JP3214580U - 石鹸を使わず皮脂汚れを水だけで洗浄できる布織物 - Google Patents

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Abstract

【課題】石鹸を使わず水だけで皮膚上の汚れた皮脂の洗浄ができ、肌への刺激もなく逆に美容効果が期待でき、スマフォ機器やメガネなど素手で触る携帯用具に不断に付着する皮脂汚れを落とすことができる布織物を提供する。【解決手段】水で膨潤したゼリー状の柔らかなタンパク質セリシンで覆われた糸が生糸の元になる抱合前の繭一つから取り出した最小単位になる1本1本の20ミクロン前後の太さを持つ糸までがすべてバラバラになって動く構造が特徴の本考案の布織物は、しなやかな肌触りを持ちまた繊維がミクロ的に肌に接することができ、肌のうるおいと類似した成分を持つセリシンに覆われた糸が直接肌に触れることができる。【選択図】図1

Description

洗顔用の布(フェイスタオル)あるいは沐浴用の布(ボディタオル)、スマフォ機器やメガネといった携帯道具などに付く皮脂汚れを清掃するための布(クリーニングクロス)に関するもので、蚕の繭から生産する生糸を使用した布織物について。
洗顔や沐浴をする時は汚れを石鹸で洗うのが一般的であり、一般に男性は素手で洗うが女性は綿や化学繊維で作られた布と組み合わせることが多く、きめ細かく泡立ちするタオルや泡立ちが大きいタオルだとかのこだわりはあっても、主体は石鹸の洗浄能力にあって布とは関係がない。
しかし、絹製糸業で現場作業に携わった女性の手がつややかで綺麗であったという話は歴史的に有名であることから調査が進んだが、これは繭の糸に含まれる芯糸部分(タンパク質フィブロインで一般には絹糸と呼ばれる部分)を覆ってるタンパク質セリシン(繭の糸の全体重量の20−30%で化学組成はアミノ酸であるセリン、アスパラギン酸、グリシン、スレオニンなど18種が結合した水溶性高分子)が40−50度の温浴水に溶け出して、女性作業者が絹製糸業の現場でいつも触っていたことが要因であることが判明しているが、そのことからタンパク質セリシンには肌をきれいにする美容的効果があるとされ、はじめて石鹸の効果と関係なく布の方に注目が集まり、特に女性向けに絹製のフェイスタオルやボディタオルなどが近年になって市場に出回り始めた。
鍵を持つタンパク質セリシンは繭の段階では糸に確かに多く含まれているが、精製した絹糸の場合は精錬工程があるためその過程でそれのほとんどが失われる(意図的に残した絹糸もあるが難水溶性セリシンが全体の数%残っているだけ)ので、絹製のタオルにあるセリシンによる美容効果には疑問は残る。
生糸は絹糸に精製する前の前段階の蚕から取り出したばかりの糸であるので多くのタンパク質セリシンが含まれているが、繭から融着した糸(繭は糸が解けないようにセリシンで固められている)を取り出すために、一般には95度前後あるいはそれ以上の熱水や水蒸気の中で繭を10−25分間以上煮るという前処理である煮繭工程を通す必要があり、そのために洗顔温度で美容効果があるとされる水溶性の高い有効な成分のほとんどは流失し、また多くの成分は残るにしても45−50度の高温水かそれ以上であっても容易に水で膨潤しなくなった硬いセリシン成分に高分子構造が変化してしまい、すなわち生糸であっても決して繭を構成する糸と同じではないことがわかっている。
タンパク質セリシンの煮繭工程の熱水で起こる変化について詳しく説明をすると、糸の外側に分布している美容効果があるとされるタンパク質セリシンは準非結晶状態の水溶性の高いセリシン第I層(セリシン全体の41%比)に含まれており熱水によって溶け去るのと同時に、残った準非結晶状態にあるセリシンは水溶性高分子の多次立体構造に大きな変化が起きて、元々あった立体構造が崩れてベータ化しながら結晶化が内層(第II−III層)のセリシンも巻き込み進み性質が難水溶性に転移し、その変化した性質は70−90度以上の熱水でしか膨潤せずまた溶けないのと同時に柔軟性のなくなった硬化した高分子層に変質することが知られており、すなわち、このようにタンパク質セリシンの性質を変化させることが煮繭工程の元々の目的となっており、逆に言えばこのようにセリシンの性質に変えることによって繭から40−50度の温水で糸を取り出せるようになるのである。
