JP3812100B2 - ワイピングクロスの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、拭き取り性と吸水性に優れ、ソフトな風合いを有する拭き取り作業性のよいワイピングクロス、さらに詳しくは、特にグラスなどのガラス製品を磨き上げに好適なワイピングクロスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
貴金属、食器および家具などに付着した指紋や油汚れは、水拭きを行なった場合、乾燥時に拭き跡に曇り汚れが目立つことが多い。特に、食器乾燥機を用いて乾燥されたグラスなどのガラス製品には、汚れを含む微細な水分の残存に起因する曇り汚れの残ることが多い。
【0003】
従来、このようなグラスなどのガラス製品を磨き上げるワイピングクロスとして、吸水性のよい木綿などの天然繊維からなる織物が使用されているが、拭き残しが多く、また自己発塵した毛羽が付着するなどの欠点がある。このようなワイピングクロスにおいて自己発塵を防ぐためには、合成繊維フィラメントを用いることが有効で、過去にも合成繊維フィラメントを用いた布帛が提案されている。例えば、特開昭61−103428号公報では、単繊維繊度0.9デニール以下の極細繊維で構成された嵩高性のある布帛がワイピングクロスとして使用されることが提案されている。しかしながら、このワイピングクロスは、グラスなどのガラス製品を洗浄した後、乾拭きに使用したした場合、水分を完全に除去することができず、いわゆる磨きのかかった十分な拭き取りができないなどの欠点がある。
【0004】
また、特開昭63−211342号公報では、単繊維繊度0.5デニール以下のような極細繊維のみから構成された超極細繊維交絡織編物およびその製造方法について提案されている。この提案の織編物では、液体を多数の小孔からその織編物に噴射させて糸−糸間に絡まりを生じさせ、拭き取り性と嵩高性を向上させたものである。しかしながら、この織編物の場合、布帛が収縮して密度が大きくなるために、風合いが硬く作業性が悪いという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、自己発塵を起こさず、嵩高性と吸水性を有し、ソフトな風合いで拭き取り作業性がよく、拭き取り性に優れたワイピングクロス、特にグラスなどのガラス製品の乾拭き仕上げに適したワイピングクロスの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために次のような構成を有する。すなわち、本発明のワイピングクロスの製造方法で得られるワイピングクロスは、単繊維繊度が0.01〜1.0デニールの極細繊維からなる生糸と、単繊維繊度が0.01〜0.1デニールの仮ヨリ加工等による捲縮を有する極細繊維からなる捲縮糸との合成繊維マルチフィラメント複合糸で構成された織編物からなるものであり、本発明でで得られるワイピングクロスは、その織編物の繊維同士の一部または全部が表面あるいは内部において絡まり合っていること、剛軟度が10〜50mmであること、その合成繊維マルチフィラメント複合糸として、極細繊維の生糸と極細繊維の捲縮糸の糸長差が5〜25%である合成繊維マルチフィラメント複合糸を用いることが好ましい実施態様として含まれている。
【0007】
また、本発明のワイピングクロスの製造方法は、極細化後の単繊維繊度が0.01〜1.0デニールの極細化可能な複合繊維からなる生糸と、極細化後の単繊維繊度が0.01〜0.1デニールの極細化可能な複合繊維からなる捲縮糸との合成繊維マルチフィラメント複合糸で構成された織編物生機に、極細化処理を施して極細繊維からなる織編物となし、次いで揉み作用を与え柔軟化させることを特徴とするもので、本発明では、その織編物に高圧水流を噴射して表面あるいは内部の繊維同士の一部または全部を交絡させた後に、揉み作用を与えること、前記織編物生機を、極細化可能な複合繊維からなる生糸と極細化可能な複合繊維からなる捲縮糸との合成繊維マルチフィラメント複合原糸で製編織すること、前記生糸と捲縮糸の糸長差が5〜25%である合成繊維マルチフィラメント複合原糸を使用すること、前記極細化可能な複合繊維が海島型複合繊維であり、かつ該極細化処理が該海島型繊維の海成分を溶解する溶媒で処理することによりなされるものであること、前記高圧水流が多数の小孔から噴射される30〜120kg/cm2の高圧水流であること、および前記揉み作用が、80℃以上の浴中での物理的揉み作用であること、を好ましい実施態様として包含している。