JP3203783B2 - 光学活性フェニルピリミジン化合物およびこれを含む液晶組成物 - Google Patents

光学活性フェニルピリミジン化合物およびこれを含む液晶組成物

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JP3203783B2 JP20249192A JP20249192A JP3203783B2 JP 3203783 B2 JP3203783 B2 JP 3203783B2 JP 20249192 A JP20249192 A JP 20249192A JP 20249192 A JP20249192 A JP 20249192A JP 3203783 B2 JP3203783 B2 JP 3203783B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学活性フェニルピリミ
ジン化合物およびこれを含む液晶組成物に関し、さらに
詳しくは、強誘電性液晶組成物の成分として有用な、両
末端に不斉炭素原子を有する光学活性フェニルピリミジ
ン化合物およびこれを含む液晶組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、液晶表示素子としてTN(捻れネ
マチック)型表示方式が最も広く使用されている。この
TN表示は低駆動電圧、低消費電力などの利点を多く備
えている。しかしながら応答速度に関しては、陰極管、
エレクトロルミッセンス、プラズマディスプレイ等の発
光型の表示素子に著しく劣っている。捻れ角を180゜
〜270゜にした新しいタイプのTN表示素子も開発さ
れているが、応答速度に関してはやはり劣っている。こ
のように種々の改善の努力はなされているにもかかわら
ず、いまだに応答速度の速いTN表示素子の開発は実現
には至っていない。
【0003】しかしながら、現在、盛んに研究の進めら
れている強誘電性液晶を用いた新しい表示方式において
は、応答速度の著しい改善が見込まれている(クラーク
ら;Applied Phys.lett.,36,8
99(1980))。 この表示方式は強誘電性を示す
カイラルスメクチックC相(以下Sc*相と略記する)
等のカイラルスメクチック相を利用するものである。
【0004】実際に使用される強誘電性液晶表示素子に
使用される強誘電性液晶材料には多くの特性が要求され
る。その特性は、自発分極(Ps),傾き角(θ)、粘
度(η)、液晶相系列、等が代表的なものとしてあげら
れる。強誘電性液晶中の分子は円錘上のみでの運動が可
能であり、電界の方向に対応して、分子の長軸方向が電
界方向に垂直な2状態をとり得る。この2状態間のなす
角はコーン角と呼ばれ、コーン角の半分が傾き角(θ)
と呼ばれている。
【0005】強誘電性液晶表示方式としては、現在主と
して、偏光板を上下2枚用いる複屈折型と呼ばれるも
の、偏光板は1枚で液晶組成物に2色性色素を添加する
ゲストホスト(G.H)型と呼ばれるもの、の2方式が
ある。このとき、明暗の両状態の明るさの比(コントラ
スト比)が最良となるためには、複屈折型、G.H型、
それぞれ22.5゜、45゜の傾き角が要求される。
【0006】また、応答時間(τ)とPs、ηのあいだ
にはτ∝η/Psなる関係が成立するので、応答速度を
より速くするためには、Ps大、η小の材料が要求され
る。実際に使用される強誘電性液晶表示素子に使用され
る強誘電性液晶材料には多くの特性が要求されるが、そ
の要求に対して現状では一化合物では答えられず、多く
の材料の混合物の形で強誘電性液晶組成物は提供されて
いる。組成物は、液晶化合物あるいは非液晶化合物から
でも構成できる。強誘電性液晶組成物は強誘電性液晶化
合物のみから構成する方法、非カイラルなスメクチック
C,F,G,H,I等の傾いたスメクチック相(以下、
Sc等の相と略記する)を呈する化合物および組成物を
基本物質として、1種以上の強誘電性液晶化合物または
非液晶の光学活性化合物を混合することにより、全体を
強誘電性液晶相を呈する組成物となし得る方法がある。
【0007】これらの基本物質としては、Sc等の非カ
イラルなスメクチック液晶相を示す種々の系統の化合物
群が用いられているが、実用的には低温から室温以上の
温度領域で幅広くスメクチック相を呈する液晶化合物ま
たは液晶組成物が用いられている。これらのスメクチッ
ク相の中でもSc相が、強誘電性液晶相の中でも最も高
速応答性を示す理由から、広く一般的に基本物質の液晶
相となっている。これらのスメクチックC液晶組成物の
構成成分としては、フェニルベンゾエート系、シッフ塩
基系、ビフェニル系、フェニルピリジン系、フェニルピ
リミジン系等のような液晶化合物が挙げられる。例え
ば、以下のような化合物である。
【0008】
【化3】
【0009】(ただし、R8 、R9 はアルキル基または
アルコシキ基を示す) さらに、これらの基本物質に添加し、強誘電性を誘起す
る化合物としてはこれまで多くのものが報告されてき
た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、強誘電性液晶