このような性質の変化のために、生糸にたとえ多くのタンパク質セリシンが含まれていたとしても美容目的のタオルに期待するような肌への美容効果はないと言えるのと同時に、生糸は繭から糸を取り出すときに例えば5−9個の繭からの糸をよじりながら束ねて一定の太さの糸とする(抱合して1本の糸)ことをしているが、この時に熱水で変性したセリシンが接着剤のように働くために、抱合した糸は束ね固めた膠着状態すなわち5−9本の繭からの糸がまるで1本の太い糸同然になってしまうのと同時に、セリシン自体が硬い性質に変わることも相合わさって、糸としては剛直し硬くなるためにそれで織った布の性質は薄い板の様にとても硬くなり、また水の浸透しにくい浸透しても硬いままであるので肌触りの悪い感触となりタオル目的の布製品として仕立てたときは使いにくいものとなることから、たしかに絹糸よりもセリシンが豊富に含まれているものの製品への応用は少ない。
歴史的にも例えば西陣織や京友禅などで使う絹糸は、膠着させて固くしているタンパク質セリシンを除去するための精製工程(精錬)を糸あるいは織物の段階で持っているくらいであり、それにより得られた柔くてしなやかな絹糸によって彩られた伝統工芸品が成り立っている。
他方、繭の一端を切り取りその中に指を差し込んで指先に付けて、温浴(おそらく40−50度)でタンパク質セリシンを溶かして肌に付着させ美容効果が得られるという小さな洗顔パフが考案(特許文献1)され販売されているが、たしかに熱水による変質を一切受けていないので自然のままのセリシンを含んでいるので生糸を使った製品に対しては理に合っているが、しかし温浴でも繭そのものは蛹の殻として硬いため、柔らかな肌部分では感触が悪くまた布状ではないので用途が限られる。
本考案が着眼したのは新しく見出された塩溶液法(非特許文献1)で取り出した糸であって、報告されている処方によると生繭を飽和食塩水溶液で温度30度50−184日間浸漬したあと煮繭工程をとばしていきなり2−10度という低温下で糸を取り出せたとしており、これは従来ではまったく不可能だった熱水での煮繭工程を一切必要としない点と通常は40−50度が必要になるはずの糸の取り出し条件が10度以下の冷水で可能であった点に特徴があり、その報告では言及がないが、その一貫した低温の条件は、タンパク質セリシンの全含有量をそのままの立体構造(高分子鎖の多次立体構造)を維持したままかつ水和性が高い成分や結晶化していない準非結晶状態の成分も複雑に絡んだ構造を維持したまま、すなわち蚕の生繭の状態から何ら一切の変化をしていないそのままの状態で糸を取り出せることを意味していると解釈される。
また、7個の繭の糸で抱合して織物用の太さに糸を調整したあとでも、生糸のようにタンパク質セリシンにより膠着状態になって固まって1本の糸のようにはならずに、抱合して構成された7本の糸が1本1本バラバラになった状態になることができ(非特許文献1)、その糸でニット織りした布は生糸の布と違い全くやわらかくてしなやかな物性を持つとされている(非特許文献2)。
また、硬化していないタンパク質セリシンは水で浸漬するとただちに膨潤してゼリー状になるが、すなわち常温水で短時間で膨潤しゲル化する(非特許文献5など)とされているが、先述したように生糸の製造工程にある熱水処理をした場合は、セリシンの高分子構造の結晶化が進み難水溶性の状態に変化するため洗顔温度程度では水で膨潤状態にならない(高温水が必要)ので、流通する通常の生糸で例えば洗顔用のタオルを制作した場合はこのゼリー状態はない。
タンパク質セリシンがなくても、水で湿らせた布であれば素材には関係なく人の皮脂分を取り除くことは可能と考えることができるが、織り目の間やほつれた繊維の中に水を含む状態の布は特に化学繊維では、皮脂は油の特徴を持つので水と反発するため逆にうまく取り込めなくなり、そうであるので洗顔剤やボディー石鹸などを使って洗浄しなければならないことは理に合っている。
