JP3212591B1 - 調湿建材 - Google Patents

調湿建材

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JP3212591B1
JP3212591B1 JP2000214547A JP2000214547A JP3212591B1 JP 3212591 B1 JP3212591 B1 JP 3212591B1 JP 2000214547 A JP2000214547 A JP 2000214547A JP 2000214547 A JP2000214547 A JP 2000214547A JP 3212591 B1 JP3212591 B1 JP 3212591B1
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株式会社建材技術研究所
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Abstract

【要約】 【課題】 湿気の吸放湿性、透湿性に優れ、かつ、強度
も十分ある不燃性に優れた調湿建材を提供する。 【解決手段】 本発明の調湿建材は、主成分が炭酸カル
シウムと非晶質シリカである成形体を炭酸硬化反応によ
って製造され、窒素ガス吸着法によるその比表面積が8
0〜250m/g、平均細孔直径が1.5〜30.0
nmであり、かつ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビ
ニロン、アクリル、植物系の有機短繊維を含有してい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に不燃性に優れ
た無機系で、室内の湿度を調整する機能を持つ調湿建材
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から調湿性のある建築材として、一
般に炭酸カルシウムを主成分としたしっくいがある。し
っくいは調湿建材として古くから使用されているが、実
際は吸放湿量が少ない。そして、乾燥収縮によるクラッ
クを防止するために、厚くしたり、例えばすさ等の補強
繊維を多量に混入する必要がある。しかし、厚くすると
吸放湿量は増えるが透湿性が落ちるという問題があり、
調湿性能は上がらない。
【0003】このしっくいの調湿性を改善した材料とし
て、非晶質シリカを含む珪藻土を内添したしっくいや、
非晶質シリカを含む珪藻土や粘土鉱物を内添したセメン
ト板があるが、珪藻土がしっくいやセメントのアルカリ
成分によって変質し、本来珪藻土が持っている高い比表
面積を低下させてしまい、十分に調湿効果がでない。ま
た、しっくいの場合には、施工で特殊技能を有する左官
工を必要とし、工期も長い。さらに、近年の免震構造の
建築物では、しっくいを使用した場合、壁の変形による
応力や吸放湿のよる長さ変化でクラックが発生しやすい
などの問題点も指摘されている。
【0004】一方、炭酸化硬化反応によって製造され、
主成分が炭酸カルシウムと非晶質シリカである調湿建材
は、非晶質シリカのアルカリ成分による劣化がなく、長
期に渡って安定的に吸放湿性能を保持する。しかし、こ
の材料は破壊力学的には脆性を呈する。一般的に調湿建
材は内装材として使用されるため、施工時には切断、穴
あけ等の加工が多く、これらの作業中での割れ・欠け
(チッピング)が生じ易い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な問題を解決し、湿気の吸放湿量、透湿性に優れ、かつ
建材として使用できる十分な強度を持った不燃性調湿建
材を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の調湿建
材は、主成分が炭酸カルシウムと非晶質シリカである成
形体からなる調湿建材において、窒素ガス吸着法による
その比表面積が80〜250m /g、平均細孔直径
が1.5〜30.0nmであり、かつ、有機短繊維を含
有していることを特徴とする。さらに、珪酸カルシウム
水和物を主成分とする原料粉末を、加圧成形し、次いで
炭酸ガスで養生させる調湿建材の製造方法において、前
記原料粉体は、有機短繊維を炭酸化後の成形硬化体の
0.1〜0.5容量%含有するように混合された湿潤粉
体であることを特徴とする。
