JP3216643B1 - マグネトロン駆動用電源 - Google Patents

マグネトロン駆動用電源

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Abstract

【要約】 【課題】 マグネトロンの非線形な電圧電流特性が原因
となって発生する入力電流の歪を低減し、電力変換効
率、力率と高調波性能を向上する。 【解決手段】 半導体スイッチ素子20、21の直列回
路と、ダイオード22、23の直列回路と、第1、第2
のコンデンサ24、25の直列回路を並列接続し、ダイ
オード24、25の接続点と半導体スイッチ素子20、
21の接続点間に商用電源1と高圧トランス26の直列
回路を接続し、高圧トランス26の高圧出力は高圧整流
回路を介してマグネトロンに電力を供給する構成とする
ことにより商用電源のほぼ全域に渡り入力電流を流して
歪の少ない入力電流とすることができる。また、半導体
スイッチ素子20、21のオンオフによって昇圧動作と
インバータ動作を一度に行い電力変換の過程を削減する
と同時にダイオード22、23のスイッチング損失を低
減して電力変換効率を向上している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子レンジなどの
マグネトロンを負荷とするマグネトロン駆動用電源に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のマグネトロン駆動用電源について
図面を用いて説明する。図29は従来のマグネトロン駆
動用電源の回路図である。従来のマグネトロン駆動用電
源は交流である商用電源1を一旦ダイオードブリッジ2
で直流電圧に変換し、この直流電圧を半導体スイッチ素
子3、4のオンオフによってインバータ回路5は高圧ト
ランス6の1次巻線に高周波電圧を発生し、高圧トラン
ス6は2次巻線に高周波高電圧を励起する。この高周波
高電圧は高圧整流回路7によって直流高電圧に整流さ
れ、マグネトロン8に印加される。マグネトロン8はこ
の直流高電圧で駆動され、2.45GHzの電波を発生
する。
【0003】図30は従来のマグネトロン駆動用電源の
動作波形を示した図である。商用電源1の交流電圧V1
はダイオードブリッジ2によって直流電圧に整流され
る。インダクタ9とコンデンサ10は平滑回路を構成し
ているが、コンデンサ10の容量はインバータ回路5の
サイズを小型化するために20kHzから50kHzで
動作するインバータ回路5に対して直流電圧を保持でき
る程度の容量としており、商用電源1の周波数(50H
zまたは60Hz)に対しては平滑する能力を有してい
ない。このためコンデンサ10の電圧V10は商用電源
1を単に全波整流した波形を示し、ほぼ0電圧から商用
電源1の最大電圧まで変動する脈動波形を示す。インバ
ータ回路5はこの脈動するコンデンサ10の電圧V10
によって動作するので、高圧トランス6の1次巻線に発
生する高周波電圧の包絡線波形はV6(Lp)に示すよ
うな波形となりコンデンサ10の電圧V10が低い期間
では同様に低い電圧しか発生し得ない。
【0004】一方、マグネトロン8の動作特性は図31
に示すようにアノードカソード間に所定の電圧以上が印
加されないとアノード電流が流れないような非線形な電
圧電流特性を示す。したがって、高圧トランス6の1次
巻線に発生する電圧が低い期間では2次巻線に励起され
る電圧も同時に低くなるためマグネトロン8に印加され
る電圧V8の波形は図に示すごとくVAK(TH)に到達しな
くなる期間が発生する。この期間はマグネトロン8が発
振を停止しているため負荷であるマグネトロン8で電力
消費されないため商用電源1の電流I1は流れなくな
る。この結果商用電源1の電流I1の波形は図30に示
すごとく電流が0となる期間を有する非常に歪を持った
波形となり、これが原因でマグネトロン駆動用電源の力
率の低下、入力電流に高調波電流を発生することにな
る。
【0005】このような課題に対して図32に示す回路
構成のようにアクティブフィルタ回路13をインバータ
回路5の前段に設け、入力電流の力率向上、高調波抑制
を図ったものが提案されている。アクティブフィルタ回
路13はいわゆる昇圧チョッパ回路の構成をしており、
半導体スイッチ素子17のオン時間比によって昇圧電圧
を制御することができる。
【0006】この場合の動作について図33を用いて説
明する。商用電源1の電圧はV1に示すように交流電圧
波形を示している。アクティブフィルタ回路13はダイ
オードブリッジ2によって交流電圧V1を全波整流した
電圧を半導体スイッチ素子14のオンオフによって制御
することによってコンデンサ15に昇圧電圧を発生す
る。この昇圧電圧V15はコンデンサ15の容量によっ
て脈動率は変化するが、図29の構成におけるV10の
ように完全に0まで低下しないようにすることができ
る。このため高圧トランス6の1次巻線に発生する電圧
V6(Lp)も商用電源1の電圧が0近傍であっても所
定の値以上を発生することができる。この結果マグネト
ロン8に印加する電圧は常に発振可能電圧以上を保持す
ることが可能となる。その結果、入力電流I1は図に示
すように0となる期間を持たない略正弦波状の波形とす
ることができ、入力力率の向上、高調波電流の抑制が可
能となる。
【0007】しかしながらこのような構成ではインバー
タ回路5にアクティブフィルタ回路13を付加した構成
となり、電力変換の過程が整流→昇圧→高周波発生(イ
ンバータ回路)→高圧整流となるので電力変換の過程が
増加し、変換効率の低下と回路規模の増大が課題とな
る。
【0008】そこで、さらに構成部品、回路機能の共用
化を図った構成のものが特開平10−271846にて
公開されている。図34はこの発明の回路構成を示した
回路図である。この回路構成によって昇圧機能、インバ
ータ機能の動作を一度に行い、入力力率の向上と回路構
