JP4240791B2 - マグネトロン駆動用電源 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子レンジなどのマグネトロンを負荷とするマグネトロン駆動用電源に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のマグネトロン駆動用電源について図面を用いて説明する。図29は従来のマグネトロン駆動用電源の回路図である。従来のマグネトロン駆動用電源は交流である商用電源1を一旦ダイオードブリッジ2で直流電圧に変換し、この直流電圧を半導体スイッチ素子3,4のオンオフによってインバータ回路5は高圧トランス6の1次巻線に高周波電圧を発生し、高圧トランス6は2次巻線に高周波高電圧を励起する。この高周波高電圧は高圧整流回路7によって直流高電圧に整流され、マグネトロン8に印加される。マグネトロン8はこの直流高電圧で駆動され、2.45GHzの電波を発生する。
【0003】
図30は従来のマグネトロン駆動用電源の動作波形を示した図である。商用電源1の交流電圧V1はダイオードブリッジ2によって直流電圧に整流される。インダクタ9とコンデンサ10は平滑回路を構成しているが、コンデンサ10の容量はインバータ回路5のサイズを小型化するために20kHzから50kHzで動作するインバータ回路5に対して直流電圧を保持できる程度の容量としており、商用電源1の周波数(50Hzまたは60Hz)に対しては平滑する能力を有していない。このためコンデンサ10の電圧V10は商用電源1を単に全波整流した波形を示し、ほぼ0電圧から商用電源1の最大電圧まで変動する脈動波形を示す。インバータ回路5はこの脈動するコンデンサ10の電圧V10によって動作するので、高圧トランス6の1次巻線に発生する高周波電圧の包絡線波形はV6(Lp)に示すような波形となりコンデンサ10の電圧V10が低い期間では同様に低い電圧しか発生し得ない。
【0004】
一方、マグネトロン8の動作特性は図31に示すようにアノードカソード間に所定の電圧以上が印加されないとアノード電流が流れないような非線形な電圧電流特性を示す。したがって、高圧トランス6の1次巻線に発生する電圧が低い期間では2次巻線に励起される電圧も同時に低くなるためマグネトロン8に印加される電圧V8の波形は図に示すごとくVAK(TH)に到達しなくなる期間が発生する。この期間はマグネトロン8が発振を停止しているため負荷であるマグネトロン8で電力消費されないため商用電源1の電流I1は流れなくなる。この結果商用電源1の電流I1の波形は図30に示すごとく電流が0となる期間を有する非常に歪を持った波形となり、これが原因でマグネトロン駆動用電源の力率の低下、入力電流に高調波電流を発生することになる。
【0005】
このような課題に対して図32に示す回路構成のようにアクティブフィルタ回路13をインバータ回路5の前段に設け、入力電流の力率向上、高調波抑制を図ったものが提案されている。アクティブフィルタ回路13はいわゆる昇圧チョッパ回路の構成をしており、半導体スイッチ素子17のオン時間比によって昇圧電圧を制御することができる。
【0006】
この場合の動作について図33を用いて説明する。商用電源1の電圧はV1に示すように交流電圧波形を示している。アクティブフィルタ回路13はダイオードブリッジ2によって交流電圧V1を全波整流した電圧を半導体スイッチ素子14のオンオフによって制御することによってコンデンサ15に昇圧電圧を発生する。この昇圧電圧V15はコンデンサ15の容量によって脈動率は変化するが、図29の構成におけるV10のように完全に0まで低下しないようにすることができる。このため高圧トランス6の1次巻線に発生する電圧V6(Lp)も商用電源1の電圧が0近傍であっても所定の値以上を発生することができる。この結果マグネトロン8に印加する電圧は常に発振可能電圧以上を保持することが可能となる。その結果、入力電流I1は図に示すように0となる期間を持たない略正弦波状の波形とすることができ、入力力率の向上、高調波電流の抑制が可能となる。
【0007】
しかしながらこのような構成ではインバータ回路5にアクティブフィルタ回路13を付加した構成となり、電力変換の過程が整流→昇圧→高周波発生(インバータ回路)→高圧整流となるので電力変換の過程が増加し、変換効率の低下と回路規模の増大が課題となる。
【0008】
そこで、さらに構成部品、回路機能の共用化を図った構成のものが特開平10−271846にて公開されている。図34はこの発明の回路構成を示した回路図である。この回路構成によって昇圧機能、インバータ機能の動作を一度に行い、入力力率の向上と回路構成の簡素化を目的としている。図35、図36は回路動作を説明した図であり、図35(a)〜(d)は半導体スイッチ素子Q1、Q2のオンオフによって各々通電経路を説明した図であり、図36はそれに対応した動作波形図である。図35、図36を用いて回路動作について説明する。説明の都合上商用電源1の電圧極性が図に示す方向で半導体スイッチ素子Q2がオンの状態から説明をはじめる。半導体スイッチ素子Q2がオンの状態では図35(a)に示すようにコンデンサC2→商用電源1→誘導性負荷回路19→半導体スイッチ素子Q2の経路で電流が流れ、図36(a)に示すように半導体スイッチ素子Q2の電流IQ2は単調に増加する。所定の時間で半導体スイッチ素子Q2をオフすると電流経路は図35(b)の状態へ移り、ダイオードD2→商用電源1→誘導性負荷回路19→ダイオードD3→コンデンサC1の経路でコンデンサC1を充電する。誘導性負荷回路19に蓄えられたエネルギーをすべて放出するとコンデンサC1を電源としてコンデンサC1→半導体スイッチ素子Q1→誘導性負荷回路19→商用電源1→コンデンサC2で構成される図35(c)の経路で電流が流れる。所定の時間で半導体スイッチ素子Q1をオフすると誘導性負荷回路19は同じ方向へ電流を流そうとするので図35(d)に示す経路(商用電源1→コンデンサC2→ダイオードD4→誘導性負荷回路19)で電流が流れ、誘導性負荷回路19に蓄えたエネルギーをコンデンサC1へ充電する。誘導性負荷回路19に蓄えたエネルギーがすべて放出されると再び図35(a)の経路で電流が流れ回路動作が継続する。特開平10−271846には開示されていないが、この動作を実現するためにはコンデンサC1とコンデンサC2の容量には式1で示されるような容量関係が必要である。
