JP3205903B2 - フラーレン誘導のメタロセン - Google Patents

フラーレン誘導のメタロセン

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フラーレン誘導の
メタロセンに関するもので、特に、オレフィン重合体の
調製に触媒として使用するのに適しているような、フラ
ーレン誘導のメタロセンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィンは、30年に亘りチーグ
ラー・ナッタ触媒を使用して合成されてきた。この化学
は、遷移金属錯体の強度触媒配位化学を含む主要工業プ
ロセスへと発展していった。これらの目的のために、お
びただしいバリエーションの遷移金属触媒システムが開
発された。そして現在は、得られるポリオレフィンの分
子構造と分子重量とを的確にコントロールすることが、
ポリオレフィン合成の新たな趨勢として要求されてい
る。
【0003】ここ数年来、オレフィン(特にα−オレフ
ィン)重合におけるメタロセン触媒の有用性に関する調
査研究が増加し、メタロセン触媒は目覚しい勢いでチー
グラー・ナッタ関連化学に取って代わった。メタロセン
触媒を利用する利点として、得られる重合体の立体規則
度を融通的に調整できることや、従来のチーグラー・ナ
ッタ触媒に比べ活性が高く、より効率良くα−オレフィ
ンを合成できることなどが挙げられる。
【0004】フラーレン(Fullerene)類は炭素分子の一
クラスであり、偶数個の炭素原子が閉じられた中空のか
ご(典型的には回転楕円面)の形で配列された構造より
なる。その炭素−炭素結合が多面体構造を定義してい
る。
【0005】官能性フラーレンの誘導体がいくつか報告
されている。例えば、比較的小さい官能基またはアダク
ト、例えばアミド基、アルコキシ基、ハロゲン化物等を
有するいくつかのフラーレン類についての記載がある。
例えば、米国特許出願公開第5,177,248号、欧
州特許出願公開第546,718号(非官能性フラーレ
ン類をトリフルオロメタンスルホン酸と求核性試薬で処
理してアルコキシル化フラーレンを形成する)、欧州特
許出願公開第575,129号(非官能性フラーレン類
を硫酸で処理して硫酸エステル化フラーレンを形成す
る)を参照されたい。高分子と結合するフラーレン類も
いくつか報告されている。例えば、米国特許出願公開第
5,635,581号は、フラーレン核と複数個のプレ
ポリマー単位を有するフラーレン重合体を開示した。
【0006】しかしながら、現在に至るまで、フラーレ
ン核と結合したメタロセンを開示した例はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、フラーレン誘導のメタロセンを提供することで
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ため、本発明の発明者らは、下記の化学式で表されるよ
うな、フラーレン誘導のメタロセンを発明した。 Rm−F−(MXpqn (ここで、Fはフラーレン核であり、Rは炭素数1〜2
0の直鎖および枝分れしたアルキル基、炭素数6〜40
のアリール基、炭素数7〜40のアルキルアリール基、
ならびに炭素数7〜40のアリールアルキル基よりなる
群から独立して選択され、Mは遷移金属であり、Xは独
立してハロゲン、水素化物、アルキル基またはアリール
基であり、Aは独立して未置換もしくは置換のシクロペ
ンタジエニル基、未置換もしくは置換のインデニル基、
未置換もしくは置換のフルオレニル基であり、pとqは
正の整数で、1+p+qの和はMの酸化状態に等しく、
mは1〜10の整数であり、nは1〜10の整数であ
る)。
【0009】重合のメカニズムにおいて、メタロセン触
媒の中心に位置する遷移金属の電気状態は、3つの中間
段階におけるオレフィンとの反応活性の決定に主要な役
割を果たす。フラーレン核がメタロセンの遷移金属と一
旦結合すると、中心にある遷移金属の電気状態に変化が
生じ、オレフィンに対する重合活性に大きな変化をもた
らす。
【0010】フラーレンの分子軌道関数がメタロセン触
媒の中心金属に及ぼす電気的効果に加え、単一のボール
型構造をなした炭素数60のかごは、フラーレン誘導の
メタロセンの触媒性中心金属の回りに明確な物理的バリ
ヤーを提供する。α−オレフィンの重合部位の立体障害
強化によって、アイソタクチック重合体または立体ブロ
ック重合体を導く際のポリオレフィンの立体化学特性
を、より効果的に規制できるようになる。
【0011】したがって、従来のメタロセン触媒と比較
して、本発明によるフラーレン誘導のメタロセンをオレ
フィン重合体製造時の触媒として使用すると、重合体の
立体規則度の規制は、遷移金属に結合した配位子即ちフ
ラーレンの電気的および立体的構造の変化によって部分
的に達成される。
【0012】以下にさらに詳しく説明するように、この
ようなフラーレン誘導のメタロセンの製造方法のほか、
このようなフラーレン誘導のメタロセンを触媒として使
用するオレフィン重合体の製造方法もまた本発明の範囲
内にある。
【0013】
【発明の実施の態様】以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】メタロセンをフラーレン核に結合したのは
本発明が初めてである。本発明で得られるフラーレン誘
導のメタロセンは、下記の化学式で表される。 Rm−F−(MXpqn (ここで、Fはフラーレン核であり、Rは炭素数1〜2
0の直鎖および枝分れしたアルキル基、炭素数6〜40
のアリール基、炭素数7〜40のアルキルアリール基、
ならびに炭素数7〜40のアリールアルキル基よりなる
群から独立して選択され、Mは遷移金属であり、Xは独
立してハロゲン、水素化物、アルキル基またはアリール
基であり、Aは独立して未置換もしくは置換のシクロペ
ンタジエニル基、未置換もしくは置換のインデニル基、
未置換もしくは置換のフルオレニル基であり、pとqは
正の整数で、1+p+qの和はMの酸化状態に等しく、
mは1〜10の整数で、3〜10であることが好まし
く、nは1〜10の整数で、3〜10であることが好ま
しい。)
【0015】「フラーレン核」という用語は、その構成
炭素原子数が60、70、76、78、82、84、ま
たは92のフラーレンを指しており、これらは炭素原子
数1〜20のアルキル、アルコキシ、アリール、または
有機カルボキシ基で置換されてもよく、その外にもアミ
ノ基、ヒドロキシル基などの官能基、またはプレポリマ
ー単位に結合していないその他の官能基により官能性を
与えられてもよい。
【0016】Mは、IVB、VB、VIB、またはVIIIB族
の遷移金属で、ジルコニウム、チタン、バナジウム、ま
たはハフニウムであることが好ましい。
【0017】典型的なR基は、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、アミル、イソアミル、ヘキシル、イソブチ