成の簡素化を目的としている。図35、図36は回路動
作を説明した図であり、図35(a)〜(d)は半導体
スイッチ素子Q1、Q2のオンオフによって各々通電経
路を説明した図であり、図36はそれに対応した動作波
形図である。図35、図36を用いて回路動作について
説明する。説明の都合上商用電源1の電圧極性が図に示
す方向で半導体スイッチ素子Q2がオンの状態から説明
をはじめる。半導体スイッチ素子Q2がオンの状態では
図35(a)に示すようにコンデンサC2→商用電源1
→誘導性負荷回路19→半導体スイッチ素子Q2の経路
で電流が流れ、図36(a)に示すように半導体スイッ
チ素子Q2の電流IQ2は単調に増加する。所定の時間で
半導体スイッチ素子Q2をオフすると電流経路は図35
(b)の状態へ移り、ダイオードD2→商用電源1→誘
導性負荷回路19→ダイオードD3→コンデンサC1の
経路でコンデンサC1を充電する。誘導性負荷回路19
に蓄えられたエネルギーをすべて放出するとコンデンサ
C1を電源としてコンデンサC1→半導体スイッチ素子
Q1→誘導性負荷回路19→商用電源1→コンデンサC
2で構成される図35(c)の経路で電流が流れる。所
定の時間で半導体スイッチ素子Q1をオフすると誘導性
負荷回路19は同じ方向へ電流を流そうとするので図3
5(d)に示す経路(商用電源1→コンデンサC2→ダ
イオードD4→誘導性負荷回路19)で電流が流れ、誘
導性負荷回路19に蓄えたエネルギーをコンデンサC1
へ充電する。誘導性負荷回路19に蓄えたエネルギーが
すべて放出されると再び図35(a)の経路で電流が流
れ回路動作が継続する。特開平10−271846には
開示されていないが、この動作を実現するためにはコン
デンサC1とコンデンサC2の容量には式1で示される
ような容量関係が必要である。
【0009】(式1) C1≫C2 このような関係を満たすためにコンデンサC1には電解
コンデンサのような大容量に対応できるコンデンサを用
いる必要がある。
【0010】このような動作によって商用電源1からの
電流を電源周期の略全域に渡り流すことができるように
なり入力電流の力率向上、高調波の抑制と回路の簡素化
を図っている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の構成では下記にあげるような課題があり、高い回路
効率を十分に得ることができない。
【0012】図36の動作波形図においてダイオードD
2を流れる電流はID2に示す電流が流れる。また、ダイ
オードD2に印加する電圧はVD2のように変化する。こ
こで図36(b)の期間から(c)へ移行するタイミン
グでダイオードD2の電流は理想的には0となるが実際
のダイオードはターンオフ時にリカバリー電流を生じ
る。このリカバリー電流が生じると印加電圧との積でダ
イオードにスイッチング損失を発生する。したがってダ
イオードD1、D2にはスイッチングスピードTrrが
速い特性が要求されることになる。しかしながらスイッ
チングスピードTrrが速いダイオードはもうひとつの
ダイオードの特性である順方向オン電圧VFが高くなる
傾向にあり、この場合導通時のオン損失が大きくなる。
この結果ダイオードD1、D2の損失は大きなものとな
り、回路の総合効率を十分に高いものとすることができ
ない。
【0013】しかしながら特開平10−271846で
開示されている従来例で示した構成は照明機器を対象と
したものでありこれらの機器の変換電力は最大でも10
0Wから200W程度である。したがって回路を流れる
電流もおのずと数A程度の微小な電流しか流れないので
ダイオードをスイッチングスピード重視の設計として順
方向オン電圧VFが高くなるようにしてもダイオードの
損失はそれほど増加することなく設計することが可能で
ある。
【0014】一方、電子レンジ等に用いられるマグネト
ロン駆動用電源は変換電力が1000Wから1500W
程度の大電力を扱うので、回路を流れる電流は最大で4
0Aから50Aの大電流が流れる。このためスイッチン
グスピードを重視してダイオードを設計すると順方向オ
ン電圧VFが高くなるのでダイオードが導通していると
きの損失(導通損失)が大きくなり、スイッチングスピ
ードを速くする事によって損失を低減しようとする効果
が薄れてしまう。また家庭用電子レンジの冷却能力は電
子レンジのサイズやコストの関係からおのずと限られた
ものとなるのでスイッチングスピードを速め、順方向オ
ン電圧VFの上昇を抑えるためにはダイオードの大型化
あるいは限られた冷却条件下で放熱するための大型の放
熱フィンなどが必要となってくる。このためマグネトロ
ン駆動用電源においては変換効率を高め、回路の各部品
での発生損失低減が必須条件となる。したがって従来例
で示した構成をマグネトロン駆動用電源に適用すること
は損失低減の観点からすると非常な困難を伴ってしま
う。そのためマグネトロン駆動用電源に適用する場合に
はダイオードのスイッチング損失もオン損失も増加させ
ないような回路構成とすることが必要となる。また、変
換電力の大きさゆえマグネトロン駆動用電源に電解コン
デンサを用いると電解コンデンサの脈動電流を押さえる
ために高容量でかつ耐電圧の高いスペックの電解コンデ
ンサを必要としてしまう。その結果、電源自体の大型化
を招くことからマグネトロン駆動用電源を搭載する電子
レンジのサイズアップを誘発し、高周波スイッチング動
作によってマグネトロン駆動用電源を小型軽量化する効
果が損なわれてしまう。
【0015】本発明は、前記従来の課題を解決するもの
で、入力電流の歪を抑制し高調波の発生を抑え入力力率
を高めるとともに、回路の簡素化と1kW以上の大電力
を変換しても回路効率を向上させたマグネトロン駆動用
電源を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記従来の課題を解決す
るために、本発明のマグネトロン駆動用電源は、第1お