タンパク質セリシンを化学繊維に付着させてから織物にしたりあるいは布にセリシンを直接付着させる技術も商品化されているが付着させたあとの完全な定着固定に関しては難しいとされており、それに対して繭の糸の場合は、芯糸まで複雑な構造でセリシンが絡み合っているので永久に残る高い定着性を持っている。
スマートフォンなどの携帯電子機器類やメガネといった携帯道具は人の皮脂の汚れの付着が頻繁に起こり、それを清掃するための布用品(クリーニングクロスやメガネ拭きなど多種多様)が売られているが、最近は直径2ミクロンにした超極細繊維(化学繊維を使ったマイクロファイバ)が主流になっているが、皮脂汚れ部分に乾燥状態の布を押し当てて繰り返し擦りながら超極細繊維内部に絡め取り去るという方法である。
しかし、化学繊維は硬い物性を元々持つために、力の加減によって液晶画面表面やデザインメッキ部分またメガネのコーティング層などに細かい傷が付く可能性があるため注意書きが出ていたり、またデザインになった表面の細かな凹凸部に入り込んだ汚れまでは繊維がとどきにくく清掃効果が出にくい。
また、イソプロピルアルコールなどの溶剤と水を混合した溶液を浸み込ませた使い捨てペーパー型のメガネクリーナーがあり、軽く拭くだけで皮脂汚れがとれ、表面の細かな凹凸部に入った汚れも落ちるが、溶剤の種類との関係で素材が傷ついたり変質する恐れがあるため液晶画面や電子機器、その他高価な素材(べっ甲、宝石類)などへの使用制限が注意事項として記載されている。
実登3029204、顔のパッテェング・繭パフ
高橋重三他、塩溶液法による繭の貯蔵と繰糸に関する研究、蚕糸・昆虫バイオテック80(3)、P237−242(2011) 高橋重三他、塩溶液繭繰糸法生糸による編成及びその物性に関する研究、京都市産業技術研究所、研究報告 No.4(2014) 小松計一、絹の構造と製糸、第28回製糸夏期大学、P1−31(1975) 小松計一、総説セリシン研究最近の進歩、日蚕雑、49(6)、457−465(1980) 南他、セリシン溶解度と繭層膨潤度との関係、日蚕雑、43(1)、13−18、1974
タンパク質セリシンの美容的効果を期待した生糸製の洗顔用の布(フェイスタオル)あるいは沐浴用の布(ボディタオル)が市場に流通しているが、生糸は糸としてのしなやかさがない剛直な性質を持っているためタオルとして使えるように目の粗い織物にせざる得なかったり、また洗顔温度程度の温水では容易に糸を覆うセリシンが膨潤しないので吸水性に難があったりセリシンそのものによる効果も出せない状態にあることから、生糸製のタオルでは購入者が期待するセリシンの美容的効果を実際には提供できていない状況にある。
絹糸は硬くゴワゴワした生糸と違って化学繊維にはないしなやかな肌触りのある布地に仕立てることができるため、高級なフェイスタオルやボディタオルとして流通しているが、絹糸は製造工程の関係で注目されているタンパク質セリシンがほぼ含まれていないので期待する美容効果はなく、また絹糸であっても水だけでは人の皮脂汚れを取り去ることができないので、一般の布と同じように石鹸の洗浄効果に頼る必要があることから他の素材例えば綿や化学繊維で製造したタオルとの差別化ができていない。
トラブルを肌に持っている人が使うフェイスタオルやボディタオルや新生児が使う沐浴用のガーゼは、肌に不用意な刺激を与えないしなやかな布であるとともに、石鹸を全く使うことなく水だけで人の皮脂汚れを洗浄できる能力を持つことが理想としてあるが、化学繊維や他の天然繊維を含めて先に説明した生糸や絹糸で作られた布でもそれを実現することができず、多くの人が経験的に使うのは自然綿素材のガーゼであるが、編み込み目の隙間やほつれた綿繊維で皮脂汚れをこすり取り去るだけの方法なのでその洗浄能力は決して十分とは言えない。
スマフォ機器やメガネなど素手で触る携帯用具には頻繁に使用者の皮脂汚れが付着するのでそれを拭き取り清潔にするために、超極細繊維マイクロファイバで織った布やそれを織り交ぜた使い捨てペーパーなどが販売されているが、皮脂汚れ部分に布地部を押し当てて繰り返し擦り取り去る手法なので、力の加減によっては液晶画面表面やデザインメッキ部分またメガネのコーティング層などに細かい傷が入るし、また表面のデザインになった細かな凹凸部に入り込んだ汚れは落ちにくいという難点があり、それを改良したアルコールなどの溶剤と水の混合水をあらかじめ浸した使い捨て型のメガネクリーナーがあり、軽く拭くだけで皮脂汚れがとれて表面の細かな凹凸部に入った汚れも落とせるが、アルコール等の有機溶剤との関係で素材が傷ついたり変質する恐れがあるため液晶画面や電子機器、その他高価な素材などへの使用制限が注意書きされている。
