JP3209673B2 - 臨床検査における反応済検体の粒子凝集パターンの検査方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、凝集法を利用する血液
型やウイルス検査等の臨床検査において、マイクロプレ
ートのウェル内で反応させた反応済みの検体における粒
子凝集パターンの読取りと結果判定を自動的に行なうた
めの、検査方法についての改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】マイクロプレートの各ウェル内で反応さ
せた反応済みの検体の粒子の凝集像のパターンを自動判
別する手段には、その検体の粒子凝集パターンの情報と
して、いくつかパラメーターを求めて数字化してメモリ
ーに保存しておき、これらの数字化パラメーターを判定
基準値と比較して粒子凝集パターンの属性が凝集・非凝
集、その他のいずれに該当するかを判定する手段が従来
よりしられている。

【０００３】一方、検体の粒子凝集パターンのハードコ
ピーを用いる手段がある。この手段は、各ウェル内にお
いて所定の凝集パターンを呈しているマイクロプレート
の写真を撮り、この写真から判別を行なう手段である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】人間の目で粒子凝集パ
ターンの目視判定を行なうとき、あるパターンに対し
て、人間の認識に近似するように数字化して、これらの
数字による自動判定するとき、人間の目視判定とほぼ同
じ結果が得られる。このパターンに対する数字化方法を
課題として解決する。

【０００５】また、並列する各ウェル内に反応済みの各
検体が存在しているマイクロプレートの写真を撮るこ
と、あるいは数字化データーのみの判定結果の保存や、
各検体の粒子凝集パターンのハードコピーを作り、これ
に基いて粒子凝集パターンの判別を行なう手段は、大量
の検体の検査処理を行なう際に、撮った写真に個々の検
体ＩＤと検査結果を対応させるのにかなり時間と手間が
かかり、しかも、作業ミスを起こし易く、さらに、管理
も検索も不便である問題がある。

【０００６】また、個々の検体の粒子凝集パターンの特
徴値、検査結果等のデーターおよびその画像が、ファイ
ル化して保存し、随時検索できることの要望がある。

【０００７】本発明は、従来手段に生じている上述の問
題を解決するためになされたものであって、マイクロプ
レートの各ウェル内の反応済みの検体の粒子凝集パター
ンの検査および判別が精確に行なえ、かつ、各ウェルご
との個々の被検体の粒子凝集パターンの特徴値、検査結
果等の数字データーと共に個々の検体の画像データーも
ファイル化して保存できるようになり、かつ、プレート
ごとのプレートＩＤおよび、検体ごとの検体ＩＤによっ
て、検体の粒子凝集パターンの特徴値、検査結果および
それの画像データーが検索できるようになる。しかも、
保存した個々の検体の粒子凝集パターンの画像データー
からそのパターンをモニター上に濃淡、濃度分布断面、
三次元等の表示方式で再現表示できて、検体の粒子凝集
パターンの目視判定と、細かいところの分析比較によ
り、精度の向上確認及びデーターの修正が行なえる新た
な手段を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】そして、本発明において
は、上述の目的を達成するための手段として、マイクロ
プレート上のウェル内の反応済みの検体の粒子凝集パタ
ーンを、ＣＣＤカメラで撮影し、そのビデオ信号をＡ／
Ｄ変換して画像データーを得るとともにバッファーに取
込み、かつ、撮影された画像をディスプレー装置の画面
に表示するとともに記憶させ、さらに、前記画像データ
ー中の凝集像を中心とする有効部分の、粒子凝集パター
ンの各画素の濃淡から、ある濃度層の凝集粒子の平均密
度と凝集粒子集積量とを演算して、その濃度層における
粒子凝集パターンの特定値を求め、その特定値のパラメ
ーターを判定基準値と比較して検体凝集像の属性を判定
することを特徴とする臨床検査における反応済み検体の
粒子凝集パターンの検査方法を提起するものである。

【０００９】さらに詳細にいえば、この本発明手段にお
いて、マイクロプレート上に整列する各ウェル内の反応
済みの検体の粒子凝集パターンを、ＣＣＤカメラを用い
て行なう撮影は、信頼性と再現性の良いデーターを得る
ために、マイクロプレートを、複数に区画し、その区画
ごとに行なう。例えば、整列するウェルの数が１２０個
のプレートの場合でいえば、４分画して、５×６＝３０
個程度づつのウェル内の検体の粒子凝集パターンを撮影
するようにする。

【００１０】また、撮影した各ウェル内の検体の粒子凝
集パターンの画像の読取りおよびその画像の処理は、ビ
デオ信号をＡ／Ｄ変換して数字化データーとして画像処
理ユニットに送り、各ウェル内の検体ごとに個々に行な
う。

【００１１】このとき、ウェルの縁影の影響を避けるた
め、ウェルサイズよりやや小さい丸い区域を決めて、こ
の区域（有効部分という）内の画像データーを利用し
て、粒子凝集パターンの特徴値を求める。

