JP3214297B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

感光性樹脂組成物

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JP3214297B2 JP12541395A JP12541395A JP3214297B2 JP 3214297 B2 JP3214297 B2 JP 3214297B2 JP 12541395 A JP12541395 A JP 12541395A JP 12541395 A JP12541395 A JP 12541395A JP 3214297 B2 JP3214297 B2 JP 3214297B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プリント配線基板の製
造や金属精密加工などの分野で使用することができ、特
にソルダーレジストなど耐熱性が要求される分野での使
用に適した、アルカリ現像可能で貯蔵安定性の良好な感
光性樹脂組成物、およびそれを得るための感光性樹脂に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体の技術分野における進歩は
著しく、それに伴い集積回路もLSIから超LSIの時
代に入り、電子機器は小型軽量化、高性能化、多機能化
が急速に進んでいる。プリント配線基板もこれに対応し
て高密度化、高配線化、また部品の表面実装化が進み、
更に従来以上の高精度、高性能が求められるようになっ
てきている。
【0003】この要求に応えるべく、ソルダーレジスト
ならびにソルダーレジストの形成方法についても種々検
討されているが、まだ必ずしも満足できるものではな
い。例えば、従来、処理能力が高く操作が簡便であるこ
とから民生用として広く普及しているスクリーン印刷法
においては、印刷時のブリード、にじみ、ダレ、またス
クリーンの伸縮による印刷精度などが問題とされ、最近
の高密度プリント配線基板の製造などには対応できなく
なっている。そこで、写真法によってパターンを形成す
るフォトソルダーレジスト法が開発されるに至った。
【0004】このフォトソルダーレジスト法は、例えば
基板上に現像可能な感光性樹脂組成物の被膜を形成し、
この被膜上にパターン露光を行い、現像して露光部また
は未露光部を除去して、十分な耐熱性と解像度を有する
ソルダーマスクを形成する方法である。
【0005】フォトソルダーレジスト法に使用し得る感
光性樹脂組成物としては、従来例えば主鎖にカルコン基
を有する感光性エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを
主成分とする組成物(特開昭58−62636号公報)
や、エポキシ基を有するノボラック型エポキシアクリレ
ートと光重合開始剤とを主成分とする組成物(特開昭6
1−272号公報)などが知られている。しかしこれら
は現像液として有機溶剤を使用するので、環境汚染や環
境衛生上の問題がある。
【0006】そこで、アルカリ水溶液で現像し得るフォ
トソルダーレジストが検討された。例えば特公平1−5
4390号公報には、ノボラック型エポキシ樹脂とアク
リル酸との反応物に更に酸無水物を反応させて得られる
オリゴマーと光重合開始剤とエポキシ樹脂と希釈剤とを
含む液状のソルダーレジストインキ組成物が提案されて
いる。また特開平5−339356号公報には、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂とアクリル酸との反応物に更
に酸無水物を反応させて得られる光重合性不飽和化合物
とエポキシ樹脂と光重合開始剤とを含むアルカリ現像型
感光性樹脂組成物が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のアルカリ現像型
感光性樹脂組成物は、アルカリ水溶液で現像可能であ
り、しかもソルダーマスクとしての諸性能、例えば解像
度、耐熱性、電気特性、機械特性も優れている。しか
し、例えばこの組成物に熱硬化性成分であるエポキシ樹
脂を添加した後では、40℃で保存するとき約1日でゲ
ル化して使用不能になるなど、貯蔵安定性に問題があり
実使用上の不便があった。そこで、この貯蔵安定性の改
善が強く求められた。
【0008】本発明は上記の問題を解決するためになさ
れたものであり、従ってその目的は、耐熱性、基板との
密着性、解像度、電気特性、機械特性に優れ、アルカリ
水溶液で現像可能であり、しかも貯蔵安定性にも優れた
感光性樹脂組成物、並びにこの感光性樹脂組成物に用い
る新規な感光性樹脂を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、下記一般
式(1)
【0010】
【化2】 (式中、R1、R2は水素原子、炭素数1〜5のアルキル
基、またはハロゲン原子、Xは−CO−、−SO2−、
−CH2−、−C(CF32−、−Si(CH32−、
−C(CH32−、−O−または直結を示し、Yはその
一部が不飽和イソシアナート残基であり、他の少なくと
も一部が飽和または不飽和多塩基酸無水物の残基であ
