JP3205435B2 - 車両用自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

車両用自動変速機の変速制御装置

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JP3205435B2
JP3205435B2 JP16046593A JP16046593A JP3205435B2 JP 3205435 B2 JP3205435 B2 JP 3205435B2 JP 16046593 A JP16046593 A JP 16046593A JP 16046593 A JP16046593 A JP 16046593A JP 3205435 B2 JP3205435 B2 JP 3205435B2
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雅彦 安藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用自動変速機の変
速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】第1の油圧式摩擦係合装置の係合によっ
て第1のギヤ段が成立させられ、その第1の油圧式摩擦
係合装置の解放と第2の油圧式摩擦係合装置の係合とに
よって第2のギヤ段が成立させられる形式の車両用自動
変速機において、該第1の油圧式摩擦係合装置の係合圧
の立ち上がりを緩和するアキュムレータと、前記第2の
ギヤ段を成立させる際には、該アキュムレータ内の作動
油を油圧源として該第1の油圧式摩擦係合装置の解放時
の油圧を、前記第2の油圧式摩擦係合装置の係合圧の立
ち上がりに応じて調圧するドレン圧調圧弁とを備えた変
速制御装置が知られている。たとえば、特願平3−34
4124号の明細書に記載されたものがそれである。
【0003】上記のような変速制御装置によれば、第1
の油圧式摩擦係合装置の解放と第2の油圧式摩擦係合装
置の係合とが同時に行われる所謂クラッチツウクラッチ
変速が、エンジンの吹き上がりや自動変速機のロックに
よる変速ショックを発生させることなく行われ得る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な変速制御装置においては、極めて短時間内に変速判断
が行われる多重変速により、前記第1のギヤ段を成立さ
せる変速過程において前記第2のギヤ段に変速させる変
速判断が行われる場合には、第1の油圧式摩擦係合装置
に連通するアキュムレータ内に作動油が充満させられる
前に、その第1の油圧式摩擦係合装置の解放と第2の油
圧式摩擦係合装置の係合とが開始されるクラッチツウク
ラッチ変速が実行されることから、第1の油圧式摩擦係
合装置の解放圧を調圧するための油圧源であるアキュム
レータ内の作動油量が不足してドレン圧調圧弁による調
圧期間が充分に得られないので、第1の油圧式摩擦係合
装置の早期の解放によりエンジンの吹き上がりが発生す
る不都合があった。
【0005】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであり、その目的とするところは、前記第1のギヤ
段を成立させる変速過程において前記第2のギヤ段に変
速させる変速判断が行われても、エンジンの吹き上がり
が発生しない自動変速機の変速制御装置を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めの本発明の要旨とするところは、図7のクレーム対応
図に示すように、第1の油圧式摩擦係合装置の係合によ
って第1のギヤ段が成立させられ、その第1の油圧式摩
擦係合装置の解放と第2の油圧式摩擦係合装置の係合と
によって第2のギヤ段が成立させられる形式の車両用自
動変速機において、第1の油圧式摩擦係合装置の係合圧
の立ち上がりを緩和するアキュムレータを備え、その第
1のギヤ段から第2のギヤ段への変速に際しては、前期
第1の油圧式摩擦係合装置およびアキュムレータの作動
油を排出すると同時にその第2の油圧式摩擦係合装置へ
作動油を供給しつつ、アキュムレータ内の作動油を油圧
源として第1の油圧式摩擦係合装置の解放時の油圧を、
前期第2の油圧式摩擦係合装置の係合圧の立ち上がりに
応じて調圧する形式の変速制御装置であって、(a)前記
第1のギヤ段を成立させる変速過程において前記第2の
ギヤ段に変速させる変速判断が行われたことを検出する
多重変速検出手段と、(b) その多重変速検出手段により
前記第1のギヤ段を成立させる変速過程において前記第
2のギヤ段を成立させる変速判断が行われたことが検出