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、上述の課題、すなわち自己発塵を起こさず、嵩高性と吸水性を有し、ソフトな風合いで作業性がよく、しかも乾拭きで製品を磨き上げに適したワイピングクロスについて鋭意検討したところ、特定な繊維の組み合わせで構成された複合糸を使用した織編物により、かかる課題を一挙に解決できることを究明し本発明に到達したものである。
【0009】
本発明で使用される極細繊維は、海島型複合繊維、剥離分割型複合繊維または特殊ポリマブレンド型複合繊維を、公知の方法で極細化して得られるものであって、その繊維素材としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ポリオレフィン系など公知ポリマーを使用することができるが、本発明では、ポリエステル系またはポリアミド系のポリマーを使用することが好ましい。
【0010】
本発明で使用される合成繊維マルチフィラメント複合糸は、少なくとも2種の合成繊維で構成される。その一つを構成する繊維は、単繊維繊度糸0.01〜1.0デニールの極細繊維からなる生糸であり、そして合成繊維マルチフィラメント複合糸を構成する他の繊維は、単繊維繊度が0.01〜0.1デニールの仮ヨリ加工等で捲縮を付与された極細繊維からなる捲縮糸である。以下、これらについて詳しく説明する。
【0011】
まず、捲縮を有する極細繊維からなる捲縮糸は、本発明の優れた拭き取り効果を発現させる上で重要な繊維であり、通常、細いほどその効果が大きい。すなわち、繊維の表面積が大きく、空隙率が多く、毛細管現象による水分の吸収を満足させるには、単繊維繊度が細いほど好ましく、より好ましくは0.03〜0.07デニール の範囲のものがよい。捲縮糸の単繊維繊度が0.01デニール未満の場合には、ワイピング性能面では満足されるものであるが使用による摩擦で繊維の摩耗が起こり、単糸切れなどに起因する毛羽の発生で十分な耐久性が得られないことがある。また、単繊維繊度が0.1デニールを超える場合には、微細な汚れを捕獲することが困難になり、かつ対象物の水分を完全に除去できなくなる傾向を示す。
【0012】
また本発明では、仮ヨリ加工等により極細繊維に捲縮を付与することにより、1本1本の単繊維配列が乱れ、繊維の表面積が大きく作用することになり、しかも空隙率も大きくなる。加えて、毛細管現象により水分吸収能が増加され、織編物の拭き取り性、吸水性および嵩高性が満足される。極細繊維が捲縮を有しない場合は、1本1本の単繊維配列は乱れず、織編物の嵩高性が小さくなるため、拭き取り性、嵩高性および吸水性が低下する。
【0013】
極細繊維への捲縮は、脱海処理または分割処理する前の極細化可能な原糸に仮ヨリ加工等の捲縮加工を施すことによって付与することができ、通常2500〜4000回転/mの仮ヨリをかけ好ましくは180〜200℃の温度で熱処理することによって行なわれる。また、捲縮による伸張率(捲縮率)は好ましくは15〜40%のものが用いられ、その際の捲縮糸のトータル繊度は40〜250デニールの範囲のものが好ましく用いられる。
【0014】
本発明の他の構成繊維である極細繊維からなる生糸は、単繊維繊度が1.0デニール以下であり、さらに好ましくは捲縮を有する極細繊維からなる捲縮糸と同等またはそれ以上の単繊維繊度である。ここにおいて生糸とは、前記の捲縮糸に対する言葉として用いられる。すなわち、生糸とは、捲縮が付与されていない糸である。この生糸は、ワイピング素材として作用するとともに合成繊維マルチフィラメント複合糸の内層部を構成し、空隙率の拡大と塵埃の捕獲に寄与する。この生糸のトータル繊度は40〜200デニールのものが好ましく用いられる。
【0015】
また、これら捲縮糸と生糸は、引き揃えて使用してもよく、または交絡させて使用してもよい。
【0016】