ル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、セチル、2
−エチルヘキシル、フェニル、またはその他適当なアル
キル基である。
【0018】置換シクロペンタジエニル、置換インデニ
ル、または置換フルオレニルの置換基は、炭素数が1〜
20の直鎖および枝分れしたアルキル基、炭素数6〜4
0のアリール基、炭素数7〜40のアルキルアリール
基、ならびに炭素数7〜40のアリールアルキル基より
なる群から独立して選択される。
【0019】Aの代表例としては、η5−シクロペンタ
ジエニル、η5−メチルシクロペンタジエニル、η5−テ
トラメチルシクロペンタジエニル、η5−ペンタメチル
シクロペンタジエニル、η5−n−ブチルシクロペンタ
ジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、フル
オレニル、およびオクタヒドロフルオレニルなどがあ
る。
【0020】典型的なR2における直鎖アルキレン基
は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペン
チレン、およびヘキシレン等である。典型的なR2にお
ける環式アルキレン基は、シクロブチレン、シクロペン
チレン、およびシクロヘキシレン等である。典型的なR
2におけるアルキル置換シラニレン基は、ジメチルシラ
ニレン、テトラメチルジシラニレン、メチルエチルシラ
ニレン、およびジエチルシラニレン等である。このう
ち、R2は、エチレンまたはジメチルシラニレンである
ことが好ましい。
【0021】メタロセンとフラーレン核は、簡単に言え
ば、従来のメタロセンの配位子の一つがフラーレン核で
置換されて結合したものである。フラーレン核は大きな
かご状を呈しており、フラーレン核がメタロセンと反応
すると、1〜10のメタロセン分子が一つのフラーレン
核に結合するため、分子比を適切に制御することができ
る。よって、フラーレン誘導のメタロセンは一種の混合
物であり得る。例えば、生成物は、メタロセンが3つ結
合したフラーレン、メタロセンが4つ結合したフラーレ
ン、およびメタロセンが5つ結合したフラーレンになり
うる。
【0022】一般に、本発明によるフラーレン誘導のメ
タロセンには、少なくとも2つの製造方法がある。
【0023】第1の方法は、フラーレン核を直接メタロ
センと反応させる方法で、メタロセンの配位子の一つを
フラーレン核で置換し、一つのフラーレン核に1〜10
のメタロセン分子を結合させる。例えば、メタロセンM
HXpqをフラーレン核と反応させると、R基がフラー
レン核で置換される。即ち、得られた生成物Rm−F−
(MXpqnのmは、そのフラーレン核に結合したメ
タロセンの数を示しており、その他の記号の定義は上述
したとおりである。
【0024】RがHの時、メタロセンMHRXpqは、
MXp+1qを還元剤と反応させることによって製造でき
る。還元剤は金属水素化物であり得る。金属水素化物の
代表例としては、水素化リチウム・アルミニウムまたは
超水素化物がある。例えば、ビス(η5−シクロペンタ
ジエニル)ジルコニウム二塩化物は、水素化リチウム・
アルミニウムとの反応によって還元され、ビス(η5
シクロペンタジエニル)ヒドリドジルコニウム塩化物を
得る。得られた塩化物をさらにC60と反応させ、Hm
60−[Cp2ZrCl]m、すなわちフラーレン誘導の
メタロセン化合物の混合物をヒドロジルコネーション反
応(hydrozirconation)によって得る。反応開始時のメ
タロセンCp2ZrCl2のClをC60で置換することに
よって、最終生成物であるフラーレン誘導のメタロセン
が得られることがわかる。
【0025】同様に、メタロセンMRXt−A−R2−A
をフラーレンと反応させると、R基がフラーレンで置換
される。よって、得られた生成物はRm−F−(MXt
A−R2−A)mである。mは、フラーレン核に結合した
メタロセンの数を示しており、その他の記号の定義は上
述したとおりである。
【0026】RがH、tが1の時、メタロセンMHX−
A−R2−Aは、MX−A−R2−Aを還元剤と反応させ
ることによって得られる。例えば、ラック−エチレン
ビス(インデニル)ジルコニウム二塩化物は、水素化リ
チウム・アルミニウムとの反応によって還元され、ラッ
ク−エチレン ビス(η5−インデニル)ヒドリドジル
コニウム塩化物を得る。得られた塩化物をさらにC60
反応させると、Hm−C60−[(ラック−インデニル)2
ZrCl]m、すなわちフラーレン誘導のメタロセン化
合物の混合物がヒドロジルコネーション反応によって得
ることができる。反応開始時のメタロセン、即ち(ラッ
ク−インデニル)2ZrCl2のClをC60で置換するこ
とによって、最終生成物であるフラーレン誘導のメタロ
センが得られることがわかる。
【0027】本発明によるフラーレン誘導のメタロセン
の第2の製造方法は、先ずフラーレンを還元剤と反応さ
せて、多価アニオンのフラーレン(polyanionic fuller
ene)F-mを得る方法である。続いて、得られた多価ア
ニオンのフラーレンをMXp+1qのメタロセンと反応さ
せて、求核置換反応により欲する生成物F−(MX
pqmを得る。mは、フラーレン核に結合したメタロ
センの数を示しており、その他の記号の定義は上述した
とおりである。
【0028】還元剤は、IA族金属を含有する化合物で、
例えばリチウムナフタライド、ナトリウムナフタライ
ド、カリウムナフタライドなどがある。例えば、多価ア
ニオンを有するC60をCpZrCl3と反応させてC60
(CpZrCl3mを得る場合は、CpZrCl3のC
lをC60で置換することによって、最終生成物であるフ
ラーレン誘導のメタロセンが得られることがわかる。
【0029】フラーレンを還元するために使用する還元
剤が式R3−M3で表されるアルキル金属である場合は、
多価アニオンのフラーレンにアルキル基(R3)が結合
したもの、即ち多重にアルキル化された多価アニオンの
フラーレンR3 m(R-m)が得られる。R3は、炭素数が
1〜30のアルキル、アリール、アルキルアリール、ま
たはアリールアルキルであり、M3はアルカリ金属、m
は1〜10の整数、その他の記号の定義は上述したとお
りである。
【0030】続いて、多重にアルキル化された多価アニ
オンのフラーレンを、化学式MXp+1qで表されるメタ
ロセンと反応させれば、フラーレン誘導のメタロセンR
3 m−F−(MXpqnが得られる。
【0031】フラーレン核がC60のとき、アルキル金属
はブチルリチウムであり、C60をブチルリチウムと反応
させると、多重にブチル化された多価アニオンのフラー
レンC60が得られ、これをさらにCpZrCl3と反応
させると、求核置換反応により多重にブチル化されたC
60配位のCpZrCl3が得られる。CpZrCl3のC
lを多重にブチル化されたC60で置換することによっ
て、最終生成物であるフラーレン誘導のメタロセンが得
られる。