【0007】ところで、人間が快適に生活していくため
の相対湿度条件は、一般に40〜70%の間がよいとい
われている。室内湿度をその間に保つためには、その範
囲においてすぐれた調湿能力を発揮する調湿建材が適し
ている。また、調湿材とは、表面物理の観点からみた場
合、高湿度雰囲気では材料が持つ毛細管により空気中の
水蒸気を吸着し、低湿度雰囲気では吸着された水分を空
気中に放出する能力が高い材料であるといえる。
【0008】実際にどのような材料が優れた調湿建材と
なり得るかについて鋭意研究した結果、発明者らは、炭
酸化反応によって製造された成形体であって主成分が炭
酸カルシウムと非晶質シリカからなるものにおいては、
平均細孔直径及び比表面積が調湿性能に大きく影響する
ことを見い出した。すなわち、調湿は材料内部にある微
細空隙壁に水蒸気が吸着・離脱することによって行われ
るため、微細な細孔を持ち、かつ、比表面積の大きな材
料ほど吸放湿量が高い。しかし、細孔径が極端に小さい
場合には、水蒸気の離脱が困難になり吸湿はするが放湿
しない状態になるので、比表面積が80〜250m
gであって、平均細孔直径が1.5〜30.0nmの範
囲が最適である。
【0009】ところで、居住空間の調湿を目的とする場
合には、調湿建材は内装材として居住空間に近接した位
置で使用するのが好ましい。従って、内装材の施工時に
は、切断、穴あけなどの加工されることが多いため、欠
け・割れが発生しにくい材料であることが望ましい。こ
の施工時における靭性・切削加工性を向上させるため、
繊維補強は有効な方法であり、繊維の添加量を増加また
は繊維長を長くすればその効果は増大することは明らか
である。しかし、内装仕上げ材として使用される調湿建
材では、繊維の添加量が増える、又は繊維長が長くなる
とともにその表面に繊維が露出して毛羽立ち、見栄えが
悪くなる。また、繊維には一般的に無機系繊維と有機繊
維があるが、ガラス繊維等の無機繊維は、剛性が高く肌
触りが悪いばかりでなく、繊維が折れて空中に飛散しそ
れを吸引することで健康障害を起こす危険性がある。従
って、柔軟性のある有機繊維で補強することが調湿を目
的とする内装建材としての用途に好ましい。
【0010】柔軟性のある有機短繊維としては、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ビニロン、アクリル、植物系
繊維のうち少なくとも1種を含むことが好ましく、特に
ポリエチレン、ポリプロピレン、ビニロンは、母材(被
補強材)との付着が高いのでより好ましい。また、その
平均繊維長は500μm〜3mmの範囲で、かつ平均繊
維長を平均繊維直径で除したアスペクト比が50〜30
0の範囲であるものを使用し、その有機短繊維の含有量
は、成形体全容量の0.1〜0.5%であることが、切
削加工性を維持しながら、材料表面への毛羽立ちが少な
い状態となるので好ましい。平均繊維長が500μmよ
り小さい、あるいはアスペクト比が50より小さい場合
では、繊維補強の効果が小さく切削加工時に欠け・割れ
が発生し易くなり好ましくない。平均繊維長が3mmよ
り大きい場合には表面への毛羽立ちが著しくなり外観上
好ましくない。さらにアスペクト比が300より大きい
場合では有機短繊維同士の絡まりが多くなり、被補強剤
と付着する部分が減少する結果、添加した有機短繊維が
有効に機能しなくなるため好ましくない。
【0011】さらに、含有量がこの範囲より小さい場合
には、切削加工におけるチッピングや割れの発生を防止
することが出来ず、0.5%より大きい添加量では、表
面の毛羽立ちが著しくなり、見栄えが悪くなるので好ま
しくない。また、長期使用で表面に露出した有機短繊維
が紫外線等による劣化で変色してしまうという問題もあ
る。
【0012】一方、有機短繊維以外の成形体の組成につ
いては、炭酸カルシウムが15〜65%、非晶質シリカ
が15〜45%並びに骨材及び多孔質材の一方又は双方
が含まれる構成が好ましい。さらに、炭酸カルシウム中
にはバテライトが含まれるようにするとより好ましい。
これらの組成により、全体として数nmの微細孔を持つ
比表面積の非常に大きな材料となるからである。さら
に、前記成形体には骨材と多孔質材の一方または双方が
60%以下含むことができ、多孔質材が60%以下であ
れば、十分な比強度を保ちながら調湿性能をあげること
ができる。