【0009】
(式1) C1≫C2
このような関係を満たすためにコンデンサC1には電解コンデンサのような大容量に対応できるコンデンサを用いる必要がある。
【0010】
このような動作によって商用電源1からの電流を電源周期の略全域に渡り流すことができるようになり入力電流の力率向上、高調波の抑制と回路の簡素化を図っている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の構成では下記にあげるような課題があり、高い回路効率を十分に得ることができない。
【0012】
図36の動作波形図においてダイオードD2を流れる電流はID2に示す電流が流れる。また、ダイオードD2に印加する電圧はVD2のように変化する。ここで図36(b)の期間から(c)へ移行するタイミングでダイオードD2の電流は理想的には0となるが実際のダイオードはターンオフ時にリカバリー電流を生じる。このリカバリー電流が生じると印加電圧との積でダイオードにスイッチング損失を発生する。したがってダイオードD1,D2にはスイッチングスピードTrrが速い特性が要求されることになる。しかしながらスイッチングスピードTrrが速いダイオードはもうひとつのダイオードの特性である順方向オン電圧VFが高くなる傾向にあり、この場合導通時のオン損失が大きくなる。この結果ダイオードD1,D2の損失は大きなものとなり、回路の総合効率を十分に高いものとすることができない。
【0013】
しかしながら特開平10−271846で開示されている従来例で示した構成は照明機器を対象としたものでありこれらの機器の変換電力は最大でも100Wから200W程度である。したがって回路を流れる電流もおのずと数A程度の微小な電流しか流れないのでダイオードをスイッチングスピード重視の設計として順方向オン電圧VFが高くなるようにしてもダイオードの損失はそれほど増加することなく設計することが可能である。
【0014】
一方、電子レンジ等に用いられるマグネトロン駆動用電源は変換電力が1000Wから1500W程度の大電力を扱うので、回路を流れる電流は最大で40Aから50Aの大電流が流れる。このためスイッチングスピードを重視してダイオードを設計すると順方向オン電圧VFが高くなるのでダイオードが導通しているときの損失(導通損失)が大きくなり、スイッチングスピードを速くする事によって損失を低減しようとする効果が薄れてしまう。また家庭用電子レンジの冷却能力は電子レンジのサイズやコストの関係からおのずと限られたものとなるのでスイッチングスピードを速め、順方向オン電圧VFの上昇を抑えるためにはダイオードの大型化あるいは限られた冷却条件下で放熱するための大型の放熱フィンなどが必要となってくる。このためマグネトロン駆動用電源においては変換効率を高め、回路の各部品での発生損失低減が必須条件となる。したがって従来例で示した構成をマグネトロン駆動用電源に適用することは損失低減の観点からすると非常な困難を伴ってしまう。そのためマグネトロン駆動用電源に適用する場合にはダイオードのスイッチング損失もオン損失も増加させないような回路構成とすることが必要となる。また、変換電力の大きさゆえマグネトロン駆動用電源に電解コンデンサを用いると電解コンデンサの脈動電流を押さえるために高容量でかつ耐電圧の高いスペックの電解コンデンサを必要としてしまう。その結果、電源自体の大型化を招くことからマグネトロン駆動用電源を搭載する電子レンジのサイズアップを誘発し、高周波スイッチング動作によってマグネトロン駆動用電源を小型軽量化する効果が損なわれてしまう。
【0015】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、入力電流の歪を抑制し高調波の発生を抑え入力力率を高めるとともに、回路の簡素化と1kW以上の大電力を変換しても回路効率を向上させたマグネトロン駆動用電源を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明のマグネトロン駆動用電源は、第1および第2の逆導通可能な半導体スイッチ素子の直列接続体と、第1および第2のダイオードの直列接続体を並列接続し、前述の第1および第2のダイオードに其々第1と第2のコンデンサを並列接続し、第1および第2のダイオードの接続点と第1および第2の逆導通可能な半導体スイッチ素子の接続点間に商用電源と高圧トランスの直列回路を接続するとともに高圧トランスの高圧出力は高圧整流回路を介してマグネトロンに電力を供給する構成としたものである。
【0017】