本発明のワイピングクロスを構成する織編物は、上記極細繊維からなる生糸と、極細繊維からなる捲縮糸とが複合一体化した合成繊維マルチフィラメント複合糸で構成されている。このように本発明では少なくとも2種の繊維糸が複合されているため、それぞれに糸長差をもたせることにより、その特徴をより強調させることができる。
【0017】
例えば、本発明の極細繊維からなる生糸と極細繊維からなる捲縮糸との糸長差は、好ましくは3〜25%であり、より好ましくは8〜20%の範囲である。両糸の糸長差が5%未満の場合には布帛が嵩高不足であり、25%を超える場合には布帛の表面品位が悪くなる傾向がある。
【0018】
本発明の織編物は捲縮糸が主に表層部を形成し、生糸が内層部を形成するものであるが、各糸は交絡またはウォータエジェットパンチ加工などにより絡合した状態を呈していることが好ましく、その結果、両糸の膨らみ差により空隙が発生し、塵埃の補集効果が一層高くなる。
【0019】
本発明の合成繊維マルチフィラメント複合糸は、上記のように異なる極細繊維からなるため、織編物の状態においては、それぞれの糸長差により、捲縮された極細糸は表面に選択的に露出し、嵩高性を増加させる。それ故、拭き取り性向上に効果的に作用する。また生糸の方は捲縮糸の内層部側に位置し、布帛を嵩高にし、空隙率を拡大するとともに塵埃の捕獲に効果的に作用する。
【0020】
本発明において、合成繊維マルチフィラメント複合糸に占める極細繊維からなる捲縮糸の割合は、40〜80%が好ましい。40%未満では織編物の表面がプレーンになり、塵埃を内部に包み込む作用が欠落し、また80%を超えると形態安定性に欠ける傾向を示す。本発明では、50%近辺がより好ましい。合成繊維マルチフィラメント複合糸のトータル繊度は、80〜400デニールのものが好ましく用いられる。また合成繊維マルチフィラメント複合糸は、一つの口金から製糸される合成繊維マルチフィラメントまたは引き揃え、撚糸などの方法で得られるものでも何ら差し支えない。
【0021】
本発明の織編物は、基本的にかかる合成繊維マルチフィラメント複合糸を経緯等に用いて製編織されているが、本発明の効果を妨げない範囲で、さらに他の繊維、糸条等を併用することができる。具体的には、本発明の合成繊維マルチフィラメント複合糸を構成する合成繊維マルチフィラメントは、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維またはこれらの混繊が主体であるが、レーヨン、アクリル系繊維、綿などの繊維が混繊されていてもよい。
【0022】
本発明のワイピングクロスを構成する織編物の組織としては、平織り、綾織り、朱子織りあるいはトリコット、丸編みなどいずれでもよいが、極細繊維糸使いの織編物特有の地薄さをなくして嵩高とし、かつ吸水性と作業性を良好ならしめるためには、二重織、綾織、繻子織または丸編み品が特に好ましい。
【0023】
また本発明のワイピングクロスの目付は、特に限定されるものではないが、好ましくは100〜300g/m2であり、より好ましくは150〜250g/m2である。目付が100g/m2以下では嵩高性に欠け、吸水性も悪くなり、また目付が、300g/m2以上では嵩高になりすぎ、作業性が悪くなる傾向がある。
【0024】
本発明の織編物の剛軟度は、10〜50mmの範囲が好ましい。10mm未満の場合は柔らか過ぎて拭き取り作業性が悪く、また50mmを越える場合は硬すぎて拭き取り作業性が悪いだけでなく、容器などの隅々が拭き取れないなど、好ましくない欠点がでてくる。
【0025】
さらに本発明のワイピングクロスは、JIS L−1096 6.26.1B法(バイレック法)で表される吸水速度が、タテ/ヨコ方向とも100mm/10分以上であることが好ましく、これによって対象物に残された水分を素早く吸収することが可能であり、水拭きでの使用でも優れた性能を有する。これは、本発明のワイピングクロスが糸長差の異なる2種の合成繊維、すなわち極細繊維からなる生糸と極細繊維からなる捲縮糸とを好ましくは交絡させた複合糸からなる織編物であり、布帛が嵩高で繊維の空隙率が大きく、毛細管現象による優れた吸水性をもつことによる。
【0026】
次に、本発明のワイピングクロスの製造方法について説明する。
【0027】
