JP3208310B2 - 電気音響変換装置 - Google Patents

電気音響変換装置

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JP3208310B2
JP3208310B2 JP30844895A JP30844895A JP3208310B2 JP 3208310 B2 JP3208310 B2 JP 3208310B2 JP 30844895 A JP30844895 A JP 30844895A JP 30844895 A JP30844895 A JP 30844895A JP 3208310 B2 JP3208310 B2 JP 3208310B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駆動コイルに電気
信号としての交播電流を流して駆動力を発生させ、該駆
動力によって振動板を振動させて、電気信号を音響に変
換する電気音響変換装置に関し、特に薄型化に有効な構
造を有する電気音響変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電気音響変換装置として、フレミ
ングの左手の法則に従う電磁力を利用したダイナミック
型スピーカと、磁気誘導の結果として生じる吸引力及び
反発力を利用したマグネティック型スピーカが知られて
いる。
【0003】図11は、ダイナミック型スピーカの構造
を示している。一端が開口した円筒状のカバー(11)と、
カバー(11)と外径が等しく一端が開口した円筒状のフレ
ーム(22)を接合することによって、扁平なケーシングが
構成されている。カバー(11)には、放音の為の複数の小
さい孔(12)が円陣に開設されている。ケーシングの中央
部には円盤状の振動板(40)が配置され、該振動板(40)は
カバー(11)とフレーム(22)の間に外周部を挟まれて固定
されている。振動板(40)の下面には、振動板(40)に対し
て垂直の巻軸を有する円筒状の駆動コイル(30)が固定さ
れている。又、フレーム(22)の中央部には内側へ向けて
凹部が形成され、該凹部には円盤状のヨーク(8)が取り
付けられている。ヨーク(8)の中央部には、円盤状の直
流磁界発生用マグネット(50)が固定されている。直流磁
界発生用マグネット(50)の上面にはポールピース(9)が
取り付けられ、該ポールピース(9)とヨーク(8)との間
にリング状の空隙G′が形成されている。該空隙G′に
は、前記駆動コイル(30)が余裕を持って収容されてい
る。又、ケーシングには前記駆動コイル(30)に交播電流
を流すための電極(70)が取り付けられている。
【0004】ダイナミック型スピーカにおいて、直流磁
界発生用マグネット(50)から発生する磁束はヨーク(8)
及びポールピース(9)に導かれて、図中に破線で示す様
に空隙G′に集束され、これによって空隙G′には磁界
が発生する。従って、電極(70)を通して駆動コイル(30)
に電気信号(交播電流)を流すことにより、駆動コイル(3
0)には、フレミングの左手の法則に基づく電磁力が生じ
る。この結果、振動板(40)は駆動コイル(30)と一体に振
動することとなり、電気信号が音響に変換される。
【0005】図12は、マグネティック型スピーカの構
造を示している。一端が開口した円筒状のカバー(13)
と、カバー(13)と外径が等しく一端が開口した円筒状の
フレーム(23)を接合することによって、扁平なケーシン
グが構成されている。カバー(13)の内面の中央部には、
丸軸状のポールピース(90)が下向きに突設され、ポール
ピース(90)の周囲には放音の為の複数の小さい孔(14)が
円陣に開設されている。又、ポールピース(90)を包囲し
て駆動コイル(31)が配置され、カバー(13)の内面に固定
されている。更に駆動コイル(31)を包囲して直流磁界発
生用マグネット(51)が配置され、カバー(13)の内面に固
定されている。一方、フレーム(23)上には、ポールピー
ス(90)との間に所定の空隙G″をおいて振動板(41)が配
置され、その外周部がフレーム(23)の内周壁に固定され
ている。
【0006】マグネティック型スピーカにおいて、直流
磁界発生用マグネット(51)から発生する磁束はカバー(1
3)及びポールピース(90)により導かれて、図中に破線で
示す様に空隙G″に集束され、該空隙G″を通過して振
動板(41)に至る。これによって、空隙G″には磁界が発