よび第2の逆導通可能な半導体スイッチ素子の直列接続
体と、第1および第2のダイオードの直列接続体を並列
接続し、前述の第1および第2のダイオードに其々第1
と第2のコンデンサを並列接続し、第1および第2のダ
イオードの接続点と第1および第2の逆導通可能な半導
体スイッチ素子の接続点間に商用電源と高圧トランスの
直列回路を接続するとともに高圧トランスの高圧出力は
高圧整流回路を介してマグネトロンに電力を供給する構
成としたものである。
【0017】これによって、第1および第2の半導体ス
イッチ素子が相補的にオンオフすることによって商用電
源の電圧極性が正の場合は第2のコンデンサに商用電源
の電圧を昇圧した電圧が加えられ、これとは逆の電圧極
性の場合は第1のコンデンサに商用電源を昇圧した電圧
が加えられる。高圧トランスの1次巻線に印加する電圧
はこの昇圧電圧に依存するので商用電源の電圧が低い期
間であってもマグネトロンが発振するために必要な電圧
以上を常に高圧トランスの1次巻線に印加することがで
き商用電源のほぼ全域に渡り入力電流を流すことがで
き、歪の少ない入力電流とすることができる。また、第
1および第2の半導体スイッチ素子は高圧トランスの1
次巻線に高周波電流を流すインバータ動作と第1および
第2のコンデンサに昇圧電圧を印加する動作を一度に行
うことができるのでインバータ構成部品を最小で構成す
ることができインバータ回路を小形化できる。また、回
路動作において第1および第2のダイオードのターンオ
フは半導体スイッチ素子が行って回路モードが切り替わ
るのでこれらのダイオードはスイッチングスピードに対
する制約を受けることなく順方向オン電圧を重視した設
計とすることができこのダイオードの損失をきわめて少
なくすることができ、インバータ回路を高効率化するこ
とができる。
【0018】
【発明の実施の形態】請求項1〜3に記載の発明は、第
1および第2の逆導通可能な半導体スイッチ素子の直列
接続体と、第1および第2のダイオードの直列接続体を
並列接続し、前記第1および第2のダイオードに各々並
列に第1と第2のコンデンサを接続し、前記第1および
第2の逆導通可能な半導体スイッチ素子の接続点と、前
記第1および第2のダイオードの接続点間に商用電源と
高圧トランスの1次巻線の直列回路を接続し、前記高圧
トランスの2次巻線の出力は高圧整流回路を介してマグ
ネトロンを付勢する構成とすることにより商用電源の電
圧が低い期間でも高圧トランスの1次巻線にマグネトロ
ンが発振可能な電圧以上を印加することができ、入力電
流を常に流すことができるので歪の少ない入力電流とし
てマグネトロン駆動用電源の力率向上が可能となる。ま
た、2つの半導体スイッチ素子が相補的にオンオフする
ことによって高圧トランスの1次巻線に高周波電流を流
すインバータ動作と第1および第2のコンデンサに昇圧
電圧を発生する動作を一度に行えるので回路構成部品を
最小化でき、また、電力変換の過程が少なくなるので電
力変換効率を向上することができる。また、第1および
第2のダイオードのターンオフは半導体スイッチ素子が
行うのでこのダイオードの特性は順方向オン電圧を重視
して設計することが可能となり、インバータ回路の回路
効率を向上することができる。
【0019】請求項4に記載の発明は、特に、請求項1
または2に記載のマグネトロン駆動用電源を第1および
第2の半導体スイッチ素子と高圧トランスの1次巻線に
対して少なくとも1箇所に第3のコンデンサを並列接続
する構成とすることにより、第1および第2の半導体ス
イッチ素子が各々ターンオフする際に半導体スイッチ素
子に印加する電圧が所定の傾きを持って緩やかに上昇あ
るいは下降するのでこれらの半導体スイッチ素子のスイ
ッチング損失を軽減しインバータ回路の電力変換効率を
改善することができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しながら説明する。
【0021】(実施例1)本発明の第1の実施例につい
て図1から図3を用いて説明する。図1は第1の実施例
のマグネトロン駆動用電源を示す回路図である。第1、
第2の半導体スイッチ素子20、21の直列接続体と第
1、第2のダイオード22、23の直列接続体を並列接
続し、第1、第2のダイオード22、23に各々並列に
第1、第2のコンデンサ24、25を接続するとともに
半導体スイッチ素子20、21の接続点とダイオード2
2、23の接続点間に商用電源1と高圧トランス26の
直列回路を接続する構成となっている。高圧トランス2
6の2次巻線出力は高圧整流回路7に接続されマグネト
ロン8に直流高電圧を印加する。マグネトロン8はこの
直流高電圧によって付勢され2.45GHzの電波を発
生する。なお本実施例では第1、第2の半導体スイッチ
素子は順方向に導通するIGBT(絶縁ゲートバイポー
ラトランジスタ)とこれと逆並列に接続したダイオード
にて記載しているが、MOSFETのように素子内部に
ダイオードを構成したような素子を用いても適用可能で
あることは言うまでもない。
【0022】図2はインバータ回路の各期間における電
流が流れる経路を示した図であり、図3はそれに対応し
た動作波形図である。商用電源1の極性が図示の状態で
半導体スイッチ素子21がオンの状態から説明をはじめ
る。この状態では図2(a)に示すように商用電源1→
高圧トランス26の1次巻線→半導体スイッチ素子21
→ダイオード23の経路で電流が流れ、図3(a)の期
間のI21に示す電流が半導体スイッチ素子21および
高圧トランス26の1次巻線に電流が流れることによっ
て高圧トランス26の1次巻線にエネルギーを蓄積す
る。半導体スイッチ素子21を所定の時間でオフすると
高圧トランス26の1次巻線電流は同じ方向に流れ続け
ようとするので今度は図2(b)に示すごとく商用電源
1→高圧トランス26の1次巻線→半導体スイッチ素子
20の並列ダイオード→コンデンサ24の経路で高圧ト