表示素子はまだ実用には至っていない。これは、実用の
素子に要求される特性が、現在既知の化合物では達成さ
れていないからである。その解決すべき主たる問題点
は、応答速度である。より速い応答速度を得るために
は、前述のように従来より大きな自発分極を有する化合
物を提供しなければならない。
【0011】本発明の目的は、強誘電性液晶組成物とし
て使用したとき、その自発分極を大きく発現させるのに
有用な光学活性化合物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決する手段】本発明は、一般式(I)
【0013】
【化4】
【0014】(ただし、(I)式中A* 、B* はそれぞ
れ独立に下記に示す光学活性基a、bまたはcを示し
(ただし、A* =B* =aではない)、
【0015】
【化5】
【0016】上式中、R1 、R2 、R3 はそれぞれに炭
素数1から10のアルキル基を示す)で表される光学活
性フェニルピリミジン化合物、およびそれを含有する液
晶組成物であり、特に強誘電性液晶組成物、および液晶
表示素子である。
【0017】(I)式における光学活性基a、b、cに
おいて、R1 、R2 、R3 は炭素数1から10のアルキ
ル基であり、望ましくは炭素数3から8のアルキル基で
ある。具体的にあげると、光学活性基aで望ましいもの
は、2−フルオロペンチル基、2−フルオロヘキシル
基、2−フルオロヘプチル基、2−フルオロオクチル
基、2−フルオロノニル基、2−フルオロデシル基であ
る。
【0018】光学活性基bで望ましいものは、2−ブタ
ノイルオキシプロピル基、2−ペンタノイルオキシプロ
ピル基、2−ヘキサノイルオキシプロピル基、2−ヘプ
タノイルオキシプロピル基、2−オクタノイルオキシプ
ロピル基、2−ノナノイルオキシプロピル基である。光
学活性基cで望ましいものは、2−(2−プロポキシプ
ロパノイルオキシ)プロピル基、2−(2−ブトキシプ
ロパノイルオキシ)プロピル基、2−(2−ペンチルオ
キシプロパノイルオキシ)プロピル基、2−(2−ヘキ
シルオキシプロパノイルオキシ)プロピル基、2−(2
−ヘプチルオキシプロパノイルオキシ)プロピル基、2
−(2−オクチルオキシプロパノイルオキシ)プロピル
基である。
【0019】さらに、A* =b、B* =bであるとき、
またはA* =c、B* =cであるとき、一般式(I)の
両末端のアルキル基R2 、R3 は、同一のものに限定さ
れない。また、一般式(I)において、両末端の光学活
性基の発現するPsの方向に注意を払う必要がある。な
ぜならば、A* とB* の光学活性基が発現するPsの方
向が反対のものであれば、分子全体が発現するPsは相
殺されて小さくなり、反対に、発現するPsの方向が同
じであれば分子が発現するPsは著しく大きくなるから
である。
【0020】ところで、分子の両末端に光学活性基を有
した強誘電性液晶の概念は、すでに知られている。しか
し、本発明者らがあえてこの概念の化合物を出願したの
は、コア(分子の中央部分)構造とその両末端の光学活
性基を最適化した化合物を発見したからである。以下に
本発明に至った理由を説明する。まず第一に、コア構造
が本発明化合物である理由を述べる。本願に先立ち、分
子の両末端に光学活性基を有する化合物として以下が公
知である。化合物C
【0021】
【化6】 化合物D
【0022】
【化7】
【0023】化合物DのPsは化合物単独で1020n
C/cm2である。外挿法によって予想するとSc相等の
相を呈する基本物質に8mol%添加した組成物のPs値
は、およそ80nC/cm2である。しかし、実際に呈した
Ps値は15.3nC/cm2であり、外挿すると191n
C/cm2でしかない。すなわち、外挿値は単体のPs値
の5分の1程度であるので、化合物単体の値と外挿値と
は大きく違ってくる。
【0024】これに対して、連結基が無い化合物のPs
の外挿値は、単体のそれとあまり違わない。例えば、以
下の光学活性なフェニルピリミジン化合物(E)の化合
物単体でのPs値は94.4nC/cm2である。
【0025】
【化8】
【0026】上記と同様に20重量%含有する組成物の
Psは、12.0nC/cm2であり、外挿すと60nC/c
m2になる。すなわち、フェニルピリミジン化合物(E)
のPsの外挿値は単体のPs値の約3分の2を示す。そ
こで本願発明者らは、この違いがコア構造における連結
基の有無に起因すると考えた 化合物Cと化合物Dはい
ずれもフェニルベンゾエート系の化合物である。ネマチ
ック液晶における回転粘度のデータによると、コア構造
にエステル結合を有する化合物の粘度はエステル結合が
ない化合物の粘度と比較して大きいことは明かである。
例えば、下記に示すフェニルベンゾエート系の化合物
i)、ii)をそれぞれメルク社製ネマチック液晶組成物Z
LI−1132に15重量%添加した組成物の回転粘度
は、20℃でそれぞれ37.8cp、51.1cpであ
る。これに対し化合物i)、ii)に対応するエステル基が
ないビフェニル系の化合物iii)、iv)を同様の条件で回
転粘度を測定したところそれぞれ26.5cp、37.