された場合には、前記アキュムレータ内に作動油が充満
されるまでの遅延時間が経過した後に、その変速判断に
対応する変速出力を行う変速制御手段を、含むことにあ
る。
【0007】
【作用】このようにすれば、多重変速検出手段により前
記第1のギヤ段を成立させる変速過程において前記第2
のギヤ段を成立させる変速判断が行われたことが検出さ
れた場合には、変速制御手段により、前記アキュムレー
タ内に作動油が充満されるまでの遅延時間の経過後に、
その変速判断に対応した変速出力すなわち上記第2のギ
ヤ段を成立させる変速出力が行われる。
【0008】
【発明の効果】したがって、第1の油圧式摩擦係合装置
に連通するアキュムレータ内に作動油が充満させられて
から、その第1の油圧式摩擦係合装置の解放と第2の油
圧式摩擦係合装置の係合とが開始されるクラッチツウク
ラッチ変速が実行されるので、第1の油圧式摩擦係合装
置の解放圧を調圧するための油圧源であるアキュムレー
タ内の作動油量が不足することがなく、ドレン圧調圧弁
による調圧期間が充分に得られ、第1の油圧式摩擦係合
装置の早期の解放によりエンジンの吹き上がりが発生す
る不都合が好適に解消される。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。
【0010】図1は、本発明の一実施例の変速制御装置
により変速制御される車両用自動変速機の一例を示す骨
子図である。図において、エンジン10の出力は、トル
クコンバータ12を介して自動変速機14に入力され、
図示しない差動歯車装置および車軸を介して駆動輪へ伝
達されるようになっている。
【0011】上記トルクコンバータ12は、エンジン1
0のクランク軸16に連結されたポンプインペラ18
と、自動変速機14の入力軸20に連結されたタービン
ランナー22と、それらポンプインペラ18およびター
ビンランナー22の間を直結するロックアップクラッチ
24と、一方向クラッチ26によって一方向の回転が阻
止されているステータ28とを備えている。
【0012】上記自動変速機14は、ハイおよびローの
2段の切り換えを行う第1変速機30と、後進ギヤ段お
よび前進4段の切り換えが可能な第2変速機32を備え
ている。第1変速機30は、サンギヤSo、リングギヤ
Ro、およびキャリヤKoに回転可能に支持されてそれ
らサンギヤSoおよびリングギヤRoに噛み合わされて
いる遊星ギヤPoから成るHL遊星歯車装置34と、サ
ンギヤSoとキャリヤKoとの間に設けられたクラッチ
Coおよび一方向クラッチFoと、サンギヤSoおよび
ハウジング41間に設けられたブレーキBoとを備えて
いる。
【0013】第2変速機32は、サンギヤS1、リング
ギヤR1、およびキャリヤK1に回転可能に支持されて
それらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わさ
れている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置36
と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリヤK
2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリ
ングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成
る第2遊星歯車装置38と、サンギヤS3、リングギヤ
R3、およびキャリヤK3に回転可能に支持されてそれ
らサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされて
いる遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置40とを備
えている。
【0014】上記サンギヤS1とサンギヤS2は互いに
一体的に連結され、リングギヤR1とキャリヤK2とキ
ャリヤK3とが一体的に連結され、そのキャリヤK3は
出力軸42に連結されている。また、リングギヤR2が
サンギヤS3に一体的に連結されている。そして、リン
グギヤR2およびサンギヤS3と中間軸44との間にク
ラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS
2と中間軸44との間にクラッチC2が設けられてい
る。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止
めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング41