り、nは1以上の整数を示す)で示される感光性樹脂
と、 分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポ
キシ化合物Bと、 分子中に少なくとも1個のエチレン性
不飽和基を有する化合物C とを含むことを特徴とするア
ルカリ現像可能な感光性樹脂組成物を提供することによ
って解決できる。
【0011】(式中、R1、R2は水素原子、炭素数1〜
5のアルキル基、またはハロゲン原子、Xは−CO−、
−SO2−、−CH2−、−C(CF32−、−Si(C
32−、−C(CH32−、−O−または直結を示
し、Yはその一部が不飽和イソシアナート残基であり、
他の少なくとも一部が飽和または不飽和多塩基酸無水物
の残基であり、nは1以上の整数を示す)で示される感
光性樹脂を提供することによって解決できる。
【0012】この感光性樹脂は、例えばビスフェノー
ル型エポキシアクリレート樹脂の水酸基の一部を、エチ
レン性不飽和基を少なくとも1個有する不飽和イソシア
ナート化合物と反応させ、かつ他の少なくとも一部を飽
和または不飽和多塩基酸無水物と反応させて製造するこ
とができる。上記の不飽和イソシアナート残基は、ビス
フェノール型エポキシアクリレート樹脂の水酸基当り
0.2当量以上であり、また飽和または不飽和多塩基酸
無水物残基は、ビスフェノール型エポキシアクリレート
樹脂の水酸基当り0.2当量以上であることが好まし
い。この感光性樹脂は、酸価が50mgKOH/gない
し200mgKOH/gの範囲内であることが好まし
い。
【0013】また、光重合を起こさせるに十分な光重合
開始剤または増感剤を含むことが好ましい。
【0014】次に、本発明の感光性樹脂Aについて詳し
く説明する。上記の一般式(1)で示される感光性樹脂
Aは新規な化合物であり、ビスフェノール型のエポキシ
アクリレート樹脂を骨格とし、その水酸基の一部に不飽
和イソシアナート残基を結合させ、水酸基の残部の少な
くとも一部に飽和または不飽和多塩基酸無水物の残基を
結合させてなることを構造上の特徴とする。
【0015】この感光性樹脂Aは、未露光状態ではアル
カリ可溶性であるとともに光重合性である。そしてそれ
は単独で、または不飽和化合物Cと光重合または光共重
合することができ、これによってアルカリ不溶性とな
る。またこの感光性樹脂Aおよびその光重合物は、エポ
キシ化合物Bと加熱下に反応して硬化物を与える。この
硬化物は耐熱性が高く、基板などとの密着性、電気特
性、機械的特性も優れていることがわかった。またこの
感光性樹脂Aとエポキシ化合物B(および不飽和化合物
C)を含む本組成物は、長時間保存してもゲル化せず貯
蔵安定性がきわめて良好であることを見出し本発明に到
達した。
【0016】一般式(1)に示す感光性樹脂Aおいて、
Xが−CO−であるビスフェノール残基の例としては、
例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ケト
ン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニ
ル)ケトンなどを挙げることができる。Xが−SO2
であるビスフェノール残基の例としては、例えば、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)スルホ
ンなどを挙げることができる。Xが−CH2−であるビ
スフェノール残基の例としては、例えば、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロ
キシ−3,5−ジクロロフェニル)メタンなどを挙げる
ことができる。Xが−C(CF32−であるビスフェノ
ール残基の例としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロ
キシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロ
パン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニ
ル)ヘキサフルオロプロパンなどを挙げることができ
る。Xが−Si(CH32−であるビスフェノール残基
の例としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−
ジメチルフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロ
キシ−3,5−ジクロロフェニル)ジメチルシランなど
を挙げることができる。Xが−C(CH32−であるビ
スフェノール残基の例としては、例えば、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−クロロフェニル)プロパンなどを挙げる
ことができる。Xが−O−であるビスフェノール残基の
例としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフ
ェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ
クロロフェニル)エーテルなどを挙げることができる。