【0013】また、骨材が60%以下かつ骨材の平均粒
径を10μm以上とすることにより、JIS A 54
30に示される吸水による長さ変化率を0.25%以下
とすることができ、寸法安定性にも優れた特徴を持たせ
ることができる。吸水による長さ変化率はJIS A
5430に示されるように0.25%以下が望ましいと
いえるからである。ここで骨材には、珪石粉末、長石粉
末、雲母、人工軽量骨材等を用いることができ、また、
多孔質材には、アルミナ珪酸塩類を含むものや軽石やバ
ルン状充填材等を用いることができる。なお、主成分の
炭酸カルシウムを700℃以上の高温で加熱されると吸
熱反応を起こし二酸化炭素と酸化カルシウムに解離し、
かつ、有機短繊維は不燃性を十分確保することができる
少ない添加量であることから本発明の調湿建材は不燃性
に優れる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の調湿建材の出発原料とし
て、石灰質原料粉末と珪酸質原料粉末を用い、それを任
意のカルシウムとシリカ成分のモル比率(CaO/Si
)となるように調整する。過剰なSiOは後述の
水和反応またはオートクレーブ反応で反応せず骨材とし
て残る。残った骨材の平均直径は10μm〜3mmが望
ましい。石灰質原料粉末として普通セメント、早強セメ
ント等のポルトランドセメント、消石灰、生石灰等の一
種または2種以上の混合物が使用できる。また、珪酸質
原料粉末としては、珪砂、珪石粉末、石炭灰、シリカゲ
ル、クリストバライト、珪藻土等の一種または2種以上
の混合物が使用できる。ただし、別途骨材と多孔質材の
一方又は双方を必要に応じて60%以下混入しても良
い。
【0015】添加する有機短繊維は、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ビニロン、アクリル、植物系繊維のうち
少なくとも1種を含むことが好ましく、特にポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ビニロンは、母材(被補強材)と
の付着が高く、成形体の切削加工性を向上させる効果が
高くより好ましい。またその有機短繊維の平均長さが5
00μm〜3mmの範囲で、かつアスペクト比が50〜
300の範囲であるものがよい。さらに最大繊維長は4
mm以下であり、かつ最小繊維長が100μm以上であ
ることがより好ましい。植物系繊維としては、木質パル
プ、竹繊維、麻が使用できる。また、有機短繊維は単分
散したものでも収束したものでも使用できる。成形体の
なかで有機短繊維を均一に単分散させることで高い効果
が得られるため、収束した有機短繊維を使用する場合に
は、ポバール等の収束剤を使用したものより、水収束に
よるもののほうが好ましい。また、成形体との付着をよ
り高めるため、予め低温プラズマ処理などにより表面の
ラフネスを高くした有機短繊維も使用できる。
【0016】一般的に繊維補強などの複合則では、補強
材添加による効果は、補強材と被補強材の容積比に影響
すると言われている。従って、繊維強化を目的とした本
発明では、補強繊維の母材に対する容積率を必要な添加
量のパラメータとするのが妥当であり、有機短繊維は、
炭酸硬化後の成形体の全容量の0.1〜0.5%になる
ように添加される。なお、母材(被補強材)の成形後の
嵩密度と繊維の嵩密度が分かれば、添加量は、所望の含
有量から算出できることとなる。有機短繊維の添加は、
石灰質原料と珪酸質原料を反応させる前でも、反応後で
も良いが、オートクレーブ反応を行う場合には、有機短
繊維が劣化してしまうため反応後に添加するのが好まし
い。さらに、混入できる骨材は例えば珪石粉末、長石粉
末、雲母、人工軽量骨材などがあり、その場合の平均粒
径も10μm〜3mmが望ましい。多孔質材は例えばア
ルミナ珪酸塩類を含むものや軽石やバルン状充填材等が
ある。なお、骨材と多孔質材の添加は、反応前または、
後述する加圧成形前でも良い。
【0017】それを水和反応もしくはオートクレーブ反
応で、珪酸カルシウム系の水和物を生成する。例えば1
80℃ではその主成分がトバモライトであり、余剰な珪
酸質原料が骨材となる粉末が合成できる。なお、製造に
はトバモライトの他に、ゾノトライトやCSH等の珪酸
カルシウム系の水和物またはそれらを主成分とする廃材
も使用できる。例えば、軽量気泡コンクリート粉末、窯