1cpである。
【0027】
【化9】
【0028】このことより、強誘電性液晶化合物におい
ても、連結基が無い化合物Eの方が、連結基がある化合
物C、Dよりも低い粘度であると予想される。つまり、
強誘電性液晶組成物が発現するPs値は、添加される化
合物のPs値の大きさだけに依存するだけではなく、そ
の粘度にも大きく依存していることが予想される。
【0029】実際の組成物では、化合物が単独で使用さ
れることは皆無なので、重要なのは、化合物単独で発現
するPs値よりも、組成物中で発現するPs値となる。
しかも、応答時間を短くするためには、構成される組成
物の粘度はできるだけ小さいものが望ましいので、添加
される化合物の粘度も低い方がよい。このような理由に
より、本願発明者らはコア構造に連結基の無いものを選
択し、そのような構造の中よりフェニルピリミジン化合
物を選択した。
【0030】第二に、分子の両末端の光学活性基が、本
願が開示するような組合せに至った理由を説明する。従
来の両末端に光学活性基を有する化合物において使用さ
れている光学活性基の多くは1−メチルヘプチルオキシ
基である。この光学活性基を有するフェニルピリミジン
化合物(F)の化合物単体のPs値は、外挿値で約1n
C/cm2であった。
【0031】
【化10】
【0032】すなわち1−メチルヘプチルオキシ基を有
するフェニルピリミジン化合物が発現するPs値は小さ
い。これに対して、以下のような光学活性基を有するフ
ェニルピリミジン化合物(G)、(H)、(J)は化合
物(F)よりも大きなPs値を発現する。
【0033】
【化11】
【0034】化合物G、H、JをそれぞれSc相等を有
する基本物質に5重量%添加したときのPs値と、その
値より外挿したPs値は表1のようになる。
【0035】
【表1】 よって、Ps値を発現させるためには、1−メチルヘプ
チルオキシ基より、2−アルコキシプロポキシ基(一般
式(I)における光学活性基b)、2−(2−アルコキ
シプロパノイルオキシ)プロポキシ基(一般式(I)に
おける光学活性基c)、あるいは2−フルオロアルコキ
シ基(一般式(I)における光学活性基a)の方が有効
である。そこで本願発明者らは、フェニルピリミジンの
両末端にこれらの光学活性基を組み合わせた化合物を考
えた。
【0036】ところで、これらの光学活性基を組み合わ
せた構造の中で、両末端が2−フルオロアルコキシ基で
ある化合物(K)はすでに公知である。
【0037】
【化12】
【0038】表1より、Psの発現が最も小さいのは2
−フルオロアルコキシ基を有する化合物(J)である。
したがって、両末端が2−フルオロアルコキシ基である
化合物(K)より、2−フルオロアルコキシ基と2−ア
ルコキシプロポキシ基や2−(2−アルコキシプロパノ
イルオキシ)プロポキシ基を組み合わせた化合物、また
は両末端が2−アルコキシプロポキシ基である化合物
や、両末端が2−(2−アルコキシプロパノイルオキ
シ)プロポキシ基である化合物の方が大きな自発分極値
を発現することが期待できる。
【0039】以上のような着想のもとで本発明の一般式
(I)で示される化合物を検討した。その結果、本発明
者らは該化合物が従来にない大きな自発分極を発現させ
る効果があることを見いだした。すなわち、後述の比較
例に示されるように、本発明の光学活性化合物をSc相
を呈する液晶化合物または液晶組成物に添加することに
より得られる強誘電性液晶組成物は、きわめて大きな自
発分極値を呈する。
【0040】〔化合物の製法〕本発明の化合物は例えば
以下のようなルートで好適に製造できる。 1)(I)式においてA* =a、B* =bである化合物
【0041】
【化13】
【0042】
【化14】
【0043】(上式中、R4 はメチル基、エチル基など
の低級アルキル基を示し、丸で囲んだPはベンジル基な
どの保護基を示す。その他は前述と同様である) また化合物(9)は、例えば以下のような方法でも製造
できる。
【0044】
【化15】
【0045】(上式中、R1 、R4 は前述と同様であ
る) 原料となる光学活性2−ヒドロキシカルボン酸エステル
(15)をフッ素化剤で2−フルオロカルボン酸エステ
ル(16)とし、これを還元することで化合物(9)を
製造できる。ここで原料となる化合物(15)の製造方
法について述べる。化合物(15)は、光学活性なマー
ヒドロキシカルボン酸を原料として製造でき、これはラ
セミ体の2−ヒドロキシカルボン酸類の化学的光学分
割、アミノ酸類のVan slyke反応によるアミノ
基のヒドロキシル基への置換等によって得られる。
【0046】また、化合物(15)は光学活性−1、2
−アルカンジオールの1位のみをハロゲン化して、1−
ハロ−2−ヒドロキシアルカンを原料としても製造で
き、1,2−アルカンジオールは光学活性な1,2−エ
ポキシアルカンを原料として製造できる。さらに、化合
