JP3201500B2 - 金型の表面硬化熱処理方法 - Google Patents

金型の表面硬化熱処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐ヒートチェック性,
高温強度に優れた鋳・鍛造用金型を製造するのに利用さ
れる金型の表面硬化熱処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋳・鍛造用金型材、とりわけ、熱間・温
間鍛造用金型材の要求特性である耐ヒートチェック性・
高温強度等の向上には、窒化処理が有効であることが知
られているが、各種の窒化処理により金型材表面に発生
する窒素化合物は、脆弱で、鍛造あるいは鋳造中に表面
に割れ・剥がれが発生し易く、これにより金型の寿命を
低下させるため好ましくない。
【0003】また、窒素化合物層下に存在する窒素が拡
散・固溶した窒素拡散層は、高い高温強度を持つことが
知られており、塑性流動を起こしやすい鍛造用金型材で
は厚くすることが寿命向上の点で望ましく、この窒素拡
散層を厚くする方策としては、一般的に、窒化処理時間
の延長が行われているが、これは同時に前述の脆弱な窒
素化合物層を厚くしてしまい、クラックの発生を助長
し、また、金型の生産性が悪化することから好ましくな
い。
【0004】この窒素化合物層は、700℃以上の温度
で分解することが既に知られているが、この様な金型材
について、窒素化合物層の分解による消失と同時に窒素
拡散深さを深くする手法については未だ見いだされてい
ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】各種の窒化処理後、雰
囲気制御された均熱炉等により金型材を700℃以上の
温度に加熱処理すると、表面の窒素化合物の消失は期待
できるが、窒素拡散深さの増大は期待できず、加えて、
熱処理時間の増大による金型の生産性低下などの問題が
生じる。
【0006】また、高周波加熱による通常の急速加熱・
急速焼入れを行った場合は、やはり、窒素化合物層は減
少ないしは消失するが、入熱部における硬さの低下およ
び入熱部と内部との境界に焼戻しによると思われる軟化
領域が発生しやすい。
【0007】これらのうち、とくに、入熱部の硬さの低
下は、鋳造あるいは鍛造時、高温強度の点で不利であ
り、金型の寿命向上は期待できない。
【0008】
【発明の目的】本発明は、金型材に対する各種窒化処理
後に行う加熱処理において、可能な限り処理時間を短縮
し、表面に発生する脆弱な窒素化合物層を減少ないしは
消失させると同時に窒素を内部に拡散・固溶させ、かつ
また、少なくとも鋳造時および鍛造時のヒートクラッ
ク、ならびに塑性流動の発生域である表面から3mm深
さまでの硬さの落ち込みを防止する熱処理方法とするこ
とにより、長い寿命を持つ金型を提供することを目的と
している。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記発明の目的を達成す
るために、寿命となった熱・温間鍛造用の廃却金型につ
いて、そのヒートクラック,割れおよび摩耗の外観形
状、断面組織、硬さ変化について詳細に調査・検討した
結果、金型の寿命を向上させるには下記の2点が重要で
あることを見いだした。
【0010】1)窒化処理後、表面に生成している脆弱
な窒素化合物を減少ないしは消失させることにより、表
面の靭性を向上させ、ヒートクラックの発生・進展を防
止すること。
【0011】2)高温変形抵抗の高い、高濃度の窒素を
固溶した窒素拡散層を深くすることにより、鍛造中の塑
性流動を軽減すること。
【0012】上記特性を得る熱処理方法としては、各種
の窒化処理を行った後、金型の表面のみを加熱して、窒
素化合物を減少ないしは消失させ、そして、窒素拡散層
を深くさせ、同時に、母材が軟化せず、さらに、表面か
ら3.0mmでの硬さの落ち込みを防止する熱処理方法
とすることが必要である。
【0013】そこで、金型材に対して各種窒化処理を行
った後に、高周波による加熱およびソルト浴による加熱
処理を行うことについて種々検討した結果、金型材に対
してガス窒化,イオン窒化あるいは浸硫窒化などの窒化
処理を行った後、高周波による加熱を行い、その後マル
テンサイト変態の臨界冷却速度以上30℃/sec以下
の冷却速度にてマルテンサイト変態開始(Ms)温度以
下まで冷却する処理を行うのが有効であることを見いだ
した。
【0014】また、同じく、金型材に対して各種窒化処
理を行った後、高温ソルト浴中にて加熱を行い。その後
マルテンサイト変態の臨界冷却速度以上30℃/sec
以下の冷却速度にてマルテンサイト変態開始(Ms)温
度以下まで冷却する処理を行うことも前記と同様に有効
であることを見いだして本発明を完成するにいたった。
【0015】窒化処理を行った後に高周波加熱を行う方
法については、例えば、特開平2−232353号公報
に、材料表面を硬化させることを意図し、SCM鋼、工
具鋼への軟窒化後、さらに高周波焼入れを行う方法が記
載されており、また、特開昭61−76659号公報に
は、高硬度の表面層を有することを意図し、金属材料に
イオン窒化した後、加熱処理を行う方法が記載されてい
るが、本発明が金型材の鍛造時の耐ヒートチェック性の
向上を目的とした窒素化合物の減少・消失、および塑性
流動の防止を目的とした高温変形抵抗の向上を意図し、
また、それらを得る各種窒化処理後の加熱処理におい
て、表面から3.0mm位置に発生する硬さの落ち込み
を防止する処理方法としている点において、上記2方法
とは基本的に異なる。
【0016】
【発明の作用】本発明に係わる金型の表面硬化熱処理方
法では、上述した構成としており、表面には脆弱な窒素
化合物層が多く存在しないように、すなわち減少ないし
は消失しているようにすると共に、表面硬化層を窒化処
理単独に比べて深くするようにしているので、耐ヒート