業系サイジング等のセメント二次製品の破砕品、コンク
リート廃材、セメントスラッジなどが利用できる。
【0018】その他、合成した原料粉末に、0.01〜
5%の無機顔料、0.01〜5%の消臭効果のある化学
吸着剤を混入しても良い。さらに、材料の強度を増加さ
せる目的で普通、早強、中庸熱、白色などのポルトラン
ドセメントやγ−CSを炭酸化後材料の炭酸カルシウ
ム含有量が65%を越えないように混入してもよい。な
お、ポルトランドセメントを使用する場合には、そのセ
メントの一部または全部が水和反応したものでも構わな
い。
【0019】これを、プレス機を使用して板状に加圧成
形を行う。加圧力は5〜30MPaが望ましい。このと
き、加圧面を樹脂で被覆したもの、または、シボ模様を
施したものにすると、その成形面は、有機短繊維の毛羽
立ちが無くなるので、見栄えがよくなる。樹脂を加圧面
に被覆する場合、樹脂の厚さは0.2〜数mm程度にす
るのが、また、シボ模様の場合は、10μm以上の凹凸
にするのが好ましい。
【0020】次に、前記加圧成形体を炭酸ガスで反応硬
化させる。反応条件は、温度が0〜100℃、炭酸ガス
濃度が2〜100%が工業的には好ましいが、例えば燃
焼時に発生する排気ガス中の炭酸ガス等も使用できる。
炭酸化反応により、トバモライト中のカルシウム成分が
炭酸カルシウムとなり抜けだし、細孔を多数有する非晶
質シリカができる。また、炭酸カルシウムは、その主成
分がカルサイトだけではなく、微細なバテライトも生成
する。これらの生成物により数nmの微細孔を持つ比表
面積の非常に大きな材料となる。
【0021】このようにして製造される本発明の調湿建
材は、高い湿気伝導率を有し湿度変化に対するレスポン
スが良い。図1に本発明の一実施形態に係わる調湿建材
の細孔径分布例を示すが、平均細孔径の両側にそれぞれ
ピークを持つことが特徴的である。平均より小さい細孔
径が比表面積を大きくし、大きな細孔径が湿気伝導率を
大きくする働きがあり、その相乗効果で高い調湿性が得
られる。湿気伝導率が高い材料は、湿度変化に対するレ
スポンスが速く、調湿建材としては好ましい。
【0022】また、本実施形態の調湿建材の一例につい
て、実際の湿度変化雰囲気での評価として、25℃の一
定温度条件で湿度70%、30%を24時間づつ保持す
る48時間1サイクルの試験を行い、材料の重量変化を
測定し、単位面積当たりの吸放湿量を測定したところ、
単位面積当たり80g/m以上あり吸放湿量が大き
い。
【0023】なお、湿気伝導率が高い材料は一般に連続
した空隙が多く、密度が低くなるため、強度が低くなる
ものが多いが、本実施形態の調湿建材は180m以上の
比強度を有するため強度的にも十分である。さらに有機
短繊維は、調湿建材全体として不燃性を十分確保するこ
とができる少ない添加量でありながら、施工時の切削加
工でチッピングや割れを起こりにくくし、かつ表面の毛
羽立ちをなくす材料である。
【0024】
【実施例1】石灰質原料粉末と珪酸質原料粉末を使い、
CaO/SiOが0.25となるように粉体を調整し
た。それをオートクレーブで、180℃の温度条件で4
時間トバモライトの合成を行った。この合成した粉末
に、表1に示す有機短繊維を混合し、ユニバーサルミキ
サー(月島機械社製)で均一に分散させた。その後プレ
ス成型機を用いて成形圧力を20MPaで、300mm
×300mm×8mm厚さの板を成形した。このときの
プレス金型は、1mm厚のウレタン樹脂で加圧面を被覆
した金型を使用した。
【0025】次に、加圧した成形体を市販炭酸ガスによ
って、炭酸硬化させた。成分、骨材の平均粒径について
は、有機短繊維による影響を考慮して、有機短繊維を添
加していないことだけ実施例1と異なる比較例1で分析
を行った。分析の結果、成形体の成分は、炭酸カルシウ
ムが29%、非晶質シリカが21%、骨材が49%であ
った。成分の分析は、炭酸カルシウムは、試料を6Nの
塩酸で溶解して、発生する炭酸ガス量から計算した。非
晶質シリカは、2Nの水酸化ナトリウムで溶解した量か
ら計算した。
【0026】骨材は、まず、試料を6Nの塩酸で溶解し
た後、溶解液をろ過し温水で十分洗浄する。次に、ろ紙
上に残ったものを2Nの水酸化ナトリウムで溶解し、塩
酸で中和した後ろ過し温水で十分洗浄する。最後にろ紙
上に残ったものが骨材であるのでこれを定量した。な