【0032】本発明によれば、得られたフラーレン誘導
のメタロセンは、オレフィン重合体を製造する際の触媒
として使用できる。その過程は、フラーレン誘導のメタ
ロセン触媒組成物が触媒作用有効量存在する重合条件下
で、少なくとも一つのオレフィンを他の単量体と重合さ
せるものである。触媒組成物としては、フラーレン誘導
のメタロセンを単独で使用するか、またはフラーレン誘
導のメタロセンを活性化助触媒と混合したものを使用す
ることができる。
【0033】活性化助触媒としては、メチルアルミノキ
サン(MAO)、トリアルキルアルミニウム、ジアルキ
ルアルミニウム、不活性もしくは非配位性アニオンの塩
類、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0034】トリアルキルアルミニウムは、トリメチル
アルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピル
アルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリブ
チルアルミニウム、およびトリイソブチルアルミニウム
(TIBA)よりなる群から選択され得る。
【0035】不活性および非配位性アニオンは、ほう酸
塩になり得る。本発明で使用するのに適したほう酸塩と
しては、N,N−ジメチルテトラキス(ペンタフルオロ
フェニル)ほう酸アニリウム、トリフェニルテトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ほう酸カルベニウム、トリ
メチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸ア
ンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほ
う酸フェロセニウム、ジメチルテトラキス(ペンタフル
オロフェニル)ほう酸フェロセニウム、およびテトラキ
ス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸銀が挙げられる。
【0036】活性化助触媒は、メチルアルミノキサン
か、またはトリアルキルアルミニウムとほう酸塩との混
合物であることが好ましい。
【0037】本発明の触媒組成物を使用することによ
り、オレフィン重合体を合成することができる。本発明
のメタロセン錯体触媒が触媒作用有効量存在する条件下
で、1個以上のオレフィン単量体か、または1個以上の
オレフィン単量体とその他の単量体とを重合させる。
【0038】適当なオレフィン単量体はエチレンまたは
他のα−オレフィン類である。本発明の方法により調製
される重合体は、エチレンの単独重合体、α−オレフィ
ン類の単独重合体、α−オレフィン類の共重合体、また
はエチレンとα−オレフィンの共重合体である。エチレ
ン以外のα−オレフィン類としては、例えばプロピレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテン、1,3−ブタジエン、および1,5−ヘキサジ
エンなどの、炭素数3〜12のオレフィン類が挙げられ
る。
【0039】具体的には、本発明で開示された触媒系は
エチレン単独重合体を調製するために使用することがで
き、得られるエチレン単独重合体としては、例えば高分
子量フィルムおよびブロー成形などに応用される、双峰
または多峰の広い分子量分布を有する高密度ポリエチレ
ン(HDPE)などがある。
【0040】本発明で開示された触媒系はまた、エチレ
ンとプロピレンの共重合体(EPM)を調製するために
使用できる。また、エチレンと、炭素数3〜12のα−
オレフィンまたは非共役性ジエンとの共重合体の調製に
も使用できる。例えば、使用された炭素数3〜12のα
−オレフィンがプロピレンの場合は、エチレン、プロピ
レン、および非共役性ジエンの共重合体が調製できる。
これはEPDMと呼ばれる。非共役性ジエンとしては、
5−エチリデン−2−ノルボルナン(ENB)、5−メ
チレン−2−ノルボルナン、5−ビニリデン−2−ノル
ボルナン、1,4−ヘキサジエン(HD)、またはジシ
クロペンタジエン(DCPD)が適している。
【0041】本発明において開示された新規な触媒系
は、スラリー反応条件、気相、および溶液重合反応条件
下において使用できる。重合反応は、0℃〜250℃の
温度、大気圧から30,000psigの圧力で実施す
るのが代表的である。
【0042】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明する。尚、当該技術に精通した者にとって、無数の修
正および変更は自明のことであるため、下記の実施例
は、発明の範囲を限定することなく本発明の方法および
利点をさらに充分に説明するためのものである。
【0043】実施例1:C60配位のビスシクロペンタジ
エニルジルコニウム塩化物の合成1 フラーレン核のヒドロジルコン化反応を、C60と浮遊シ
ュワルツ試薬(Cp2ZrHCl)のモル比がC60:C
2ZrHCl=1:1であるようなC60類似フラーレ
ンのトルエン溶液のなかで、浮遊シュワルツ試薬(Cp
2ZrHCl)にフラーレン核を作用させることによっ
ておこなった。この反応混合物を室温下で24時間攪拌
すると、Cp2ZrHClの浮遊粒子の消滅にともない
媒体が茶色から赤茶色に変化する様子が観察された。真
空下でトルエンを除去した後、残った茶色の固体を塩化
メチレンで抽出して乾燥させた。C60分子自体は不溶性
であり、Cp2ZrHClは塩化メチレンにかろうじて
溶解する程度なため、茶色の固体(収率38%)のうち
塩化メチレンに可溶な部分は、当初反応させたC60とC
2ZrHCl以外の反応生成物に相当する。
【0044】この可溶部分の赤外スペクトルは、シクロ
ペンタジエニル関数による吸収に相当する807cm-1
および745cm-1を中心とする2つの吸収帯を示し
た。また、1420cm-1を中心とするZr−Hの赤外
吸収帯が消滅した。この可溶部分の1H NMRスペク
トルはδ6.31のところに単一ピークを示した。これ
は、生成物中のビス(η5−シクロペンタジエニル)ジ
ルコニウム成分が保持されたことを意味している。塩化
メチレンに不溶な残留部分をさらにTHFで洗浄する
と、未反応のC60分子による、1428cm-1、118
0cm-1、577cm-1、および526cm-1をピーク
とした鋭い吸収帯が表われた。
【0045】実施例2:C60配位のビスシクロペンタジ
エニルジルコニウム塩化物の合成2 実施例1で得られる未反応のC60分子を最小限に抑える
ため、モル数のより大きいシュワルツ試薬を使用した。
この例では、C60と浮遊シュワルツ試薬のモル比が
60:Cp2ZrHCl=1:2であるようなC60類似
フラーレンのトルエン溶液のなかで、フラーレン核と浮
遊シュワルツ試薬を作用させてヒドロジルコン化反応を
起こさせた。実施例1と同様な反応条件下で同様な手順
で実験を進めた結果、反応生成物を3段階の可溶部分に