生し、振動板(41)は磁気誘導によって磁化される。この
結果、振動板(41)は、ポールピース(90)から吸引力を受
けて弾性変形し、吸引力と弾性復帰力とがつり合った力
学的中点にて静止する。ここで、電極(71)を通して駆動
コイル(31)に電気信号(交播電流)を流すと、駆動コイル
(31)によって右ねじの法則に従う磁界が発生する。該磁
界が前記空隙G″に発生した磁界を変化させるために、
振動板(41)の受ける吸引力が変化し、振動板(41)は前記
力学的中点を中心として振動することになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図11
のダイナミック型スピーカにおいては、振動板(40)の駆
動に寄与しない漏洩磁束が多く、これが損失となるため
に充分な効率は得られない問題がある。
【0008】一方、図12のマグネティック型スピーカ
においては、ポールピース(90)と振動板(41)の間の空隙
G″を狭めることが漏洩磁束の減少、ひいては高効率化
に有効であるが、空隙G″を過度に小さく設定すると、
振動板(41)がポールピース(90)に接触して異常音を発す
る問題が生じる。これを防止するには振動板(41)として
剛性の大きいものを用いる必要があるが、この場合、低
音が発し難く、音域が狭められることになる。この結
果、空隙G″はある程度大きな値となって、効率が低く
なっていた。
【0009】又、ダイナミック型スピーカ及びマグネテ
ィック型スピーカの何れにおいても、ヨークやポールピ
ースが必要であるために部品点数が多く、スピーカ全体
の厚さが大きくなることが問題となっている。本発明の
目的は、薄型で高効率の電気音響変換装置を提供するこ
とである。
【0010】
【課題を解決する為の手段】本発明に係る電気音響変換
装置は、金属製フレーム(2)とカバー(1)とを組み合わ
せて扁平なケーシング(21)を形成している。該ケーシン
グ(21)の内部には、外周部をケーシング(21)に固定され
た振動板(4)と、振動板(4)の一方の面の中央部に固定
されると共に該振動板(4)に対して垂直の巻軸を有する
円筒状の駆動コイル(3)と、振動板(4)及び駆動コイル
(3)との間に所定の空隙Gを設けて金属製フレーム(2)
の内面に固定されると共に該駆動コイル(3)と同軸上に
配置された円盤状の直流磁界発生用マグネット(5)とを
具えている。又、前記金属製フレーム(2)には、直流磁
界発生用マグネット(5)の外周面に可及的に密着する垂
直周壁部(25)と、該垂直周壁部(25)のカバー(1)側の先
端から金属製フレーム(2)の外周部へ向けて振動板(4)
と平行に伸びる水平壁部(24)とが形成され、該直流磁界
発生用マグネット(5)の駆動コイル(3)側の一面全域か
ら放射される磁束の大部分が、前記空隙Gを通過して駆
動コイル(3)に至っている。
【0011】上記本発明の電気音響変換装置において、
直流磁界発生用マグネットからは駆動コイルに向けて放
射状に磁束が出射され、その殆どが駆動コイルを通過す
る。該駆動コイルを通過する磁束は、径方向に対して垂
直な成分と平行な成分に分解され、垂直成分によって、
駆動コイルには、直流磁界発生用マグネットとの関係で
吸引力或いは反発力が生じると共に、平行成分によっ
て、駆動コイルに流れる電流との関係でフレミングの左
手の法則に基づく電磁力が生じる。この結果、振動板は
駆動コイルと一体に振動することとなり、電気信号が音
響に変換されるのである。この様に、直流磁界発生用マ
グネットから放射される磁束を集束させることなく空隙
に放射させるので、ヨークやポールピースは不要であ
り、これによって部品点数が少なくなり、薄型化が可能
となる。
【0012】ところで、駆動コイルを径方向に対して略
平行に通過する磁束によって生じる駆動力即ち、フレミ
ングの左手の法則に基づく駆動力は、径方向に対して略
垂直に通過する磁束によって生じる駆動力よりも、振動
板の駆動に大きく寄与することが実験的に確認されてい
る。そこで、本発明では、直流磁界発生用マグネットの
外周面と金属製フレームの垂直周壁部を可及的に密着さ
せることによって、フレミングの左手の法則に基づく駆
動力を主体として振動板を駆動する。即ち、直流磁界発
生用マグネットから出射された磁束は、水平壁部及び垂
直周壁部による吸引作用を受け、駆動コイルを通過する
磁束は径方向に対して略平行となる。この結果、振動板
は、フレミングの左手の法則に基づく駆動力を主体とし