ランス26の1次巻線に蓄えたエネルギーをコンデンサ
24に充電する。この動作によってコンデンサ24には
商用電源1の電圧を昇圧した電圧が蓄えられる。高圧ト
ランス26の1次巻線に蓄えたエネルギーをすべて放出
すると図2(c)の経路が形成され今度はコンデンサ2
4に充電したエネルギーをコンデンサ24→半導体スイ
ッチ素子20→高圧トランス26の1次巻線→商用電源
1の経路で取り出す。そして半導体スイッチ素子20を
所定の時間でオフすると高圧トランス26の1次巻線は
同じ方向に電流を流し続けようとするので図2(d)の
ように高圧トランス26の1次巻線→商用電源1→コン
デンサ25→半導体スイッチ素子21の並列ダイオード
の経路で電流が流れる。商用電源1の電圧極性が図示と
逆極性の場合は半導体スイッチ素子20、21とダイオ
ード22、23とコンデンサ24、25の動作がそれぞ
れ入れ替わるだけで同様の動作をする。
【0023】上記の動作においてコンデンサ24、25
は半導体スイッチ素子20、21のオンオフによって高
圧トランス26の1次巻線に高周波電流を発生させるイ
ンバータ動作と商用電源1の電圧に対して昇圧した電圧
をコンデンサ24、25に発生させる動作を兼用できる
ような容量に設計され、コンデンサ24、25の容量は
相等しい容量で構成されている。この結果商用電源1の
電圧極性が図示の場合はコンデンサ24に商用電源1の
電圧を昇圧した電圧を蓄え、反対に商用電源1の電圧極
性が図示とは逆極性の場合はコンデンサ25に商用電源
1の電圧を昇圧した電圧を蓄える動作をする。したがっ
て商用電源1の電圧極性によらずコンデンサ24、25
に発生する電圧を等しくすることができるので商用電源
1の電流は正負対称な波形とすることができる。そし
て、このような動作を継続することで図4に示すように
商用電源1の周期に対してコンデンサ24、25の電圧
波形は商用電源1の電圧極性に応じて昇圧した電圧を発
生する。このため高圧トランス26の1次巻線に流れる
電流の包絡線波形はV26(Lp)に示すような波形と
なる。この電圧を高圧トランス26は昇圧してマグネト
ロン8に印加するのでマグネトロン8に印加する電圧は
V8のような波形を示し、常に発振電圧VAK(TH )以上の
電圧を維持することが可能となる。この結果入力電流I
1は商用電源1のいずれの期間においても電流を流すこ
とができ、力率の改善、高調波の抑制を実現することが
できる。
【0024】また、図3において期間(a)から(b)
へ移行する際ダイオード23をカットオフする動作にな
るが電流経路として半導体スイッチ素子21が直列に接
続されているので電流の遮断は半導体スイッチ素子21
が行うことになりダイオード23のスイッチングスピー
ドは要求されない。また、オフ時にダイオード23に印
加する電圧は零であるのでターンオフ時のスイッチング
損失はまったく生じない。したがってダイオード22、
23の設計としては順方向オン電圧VFを重視した設計
で導通時の損失を重点的に抑制するように設計すること
が可能となり、ダイオード22、23の小形化と同時に
ダイオード22、23を冷却する構成の簡素化を図るこ
とが容易となる。特に電子レンジで用いるようなマグネ
トロン駆動用電源は1000W以上の高電力を扱うので
インバータ回路の電流は40Aから50A程度の非常に
大きな電流レベルとなりダイオード22、23の設計を
順方向オン電圧VFを重視して導通損失を低減すること
はインバータ回路の効率向上に有益である。このためイ
ンバータ回路のトータルの電力損失をきわめて低く抑え
ることができ、効率の高いマグネトロン駆動用電源を実
現することができる。
【0025】このように本実施例のマグネトロン駆動用
電源においては従来例で示した回路とは全く異なった回
路動作によってダイオード22、23の設計を順方向オ
ン電圧VF重視の設計とすることが可能となりダイオー
ド22、23の損失を極小化しマグネトロン駆動用電源
全体の電力変換効率を向上している。この効果はコンデ
ンサ24、25がインバータ動作とコンデンサ24、2
5に商用電源1の電圧を昇圧した電圧を加える動作を兼
用することによって発揮される本発明における特有の効
果であり、従来例にて挙げた特開平10−271846
の構成とは異なったコンデンサの回路機能と回路動作に
よって実現されるものである。
【0026】図5は本実施例のマグネトロン駆動用電源
のより実際的な回路構成を示したものであり、商用電源
1の出力にインダクタ27とコンデンサ28からなるロ
ーパスフィルタ29を設けることによってインバータ回
路の高周波電流が商用電源へ流れないよう構成したもの
である。このように商用電源1とインバータ回路の間に
ローパスフィルタ29を挿入する構成とすることにより
インバータ回路の高周波電流あるいは電圧が商用電源側
へ回り込まないようにすることによって端子雑音の低減
を図ることが可能となる。なお、本構成によっても上述
の動作は何ら変わらない。
【0027】(実施例2)図6は第2の実施例における
マグネトロン駆動用電源の回路図である。この回路構成
においては前述の実施例1に加えて半導体スイッチ素子
21に並列にコンデンサ30を接続した構成となってい
る。
【0028】図7、図8は本実施例における動作波形図
と各期間における電流経路を示した図である。商用電源
1が図示の電圧極性で半導体スイッチ素子21がオンの
状態から説明をはじめる。半導体スイッチ素子21がオ
ンの状態では商用電源1から高圧トランス26の1次巻
線をとおって電流が流れ図8(a)の経路を構成する。
このとき半導体スイッチ素子21に流れる電流は図7に
示すように直線的に増加していく。ある一定の時間の後
半導体スイッチ素子21をオフすると高圧トランス26
の1次巻線の電流は同じ方向へ流れつづけようとするの
で電流経路は図8(b)の状態となり半導体スイッチ素
子21に並列接続されたコンデンサ30を充電する。こ
のとき半導体スイッチ素子21の電圧V21はこのコン