分離することができた。すなわち、塩化メチルに可溶な
部分、THFに可溶な部分、およびいずれにも不溶な残
留部分の3つである。
【0046】塩化メチルに可溶な部分の赤外スペクトル
は、シクロペンタジエニル関数による吸収に相当する8
06cm-1および749cm-1を中心とする2つの吸収
帯を示した。また、1420cm-1を中心とするZr−
Hの赤外吸収帯が消滅した。この可溶部分の1H NM
Rスペクトルもまた、δ6.31のところにη5−シク
ロペンタジエニル陽子による単一ピークを示した。不溶
の残留部分は実施例1よりも少なく、THFに可溶な部
分は微量であった。
【0047】実施例3:C60配位のビスシクロペンタジ
エニルジルコニウム塩化物の合成3 実施例1、2のほか、C60と浮遊シュワルツ試薬のモル
比がC60:Cp2ZrHCl=2:1および1:0.7
5であるような2種類のC60類似フラーレンのトルエン
溶液のなかで、フラーレン核と浮遊シュワルツ試薬を作
用させ、ヒドロジルコン化反応をおこなった。反応は、
実施例1、2で説明したのと同様な条件で下でおこなっ
た。塩化メチレンに不溶な残留部分を、THFの代わり
にトルエンで洗浄したため、実験手順に若干の変更を加
えた。得られた結果から、これらの固体は、トルエンで
洗浄した場合の方が高い割合で抽出でき、C60もまた、
トルエンに対して中程度の溶解度を有することがわかっ
た。いずれの場合も、収率約20%で得られた塩化メチ
レンに可溶な物質から、予測どおり収率75%近くのC
60が回収された。
【0048】実施例4:C60配位のビスシクロペンタジ
エニルジルコニウム塩化物の合成4 シュワルツ試薬は湿気や空気に対して比較的反応性が高
いため、シェルフライフが短い。通常は、純度の確認の
ため、反応に使用するに先立ち再純化の手続きを踏む。
しかしながら、再純化の手続きを経たとしても、市販の
シュワルツ試薬の実際の純度を同定するのはやはり困難
である。そこで、ジエチルエーテル中の水素化リチウム
アルミニウムを利用し、ドライTHF中のビス(η5
シクロペンタジエニル)ジルコニウム二塩化物を還元し
た結果、ビス(η5−シクロペンタジエニル)ヒドリド
ジルコニウム塩化物の白色沈殿が収率85%で得られ
た。ビス(η5−シクロペンタジエニル)ジヒドリドジ
ルコニウムのアニオン化合物は、塩化メチレンで攪拌・
洗浄することにより、欲する生成物Cp2ZrHClに
転換することができた。こうして得られた生成物を分離
した後、1H NMRスペクトルでその特性を分析した
結果、化学転移δ6.31のところにシクロペンタジエ
ニル化合物陽子による単一ピークが表われた。
【0049】こうして得られたビス(η5−シクロペン
タジエニル)ヒドリドジルコニウム塩化物は、フラーレ
ン核のヒドロジルコン化反応に直接使用できる。したが
って、実施例2と類似の反応条件下、すなわちC60と浮
遊シュワルツ試薬のモル比がC60:Cp2ZrHCl=
1:2であるようなC60類似フラーレンのトルエン溶液
のなかで、フラーレン核と浮遊シュワルツ試薬を作用さ
せ、ヒドロジルコン化反応を起こさせた。24時間反応
させた後、遠心分離法を使用し、得られた反応溶液とト
ルエンに不溶な固体とを分離した。透明な暗褐色の上澄
液を真空下で乾燥させて得られた暗褐色の固体を、さら
に塩化メチレンを使用して繰り返し抽出し、これまでの
実施例より高い収率で褐色の固体を得た。
【0050】実施例5:C60配位のビスシクロペンタジ
エニルジルコニウム塩化物の合成5 溶液中のビス(η5−シクロペンタジエニル)ヒドリド
ジルコニウムの分解を抑える方法として、反応溶液中で
反応と同時進行してシュワルツ試薬を調製する方法があ
る。この実施例では、ジルコノセン二塩化物を還元する
水素アニオンとして過水素化物(superhydride)を使用
した。ドライTHFに溶解したジルコノセン二塩化物C
2ZrCl2を、過水素化物(LiEt3BH、1.0
M)を利用して処理した結果、Cp2ZrHClの暗黄
色溶液を得た。さらにこの溶液を、トルエンに溶解した
60の紫色溶液に加え、得られた暗褐色の溶液を室温で
攪拌すると、溶液は徐々に赤茶色に変化した。C60のト
ルエン溶液の紫色が徐々に消えたということは、C60
Cp2ZrHClが反応し、褐色のC60誘導体が生じた
ことを示している。
【0051】反応終了後、懸濁した不溶固体を遠心分離
法で除去し、ついで得られた上澄液の溶剤を真空下で除
去し、褐色の固体を得た。得られた褐色の固体をさらに
塩化メチレンで抽出し、反応生成物を分離した。こうし
て得られた塩化メチレンの可溶物と、実施例1で得られ
た塩化メチレンの可溶物の、赤外線スペクトルを比較し
た結果、この実施例で得られた生成物の赤外スペクトル
のピークは、シクロペンタジエニル官能基による吸収に
相当する805cm-1および735cm-1に表れること
が明らかになった。
【0052】実施例6:C60配位のモノシクロペンタジ
エニルジルコニウム二塩化物の合成1 ヒドロジルコン化反応によりフラーレン誘導のジルコノ
セン錯体を合成する方法には、その他のシクロペンタジ
エニルジルコニウム塩化物{例えば(η5−シクロペン
タジエニル)ジルコニウム三塩化物など}を使用するこ
ともできる。対応するジルコニウム水素化物の誘導体は
主に、リチウム・アルミニウム水素化物を還元剤として
シクロペンタジエニルジルコニウム三塩化物を還元する
ことにより調製でき、この反応の結果、(η5−シクロ
ペンタジエニル)ジルコニウム二塩化物が得られる。C
60分子と(η5−シクロペンタジエニル)ヒドリドジル
コニウム二塩化物とのヒドロジルコン化反応を、シュワ
ルズ試薬と反応させる場合と同様の反応メカニズムのも
とで行うと、ジクロロ−(η5−シクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムヒドリドフラライド(fulleride)に
類似した生成物が得られる。興味深いことに、この種の
シクロペンタジエニルジルコニウムフラライド化合物
は、ジルコノセン二塩化物のシクロペンタジエニル環を
60のかごで置換したものと極めて似通っている。
【0053】リチウム・アルミニウム水素化物、または
例えばLiEt3BHなどの過水素化物を還元剤として
使用して、THFに溶解したシクロペンタジエニルジル
コニウム三塩化物CpZrCl3を室温下で還元し、1
時間反応させると同時にCpZrHCl2を得た。つい
で、得られた薄黄色の溶液を、C60が溶解したトルエン
に直接加えた。温度25℃で攪拌すると、C60の紫色溶
液は徐々に暗褐色に変化した。24時間の反応後、遠心
分離法を利用して反応混合物中のトルエンに不溶な粒子
を分離した。ついで、上澄液の溶剤を真空の環境下で除
去し、褐色の固体を得た。さらに、塩化メチレンで繰り
返し抽出を行い、触媒として使用できる化合物を得た。
【0054】溶剤を除去し、褐色固体の1H NMRス
ペクトルを分析した結果、化学転移δ6.31のところ