物(9)はアミノ酸類のアミノ基のフッ素への置換によ
って得られる2−フルオロカルボン酸を原料としても製
造できる。
【0047】上述のアミノ酸としては2−アミノペンタ
ン酸、2−アミノヘキサン酸、2−アミノヘプタン酸、
2−アミノオクタン酸、2−アミノノナン酸、2−アミ
ノデカン酸などがあげられる。 2)(I)式においてA* =a、B* =cである化合物
【0048】
【化16】
【0049】(上式中、Xはハロゲン原子を示す。その
他は前述と同様である) 3)(I)式においてA* =b、B* =aである化合物
【0050】
【化17】
【0051】(上式中、丸で囲んだPはベンジル基など
の保護基を示す。その他は前述と同様である)4)
(I)式においてA* =c、B* =aである化合物
【0052】
【化18】
【0053】5)(I)式においてA* =B* =b、ま
たはA* =B* =cである化合物
【0054】
【化19】
【0055】
【化20】
【0056】
【化21】
【0057】
【化22】
【0058】(上式中、丸で囲んだP1 はt−ブチルジ
メチルシリル基などの保護基を示す。その他は前述と同
様である) 6)(I)式においてA* =b、B* =cである化合物
【0059】
【化23】 7)(I)式においてA* =c、B* =bである化合物
【0060】
【化24】
【0061】本発明の化合物としては例えば以下に示す
ような化合物を挙げることができる。 (2S,2′S)−2−(4−(2−フルオロオクチル
オキシ)フェニル)−5−(2′−(2−ペンタノイル
オキシ)プロポキシ)ピリミジン (2S,2′S,2″S)−2−(4−(2−フルオロ
オクチルオキシ)フェニル)−5−(2′−(2″−ブ
トキシプロパノイルオキシ)プロポキシ)ピリミジン
m.p.45.4℃ (2S,2′S)−2−(4−(2−フルオロデシルオ
キシ)フェニル)−5−(2′−(2−ペンタノイルオ
キシ)プロポキシ)ピリミジン (2S,2′S,2″S)−2−(4−(2−フルオロ
デシルオキシ)フェニル)−5−(2′−(2″−ブト
キシプロパノイルオキシ)プロポキシ)ピリミジン
m.p.48.2℃ (2S,2′S)−2−(4−(2−ペンタノイルオキ
シ)プロポキシフェニル)−5−(2′−フルオロオク
チルオキシ)ピリミジン m.p.73.6℃ (2S,2′S,2″S)−2−(4−(2−(2′−
ブトキシプロパノイルオキシ)プロポキシ)フェニル)
−5−(2″−フルオロオクチルオキシ)ピリミジン
m.p.56.8℃ (2S,2′S)−2−(4−(2−ペンタノイルオキ
シ)プロポキシフェニル)−5−(2′−フルオロデシ
ルオキシ)ピリミジン (2S,2′S,2″S)−2−(4−(2−(2′−
ブトキシプロパノイルオキシ)プロポキシ)フェニル)
−5−(2″−フルオロデシルオキシ)ピリミジン (2S,2′S)−2−(4−(2−ペンタノイルオキ
シ)プロポキシフェニル)−5−(2′−ペンタノイル
オキシ)プロポキシ)ピリミジン (2S,2′S,2″S)−2−(4−(2−(2′−
ブトキシプロパノイルオキシ)プロポキシ)フェニル)
−5−(2″−ブトキシプロパノイルオキシ)ピリミジ
ン (2S,2′S,2″S)−2−(4−(2−ペンタノ
イルオキシ)プロポキシフェニル−5−(2′−(2″
−ブトキシプロパノイルオキシ)プロポキシ)ピリミジ
ン (2S,2′S,2″S,2′″S)−2−(4−(2
−(2′−ブトキシプロパノイルオキシ)プロポキシ)
フェニル)−5−(2″−(2′″−ブトキシプロパノ
イルオキシプロポキシ)ピリミジン
【0062】
【発明の効果】本発明の一般式(I)で表される化合物
の第1の特徴は自発分極値(Ps)、あるいは潜在的に
有する自発分極値が大であることである。本発明の化合
物は、化合物単独では強誘電性液晶相を呈しないものが
多い。しかし、それを前述の項で述べた非カイラルな基
本物質に添加すると強誘電性が誘起され、その自発分極
値は従来よりも著しく大きい。例えば一般式(I)に包
含される実施例1の化合物
【0063】
【化25】
【0064】を後の実施例で述べる非カイラルな基本物
質に5重量%添加した組成物のPsは、25℃において
12.5nC/cm2にも達する。その結果、この組成物は
25℃において67.5μsecという短い応答時間を実
現することができる。ところで光学活性なフェニルピリ
ミジン化合物(H)を、前述と同様の非カイラルな基本
物質に5重量%添加した組成物のPsを測定した場合、
25℃において8.7nC/cm2 であった。また応答時
間は25℃で80.0μsecであった。すなわち、化合
物(H)のもう一方の末端鎖に光学活性基を導入するこ
とにより、Psの値を著しく大きくでき、さらに応答時
間を短くできたことになる(比較例1参照)。
【0065】また、片方の末端鎖に含フッ素光学活性基
を有する化合物(J)を、前述と同様の非カイラルな基