これによって、第1および第2の半導体スイッチ素子が相補的にオンオフすることによって商用電源の電圧極性が正の場合は第2のコンデンサに商用電源の電圧を昇圧した電圧が加えられ、これとは逆の電圧極性の場合は第1のコンデンサに商用電源を昇圧した電圧が加えられる。高圧トランスの1次巻線に印加する電圧はこの昇圧電圧に依存するので商用電源の電圧が低い期間であってもマグネトロンが発振するために必要な電圧以上を常に高圧トランスの1次巻線に印加することができ商用電源のほぼ全域に渡り入力電流を流すことができ、歪の少ない入力電流とすることができる。また、第1および第2の半導体スイッチ素子は高圧トランスの1次巻線に高周波電流を流すインバータ動作と第1および第2のコンデンサに昇圧電圧を印加する動作を一度に行うことができるのでインバータ構成部品を最小で構成することができインバータ回路を小形化できる。また、回路動作において第1および第2のダイオードのターンオフは半導体スイッチ素子が行って回路モードが切り替わるのでこれらのダイオードはスイッチングスピードに対する制約を受けることなく順方向オン電圧を重視した設計とすることができこのダイオードの損失をきわめて少なくすることができ、インバータ回路を高効率化することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、第1および第2の逆導通可能な半導体スイッチ素子の直列接続体と、第1および第2のダイオードの直列接続体を並列接続し、前記第1および第2のダイオードに各々並列に第1と第2のコンデンサを接続し、前記第1および第2の逆導通可能な半導体スイッチ素子の接続点と、前記第1および第2のダイオードの接続点間に商用電源と高圧トランスの1次巻線の直列回路を接続し、前記高圧トランスの2次巻線の出力は高圧整流回路を介してマグネトロンを付勢し、前記第1および第2の半導体スイッチ素子を駆動する駆動回路を設け、前記駆動回路は第1および第2の半導体スイッチ素子を相補的に駆動するとともに商用電源が正極の場合と負極の場合で駆動信号を入れ替えする構成とすることにより商用電源の電圧が低い期間でも高圧トランスの1次巻線にマグネトロンが発振可能な電圧以上を印加することができ、入力電流を常に流すことができるので歪の少ない入力電流としてマグネトロン駆動用電源の力率向上が可能となる。また、2つの半導体スイッチ素子が相補的にオンオフすることによって高圧トランスの1次巻線に高周波電流を流すインバータ動作と第1および第2のコンデンサに昇圧電圧を発生する動作を一度に行えるので回路構成部品を最小化でき、また、電力変換の過程が少なくなるので電力変換効率を向上することができる。また、第1および第2のダイオードのターンオフは半導体スイッチ素子が行うのでこのダイオードの特性は順方向オン電圧を重視して設計することが可能となり、インバータ回路の回路効率を向上することができる。また、半導体スイッチ素子のオン信号幅とインバータ回路の変換電力の関係が商用電源の電圧極性によって異なった特性を示すにもかかわらず常に正負対称な入力電流とすることができる。また、半導体スイッチ素子のオン時間比を制御してインバータ回路の変換電力を増減しても常に略正弦波状の入力電力を維持することができる。
【0019】
請求項2〜4に記載の発明は、請求項1に記載のマグネトロン駆動用電源に電源極性判定手段を設け商用電源の極性を判別するとともに駆動回路は電源極性判定手段の判定情報に基づいて第1および第2の半導体スイッチ素子の駆動信号を入れ替える構成とすることにより、電源極性判定手段が商用電源の電圧極性を判定し半導体スイッチ素子の信号を入れ替えるので正負で相等しい入力電流としてマグネトロン駆動用電源の力率の向上と高調波を抑制することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4にいずれか1項に記載のマグネトロン駆動用電源を商用電源のゼロクロス点近傍で所定の変化率で駆動信号を変化するよう構成することにより、商用電源のゼロクロス点近傍における半導体スイッチ素子のオン時間の変化量が小さくなるので半導体スイッチ素子のオン時間比を略50%からずれた状態で動作させても入力電流に針状電流の発生を抑制し高力率なマグネトロン駆動用電源を実現することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5にいずれか1項に記載のマグネトロン駆動用電源を商用電源の電圧が正方向に高い期間は第2の半導体スイッチ素子の導通時間を商用電源の電圧に応じて短くなるよう変化させ、逆に負方向に商用電源の電圧が高い期間は第1の半導体スイッチ素子の導通時間を商用電源の電圧に応じて短くするよう変化させる構成とすることにより、商用電源の電圧が正負に最大の時点での半導体スイッチ素子やインバータ回路を流れる電流の最大値を抑制することができるので半導体スイッチ素子の電流や高圧トランスの電流の実効値を抑制しインバータ回路の発生損失を低減することができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
(実施例1)
本発明の第1の実施例について図1から図3を用いて説明する。図1は第1の実施例のマグネトロン駆動用電源を示す回路図である。第1、第2の半導体スイッチ素子20、21の直列接続体と第1、第2のダイオード22、23の直列接続体を並列接続し、第1、第2のダイオード22、23に各々並列に第1、第2のコンデンサ24、25を接続するとともに半導体スイッチ素子20、21の接続点とダイオード22、23の接続点間に商用電源1と高圧トランス26の直列回路を接続する構成となっている。高圧トランス26の2次巻線出力は高圧整流回路7に接続されマグネトロン8に直流高電圧を印加する。マグネトロン8はこの直流高電圧によって付勢され2.45GHzの電波を発生する。なお本実施例では第1、第2の半導体スイッチ素子は順方向に導通するIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)とこれと逆並列に接続したダイオードにて記載しているが、MOSFETのように素子内部にダイオードを構成したような素子を用いても適用可能であることは言うまでもない。
【0024】