にピークが表われた。一方赤外スペクトルは、1019
cm-1および822cm-1のところにシクロペンタジエ
ニル官能基による吸収に相当する鋭いピークを示した。
生成物とCpZrCl3の赤外スペクトルを比較した結
果、シクロペンタジエニルジルコニウム三塩化物をジク
ロロ−(η5−シクロペンタジエニル)ジルコニウムヒ
ドリドフラライドに類似の化合物に転換できたことがわ
かった。
【0055】実施例7:ラック−エチレン クロロ−ビ
ス(インデニル)ジルコニウムヒドリドフラライドの合
ラック−エチレン ビス(インデニル)ジルコニウム二
塩化物は、効果的な公知のジルコニウム類似メタロセン
触媒の一つである。したがって、このクラスのジルコニ
ウム錯体を使用すれば、ジルコニウム金属の中心電子構
造を改造し、エチレン−α−オレフィン間の重合効果を
高められるような新規な方法を提供することができる。
クロロ−ビス(インデニル)ジルコニウムフラライド
は、ラック−エチレン ビス(インデニル)ヒドリドジ
ルコニウム塩化物とC60分子とをヒドロジルコン化反応
させることにより調製することができる。
【0056】この例では、ラック−エチレン ビス(イ
ンデニル)ヒドリドジルコニウム塩化物は、ラック−エ
チレン ビス(インデニル)ジルコニウム二塩化物をリ
チウム・アルミニウム水素化物、またはLiEt3BH
などの過水素化物と室温で1時間反応させた際に、反応
と同時進行して反応溶液(THF)のなかで生成され
た。ついで、こうして得られた薄黄色のヒドリドジルコ
ニウム塩化物錯体を、C60が溶解したトルエン溶液に加
え、温度25℃で攪拌した。攪拌時、C60に特有の紫色
が、徐々に暗褐色または黒色に変化していくのが観察さ
れた。24時間反応させた後、反応混合物中のトルエン
に不溶な粒子を、遠心分離法により分離した。その後、
上澄液を真空下で除去し、黒色の固体を得た。ついで、
塩化メチレンを使用して黒色の固体を抽出し、欲する触
媒部分を得た。
【0057】溶剤を完全に揮発させた後、得られた暗褐
色の固体に対し、1H NMRおよび赤外スペクトルに
よる定性分析を行った結果、1H NMRスペクトルは
化学転移δ6.31のところに単一のピークを、赤外ス
ペクトルは768〜747cm-1のところにインデニル
基による鋭い吸収帯を示した。塩化メチレンに不溶な固
体は、フラーレンによる鋭い赤外吸収ピークを示したた
め、この部分にはインデニル基を含まないC60分子が含
有されていることがわかる。生成物全体と(ラック−イ
ンデニル)2ZrCl2の赤外スペクトルを比較すると、
ラック−エチレン ビス(インデニル)ジルコニウム二
塩化物をラック−エチレン クロロ−ビス(インデニ
ル)ジルコニウムヒドリドフラライドに類似の化合物に
転換できたことがわかった。
【0058】実施例8:C60配位のモノシクロペンタジ
エニルジルコニウム二塩化物の合成2 トルエン溶液に溶解したフラーレン核(C60および
70)をナフチル化ナトリウム(sodium naphthalide)
で処理すると、黒色の反応混合物が形成された。つい
で、この反応混合物を、(η5−シクロペンタジエニ
ル)ジルコニウム三塩化物(CpZrCl3)を含有し
たジメトキシエタン(DME)溶液に加えた。この時、
反応溶液が徐々に褐色に変化するのが観察された。回収
過程では、まず溶剤を揮発させ、得られた褐色の固体を
ヘキサンで洗浄し、ナフタレンを除去した。そして、そ
の結果の1H NMRスペクトルを測定した。ついで、
塩化メチレンを利用してヘキサンに不溶な生成物を抽出
し、塩化メチレンに可溶な部分を得た。塩化メチレンに
不溶な部分に対しては、さらにTHFで抽出を行った。
そして、褐色の可溶部分の溶剤を、真空下で全て除去し
た。
【0059】塩化メチレンに可溶な部分と酢酸エチルに
可溶な部分の赤外スペクトルは、いずれも1020cm
-1と828cm-1を中心とした吸収帯を示した。これ
は、いずれの部分にもシクロペンタジエニル基が存在す
ることを示している。また、塩化メチレンに可溶な部分
と、酢酸エチルに可溶な部分の1H NMRスペクトル
は、いずれもδ6.2〜6.6の領域を中心としたピー
クのかたまりを示した。これは、シクロペンタジエニル
基の陽子に相当する。THFに可溶な部分には、シクロ
ペンタジエニルの官能基は含有されず、1H NMRス
ペクトルにも対応する陽子のピークは表れない。
【0060】実施例9:C60配位のモノシクロペンタジ
エニルジルコニウム二塩化物の合成3 類似の反応条件下で実施するその他の個別実験におい
て、マイナス6価のC60の中間体と、当量9の(η5
シクロペンタジエニル)ジルコニウム三塩化物とを、室
温下で12時間反応させた。さらに、前述したのと類似
の回収法を使用して真空下で溶剤を除去した後、溶剤で
抽出を行い、塩化メチレンに可溶な部分、酢酸エチルに
可溶な部分、THFに可溶な部分、および塩化メチレン
に不溶な固体を得た。
【0061】各部分の収率およびスペクトルデータは、
これまでの実施例においてより短い反応時間で得られた
生成物とほぼ同じ結果を示した。塩化メチレンに可溶な
部分および酢酸エチルに可溶な部分の赤外スペクトルの
吸収ピークの中心は1442cm-1、1020cm-1
および828cm-1であり、シクロペンタジエニル環の
官能基による吸収に相当する。このデータから、溶剤に
対するC60の溶解度を高めると、Cpを含有した金属中
心の数を効果的に増加させられることがわかる。
【0062】可溶部分のうち、塩化メチレンに可溶な部
分の主生成物の収率は60〜80%、酢酸エチルに可溶
な部分の主生成物の収率は15〜20%であった。化合
物CpZrCl3の水に対する加水分解の反応性はCp2
ZrCl2よりも高い。したがって、反応溶液中にある
未転換のCpZrCl3の大部分は加水分解され、複数
種の分解群を含有した不溶固体になり、その赤外スペク
トルは、3420(−OH)cm-1、1660cm-1
1050cm-1、および480cm-1を中心とした幅広
の吸収帯を示した。これは、酸化ジルコニウム(Zr−
O)官能基による吸収帯に相当する。
【0063】また、塩化メチレンおよび酢酸エチルに可
溶な部分では、それぞれδ6.39およびδ6.38の
ところに主なプロトンピークが現れた。この化学転移
は、(η5−シクロペンタジエニル)ジルコニウム三塩
化物(CpZrCl3)中のシクロペンタジエニル基陽
子(δ6.40、 in CDCl3−DMSO−
6)、およびビス(η5−シクロペンタジエニル)ジル
コニウム二塩化物(Cp2ZrCl2)中のシクロペンタ
ジエニル基陽子(δ6.55、in acetone−
6またはδ6.49、in CDCl3)に非常に近
い。
【0064】フラーレン分子の塩化メチレンに対する溶
解度には限度があるため、赤外スペクトル中のC60によ
る吸収帯が消えたということは、塩化メチレンに可溶な
暗褐色な部分には、機能化されたC60のかごが含有され
ていることを示している。したがって、赤外スペクトル