お、骨材の平均粒径は、SALD−2000粒度分布測
定装置(島津製)を用いて粒度分布を測定し、平均粒径
を求めた。これにより、骨材の平均粒径が68μmと求
められた。次に、炭酸硬化した実施例1の成形体の比表
面積と平均細孔直径を窒素吸着法、具体的には、マイク
ロメリテックス アサップ 2400(島津製)を用い
測定した。
【0027】次に調湿性能の評価として、JIS A1
324に準ずる方法で湿気伝導率を測定した。また、吸
放湿量を測定するために、一定温度の元で湿度変化を一
定間隔で繰り返す試験を以下の通り行った。まず材料
を、300mm角面を1面だけ調湿作用するように、他
の5面をアルミニウムシールで防湿処理を行った。これ
を環境試験器内で25℃の一定温度で、湿度を30%に
保ち試験体重量変動がなくなるまで放置した。
【0028】次に湿度を70%へ変更し24時間保持し
湿度上昇時の吸湿による重量変化を測定し、その後30
%へ変更し24時間保持し湿度低下による放湿時の重量
変化を測定する48時間1サイクルの試験を行い、試験
体の単位面積当たりの吸放湿量を測定した。なお、吸放
湿量は次の式で求めた。 吸放湿量=((吸湿時の重量変化+放湿時の重量変化)
/2)/試験体面積 以上の比表面積、平均細孔直径、湿気伝導率、吸放湿量
は表1及び表2に示した。
【0029】次に240mm×50mm×8mm(厚
さ)に切断加工し、四点曲げ試験を行った。試験条件
は、下部スパン200mm、上部スパン80mm、載荷
速度0.2mm/分で実施した。この試験から、曲げ強
度σおよび破壊エネルギーGをそれぞれ次式にした
がって算出した。
【数1】
【数2】 ここでPmaxは最大荷重(N)、LsおよびLuは下部
および上部のスパン長さ(Ls=200mm、Luは8
0mm)、bは試験片幅(mm)、hは試験片厚さ(m
m)、Aは荷重−変位曲線下の面積(Nmm)である。
【0030】次に木材用の切断刃を取り付けたジグソー
で切断し、チッピングや割れの状況を観察した。また、
各成形体の表面の毛羽立ちを目視により評価した。以上
の結果を表1及び表2にまとめた。この実施例におい
て、いずれの材料も比表面積が80〜250m/g、
平均細孔直径が1.5〜30.0nmとなるため、湿気
伝導率が9.0ng/(m・s・Pa)以上あり、吸放
湿量が70g/m以上となり調湿性能が高い材料であ
った。また、曲げ強度は、後述する繊維補強なしの比較
例1とほぼ同程度であるが、破壊エネルギーは大きく靭
性が高いことが明らかになった。その破壊力学パラメー
タと調和するように、切断によるチッピングや割れは発
生しておらず、切削加工性が高い材料であることがわか
る。さらに、表面の毛羽立ちもなく、外観上問題のない
状態であった。
【0031】
【実施例2】石灰質原料粉末と珪酸質原料粉末を使い、
CaO/SiOが0.6となるように粉体を調整し
た。それをオートクレーブで、180℃の温度条件で4
時間トバモライトの合成を行った。この合成した粉末
に、表1に示す有機短繊維を混合し、ユニバーサルミキ
サー(月島機械社製)で均一に分散させた。その後シボ
模様を付けた鋼製金型を取り付けたプレス成型機を用い
て成形圧力を20MPaで、300mm×300mm×
8mm厚さの板を成形し、ついで炭酸ガスで反応させ
た。
【0032】成形した材料について、実施例1と同様の
評価を行った。その結果を表2に示す。調湿性能は比較
例2の繊維添加していない材料とほぼ同じであった。ま
た、実施例1と同じ切削加工性が得られ、表面の毛羽立
ちもなかった。
【表1】
【表2】
【比較例1】実施例1と同じ条件で石灰質原料および珪
酸質原料からカルシウム/シリカ比を0.25に調整
し、珪酸カルシウム粉体を作製した。次いで繊維を添加
せずにプレス成形・炭酸反応を行い成形体を作製した。
【0033】この成形体の成分は炭酸カルシウムが29
%、非晶質シリカが21%、骨材が49%であった。成
分の分析は、実施例1に記載する方法と同様の方法で行
った。また、骨材の平均粒径が68μmと求められた。
比表面積、平均細孔直径、湿気伝導率、吸放湿量、曲げ
強度、破壊エネルギー、切削加工性、および表面性状に
ついては、表1に示した。
【0034】
【比較例2】比較例1と同様に繊維を添加しない材料を
作製した。ただし、カルシウム/シリカ比を0.6とし
た。この材料の成分は、炭酸カルシウムが50%、非晶