図2はインバータ回路の各期間における電流が流れる経路を示した図であり、図3はそれに対応した動作波形図である。商用電源1の極性が図示の状態で半導体スイッチ素子21がオンの状態から説明をはじめる。この状態では図2(a)に示すように商用電源1→高圧トランス26の1次巻線→半導体スイッチ素子21→ダイオード23の経路で電流が流れ、図3(a)の期間のI21に示す電流が半導体スイッチ素子21および高圧トランス26の1次巻線に電流が流れることによって高圧トランス26の1次巻線にエネルギーを蓄積する。半導体スイッチ素子21を所定の時間でオフすると高圧トランス26の1次巻線電流は同じ方向に流れ続けようとするので今度は図2(b)に示すごとく商用電源1→高圧トランス26の1次巻線→半導体スイッチ素子20の並列ダイオード→コンデンサ24の経路で高圧トランス26の1次巻線に蓄えたエネルギーをコンデンサ24に充電する。この動作によってコンデンサ24には商用電源1の電圧を昇圧した電圧が蓄えられる。高圧トランス26の1次巻線に蓄えたエネルギーをすべて放出すると図2(c)の経路が形成され今度はコンデンサ24に充電したエネルギーをコンデンサ24→半導体スイッチ素子20→高圧トランス26の1次巻線→商用電源1の経路で取り出す。そして半導体スイッチ素子20を所定の時間でオフすると高圧トランス26の1次巻線は同じ方向に電流を流し続けようとするので図2(d)のように高圧トランス26の1次巻線→商用電源1→コンデンサ25→半導体スイッチ素子21の並列ダイオードの経路で電流が流れる。商用電源1の電圧極性が図示と逆極性の場合は半導体スイッチ素子20、21とダイオード22、23とコンデンサ24、25の動作がそれぞれ入れ替わるだけで同様の動作をする。
【0025】
上記の動作においてコンデンサ24、25は半導体スイッチ素子20、21のオンオフによって高圧トランス26の1次巻線に高周波電流を発生させるインバータ動作と商用電源1の電圧に対して昇圧した電圧をコンデンサ24、25に発生させる動作を兼用できるような容量に設計され、コンデンサ24、25の容量は相等しい容量で構成されている。この結果商用電源1の電圧極性が図示の場合はコンデンサ24に商用電源1の電圧を昇圧した電圧を蓄え、反対に商用電源1の電圧極性が図示とは逆極性の場合はコンデンサ25に商用電源1の電圧を昇圧した電圧を蓄える動作をする。したがって商用電源1の電圧極性によらずコンデンサ24、25に発生する電圧を等しくすることができるので商用電源1の電流は正負対称な波形とすることができる。そして、このような動作を継続することで図4に示すように商用電源1の周期に対してコンデンサ24、25の電圧波形は商用電源1の電圧極性に応じて昇圧した電圧を発生する。このため高圧トランス26の1次巻線に流れる電流の包絡線波形はV26(Lp)に示すような波形となる。この電圧を高圧トランス26は昇圧してマグネトロン8に印加するのでマグネトロン8に印加する電圧はV8のような波形を示し、常に発振電圧VAK(TH)以上の電圧を維持することが可能となる。この結果入力電流I1は商用電源1のいずれの期間においても電流を流すことができ、力率の改善、高調波の抑制を実現することができる。
【0026】
また、図3において期間(a)から(b)へ移行する際ダイオード23をカットオフする動作になるが電流経路として半導体スイッチ素子21が直列に接続されているので電流の遮断は半導体スイッチ素子21が行うことになりダイオード23のスイッチングスピードは要求されない。また、オフ時にダイオード23に印加する電圧は零であるのでターンオフ時のスイッチング損失はまったく生じない。したがってダイオード22、23の設計としては順方向オン電圧VFを重視した設計で導通時の損失を重点的に抑制するように設計することが可能となり、ダイオード22、23の小形化と同時にダイオード22、23を冷却する構成の簡素化を図ることが容易となる。特に電子レンジで用いるようなマグネトロン駆動用電源は1000W以上の高電力を扱うのでインバータ回路の電流は40Aから50A程度の非常に大きな電流レベルとなりダイオード22、23の設計を順方向オン電圧VFを重視して導通損失を低減することはインバータ回路の効率向上に有益である。このためインバータ回路のトータルの電力損失をきわめて低く抑えることができ、効率の高いマグネトロン駆動用電源を実現することができる。
【0027】
このように本実施例のマグネトロン駆動用電源においては従来例で示した回路とは全く異なった回路動作によってダイオード22、23の設計を順方向オン電圧VF重視の設計とすることが可能となりダイオード22、23の損失を極小化しマグネトロン駆動用電源全体の電力変換効率を向上している。この効果はコンデンサ24、25がインバータ動作とコンデンサ24、25に商用電源1の電圧を昇圧した電圧を加える動作を兼用することによって発揮される本発明における特有の効果であり、従来例にて挙げた特開平10−271846の構成とは異なったコンデンサの回路機能と回路動作によって実現されるものである。
【0028】
図5は本実施例のマグネトロン駆動用電源のより実際的な回路構成を示したものであり、商用電源1の出力にインダクタ27とコンデンサ28からなるローパスフィルタ29を設けることによってインバータ回路の高周波電流が商用電源へ流れないよう構成したものである。このように商用電源1とインバータ回路の間にローパスフィルタ29を挿入する構成とすることによりインバータ回路の高周波電流あるいは電圧が商用電源側へ回り込まないようにすることによって端子雑音の低減を図ることが可能となる。なお、本構成によっても上述の動作は何ら変わらない。
【0029】
(実施例2)
図6は第2の実施例におけるマグネトロン駆動用電源の回路図である。この回路構成においては前述の実施例1に加えて半導体スイッチ素子21に並列にコンデンサ30を接続した構成となっている。
【0030】