て駆動され、駆動コイルと一体に振動することとなる。
この様に、フレミングの左手の法則に基づく駆動力を有
効に利用するので、振動板を効率的に駆動し、効率を向
上させることが出来る。
【0013】又、上述の如く直流磁界発生用マグネット
から発生する磁束を、駆動コイルの径方向に対して略平
行な分布とすることによって、磁束密度の高い位置は直
流磁界発生用マグネットに接近すると考えられる。従っ
て、駆動コイルを直流磁界発生用マグネットの近傍に設
置することによって、直流磁界発生用マグネットと駆動
コイルの空隙を狭くすることが出来、更に装置の薄型化
を図ることが可能である。
【0014】具体的には、金属製フレームの水平壁部の
カバー側の表面は、直流磁界発生用マグネットのカバー
側の表面と同一面に形成されている。
【0015】該具体的構成は、駆動コイルを通過する磁
束を径方向に対して略平行な分布とするのに最適な設計
であり、より効率的に振動板を駆動することが出来る。
【0016】又、具体的には、カバー或いは金属製フレ
ームには、放音の為の孔が開設されており、何れの場合
も上述の原理で振動板が駆動され、音響が該孔を通して
装置の外部に放たれる。
【0017】更に具体的には、駆動コイルは振動板の直
流磁界発生用マグネット側の面、或いはその反対側の面
に固定されており、何れの場合も上述の原理で振動板が
駆動される。
【0018】
【発明の効果】本発明に係る電気音響変換装置によれ
ば、ヨークやポールピースを省略することが出来るので
装置の薄型化が可能である。又、直流磁界発生用マグネ
ットから発生する磁束を、駆動コイルの径方向に対して
略平行な分布とすることにより、直流磁界発生用マグネ
ットと駆動コイルの空隙を狭くすることが出来、これに
よって更に装置の薄型化が可能である。然も、直流磁界
発生用マグネットから発生する磁束を有効に振動板の駆
動に利用するので、電気音響変換の効率を向上させるこ
とが出来る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、携帯電話機等に
装備される小型のスピーカに実施した形態につき、図面
に沿って具体的に説明する。本発明のスピーカにおいて
は、図1及び図2に示す様に一端が開口した皿状の金属
製フレーム(2)と円盤状のカバー(1)とを組み合わせる
ことによって、扁平なケーシング(21)が構成されてい
る。カバー(1)は、例えばステンレスSUS304等の
金属から形成され、放音の為の直径1.8mmの孔(10)
が90°の間隔で4個開設されている。
【0020】一方、金属製フレーム(2)は、低炭素鋼を
用いて冷間鍛造により形成されている。金属製フレーム
(2)は、水平壁部(24)、垂直周壁部(25)及び底壁部(26)
から構成され、これによって、金属製フレーム(2)の内
面中央部には、外側へ向けて直径9.0mm、深さ1.0
mmの円筒形の凹部が形成されている。又、前記金属製
フレーム(2)の水平壁部(24)には、直径1.2mmの孔
(20)が22.5°の間隔で11個開設されている。更
に、前記金属製フレーム(2)の凹部には、金属製フレー
ム(2)の中心軸上に、ネオジウムを主成分とする外径
9.0mm、厚さ1.0mmの円盤状の直流磁界発生用マ
グネット(5)が、アクリル系又はエポキシ系等の熱硬化
型接着剤によって固定されている。該直流磁界発生用マ
グネット(5)の外周面は、金属製フレーム(2)の垂直周
壁部(25)の内周面に密着すると共に、マグネット上面は
水平壁部(24)の上面と同一面に揃っている。
【0021】ケーシング(21)の内部には、円盤状の振動
板(4)が配置され、該振動板(4)の外周部がカバー(1)
と金属製フレーム(2)の間に挟まれて接着固定されてい
る。該振動板(4)は、例えば75〜100μmの厚さを
有するポリエチレンテレフタレートPETから形成され
る。振動板(4)の下面には、直流磁界発生用マグネット
(5)との間に0.2mmの空隙Gを設けて、直流磁界発
生用マグネット(5)と同軸上に駆動コイル(3)が設置さ
れ、ゴム系接着剤によって固定されている。該駆動コイ
ル(3)は、銅線を巻回することによって外径9.5m
m、内径7.0mmに形成されている。ここで、駆動コ
イル(3)の外径は、直流磁界発生用マグネット(5)の外
径の80%以上116%以下、望ましくは88%以上1
07%以下とされる。一方、内径については、直流磁界
発生用マグネット(5)の外径の66%以上94%以下、
