JP3208602B2 - α,β−不飽和ニトリルを有する脂環式多環族とメタクリレート誘導体との共重合体 - Google Patents

α,β−不飽和ニトリルを有する脂環式多環族とメタクリレート誘導体との共重合体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、下記構造式(3)で示
される1−(1’−シアノエテニル)アダマンタンとメ
タクリレート誘導体との重合体とこの新規な重合体より
なるフォトレジストとに関するものであり、前記の新規
な重合体は、電子、光学、医薬、農薬等の機能性高分子
材料として有用である。
【0002】
【化3】
【0003】
【0004】
【従来の技術】アダマンタン核に重合性の2重結合を有
するある種の化合物は知られている。例えば、1−ビニ
ルアダマンタン等があるが、臭化アルミニウム等のカチ
オン性触媒による単独重合体や〔Miljenko Zuanic et a
l., J. Polym. Sci., Polym. Lett. Ed., 19, 387(198
1) 〕、電子密度がかなり低い2重結合を持つ無水マレ
イン酸や、マレイミドとのラジカル共重合体が知られて
いるのみである。
【0005】
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの共重合体では
例えば、重合体の硬度が高すぎて薄膜化等の加工をする
ことが難しいという欠点や、遠紫外領域における光の吸
収が強い等、半導体製造におけるフォトレジストにも不
適であった。また、このような化合物ではアクリレート
誘導体やメタクリレート誘導体とのラジカル開始剤、ま
たはアニオン開始剤による共重合体を得ることはその性
質から不可能であり、材料の改質を図ることは困難であ
った。
【0007】本発明の目的は、これらの欠点を解消する
ことにあり、薄膜化等の加工が容易であり、遠紫外領域
における光の透過度が高く、半導体製造におけるフォト
レジストにも適した共重合体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、式(1)
で示される1−(1’−シアノエテニル)アダマンタン
とメタクリレート誘導体との新規な共重合体によって達
成される。
【0009】式(1)で示される共誘導体は、1−
(1’−シアノエテニル)アダマンタンとメタクリレー
ト誘導体を出発原料とし、例えば、ベンゼン、トルエン
等の芳香族系炭化水素を用いて、窒素・アルゴン等の不
活性ガス雰囲気下においてアゾビスイソブチロニトリル
のようなアゾ系ラジカル開始剤を用いてラジカル重合で
きるし、n―ブチルリチウム等のアルキルリチウム類、
フェニルマグネシウムブロマイド等のグリニヤール試薬
を用いてアニオン重合もできる。さらに、テトラヒドロ
フランを用いて窒素・アルゴン等の不活性ガス雰囲気下
においてカリウムt−ブトキサイドのような金属アルコ
キシド試薬を用いてアニオン重合することも容易であ
る。
【0010】また、1−(1’−シアノエテニル)アダ
マンタンと共重合できる化合物には、上記のメタクリレ
ート誘導体の他に、同程度のQ、e値を持つモノマーで
あれば種類は特に制限されないが、電子材料や、光学材
料として活用する場合の好ましい共重合性モノマーとし
ては、その他に、アクリレート誘導体等が非限定的に例
示される。
【0011】共重合の方法も特に限定はされないが、望
ましくはテトラヒドロフランを用いて、窒素・アルゴン
等の不活性ガス雰囲気下において金属アルコキシド試薬
を用いてアニオン共重合を行うことが推奨される。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】本発明の1−(1’−シアノエテニル)ア
ダマンタンとメタクリレート誘導体の共重合体は、例え
ば上記のような方法によって製造することができるが、
本発明では製造方法そのものは一切限定されないので、
上記の方法の他、公知の様々な方法を適宜応用して製造
することも勿論可能であり、それらは前記の構造式
(1)を満足するものであるかぎり全て本発明の技術的
