml(1.64
M、65.6mmol)を30分間かけて滴下し、その
まま6時間半攪拌した。乾燥テトラヒドロフラン20m
lに溶解したホウ酸トリメチル8ml(70.4mmo
l)を滴下して加え、一晩かけて徐々に室温まで昇温し
た。3規定塩酸50mlを加えて1時間室温で攪拌した
後、エーテルで2回抽出し、飽和食塩水で2回洗浄し
た。
【0040】無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留
去して得られた油状物をエタノール80mlに溶解し、
4−ブロモフェノール8.68g(50.2mmo
l)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム
(0)0.71g(0.61mmol)、トルエン10
0ml、2規定炭酸ナトリウム水溶液100mlを加え
て、6時間半加熱還流した。エタノールを留去した後、
テトラヒドロフランで2回抽出し、飽和塩化ナトリウム
水溶液で1回洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、溶媒を留去して得られた粗結晶をシリカゲルカラム
クロマトグラフィーで精製することにより、白色結晶の
2’、3’−ジフルオロ−4”−ヘキシル−4−ヒドロ
キシターフェニル13.46g(収率74%)を得た。
【0041】上で得た2’、3’−ジフルオロ−4”−
ヘキシル−4−ヒドロキシターフェニル1.20g
(3.28mmol)、2−フルオロ−2−メチルヘプ
タン酸0.58g(3.58mmol)、ジシクロヘキ
シルカルボジイミド0.77g(3.74mmol)、
4−ジメチルアミノピリジン0.05g(0.41mm
ol)、乾燥ジクロロメタン45mlをフラスコに取
り、室温で1晩攪拌した。生じた固体をろ過で除き、溶
媒を留去して得られた粗結晶をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー及びエタノールからの再結晶で精製するこ
とにより、下記の理化学的性質及び構造式を有する
2’、3’−ジフルオロ−4−(2−フルオロ−2−メ
チルヘプタノイルオキシ)−4”−ヘキシルターフェニ
ル1.09g(収率65%)を得た。
【0042】
【化9】
【0043】
【表1】 1H−NMR(270MHz、TMS基準、δ値) δ 0.90 6H m δ 1.2〜2.2 16H m δ 1.74 3H d (J=20Hz) δ 2.66 2H t (J= 7Hz) δ 7.24 2H d (J= 9Hz) δ 7.26 2H m δ 7.28 2H d (J= 9Hz) δ 7.50 2H d (J= 9Hz) δ 7.60 2H d (J= 9Hz) IR(KBr法、cm-1) 2910、2840、1765、1480、1455、
1295、1160、1115、795
【0044】液晶性の評価 上で得られた化合物を、ポリイミドを塗布しラビング処
理を施した透明電極付きガラス板からなる厚さ3μmの
セルに注入し、−2℃/分の割合で降温しながらクロス
ニコルの偏光顕微鏡で観察したところ、59℃で等方性
液体からスメクチックA相に変化し、43℃で結晶化し
た。昇温時、64℃で結晶から等方相に変化した。
【0045】(実施例2)液晶組成物及び光スイッチング素子の作成 表2に示した非光学活性液晶化合物3、4、5、6、
7、8、9、10を当該表中に示す割合で混合して、母
体液晶混合物Aを作成した。
【0046】
【表2】
【0047】この液晶組成物Aは、表3に示す相転移挙
動を示した。
【0048】
【表3】
【0049】Crは結晶相、ScはスメクチックC相、
A はスメクチックA相、Nはネマチック相、Iは等方
相を示す。この液晶組成物Aは、不斉炭素を有する化合
物を含まないので、強誘電的な挙動は示さない。
【0050】この液晶組成物Aを96重量%と、実施例
1で製造した、2′,3′−ジフルオロ−4−(2−フ
ルオロ−2−メチルヘプタノイルオキシ)−4″−ヘキ
シルターフェニルを4重量%とを混合し、強誘電性の液
晶組成物Bを作製した。この液晶組成物Bは、表4に示
す相転移挙動を示した。
【0051】
【表4】
【0052】Crは結晶相、Sc* はキラルスメクチッ
クC相、SA はスメクチックA相、Chはコレステリッ
ク相、Iは等方相を示す。
【0053】また、この液晶組成物Bを、ポリイミドを
塗布しラビング処理を施した透明電極付きガラス板から
なる厚さ2μmのセルに注入し、等方性液体の状態から
ゆるやかに降温し、コレステリック相を配向させた。更
に温度を下げ、スメクチックA相を経てキラルスメクチ
ックC相の状態にしたところ、良配向のセルが容易に得
られた。そのセルをクロスニコルの偏光顕微鏡で観察し
ながらセルに電界を印加すると、明瞭なスイッチング動
作が観測された。
【0054】そのセルに、25℃で20Vppの矩形波
を印加し、透過光量をフォトダイオードで測定し、光ス
イッチング動作を検出したところ、その透過光量が10
%から90%まで変化するのに要する時間は、148μ
sと非常に高速であった。
【0055】(実施例3)液晶組成物及び光スイッチング素子の作成 実施例2で得た液晶組成物Aを85重量%と、実施例1
で製造した2′,3′−ジフルオロ−4−(2−フルオ
ロ−2−メチルヘプタノイルオキシ)−4″−ヘキシル
タ−フェニルを15重量%とを混合し、強誘電性の液晶
組成物Cを作製した。この液晶組成物Cは、表5に示す
相転移挙動を示した。
【0056】
【表5】
【0057】また、この液晶組成物Cを、ポリイミドを
塗布しラビング処理を施した透明電極付きガラス板から
なる厚さ2μmのセルに注入し、等方性液体の状態から
ゆるやかに降温し、コレステリック相を配向させた。更
に温度を下げ、スメクチックA相を経てキラルスメクチ
ックC相の状態にしたところ、良配向のセルが容易に得
られた。そのセルをクロスニコルの偏光顕微鏡で観察し
ながらセルに電界を印加すると、明瞭なスイッチング動
作が観測された。
【0058】そのセルに、25℃で20Vppの矩形波
を印加し、透過光量をフォトダイオードで測定し、光ス
イッチング動作を検出したところ、その透過光量が10
%から90%まで変化するのに要する時間は、46μs
と非常に高速であった。
【0059】
【発明の効果】本発明のエステル化合物は、安定なサー
モトロピックの液晶状態を取り得、また、キラルでない
液晶に添加することにより、自発分極が大きく、応答速
度が速く、室温近傍を含む広い温度範囲でキラルスメク
チック相を示す強誘電性液晶組成物を得ることができ
る。従って本発明は、たとえば、液晶テレビなどのディ
スプレイ用、光プリンターヘッド、光フーリエ変換素
子、ライトバルブなど、液晶やエレクトロケミクロミズ
ムを利用するオプトエレクトロニクス関連素子の素材と
して極めて有用な液晶材料を提供するものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(I)で表される新規なエ
    ステル化合物。 【化1】 (R1 、R2 は、それぞれ、炭素数2〜18のアルキル
    基を示す。)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の一般的(I)で表され
    る新規なエステル化合物が、フッ素原子とメチル基が結
    合している炭素上に不斉中心を持つ光学活性体であるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の新規なエステル化合
    物。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の光学活性エステル化合
    物の少なくとも一種を含有することを特徴とする液晶組
    成物。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の光学活性エステル化合
    物の少なくとも一種を構成要素とすることを特徴とする
    光スイッチング素子。
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