またXが直結を表すビスフェノール残基の例としては、
例えば、4,4’−ビフェノール、3,3’−ビフェノ
ールなどを挙げることができる。もちろん、本発明の感
光性樹脂Aに含まれるビスフェノール残基は上記の例に
限定されるものではない。またこれらのビスフェノール
残基は分子内で、または分子間で混在していてもよい。
【0017】一般式(1)に示す感光性樹脂Aにおい
て、Yは、その一部が不飽和イソシアナート残基であ
り、他の少なくとも一部が飽和または不飽和多塩基酸無
水物の残基である。従って、分子中には必ず不飽和イソ
シアナート残基と上記の酸無水物残基の双方が含まれて
いる。ただし、必ずしもこの双方のみで構成されている
必要はなく、Yの一部が例えば水素原子であることを排
除するものではない。このうち不飽和イソシアナート残
基は、ビスフェノール型エポキシアクリレート樹脂の水
酸基と不飽和イソシアナートとの反応により生成するも
のであり、この反応に用いることができる不飽和イソシ
アナートは、分子中に少なくとも1個のイソシアナート
基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを有する化
合物である。この不飽和イソシアナートは一般に、分子
中に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有するアミ
ン化合物とホスゲンとの反応によって製造することがで
きる。
【0018】この反応に用いることができる不飽和イソ
シアナートの例としては、(メタ)アクリロイルイソシ
アナート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシア
ナート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシア
ナートなどを挙げることができる。
【0019】一般式(1)に示す感光性樹脂Aにおい
て、Yの一部である飽和または不飽和多塩基酸無水物の
残基を形成するために用いることができる酸無水物の例
としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコ
ン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水
ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル
酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メ
チルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレ
ンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸などの二塩基
性酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット
酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの芳
香族多価カルボン酸無水物;その他、例えば5−(2,
5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−
シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物などの多
価カルボン酸無水物誘導体などを挙げることができる。
【0020】この感光性樹脂Aは、例えば次のようにし
て製造することができる。先ず、例えば下式(2)、
【0021】
【化3】
【0022】で示されるビスフェノールA型のエポキシ
アクリレート樹脂を出発原料とし、その水酸基当量より
少ない量の不飽和イソシアナート、例えば(メタ)クリ
ロイルオキシエチルイソシアナートなどと反応させ、得
られた化合物と、前記の酸無水物とを、ケトン系または
セロソルブ系溶剤中で加熱して反応させる。この際、上
記の不飽和イソシアナート残基がビスフェノール型エポ
キシアクリレート樹脂の水酸基当り0.2当量以上であ
り、また飽和または不飽和多塩基酸無水物残基がビスフ
ェノール型エポキシアクリレート樹脂の水酸基当り0.
2当量以上となるような量割合で、不飽和イソシアナー
トおよび酸無水物を用いることが好ましい。不飽和イソ
シアナート残基がビスフェノール型エポキシアクリレー
ト樹脂の水酸基当り0.2当量未満では、硬化被膜の物
性、例えば耐熱性、耐溶剤性などが不十分となって好ま
しくない。また飽和または不飽和多塩基酸無水物残基が
0.2当量未満では、本発明の目的であるアルカリ現像
性を発現させるのに不十分で好ましくない。
【0023】本発明の感光性樹脂Aにおいては、酸価が
50mgKOH/gないし200mgKOH/gの範囲
内とされていることが好ましい。酸価が50mgKOH
/g未満であると本発明の目的である高解像性を発現さ
せるのに不十分となり、また酸価が200mgKOH/
gを越えると、露光後の現像処理により光硬化被膜が膨
潤しやすくなる。この観点から酸価は70mgKOH/
gないし180mgKOH/gの範囲内であることが更
に好ましい。
【0024】