図7、図8は本実施例における動作波形図と各期間における電流経路を示した図である。商用電源1が図示の電圧極性で半導体スイッチ素子21がオンの状態から説明をはじめる。半導体スイッチ素子21がオンの状態では商用電源1から高圧トランス26の1次巻線をとおって電流が流れ図8(a)の経路を構成する。このとき半導体スイッチ素子21に流れる電流は図7に示すように直線的に増加していく。ある一定の時間の後半導体スイッチ素子21をオフすると高圧トランス26の1次巻線の電流は同じ方向へ流れつづけようとするので電流経路は図8(b)の状態となり半導体スイッチ素子21に並列接続されたコンデンサ30を充電する。このとき半導体スイッチ素子21の電圧V21はこのコンデンサ30の充電スピードで上昇する。そしてコンデンサ30の電圧がコンデンサ24の電圧と等しくなると今度は半導体スイッチ素子20の並列ダイオードが導通し、コンデンサ24を充電する電流経路を形成し期間図8(c)へと移行する。コンデンサ24の充電が完了すると半導体スイッチ素子20がオン状態となってコンデンサ24の電荷を図8(d)に示すコンデンサ24→半導体スイッチ素子20→高圧トランス26の1次巻線→商用電源1の経路で取り出す。このとき半導体スイッチ素子20に流れる電流波形は図7(d)に示すような波形となる。所定の時間で半導体スイッチ素子20をオフすると今度は図8(e)の経路で半導体スイッチ素子21に並列に接続されたコンデンサ30の電荷を放電する経路を形成し、コンデンサ30を放電する。このとき半導体スイッチ素子21にかかる電圧V21は徐々に減じていき、半導体スイッチ素子20にかかる電圧V20は逆に徐々に上昇する。コンデンサ30の放電が完了し、半導体スイッチ素子21にかかる電圧が零となると図8(f)の電流経路を形成し、半導体スイッチ素子21に並列接続されたダイオードが導通する。次に半導体スイッチ素子21をオン状態にすると図8(g)の電流経路となりコンデンサ25に蓄えた電荷を放電し、放電が完了すると図8(a)の状態へと遷移する。
【0031】
また、商用電源1の電圧極性が図示とは逆極性の場合は半導体スイッチ素子20、21、コンデンサ24、25、ダイオード22、23の動作がそれぞれ入れ替わりまったく同様の動作をする。
【0032】
この実施例においては前述の実施例同様ダイオード22、23のスイッチング損失は生じず、ダイオード22、23は順方向オン電圧VFを重視した設計でダイオード22、23の発生損失を極小化できる。さらに半導体スイッチ素子20、21にかかる電圧はターンオフ、ターンオンの際にコンデンサ30の充放電を利用して緩やかに立ち上げることによってスイッチング時の発生損失の低減ができる。すなわち実際の半導体スイッチ素子はオン状態からオフ状態、オフ状態からオン状態へ移行する際に必ず遷移期間を有しており、この電圧と電流が同時に発生する遷移期間でスイッチング損失を発生する。特に大電流を扱う場合に適するIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)やBJT(バイポーラジャンクショントランジスタ)のようにバイポーラ動作によって半導体素子の電流密度をかせぐ半導体スイッチ素子においてはゲート信号をオフしても素子内部の残留ホールが即時には消滅しないのでコレクタ電流は即時には遮断できず、数100nsから数μsの間遷移期間が生じる。しかしながら本実施例においては半導体スイッチ素子にかかる電圧をこのタイミングで緩やかに変化させており電流を遮断するまでの期間に緩やかに電圧が上昇するため半導体スイッチ素子20、21のターンオフ、ターンオンの際のスイッチング損失を非常に少なくすることが可能となり、さらに回路効率を高めることが可能となる。
【0033】
図9は半導体スイッチ素子20に並列にコンデンサ30を接続した構成を示している。この場合はコンデンサ30の充電放電のタイミングが前述の場合とは逆となるが、半導体スイッチ素子20、21にかかる電圧を緩やかに変化させるという作用は同様である。したがって上述の図6の場合と同様ダイオード22、23を順方向オン電圧VF重視で損失を極小化すると同時に半導体スイッチ素子20、21の発生損失を低減することができマグネトロン駆動用電源の電力変換効率を向上することが可能となる。
【0034】
図10は半導体スイッチ素子20、21にそれぞれコンデンサ31、32を接続した構成である。この場合前述の例と同じ電圧の傾きを持たせるためには前述のコンデンサ30に対して半分の容量のコンデンサをそれぞれ接続すればよい。この場合コンデンサ31、32がマグネトロン駆動電源に与える作用は上述の図6あるいは図9の場合と同等であるがコンデンサ31を充電するときはコンデンサ32が放電され、逆にコンデンサ31が放電されるときはコンデンサ32が充電されるという動作で同様の効果を奏する。
【0035】
図11は高圧トランス26の1次巻線に並列にコンデンサ30を接続した構成を示している。この場合は高圧トランス26の1次巻線の電圧がコンデンサ30の働きによって緩やかに変化するために半導体スイッチ素子20、21の電圧が緩やかに変化する動作をし、上述の例と同様の効果を発揮する。
【0036】
(実施例3)
本発明の第3の実施例について図12〜15を用いて説明する。
【0037】
図12は本実施例におけるマグネトロン駆動用電源の回路図を示している。前述の実施例と同一符号の構成要素は同一の動作、作用をするのでここではその詳細についての説明は省略する。駆動回路33は半導体スイッチ素子20、21を駆動しインバータ回路を動作させる。駆動回路33が半導体スイッチ素子20、21へ送る駆動信号は図13(a)に示すようにデッドタイムを有し相補的にオンオフするような波形である。このように半導体スイッチ素子20、21を相補的にオンオフすることによってインバータ回路はマグネトロン8へ電力を伝送している。
【0038】