デンサ30の充電スピードで上昇する。そしてコンデン
サ30の電圧がコンデンサ24の電圧と等しくなると今
度は半導体スイッチ素子20の並列ダイオードが導通
し、コンデンサ24を充電する電流経路を形成し期間図
8(c)へと移行する。コンデンサ24の充電が完了す
ると半導体スイッチ素子20がオン状態となってコンデ
ンサ24の電荷を図8(d)に示すコンデンサ24→半
導体スイッチ素子20→高圧トランス26の1次巻線→
商用電源1の経路で取り出す。このとき半導体スイッチ
素子20に流れる電流波形は図7(d)に示すような波
形となる。所定の時間で半導体スイッチ素子20をオフ
すると今度は図8(e)の経路で半導体スイッチ素子2
1に並列に接続されたコンデンサ30の電荷を放電する
経路を形成し、コンデンサ30を放電する。このとき半
導体スイッチ素子21にかかる電圧V21は徐々に減じ
ていき、半導体スイッチ素子20にかかる電圧V20は
逆に徐々に上昇する。コンデンサ30の放電が完了し、
半導体スイッチ素子21にかかる電圧が零となると図8
(f)の電流経路を形成し、半導体スイッチ素子21に
並列接続されたダイオードが導通する。次に半導体スイ
ッチ素子21をオン状態にすると図8(g)の電流経路
となりコンデンサ25に蓄えた電荷を放電し、放電が完
了すると図8(a)の状態へと遷移する。
【0029】また、商用電源1の電圧極性が図示とは逆
極性の場合は半導体スイッチ素子20、21、コンデン
サ24、25、ダイオード22、23の動作がそれぞれ
入れ替わりまったく同様の動作をする。
【0030】この実施例においては前述の実施例同様ダ
イオード22、23のスイッチング損失は生じず、ダイ
オード22、23は順方向オン電圧VFを重視した設計
でダイオード22、23の発生損失を極小化できる。さ
らに半導体スイッチ素子20、21にかかる電圧はター
ンオフ、ターンオンの際にコンデンサ30の充放電を利
用して緩やかに立ち上げることによってスイッチング時
の発生損失の低減ができる。すなわち実際の半導体スイ
ッチ素子はオン状態からオフ状態、オフ状態からオン状
態へ移行する際に必ず遷移期間を有しており、この電圧
と電流が同時に発生する遷移期間でスイッチング損失を
発生する。特に大電流を扱う場合に適するIGBT(絶
縁ゲートバイポーラトランジスタ)やBJT(バイポー
ラジャンクショントランジスタ)のようにバイポーラ動
作によって半導体素子の電流密度をかせぐ半導体スイッ
チ素子においてはゲート信号をオフしても素子内部の残
留ホールが即時には消滅しないのでコレクタ電流は即時
には遮断できず、数100nsから数μsの間遷移期間
が生じる。しかしながら本実施例においては半導体スイ
ッチ素子にかかる電圧をこのタイミングで緩やかに変化
させており電流を遮断するまでの期間に緩やかに電圧が
上昇するため半導体スイッチ素子20、21のターンオ
フ、ターンオンの際のスイッチング損失を非常に少なく
することが可能となり、さらに回路効率を高めることが
可能となる。
【0031】図9は半導体スイッチ素子20に並列にコ
ンデンサ30を接続した構成を示している。この場合は
コンデンサ30の充電放電のタイミングが前述の場合と
は逆となるが、半導体スイッチ素子20、21にかかる
電圧を緩やかに変化させるという作用は同様である。し
たがって上述の図6の場合と同様ダイオード22、23
を順方向オン電圧VF重視で損失を極小化すると同時に
半導体スイッチ素子20、21の発生損失を低減するこ
とができマグネトロン駆動用電源の電力変換効率を向上
することが可能となる。
【0032】図10は半導体スイッチ素子20、21に
それぞれコンデンサ31、32を接続した構成である。
この場合前述の例と同じ電圧の傾きを持たせるためには
前述のコンデンサ30に対して半分の容量のコンデンサ
をそれぞれ接続すればよい。この場合コンデンサ31、
32がマグネトロン駆動電源に与える作用は上述の図6
あるいは図9の場合と同等であるがコンデンサ31を充
電するときはコンデンサ32が放電され、逆にコンデン
サ31が放電されるときはコンデンサ32が充電される
という動作で同様の効果を奏する。
【0033】図11は高圧トランス26の1次巻線に並
列にコンデンサ30を接続した構成を示している。この
場合は高圧トランス26の1次巻線の電圧がコンデンサ
30の働きによって緩やかに変化するために半導体スイ
ッチ素子20、21の電圧が緩やかに変化する動作を
し、上述の例と同様の効果を発揮する。
【0034】(実施例3)本発明の第3の実施例につい
て図12〜15を用いて説明する。
【0035】図12は本実施例におけるマグネトロン駆
動用電源の回路図を示している。前述の実施例と同一符
号の構成要素は同一の動作、作用をするのでここではそ
の詳細についての説明は省略する。駆動回路33は半導
体スイッチ素子20、21を駆動しインバータ回路を動
作させる。駆動回路33が半導体スイッチ素子20、2
1へ送る駆動信号は図13(a)に示すようにデッドタ
イムを有し相補的にオンオフするような波形である。こ
のように半導体スイッチ素子20、21を相補的にオン
オフすることによってインバータ回路はマグネトロン8
へ電力を伝送している。
【0036】ここで半導体スイッチ素子21のオン時間
比Don21とインバータ回路の変換電力Pとの関係を
図14に示す。図中で実線にて示した曲線は商用電源1
の電圧極性が図12に示す極性の場合での変換電力Pの
変化を示したものであり、破線で示した曲線はこれとは
逆に商用電源1の電圧極性が図12とは逆の電圧極性の
場合での変換電力Pの変化を示している。このように商
用電源1の電圧極性によって半導体スイッチ素子21の
オン時間比Don21とインバータ回路の変換電力Pの
関係は異なったものとなる。したがって、半導体スイッ
チ素子21のオン時間比Don21が略50%の状態で
は商用電源1の電圧極性によらずいずれの電圧極性にお