本物質に5重量%添加した組成物のPsを測定した場
合、25℃において4.2nC/cm2であり、応答時間は
76.0μsecであった。すなわち、化合物(J)のも
う一方の末端鎖に光学活性基を導入した本発明の実施例
1の化合物のPsは、(J)のそれの約3倍であること
になる。これにより応答時間は、化合物(J)を使用し
た場合よりさらに短くなり、25℃において67.5μ
secという短い応答時間を実現することができる(比較
例2参照)。
【0066】ところで特開平4−29954号には、両
末端が含フッ素光学活性化合物である化合物(K)を2
0重量%、2−(4−オクチルオキシフェニル)−5−
オクチルピリミジンを40重量%、2−(4−ヘプチル
フェニル)−5−ノニルオキシピリミジンを40重量%
を混合した組成物の物性値は25℃で以下のようになる
と記載されている。
【0067】自発分極 50.2nC/cm2 応答時間 60 μsec これに対して本願発明者らは、本発明の実施例1の化合
物の物性値を、同様の条件で測定してみた。つまり実施
例1の化合物を20重量%、2−(4−オクチルオキシ
フェニル−5−オクチルピリミジンを40重量%、2−
(4−ヘプチルフェニル)−5−ノニルオキシピリミジ
ンを40重量%を混合した組成物の物性値は25℃で以
下のようであった。
【0068】自発分極 58.8nC/cm2 応答時間 50.0 μsec すなわち、本発明化合物を使用した組成物は特開平4−
29954号に開示されている化合物(K)を使用した
組成物よりも大きな自発分極値を発現でき、さらに応答
速度を短くすることができる(比較例3参照)。
【0069】このように、一般式(I)で表される本発
明の化合物を使用することにより、従来の化合物を使用
した場合よりも著しく自発分極が大きくなる組成物がで
き、しかも得られる応答時間を短縮できる。さらに、後
の実施例に示すように本発明の化合物を使用した組成物
の強誘電性液晶相の上限温度も高いことより本発明の光
学活性化合物は強誘電性液晶材料として有望であること
がわかる。
【0070】また第2の特徴として、本発明の光学活性
化合物は不斉炭素原子を有しているのでこの化合物をネ
マチック液晶に添加することによって、捻れた構造を誘
起する能力を有する。捻れた構造を有するネマチック液
晶、すなわちカイラルネマチック液晶はTN型表示素子
のいわゆるリバースドメインを生成することが無いの
で、本発明の化合物はリバースドメイン発生の防止剤と
しても利用できる(実施例3(使用例2)参照)。
【0071】第3の特徴として本発明の化合物をネマチ
ック液晶組成物に添加したカイラルネマチック液晶組成
物のカイラルピッチ長は実施例4(使用例3)に示され
るように非常に短くカイラルネマチック液晶組成物のピ
ッチ調節剤として非常に有用であるといえる。さらにそ
の温度依存性δPは実施例4(使用例3)に示されるよ
うに0.207と小さい。現在知られているカイラルネ
マチック液晶組成物のピッチ調節剤、例えば(S)−4
−(2′−メチルブチル)−4′−シアノビフェニルの
δPは同条件下で0.543であり、これと比較しても
本発明の化合物のδPは著しく小さいということがわか
る。TN型でツイスト角を180゜〜270゜にしたい
わゆるスーパーTN型表示においては、ピッチ長の温度
依存性が大きいと表示品位の著しい低下をもたらすので
ピッチ長の温度依存性は小さい方が望ましい。スーパー
TN型表示に本発明の化合物を含んでいるカイラルネマ
チック液晶組成物を用いた場合、ピッチ長の温度依存性
が小さいので表示品位の低下の少ない優れたスーパーT
N型表示素子を作製することができる。
【0072】
【実施例】以下、実施例にしたがって、本発明化合物を
更に詳しく説明する。各種の強誘電性液晶物性の測定方
法は以下に依った。 (1) 自発分極(Ps)はソーヤ・タウアー法により
測定した。 (2) 傾き角(θ)は、ホモジニアス配向させたセル
に臨界電圧以上の十分高い電場を印加したときの消光位
と、極性反転時の消光位の移動角の1/2として求め
た。
【0073】(3) 応答時間(τ)は、配向処理材と
してポリビニルアルコールを塗布し、表面をラビングし
て平行配向処理を施した透明電極付きの厚さ10μmの
セルに組成物を注入し、10V/μm、100Hzの矩
形波を印加したときの透過光強度の変化時間である。 (4) 粘度(η)は矩形波印加時の分極反転電流曲線
ピークの半値幅と自発分極値より計算した(ジャパニー
ズ ジャーナル オブ アプライド フィジックス(Jp
n. J. Appl. Phys.),26, 1225 (1987)。また、Psおよ
びηはθに大きく依存するので、測定値をθに依存しな
いようにするために、Psはsinθで、ηはsin2θでそ
れぞれ規格化したPo、ηoを設定した。(Po=Ps/s
inθ、ηo=η/sin2θ) また、(1)から(17)は化合物の製法の項で用いた