まず、極細繊維製造用として、海島型複合繊維、剥離分割型複合繊維、特殊ブレンド型複合繊維等の極細化可能な複合繊維からなる繊維糸を用意する。そして一つは生糸のまま、他の一つはこれを仮ヨリ加工等により捲縮をかけ、両者を引きそろえ、必要に応じて糸長差を付与して、複合糸形態の織編物用合成繊維マルチフィラメント複合原糸とする。上記両糸の複合手段としては、引き揃え、撚糸および交絡などが挙げられるが、空気等による流体交絡処理が特に好ましい。
【0028】
次に、この合成繊維マルチフィラメント複合原糸を用いて製編織し、得られた織編物生機に、極細化処理を施して極細繊維からなる織編物とする。極細化処理としては、化学的剥離、物理的剥離、一成分の溶解除去等の手段がある。例えば、海島型複合繊維を用いた場合には、海島型複合繊維の海成分を溶解する溶媒で処理することにより極細繊維化することができる。
【0029】
次いで、本発明では、必要に応じ好ましくは極細化処理された織編物は高圧水流の噴射に供され、織編物の表面あるいは内部において繊維同士の一部または全部に交絡が与えられる。これにより本発明のワイピングクロスは、より高密度になり、さらに高い拭き取り性が得られる。このように、本発明をより効果的ならしめるために、脱海や染色工程等による極細化処理を行なった織編物表面に、ウオータージェットパンチ加工を行なうことが好ましい。具体的には、濾過して浄化された水を、小孔から織編物の表面に圧力噴射させる。水圧は、好ましくは30〜120kg/cm2、さらに好ましくは50〜100kg/cm2、最も好ましくは80〜100kg/cm2である。30kg/cm2未満の場合には、加工の効果は低く、繊維同士の絡みが不十分であり、また120kg/cm2以上であると繊維が切断され毛羽の原因になることがある。また、ウオータージェットパンチ加工は織編物を収縮させるため、嵩高性が付与され、極細繊維の毛細管現象により吸水性も向上する。
【0030】
他方、ウオータージェットパンチ加工により織編物の組織が高密度になり、織編物は風合いが硬くなる傾向がある。それ故、本発明では、ウオータージェットパンチ加工後、布帛を熱水で揉み加工することにより風合いを柔らかくすることが好ましい。熱水での揉み加工には連続式とバッチ式があるが、本発明の場合は高温での揉み加工が望ましいため、バッチ式で液流染色機を用いて行なうことが効果的である。この熱水での揉み加工を行なうことにより、作業性のよい、手になじむソフトな風合いが得られる。熱水での揉み加工は使用繊維により異なるが、80℃以上、5分間以上で目標とする風合いに応じて設定すればよい。例えば、織編物にポリエステル繊維を100%使用する場合には、120℃で10分程度、ナイロンを使用している場合には100℃で10分程度処理することが特に好ましい。リラックス処理を施された織編物は、仕上げセットとともに100℃以上の温度で乾熱、乾燥される。
【0031】
このようにして得られる本発明の織編物の剛軟度は、上述のように10〜50mmが好ましい。さらには20から30mm程度のものがより好ましい。
【0032】
本発明では性能向上のため、染色加工や柔軟加工で、例えばポリアルキレングリコール系化合物、水溶性ポリエステルなどの親水化剤、ポリアクリル酸エステルなどの防汚剤およびカチオン系高分子活性剤などの分散剤などの各種化学薬品を使用することも可能である。しかしながら、食器、グラスなどの直接人体内部への接触の可能性がある用途については、安全上、薬品、仕上げ剤の使用はできるだけ避けるべきである。本発明のワイピングクロスはこの種の薬品、仕上げ剤を使用しなくても布帛自体で十分に優れた拭き取り性、吸水性およびソフトな風合いを有する。
【0033】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、評価方法は次に従った。
【0034】
[剛軟度]の測定方法] 剛軟度の測定は、JIS L1096に準じて、次の方法による。2cmx15cmの試験片をタテ・ヨコ方向にそれぞれ5枚採取し、一端が45度の傾斜を持ったカンチレバー形試験器を用いて、試験片の一端の短辺を試験器の傾斜面のスケールの基線に性格に合わせる。次に、試験片を傾斜の方向にゆるやかに滑らして試験片の一端が傾斜面と接したときの他端の位置をスケールで正確に読みとる。次に、試験片を滑らせた長さを剛軟度(mm)として、タテ・ヨコそれぞれの5枚の平均値で表す。