ここで半導体スイッチ素子21のオン時間比Don21とインバータ回路の変換電力Pとの関係を図14に示す。図中で実線にて示した曲線は商用電源1の電圧極性が図12に示す極性の場合での変換電力Pの変化を示したものであり、破線で示した曲線はこれとは逆に商用電源1の電圧極性が図12とは逆の電圧極性の場合での変換電力Pの変化を示している。このように商用電源1の電圧極性によって半導体スイッチ素子21のオン時間比Don21とインバータ回路の変換電力Pの関係は異なったものとなる。したがって、半導体スイッチ素子21のオン時間比Don21が略50%の状態では商用電源1の電圧極性によらずいずれの電圧極性においても同じ電力変換が可能なので商用電源1の電流は図15(b)に示すように正負対称の波形とすることができる。しかしながら商用電源1の電流を正負対称な正弦波にしようとすると変換電力はこの一点のみで限定されてしまう。家庭用の電子レンジなどでは電子レンジで加熱する際に食品に応じてさまざまな加熱電力が選択される。たとえばレンジ“強”、“中”、“弱”などの設定によって加熱電力の調整が必要とされる。これに対応するためには半導体スイッチ素子21のオン時間比Don21を所望の出力電力に応じて変化させることが必要となるが、商用電源1の電圧極性に関係なく一定のオン時間比Don21で所望の出力電力に調整しようとすると図14に示した半導体スイッチ素子21のオン時間比Don21と変換電力Pの関係からオン時間比Don21が50%から外れてくると商用電源1の電圧が正の期間と負の期間で異なった電流波形を示すことになり、たとえば図15(a)に示すような正負がアンバランスな電流波形となってしまう。この場合、電流波形が対称波形とならないので偶数次の高調波が発生することになり結局力率を向上することはできなくなってしまう。
【0039】
そこで本実施例においては商用電源1の電圧極性に応じて半導体スイッチ素子20、21の駆動信号を入れ替えるように駆動回路33が動作するようにしている。すなわち図13に示すように商用電源1の電圧極性が正の場合には図13(a)に示すようにT1、T2なるオン時間で半導体スイッチ素子20、21がそれぞれオンオフし、逆に負の電圧極性の場合は図13(b)に示すように図13(a)の場合と半導体スイッチ素子20、21のオン時間が入れ替わるように動作する。このように動作することによってマグネトロン駆動用電源の回路での発生損失を低減しつつマグネトロン駆動電源の変換電力が変化して、半導体スイッチ素子21のオン時間比Don21が略50%の状態からいずれかの方向へずれて変換電力が増減しても常に商用電源1の電流波形は正負対称な正弦波状の波形を維持することが可能となる。このため変換電力を変化させても常に高い電力変換効率を維持したまま高い力率で電流の歪のない動作を実現することが可能となる。
【0040】
(実施例4)
本発明の第4の実施例について図16〜18を用いて説明する。図16は本実施例のマグネトロン駆動用電源の回路図である。前述の実施例と同一符号の構成要素は同一の動作、作用を持つものでありここでは詳細な説明は省略する。電源極性判定手段34は商用電源1の電圧極性を判定するものであり、本実施例ではフォトカップラ35を用いて構成した例を示している。商用電源1の電圧が図17のV1のように変化した場合は電圧極性が図示の時フォトカップラ35の発光ダイオードが発光することによって受光側のトランジスタが導通する。このとき電源極性判定手段34の出力はLowレベルとなる。この状態を駆動回路33は電源極性が正であると判断し、半導体スイッチ素子20、21のオン時間を其々図18(a)に示すようにT1、T2として出力する。そして商用電源1の電圧極性が負となると今度はフォトカップラ35の発光ダイオードの発光が停止して受光側トランジスタがオフすることによって電源極性判定手段34の出力はHighレベルとなる。この状態を駆動回路33は商用電源の電圧極性が負であると判定し半導体スイッチ素子20、21のオン時間を図18(b)に示すように商用電源1の電圧極性が正の場合とは逆となるように駆動回路33は駆動信号を出力する。このように動作することによってマグネトロン駆動用電源の変換電力が増減しても常に商用電源1の電流波形は正負対称な正弦波状の波形を維持することが可能となる。このため変換電力を変化させても常に高い電力変換効率を維持したまま高い力率で電流の歪のない動作を実現することが可能となる。
【0041】
図19は電源極性判定手段34をコンデンサ25に並列接続した電圧検出用の抵抗で構成した例を示している。これはコンデンサ25に発生する電圧がすでに実施例1で述べているように図20中V25のように変化することを利用している。すなわちコンデンサ25の電圧V25は商用電源1の電圧が図20に示すように交流波形を示しているとき、電源極性が正の場合はほぼ零である。一方、負の極性を示している時は図示のようにインバータ回路の動作に応じて商用電源1の電圧を昇圧した電圧を発生する。この電圧をこの実施例のように抵抗で分圧し、比較器を用いて基準値以上となっている期間を商用電源1の電圧極性が負であると極性判定手段34が判定し駆動回路33に信号を伝達する。そして駆動回路33はこの判定信号に基づいて半導体スイッチ素子20、21の駆動信号を入れ替えるように動作する。このように動作することによって先の例と同様にマグネトロン駆動用電源の変換電力が増減しても常に商用電源1の電流波形は正負対称な正弦波状の波形を維持することが可能となる。このため変換電力を変化させても常に高い電力変換効率を維持したまま高い力率で電流の歪のない動作を実現することが可能となる。
【0042】
(実施例5)
本発明の第5の実施例について図21〜25を用いて説明する。図21は本実施例のマグネトロン駆動用電源の回路図である。駆動回路33は商用電源1の電圧極性が変化したときに半導体スイッチ素子20、21の駆動信号をいれかえるように動作するが同時に入れ替える際に一定の変化率で変化するように動作する。
【0043】