【００１２】撮影した各ウェル内の検体の粒子凝集パタ
ーンの画像の読取りおよびその画像の処理の工程は、Ｃ
ＣＤカメラで撮影して画像処理ユニットに送る画像のビ
デオ信号をＡ／Ｄ変換を行なうことで、個々の検体の画
像データーが得られることになる。このとき、データー
は、粒子凝集パターンのホール内の有効部分だけを取り
出して、画像データーとする。この有効部分の画像デー
ターを使ってその検体のウェル内の粒子凝集パターンの
特徴値（濃度、体積等パラメーター）を演算し、その特
徴値のパラメーターを判定基準値と比較して判定結果を
行なう。さらに検体単位ごとの各ウェルにおける判定結
果によって綜合結果判定を行なう。

【００１３】また、得られた画像データーは、データー
保存装置に記憶させるが、その装置の容量の節約の為
に、前述の粒子凝集パターンのホール内の有効部分だけ
を取出して個々の検体の画像データーとして保存する。

【００１４】また、判定特徴値の算出精度を保つ為に粒
子凝集パターンの物理重心が、いつも前述有効部分の中
心に合わせるように、１ウェルずつ粒子凝集パターン中
心位置確定処理を行う。

【００１５】また、画像読取り処理が正確に行なわれる
ようにするため、一つのウエルごとに行なうが、このと
き、読取った画像データーを一たんバッファーに取り込
み、画像がディスプレー画面に表示されるウインドウの
中心を、そのウェル内の検体の粒子凝集パターンの画像
イメージの物理重心座標に合わせるウインドウ移動作動
がウエルごとに行なわれる。

【００１６】このウインドウ移動の作動は、再帰処理を
利用することで、検体の粒子凝集パターンの物理的重心
が初期ウインドウ内の任意の点にあれば、ウインドウ中
心を検体の粒子凝集パターンの画像イメージの物理的重
心に自動的に合わせるようになる。

【００１７】ＣＣＤカメラで撮影された検体の粒子凝集
パターンの画像の処理は、その粒子凝集パターンの画像
上に、その粒子凝集パターンの画像イメージの物理重心
を中心とする有効部分を合わせて、画像データー中の凝
集像を中心とする有効部分を取出し、その有効部分の粒
子凝集パターンの各画素の濃淡によって、ある濃度層上
の凝集粒子の濃度値を統計し換算する。これにより、あ
る濃度層の凝集粒子の平均密度と凝集粒子集積量とを演
算して、その濃度層における粒子凝集パターンの特定値
を求めて、これらのデーターをパラメーターとして、判
定基準値と比較して検体凝集像の属性を判定する。これ
により、ほぼ目視の判定と同じ結果が得られるようにな
る。

【００１８】また、画像データーの記録は、ウェル単位
で有効パターンエリアの各ピクセルの透過率データーを
外部メモリーに記憶させることで行なう。この記憶させ
た画像データーにより再判定が行なわれる。さらにこの
記憶させた画像データーを元として粒子凝集パターンの
濃淡像をディスプレー画面上に還元して、パターンの中
心に対して、複数リング上の濃度相関演算により目視方
向と垂直方向の濃度分布に関している平均断面図及び、
粒子凝集パターンの細部まで、はっきり見える三次元図
の表示が行なえる。

【００１９】前述の判定結果や粒子凝集パターンの表示
は、プレートＩＤと検体ＩＤとで管理させて、一つの画
面上に同時表示し得るようにする。

【００２０】上述の判定結果や粒子凝集パターンは、プ
レートＩＤと検体ＩＤで管理させて、必要な時に、プリ
ンターにそのデーターを入力させることで、そのプリン
ターによりハードコピーの一枚シート上に同時にプリン
トされるようになる。

【００２１】

【実施例】以下の図面を参照して、本発明の一つの実施
例を説明する。図１は実施例の検査装置の全体システム
構成図、図２はディスプレー装置の画面に表示した画面
表示の一例、図３はプリンターによりシートにプリント
した粒子凝集パターンの一例で、図１において、１は反
射ミラー、２はマイクロプレート、３は光源、４はＣＣ
Ｄカメラ、５はマイクロプレート２を移動させる移動機
構の駆動およびそれの作動の制御ならびにＣＣＤカメラ
の作動の制御を行なう駆動・制御機構、６は画像処理ユ
ニット、７はディスプレー装置、８はパソコン、９はプ
リンターを示す。

【００２２】マイクロプレート２は、微量の検体を収容
させる多数のウェルが整列して設けてある通常のもの
で、図では省略している機体に前後および左右に移動自
在に支架してある支台上に載架され、その支台が、前記
機体に組込まれる駆動・制御機構５により変位作動を行
なうことで、所望量前後方向および左右方向に変位し判
定に必要なピクセルが得られるようにマイクロプレート
の分割読取を行なう。

【００２３】前記駆動・制御機構５は、パソコン８の機
内に組込まれているコンピュータからの指令により、前
述のマイクロプレート２およびＣＣＤカメラ４の駆動制
御を行なう。