望ましくは77%以上89%以下とされる。これによっ
て、後述する平行磁束成分による駆動コイル(3)の効率
的駆動が可能となる。
【0022】金属製フレーム(2)の水平壁部(24)裏面に
は、孔(20)を被う位置にC字形の薄い吸音材(6)が接着
固定されている。又、金属製フレーム(2)の水平壁部(2
4)裏面において、前記吸音材(6)が存在しない領域に
は、ベークライトからなる厚さ0.5mmのターミナル
板(7)が取り付けられている。該ターミナル板(7)のタ
ーミナル(図示省略)には駆動コイル(3)から伸びるリー
ド線(図示省略)が、半田付けによって接続されている。
該ターミナルには、駆動コイル(3)に通電すべき交播電
流が供給される。
【0023】次に、上記本発明のスピーカにおける動作
を、図3に基づき具体的に説明する。図3(a)(b)は、
直流磁界発生用マグネット(5)から放射されて駆動コイ
ル(3)を通過する磁束と、その磁束によって生じる駆動
力の方向を示したものである。尚、直流磁界発生用マグ
ネット(5)は、駆動コイル(3)側がN極、その反対側が
S極である。又、駆動コイル(3)と振動板(4)の位置関
係は、図1に示す本発明の実施例とは逆であるが、振動
板(4)の駆動原理は同一である。
【0024】図3(a)は、駆動コイル(3)に時計回りに
電流を流した場合に生じる駆動力の方向を示している。
図中の右側では、直流磁界発生用マグネット(5)から駆
動コイル(3)に向けて放射状に磁束が出射され、その殆
どが駆動コイル(3)を通過している。直流磁界発生用マ
グネット(5)から放射された磁束は、金属製フレーム
(2)の水平壁部(24)及び垂直周壁部(25)による吸引作用
を受け、駆動コイル(3)を通過する磁束は同図及び図5
に破線で示す如く、径方向に対して略平行となる。該駆
動コイル(3)を通過する磁束Brxによって、駆動コイル
(3)には、電流との関係でフレミングの左手の法則に従
う方向、図中においては上向きの電磁力Frが生じる。
又、図中の左側では、直流磁界発生用マグネット(5)か
ら放射された磁束は、金属製フレーム(2)の水平壁部(2
4)及び垂直周壁部(25)による吸引作用を受け、その殆ど
が、同図に破線で示す如く、駆動コイル(3)を径方向に
対して略平行に通過している。該駆動コイル(3)を通過
する磁束Blxによって、駆動コイル(3)には、電流との
関係でフレミングの左手の法則に従う方向、図中におい
ては上向きの電磁力Flが生じる。
【0025】この結果、駆動コイル(3)は、図3(a)に
示す上向きの電磁力Fr及びFlにより、全体として上向
きの駆動力を受けることとなる。
【0026】図3(b)は、駆動コイル(3)に反時計回り
に電流を流した場合に生じる駆動力の方向を示してい
る。図中の右側では、直流磁界発生用マグネット(5)か
ら駆動コイル(3)に向けて放射状に磁束が出射され、そ
の殆どが駆動コイル(3)を通過している。直流磁界発生
用マグネット(5)から放射された磁束は、金属製フレー
ム(2)の水平壁部(24)及び垂直周壁部(25)による吸引作
用を受け、駆動コイル(3)を通過する磁束は同図に破線
で示す如く、径方向に対して略平行となる。該駆動コイ
ル(3)を通過する磁束Brxによって、駆動コイル(3)に
は、電流との関係でフレミングの左手の法則に従う方
向、図中においては下向きの電磁力Frが生じる。又、
図中の左側では、直流磁界発生用マグネット(5)から放
射された磁束は、金属製フレーム(2)の水平壁部(24)及
び垂直周壁部(25)による吸引作用を受け、その殆どが、
同図に破線で示す如く、駆動コイル(3)を径方向に対し
て略平行に通過している。該駆動コイル(3)を通過する
磁束Blxによって、駆動コイル(3)には、電流との関係
でフレミングの左手の法則に従う方向、図中においては
下向きの電磁力Flが生じる。
【0027】この結果、駆動コイル(3)は、図3(b)に
示す下向きの電磁力Fr及びFlにより、全体として下向
きの駆動力を受けることとなる。
【0028】ここで、駆動コイル(3)に電気信号として
流される電流は交播電流であり、駆動コイル(3)に流れ
る電流の向きは時間的に変化するため、駆動コイル(3)
は図3(a)の上向きの駆動力と同図(b)の下向きの駆動
力を交互に受けることとなる。この結果、振動板(4)は
駆動コイル(3)と一体に振動し、電気信号が音響に変換
されるのである。
【0029】これに対して、図4(a)(b)は、本発明の