化合物番号である。
【0074】実施例1 (2S、2′S、2″S)−2−(4−(2−フルオロ
オクチルオキシ)フェニル)−5−(2′−(2″−ブ
トキシプロパノイルオキシ)プロポキシピリミジン
((I)式に於てA* =a(R1 =C613)、B*
c(R3 =C49))の製造。 第一段階 (2S) エチル 2−テトラヒドロピラニルオキシプ
ロピオネート((2)においてR4 =C25である化合
物)の製造 S−乳酸エチル((1)においてR4 =C25である化
合物)300g(2.54ml)ジクロルメタン500
mlを0℃に氷冷して3,4−ジヒドロピラン315g
(3.75mol)を加えてかくはんした。ここにピリ
ジウム−p−トルエンスルホネート(以下、PPTSと
略記する)10g(39.8mmol)のジクロルメタ
ン100ml溶液を徐々に滴下して0℃で30分かくは
んした。氷浴をはずして室温まで温度を上げて4時間か
くはんした。一晩放置後再び0℃まで氷冷して炭酸水素
ナトリウム4.0g(47.6mmol)を固体のまま
投入した。30分0℃でかくはんして室温で30分かく
はんした溶媒を減圧留去して残渣をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(溶離液ヘプタン)で精製した。残渣
を減圧蒸留した。b.p.124℃/36mmHg。収量470
g。 第二段階 (2S)−2−(2′−テトラヒドロピラニルオキシ)
−1−ヒドロキシプロパン(3)の製造 3口フラスコに水素化リチウムアルミニウム35g
(0.92mol)をいれ、滴下漏斗、温度計、かくは
んモーター、冷却管をつけて氷浴中で冷却する。これに
テトラヒドロフラン(以下、THFと略記する)500
mlを徐々に滴下した。
【0075】ここに前段階で製造した(2S)エチル2
−テトラヒドロピラニルオキシプロピオネート(2)2
56g(1.21mol)のTHF200ml溶液を徐
々に滴下した。滴下終了後、室温で1時間かくはんし
て、再び0℃まで冷却した。水素化リチウムアルミニウ
ムの過剰量を酢酸エチルのTHF溶液で消費させた後、
水33ml、2規定水酸化ナトリウム水溶液33ml、
水66mlの順に滴下した。フラスコを加熱してTHF
を30分還流した後放冷して析出した固化物を濾別し
た。濾液に炭酸カリウムをいれて乾燥させた後溶媒を減
圧留去し、残渣を減圧蒸留した。b.p.120℃/23m
mHg。収量180g。
【0076】第三段階 (2S)−2−(2′−テトラヒドロピラニルオキシ)
−1−(p−トルエンスルホニルオキシ)−プロパン
(4)の製法 前段階で製造した(2S)−2−(2′−テトラヒドロ
ピラニルオキシ)−1−ヒドロキシプロパン(3)10
g(0.062mol)と無水ピリジン20mlの混合
物を氷冷し、これにp−トルエンスルホニルクロリド1
2.0g(0.063mol)のピリジン 10ml溶
液を滴下し0℃にて2時間かくはんし、つづいて室温に
て2時間かくはんした後一夜放置した。トルエン100
mlを加え、さらに2N−NaOH水溶液50mlを加
え、有機層を分離して、水で数回洗浄した後中性とし
た。乾燥(無水硫酸マグネシウム使用)した後、溶媒を
減圧留去して標題化合物15.9gを得た。
【0077】第四段階 (2S)−2−(4−ベンジルオキシ)フェニル)−5
−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)プロポキシピリ
ミジン((6)において丸で囲んだPがベンジル基であ
る化合物)の製法 水素化ナトリウム(60%)0.46g、2−(4−ベ
ンジルオキシフェニル)−5−ヒドロキシピリミジン
((5)においてPがベンジル基である化合物)2.5
g(8.8mmol)、THF50mlの混合物に(2
S)−2−(2′−テトラヒドロピラニルオキシ)−1
−(p−トルエンスルホニルオキシ)−プロパン(4)
3.6gのN、N−ジメチルホルムアミド(以下、DM
Fと略記する)50ml溶液を加え、110℃で2時間
30分かくはんした。室温下放冷後、トルエン100m
lと水100mlを加え、有機層を分離し、それをアル
カリ洗浄後、水洗して濃縮した。残査をエタノールで再
結晶して標題化合物2.5gを得た。融点95.3℃。
【0078】第五段階 (2S)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−5−(2
−テトラヒドロピラニルオキシプロポキシピリミジン
(7)の製法 パラジウム炭素0.1g、エタノール50mlの混合物
に前段階で得られた(2S)−2−(4−ベンジルオキ
シ)フェニル)−5−(2−テトラヒドロピラニルオキ
シ)プロポキシピリミジン2.5gのトルエン10ml
溶液を加え、水素化分解を行った。反応終了後パラジウ
ム炭素を濾別した後、溶媒を減圧留去し標題化合物1.