本考案の布織物は、蚕の繭を飽和食塩水溶液で温度30度の下で30−100日間浸漬処理してそのまま0度から常温の水の中に浸漬して取り出す操作をして得た糸を使用した織物であって、20ミクロン前後の太さを持つ1本の糸の外側を覆う成分タンパク質セリシンが常温の水で膨潤しゼリー状態でありながら抱合し合糸した複数の糸の中で相互に膠着して固まらずに1本1本の糸すべてが自由にバラバラに動く織物構造を有し、石鹸を一切使わずに常温から洗顔温度の水だけで人の皮脂汚れを洗浄できる能力を有する。
水で膨潤したゼリー状の柔らかなセリシンで覆われた糸が生糸の元になる抱合前の繭一つから取り出した最小単位となる20ミクロン前後の太さを持つ糸1本1本までが自由にバラバラになって動くことから、本考案の布織物は、しなやかな肌触りを持ち繊維がミクロ的に肌に接することができセリシンの皮脂への親和性により皮膚上の汚れた皮脂を石鹸をまったく使わず水だけで洗浄除去ができることや、また人の肌のうるおいと類似した成分を持つセリシンに覆われた糸なので肌へ刺激もなくまた美容効果も期待でき、洗顔や沐浴以外にスマフォ機器やメガネなど素手で触る携帯用具に不断に付着する使用者の皮脂汚れについても同じ効果で拭き取る能力を持つことから、先に説明したすべての課題を解決する。
実施例1にある(6)ニット織りした布を、温度15度の水道水で濡らしたあと余分な水分を濾紙で除いたあとの湿った状態、タンパク質セリシンが湿潤しておりさらに最小単位になる1本1本の糸すべてがバラバラになって動ける様子すなわち本考案の特徴を、x50(背景)、x200(手前2ショット)の倍率で撮影した顕微鏡写真である。 図1と同じ例であるが、織り方法が(7)ちりめん織りの場合の顕微鏡写真である。 図1と図2同様に顕微鏡200倍で比較したものであり、湿っている状態(最小単位の1本1本の糸の様子)を撮影した一連の顕微鏡写真であり、左端は図2と同じ(7)ちりめん織りであり、それに対し中央と右端は実施例1にある比較1と2(従来の生糸織物)であって糸1本1本が合わさって太い糸に膠着(固まる)しており本考案とはまったく異なる様子が写っている。
塩溶液法で製造した糸は絹糸に近いしなやかさがあるので、硬く剛直な性質を持つ生糸の場合とは違い特段の制限なく通常の絹糸と同じ織機を使い様々な織り方が実施例1に示したようにできるし、目的によっては他の繊維(化学繊維や天然繊維など)を混ぜて織ることもできるし染色することもできる。
タンパク質セリシンは水で浸漬すると常温水でも短時間で膨潤しゲル化するが、熱水で処理するとセリシンの高分子状態の結晶化が進み難水溶性の状態に変化するために一般に市販されている生糸の場合は洗顔温度の温水程度では膨潤状態に簡単にはならない(60−70度以上が必要)のに対して、本考案で使用した一切煮繭工程のない全工程が低温処理下で進めることができる塩溶液法で得る糸の場合は、図1と図2と同様の条件で観察できるし実施例3の結果から推測もできるが水で浸漬するとただちにゼリー状になり、またセリシンの含有量を3回測定して繭の状態と比較すると繭(全重量の平均22.9%)に対して本考案の織物(平均19.8%)となり3.1%重量減っているが灰分や油分とされるので、流通する生糸織物とは違い繭のときと同じか近い本来の性質と量を持っていると考えられる。
本考案で使用する糸は10度(あるいはそれ以下)からの40度位の洗顔温度の水道水で湿潤させるとタンパク質セリシンで覆われた直径が20ミクロン前後の糸の外側がセリシンの特性で容易にゼリー状になる特性があり、つまり流通する市販の生糸の場合の1本1本が膠着して数本が固まった硬い状態(外のチカラでは容易にばらけない)とは全く違い、例えば7個の繭で抱合して1本の織物用糸として布織物に仕立てると7本の糸1本1本が外からの弱いチカラでもゼリー状態があっても自由にバラバラに動く一面全体に織物様の網目状態にあって、布としてみるとしなやかで肌触りのよいものであり、つまり糸が1本1本がバラバラになって動くこの状態は布の繊維がミクロ的に肌に接っしているからであるし、さらに使用前に布を揉むと糸がよりよくほぐれるので、洗顔や沐浴などさらにはセリシンが直接肌によりミクロ的に接することで生じる美容の効果がさらに高まる。