垂直周壁部(25)に代えて傾斜周壁部(25′)を金属製フレ
ーム(2)に形成した構造のスピーカにおいて、直流磁界
発生用マグネット(5)から放射されて駆動コイル(3)を
通過する磁束と、その磁束によって生じる駆動力の方向
を示したものである。尚、直流磁界発生用マグネット
(5)は、駆動コイル(3)側がN極、その反対側がS極で
ある。
【0030】図4(a)は、駆動コイル(3)に時計回りに
電流を流した場合に生じる駆動力の方向を示している。
図中の右側では、直流磁界発生用マグネット(5)から駆
動コイル(3)に向けて放射状に磁束が出射され、その殆
どが同図及び図6に破線で示す如く駆動コイル(3)より
も外側へ円弧状に膨らんで、駆動コイル(3)を斜めに通
過している。該駆動コイル(3)を通過する磁束Brは、
図示の如く、駆動コイル(3)の径方向に対して平行な成
分Brxと垂直な成分Bryに分解される。垂直成分Bryに
よって、駆動コイル(3)には、直流磁界発生用マグネッ
ト(5)との関係で上向きの吸引力が生じると共に、平行
成分Brxによって、駆動コイル(3)に流れる電流との関
係でフレミングの左手の法則に従う方向、図中において
は上向きの電磁力Frが生じる。又、図中の左側では、
右側と同様に、駆動コイル(3)を斜めに通過する磁束B
lは、駆動コイル(3)の径方向に対して平行な成分Blx
と垂直な成分Blyに分解され、垂直成分Blyによって、
駆動コイル(3)には、上向きの吸引力が生じると共に、
平行成分Blxによって、フレミングの左手の法則に従う
方向、図中においては上向きの電磁力Flが生じる。
【0031】図4(b)は、駆動コイル(3)に反時計回り
に電流を流した場合に生じる駆動力の方向を示してい
る。この場合、直流磁界発生用マグネット(5)から放射
され駆動コイル(3)を通過する磁束の分布は同図(a)と
同一であり、その磁束によって生じる駆動力は同図(a)
とは反対の方向となる。
【0032】図4において、殆どの磁束は駆動コイル
(3)を斜めに通過しているのに対し、図3においては、
殆どの磁束が駆動コイル(3)を径方向に対して略平行に
通過している。これは、図3では金属製フレーム(2)に
垂直周壁部(25)を形成することによって、図4における
傾斜周壁部(25′)と直流磁界発生用マグネット(5)の外
周面との空隙に金属が存在することとなり、図4では駆
動コイル(3)よりも外側へ円弧状に膨らんでいる磁束が
該金属による吸引作用を受けるためである。
【0033】上述の考察は、図7及び図8に示すコンピ
ュータシミュレーションの結果によって裏付けることが
出来る。コンピュータシミュレーションでは、図7に示
す形状及び各部寸法を有するスピーカを対象とし、直流
磁界発生用マグネット(5)の外周面と金属製フレーム
(2)の水平壁部(24)の間隔Aを種々に変化させて、図示
の如く駆動コイル(3)の内部に設定した点Pにおける磁
束密度の変化を理論計算によって算出した。図8は、間
隔Aを0〜3mmの範囲で変化させたときの、駆動コイ
ル(3)の径方向に対して平行な磁束密度成分の計算結果
を表わしている。図8の如く、間隔Aが小さくなるにつ
れて、平行磁束密度成分は大きくなっており、間隔Aが
0mmのときには最大の3108Gが得られている。こ
こで、間隔Aが0mmの場合が、図3に示す如く金属製
フレーム(2)に垂直周壁部(25)を形成した本発明のスピ
ーカの構造に相当する。このことから、本発明のスピー
カにおいては、直流磁界発生用マグネット(5)からの磁
束が、駆動コイル(3)の内部ではコイル径方向に対して
略平行な分布となっており、これによって平行磁束密度
成分は最大化されているものと考えられる。そして、こ
の分布は、前述の金属製フレーム(2)の水平壁部(24)及
び垂直周壁部(25)による磁束吸引作用によって実現され
るものと推定される。
【0034】ところで、駆動コイル(3)を径方向に対し
て略平行に通過する磁束によって生じる駆動力即ち、フ
レミングの左手の法則に基づく駆動力は、径方向に対し
て略垂直に通過する磁束によって生じる駆動力よりも、
振動板の駆動に大きく寄与することが実験的に確認され
ている。従って、駆動コイル(3)を直流磁界発生用マグ
ネット(5)との関係で前述の寸法に形成すると共に、図
3に示す如く、金属製フレーム(2)に垂直周壁部(25)を
形成して、フレミングの左手の法則に基づく駆動力を有
効に利用することによって、振動板を効率的に駆動する
ことが出来るのである。
