JP3214310B2 - ケーシング内収納配線基板 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はケーシング内に収納
された配線基板に関するもので、特に回路部品としてリ
レーを有するケーシング内収納配線基板の防音を図った
ものである。

【０００２】

【従来の技術】設置スペースの低減、あるいはオプショ
ンによる後付の容易等の為に、車両のサンルーフスイッ
チ等において、車内に設けたスイッチケーシング内に配
線基板を一体に収納することが試みられている。この配
線基板には往々にしてモータ駆動用のリレーが実装され
るが、乗員に近いインナルーフ等に設けたスイッチケー
シング内でリレーが作動すると、その振動がケーシング
に伝達されて異音を発するという問題がある。

【０００３】配線基板へのリレー作動時の振動絶縁を図
ったものとして例えば特公平１−３１２５３号公報に記
載のリレー取付方法が知られている。これはミシン目に
より分割可能とした配線基板の一方にリレーを実装し、
リレー表面にゴムカバーを被せた後、その配線基板をほ
ぼ９０度に折り離して、ゴムカバーを被せた状態のリレ
ーを他方の配線基板上に横転載置したものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報記載
のものでは、配線基板を折り離す時に基板間を結ぶリー
ド線が折れ曲がり、左右に振れて短絡しないように注意
する必要がある等、作業に手間取るとともに、横転載置
されたリレーを配線基板にホルダで固定する必要があっ
た。また、配線基板の材料取りにも無駄があった。

【０００５】本発明はこのような課題を解決するもの
で、作業の手間やリレー固定用の別部品を必要とするこ
となく、リレーからケーシングへの振動伝達を確実に防
止して異音の発生を回避したケーシング内収納配線基板
を提供することを目的とする。

【０００６】

【発明の概要】本発明の第１の特徴では、ケーシング
（１）内に配設され、表面にリレー（２Ａ、２Ｂ）を設
けた第１の配線基板（３）と、ケーシング（１）内に第
１の配線基板（３）と離して配設され、リレー（２Ａ、
２Ｂ）以外の回路部品（４１）を設けた第２の配線基板
（４）と、ケーシング（１）の内壁と第１の配線基板
（３）との間に介設された振動吸収手段（５、６）とを
備えている。

【０００７】このように、リレーを設けた配線基板を他
の配線基板と分離し、この配線基板とケーシング内壁と
の間に振動吸収手段を介設したから、リレーからケーシ
ングへの振動伝達が確実に防止される。また、リレーを
設けた配線基板は振動吸収手段を介してケーシングによ
り保持されるから固定用の別部品は不要である。さら
に、リレーを設けた配線基板を従来のように折ることな
く、他の配線基板に対して水平方向へ離してケーシング
内に収納することができるから、作業の手間も軽減され
る。

【０００８】本発明の第２の特徴では、上記振動吸収手
段を弾性部材（５、６）とし、この弾性部材（５、６）
を介して上記リレー（２Ａ、２Ｂ）をケーシング（１）
内壁により上下から挟持している。これにより、リレー
およびこれを設けた配線基板の固定はさらに確実かつ容
易になされる。本発明の第３の特徴では、上記弾性部材
（５、６）の表面に複数の壁状支持部（５１、６１）を
形成する。これにより、リレー（２Ａ、２Ｂ）およびこ
れを設けた配線基板（３）は、より変形自在な壁状支持
部（５１、６１）によりケーシング（１）に支持される
ことになり、振動の吸収がさらに良好に行われる。

【０００９】本発明の第４の特徴では、上記リレー（２
Ａ、２Ｂ）の頂面との間に介設される弾性部材（５）
を、リレー（２Ａ、２Ｂ）の側面に延びてこれを覆う袋
状に成形する。これにより、リレー全体が弾性部材で覆
われて振動音の発散が防止される。本発明の第５の特徴
では、弾性部材（６）に設けた壁状支持部（６１）の一
部（６１１、６１１Ａ）を、第１の配線基板（３）と第
２の配線基板（４）の境界間隙を埋めるように延在させ
る。これにより、両配線基板が振動的に絶縁した状態で
水平方向へ位置決めされる。

【００１０】本発明の第６の特徴では、壁状支持部（６
１）の延在部（６１１Ａ）の先端を、第１の配線基板
（３）と第２の配線基板（４）とを結ぶリード線（８
１）に圧接させる。これにより、リード線を経由した振
動の伝達が防止される。本発明の第７の特徴では、第１
の配線基板（３）と第２の配線基板（４）とを、複数位
置でこれら配線基板（３、４）を連結する架橋部（８
２）を残して一枚板から打ち抜き成形し、両配線基板
（３、４）上に同時に配線を形成するとともにリレー
（２Ａ、２Ｂ）およびリレー（２Ａ、２Ｂ）以外の回路
部品（４１）をそれぞれ取り付け、その後、前記架橋部
（８２）を切り落として両配線基板（３、４）を分離す
る。