範囲に含まれる。このようにして得られる共重合体は全
く新規な化合物であり、従来の材料では得られない特性
が期待できるため、電子材料を始めとし、光学材料・医
薬・農薬等の機能性高分子材料として実用性が高い。更
に、現在までに知られている1−ビニルアダマンタンを
重合成分として含む共重合体には、かなり電子密度の低
い二重結合を持つモノマー、例えば無水マレイン酸やマ
レイミドを共重合相手成分とするものや、二酸化硫黄と
の共重合体については知られているが、これらの共重合
体が持つ硬さ、遠紫外領域における吸収等の欠点を、シ
アノ基を導入したアダマンタン誘導体を用いることによ
り、メタクリレート誘導体との共重合を可能にし、透明
性に優れ、かつ、適度な軟らかさを共重合体に付与する
ことが可能になり、加工性も向上した。これにより、電
子材料を始めとする機能性高分子材料として従来までの
重合体以上に機能性高分子材料としての適用範囲を広げ
ることができる。
【0017】
【作用】従来使用されているフェノールノボラック系の
フォトレジストは、波長の短い光に対して吸収が強く、
例えば波長193nmのArFエキシマレーザ光に対し
ては不透明であり、波長248nmのKrFエキシマレ
ーザ光でも透明性低いことから、パターン形状が非常に
悪く、感度も低いと云う欠点がある。これに対し、本発
明に係る重合体の光透過度は、波長248nmの光に対
しては90%、波長193nmの光に対しては50%と
高いので、適当な光酸発生剤と組み合わせることによ
り、KrFだけでなく、波長の短いArFエキシマレー
ザによっても露光が可能になる。また、露光領域の光酸
発生剤から発生する酸が連鎖的に化学反応を引き起こす
ので高感度であり、また、その酸によってベースポリマ
ーがアルカリ水溶液に対して可溶となるため、アルカリ
水溶液による現像が可能になり、現像後のレジストパタ
ーンの膨潤がなくなる。この結果、高感度でかつ微細な
レジストパターンの形成が可能になり、しかも、ドライ
エッチング耐性が高いので、新型化学増幅型ポジレジス
トとして極めて有望である。
【0018】以下、本発明の三つの実施例に係る重合体
について説明する。
【0019】第1実施例 1−(1’−シアノエテニル)アダマンタンーメタクリ
ル酸メチル共重合体の製造方法について説明する。
【0020】50mlの3つ口フラスコに、窒素吹き込
み管・塩化カルシウム管・ジムロート冷却器をつけ、テ
フロンコーティングされたスターラーバー、5g(2
6.7mmol)の1−(1′−シアノエテニル)アダ
マンタン、2.67g(26.7mmol)のメタクリ
ル酸メチルを入れ窒素を20分間バブリングさせる。1
75mg(1.06mmol)のアゾビスイソブチロニ
トリルを加え、窒素をゆっくりと通じながら75℃で攪
拌する。12時間後少量のヒドロキノンを含む1lのヘ
キサンに反応溶液を滴下し生じた沈澱をガラスフィルタ
ーで濾過する。濾別した沈澱を50℃・0.5mmHg
で6時間乾燥させ、得られた粉末をテトラヒドロフラン
で溶解させ再び上記のように沈澱、乾燥させる。更にも
う一度溶解、沈澱させ、50℃・0.5mmHgで12
時間乾燥させて下記に示すように共重合体を得た。
【0021】収量:566mg, 収率:7.4% 組成比: アダマンタン:メタクリレート=10:90 重量平均分子量(Mw):3100, 分散:1.22 IR(KRS-5, cm -1): 2993, 2951, 2233(vw), 1733
(s), 1484, 1450,1242, 1193, 1150, 989(m), 751(w) 但し、s:strong, m:medium, w:weak, vw:very
weak
【0022】第2実施例 1−(1’−シアノエテニル)アダマンタンーメタクリ
ル酸t−ブチル共重合体の製造方法について説明する。
【0023】窒素導入管、塩化カルシウム管、ラバーセ
プタムを付け、テフロンコーティングされたスターラー
バーを入れ十分に乾燥させた100mlの3つ口フラス
コに、8.70g(46.4mmol)の1−(1′−
シアノエテニル)アダマンタン、4.4g(30.9m
mol)のメタクリル酸t−ブチル、347mg(3.