に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤ
S2とハウジング41との間には、一方向クラッチF1
およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方
向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が
入力軸20と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合
させられるように構成されている。
【0015】キャリヤK1とハウジング41との間には
ブレーキB3が設けられており、リングギヤR3とハウ
ジング41との間には、ブレーキB4と一方向クラッチ
F2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF
2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合さ
せられるように構成されている。
【0016】以上のように構成された自動変速機14で
は、たとえば図2に示す作動表に従って後進1段および
前進5段のギヤ段が切り換えられる。図2において○印
は係合状態を示し、×印は解放状態を示している。この
図2からも明らかなように、ブレーキB3は、第1速ギ
ヤ段から第2速ギヤ段へ切り換える変速に際して係合さ
せられるとともに、第2速ギヤ段から第3速ギヤ段へ切
り換える変速に際して解放されるものであり、ブレーキ
B2は、第2速ギヤ段から第3速ギヤ段へ切り換える変
速に際して係合させられるものである。第2速ギヤ段か
ら第3速ギヤ段への変速に際しては、ブレーキB3の解
放とブレーキB2の係合とがオーバラップして行われ
る、所謂クラッチツウクラッチ変速が行われる。
【0017】図3に示すように、車両のエンジン10の
吸気配管には、アクセルペダル50によって操作される
第1スロットル弁52とスロットルアクチュエータ54
によって操作される第2スロットル弁56とが設けられ
ている。また、エンジン10の回転速度を検出するエン
ジン回転速度センサ58、エンジン10の吸入空気量を
検出する吸入空気量センサ60、吸入空気の温度を検出
する吸入空気温度センサ62、上記第1スロットル弁5
2の開度θthを検出するスロットルセンサ64、出力軸
42の回転速度などから車速Vを検出する車速センサ6
6、エンジン10の冷却水温度を検出する冷却水温セン
サ68、ブレーキの作動を検出するブレーキスイッチ7
0、シフトレバー72の操作位置を検出する操作位置セ
ンサ74などが設けられており、それらのセンサから、
エンジン回転速度Ne 、吸入空気量Q、吸入空気温度T
Ha 、第1スロットル弁の開度θth、車速V、エンジン
冷却水温THw 、ブレーキの作動状態BK、シフトレバ
ー72の操作位置Pshを表す信号がエンジン用電子制御
装置76および変速用電子制御装置78に供給されるよ
うになっている。また、自動変速機14の入力軸回転速
度であるタービンランナ22の回転を検出するタービン
回転センサ75からタービン回転速度NT を表す信号が
変速用電子制御装置78に供給される。
【0018】また、図4に示すように、上記シフトレバ
ー72は、車両の前後方向に位置するPレンジ、Rレン
ジ、Nレンジ、Dおよび4レンジ、3レンジ、2および
Lレンジへ操作されるとともに、Dレンジと4レンジの
間、および2レンジとLレンジとの間が車両の左右方向
に操作されるようにその支持機構が構成されている。
【0019】エンジン用電子制御装置76は、CPU、
RAM、ROM、入出力インターフェースを備えた所謂
マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時
記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラ
ムに従って入力信号を処理し、種々のエンジン制御を実
行する。たとえば、燃料噴射量制御のために燃料噴射弁
80を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ82を
制御し、アイドルスピート制御のために図示しないバイ
パス弁を制御し、トラクション制御のためにスロットル
アクチュエータ54により第2スロットル弁56を制御
する。
【0020】変速用電子制御装置78も、上記と同様の
マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時
記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラ
ムに従って入力信号を処理し、油圧制御回路84の各電