いても同じ電力変換が可能なので商用電源1の電流は図
15(b)に示すように正負対称の波形とすることがで
きる。しかしながら商用電源1の電流を正負対称な正弦
波にしようとすると変換電力はこの一点のみで限定され
てしまう。家庭用の電子レンジなどでは電子レンジで加
熱する際に食品に応じてさまざまな加熱電力が選択され
る。たとえばレンジ“強”、“中”、“弱”などの設定
によって加熱電力の調整が必要とされる。これに対応す
るためには半導体スイッチ素子21のオン時間比Don
21を所望の出力電力に応じて変化させることが必要と
なるが、商用電源1の電圧極性に関係なく一定のオン時
間比Don21で所望の出力電力に調整しようとすると
図14に示した半導体スイッチ素子21のオン時間比D
on21と変換電力Pの関係からオン時間比Don21
が50%から外れてくると商用電源1の電圧が正の期間
と負の期間で異なった電流波形を示すことになり、たと
えば図15(a)に示すような正負がアンバランスな電
流波形となってしまう。この場合、電流波形が対称波形
とならないので偶数次の高調波が発生することになり結
局力率を向上することはできなくなってしまう。
【0037】そこで本実施例においては商用電源1の電
圧極性に応じて半導体スイッチ素子20、21の駆動信
号を入れ替えるように駆動回路33が動作するようにし
ている。すなわち図13に示すように商用電源1の電圧
極性が正の場合には図13(a)に示すようにT1、T
2なるオン時間で半導体スイッチ素子20、21がそれ
ぞれオンオフし、逆に負の電圧極性の場合は図13
(b)に示すように図13(a)の場合と半導体スイッ
チ素子20、21のオン時間が入れ替わるように動作す
る。このように動作することによってマグネトロン駆動
用電源の回路での発生損失を低減しつつマグネトロン駆
動電源の変換電力が変化して、半導体スイッチ素子21
のオン時間比Don21が略50%の状態からいずれか
の方向へずれて変換電力が増減しても常に商用電源1の
電流波形は正負対称な正弦波状の波形を維持することが
可能となる。このため変換電力を変化させても常に高い
電力変換効率を維持したまま高い力率で電流の歪のない
動作を実現することが可能となる。
【0038】(実施例4)本発明の第4の実施例につい
て図16〜18を用いて説明する。図16は本実施例の
マグネトロン駆動用電源の回路図である。前述の実施例
と同一符号の構成要素は同一の動作、作用を持つもので
ありここでは詳細な説明は省略する。電源極性判定手段
34は商用電源1の電圧極性を判定するものであり、本
実施例ではフォトカプラ35を用いて構成した例を示し
ている。商用電源1の電圧が図17のV1のように変化
した場合は電圧極性が図示の時フォトカップラ35の発
光ダイオードが発光することによって受光側のトランジ
スタが導通する。このとき電源極性判定手段34の出力
はLowレベルとなる。この状態を駆動回路33は電源
極性が正であると判断し、半導体スイッチ素子20、2
1のオン時間を其々図18(a)に示すようにT1、T
2として出力する。そして商用電源1の電圧極性が負と
なると今度はフォトカップラ35の発光ダイオードの発
光が停止して受光側トランジスタがオフすることによっ
て電源極性判定手段34の出力はHighレベルとな
る。この状態を駆動回路33は商用電源の電圧極性が負
であると判定し半導体スイッチ素子20、21のオン時
間を図18(b)に示すように商用電源1の電圧極性が
正の場合とは逆となるように駆動回路33は駆動信号を
出力する。このように動作することによってマグネトロ
ン駆動用電源の変換電力が増減しても常に商用電源1の
電流波形は正負対称な正弦波状の波形を維持することが
可能となる。このため変換電力を変化させても常に高い
電力変換効率を維持したまま高い力率で電流の歪のない
動作を実現することが可能となる。
【0039】図19は電源極性判定手段34をコンデン
サ25に並列接続した電圧検出用の抵抗で構成した例を
示している。これはコンデンサ25に発生する電圧がす
でに実施例1で述べているように図20中V25のよう
に変化することを利用している。すなわちコンデンサ2
5の電圧V25は商用電源1の電圧が図20に示すよう
に交流波形を示しているとき、電源極性が正の場合はほ
ぼ零である。一方、負の極性を示している時は図示のよ
うにインバータ回路の動作に応じて商用電源1の電圧を
昇圧した電圧を発生する。この電圧をこの実施例のよう
に抵抗で分圧し、比較器を用いて基準値以上となってい
る期間を商用電源1の電圧極性が負であると極性判定手
段34が判定し駆動回路33に信号を伝達する。そして
駆動回路33はこの判定信号に基づいて半導体スイッチ
素子20、21の駆動信号を入れ替えるように動作す
る。このように動作することによって先の例と同様にマ
グネトロン駆動用電源の変換電力が増減しても常に商用
電源1の電流波形は正負対称な正弦波状の波形を維持す
ることが可能となる。このため変換電力を変化させても
常に高い電力変換効率を維持したまま高い力率で電流の
歪のない動作を実現することが可能となる。
【0040】(実施例5)本発明の第5の実施例につい
て図21〜25を用いて説明する。図21は本実施例の
マグネトロン駆動用電源の回路図である。駆動回路33
は商用電源1の電圧極性が変化したときに半導体スイッ
チ素子20、21の駆動信号をいれかえるように動作す
るが同時に入れ替える際に一定の変化率で変化するよう
に動作する。
【0041】図22は商用電源1の電圧波形V1と半導
体スイッチ素子20、21のオン時間比Don20、D
on21の変化を示した図である。この図ではオン時間
比の変化は商用電源1の電圧極性が変化する時点で瞬時
に入れ替わるようになっており、その変化の幅はΔDな
る変化量を持っている。商用電源1の電圧極性が変化す
る時点での半導体スイッチ素子20、21の駆動信号の
変化の様子を図23に示す。図中ZVPの時点が商用電