【0025】感光性樹脂Aと組み合わせて本組成物を構
成するエポキシ化合物Bは、分子中に少なくとも1個の
エポキシ基を有するものであれば、重合物であってもモ
ノマーであってもよい。重合物であるエポキシ化合物B
の例としては例えば、フェノールノボラック型エポキシ
樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ
樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型
エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂
を挙げることができる。また、モノマーであるエポキシ
化合物Bの例としては例えば、フェニルグリシジルエー
テル、p−ブチルフェノールグリシジルエーテル、トリ
グリシジルイソシアヌレート、ジグリシジルイソシアヌ
レート、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタク
リレートなどを挙げることができる。
【0026】このエポキシ化合物Bは、本組成物中に配
合されるとき、感光性樹脂Aまたは感光性樹脂Aの光重
合物と熱時に反応して、強靱で耐熱性、耐薬品性の硬化
物を与える。この硬化物はまたガラスエポキシ樹脂基板
や銅板などに強力に接着する性質を与える。
【0027】エポキシ化合物Bは、感光性樹脂A100
重量部に対して10重量部ないし75重量部の範囲内で
本組成物中に配合することが好ましい。10重量部未満
では本発明の組成物の硬化後の特性、特に耐アルカリ性
が不十分なものとなり、また75重量部を越えると、硬
化時に割れが起こったり密着性が低下したりして不都合
である。この観点から、特に好ましい配合割合は、感光
性樹脂A100重量部に対して20重量部ないし55重
量部の範囲内である。
【0028】 不飽和化合物Cは開始剤の存在下に光重合
し得るものであって、感光性樹脂Aとともに光重合し
て、得られる重合被膜の物性、例えば柔軟性や硬度など
を調整し、また現像性や解像度などを調整するのに役立
つ。この観点から不飽和化合物Cもアルカリ現像性であ
ることが好ましい。
【0029】この不飽和化合物Cの例としては、例えば
ビスフェノール型エポキシアクリレートの無水カルボン
酸付加物、ノボラック型エポキシアクリレートの無水カ
ルボン酸付加物、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレ
ートの無水カルボン酸付加物などを挙げることができ
る。
【0030】この不飽和化合物Cを用いる場合、その配
合量は、感光性樹脂A100重量部当り10重量部ない
し50重量部の範囲内とすることが好ましい。10重量
部未満では配合の効果が認められず、50重量部を越え
ると本組成物の貯蔵安定性が損なわれる場合がある。
【0031】本組成物は、比較的短時間、低エネルギー
の露光によって架橋重合が起こるように、開始剤を含む
ことが好ましい。この開始剤としては、一般に感光性樹
脂の光重合を開始し、また光重合反応を促進するために
用いられている化合物がいずれも使用可能である。その
例としては例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキ
シアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−
ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェ
ノン、トリクロロアセトフェノン、p−t−ブチルアセ
トフェノンなどのアセトフェノン類;ベンゾフェノン、
2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルア
ミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;ベンジ
ル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイ
ンイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテ
ルなどのベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタ
ール;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、
2,4−ジエチルチオキサントン、2−メチルチオキサ
ントン、2−イソプロピルチオキサントンなどの含イオ
ウ化合物類;2−エチルアントラキノン、オクタメチル
アントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,
3−ジフェニルアントラキノンなどのアントラキノン
類;アゾビスイソブチロニトリル;ベンゾイルパーオキ
サイド、クメンパーオキサイドなどの有機過酸化物類;
2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベ
ンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールな
どのチオール類を挙げることができる。これらの化合物
は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0032】また、それ自体では光重合開始剤としての
作用がないが、上記の化合物と組み合わせて用いるとき
光重合開始剤の効力を増大させ得る化合物を添加しても
よい。この種の化合物の例としては例えば、ベンゾフェ
ノン類と組み合わせて用いると効果があるトリエタノー
ルアミンなどの第三級アミンを挙げることができる。
【0033】開始剤は、感光性樹脂Aの100重量部当
り0.5重量部ないし30重量部の範囲内で本組成物中
に配合することが好ましい。0.5重量部未満では本組
成物の光重合の速度が遅く実用的でない。また30重量
部を越えると、光が基板まで達しにくくなり、基板と樹
脂膜との密着性を損なう場合がある。この観点から、特
に好ましい配合割合は、感光性樹脂A100重量部に対
して1重量部ないし20重量部の範囲内である。
【0034】本組成物はまた、必要に応じて、一般にこ
の分野で用いられているエポキシ基硬化促進剤、熱重合
禁止剤、可塑剤、レベリング剤、消泡剤などの添加剤を
含んでいてもよい。この内、エポキシ基硬化促進剤とし
ては例えば、アミン化合物類、イミダゾール化合物類、
カルボン酸類、フェノール類、第4級アンモニウム塩
類、メチロール含有化合物類などを挙げることができ
る。これらのエポキシ基硬化促進剤を単独でまたは複合
して少量を本組成物に添加すれば、塗膜を加熱すること
によって、得られたレジスト被膜の耐熱性、耐溶剤性、
耐酸性、耐メッキ性、密着性、電気特性、硬度などの諸
特性を向上させることができる。
【0035】本組成物に配合できる熱重合禁止剤として
は例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチル
エーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコール、フェ
ノチアジンなどを挙げることができる。可塑剤として
は、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリ
クレジルリン酸などが使用可能である。また消泡剤、レ
ベリング剤としては例えば、シリコーン系、フッ素系、
アクリル系の化合物などが用いられる。
【0036】本組成物は更に必要に応じて、酸化珪素、
タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなど公
知の充填剤や、フタロシアニンブルー、フタロシアニン
グリーン、酸化チタン、カーボンブラックなど公知の色
材を含んでいてもよい。
【0037】本組成物は、上記の各成分を溶剤の存在
下、または不存在下に均一に混合して製造することがで
きる。溶剤を使用する場合は、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトンなどのケトン類、メチルセロソル
ブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブ
アセテートなどのセロソルブ類、またはそれらの混合物
が好適に使用できる。本組成物を塗布液として用いる場
合はいうまでもなく、ドライフィルムに成形する場合
も、一旦上記の溶剤を用いて溶液または粘稠液の形態と
することが好ましい。
【0038】次に、本組成物を用いて基板上にレジスト
被膜を形成する方法について説明する。以下の説明にお
いては、本組成物を溶液の形態で用いる例について述べ
るが、ドライフィルムとして用いる場合についても従来
のドライフィルム処理方法に従えば本質的に同様に処理
が可能である。
【0039】溶液状の本組成物は基板に塗布するに先だ
って被膜形成に好適な濃度となるように溶剤で濃度調整
し、更に必要なら追加の光重合開始剤や光重合開始助
剤、カップリング剤、酸化防止剤などを添加してレジス
ト液を調製する。次にこのレジスト液を基板に塗布す
る。塗布の方法としては、スクリーン印刷法によるほ
か、浸漬塗布、スプレー塗布、ナイフコーティング、ロ
ーラコーティング、バーコーティング、スピンコーティ
ングなど、従来からこの分野で用いられている塗工法が
いずれも使用できる。レジスト液の塗布厚は1μm〜5
0μmとすることが好適である。
【0040】基板に塗布したレジスト液の塗膜は、溶剤
を蒸発させるためにプレベークを行う。このプレベーク
は温度40℃〜110℃の範囲内で行うことが好まし
い。次に、この塗膜の上にフォトマスクを密着して重
ね、紫外線露光を行う。紫外線露光に好適な光源として
は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ
などを挙げることができる。
【0041】露光後の塗膜をアルカリ水溶液と接触させ
てアルカリ現像を行う。このアルカリ現像に適した現像
液としては、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金
属の炭酸塩の水溶液、アルカリ金属の水酸化物の水溶液
などを挙げることができる。特に炭酸ナトリウム、炭酸
カリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩が好適であり、こ
れらの炭酸塩を1重量%〜3重量%含む弱アルカリ性水
溶液を用いると、微細な画像を精密に現像することがで
きる。また、エタノールアミン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウ
ムなどの塩基性有機化合物の1重量%〜3重量%水溶液
を用いることもできる。
【0042】現像温度は10℃〜50℃、特に20℃〜
40℃とすることが好ましい。この現像は、市販の現像
機や超音波洗浄機を用いて行うことができる。これによ
って基板上に本組成物被膜によるレジストパターンが形
成される。アルカリ現像後は、レジストパターンが形成
された基板を十分に水洗する。
【0043】ここに得られたレジストパターンはポスト
ベークを行うことが好ましい。このポストベークは、被
膜を完全に乾燥するとともに、この段階ではまだ残留し
ている遊離のエポキシ基を加熱により反応させて硬化を
完了し、被膜の耐アルカリ性、耐溶剤性、耐熱性、ガラ
スや銅など金属との密着性、表面硬度、透明性などの諸
性質を、例えばソルダーレジストとして要求される高度
な水準にまで向上させる。このポストベークは、例えば
温度80℃〜200℃において10分間〜120分間行
うことが好ましい。
【0044】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。以下の説明に
おいて「部」は特に断わりない限り重量部を示す。 (感光性樹脂Aの製造)
【0045】300ml四つ口フラスコ中に、分子量約
900のビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂
(90g)とジ−n−ブチルすずジアセテート(1g)
と乾燥脱水したプロピレングリコールモノメチルエーテ
ルアセテート(以下、「PGMEA」という)(90
g)とを仕込み、窒素気流中で70℃に加熱攪拌し、樹
脂を溶解させた。次いで、メタクリロイルオキシエチル
イソシアナート(44.5g)を同量の乾燥脱水PGM
EAとともに1時間を要して滴下した。その後、IRス
ペクトルでイソシアナートに由来する吸収が消えるまで
加熱攪拌を続け、式(2)において水酸基の一部の水素
がメタクリロイルオキシエチルカルバモイル基で置換さ
れた感光性エポキシアクリレート樹脂(以下、「中間体
a」という)の50%PGMEA溶液を得た。
【0046】300ml四つ口フラスコ中に、上記の中
間体aの50%PGMEA溶液(269g)を入れ、攪
拌しながら110℃に昇温し、この温度に保ちながら無
水テトラヒドロフタル酸(30.4g)と同量のPGM
EAとを加え、反応系の酸価が約63mgKOH/gに
下がったとき攪拌を停止した。これによって、一般式
(1)においてR1、R2がともに水素原子であり、Xが
−C(CH32−であり、Yの一部がメタクリロイルオ
キシエチルカルバモイル基(不飽和イソシアナート残
基)であり、Yの他の少なくとも一部がテトラヒドロフ
タル酸の残基である感光性樹脂Aの50%PGMEA溶
液を得た。この感光性樹脂Aの酸価は68mgKOH/
gであった。
【0047】
【0048】
【0049】得られた感光性樹脂AのPGMEA溶液
と、分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポ
キシ化合物Bと、分子中に少なくとも1個のエチレン性
不飽和基を有する化合物Cと、開始剤と、濃度調整のた
めの有機溶剤とを下記の割合で混合し、ソルダーレジス
ト溶液を製造した。
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】(実施例) 50%PGMEA溶液 45部 ノボラック型エポキシ樹脂EOCN−4400(日本化薬社製) 5部 不飽和化合物Cとしてフタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート(アロニッ クスM−5400、東亜合成化学社製) 5部 開始剤ダロキュアー4265(チバガイギー社製) 1部 メチルイソブチルケトン 5部
【0054】(比較例)比較のため、従来、アルカリ現
像用として知られている感光性樹脂を用いて下記の感光
性樹脂組成物を調製した。この比較例に用いた感光性樹
脂Dは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアクリレー
トに酸無水物を反応させて得られた光重合性不飽和化合
物である(特開平5−339356号公報参照)。 感光性樹脂Dの50%メチルイソブチルケトン溶液 20部 ノボラック型エポキシ樹脂EOCN−4400(日本化薬社製) 5部 開始剤ダロキュアー4265(チバガイギー社製) 1部 メチルイソブチルケトン 5部
【0055】(試験例) 上記実施例ついて、ソルダーレジストとしての評価試
験を行った。上記成物を脱脂洗浄した銅張りガラス
エポキシ基板に約50μmの厚みに塗布して乾燥し、ラ
イン幅50μmのパターンを形成したフォトマスクを介
して500mJ/cm2の紫外線を照射して密着露光し