およびNMRスペクトルの結果はいずれも、塩化メチレ
ンに可溶な部分の主成分が呈する化学構造が、C60配位
の(η5−シクロペンタジエニル)ジルコニウム二塩化
物の誘導体のものであることを支持している。
【0065】実施例10:C60配位のモノシクロペンタ
ジエニルジルコニウム二塩化物の合成4 ナフチル化ナトリウムのDME中における安定度を研究
した結果、ナフチル化ナトリウムの希釈溶液または低濃
度の原液を利用すれば、加えるナフチル化ナトリウムの
当量を有効に制御できることを発見した。ナフチル化ナ
トリウムは、微量の蒸気および酸素と反応することによ
り分解するため、もし先に溶剤をいくらか加えれば、溶
質の濃度変化を最小限に抑えることができる。ナフチル
化ナトリウム溶液が緑色に保たれるということは、それ
が完全に乾燥していることを示す。この実施例では、さ
らに厳密な乾燥手続きを経ても、なおいくらかのナフチ
ル化ナトリウムが、トルエンに溶解して緑色溶液を呈す
る前にトルエン中の不純物と反応して消費されてしま
う。したがって、この実験では、ナフチル化ナトリウム
を希釈し、しかも使用前にコハク酸を溶かしたDMEに
よる滴定を行い濃度を測定した。
【0066】フラーレン核(C60およびC70)が溶解し
たトルエン溶液をナフチル化ナトリウムで処理し、黒色
の反応混合物を得た。この反応混合物に、さらに(η5
−シクロペンタジエニル)ジルコニウム三塩化物溶液を
加えると、溶液が徐々に褐色に変化するのが観察され
た。回収にあたり、先ず溶剤を完全に揮発させ、ついで
得られた褐色の固体をヘキサンで洗浄してナフタレンを
除去し、1H NMRスペクトルを測定した。続いて、
塩化メチレンを使用してヘキサンに不溶な部分に対して
抽出を行い、塩化メチレンに可溶な部分と不溶な部分と
を得たら、さらにTHFで抽出を行った。そして、可溶
部分の褐色の溶剤を全て真空下で除去した。
【0067】塩化メチレンに可溶な部分および酢酸エチ
ルに可溶な部分の赤外スペクトルは、いずれも1020
cm-1、および828cm-1を中心とした吸収帯を示し
た。これは、これらにシクロペンタジエニル環の官能基
が存在することを意味する。また、この2つの部分の1
H NMRスペクトルは、δ6.3〜6.9の広い領域
において主要なプロトンピークを示した。これは、シク
ロペンタジエニル陽子の化学転移に相当する。シクロペ
ンタジエニル陽子の化学転移が広い範囲に分布している
ことは、ジルコノセン錯体が様々な環境下でシクロペン
タジエニル官能基を含有することを表している。
【0068】また、マイナス6価のフラーレン核を主要
中間体として利用し、求核置換反応によりC60配位の
(η5−シクロペンタジエニル)ジルコニウム二塩化物
の誘導体を調製し、収率を高める方法が、すでに多くの
実験において繰り返し実施されている。塩化メチレンに
可溶な部分中、芳香族シクロペンタジエニルの陽子によ
るプロトンピークの分裂の仕方は場合により様々で、主
に溶剤に含有される蒸気の含量に依存する。例えば、類
似の実験条件下において、塩化メチレンに可溶な部分の
1H NMRスペクトルを測定すると、転移δ6.49
(CDCl3)のところに単一ピークが観察された。同
様のサンプルにDMSO−d6を加えると、この単一ピ
ークが2つのピークδ6.41およびδ6.49に分裂
するのが観察された。これは、サンプル中部分的にシク
ロペンタジエニル陽子が加水分解され、磁場が0.08
ppmだけ上に転移した(upfield)ことを示してい
る。また、CDCl3およびDMSO−d6を補助溶剤と
して使用した別の2つの実験では、塩化メチレンに可溶
な部分の1H NMRスペクトルを測定した結果、δ
6.3〜6.7の広い範囲でさらに複雑な分裂状態が観
察された。
【0069】実施例11:C60配位のビスシクロペンタ
ジエニルジルコニウム塩化物の合成6 マイナス6価のC60は、ビス(η5−シクロペンタジエ
ニル)ジルコニウム二塩化物分子の金属中心Zr−Cl
結合に求核置換反応を起こさせることにより得られる。
この実施例では、C60分子をトルエンに溶解させ、つい
でナフチル化ナトリウム(当量6)を含有したDME溶
液を使用し室温下で1時間処理した。反応後の混合物
を、ビス(η5−シクロペンタジエニル)ジルコニウム
二塩化物(Cp2ZrCl2、当量9)を含有したDME
溶液に加え、室温下で12時間攪拌した。
【0070】反応終了後、真空下で溶剤を除去し、各種
溶剤を使用して半固体の残留物に対し抽出を行った結
果、トルエンおよび塩化メチレンにそれぞれ可溶な部分
と、いずれにも不溶な部分とを得た。これらの抽出物の
うち、塩化メチレンに可溶な部分の主要生成物(収率>
80%)の赤外スペクトルは、1440cm-1、101
4cm-1、806(s)cm-1、および740(s)c
-1を中心とした吸収帯を示した。これは、ビスシクロ
ペンタジエニルジルコニウム二塩化物(Cp2ZrC
2)の吸収帯3102cm-1、1439cm-1、19
16cm-1、852cm-1、および814(s)cm-1
に似通っている。
【0071】塩化メチレンに可溶なこの暗褐色の部分の
1H NMRスペクトルは、シクロペンタジエニル環に
対応するδ6.31のところに最も強いピークを示し
た。この化学転移は、Cp2ZrCl2のシクロペンタジ
エニル環(δ6.49)よりも磁場が0.18ppmだ
け高く、Cp2ZrCl2の構造がC60で取って代わられ
たことを示しており、新たに形成された構造はC60配位
のビスシクロペンタジエニルジルコニウム塩化物の誘導
体であると推測される。塩化メチレンに可溶な部分の1
H NMRスペクトルは、ビス(η5−シクロペンタジ
エニル)ジルコニウム二塩化物(δ6.50)よりも磁
場が0.2ppmだけ高いところ(δ6.31)で鋭い
単一ピークを示した。
【0072】実施例12:C60配位のモノシクロペンタ
ジエニルジルコニウム二塩化物の合成5 ヘキサン(当量6.0)に溶解したn−ブチルリチウム
とベンゼンに溶解したフラーレン分子を室温下で1時間
反応させ、得られた暗褐色の反応混合物を、CpZrC
3(当量9)が溶解したDMEまたはTHF溶液に加
え、室温下で12時間攪拌した。反応が終了後、真空下
で溶剤を除去し、さらに各種溶剤を使用して半固体の残
留物に対し抽出を行った結果、トルエンおよび塩化メチ
レンにそれぞれ可溶な部分と、いずれにも不溶な固体と
を得た。
【0073】これらの抽出物のうち、塩化メチレンに可
溶な部分の主要生成物(収率>60%)の赤外スペクト
ルを測定すると、1441cm-1、1019cm-1、お
よび828cm-1を中心としたシクロペンタジエニル環
に対応する吸収帯と、2954(s)cm-1、2926
(s)cm-1、および2856cm-1を中心としたn−
ブチル基中のC−H官能基に対応する吸収帯が表われ
た。また、同一部分の1H NMRスペクトルは、シク
ロペンタジエニル陽子の転移に対応するδ6.49の単
一ピークと、n−ブチル基陽子の転移に対応するδ0.