磁弁或いはリニヤソレノイド弁を駆動する。たとえば、
変速用電子制御装置78は、第1スロットル弁52の開
度θthに対応した大きさのスロットル圧Pthを発生させ
るためにリニヤソレノイド弁SLT を、アキュム背圧を制
御するためにリニヤソレノイド弁SLN を、ロックアップ
クラッチ24のスリップ量およびクラッチツウクラッチ
のシフトを制御するためにリニヤソレノイド弁SLU をそ
れぞれ駆動する。また、変速用電子制御装置78は、予
め記憶された変速線図から実際のスロットル弁開度θth
および車速Vに基づいて自動変速機14のギヤ段やロッ
クアップクラッチ24の係合状態を決定し、この決定さ
れたギヤ段および係合状態が得られるように電磁弁S
1、S2、S3を駆動し、エンジンブレーキを発生させ
る際には電磁弁S4を駆動する。
【0021】図5は、前記油圧制御回路84の要部を示
している。図の1−2シフト弁88および2−3シフト
弁90は、電磁弁S1、S2、S3の出力圧に基づい
て、第1速ギヤ段から第2速ギヤ段への変速時および第
2速ギヤ段から第3速ギヤ段への変速時においてそれぞ
れ切り換えられる切換弁であり、その切換位置を示す数
値はギヤ段を示している。前進レンジ圧PD は、シフト
レバー72が前進レンジ(D、4、3、2、L)へ操作
されているときに図示しないマニアル弁から発生される
圧であり、図示しないレギュレータ弁によりスロットル
弁開度に応じて高く調圧されるライン圧を元圧としてい
る。この前進レンジ圧PD は、第1速ギヤ段から第2速
ギヤ段へ切り換える変速出力が出された時には、1−2
シフト弁88および2−3シフト弁90、油路L01、
B3コントロール弁92、油路L02を経てブレーキB
3およびB3アキュムレータ94へ供給される。また、
第2速ギヤ段から第3速ギヤ段へ切り換える変速出力が
出された時には、前進レンジ圧PD は、油路L03、B
2オリフィスコントロール弁96、油路L04を経て、
ブレーキB2およびB2アキュムレータ100へ供給さ
れ、同時に、ブレーキB3内の作動油は、2−3シフト
弁90、戻り油路L05、2−3タイミング弁98を経
てドレンされるようになっている。
【0022】アキュム背圧制御弁102は、リニヤソレ
ノイド弁SLT の出力圧PSLT とリニヤソレノイド弁SLN
の出力圧PSLN に基づいてアキュム背圧PACC を発生さ
せ、各変速に際して、上記B3アキュムレータ94の背
圧室94B およびB2アキュムレータ100の背圧室1
00B へ供給する。上記B3アキュムレータ94は、ピ
ストン94P により形成された可変室94K および背圧
室94B と、そのピストン94P を助勢するスプリング
94S1および94S2とを備えている。また、B2アキュ
ムレータ100は、ピストン100P により形成された
可変室100Kおよび背圧室100B と、そのピストン
100P を助勢するスプリング100S1および100S2
とを備えている。
【0023】上記B3コントロール弁92は、リニヤソ
レノイド弁SLU の出力圧PSLU に基づき、第3速ギヤ段
から第2速ギヤ段への変速に際してそのスプール弁子9
Vを図の中心線よりも上側に示す位置にロックし、ブ
レーキB3への作動油の供給をその初期において速やか
に行うファーストフィル作動を行う。また、上記B2オ
リフィスコントロール弁96は、ブレーキB2への作動
油の供給をその初期において速やかに行うファーストフ
ィル作動を行うものである。それらB3コントロール弁
92およびB2オリフィスコントロール弁96は、特願
平3─344124号の明細書に記載されたものと同様
であり、本実施例の油圧制御作動の要部には直接関与し
ないので、詳細な説明を省略する。
【0024】2−3タイミング弁98は、第2速ギヤ段
から第3速ギヤ段への変速に関与し、ブレーキB3から
の解放圧をリニヤソレノイド弁SLU から出力圧PSLU
従って調圧するドレン調圧弁として機能する。すなわ
ち、2−3タイミング弁98は、戻り油路L05に連通
する流入ポート104と、戻り油路L05にオリフィス
106を介して連通するドレン圧入力ポート108と、
2−3シフト弁90からブレーキB2に到る油路L03
にオリフィス109を介して連通する供給圧入力ポート
110と、変速用電子制御装置78により駆動されるリ
ニヤソレノイド弁SLU からの出力圧PSLU が供給される
入力トルク信号ポート112と、ドレンポート114
と、流入ポート104およびドレンポート114の間を
開閉するスプール弁子116と、リニヤソレノイド弁SL
U からの出力圧PSLU に従い、スプール弁子116に当
接することにより入力トルクに応じて閉弁方向に付勢す