図22は商用電源1の電圧波形V1と半導体スイッチ素子20、21のオン時間比Don20、Don21の変化を示した図である。この図ではオン時間比の変化は商用電源1の電圧極性が変化する時点で瞬時に入れ替わるようになっており、その変化の幅はΔDなる変化量を持っている。商用電源1の電圧極性が変化する時点での半導体スイッチ素子20、21の駆動信号の変化の様子を図23に示す。図中ZVPの時点が商用電源1の電圧極性が変化する時点であり、ここを境に半導体スイッチ素子20のオン時間はT1なるオン時間から次の周期ではT2なるオン時間に変化する。一方、半導体スイッチ素子21はT2なるオン時間からT1なるオン時間に変化する。このように動作してしまうと半導体スイッチ素子20、21のオン時間がほぼ等しい場合はオン時間比の変化幅ΔDが小さいので商用電源1の電圧極性が変化する時点でのインバータ回路の動作の変化量は小さい。このため図24(a)に示すように商用電源1の電流は商用電源1の電圧極性が変化する時点においても滑らかな変化を示す。しかし、インバータ回路の変換電力をこの状態よりも増加または減少するように半導体スイッチ素子20、21のオン時間を調整すると半導体スイッチ素子20、21のオン時間は等しい状態から外れてくる。この場合商用電源1の電圧極性が変化する時点でのオン時間の変化量は大きくなるので商用電源1電流波形は図24(b)に示すように商用電源1の電圧極性が変化する時点でインバータ回路の動作の変化量が大きいことが原因となって過渡的に針状の電流波形が発生する可能性がある。特に商用電源1の電圧極性が変化する時点と駆動回路が半導体スイッチ素子20、21のオン時間を入れ替えるタイミングにずれが生じるとこの現象は顕在化する。
【0044】
しかしながら本実施例の構成では図25に示すように商用電源1の電圧極性が変化するときに半導体スイッチ素子20、21のオン時間比を一定の変化率を持って入れ替えるように動作するのでこの時点における半導体スイッチ素子20、21のオン時間比Don20、Don21の変化量は制限される。このためインバータ回路の変換電力を変化させて半導体スイッチ素子20、21のオン時間比の差ΔDが大きい状態であっても常に商用電源1の電流波形は滑らかな変化をさせることができ過渡的な電流波形を呈する事はなく常に略正弦波状の電流波形を維持することが可能である。また、何らかの要因で商用電源1の電圧極性が変化する時点と駆動回路が半導体スイッチ素子20、21のオン時間を入れ替えるタイミングにずれが生じても入れ替える際に一定の変化率で切り替えていくのである程度のタイミングのずれに対しては保証することが可能となる。
【0045】
このように本実施例のマグネトロン駆動用電源においてはインバータ回路の変換電力を増減して半導体スイッチ素子20、21のオン時間比の差が大きくなっても常に過渡的な電流を呈さず商用電源1の電流波形を常に略正弦波状に維持することが可能である。
【0046】
また、図25に示したように商用電源1の電圧が変化する時点で半導体スイッチ素子20、21のオン時間比Don20、Don21が各々略50%となる様に変化するとすでに実施例3で示したようなオン時間比Donとインバータ回路の変換電力Pの関係からよりスムーズに商用電源1の電流波形を変化させることが可能である。
【0047】
(実施例6)
本発明の第6の実施例について図26〜28を用いて説明する。図26は本実施例のマグネトロン駆動用電源の回路図である。電源極性判定手段34は商用電源1の電圧極性を判定し駆動回路33に商用電源1が正の電圧極性か負の電圧極性かの信号を伝達する。駆動回路33はこの判定信号に基づき半導体スイッチ素子20、21のオン時間比を入れ替えるように動作すると同時に商用電源1の電圧が正の方向に大きい期間では半導体スイッチ素子21のオン時間比Don21を商用電源1の電圧値に応じて減ずるように動作し、商用電源1の電圧が負の方向に大きい場合は半導体スイッチ素子20のオン時間比Don20を商用電源1の電圧値に応じて減ずるように動作する。図27はこの状態を示したものであり、商用電源1の電圧に応じて半導体スイッチ素子20、21のオン時間比は其々Don20、Don21のように変化する。このように半導体スイッチ素子20、21のオン時間比を制御することによって商用電源1の電流波形I1は図示のように略正弦波に比べて最大値の部分を押しつぶしたように台形波状に変化する。同じ変換電力を扱う場合正弦波状にするよりも台形波状に電流波形を制御したほうが電流最大値は小さくすることができる。商用電源1の電圧に応じてオン時間比を制御した場合と一定のオン時間比で入力電流を略正弦波状にした場合の最大電流時の半導体スイッチ素子20、21の電流電圧波形を図28に示す。図28(a)はオン時間比Don20、Don21を商用電源1の電圧に応じて制御した場合であり、図28(b)は入力電流を略正弦波状にした場合の波形例である。これらの波形を比較すると図28(a)の場合は図28(b)の場合に比べて半導体スイッチ素子21の電流最大値I21(max)がひくくなる。この結果半導体スイッチ素子の電流実効値は低くなるのでリード線やプリント基板上で配線する場合における損失を低減しインバータ回路の損失を低減することができる。また、其々の半導体スイッチ素子20、21がオンしているとき同時に高圧トランス26の1次巻線にも電流が流れるので、半導体スイッチ素子の電流実効値を低減することは同時に高圧トランス26の1次巻線の電流実効値を低減することになる。高圧トランス26は発生する損失は巻線に電流を流すことによって生じる銅損とフェライトコアなどの磁気回路で生じる鉄損とに大分することができる。特に銅損の部分は巻線の等価直列抵抗Rsと通電電流の実効値Iの2乗との積でおおよそあらわすことができる。したがって本実施例のように半導体スイッチ素子のオン時間比を商用電源1の電圧によって変化させて電流実行値を低減することによって高圧トランス26の1次巻線の銅損を大幅に低減することが可能である。したがってインバータ回路の損失をさらに低減することが可能となり回路効率の向上が可能となる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、請求項1〜6に記載の発明によれば、マグネトロンのような非線形な特性をもつ負荷であっても商用電源の略全域にわたり入力電流を流すことができるとともに電子レンジのような高い変換電力を扱う機器においてもインバータ回路の発生損失を抑制することができ高効率のマグネトロン駆動用電源を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるマグネトロン駆動用電源の回路図