洗顔や沐浴では水道水で布をしっとり水滴が落ちる程度に濡らしてから肌に当てて幾度か撫でるようにして洗い、湯船に浸かったときは湯船の中で同様に撫で洗いすると効果を得られるが、本考案で使用する糸では糸を覆ったタンパク質セリシンが水で柔らかいゼリー状に膨潤するので、さらにセリシンが皮膚の潤い成分と類似していることから、実施例5にあるように、人の皮脂汚れと親和性があって糸の1本1本の自由な動きと合わさって能率的に除去しているものと考えられる。
水道水にはミネラル成分が含まれており濃度によって硬度が付与されているが、例えば温泉水のように高い硬度ではタンパク質セリシンの効果が落ちるおそれがあるので軟水を使用するのがよく、硬度120以下の水を使用すると最大限の効果が得られる。
また、45−50度以上の高温で常時使用したりイオン性の石鹸を併用するとタンパク質セリシンは徐々に硬化して膨潤しにくい性質へ変化するので、汚れたときは肌温以下で水洗いするか非イオン性の中性洗剤で洗う。
スマフォ機器やメガネなど携帯用具を清掃する場合は、水道水で本考案の布を濡らしたあと水をよく切って水滴が落ちない湿った状態で汚れた部分を撫でるように拭く(汚れが強い時は繰り返す)と皮脂汚れが落ちるが、強くこすってもゼリー状になったタンパク質セリシンがクッションになるため直接糸が当たらないので他の繊維で作ったクリーニングクロスとは違って弱い部分でも傷がつく心配はなく、また水道水だけを使用しているので化学物質による影響の心配もなく、また細かな凹凸部にも入り込み汚れを落とすので、残った水滴はティッシュやハンカチなどで拭き取れば綺麗になる。
本考案のように繭から取りだした1本の糸までバラバラに布織物の糸を構成できる他の種類の繊維があるとしても、また数ミクロンの太さのマイクロファイバーのように本考案の糸よりも桁違いの極細糸で布織物を作っても、糸を取り巻くタンパク質セリシンにあるような水を含んでゼリー状態になる糸は他には例がないので、ここで得られる効果と同じ結果は得られない。
以下、本考案の布織物の実施例と効果について説明する。
塩溶液法で取り出した糸、すなわち繭9個から取り出した合計9本の糸を撚りをかけて1本に抱合した織り糸(太さ27デニールに調整)を使って次の7点を試作をしたが、比較1と2にある従来の生糸を使って織った布とはまったく違い、いずれの場合も絹糸並みのしなやかさを持った布織物が得られた:(1)経糸4本緯糸5本で合糸し300撚りmで製糸して自動織機で斜文織り、(2)3本で合糸しs200撚りmで製糸して自動織機でフライス編み、(3)経糸4本緯糸5本で合糸し300撚りmで製糸して12Tシャトル自動織機で平織り、(5)経糸4本緯糸5本で合糸し300撚りmで製糸しておさ18.5cm手織り機で平織り、(6)3本で合糸し200−300撚りmで製糸して筒編み自動織機でニット織り(図1に表示)、(7)3本で合糸し自動織機でちりめん織り(図2と図3に表示)、(比較1)従来の生糸(繭9個から取り出した糸を抱合した織り糸1本28デニール)を手織り機で平編み(図3に表示、生糸織物その1)、(比較2)京都友禅染め用に準備された精錬前の市販の布(生糸)(図3に表示、生糸織物その2)
水道水で湿潤させたときの状態を観察して、本考案の布織物が実際に最小単位になる繭から出た1本の糸までバラけているかを従来の生糸を使って織った布と比較して検討した(図3): (結論)従来の生糸織物の2例にあるように数個の繭から数本の糸を取り出す時に熱変性受けたセリシンで膠着して抱合した数本の糸があたかも1本の糸かように固まって太くまとまっているのが見える(外からチカラ加えても容易にはほぐれず硬く固まっている)が、本考案の場合は図3および図1と図2に示した顕微鏡写真にあるとおり繭から取りだした最小単位の1本の糸までバラバラになっている(チカラを加えるとバラバラに動く)のが明瞭に観察できた。 (条件)水道水で水滴が落ちるまで十分に30秒間濡らしたあとに濾紙で余分な水分を取り去って湿潤した状態を作った。