るプランジャ118と、それらスプール弁子116およ
びプランジャ118の間に介挿されたスプリング120
とを備えている。
【0025】上記スプール弁子116は、ドレンポート
114を開閉する第1ランド122と、第1ランド12
2と同径の第2ランド124と、第2ランド124より
も小径の第3ランド126とを備えており、第2ランド
124の断面積をA2 、第3ランド126の断面積をA
3 、前記プランジャ118の断面積をAP 、油路L05
におけるブレーキB3のドレン圧をPDB3 、油路L03
におけるブレーキB2への供給圧(係合圧)をPAB2
すると、数式1が成立するように作動する。
【0026】
【数1】 A3 ・PAB2 +(A2 −A3 )・PDB3 =AP ・PSLU
【0027】従って、第2速ギア段から第3速ギア段へ
の変速に際して、2−3タイミング弁98によるブレー
キB3の調圧ドレン区間では、数式1から導かれる数式
2に従って、ブレーキB3のドレン圧PDB3 が調圧され
る。この数式2から明らかなように、2−3タイミング
弁98による調圧ドレン区間では、ブレーキB3のドレ
ン圧PDB3 は、リニヤソレノイド弁SLU からの出力圧P
SLU に応じて増加させられるが、ブレーキB2への供給
圧(係合圧)PAB2 に応じて減少させられる。この2−
3タイミング弁98による調圧ドレン作動は、B3アキ
ュムレータ94内の貯留された作動油が油圧源とされそ
れが消費されることにより行われる。
【0028】
【数2】PDB3 =(AP ・PSLU −A3 ・PAB2 )/
(A2 −A3
【0029】以上のように構成された変速制御装置にお
いて、第1速ギア段から第2速ギア段への変速出力が変
速用電子制御装置78から油圧制御回路84へ出力され
た場合には、1−2シフト弁88が切り換えられて、前
進レンジ圧PD が油路L01、油路L02を介してブレ
ーキB3およびB3アキュムレータ94へ供給され、ブ
レーキB3が係合させられる。同時に、アキュム背圧制
御弁102は、自動変速機14の入力トルクに基本的に
対応し且つ変速中のフィードバック値或いは学習値によ
り修正されたアキュム背圧PACC を発生させて、B3ア
キュムレータ94の背圧室94B およびB2アキュムレ
ータ100の背圧室100B へ供給することにより、ブ
レーキB3が滑らかに係合させられる。これにより、第
1速ギア段から第2速ギア段への変速に際しては、ブレ
ーキB3の係合に起因する変速ショックが抑制される。
この第2速ギア段への変速が完了すると、上記B3アキ
ュムレータ94のピストン94P が押し上げられて可変
室94K 内には作動油が充満させられる。
【0030】第2速ギア段から第3速ギア段への変速出
力が変速用電子制御装置78から油圧制御回路84へ出
力された場合には、2−3シフト弁90が切り換えられ
て、前進レンジ圧PD が油路L03、油路L04を介し
てブレーキB2およびB2アキュムレータ100へ供給
され、ブレーキB2が係合させられると同時に、ブレー
キB3およびB3アキュムレータ94内の作動油が油路
L02、L01、2−3シフト弁90、戻り油路L0
5、および2−3タイミング弁98を経てそのドレンポ
ート114からドレンされてブレーキB3が解放させら
れる。
【0031】アキュム背圧制御弁102は、前述のよう
に、自動変速機14の入力トルクに基本的に対応し且つ
変速中のフィードバック値或いは学習値により修正され
たアキュム背圧PACC を発生させて、B3アキュムレー
タ94の背圧室94B およびB2アキュムレータ100
の背圧室100B へ供給し、ブレーキB2の係合が滑ら
かに開始される。他方、ブレーキB3のドレン圧は、前
記2−3タイミング弁98による調圧ドレン作用によ
り、ブレーキB2の係合圧PAB2 の上昇に伴って低下さ
せられる一方、変速用電子制御装置78により駆動され
るリニヤソレノイド弁SLU からの出力圧PSLU に従って
自動変速機14の入力トルク値が大きくなる程低下が抑
制されるように調圧が開始される。これにより、ブレー
キB2とブレーキB3との係合のオーバラップ区間にお
けるブレーキB3の係合トルクが、ブレーキB2の係合
トルクの上昇に応じて低下制御されるので、ブレーキB
3の解放とブレーキB2の係合との切り換えが円滑に行
われる。
【0032】上記ブレーキB3の調圧ドレン制御はB3
アキュムレータ94内に貯留された作動油を油圧源とし
て行われるが、多重変速によって第2速ギヤ段の成立途
中で第3速ギヤ段への変速判断が行われた場合には、B
3アキュムレータ94内に作動油が充満させられる前に
2−3タイミング弁98による調圧ドレン作用が開始さ