【0035】図9は、上記本発明のスピーカの音圧レベ
ル−周波数特性を実線で示すと共に、従来のダイナミッ
ク型スピーカ及びマグネティック型スピーカの音圧レベ
ル−周波数特性を夫々破線及び二点鎖線で示したもので
ある。一般にスピーカの特性としては、周波数の低域か
ら高域にかけて音圧レベルが高く、フラットであること
が要求されており、音圧レベルは効率の目安とされる。
図示の如く本発明のスピーカにおいては、従来のマグネ
ティック型スピーカと比べて広い周波数範囲で高い音圧
レベルが得られている。又、従来のダイナミック型スピ
ーカに比べて音圧レベルは下がっているものの小型スピ
ーカの音圧レベルとしては充分な値が得られ、然もフラ
ットな周波数特性が得られている。
【0036】図10は、上記本発明のスピーカと、従来
のダイナミック型スピーカ及びマグネティック型スピー
カの諸特性を表わしている。本発明におけるスピーカの
口径は従来と実質的に同一であるが、全高は従来に比べ
て低くなっている。これは、第1に、本発明ではヨーク
やポールピースが省略されているためである。又、第2
に、直流磁界発生用マグネットから発生する磁束を駆動
コイルの径方向に対して略平行な分布とすることによ
り、磁束密度の高い位置は直流磁界発生用マグネットに
接近すると考えられるため、駆動コイルが直流磁界発生
用マグネットの近傍に設置されているからである。
【0037】本発明におけるインピーダンスは、ダイナ
ミック型と同一であり、マグネティック型に比べて低く
なっているが、本発明によれば、ヨーク及びポールピー
スの省略により自由な設計が可能であるので、駆動コイ
ルの巻数を増大させることによってインピーダンスを高
めることが出来る。
【0038】本発明のスピーカにおいて、音圧レベル
は、マグネティック型に比べて高い値が得られている。
これは、本発明では、直流磁界発生用マグネット(5)の
外周面と金属製フレーム(2)の垂直周壁部(25)を密着さ
せ、駆動コイル(3)を通過する磁束を径方向に対して略
平行とすることで、フレミングの左手の法則に基づく電
磁力を有効に利用しているためである。又、ダイナミッ
ク型とは同等の音圧レベルが得られており、これは小型
スピーカの音圧レベルとしては充分な値である。
【0039】又、図10に示す如く部品点数がダイナミ
ック型に比べて少なくなっている。これは、本発明では
ヨーク及びポールピースが省略されるためである。但
し、本発明では吸音材を使用しているため、マグネティ
ック型とは部品点数が同一となっている。
【0040】上述の如く、本発明においては、直流磁界
発生用マグネットから放射される磁束を集束させること
なく空隙に放射させるので、ヨークやポールピースは不
要であり、これによって部品点数が少なくなり、薄型化
が可能となる。又、直流磁界発生用マグネットから発生
する磁束を、駆動コイルの径方向に対して略平行な分布
とすることにより、直流磁界発生用マグネットと駆動コ
イルの空隙を狭くすることが出来、これによって更に装
置の薄型化が可能となる。然も、直流磁界発生用マグネ
ットから発生する磁束を有効に振動板の駆動に利用する
ので、電気音響変換の効率を向上させることが出来る。
【0041】更に、駆動コイルの外径についての上記範
囲は、フレミングの左手の法則に基づく駆動力を有効に
利用出来る範囲であり、内径についての上記範囲は、直
流磁界発生用マグネットから放射される磁束の有効利用
と駆動コイルの軽量化の両方を考え合わせた範囲であ
る。従って、上記本発明においては、駆動コイルの外径
及び内径を上記範囲内とすることにより、更なる効率の
向上が図られているのである。
【0042】上記実施の形態の説明は、本発明を説明す
るためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を
限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。
又、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許
請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能で
あることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスピーカの構造を示す一部破断正面図
である。
【図2】該スピーカの分解斜視図である。