質シリカが36%、骨材が12%であった。また、骨材
の平均粒径が22μmと求められた。その他の評価値は
表1に示した。比較例1および比較例2は、それぞれ実
施例1、実施例2と同様に高い調湿性能を有していた。
しかし、破壊エネルギーが実施例1に比して低く、切削
加工試験ではチッピングが発生した。
【0035】
【比較例3】実施例1と同様も珪酸カルシウム粉末を調
整し、それに表2に示した繊維種類を混合した。次いで
プレス成形・炭酸ガス養生をおこない成形体を作製し
た。この成形体を実施例1と同様の評価を行った。その
結果を表2に示す。これらの成形体も調湿性能について
は、繊維を添加していない比較例1とほぼ同じ能力を有
していた。また、繊維長および添加量の増加によって切
削加工性は向上していることが分かる。しかし、表面の
毛羽立ちが多く見栄えが非常に悪い状態であった。
【0036】
【発明の効果】上述のように、本発明により、優れた調
湿性を持ち、強度も十分ある不燃性に優れた調湿建材が
得られ、しかも有機短繊維によって補強されているた
め、表面の毛羽立ちが無く優れた切削加工性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における細孔径分布を示すグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C04B 111:28 C04B 111:28 (72)発明者 稲垣 憲次 愛知県尾張旭市下井町下井2035番地 株 式会社建材技術研究所内 (72)発明者 平林 克己 愛知県尾張旭市下井町下井2035番地 株 式会社建材技術研究所内 (72)発明者 坂下 雅司 愛知県尾張旭市下井町下井2035番地 株 式会社建材技術研究所内 (56)参考文献 特開 平7−284628(JP,A) 特開 平8−81284(JP,A) 特開 平7−25679(JP,A) 特開2000−86371(JP,A) 特開 昭64−48965(JP,A) 特開2000−27358(JP,A) 特開 平8−294908(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 28/18 - 28/22 C04B 40/02 B01D 53/28 E04B 1/64 C04B 28/00 C04B 28/10 C04B 12/00 B28B 3/00 - 5/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭酸化硬化反応によって製造された成形体
    であって主成分が炭酸カルシウムと非晶質シリカである
    成形体からなる調湿建材において、窒素ガス吸着法によ
    るその比表面積が80〜250m/g、平均細孔直径
    が1.5〜30.0nmであり、かつ、有機短繊維を含
    有していることを特徴とする調湿建材。
  2. 【請求項2】 平均繊維長が500μm〜3mmの範囲
    であり、かつ、平均繊維長を平均繊維直径で除したアス
    ペクト比が50〜300の範囲の前記有機繊維を、前記
    成形体の0.1〜0.5容量%含有することを特徴とす
    る請求項1の調湿建材。
  3. 【請求項3】 前記有機短繊維は、ポリエチレン、ポリ
    プロピレン、ビニロン、アクリル、植物系の繊維のうち
    少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1又は2
    記載の調湿建材。
  4. 【請求項4】 前記成形体中に炭酸カルシウムが15〜
    65%、非晶質シリカが15〜45%並びに骨材及び多
    孔質材の一方又は双方が含まれていることを特徴とする
    請求項1ないし3のいずれかに記載の調湿建材。
  5. 【請求項5】 前記炭酸カルシウムにはバテライトが含
    まれることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに
    記載の調湿建材。
  6. 【請求項6】 骨材及び多孔質材の一方又は双方が60
    %以下含まれることを特徴とする請求項1ないし5のい
    ずれかに記載の調湿建材。
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