れるので、その調圧ドレン作用の油圧源である作動油量
がB3アキュムレータ94内に充分に貯えられておら
ず、調圧ドレン区間が充分に得られないので、ブレーキ
B3の早期の解放によりエンジン10の吹き上がりが発
生するおそれがある。
【0033】図6は、上記多重変速においてもエンジン
10の吹き上がりが発生しないようにする、変速用電子
制御装置78による作動の要部を説明するフローチャー
トである。図のステップSS1において、所定の変速判
断により第1速ギヤ段から第2速ギヤ段への変速出力が
出された後、ステップSS2において第2速ギヤ段から
第3ギヤ段への変速判断が行われたか否かが判断され
る。このステップSS2の判断が否定された場合には本
ルーチンが終了させられる。しかしステップSS2の判
断が肯定された場合にはステップSS3において、イナ
ーシャ相が開始されたか否かが判断される。このイナー
シャ相の開始とは、第2速ギヤ段を成立させるためのブ
レーキB3の係合により自動変速機14の変速比γが減
少しようとしてエンジン10のイナーシャトルクの発生
が開始する時点であり、通常はエンジン回転速度Ne
低下開始により検出される。
【0034】上記ステップSS3の判断が否定された場
合には、ブレーキB3が係合する前であって直ちにブレ
ーキB2を係合させることが好ましいので、ステップS
S6により直ちに第3速ギヤ段を成立させるための変速
出力が出されることにより、ブレーキB2の係合が行わ
れて第3速ギヤ段が成立させられる。また、上記ステッ
プSS3の判断が肯定された場合には、ステップSS4
において車両がパワーオン走行、すなわちアクセルペダ
ルが踏み込まれた加速走行であるか否かが判断される。
このステップSS4の判断が否定された場合には、上記
ステップSS6により直ちに第3速ギヤ段を成立させる
ための変速出力が出される。このようなパワーオン走行
ではない状態ではエンジンの吹き上がりがないので、速
やかに第3速ギヤ段を成立させた方がよいからである。
【0035】しかし、上記ステップSS4の判断が肯定
された場合には、ブレーキB3の係合が既に開始され、
しかもパワーオン走行状態であるので、ステップSS5
において、リニヤソレノイド弁SLU の出力圧PSLU がそ
の最大値PSLUmaxに所定の遅延時間だけ維持される。こ
れにより、B3コントロール弁92のスプール弁子92
V が図の中心線よりも上側に示す位置にロックされて油
路L01とL02との間が全開状態とされるので、B3
アキュムレータ94内への作動油の充満が促進される。
上記所定の遅延時間は、第2速ギヤ段への変速期間より
も所定値短縮された期間であって、上記B3アキュムレ
ータ94内への作動油供給の促進によりB3アキュムレ
ータ94内に充分に作動油が充満されるように設定され
た値である。そして、続くステップSS6において第2
速ギヤ段から第3速ギヤ段への変速出力が行われる。
【0036】上述のように本実施例によれば、多重変速
検出手段に対応するステップSS2により第2速ギヤ段
を成立させる変速過程において第3速ギヤ段を成立させ
る変速判断が行われたことが検出された場合には、変速
制御手段に対応するステップSS5およびSS6の実行
により所定の遅延時間の待機が行われた後に2→3変速
出力が行われる。したがって、B3アキュムレータ94
内に作動油が充満させられてから、第2速ギヤ段から第
3速ギヤ段へのクラッチツウクラッチ変速が実行される
ので、ブレーキB3の解放圧を調圧するための油圧源で
あるB3アキュムレータ94内の作動油量が不足するこ
とがなく、2−3タイミング弁98による調圧期間が充
分に得られ、ブレーキB3の早期の解放によりエンジン
10の吹き上がりが発生する不都合が好適に解消され
る。
【0037】また、本実施例によれば、ステップSS5
においてリニヤソレノイド弁SLU の出力圧PSLU がその
最大値PSLUmaxに所定時間維持されることにより、第2
速ギヤ段への変速期間よりも所定値短縮された期間でB
3アキュムレータ94内に充分に作動油が充満されるこ
とから、第3速ギヤ段の成立までの時間がその短縮され
た期間だけ速められる利点がある。
【0038】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、本発明は他の態様で実施することも
できる。
【0039】たとえば、前述の実施例の自動変速機14
は、第2速ギヤ段から第3速ギヤ段への変速がクラッチ
ツウクラッチ変速となるように構成されていたが、他の
ギヤ段の間のクラッチツウクラッチ変速であっても本発
明が適用され得るし、図1と異なる歯車列にて構成され
ていてもよい。