源1の電圧極性が変化する時点であり、ここを境に半導
体スイッチ素子20のオン時間はT1なるオン時間から
次の周期ではT2なるオン時間に変化する。一方、半導
体スイッチ素子21はT2なるオン時間からT1なるオ
ン時間に変化する。このように動作してしまうと半導体
スイッチ素子20、21のオン時間がほぼ等しい場合は
オン時間比の変化幅ΔDが小さいので商用電源1の電圧
極性が変化する時点でのインバータ回路の動作の変化量
は小さい。このため図24(a)に示すように商用電源
1の電流は商用電源1の電圧極性が変化する時点におい
ても滑らかな変化を示す。しかし、インバータ回路の変
換電力をこの状態よりも増加または減少するように半導
体スイッチ素子20、21のオン時間を調整すると半導
体スイッチ素子20、21のオン時間は等しい状態から
外れてくる。この場合商用電源1の電圧極性が変化する
時点でのオン時間の変化量は大きくなるので商用電源1
電流波形は図24(b)に示すように商用電源1の電圧
極性が変化する時点でインバータ回路の動作の変化量が
大きいことが原因となって過渡的に針状の電流波形が発
生する可能性がある。特に商用電源1の電圧極性が変化
する時点と駆動回路が半導体スイッチ素子20、21の
オン時間を入れ替えるタイミングにずれが生じるとこの
現象は顕在化する。
【0042】しかしながら本実施例の構成では図25に
示すように商用電源1の電圧極性が変化するときに半導
体スイッチ素子20、21のオン時間比を一定の変化率
を持って入れ替えるように動作するのでこの時点におけ
る半導体スイッチ素子20、21のオン時間比Don2
0、Don21の変化量は制限される。このためインバ
ータ回路の変換電力を変化させて半導体スイッチ素子2
0、21のオン時間比の差ΔDが大きい状態であっても
常に商用電源1の電流波形は滑らかな変化をさせること
ができ過渡的な電流波形を呈する事はなく常に略正弦波
状の電流波形を維持することが可能である。また、何ら
かの要因で商用電源1の電圧極性が変化する時点と駆動
回路が半導体スイッチ素子20、21のオン時間を入れ
替えるタイミングにずれが生じても入れ替える際に一定
の変化率で切り替えていくのである程度のタイミングの
ずれに対しては保証することが可能となる。
【0043】このように本実施例のマグネトロン駆動用
電源においてはインバータ回路の変換電力を増減して半
導体スイッチ素子20、21のオン時間比の差が大きく
なっても常に過渡的な電流を呈さず商用電源1の電流波
形を常に略正弦波状に維持することが可能である。
【0044】また、図25に示したように商用電源1の
電圧が変化する時点で半導体スイッチ素子20、21の
オン時間比Don20、Don21が各々略50%とな
る様に変化するとすでに実施例3で示したようなオン時
間比Donとインバータ回路の変換電力Pの関係からよ
りスムーズに商用電源1の電流波形を変化させることが
可能である。
【0045】(実施例6)本発明の第6の実施例につい
て図26〜28を用いて説明する。図26は本実施例の
マグネトロン駆動用電源の回路図である。電源極性判定
手段34は商用電源1の電圧極性を判定し駆動回路33
に商用電源1が正の電圧極性か負の電圧極性かの信号を
伝達する。駆動回路33はこの判定信号に基づき半導体
スイッチ素子20、21のオン時間比を入れ替えるよう
に動作すると同時に商用電源1の電圧が正の方向に大き
い期間では半導体スイッチ素子21のオン時間比Don
21を商用電源1の電圧値に応じて減ずるように動作
し、商用電源1の電圧が負の方向に大きい場合は半導体
スイッチ素子20のオン時間比Don20を商用電源1
の電圧値に応じて減ずるように動作する。図27はこの
状態を示したものであり、商用電源1の電圧に応じて半
導体スイッチ素子20、21のオン時間比は其々Don
20、Don21のように変化する。このように半導体
スイッチ素子20、21のオン時間比を制御することに
よって商用電源1の電流波形I1は図示のように略正弦
波に比べて最大値の部分を押しつぶしたように台形波状
に変化する。同じ変換電力を扱う場合正弦波状にするよ
りも台形波状に電流波形を制御したほうが電流最大値は
小さくすることができる。商用電源1の電圧に応じてオ
ン時間比を制御した場合と一定のオン時間比で入力電流
を略正弦波状にした場合の最大電流時の半導体スイッチ
素子20、21の電流電圧波形を図28に示す。図28
(a)はオン時間比Don20、Don21を商用電源
1の電圧に応じて制御した場合であり、図28(b)は
入力電流を略正弦波状にした場合の波形例である。これ
らの波形を比較すると図28(a)の場合は図28
(b)の場合に比べて半導体スイッチ素子21の電流最
大値I21(max)がひくくなる。この結果半導体ス
イッチ素子の電流実効値は低くなるのでリード線やプリ
ント基板上で配線する場合における損失を低減しインバ
ータ回路の損失を低減することできる。また、其々の半
導体スイッチ素子20、21がオンしているとき同時に
高圧トランス26の1次巻線にも電流が流れるので、半
導体スイッチ素子の電流実効値を低減することは同時に
高圧トランス26の1次巻線の電流実効値を低減するこ
とになる。高圧トランス26は発生する損失は巻線に電
流を流すことによって生じる銅損とフェライトコアなど
の磁気回路で生じる鉄損とに大分することができる。特
に銅損の部分は巻線の等価直列抵抗Rsと通電電流の実
効値Iの2乗との積でおおよそあらわすことができる。
したがって本実施例のように半導体スイッチ素子のオン
時間比を商用電源1の電圧によって変化させて電流実行
値を低減することによって高圧トランス26の1次巻線
の銅損を大幅に低減することが可能である。したがって
インバータ回路の損失をさらに低減することが可能とな
り回路効率の向上が可能となる。
【0046】
【発明の効果】以上のように、請求項1〜4に記載の発
明によれば、マグネトロンのような非線形な特性をもつ