8gを得た。 第六段階 (2S)−2−フルオロオクタノ−ル((9)において
1 がC613である化合物)の製造 0℃に氷冷したフッ化水素化ピリジン150gの中へ
(R)−1,2−エポキシオクタン((8)においてR
1 がC613である化合物)25.0g(0.2mo
l)のジエチルエーテル100ml溶液をかくはんしな
がら徐々に滴下した。滴下終了後反応物を氷水500m
lに徐々に加え入れた。この混合物を炭酸水素ナトリウ
ムで中和した。エーテル500mlで抽出し、抽出した
有機層の中に塩化カルシウムを5g加えて一時間かくは
んした。塩化カルシウムを濾別し、濾液を2規定水酸化
ナトリウム水溶液で洗浄した後、飽和食塩水で洗浄し
た。溶媒を減圧留去し、残渣を減圧蒸留した。b.p.10
7℃/26mmHgの蒸留物をヘプタンで再結晶して目
的物を14g得た。
【0079】m.p.33.4℃、[α]D 25−8.4゜
(c0.5,CHCl3) 第七段階 (2S)−2−フルオロ−1−(p−トルエンスルホニ
ルオキシ)オクタン((10)においてR1 がC613
である化合物)の製造 前段階で製造した(2S)−2−フルオロオクタノ−ル
(9)9.7g(65.5mmol)と無水ピリジン3
5mlの混合物を氷冷し、これにp−トルエンスルホニ
ルクロリド13.7g(72mmol)のピリジン 1
0ml溶液を滴下し0℃にて2時間かくはんし、つづい
て室温にて2時間かくはんした後一夜放置した。トルエ
ン100mlを加えさらに2N−NaOH水溶液50m
lを加え、有機層を分離して、水で数回洗浄した後中性
とした。乾燥(無水硫酸マグネシウム使用)した後、溶
媒を減圧留去して標題化合物19.9gを得た。 第八段階 (2S、2′S)−2−(4−(2−フルオロオクチル
オキシ)フェニル)−5−(2−ヒドロキシ)プロポキ
シピリミジン((12)においてR1 がC61 3である
化合物)の製法 水素化ナトリウム(60%)0.29g、2−(4−ヒ
ドロキシフェニル)−5−(2−テトラヒドロピラニル
オキシ)プロポキシピリミジン(7)1.8g(以下、
THFと略記する)10mlの混合物に、前段階で得ら
れた(2S)−2−フルオロ−1−(p−トルエンスル
ホニルオキシ)オクタン(10)のDMF20ml溶液
を加え、74℃で4時間かくはんした。室温下放冷後ト
ルエン50ml、水50mlを加え、有機層を分離し、
それをアルカリ洗浄後、水洗して濃縮した。これにエタ
ノール50ml、ピリジウム−p−トルエンスルホネー
ト(以下、PPTSと略記する)0.5gを加え、1時
間50℃でかくはんした。トルエン50mlで抽出し、
水洗した後溶媒を減圧留去し、0.2gの標題化合物を
得た。 第九段階 (2S)−2−ブトキシプロピオン酸((18)におい
てR3 =C4 9である化合物の製造 S−乳酸エチル((1)においてR4 =C25である化
合物)49.4g(0.4ml)と1−ヨードブタン1
00g(0.5mol)との混合物に酸化銀77.5g
(0.3mol)を2時間かけて加えた。室温で3日放
置した後エーテル30mlを加えて希釈し濾過後エーテ
ルを留去した。残渣を2規定水酸化ナトリウム水溶液で
洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを減圧蒸
留して(S)−2−ブトキシプロピオン酸エチル
((15)においてR3 =C49、R 4 =C25である
化合物)30.7g(b.p4℃/7mmHg)を得
た。これに5規定水酸化ナトリウム水溶液50mlを加
えて室温で5時間かくはんした。このものを6規定塩酸
75 mlに注ぎ有機層をエーテル抽出した。有機層を
水洗後、エーテルを(s)−2−ブトキシプロピオン酸
(18)21.4gを得た。 第十段階 標題化合物((19)においてR1 =C65、R3 =C
49である化合物)の製法 第8段階で得られた0.2gの(2S、2′S)2−
(4−(2−フルオロオクチルオキシ)フェニル)−5
−(2′−ヒドロキシ)プロポキシピリミジン(12)
とN、N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下、D
CCと略記する)0.16g、4−N、N−ジメチルア
ミノピリジン(以下、DMAPと略記する)0.01
g、塩化メチレン50mlの混合物の中に、前段階で得
られた(2S)−2−ブトキシプロピオン酸0.08g
を加え室温で7時間かくはんした。析出した結晶を濾別
後、溶媒を減圧留去した。残査をトルエン50mlに溶
解し、アルミナカラムクロマトグラフィーで精製した。
溶媒を減圧留去し残査をエタノールで再結晶し、標題化
合物を得た。m.p.45.4℃。 実施例2(使用例1) 下記組成の6種類の非カイラル化合物からなるSc相を
有する組成物を調製した。 5-オクチル-2-(4-ヘキシルオキシフェニル)ピリミジン 30重量% 5-オクチル-2-(4-オクチルオキシフェニル)ピリミジン 20重量% 5-オクチル-2-(4-ノニルオキシフェニル)ピリミジン 10重量% 5-オクチル-2-(4-デシルオキシフェニル)ピリミジン 10重量% 5- オクチル-2- (4′-ペンチル-4-ビフェニリル)ピリミジン 20重量% 5-オクチル-2- (4′-ヘプチル-4-ビフェニリル)ピリミジン 10重量% 上記組成の液晶組成物Aは以下の相転移温度(℃)を示
す。 Cr・4 Sc・ 65 SA ・ 79 N・ 90 Iso (ただし、Crは結晶、ScはスメクチックC相、SA
はスメクチックA相、Nはネマチック相、Isoは等方
性液体を示す。)この組成物A95重量%と(2S、
2′S、2″S)2−(4−(2−フルオロオクチルオ
キシ)フェニル)−5−(2′−(2″−ブトキシプロ
パノイルオキシ)プロポキシピリミジン(実施例1の化
合物)5重量%との組成物(組成物B)は以下の相転位
温度(℃)を示した。