【００１１】これにより、両配線基板に同時に配線形成
等の工程を施すことができるとともに、工程終了後にプ
レス等により架橋部を切り落として両配線基板を容易に
分離することができる。また、材料取りも効率的に行う
ことができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】図１にはサンルーフスイッチの、
カバーを取り去った状態でのケーシング正面図を示し、
図２にはケーシングの破断側面図を、図３にはケーシン
グの横断面図をそれぞれ示す。ケーシング１の左半部内
には配線基板が配設され、この配線基板は、正面視でＵ
字形をなす主基板４（図６参照）と、主基板４の凹所内
に周囲に間隙を有して位置する副基板３とから構成され
ている。

【００１３】これら主基板４と副基板３はほぼ同一平面
内に配設され、ケーシングベース１２の裏カバー１３
（図２）に平行に位置している。主基板４は左右の板面
の中央で、ケーシングベース１２より立設したスイッチ
支柱７１Ａ、７１Ｂに裏カバー１３とともにネジ固定さ
れている。左右のスイッチ支柱７１Ａ、７１Ｂには上方
へバネ付勢された押し片７２Ａ、７２Ｂが内設され、そ
の上方に、押し片７２Ａ、７２Ｂにより戻し操作される
公知構造のシーソー式スイッチノブ７３Ａ、７３Ｂが位
置している。スイッチノブ７３Ａ、７３Ｂは正面視で略
長方形をなし（図１）、カバー１１の開口内に露出して
カバー１１表面と面一に位置している（図２）。

【００１４】副基板３の表面には、矩形のブロック状を
なすリレー２Ａ、２Ｂが底面より突出する端子によって
接続固定されており、このリレー２Ａ、２Ｂは前後に位
置する２個が一体となって、図４、図５に示すように、
頂面と四方の側面を弾性部材としての袋状のゴム膜５で
覆われている。このゴム膜５の外表面には格子状に（図
１参照）壁状支持部たるリブ５１が形成してあり、これ
らリブ５１がカバー１１の内壁と、リレー２Ａ、２Ｂの
周囲に位置するガイド壁１４とに当接している。

【００１５】副基板３の裏面と裏カバー１３との間には
弾性部材としてのゴムクッション６が配設してあり、こ
のゴムクッション６には板面に格子状に壁状支持部６１
が形成されて、これら壁状支持部６１上に副基板３が載
置されている。こうして、副基板３は、リレー２Ａ、２
Ｂの頂面に位置するゴム膜５と上記ゴムクッション６を
介して、カバー１１と裏カバー１３により挟持され位置
決めされている。

【００１６】ゴムクッション６の壁状支持部の一部は、
図４、図５に示すように、副基板３と主基板４との間の
間隙内に延在しており、この延在部６１１により間隙が
埋められて両基板３、４が一定の間隔を保って位置決め
される。なお、延在部６１１Ａの先端は、主基板４と副
基板３を結ぶ銅材のリード線８１（図４）に圧接してい
る。

【００１７】このような主基板４と副基板３は、図６に
示すように、これらを連結する架橋部８２を残して一枚
板から打ち抜き成形され、一体の連結状態で配線（図示
略）が形成されるとともに、主基板４上にはスイッチ接
点４１やその他の回路部品がハンダ固定され、副基板３
上にはリレー２Ａ、２Ｂ等が半田固定される。そして、
両基板３、４がリード線８１で接続され、副基板３に引
出し線８３が接続された後に、架橋部８２が切断されて
両基板３、４が分離される。したがって、主基板４と副
基板３の製造を同時に進行できるとともに、これら基板
３、４の分離も架橋部８２をプレス等で切断するだけで
簡易に行うことができる。

【００１８】以上の構造のケーシング内収納配線基板に
よれば、リレー２Ａ、２Ｂの振動が副基板３に伝達され
ても、副基板３からケーシング１への伝達はゴム膜５と
ゴムクッション６により確実に防止され、異音等の発生
が回避される。特にリレー２Ａ、２Ｂはゴム膜５により
全周が覆われているから、リレー２Ａ、２Ｂ側面からの
振動音の放射も防止される。また、ゴム膜５のリブ５１
やゴムクッション６の壁状支持部６１は比較的自由に変
形して振動をより効果的に吸収する。

【００１９】さらに、壁状支持部６１の延在部６１１Ａ
がリード線８１に圧接していることにより、リード線８
１を経由する振動伝達も防止される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態における、サンルーフスイ
ッチケーシングの、カバーを取り去った状態での正面図
である。