【0040】また、前述の図6のフローチャートは、同
様の制御機能を達成する範囲でステップが追加された
り、或いはステップ内容の変更が行われてもよい。
【0041】その他一々例示はしないが、本発明は当業
者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の変速制御装置によってギヤ
段が制御される車両用自動変速機の構成を説明する骨子
図である。
【図2】図1の自動変速機における、複数の摩擦係合装
置の作動の組合わせとそれにより成立するギヤ段との関
係を示す図表である。
【図3】図1の自動変速機を制御する油圧制御回路およ
び電気制御回路を含むブロック線図である。
【図4】図3のシフトレバーの操作位置を説明する図で
ある。
【図5】図3の油圧制御回路の要部を説明する図であ
る。
【図6】図3の変速用電子制御装置の作動の要部を説明
するフローチャートである。
【図7】本発明のクレーム対応図である。
【符号の説明】
14:自動変速機 94:B3アキュムレータ(アキュムレータ) 98:2−3タイミング弁(ドレン圧調圧弁) B2:ブレーキ(第2の油圧式摩擦係合装置) B3:ブレーキ(第1の油圧式摩擦係合装置) ステップSS2:多重変速検出手段 ステップSS5、SS6:変速制御手段 ステップSS5:供給促進手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 弘道 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 安藤 雅彦 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エイ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 深津 彰 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エイ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 山本 義久 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エイ・ダブリュ株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−89860(JP,A) 特開 平2−89863(JP,A) 特開 平6−109123(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 61/00 - 61/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の油圧式摩擦係合装置の係合によっ
    て第1のギヤ段が成立させられ、該第1の油圧式摩擦係
    合装置の解放と第2の油圧式摩擦係合装置の係合とによ
    って第2のギヤ段が成立させられる形式の車両用自動変
    速機において、該第1の油圧式摩擦係合装置の係合圧の
    立ち上がりを緩和するアキュムレータを備え、該第1の
    ギヤ段から第2のギヤ段への変速に際しては、前記第1
    の油圧式摩擦係合装置および該アキュムレータの作動油
    を排出すると同時に該第2の油圧式摩擦係合装置へ作動
    油を供給しつつ、該アキュムレータ内の作動油を油圧源
    として該第1の油圧式摩擦係合装置の解放時の油圧を、
    前記第2の油圧式摩擦係合装置の係合圧の立ち上がりに
    応じて調圧する形式の変速制御装置であって、 前記第1のギヤ段を成立させる変速過程において前記第
    2のギヤ段に変速させる変速判断が行われたことを検出
    する多重変速検出手段と、 該多重変速検出手段により前記第1のギヤ段を成立させ
    る変速過程において前記第2のギヤ段を成立させる変速
    判断が行われたことが検出された場合には、前記アキュ
    ムレータ内に作動油が充満されるまでの遅延時間が経過
    した後に、該変速判断に対応する変速出力を行う変速制
    御手段とを、含むことを特徴とする車両用自動変速機の
    変速制御装置。
  2. 【請求項2】 前記多重変速検出手段により前記第1の
    ギヤ段を成立させる変速過程において前記第2のギヤ段
    に変速させる変速判断が行われたことが検出された場合
    には、前記アキュムレータ内に作動油を供給することを
    促進する供給促進手段をさらに含むものである請求項1
    の車両用自動変速機の変速制御装置。
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