負荷であっても商用電源の略全域にわたり入力電流を流
すことができるとともに電子レンジのような高い変換電
力を扱う機器においてもインバータ回路の発生損失を抑
制することができ高効率のマグネトロン駆動用電源を実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるマグネトロン駆動用
電源の回路図
【図2】同実施例のマグネトロン駆動用電源の各動作モ
ードでの電流経路図
【図3】同実施例のインバータ回路の動作波形図
【図4】同実施例のマグネトロン駆動用電源の動作波形
【図5】同、別の実施例におけるマグネトロン駆動用電
源の構成を示す回路図
【図6】本発明の実施例2におけるマグネトロン駆動用
電源の回路図
【図7】同実施例のインバータ回路の動作波形図
【図8】同実施例のインバータ回路の各動作モードでの
電流経路図
【図9】同実施例の半導体スイッチ素子にコンデンサを
並列接続した回路図
【図10】同実施例の半導体スイッチ素子に其々コンデ
ンサを接続した回路図
【図11】同実施例の高圧トランスにコンデンサを並列
接続した回路図
【図12】本発明の実施例3におけるマグネトロン駆動
用電源の回路図
【図13】同実施例の半導体スイッチ素子の駆動信号波
形図
【図14】同実施例の半導体スイッチ素子のオン信号幅
Don21と変換電力Pの特性図
【図15】同実施例の商用電源の電流波形図
【図16】本発明の実施例4におけるマグネトロン駆動
用電源の回路図
【図17】同実施例の電源極性判定手段の出力波形図
【図18】同実施例の半導体スイッチ素子の駆動信号波
形図
【図19】同実施例における電圧極性判定手段の他の構
成例を示す回路図
【図20】同実施例の電源極性判定手段の出力波形図
【図21】本発明の実施例5におけるマグネトロン駆動
用電源の回路図
【図22】同実施例において半導体スイッチ素子のオン
時間比を入れ替える際に瞬時に入れ替えた場合の商用電
源の電圧と半導体スイッチ素子のオン時間比の波形図
【図23】同実施例において商用電源の電圧極性が変化
する時点での半導体スイッチ素子の駆動信号波形図
【図24】同実施例の商用電源の電流波形図
【図25】同実施例の商用電源の電圧と半導体スイッチ
素子のオン時間比の波形図
【図26】本発明の実施例6におけるマグネトロン駆動
用電源の回路図
【図27】同実施例の商用電源の電圧波形と半導体スイ
ッチ素子のオン時間比の波形図
【図28】同実施例の半導体スイッチ素子の動作波形図
(a)本実施例のように商用電源の電圧に応じてオン時
間比を変化させた場合の電圧最大時の動作波形図(b)
本実施例のようにオン時間比を変化させなかった場合の
電圧最大時の動作波形図
【図29】従来のマグネトロン駆動用電源を示す回路図
【図30】同マグネトロン駆動用電源の動作波形図
【図31】マグネトロンの動作特性図
【図32】アクティブフィルタ回路を追加した従来のマ
グネトロン駆動用電源の回路図
【図33】同マグネトロン駆動用電源の動作波形図
【図34】特開平10−271846にて公開された電
源装置の回路図
【図35】同電源装置の各動作モードにおける電流経路
を示す回路図
【図36】同電源装置の動作波形図
【符号の説明】
1 商用電源 7 高圧整流回路 8 マグネトロン 20 第1の半導体スイッチ素子 21 第2の半導体スイッチ素子 22 第1のダイオード 23 第2のダイオード 24 第1のコンデンサ 25 第2のコンデンサ 26 高圧トランス 30 第3のコンデンサ 33 駆動回路 34 電源極性判定手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大森 英樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 坂本 和穂 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 三原 誠 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−271846(JP,A) 特開 平2−211065(JP,A) 特開 平8−138852(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 6/66 - 6/68 H02M 3/28 H02M 7/48

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1および第2の逆導通可能な半導体ス
    イッチ素子の直列接続体と、第1および第2のダイオー
    ドの直列接続体を並列接続し、前記第1および第2のダ
    イオードに各々並列に第1と第2のコンデンサを接続
    し、前記第1および第2の逆導通可能な半導体スイッチ
    素子の接続点と、前記第1および第2のダイオードの接
    続点間に商用電源と高圧トランスの1次巻線の直列回路
    を接続し、前記高圧トランスの2次巻線の出力は高圧整
    流回路を介してマグネトロンを付勢する構成としたマグ
    ネトロン駆動用電源。
  2. 【請求項2】 第1および第2の逆導通可能な半導体ス
    イッチは順方向に導通する半導体スイッチ素子とダイオ
    ードを逆並列接続してなる請求項1に記載のマグネトロ
    ン駆動用電源。
  3. 【請求項3】 第1および第2のコンデンサは容量を等
    しくなるようにして構成した請求項1または2に記載の
    マグネトロン駆動用電源。
  4. 【請求項4】 第1および第2の半導体スイッチ素子と
    高圧トランスの1次巻線に対して少なくとも1箇所に第
    3のコンデンサを並列接続する構成とした請求項1〜3
    のいずれか1項に記載のマグネトロン駆動用電源。
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