た。次に、炭酸ナトリウム1%水溶液を用いて30℃で
1分間現像し、未露光部を除去した。次いで乾燥オーブ
ンに入れて150℃で1時間、ポストベーク処理を行っ
た。
【0056】得られた各試料について、以下のようにし
て耐熱性、基板密着性、現像性および貯蔵安定性の評価
を行った。 耐熱性:ポストベークした試料を250℃のオーブンに
2時間入れ、被膜の状態を観察した。評価結果は、異常
がないものを○、若干変形が認められたものを△、割
れ、剥離、または着色が認められたものを×で表示し
た。 基板密着性:ポストベークした試料に、少なくとも10
0個の碁盤目を作るようにクロスカットを入れ、セロフ
ァンテープによる剥離試験を行った。評価結果は、全く
剥離がないものを○、少しでも剥離が認められたものを
×で表示した。 現像性:露光後に、上記の現像液で現像し、良好に現像
が行われたものは○、非露光部が溶解しなかったり、露
光部が溶解したものは×とした。 貯蔵安定性:各実施例および比較例の試料をそれぞれ溶
媒溶液のまま40℃で保存した。1週間以上ゲル化せず
被膜形成が可能であったものは○、1週間以内にゲル化
したものは×として評価した。結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】上記の表1から明らかなように、実施例
試料は、耐熱性、基板密着性、現像性および貯蔵安定性
のいずれにおいても評価基準を満足するものであった。
これに対し、不飽和イソシアナート残基を含まない感光
性樹脂を用いた比較例の試料は、基板密着性および現像
性は良好であったものの、貯蔵安定性に問題があり、ま
た耐熱性においてもやや劣っていた。
【0059】
【発明の効果】本発明の感光性樹脂組成物は、ビスフェ
ノール型エポキシ樹脂を骨格とし、不飽和イソシアナー
ト残基と、光重合性のエチレン性不飽和基と、多塩基酸
無水物の残基とを有する感光性樹脂を含むので、光重合
性であるとともに、未露光部はアルカリ可溶性であり、
かつその光重合物は耐熱性が高いものとなる。また
ポキシ化合物B不飽和化合物Cとを含むので、貯蔵安
定性が良好であり、しかもこれを露光、加熱して得られ
る被膜は耐熱性、基板密着性、現像性、電気絶縁性がい
ずれも優れている。従って、本発明の感光性樹脂成物
は、プリント配線板関係のソルダーレジスト、エッチン
グレジストや層間絶縁材料、感光性接着剤、感光性塗
料、スクリーン印刷用感光材、感光性造膜材、レジスト
インキなどとして幅広い分野に使用することができる。
特に本組成物は貯蔵安定性がよいので使用の都度調製す
る必要がなく、作業性が大幅に向上する利点がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−239438(JP,A) 特開 平8−286371(JP,A) 特開 平6−301206(JP,A) 特開 昭54−117202(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 299/02 - 299/08 C08G 59/14 - 59/17 C08G 59/40 - 59/66 G03F 7/038 CA(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1、R2は水素原子、炭素数1〜5のアルキル
    基、またはハロゲン原子、Xは−CO−、−SO2−、
    −CH2−、−C(CF32−、−Si(CH32−、
    −C(CH32−、−O−または直結を示し、Yはその
    一部が不飽和イソシアナート残基であり、他の少なくと
    も一部が飽和または不飽和多塩基酸無水物の残基であ
    り、nは1以上の整数を示す)で示される感光性樹脂
    と、 分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ
    化合物Bと、 分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する
    化合物C とを含むことを特徴とするアルカリ現像可能な
    感光性樹脂組成物
  2. 【請求項2】 上記の感光性樹脂が、ビスフェノール
    型エポキシアクリレート樹脂の水酸基の一部を、エチレ
    ン性不飽和基を少なくとも1個有する不飽和イソシアナ
    ート化合物と反応させ、かつ他の少なくとも一部を飽和
    または不飽和多塩基酸無水物と反応させて得られるもの
    であって、上記の不飽和イソシアナート残基がビスフェ
    ノール型エポキシアクリレート樹脂の水酸基当り0.2
    当量以上であり、また飽和または不飽和多塩基酸無水物
    残基がビスフェノール型エポキシアクリレート樹脂の水
    酸基当り0.2当量以上である請求項1に記載の感光性
    樹脂組成物
  3. 【請求項3】 上記の感光性樹脂Aの酸価が50mgK
    OH/gないし200mgKOH/gの範囲内である請
    求項1または請求項2に記載の感光性樹脂組成物
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