94およびδ1.57を中心とした2つの幅広のピーク
が表われた。これら2種類のスペクトルデータから、こ
の生成物の化学構造が、ポリ(n−ブチル化)C60配位
モノシクロペンタジエニルジルコニウム二塩化物のもの
であると推測できる。
【0074】実施例13:C60配位のモノシクロペンタ
ジエニルジルコニウム二塩化物の合成6 n−ブチルリチウムをt−ブチルリチウムの代わりに使
用することを除き、全て上述の実施例と同様の反応条件
下で実験を行った。ヘキサブチルで置換されたマイナス
6価のC60中間体とDMEに溶解したCpZrC13
を、室温下で12時間反応させた。ついで、上述の回収
法に類似の方法を使用し、得られた反応混合物の溶剤を
真空下で除去し、さらに生成物に対し抽出・分離を行っ
た。
【0075】塩化メチレンに可溶な部分中、主要生成物
(収率>75%)の赤外スペクトルは、1460c
-1、1019cm-1、および813cm-1を中心とし
たシクロペンタジエニル環に対応する吸収帯と、295
9(s)cm-1、2920(s)cm-1、および286
1cm-1を中心としたn−ブチル基のC−H官能基に対
応する吸収帯を示した。C60のかごに連結したシクロペ
ンタジエニル環の赤外スペクトルに対し、CpZrCl
3のシクロペンタジエニルの赤外スペクトルでは、14
40cm-1、1019cm-1、および834(s)cm
−1を中心とした吸収帯が表れた。
【0076】このほか、この部分的抽出物の1H NM
Rスペクトルを測定したところ、シクロペンタジエニル
基の転移に対応するδ6.49を中心とした単一ピーク
と、t−ブチル陽子の転移に対応するδ1.30を中心
とした幅広のピークが表われた。δ6.49を中心とし
たプロトンピークは、モノシクロペンタジエニルジルコ
ニウム三塩化物(CpZrCl3)中、およびビスシク
ロペンタジエニルジルコニウム二塩化物(Cp2ZrC
2)中のシクロペンタジエニル陽子に相当し、対応す
る転移はそれぞれδ6.40(in CDCl3−DM
SO−d6)または6.55(in acetone−
6)、およびδ6.49(in CDCl3)である。
【0077】フラーレン分子の塩化メチレンに対する溶
解度は非常に大きな制限を受けるため、赤外スペクトル
にはC60による吸収帯が表れなかった。塩化メチレンに
可溶な部分が暗褐色を呈していることから、その中に機
能化したC60のかごが含有されていることがわかる。し
たがって、赤外スペクトルおよびNMRスペクトルの結
果は、塩化メチレンに可溶な部分の主要成分の化学構造
が、ポリ(t−ブチル化)C60配位モノシクロペンタジ
エニルジルコニウム二塩化物の誘導体のものであること
を支持している。
【0078】実施例14:C60配位のモノシクロペンタ
ジエニルジルコニウム二塩化物の合成7 多価のマイナス電荷を帯びたフラーレン核のTHFにお
ける溶解度は、トルエンにおける溶解度よりも高い。し
たがって、多価のマイナス電荷を帯びたフラーレン核を
完全に溶解させるために、本実施例ではTHFを反応基
材として使用した。本実施例では、THF溶液中に浮遊
しているフラーレン分子を、ヘキサン(当量6)に溶解
したn−ブチルリチウムで、室温下で1時間処理した。
ついで、得られた黒色の反応溶液を、CpZrCl3
溶解したDMEまたはTHFの溶液に加え、室温で12
時間攪拌した。反応終了後、真空下で溶剤を除去し、各
種溶剤を使用して半固体の残留物に対して抽出を行った
結果、トルエンおよび塩化メチレンにそれぞれ可溶な部
分と、いずれにも不溶な固体とをえた。
【0079】これらの抽出物のうち、塩化メチレンに可
溶な部分の主要生成物(収率>70%)の赤外スペクト
ルは、1441cm-1、1020cm-1、および832
cm-1を中心としたシクロペンタジエニル環に対応する
吸収帯と、2933cm-1、2926cm-1、および2
856cm-1を中心としたn−ブチル基のC−H官能基
を中心とした吸収帯とを示した。
【0080】実施例15:C60配位のモノシクロペンタ
ジエニルジルコニウム二塩化物の合成8 THF中に浮遊したフラーレン分子とヘキサンに溶解し
たn−ブチルリチウムを、−78℃の環境下で1時間反
応させ、得られた黒色の反応溶液をCpZrCl3(当
量9)が溶解した−30℃のTHF溶液に加え、−30
℃に保ったまま30分間攪拌した。ついで、夜通し攪拌
を続け、−30℃から室温まで徐々に温度を上昇させ
た。反応終了後、真空下で溶剤を除去し、各種溶剤を使
用して半固体の残留物に対して抽出を行った結果、トル
エンおよび塩化メチレンにそれぞれ可溶な部分と、いず
れにも不溶な固体とを得た。
【0081】これらの抽出物のうち、トルエンに可溶な
部分および塩化メチレンに可溶な部分のいずれも、その
主要成分(収率>60%)の赤外スペクトルに、144
1cm-1、1020cm-1、および832cm-1を中心
としたシクロペンタジエニル環に対応する吸収帯と、2
960cm-1、2923cm-1、および2851cm-1
を中心としたn−ブチル基のC−H官能基に対応する吸
収帯が表われた。
【0082】実施例16:マイナス6価のC60と(η5
−シクロペンタジエニル)ジルコニウム三塩化物とから
合成されたC60配位のモノシクロペンタジエニルジルコ
ニウム二塩化物を触媒としたプロピレンの重合反応 ナフチル化ナトリウムが溶解したジメトキシエタン溶液
を新たに調製し、トルエンに溶解したフラーレン(C60
およびC70)の還元反応に使用した。ついで、得られた
マイナス6価のC60と、(η5−シクロペンタジエニ
ル)ジルコニウム三塩化物(CpZrCl3)が溶解し
たDME溶液との間に、求核置換反応を起こさせた。
(η5−シクロペンタジエニル)ジルコニウム三塩化物
中の塩素原子をマイナス6価のC60で置換することによ
り、C60配位のモノシクロペンタジエニルジルコニウム
二塩化物錯体が形成された。塩化メチレンに可溶な部分
は、プロピレンの重合反応におけるZr誘導の触媒とし
て使用できる。
【0083】500mlの圧力反応器(pressure react
or)の中で、C60配位のモノシクロペンタジエニルジル
コニウム二塩化物錯体(10.0mg)とトルエン(5
0ml)を、大気圧の窒素下でグローブボックスに充填
し、ついでメチルアルミノキサン(MAOを10%含有
したヘプタン1ml)を加えた。続くC60配位のモノシ
クロペンタジエニルジルコニウム二塩化物錯体とメチル
アルミノキサンとの反応は、30分間混合させた後に開
始した。反応終了後、トルエン溶液から溢れ出たプロピ
レンのガスを、圧力が3.8バールの密封容器内に収集
した。プロピレンをトルエンに溶解させることによって
減圧した結果、重量が1.9g増加した。
【0084】ついで、室温で2時間攪拌して重合反応を
行い、重合反応の終了時にはエタノール(20.0m
l)を加え、残ったメチルアルミノキサン助触媒を分解
した。そして、回転式蒸発装置を使用して真空下で反応
混合物を乾燥させ、ポリプロピレン(PP、370m
g)を得た。得られた生成物の一部をトルエンで抽出
し、GPC(ゲル透過クロマトグラフィー)による測定
を行った結果、ポリプロピレンの2主要部分の重量平均