【図2】同実施例のマグネトロン駆動用電源の各動作モードでの電流経路図
【図3】同実施例のインバータ回路の動作波形図
【図4】同実施例のマグネトロン駆動用電源の動作波形図
【図5】同、別の実施例におけるマグネトロン駆動用電源の構成を示す回路図
【図6】本発明の実施例2におけるマグネトロン駆動用電源の回路図
【図7】同実施例のインバータ回路の動作波形図
【図8】同実施例のインバータ回路の各動作モードでの電流経路図
【図9】同実施例の半導体スイッチ素子にコンデンサを並列接続した回路図
【図10】同実施例の半導体スイッチ素子に其々コンデンサを接続した回路図
【図11】同実施例の高圧トランスにコンデンサを並列接続した回路図
【図12】本発明の実施例3におけるマグネトロン駆動用電源の回路図
【図13】同実施例の半導体スイッチ素子の駆動信号波形図
【図14】同実施例の半導体スイッチ素子のオン信号幅Don21と変換電力Pの特性図
【図15】同実施例の商用電源の電流波形図
【図16】本発明の実施例4におけるマグネトロン駆動用電源の回路図
【図17】同実施例の電源極性判定手段の出力波形図
【図18】同実施例の半導体スイッチ素子の駆動信号波形図
【図19】同実施例における電圧極性判定手段の他の構成例を示す回路図
【図20】同実施例の電源極性判定手段の出力波形図
【図21】本発明の実施例5におけるマグネトロン駆動用電源の回路図
【図22】同実施例において半導体スイッチ素子のオン時間比を入れ替える際に瞬時に入れ替えた場合の商用電源の電圧と半導体スイッチ素子のオン時間比の波形図
【図23】同実施例において商用電源の電圧極性が変化する時点での半導体スイッチ素子の駆動信号波形図
【図24】同実施例の商用電源の電流波形図
【図25】同実施例の商用電源の電圧と半導体スイッチ素子のオン時間比の波形図
【図26】本発明の実施例6におけるマグネトロン駆動用電源の回路図
【図27】同実施例の商用電源の電圧波形と半導体スイッチ素子のオン時間比の波形図
【図28】同実施例の半導体スイッチ素子の動作波形図
(a)本実施例のように商用電源の電圧に応じてオン時間比を変化させた場合の電圧最大時の動作波形図
(b)本実施例のようにオン時間比を変化させなかった場合の電圧最大時の動作波形図
【図29】従来のマグネトロン駆動用電源を示す回路図
【図30】同マグネトロン駆動用電源の動作波形図
【図31】マグネトロンの動作特性図
【図32】アクティブフィルタ回路を追加した従来のマグネトロン駆動用電源の回路図
【図33】同マグネトロン駆動用電源の動作波形図
【図34】特開平10−271846にて公開された電源装置の回路図
【図35】同電源装置の各動作モードにおける電流経路を示す回路図
【図36】同電源装置の動作波形図
【符号の説明】
1 商用電源
7 高圧整流回路
8 マグネトロン
20 第1の半導体スイッチ素子
21 第2の半導体スイッチ素子
22 第1のダイオード
23 第2のダイオード
24 第1のコンデンサ
25 第2のコンデンサ
26 高圧トランス
30 第3のコンデンサ
33 駆動回路
34 電源極性判定手段
Claims (6)
- 第1および第2の逆導通可能な半導体スイッチ素子の直列接続体と、第1および第2のダイオードの直列接続体を並列接続し、前記第1および第2のダイオードに各々並列に第1と第2のコンデンサを接続し、前記第1および第2の逆導通可能な半導体スイッチ素子の接続点と、前記第1および第2のダイオードの接続点間に商用電源と高圧トランスの1次巻線の直列回路を接続し、前記高圧トランスの2次巻線の出力は高圧整流回路を介してマグネトロンを付勢し、前記第1および第2の半導体スイッチ素子を駆動する駆動回路と、前記駆動回路は前記第1および第2の半導体スイッチ素子を相補的に駆動するとともに前記商用電源が正極の場合と負極の場合で駆動信号を入れ替える構成としたマグネトロン駆動用電源。
- 電源極性判定手段を設け、前記電源極性判定手段は商用電源の極性を判別し、駆動回路は前記電源極性判定手段の判定情報に基づいて第1および第2の半導体スイッチ素子の駆動信号を入れ替える構成とした請求項1に記載のマグネトロン駆動用電源。
- 電源極性判定手段はフォトカップラによって構成し、商用電源の極性を判別する構成とした請求項2に記載のマグネトロン駆動用電源。
- 電源極性判定手段は第2のコンデンサの電圧を検出し、商用電源の極性を判別する構成とした請求項2に記載のマグネトロン駆動用電源。
- 商用電源のゼロクロス点近傍で所定の変化率で駆動信号を変化するよう構成した請求項1または2に記載のマグネトロン駆動用電源。
- 商用電源の電圧が正方向に高い期間は第2の半導体スイッチ素子の導通時間を商用電源の電圧に応じて短くなるよう変化させ、逆に負方向に商用電源の電圧が高い期間は第1の半導体スイッチ素子の導通時間を商用電源の電圧に応じて短くするよう変化させる構成とした請求項1〜5のいずれか1項に記載のマグネトロン駆動用電源。
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