【0035】
[拭き取り性の評価]
シリコーンオイルSH200(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を注射針で約5mgガラス板上に落とし、直径45mm、重さ1kgの円柱状荷重の一端面に厚さ約1mm相当の織物を介して固定し試料(ワイピングクロス)をガラス板上に乗せ、1m/分の速度で移動し、シリコーンを拭き取る。次に、乾式複写機用トナー(SF−76T:シャープ株式会社製)をガラス板上に振りかけ、そのトナーを圧縮空気(1kg/cm2)で吹き飛ばす。ガラス板表面にセロハンテープ(積水化学工業株式会社製)を貼り付けてガラス板上の残留トナーを取り、セロハンテープに付着したトナーの程度を判定する。トナーが全く付着しないもの(ガラス板のシリコーンを完全に拭き取ったもの)を5級、トナーが極めて多量に残るものを1級として、5段階で肉眼判定をした。
【0036】
[風合い]
感触による官能評価を行なった。
【0037】
[吸水性における吸水速度]
JIS L−1096 6.26.1B法(バイレック法)で行なった。
【0038】
[毛羽落ち]
肉眼観察により判定した。
【0039】
(実施例1)
海島型複合繊維として、トータル繊度100デニール、18フィラメント(70島/フィラメント)の海島型ポリエステルで、島成分がポリエチレンテレフタレートで、海成分がポリエステルの酸成分としてテレフタル酸95.0モル%と5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%の共重合体からなるアルカリ熱水可溶型ポリエステルからなる繊維(海島の比率は10/90)を用いた。この海島型繊維を仮ヨリ加工(仮ヨリ数:3000T/M、温度:180℃)により捲縮させ、同じくトータル繊度100デニール、18フィラメントの上記と同じ組成の海島型複合繊維の生糸とを糸長差26%で供給して引き揃え、流体交絡処理(オーバーフィード率:1%、空気圧3.5kg/cm2)により合成繊維マルチフィラメント複合原糸を得た。この複合原糸をタテ糸/ヨコ糸にそれぞれ使用し、2/2の綾織りの織物(生機)を作った。この生機を130℃×30分マレイン酸処理することにより海成分を脆化させた後、80℃で45分間水酸化ナトリウムで処理することにより、海成分を完全に除去し、単繊維繊度が0.06〜0.07デニールの極細繊維からなる織物を作製した。次に、通常の方法で分散染料を用いて130℃で40分間染色した。乾燥後、180℃でヒートセットした。さらに100kg/cm2 の水圧でウォータージェットパンチ加工し、その後再び液流染色機を用いて120℃で20分間熱水で揉み加工した。得られた織物の目付は170g/m2であり、風合いが柔らかく、しかも拭き取り作業性が良好であつた。拭き取り性等の評価結果を表1に示す。
【0041】
(比較例1)
綿100%のワイピングクロス(織組織:平織り)を使用した。単繊維繊度はデニールで表すと、タテ1.60デニール、ヨコ1.53デニールであった。目付は210g/m2であった。拭き取り性等の評価結果を表1に示す。
【0042】
(比較例2)
海島型複合繊維として、トータル繊度100デニール、18フィラメント(70島/フィラメント)の海島型ポリエステルで、島成分がポリエチレンテレフタレートで、海成分がポリエステルの酸成分としてテレフタル酸95モル%と5−ナトリウムスルホイソフタル酸の5モル%共重合体からなるアルカリ熱水可溶型ポリエステルからなる繊維(海島の比率は10/90)を用いた。この海島型繊維を捲縮させず生糸のままで2本引き揃え、これを原糸としてタテ糸とヨコ糸にそれぞれ使用し、2/2の綾織りの織物(生機)を作った。この生機を実施例1と同様に加工して単繊維繊度0.06〜0.07の極細繊維からなる織物を作製し、同様に染色加工した。得られた織物の目付は185g/m2であった。また、拭き取り性等の評価結果を表1に示す。
【0043】
(比較例3)