【００２４】画像処理ユニット６は、ＣＣＤカメラ４か
らの映像のビデオ信号を、Ａ／Ｄ変換して数字化データ
ー（画像データー）するＡ／Ｄ変換装置およびこのデー
ターを一時的に記憶するバッファーを具備する。

【００２５】ディスプレー装置７は、データーを文字・
図形としてブラウン管に表示する通常のものであるが、
ＣＣＤカメラ４により撮影した検体の粒子凝集パターン
が画面上のウインドウにモニターされるようにしてあ
る。

【００２６】パソコン８は、内部にコンピュータが組込
まれ、それにより、前述の駆動・制御機構５のコントロ
ール、および画像処理ユニット６から入力される画像デ
ーターの演算処理、ならびにディスプレー装置７の画面
上のウインドウにモニターされる粒子凝集パターンの画
像の有効区域の確定処理、中心位置確定処理等のコント
ロールが行なわれる。

【００２７】プリンター９は、供給するシートに対し、
入力される信号により、所定の文字・図形をプリントす
る通常のもので、パソコン８から送り出される信号によ
り、ＣＣＤカメラで撮影した粒子凝集パターンのの画像
データー等がプリントされる。

【００２８】上述の検査装置に供給した反応済みの検体
の粒子凝集パターンが、各ウェルにのせてあるマイクロ
プレート２は、駆動・制御機構５によって光源３の上方
の所定位置に搬送される。

【００２９】このマイクロプレート２の各ウェル内の粒
子凝集パターンは、それの映像がミラー１によってＣＣ
Ｄカメラ４に送られて、その映像信号は、画像処理ユニ
ット６によって画像データーに変換される。

【００３０】この画像データーは、パソコン８のコント
ロールによって、粒子凝集パターンの有効区域確定、中
心位置確定処理等が掛けられてから、ウェル内の粒子凝
集パターンの凝集程度に関している各粒子凝集パターン
のそれぞれの特徴値がウェルごとに演算される。

【００３１】ワンウェルごとに算出された粒子凝集パタ
ーンの特徴値のパラメーターを予め設定しておく判定基
準値と比較することで、粒子凝集パターンの結果が得ら
れる。一検体の全ウェルパターンの結果を綜合判定条件
に比較して綜合結果が得られる。

【００３２】前記粒子凝集パターンの特徴値、各ウェル
ごとの判定結果、検体単位ごとの綜合結果と各ウェルご
との画像データーをファイル化して、パソコンのハード
ディスクに保存する。

【００３３】保存したファイルをロードして、そのファ
イルの含んでる検体の特徴値データーや判定結果、ある
いは粒子凝集パターンの画像イメージをモニター７上に
表示し、プリンター９でプリントする。

【００３４】

【発明の効果】この発明によれば、次の効果が得られ
る。各ウェルごとの検体の粒子凝集パターンの、凝集、
非凝集等の自動判定結果と共に粒子凝集パターンのイメ
ージも保存できるため、異常結果やデーターが発生した
場合はすぐその粒子凝集パターンをモニター上に表示さ
せることで照合できる。

【００３５】貴重な粒子凝集パターンの数字化データー
（特徴値）及びＣＣＤカメラで撮影した画像データーを
長期間的に（該当ファイルを削除しなければ）保存で
き、かつ多方式イメージ表示や印刷ができる。数字上の
データーに加えてＣＣＤ撮影による画像データーを保存
することによって、過去に溯り数値データーの再確認や
判定の基本情報としての記録を残しておくことができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による検体の粒子凝集パターンの検査装
置の全体のシステム構成図の一例である。

【図２】ディスプレー装置の画面に表示した粒子凝集パ
ターンの平面図と３次元図である。

【図３】プリンターによりシートにプリントした粒子凝
集パターンの平面図と断面図である。

【符号の説明】

１…反射ミラー、２…マイクロプレート、３…光源、４
…ＣＣＤカメラ、５…駆動・制御機構、６…画像処理ユ
ニット、７…ディスプレー装置、８…パソコン、９…プ
リンター。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 マイクロプレート上のウェル内の反応済
   みの検体の粒子凝集パターンを、ＣＣＤカメラで撮影
   し、そのビデオ信号をＡ／Ｄ変換して画像データーを得
   るとともにバッファーに取込み、かつ、撮影された検体
   凝集画像をディスプレー装置の画面に表示するとともに
   記憶させ、さらに、前記画像データー中の凝集像を中心
   とする有効部分の、粒子凝集パターンの各画素の濃淡か
   ら、ある濃度層の凝集粒子の平均密度と凝集粒子量とを
   演算して、その濃度層における粒子凝集パターンの特定
   値を求め、その特定値のパラメーターを判定基準値と比
   較して検体凝集像の属性を判定することを特徴とする臨
   床検査における反応済検体の粒子凝集パターンの検査方
   法。