【図２】本発明の一実施形態における、サンルーフスイ
ッチケーシングの破断側面図で、断面部は図１のII−II
線に沿うものである。

【図３】本発明の一実施形態における、サンルーフスイ
ッチケーシングの横断面図で、図１のIII −III 線に沿
う断面図である。

【図４】本発明の一実施形態における、サンルーフスイ
ッチケーシングの要部断面図で、図２のＡ部拡大断面図
である。

【図５】本発明の一実施形態における、サンルーフスイ
ッチケーシングの要部断面図で、図３のＢ部拡大断面図
である。

【図６】本発明の一実施形態における、分離前の配線基
板の平面図である。

【符号の説明】

１…ケーシング、１１…カバー、１３…裏カバー、２
Ａ、２Ｂ…リレー、３…副基板、４…主基板、４１…ス
イッチ接点、５…ゴム膜、５１…リブ、６…ゴムクッシ
ョン、６１…壁状支持部、６１１、６１１Ａ…延在部、
８１…リード線、８２…架橋部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 勝 愛知県刈谷市昭和町１丁目１番地 日本 電装株式会社内 (56)参考文献 特開 平３−179629（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−16428（ＪＰ，Ａ) 実開 平４−81434（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭57−62342（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭55−164873（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−178242（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H01H 45/00 - 51/36

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーシング（１）と、 前記ケーシング（１）内に配設され、表面にリレー（２
   Ａ、２Ｂ）を設けた第１の配線基板（３）と、 前記ケーシング（１）内に前記第１の配線基板（３）と
   離して配設され、リレー（２Ａ、２Ｂ）以外の回路部品
   （４１）を設けた第２の配線基板（４）と、 前記ケーシング（１）の内壁と前記第１の配線基板
   （３）との間に介設された振動吸収手段（５、６）とを
   備え、 前記振動吸収手段は、弾性部材（５、６）であり、前記
   弾性部材（５、６）を、前記ケーシング（１）の内壁
   と、前記第１の配線基板（３）の裏面および前記リレー
   （２Ａ、２Ｂ）の頂面との間にそれぞれ介設して、前記
   リレー（２Ａ、２Ｂ）を前記弾性部材（５、６）を介し
   てケーシング（１）の内壁により挟持するようにし、 前記弾性部材（５、６）の表面に複数の壁状支持部（５
   １、６１）を形成し、 前記第１の配線基板（３）の裏面との間に介設される弾
   性部材（６）に設けた前記壁状支持部（６１）の一部
   を、前記第１の配線基板（３）と前記第２の配線基板
   （４）の境界間隙を埋めるように延在させた延在部（６
   １１、６１１Ａ）としたことを特徴とするケーシング内
   収納配線基板。
2. 【請求項２】 ケーシング（１）と、 前記ケーシング（１）内に配設され、表面にリレー（２
   Ａ、２Ｂ）を設けた第１の配線基板（３）と、 前記ケーシング（１）内に前記第１の配線基板（３）と
   離して配設され、リレー（２Ａ、２Ｂ）以外の回路部品
   （４１）を設けた第２の配線基板（４）と、 前記第１の配線基板（３）の裏面と前記ケーシング
   （１）の内壁との間に介設された弾性部材（６）とを備
   え、 前記弾性部材（６）には、複数の壁状支持部（６１）が
   形成され、前記複数の壁状支持部（６１）の上に前記第
   １の配線基板（３）が載置されており、 さらに、前記複数の壁状支持部（６１）の一部が、 前記
   第１の配線基板（３）と前記第２の配線基板（４）の境
   界間隙を埋めるように延在させた延在部（６１１、６１
   １Ａ）となっていることを特徴とするケーシング内収納
   配線基板。
3. 【請求項３】 前記ケーシング（１）の内壁と前記リレ
   ー（２Ａ、２Ｂ）の頂面との間に他の弾性部材（５）が
   介設され、前記他の弾性部材（５）は、その表面に複数
   の壁状支持部（５１）が形成され、さらに前記リレー
   （２Ａ、２Ｂ）の側面に延びてこれを覆う袋状に成形さ
   れていることを特徴とする請求項２に記載のケーシング
   内収納配線基板。
4. 【請求項４】 前記延在部（６１１、６１１Ａ）は複数
   設けられ、その一部（６１１Ａ）の先端を、前記第１の
   配線基板（３）と前記第２の配線基板（４）とを結ぶリ
   ード線（８１）に圧接させたことを特徴とする請求項１
   ないし３のいずれか１つに記載のケーシング内収納配線
   基板。