極細繊維の代わりに、トータル繊度100デニール、48フィラメント、単繊維繊度2.1デニールの普通ポリエステル繊維を用いた。この普通ポリエステル繊維のフィラメント糸を仮ヨリ加工(仮ヨリ数:3000T/M、温度:180℃)により捲縮させ、同じくトータル繊度100デニール、48フィラメント、単繊維繊度2.1デニールの普通ポリエステルフィラメント糸の生糸と引き揃え、流体交絡処理(オーバーフィード率:1%、空気圧3.5kg/cm2)し複合糸を得た。この複合糸をタテ糸とヨコ糸にそれぞれ使用し、2/2の綾織りの織物(生機)を作った。この生機を通常のリラックス精錬、染色加工を行なった。完成した織物の目付は225g/m2であった。拭き取り性等の評価結果を表1に示す。
【0044】
[表1]
拭き取り性 吸水速度 剛軟度(mm) 毛羽落ち
(級) (mm/10分) タテ ヨコ (有無)
実施例1 4〜5 140 38 42 なし
比較例1 1〜2 168 39 45 多い
比較例2 3 110 87 76 なし
比較例3 2 65 96 82 なし
実施例1の物は、拭き取り性および吸水性に優れており、毛羽落ちは全く見られなかった。実際にグラスを拭いてみるとグラスに良く密着して、すぐに曇り汚れを取り除くことができた。また水拭き時にも、拭き跡は全く残らなかった。
【0045】
比較例1の織物は、拭き取り性、吸水性ともに悪く、実際にグラスを拭いてみると、何度も繰り返さないと曇り汚れを取り除くことはできなかった。また自己発塵した毛羽落ちが多く見られた。
【0046】
比較例2の織物は、毛羽落ちは見られなかったものの、実施例1に比べ拭き取り性と吸水性が悪く、水拭き時には拭き跡が残った。実際にグラスを拭いてみると、織物にボリュームが無いため、拭き取り作業性も悪かった。
【0047】
比較例3の織物は、拭き取り性、吸水性ともに悪く、実際グラスを拭いてみると、何度繰り返えしても曇り汚れを取り除くことはできなかった。
【0048】
【発明の効果】
本発明のワイピングクロスは、以上のような構成をすることにより優れたワイピング性能を示す。すなわち本発明のワイピングクロスは、グラスなどガラス製品に付着した指紋や油汚れを薬品を付与することなく、乾・水拭き除去することが可能であるだけでなく、自己発塵を起こさず、嵩高性と吸水性があり、ソフトな風合いで作業性がよいために、特にガラス製品などの乾拭きにおいて従来にない優れたワイピング性能を示す。特に、糸長差のある極細繊維からなる生糸と極細繊維からなる捲縮糸の複合糸から構成されたワイピングクロスは、吸水性、嵩高性および拭き取り性効果がより大きい。

Claims (7)

  1. 極細化後の単繊維繊度が0.01〜1.0デニールの極細化可能な複合繊維からなる生糸と、極細化後の単繊維繊度が0.01〜0.1デニールの極細化可能な複合繊維からなる捲縮糸との合成繊維マルチフィラメント複合糸で構成された織編物生機に、極細化処理を施して極細繊維からなる織編物とし、次いで揉み作用を与え柔軟化させることを特徴とするワイピングクロスの製造方法。
  2. 前記織編物に高圧水流を噴射して表面あるいは内部の繊維同士の一部または全部を交絡させた後、上記の揉み作用を与えることを特徴とする請求項記載のワイピングクロスの製造方法。
  3. 前記織編物生機を、極細化可能な複合繊維からなる生糸と極細化可能な複合繊維からなる捲縮糸との合成繊維マルチフィラメント複合原糸で製編織することを特徴とする請求項または記載のワイピングクロスの製造方法。
  4. 前記生糸と該捲縮糸の糸長差が5〜25%である合成繊維マルチフィラメント複合原糸を使用することを特徴とする請求項記載のワイピングクロスの製造方法。
  5. 前記極細化可能な複合繊維が海島型複合繊維であり、かつ該極細化処理が、該海島型繊維の海成分を溶解する溶媒で処理することによりなされるものであることを特徴とする請求項のいずれかに記載のワイピングクロスの製造方法。
  6. 前記高圧水流が、多数の小孔から噴射される30〜120kg/cm2の高圧水流であることを特徴とする請求項のいずれかに記載のワイピングクロスの製造方法。
  7. 前記揉み作用が、80℃以上の浴中での物理的揉み作用であることを特徴とする請求項のいずれかに記載のワイピングクロスの製造方法。
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