1mmol)のカリウムt−ブトキサイド、15.5m
lのテトラヒドロフランを加え、窒素雰囲気下0℃で攪
拌する。18−クラウン−6の1Mテトラヒドロフラン
溶液3.1ml(3.1mmol)をゆっくり加え、2
時間0℃で、その後室温で17時間攪拌する。コマーシ
ャルグレードのテトラヒドロフランを10ml加えて反
応を停止し、反応溶液を1.5lのメタノールに注いで
沈澱させる。生じた沈澱をガラスフィルターで濾別し
て、50℃、0.2mmHgで6時間乾燥させる。得ら
れた粉末をテトラヒドロフランに溶解させ、上記のよう
に沈澱、濾過、乾燥させて粉末を得る。これを再びテト
ラヒドロフランに溶解させ、沈澱、濾過、次いで50
℃、0.2mmHgで12時間乾燥させて下記に示すよ
うに共重合体を得た。
【0024】収量:2.93g, 収率:22.4% IR(KRS-5, cm -1): 2976, 2932, 2909, 2853, 223
1(w), 1723, 1477,1456, 1393, 1368, 1253, 1140, 84
9 重量平均分子量(Mw):17000, 分散 (Mw/Mn):
1.50 組成比: アダマンタン:メタクリレート=20:80
【0025】第3実施例 1−(1’−シアノエテニル)アダマンタンーメタクリ
ル酸テトラヒドロピラニル共重合体の製造方法について
説明する。
【0026】窒素導入管、塩化カルシウム管、ラバーセ
プタムを付け、テフロンコーティングされたスターラー
バーを入れ十分に乾燥させた100mlの3つ口フラス
コに、8.00g(42.7mmol)の1−(1′−
シアノエテニル)アダマンタン、4.85g(28.5
mmol)のメタクリル酸テトラヒドロピラニル、3.
6ml(3.6mmol)の1Mカリウムt−ブトキサ
イド/テトラヒドロフラン溶液、14.2mlのテトラ
ヒドロフランを加え、窒素雰囲気下0℃で攪拌する。1
8−クラウン−6の1Mテトラヒドロフラン溶液3.6
ml(3.6mmol)をゆっくり加え、1時間0℃
で、その後室温で17時間攪拌する。コマーシャルグレ
ードのテトラヒドロフランを10ml加えて反応を停止
し、反応溶液を900mlのヘキサンと100mlのジ
エチルエーテルの混合溶液に注いで沈澱させる。生じた
沈澱をガラスフィルターで濾別して、50℃、0.2m
mHgで6時間乾燥させる。得られた粉末をテトラヒド
ロフランに溶解させ、上記のように沈澱、濾過、乾燥さ
せて粉末を得る。これを再びテトラヒドロフランに溶解
させ、沈澱、濾過、次いで50℃、0.2mmHgで1
6時間乾燥させて下記に示すように共重合体を得た。
【0027】収量:2.78g, 収率:21.6% IR(KRS-5, cm -1): 2942, 2233(vw), 1730, 1554,
1455, 1388,1358, 1168, 1113, 1037, 943, 901, 870,
598(m) 重量平均分子量(Mw):12000, 分散 (Mw/Mn):
1.25 組成比: アダマンタン:メタクリレート=31:69 (B)2−ノルボルネン−2−カルボニトリルとメタク
リレート誘導体との重合体
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明に係るα,
β−不飽和ニトリルを有する脂環式多環族とメタクリレ
ート誘導体との共重合体においては、波長の短い光に対
しても透過度が高いので、光酸発生剤と組み合わせるこ
とによってArFエキシマレーザ等の波長の短い光によ
る露光・現像が可能であり、また、適度な軟らかさを有
するため薄膜化加工が容易であるので、微細なパターン
形成が要求されるフォトレジストとしては勿論、電子、
光学、医薬、農薬等の分野における機能性高分子材料と
して有用である。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 但し、Rはt−ブチル基またはテトラヒドロピラニル基
    であり、m・nは正の整数である。 で示される繰り返し単位を有する ことを特徴とする1−(1’−シアノエテニル)アダマ
    ンタンとメタクリレート誘導体との重合体。
  2. 【請求項2】 重量平均分子量が3100である ことを特徴とする請求項1記載の1−(1’−シアノエ
    テニル)アダマンタンとメタクリレート誘導体との重合
    体。
  3. 【請求項3】 重量平均分子量が17000である ことを特徴とする請求項1記載の1−(1’−シアノエ
    テニル)アダマンタンとメタクリレート誘導体との重合
    体。
  4. 【請求項4】 重量平均分子量が12000である ことを特徴とする請求項1記載の1−(1’−シアノエ
    テニル)アダマンタンとメタクリレート誘導体との重合
    体。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3、または、4記載の、
    1−(1’−シアノエテニル)アダマンタンとメタクリ
    レート誘導体との重合体よりなるフォトレジスト。
JP17312992A 1992-06-10 1992-06-30 α,β−不飽和ニトリルを有する脂環式多環族とメタクリレート誘導体との共重合体 Expired - Lifetime JP3208602B2 (ja)

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