【図3】該スピーカにおいて、駆動コイルを通過する磁
束とその磁束によって生じる駆動力の方向を説明する図
である。
【図4】マグネットの外周面と金属製フレームの垂直周
壁部とに間隔を設けた他の構造のスピーカにおいて、駆
動コイルを通過する磁束とその磁束によって生じる駆動
力の方向を説明する図である。
【図5】図3において駆動コイルを通過する磁束の分布
を表わす拡大図である。
【図6】図4において駆動コイルを通過する磁束の分布
を表わす拡大図である。
【図7】駆動コイルの径方向に対して平行な磁束密度成
分をコンピュータシミュレーションによって計算する際
のスピーカの形状及び寸法を表わす図である。
【図8】駆動コイルの径方向に対して平行な磁束密度成
分のシミュレーション結果を示す図表である。
【図9】本発明と従来のスピーカにおける音圧レベル−
周波数特性を比較したグラフである。
【図10】本発明と従来のスピーカにおける諸特性を比
較した図表である。
【図11】従来のダイナミック型スピーカの構造を示す
断面図である。
【図12】従来のマグネティック型スピーカの構造を示
す断面図である。
【符号の説明】
(1) カバー (2) 金属製フレーム (3) 駆動コイル (4) 振動板 (5) 直流磁界発生用マグネット (7) ターミナル板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−14721(JP,A) 特開 昭54−163023(JP,A) 特開 昭57−99898(JP,A) 特開 昭53−40963(JP,A) 特開 昭58−153496(JP,A) 実開 昭54−127537(JP,U) 実開 昭48−4345(JP,U) 実開 昭49−113625(JP,U) 実開 平5−55692(JP,U) 実開 昭60−45591(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04R 9/02 102 H04R 9/02 101 H04R 9/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製フレーム(2)とカバー(1)とを組
    み合わせて扁平なケーシング(21)を形成し、該ケーシン
    グ(21)の内部には、外周部をケーシング(21)に固定され
    た振動板(4)と、振動板(4)の一方の面の中央部に固定
    されると共に該振動板(4)に対して垂直の巻軸を有する
    円筒状の駆動コイル(3)と、振動板(4)及び駆動コイル
    (3)との間に所定の空隙Gを設けて金属製フレーム(2)
    の内面に固定されると共に該駆動コイル(3)と同軸上に
    配置された円盤状の直流磁界発生用マグネット(5)とを
    具え、前記金属製フレーム(2)には、直流磁界発生用マ
    グネット(5)の外周面に可及的に密着する垂直周壁部(2
    5)と、該垂直周壁部(25)のカバー(1)側の先端から金属
    製フレーム(2)の外周部へ向けて振動板(4)と平行に伸
    びる水平壁部(24)とが形成され、該直流磁界発生用マグ
    ネット(5)の駆動コイル(3)側の一面全域から放射され
    る磁束の大部分が、前記空隙Gを通過して駆動コイル
    (3)に至っている電気音響変換装置。
  2. 【請求項2】 金属製フレーム(2)の水平壁部(24)のカ
    バー(1)側の表面は、直流磁界発生用マグネット(5)の
    カバー(1)側の表面と同一面に形成されている請求項1
    に記載の電気音響変換装置。
  3. 【請求項3】 カバー(1)には、放音の為の孔が開設さ
    れている請求項1又は請求項2の何れかに記載の電気音
    響変換装置。
  4. 【請求項4】 金属製フレーム(2)には、放音の為の孔
    が開設されている請求項1又は請求項2の何れかに記載
    の電気音響変換装置。
  5. 【請求項5】 駆動コイル(3)は、振動板(4)の直流磁
    界発生用マグネット(5)側の面に固定されている請求項
    1乃至請求項4の何れかに記載の電気音響変換装置。
  6. 【請求項6】 駆動コイル(3)は、振動板(4)の直流磁
    界発生用マグネット(5)とは反対側の面に固定されてい
    る請求項1乃至請求項4の何れかに記載の電気音響変換
    装置。
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