分子量(Mw)対数平均分子量(Mn)は、それぞれ8
0,200/79,990および53,350/52,
900であった。前者は多分散性1.0028、後者は
多分散性1.0081に相当する。
【0085】ポリプロピレン生成物の赤外スペクトルを
測定したところ、炭化水素による吸収に相当する弱い吸
収帯が表われた。3440cm-1、600cm-1を中心
としたところには、極性官能基による吸収に相当する幅
広の吸収帯が見られた。これらはいずれも、分解された
メチルアルミノキサンによる汚染が原因だと考えられ
る。
【0086】実施例17:ブチルリチウムで(η5−シ
クロペンタジエニル)ジルコニウム三塩化物の求核置換
反応を誘導することによりえられるC60配位のモノシク
ロペンタジエニルジルコニウム二塩化物を触媒として使
用したプロピレンの重合反応 500mlの圧力反応器の中で、対応するポリ(n−ブ
チル化)C60配位モノシクロペンタジエニルジルコニウ
ム二塩化物の誘導体(10.0mg)とトルエン(50
ml)を、大気圧の窒素下でグローブボックスに充填
し、ついでメチルアルミノキサン(MAOが10%溶解
したヘプタン1ml)を加えた。続くメチルアルミノキ
サンとポリ(n−ブチル化)C60配位モノシクロペンタ
ジエニルジルコニウム二塩化物の誘導体との反応は、3
0分間混合させた後に開始した。反応終了後、トルエン
溶液から溢れ出たプロピレンのガスを、圧力が3.0バ
ールの密封容器内に収集した。プロピレンをトルエンに
溶解させることによって減圧した結果、重量が1.5g
増加した。
【0087】ついで、室温で2時間攪拌して重合反応を
行い、重合反応の終了時にはエタノール(20.0m
l)を加え、残ったメチルアルミノキサン助触媒を分解
した。そして、回転式蒸発装置を使用して真空下で反応
混合物を乾燥させ、ポリプロピレン(PP、550m
g)を得た。得られた生成物の一部をトルエンで抽出
し、GPC(ゲル透過クロマトグラフィー)による測定
を行った結果、ポリプロピレンの3主要部分の重量平均
分子量(Mw)対数平均分子量(Mn)は、それぞれ8
1,160/80,900、52,550/52,12
0、および15,150/14,790であり、それぞ
れ多分散性1.0033、1.0078、1.025に
相当する。
【0088】ポリプロピレン生成物の赤外スペクトルを
測定したところ、炭化水素による吸収に相当する弱い吸
収帯が表われた。3440cm-1、600cm-1を中心
としたところには、極性官能基による吸収に相当する幅
広の吸収帯が見られた。これらはいずれも、分解された
メチルアルミノキサンによる汚染が原因だと考えられ
る。
【0089】以上に好ましい実施例を開示したが、これ
らは決して本発明の範囲を限定するものではなく、当該
技術に熟知した者ならば誰でも、本発明の精神と領域を
脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えられるべきで
あって、従って本発明の保護範囲は特許請求の範囲で指
定した内容を基準とする。
【0090】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発
明のフラーレン誘導のメタロセンはオレフィン重合体の
調製に触媒として使用するのに適している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 17/00 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式:Rm−F−(MXpqn (ここで、Fはフラーレン核であり、 Rは炭素数1〜20の直鎖および枝分れしたアルキル
    基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数7〜40のア
    ルキルアリール基、ならびに炭素数7〜40のアリール
    アルキル基よりなる群から独立して選択され、 Mは遷移金属であり、 Xは独立してハロゲン、水素化物、アルキル基またはア
    リール基であり、 Aは独立して未置換もしくは置換のシクロペンタジエニ
    ル基、未置換もしくは置換のインデニル基、未置換もし
    くは置換のフルオレニル基であり、 mは1〜10の整数であり、 pとqは正の整数で、1+p+qの和はMの酸化状態に
    等しく、 nは1〜10の整数である)で表されることを特徴とす
    るフラーレン誘導のメタロセン。
  2. 【請求項2】 前記フラーレン核が、C60、C70
    76、C78、C82、C84、およびC92よりなる群から選
    択されることを特徴とする請求項1に記載のフラーレン
    誘導のメタロセン。
  3. 【請求項3】 前記Mが、IVB、VB、VIB、またはVII
    IB族の遷移金属であることを特徴とする請求項1に記
    載のフラーレン誘導のメタロセン。
  4. 【請求項4】 前記Mが、ジルコニウム、チタン、バナ
    ジウム、またはハフニウムであることを特徴とする請求
    項3に記載のフラーレン誘導のメタロセン。
  5. 【請求項5】 置換シクロペンタジエニル、置換インデ
    ニル、または置換フルオレニルの置換基が、炭素数が1
    〜20の直鎖及び枝分れしたアルキル基、炭素数6〜4
    0のアリール基、炭素数7〜40のアルキルアリール
    基、炭素数7〜40のアリールアルキル基よりなる群か
    ら独立して選択されることを特徴とする請求項1に記載
    のフラーレン誘導のメタロセン。
  6. 【請求項6】 前記Aが、η5−シクロペンタジエニ
    ル、η5−メチルシクロペンタジエニル、η5−テトラメ
    チルシクロペンタジエニル、η5−ペンタメチルシクロ
    ペンタジエニル、η5−n−ブチルシクロペンタジエニ
    ル、インデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニ
    ル、およびオクタヒドロフルオレニルよりなる群から選
    択されることを特徴とする請求項1に記載のフラーレン
    誘導のメタロセン。
  7. 【請求項7】 式:Rm−F−(M−AX2nで表さ
    れ、F、A、M、X、mおよびnの定義が上に定義した
    とおりであることを特徴とする請求項1に記載のフラー
    レン誘導のメタロセン。
  8. 【請求項8】 FがC60、Aがシクロペンタジエニル、
    Mがジルコニウム、XがClであることを特徴とする請
    求項7に記載のフラーレン誘導のメタロセン。
  9. 【請求項9】 Rが、独立して炭素数が1〜20の直鎖
    または枝分れしたアルキル基であることを特徴とする請
    求項7に記載のフラーレン誘導のメタロセン。
  10. 【請求項10】 Rがn−ブチルまたはt−ブチル、F
    がC60、Aがシクロペンタジエニル、Mがジルコニウ
    ム、XがClであることを特徴とする請求項9に記載の
    フラーレン誘導のメタロセン。
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