【0080】 Sc*・ 62.9 SA ・ 72.3 N*・ 83.1 Iso (ただし、Sc*はカイラルスメクチックC相を、N*
はカイラルネマチック相を示し、SA、Isoは前述と
同様である。) 比較例1 この組成物A95重量%と(2S、2′S) 2−(4
−(オクチルオキシフェニル)−5−(2−(2′−ブ
トキシプロパノイルオキシ)プロポキシピリミジン
((H)式の化合物))5重量%との混合物(組成物
C)は以下の相転移温度(℃)を示した。
【0081】 Sc*・61.5 SA ・70.8 N*・83.1 Iso (ただし、Sc*はカイラルスメクチックC相を、N*
はカイラルネマチック相を示し、SA、Isoは前述と
同様である。) 本発明化合物(実施例1の化合物)を用いた組成物Bの
優秀性を明確にするために、組成物Cとの25℃におけ
る強誘電性液晶物性値の比較を表2に示す。
【0082】
【表2】 このように本発明化合物をを使用した組成物の自発分極
値は従来よりも著しく大きい値を示し、その結果、応答
時間が短縮できた。 比較例2 組成物A95重量%と(2S) 2−(4−(2−フル
オロオクチルオキシ)フェニル−5−オクチルピリミジ
ン((J)式の化合物))5重量%との混合物(組成物
D)は以下の相転移温度(℃)を示した。
【0083】 Sc*・62.0 SA ・76.5 N*・85.3 Iso (ただし、Sc*はカイラルスメクチックC相を、N*
はカイラルネマチック相を示し、SA、Isoは前述と
同様である。) 本発明化合物(実施例1の化合物)を用いた組成物Bの
優秀性を明確にするために、組成物Dとの25℃におけ
る強誘電性液晶物性値の比較を表3に示す。
【0084】
【表3】 このように本発明化合物を使用した組成物の自発分極値
は従来よりも約3倍の値を示しその結果、応答時間が短
縮できた。
【0085】実施例3(使用例2) 実施例1の化合物、(2S、2′S、2″S)−2−
(4−(2−フルオロオクチルオキシ)フェニル)−5
−(2′−(2″−ブトキシプロパノイルオキシ)プロ
ポキシピリミジン20重量%と、2−(4−オクチルオ
キシフェニル)−5−オクチルピリミジンを40重量
%、2−(4−ヘプチルフェニル)−5−ノニルオキシ
ピリミジンを40重量%からなる組成物は25℃で以下
のような物性値を示した。 自発分極 58.8nC/cm2、 応答時間 50μ
sec 比較例3 特開平4−29954号に記載されている光学活性化合
物(2S,2′S)−5−(2−フルオロオクチルオキ
シ)−2−(4−(2′−フルオロオクチルオキシ)フ
ェニル)ピリミジン(化合物(K))20重量%と、2
−(4−オクチルオキシフェニル)−5−オクチルピリ
ミジンを40重量%、2−(4−ヘプチルフェニル)−
5−ノニルオキシピリミジンを40重量%からなる組成
物は、25℃で以下のような物性値を示したと記載され
ている。 自発分極 50.2nC/cm2、 応答時間 60μ
sec すなわち、本発明化合物を使用した組成物は、化合物
(K)を使用した組成物よりも大きな自発分極を発現で
き、応答時間を短くすることがわかる。
【0086】実施例4(使用例3) 4′−エチル−4−シアノビフェニル 20重量% 4′−ペンチル−4−シアノビフェニル 35重量% 4′−オクチル−4−シアノビフェニル 30重量% 4′−ペンチル−4−シアノビフェニル 15重量% からなるネマチック液晶組成物を配向処理としてポリビ
ニルアルコールを塗布し、その表面をラビングして平行
処理をした透明電極付きの電極間隔10μmのセルに注
入してTN型表示セルとし、これを偏光顕微鏡で観察し
たところ、リバース・ドメインが生じていることが観察
された。このネマチック液晶組成物に本発明の化合物で
ある(2S、2′S、2″S)−2−(4−(2−フル
オロオクチルオキシ)フェニル)−5−(2′−(2″
−ブトキシプロパノイルオキシ)プロポキシピリミジン
(実施例1の化合物)を1重量%添加し、同様なTN型
セルにして観察したところ、リバース・ドメインは生成
せず、均一なネマチック相が観察された。
【0087】実施例5(使用例4) メルク社製ネマチック液晶組成物ZLI−1132に実
施例1の化合物を1重量%添加したカイラルネマチック
液晶組成物のカイラルピッチ長は以下のようであった。 60℃ 21.4μm 50℃ 20.5μm 40℃ 20.1μm 30℃ 19.8μm 25℃ 19.8μm 20℃ 19.7μm さらに、式 で示されるピッチ長の温度依存性δPはt1=20℃、
2=60℃で0.207であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 239/34 C09K 19/34 G02F 1/13 500 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (ただし、(I)式中A* 、B* はそれぞれ独立に下記
    に示す光学活性基a、bまたはcを示し(ただし、A*
    =B* =aではない)、 【化2】 上式中、R1 、R2 、R3 はそれぞれに炭素数1から1
    0のアルキル基を示す)で表される光学活性フェニルピ
    リミジン化合物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光学活性フェニルピリミ
    ジン化合物を少なくとも1種類以上含有することを特徴
    とする液晶組成物。
  3. 【請求項3】請求項2において呈する液晶相がカイラル
    スメクチック相である液晶組成物。
  4. 【請求項4】請求項2において呈する液晶相がカイラル
    ネマチック相である液晶組成物
  5. 【請求項5】請求項2における液晶組成物を使用した光
    スイッチング素子。
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