クラック性ならびに耐塑性流動性が著しく向上したもの
となる。
【0017】
【実施例】組成が、炭素0.5重量%、珪素0.1重量
%、マンガン0.5重量%、クロム4.5重量%、タン
グステン1.5重量%、バナジウム1.0重量%、コバ
ルト1.0重量%、残部鉄および不可避の不純物からな
る工具鋼を大気溶解によって溶製し、次いで、鍛造によ
り直径50mmの棒に鍛伸した後、870℃にて4時間
の焼鈍を行った。引き続き、機械加工により、直径37
mm×長さ50mmに成形し、真空炉にて1140℃で
30分の加熱を行った後、焼入れを行い、560℃にて
1.5時間の焼戻しを行った後、565℃にて10時間
の浸硫窒化処理を行った。
【0018】その後、高周波加熱により表面を950℃
まで上昇させ、2秒間保持した後、250℃まで水冷に
より200℃/secで冷却し、次いで、300℃で
1.5時間の焼戻しを行って、試験片1を作成した。
【0019】また、同様に、高周波加熱を行うまでは試
験片1と同様にして高周波加熱を行った後、放冷により
0.40℃/secにて室温まで冷却し、300℃で
1.5時間の焼戻しを行って、試験片2を作成した。
【0020】さらに、試験片1,2と同様の焼入れ焼戻
しを行った後、浸硫窒化処理のみを行った試験片3を作
成した。
【0021】試験片1および試験片2は、光学顕微鏡組
織において、試験片3に見られる表面の約12μm厚の
窒化物層(白色層)および窒素拡散層中に生成していた
長さ20〜50μmの網目状窒化物は消失していた。
【0022】これは、高周波による加熱・保持した過程
で窒素化合物層が熱的に分解したためである。
【0023】また、断面の硬さプロフィールは、図1に
示すように、試験片1および試験片2は、試験片3の浸
硫窒化処理のみのものに比して、表面部分の硬さがかな
り低下している。これは、表面部分の窒素化合物層が高
周波加熱により消失したためであると思われる。
【0024】そして、表面より内部においては、試験片
1が窒素の拡散・固溶した領域で浸硫窒化のみのものに
比して硬さは低下し、試験片2では上昇している。
【0025】また、試験片2に見られる4mm深さでの
硬さ低下現象は、高周波加熱での高温焼戻しによる軟化
領域であると思われる。しかし、この位置は、一般的な
鋳造および鍛造によるヒートクラックおよび塑性流動の
発生域よりも深く、また、塑性流動はHv450以下で
発生しやすいことが廃却金型の調査から分かっており、
従って、その軟化の程度からしても金型の寿命に実質的
な影響はない。
【0026】この試験より、試験片2において得られた
浸硫窒化処理後の高周波加熱組織は、鋳造および鍛造時
の耐ヒートチェック性、耐塑性流動性の向上に大きな効
果があり、金型の寿命を著しく向上させることができる
ものである。
【0027】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、鋳造および鍛造用金型の表面部分において、脆弱な
窒素化合物層が減少ないしは消失したものになっている
と共に、窒素が内部に拡散・固溶したものとなっている
ので、従来の各種窒化処理のみのものに比較して耐ヒー
トクラック性ならびに耐塑性流動性を著しく向上させる
ことができるものであり、金型の寿命向上に多大に貢献
できるものであると共に、処理時間も短縮できるという
著しく優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における試験片断面の硬さプロ
フィールを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−38245(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 8/24 C21D 1/06 C21D 6/00 C21D 9/00 C23C 8/80

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型材に対して窒化処理を行った後に表
    面の加熱を行い、マルテンサイト変態の臨界冷却速度以
    上30℃/sec以下の冷却速度にてマルテンサイト変
    態開始温度以下まで冷却し、表面の窒素化合物を減少な
    いしは消失させかつ内部に窒素を拡散・固溶させ、表面
    硬化層を窒化処理単独に比べて深くし表面から3.0m
    m深さまでの硬さの落ち込みをなくして表面から3.0
    mmの位置で硬さHv450超過とすることを特徴とす
    る金型の表面硬化熱処理方法。
  2. 【請求項2】 金型材に対して窒化処理を行った後に高
    周波加熱を行い、マルテンサイト変態の臨界冷却速度以
    上30℃/sec以下の冷却速度にてマルテンサイト変
    態開始温度以下まで冷却し、表面の窒素化合物を減少な
    いしは消失させかつ内部に窒素を拡散・固溶させ、表面
    硬化層を窒化処理単独に比べて深くし表面から3.0m
    m深さまでの硬さの落ち込みをなくして表面から3.0
    mmの位置で硬さHv450超過とする請求項1に記載
    の金型の表面硬化熱処理方法。
  3. 【請求項3】 金型材に対して窒化処理を行った後にソ
    ルト浴による加熱を行い、マルテンサイト変態の臨界冷
    却速度以上30℃/sec以下の冷却速度にてマルテン
    サイト変態開始温度以下まで冷却し、表面の窒素化合物
    を減少ないしは消失させかつ内部に窒素を拡散・固溶さ
    せ、表面硬化層を窒化処理単独に比べて深くし表面から
    3.0mm深さまでの硬さの落ち込みをなくして表面か
    ら3.0mmの位置で硬さHv450超過とする請求項
    1に記載の金型の表面硬化熱処理方法。
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