本考案の布織物と従来の生糸を使って織った布について、水温15度の水道水(硬度40)に対する親和性を水滴を落としたあと布に吸い込み広がるまでの時間で調べたが、従来の生糸の布に比べ桁違いの水に対する親和性を示したが、これはタンパク質セリシンの性質を表しているのと膨潤して1本1本の糸をゼリー状態のセリシンが包み込みまたそう簡単には乾かず湿潤した状態(人の皮脂汚れを洗浄する状態)をよく保っていることをはっきり示しているといえる: (方法)水滴を落とす直前に10mm角のサンプルをたっぷりの水で15ー30秒間よく指で揉みながら湿らせたあと濾紙でしっかりと布に吸い込まれた水分を外観上乾いた状態まで抜き、水滴をスポイトから1滴落とす、 (結果)○本考案の実施例1の布織物2点((6)ニット織り:1秒/瞬時/瞬時(7)ちりめん織り:瞬時/瞬時/瞬時)、従来の生糸織物実施例1の2点(比較1:3回とも2分以上、比較2:3回とも2分以上、繭(比較):15秒/40秒/10秒、であった。
本考案の布織物の人の皮脂に対する洗浄能力を実験したが、結論として、他の繊維に比べて洗浄性は完全(油膜が残らず完全な洗浄能力を示しA評価)であったし、セリシンのような皮脂に親和性を持つゲル状物質で覆われていない比較した他の繊維やセリシンが硬化している生糸の布は油分である皮脂に見立てた馬油(人の皮脂に成分が最も近いとされる)を完全には取りきれなかった: (方法)ガラス板に馬油を20ミリ幅の帯状に塗った後に10ミリ四方の布を京都市の水道水(硬度40)でしっかり15秒間濡らした状態で15−20g程度で指で軽く押さえながら2〜3回往復させたあとの洗浄結果を乾燥させてから観察し評価した、 (評価基準)ABCで優劣を評価(A:90%以上は完全に油膜を拭き取れた、B:40〜50%は完全に油膜を拭き取れた、C:油膜残存90%以上あり全体に薄く油膜が残る状態)、 (観察結果)○本考案の布織物ニット織り:A/A/A、生糸織物−精錬前(市販品:C/C/C、試験品:C/B〜C/C)、絹織物−精錬済みセリシンなし:A/B/B、化学繊維マイクロファイバ(T社:C/C/C、M社:C/C/C(布からの再付着が起きた))、綿織物:A/B/B、紙製ナプキン:C/C/C、であった。
本考案の布織物の洗浄能力について詳しく他の絹織物と比較したが、結論として、セリシンが十分に膨潤してゲル状態が芯糸を覆って1本1本の糸がバラバラにしなやかになって動く本考案の布だけが、人の皮脂に見立てた馬油を完全に拭き取り去った: (方法)ガラス板に馬油を直径10ミリの円状に実施例4よりも多めに塗ったあとで10ミリ四方の布を京都市の水道水で15秒間濡らしたあと余分な水滴を濾紙で吸い取った(湿潤させた)状態で実施例4よりも強い130g程度で指で軽く押さえながら20回程度何度も円弧を描きながら拭き取ったそのあとの状態を評価した、 (評価基準)ABCで優劣を評価(A:90%以上は完全に油膜を拭き取れた、B:40〜50%は完全に油膜を拭き取れた、C:油膜残存90%以上あり全体に薄く油膜が残る状態)、 (観察結果)○本考案の布織物(ニット織り:A、ちりめん織り:A)、生糸織物−精錬前(市販品:C、試験品:C(硬いのでガラス面に十分に密接ができず))、絹織物−精錬済み:C、綿織物:B(生糸の場合より劣った)、繭本体:B〜C(硬いのでガラス面に十分に密接ができず)、であった。

Claims (1)

  1. 蚕の繭を飽和食塩水溶液で温度30度の下で30−100日間浸漬処理してそのまま0度から常温の水の中に浸漬して取り出す操作をして得た糸を使用した織物であって、20ミクロン前後の太さを持つ1本の糸の外側を覆う成分タンパク質セリシンが常温の水で膨潤しゼリー状態でありながら抱合し合糸した複数の糸の中で相互に膠着して固まらずに1本1本の糸すべてが自由にバラバラに動く織物構造を有し、石鹸を一切使わずに常温から洗顔温度の水だけで人の皮脂汚れを洗浄できる能力を有する布織物。
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